ゼロの奇妙な使い魔 まとめ内検索 / 「事件! 王女と盗賊……そして青銅 その①」で検索した結果

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  • 事件! 王女と盗賊……そして青銅 その①
    事件! 王女と盗賊……そして青銅 その① 「ジョータロー。ちょっと『腕』を出してくれない?」 朝っぱらからいきなりルイズが意味の解らない事を言ってきた。 いぶかしがりながらも承太郎は右腕を差し出す。 「違う! そーじゃなくって、ほら、ギーシュのゴーレムをやっつけた『腕』よ」 「……見せる理由がねーぜ」 「あるの! あの『腕』を使えば色々できそうじゃない」 「……俺に何をさせる気かしらねーが……つき合うつもりはねーぜ」 「いいから『腕』を出しなさい! 他に何かできる事があったら正直に話して」 「話すと……思うのか? わざわざ自分の能力を」 「だって、私、あんたのご主人様だもん。知る権利はあるわ」 「俺はおめーの使い魔になった覚えはないぜ」 「それでも使い魔のルーンだってちゃんと……って、どこ行くのよ!」 「朝飯だ。ついでに洗濯に行ってくるぜ」 ルイズの洗濯物をか...
  • スターダストファミリアー
    ... 事件! 王女と盗賊……そして青銅 その①事件! 王女と盗賊……そして青銅 その② ├ 事件! 王女と盗賊……そして青銅 その③ ├ 捜索! 土くれのフーケを追え! その① ...
  • 事件! 王女と盗賊……そして青銅 その②
    事件! 王女と盗賊……そして青銅 その② 品評会当日ッ! トリステインに咲いた美しき白百合、アンリエッタ姫殿下は最前列の席に着いていた。 使い魔の品評会を素直に楽しむ気持ちもあったが、彼女はそれ以上にルイズとその使い魔の活躍を期待している。 あの使い魔は人だった。 でも使い魔でもある。 いったいどんな特技や能力を持っているのだろうと思うと胸がワクワクした。 そして品評会が始まる。その裏で静かに進行する計画に誰も気づく事なく。 魔法学院任二年生のみんなは、各々個性豊かな使い魔に様々な芸をさせて観客を沸かせる。 観客は王女の他に学院の教師と、学年の異なる生徒達だ。 王女の周囲には常に複数の護衛がついている。 王女が連れてきた護衛と、学院を守る衛兵、双方が協力し合っている。 当然の事だ。それだけ王女の身の安全が重要なのだから、学院の警備よりも……。 ルイズはクラス...
  • 事件! 王女と盗賊……そして青銅 その③
    事件! 王女と盗賊……そして青銅 その③ 三十メイルはあろうかという土のゴーレム。 その手にルイズが掴まっているという事態に承太郎とギーシュは遭遇した。 このゴーレムは何なのか、目的は何なのか、メイジはどこにいるのか。 疑問はあったがルイズは今にも絞め殺さようとしている最中であり、迷っている時間もためらっている暇も無く承太郎は即断した。 ルイズは承太郎の『腕』の力を知ってはいたが、『腕』だけでこの巨大なゴーレムに太刀打ちできるとは思っていなかった。 「ジョータロー! 無理よ、あんたは逃げ――えっ!?」 地面がめり込むほどの勢いをつけて、承太郎は跳び上がった。 一瞬でゴーレムの腕の高さまで来ると『腕』を出してルイズを握る指を殴る。 「オォォォラァッ!!」 ボゴンと音を立てて指が粉砕し、承太郎はルイズを『腕』で引っ張り出す。 そしてルイズ...
  • 事件! 皇女と盗賊……そして青銅 その③
    事件! 王女と盗賊……そして青銅 その③ 三十メイルはあろうかという土のゴーレム。 その手にルイズが掴まっているという事態に承太郎とギーシュは遭遇した。 このゴーレムは何なのか、目的は何なのか、メイジはどこにいるのか。 疑問はあったがルイズは今にも絞め殺さようとしている最中であり、迷っている時間もためらっている暇も無く承太郎は即断した。 ルイズは承太郎の『腕』の力を知ってはいたが、『腕』だけでこの巨大なゴーレムに太刀打ちできるとは思っていなかった。 「ジョータロー! 無理よ、あんたは逃げ――えっ!?」 地面がめり込むほどの勢いをつけて、承太郎は跳び上がった。 一瞬でゴーレムの腕の高さまで来ると『腕』を出してルイズを握る指を殴る。 「オォォォラァッ!!」 ボゴンと音を立てて指が粉砕し、承太郎はルイズを『腕』で引っ張り出す。 そしてルイズを生身の肉体でしっかりと抱きし...
  • 条件! 勝利者の権限を錬金せよ その②
    条件! 勝利者の権限を錬金せよ その② 夜のヴェストリ広場に、少女がランプを持って現れた。 ただでさえ人気の無い場所、それが夜ともなれば誰も姿を見せないだろう。 普通は。 だがルイズは現れた。袋いっぱいに小石を積めて。 錬金を失敗したら爆発して使えなくなってしまう、だからいっぱいいっぱい用意した。 部屋から運んできた椅子の上に、小石をひとつ置く。 月明かりの下、ルイズは杖を構えた。 目をつむり、短くルーンを唱え、杖を振り下ろす。 熱風が顔を焼き爆音が耳を震わせた。 「……コホンッ」 黒い煙を吹き出して、ルイズは再び袋から小石を取り出し椅子の上に。 もう一度、さっきより集中して、集中して……杖を振り下ろす。 衝撃が身体を襲い轟音が鼓膜を叩いた。 「……ま、負けるもんですか!」 集中しすぎるのはよくないかもしれない、リラックスしてやってみよう。 リラックス、リラ...
  • 条件! 勝利者の権限を錬金せよ その①
    条件! 勝利者の権限を錬金せよ その① 鼻血をハンカチで押さえながらギーシュはよろよろと立ち上がる。 「ままま、参った! 降参だ!」 「やかましい! これ以上てめーを殴るつもりはねえ。  ちぃーと頼みがあるんで聞いてもらうだけだ。無論断る事は許さねえ」 「は、はい~!」 「今日から俺をてめーの部屋に泊めろ。ベッドは俺が使う。  お前は床なりなんなり余った所で寝なッ」 「わ、解った……解ったから、すごむのはやめてくれ」 「やれやれ……ようやく寝床の確保成功ってところか。部屋に案内しな」 ギーシュをぶちのめした承太郎は、周囲の野次馬が大騒ぎをしているのが鬱陶しく思えたため、とりあえずこの場は退散しようと寮へ向かって思い歩き出す。 ギーシュのマントを引っ掴んで引きずりながら。 すると小柄な足音が後から着いてきた。 「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」 声でルイズだと解...
  • 条件! 勝利者の権限を錬金せよ その④
    条件! 勝利者の権限を錬金せよ その④ ルイズが目を覚ますと、自分の部屋だった。 身体のあちこちに違和感がある、何というか、絞めつけられているような。 前髪を掻き上げようとすると、額に柔らかい感触。包帯が巻かれていた。 ゆっくりと起き上がって自分の身体を見回す。 服は新しい物に着替えさせられ、右腕には手首から肘近くまで包帯が巻いてある。 指なんて包帯で真っ白だ。動かすと、ズキンと痛んだ。 痛みと同時に、結局昼食後一度も錬金が成功しなかった事を思い出す。 悔しさが込み上げてきて、胸の中が鈍く蠢いてるような気持ち悪さを感じる。 「どうして……どうして成功しないのよ!」 叫んで、ルイズは涙をこぼした。 「ちゃんと成功したはずなのに、どうして一度しか成功しなかったのよ……」 泣きながらルイズはポケットを探り……青銅が無い事に気づいた。 「な、無い! 私の青銅が……!」 ...
  • 条件! 勝利者の権限を錬金せよ その⑤
    条件! 勝利者の権限を錬金せよ その⑤ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 承太郎の『もう一本の腕』がギーシュの腕を掴んでいる。 相当の力がかかっているのか、ギーシュは痛みに顔を歪めて右腕を震わせる。 「貴族の決闘ってのは……横槍を入れていいもんなのか? ギーシュ」 「うっ、うぅ……うわっ!?」 右腕を捻り上げられ、ギーシュは薔薇の造花を落とした。 「ゆ、許してくれジョータロー! 僕は、ただ……」 「…………」 無言の圧力にギーシュは口を閉ざした。 何を言っても、何と言い訳しても、ただじゃあすまされない……そう思った。 助けを求めるようにギーシュはルイズへ視線を向けたが、 ルイズはいつしかうつむき、震えていた。 「る、ルイズ……」 「ねえ、ギーシュ……。私、昨日の夜、成功したわよね……『錬金』」 「あれは、えっと」 左手をポケットに入れて、ルイズはゆ...
  • 条件! 勝利者の権限を錬金せよ その③
    条件! 勝利者の権限を錬金せよ その③ ルイズが目を覚ました時、すでに授業が始まっている時間だった。 寝惚けた頭で思い出す。 ええと、今日は、じゃなくて、昨日は、どうしたんだっけ。 小石を集めて、錬金の練習をして、失敗ばっかりして、爆発でボロボロになった。 おかげでギーシュが夜中に先生を呼びに行って、先生から治癒の魔法をかけてもらった。 ……秘薬の代金はもちろん、自分が払わなければならない。 特にお金を使う予定は無いけど、大きな出費だった。 怪我は結構酷くて、まだ身体の節々が痛い。特に右手がまだズキズキする。 ルイズは上半身だけ起こして、恐る恐る両手を出す。 左手は、転んだ拍子に擦った程度の傷だったから魔法で治っている。 右手は、爆発を一番近くで受け続けたためまだ指の皮が痛々しく剥けている。 「うっ……」 よく見れば人差し指の爪にヒビが入っていた。 さらに手の...
  • 見えない使い魔-8
    「まんまとやられちゃったわね。まあトライアングルクラスのメイジだった んだから仕方ないって言えばそうなんだけど」 キュルケは塀に体重を預けてそう言った。隣に座っているタバサは、いつも のとおり黙々と本を読んでいる。 時は夕暮れ、盗賊のフーケが起こした騒動も終結を見たが被害は甚大だった。 人的なものといえばンドゥールが土に埋もれただけだったが門に塀、宝物庫 が壊され、さらには破壊の杖と呼ばれるものを盗難されたことが問題だった。それは国から預けられているものであり、厳重に保管しておかなければならなかったのだ。 「責任は、誰がとるのかしらね」 キュルケがそう言うと、タバサが答えた。 「一番偉い人」 「学院長、じゃなくて、」 「姫殿下」 「そうよねえ」 ため息をつくと同時に王女と話をしていたルイズとンドゥールが戻ってきた。 キュルケは二人を見...
  • 王の中の王 -そいつの名はアンリエッタ-
     我が最愛の父、偉大なるトリステイン王はかつて私に言いました。 「頂点に上り詰める『資格』のある者は常に只一人なのだ。  この世界が必要とする『帝王』は常に一人きり……その『帝王』こそは『私』だ。  そしてアンリエッタ、私が死んだ時、次の『帝王』として選ばれるべきはお前だ。  我が最愛の娘、トリステイン王国の次なる支配者よ。  『帝王』としての私の『血統』を受け継ぐがいい。  それこそがこの父がお前に遺してやれる、ただ一つのことだ」  やがて父王が崩御された時、私は名実共にトリステイン王家の次期国王の座を継承しました。  その際、我が母マリアンヌ王妃が女王として即位する道もあったのですが、他ならぬ母上自身が 女王即位を辞退した為に、実質的にこの私が国家の象徴となって政に携わることになったのです。  そしてその日から、我が王家の家臣団は完全に二つ...
  • ディアボロの大冒険Ⅱ-17
    ディアボロは冷たい床の上でぱちりと目を開いた。 夜が明けるにはまだ早く、窓の外には、二つの月が光り、室内を煌煌と照らしている。 それを尻目に見ながら、無断でルイズの部屋に持ち込んみ床置きしてある大量のピッツァを頬張るディアボロ。 壁に置いてあるデルフリンガーがそんなディアボロの様子に気付き、口を開いた。 「眠れねえのか?相棒」 デルフリンガーは何か勘違いしているようだが、ディアボロはこれ以上眠る必要が無い、。 それに応えるのは面倒なディアボロは無視してピッツァを食べるだけである。 「つれねえ仕打ちだな相棒!俺は寂しい思いはまっぴらごめんだぜ!」 ディアボロのスルーに腹を立てたのか、デルフリンガーがビリビリと震えながら怒鳴り声をあげる。 その声に反応して、ベッドの上のルイズが寝返りを打って毛布を跳ね除けた。だらしの無い貴族様である。 「……しっか...
  • 見えない使い魔-18
    タバサの使い魔であるシルフィードが地上に近づくと、フーケはスタコラサッサと逃げていった。 キュルケは他の面々と比べ無傷であったが、止めようとはしなかった。 魔力がない、というのもあったがそれよりも、気力が微塵も残っていなかったからだ。 船倉にぶち込まれ、最後の宴に招かれ、級友の結婚式に出たかと思うと裏切り者との戦いになった。そして最後にアルビオンの崩壊を目の当たりにした。 その瞬間は、胸の奥に虚無感が広がっていた。王子の誇り、国民への思い、散っていたものたちの忠誠心、すべてが走馬灯のように脳裏を過ぎった。 こんな状態では、戦うことなどできようはずがなかった。 彼女らはそのまま空を疾駆していき、トリステインの王宮へと向かった。 怪我人が三人もいて内二人は重体なので一刻もはやく治療しなければならないのだが、任務の完了も即座に伝える必要がある。 しかし、着いてみれば多くのマン...
  • ゼロのスネイク-12
    12話 嵐のような夜は明けて、朝が来た。 「新しい朝が来た、希望の朝が・・・」などというフレーズもある朝だが、 残念ながらこの日の朝は希望もなければスガスガしくもなかった。 トリスティン魔法学院長のオスマンにとっては特に。 「……それで、ミス・ヴァリエールが不届き者に襲われとったのにも、  土くれのフーケが宝物庫を襲って『破壊の杖』を盗んでいったのにも……。  だーれも気づかんかったと、そういうわけじゃな?」 オスマンが眉間に皺を寄せながら目の前に並ぶ教師一同を見回す。 教師達は皆が一様に肩をすくめるだけで、何も言おうとしなかった。 その反応を見て、オスマンは深いため息をついた。 メイジには主に2種類のタイプがある。 一つは軍人のように、魔法を戦うことに使うことを得手とするタイプ。 もう一つは、戦いは得意とせず、あくまで魔法を研究するこ...
  • 念写! じょせふ・じょーすたーきさまみているな!
    念写! じょせふ・じょーすたーきさまみているな! 成田新東京国際空港 「パパ! ここよパパ!」 「ホリィ!」 空港で互いを抱きしめ合う一組の親子! それはDIOの呪縛から解かれたホリィと、二代目ジョジョのジョセフ・ジョースター! 「パパァ! よく来てくれたわ!」 「わしは一人娘のお前が困っているなら、  地球上どこにでも24時間以内に駆けつけるつもりヂャ!」 いつぞやのような会話をした後、二人は空条家に向かった。 そして居間でお茶を飲みつつ、ジョセフは語る。 「スピードワゴン財団の調査でだいたいの事は把握しておる。  承太郎が失踪して数日経つ! 最後に確認されたのは××駅の防犯カメラじゃ!  調査の結果……承太郎は××駅から電車に乗り……。  恐らく目的地じゃったろうと推測される、○○駅で降りる事なく、忽然と姿を消した!  すなわち、承太郎の身に何かが起こっ...
  • 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』前編
    ギーシュの奇妙な決闘 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』前編 「……?」  扉の向こうから聞こえ始めた喧騒に対する承太郎の反応は早かった。  ギーシュ達を片手で制して会話を切り上げ、ジョリーンと共にソファから立ち上がってオフィスの外へ出る。  呼ぶまでもなく隊員の一人がすっ飛んできて、承太郎達の前で敬礼した。 「何があった?」 「隊長! ミスタ・ポワチエが、来客と共に逃走しました!」  来客。という事は、ギーシュの連れの誰かという事か……クラウダ・ド・ポワチエは犯人でこそないが、犯人逮捕の為に必要不可欠な人間だ。  それに苦もなく逃げられると言う大失態は、普通ならば叱責すべき事態だ。  だが、承太郎はそんな事をしようとは思わなかった。彼は自分の部下たちを信用していたから、何か理由があると感づいたのである。 「客を人質にでも取られたのか?...
  • 第一話(11) 王女のために!
    本日はコルベールの授業…のはずであったが、ヅラを被ったコルベールの出現により事態は急変する! トリステインの姫殿下・アンリエッタが学院に行幸するというのである。 授業は中断し、生徒たちは出迎える準備に取り掛かる。 これこそが日常が魔界に変わるとき。そう、平穏な日常の崩壊の開始の合図になろうとは誰一人予測していなかった。 ゼロの奇妙な使い魔~フー・ファイターズ、使い魔のことを呼ぶならそう呼べ~     [第二部 アルビオン、その誇り高き精神] 第一話(11) 王女のために! その① その日、ルイズは寝覚めが悪かった。マリコルヌの愛の言葉が五月蝿かったからではない。 なぜなら変な夢をみてしまったからである。それは昔の夢… そこは小船の上。ルイズは小さな頃、嫌なことがあると此処に逃げていた。 そうしたら憧れの子爵様が迎えに来てくれるのだ。 ...
  • 第十一話 『星屑の騎士団』
    ギーシュの奇妙な決闘 第十一話 『星屑の騎士団』  ――最初、モンモランシーは手紙の内容を受け入れる事ができなかった。  親愛なる叔父から届けられた、一通の書状。  その娘を介してのやり取りなら兎も角、滅多に直接的な干渉の無い相手からの手紙に、いぶかしみながらも封ろうを外し、開いて……絶句させられた。  何度も何度も、その内容を読み直し、一文字ずつ脳裏に刻み込み、ようやくその内容を受け入れた瞬間。  彼女は、机に突っ伏して、泣いた。  ラバーソールの学院襲撃から、既に一週間がたとうとしていた。  当初は混乱の見られた学生達も、今では普段と変わりない学生生活を送り、平穏を取り戻していた。ごく一部の、例外的な生徒を除いて。  狙われた当の本人であるギーシュ・ド・グラモンと平賀才人、その周辺の人々である。  後日に改めてオールド・オスマンから、自分達を狙っているのが『アカデミー』と言う組織...
  • 才人の女性遍歴日記
    6月8日  俺、ヒラガサイトにははっきり言って日記を書く習慣なんて全く無い。夏休みの宿題の 日記はいつも31日に纏めてやっていたし、親に押し付けられた日記も三日坊主にすらな らななかった。  その俺が今こうしてペンを握って日記を書いている。何故か!?  すごく、すごーく簡単な理由だ! 嬉しすぎる事が今日起きて、それを書かずにはいら れないからだ!!  俺は……今日、漢になった! チェリーボーイを卒業したのだ!  細かい事は書かない……もしこれがご主人様に見つかろうものなら、俺はぬっ殺されて しまうだろうから。いや、日本語で書いてるんだから見つかってもなんて事は無いだろう けど、万が一のためにね。  ただ一つだけ、迸るパッションをここに記そう!  ……ルイズ、ごっつー可愛かったとです!!  6月9日  今...
  • 第十五話 『三つのタバサ』(前編)
    ギーシュの奇妙な決闘 第十五話 『三つのタバサ』 「…………」  エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール……  ヴァリエール家の長女にしてアカデミーの優れた研究者でもある彼女の前で、狂気の沙汰は繰り返されていた。  それはまさに、狂気の具現。  始祖ブリミルをも恐れぬ大逆。音に聞いたアカデミー実験小隊のそれよりもなお非道! 「才人……やぁ! そこ触っちゃやだぁ……!」 「んー? 聞こえないなぁー」  半裸で馬鹿のようにいちゃつく、二人の男女。この空間における、狂気の体現者。  女の方は、男の膝の上で顔を赤くし、情愛に蕩けきった目で男を見る。  男の方は、女の反応が愉しくてしょうがないという風に、その手で女の体中を弄っていた。  ――ルイズと才人。  惚れ薬によって、痴情絶賛放映中な、バカッ...
  • 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』前編
    ギーシュの奇妙な決闘 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』 「…………」 「はい! 才人、あーん♪」 「……だが断る」  香水のモンモランシー、という乙女がいる。  水の秘薬作りに長けたメイジであり、その方面に関しては同年代の中で一番だといっても過言ではない。  学生と言う身分でありながら、その製薬技術は卓越した者があり、上級生にも引けを取らないだろう。  魔法のエリートが集うアカデミーなどから見れば、問題にすらならないレベルではあるのだが。 「…………」 「ふえ!? さ、さいと……? 私の事、嫌いになっちゃったの!?」 「……冗談だよ冗談」  ギーシュ・ド・グラモンとは深い仲であり、彼と才人を中心とした騒ぎにもかなりの割合で関わっている。  そのため、結構異常事態と言う奴に対する耐性が備わっていらっしゃるのだが。 「…………」 ...
  • 統一! はしばみ草愛好会世界制覇への道!
    統一! はしばみ草愛好会世界制覇への道! ※このSSはスターダストファミリアーのIFであり、本編とは多少関係があります。 「よし、ガソリンを入れ終わったぞジョータロー君!」 「ああ、解ってる。メーターも満タンだ」 承太郎は操縦席の機器を操作し、エンジンをかけた。 左手のルーンは光りっぱなしだ。すでに彼は臨戦態勢にある。 「危ねーぜ、離れてな」 承太郎の言葉に皆が離れる。が、一人だけゼロ戦に駆け寄った。 タバサだ。 「何してやがる、邪魔だ」 「これ」 小さな手が小さな水筒を差し出す。 「タバサ特製はしばみ茶七号。私の最高傑作」 「こんな時に、そんな物を……」 エンジン音が大きく響く。その音に負けないようタバサは声を大きくした。 「ヨシェナヴェの方がおいしいかもしれない。  でも、絶対おいしいから。飲んで欲しい。お願い」 わずかに逡巡した承太郎だが、ルーン...
  • 休戦! 銀の降臨祭
    休戦! 銀の降臨祭 シエスタと思わぬ再会を果たした承太郎は、色々と意外な話を聞かされた。 スカロン店長がシエスタの母方の親戚だとか、スカロンの娘ジェシカも黒髪で日本人の血を引いてるらしいとか、承太郎達が出発してすつ魔法学院がアルビオンの賊に襲われたとか。 三つ目の話には承太郎も驚き、シエスタが無事だった事を安堵した。 だがシエスタの話では何人かの死者が出たらしい。 平民である彼女は誰が死んだか教えてもらえなかったらしく、キュルケとタバサ、それにコルベールあたりから聞けなかったのかと問い返してみると、事件の後三人とも姿を見かけないし会いに来る事もなかったと返された。 キュルケの場合、トリステインは危ないという事でゲルマニアに帰ったのかもしれない。 タバサはキュルケに捕まって一緒に連れてかれたのかもしれない。 コルベールは多分研究室にでもこもっているのだろう。 その後スカロン店長はルイズにも...
  • ティータイムは幽霊屋敷で-51
    「双方そこまで! その喧嘩はこのイザベラ様が預かった!」 才人が地面に崩れ落ちる音と同時に、彼女の啖呵が響き渡った。 幽かに残っていた霧が晴れていく。遮られていた陽光が溢れてスポットライトのように少女を照らす。 何の臆面も持たず、彼女はずかずかとウェールズの前へ歩み出る。 ウェールズの手には未だ軍杖が握られており矛を収めた訳ではない。 彼女を一瞥するとウェールズは不愉快そうに顔を歪めて言い放つ。 「ガリアには関係ない。これはアルビオンの問題だ。口出しはしないでもらおう。 ましてや決闘に横槍を入れるなど貴族の伝統に悖る行いと知っているだろう?」 「決闘……? はん、決闘か! こいつはいい! 傑作だ!」 何がおかしいのか、イザベラは仰け反りながら笑い声を上げた。 まるで嘲笑するかのような彼女の態度にウェールズの表情がさらに引きつる。 ひーひーと笑いを堪え...
  • 砕けない使い魔-10
    「あなたの口から説明はいらない、言い訳もいらない」 「何を言っているんだい、モンモランシー」 「感づいていないとでも思ったの? あなたの二股に」 「ギーシュ様? それってどういう…」 「あああ、これはだね、ケティ」 ヒュ!!  バギァ 「あがんッ…あがッ、あがッ」 メシッ ブシャア ギーシュの頬にグーの手がめり込んだ 噴き出す鼻血ッ ぶざまにひっくり返ったギーシュに、モンモランシーは冷たい目つきだけを向けた 「言い訳はいらないと言ったでしょう  そして…さよなら  あなたはつくづく最低の男だったわ」 「え? ああっ」 ケティを引っ張っていくモンモランシー 彼女の口から事情をキッチリ説明してやるつもりなのだろう… とり残されたギーシュはざわつく観衆の中 注目の的になっていた 「なぁに...
  • 意外! 神の右手ヴィンダールヴ
    意外! 神の右手ヴィンダールヴ 人気の無い森の中までやって来た承太郎は、タバコに火を点けた。 「おめーも吸うか?」 「いや、俺は遠慮します」 とりあえず適当な岩に承太郎は腰掛け、仗助は木の根の上に座り込んだ。 「さて……何から話すべきっスかね~……」 「まずてめーが何者なのか教えてもらおうか」 「はあ……その前に一個確認させてください。今年は西暦何年でしたっけ?」 「……1989年だ、俺がこの世界に召喚されたのはな」 「そ~っスか……俺もです。参ったな、どう説明すればいいのか……」 難しそうに頭を抱える仗助。 どうやら『いきなりハルケギニアに召喚された』という訳ではないらしい。  破壊の杖の持ち主や、シエスタの祖父のように、偶然この世界に紛れ込んだのか? 「だったら答えやすいよう質問する。お前はどうやってこの世界に来た?」 「サモン・サーヴァントです。ロマリアの……えー、とある人に召喚さ...
  • 杖をとりかえしにいこう! その①
    ゼロの使い魔ジョルノ編 杖をとりかえしにいこう! その① ぼくの名前はジョルノ・ジョバーナこと汐華初流乃。 何の運命の因果かこの奇妙な世界に飛ばされ、あまつさえある少女の使い魔(手下のようなものらしい)にされてしまった。 これでは夢もなにもあったもんじゃあない。日夜もとの世界に戻れるよう努力してるものの、手がかりはいまのところゼロだ。 いや、しいて挙げるとするなら以前シエスタを助けたときのあのエロ本か。 アレの存在でぼく以外に異世界に飛ばされる現象が以前にもあったと推定できるが……それ以上はわからない。 とはいえ、なんだかんだでこっちの生活も楽しんでいたりする。ルイズはやかましいし、キュルケはいつもぼくに付きまとって邪魔だが、 優しいシエスタさんもいるし、お金もギーシュから巻き上げているので基本不自由しない。 あのマンモーニはぼくがここに来たばっ...
  • DIOが使い魔!?-52
    「……あなたは?」 ルイズが疑問の声をあげたが、 頭巾の少女は口元に人差し指を立てた。 静かにしろと言いたいらしい。 こんな夜更けに突然押し掛けてきて、 なんて図々しいとルイズは眉をひそめた。 挙げ句このルイズ・フランソワーズに命令をするとは。 心の底で徐々に敵意を抱き始めているルイズをよそに、 真っ黒な頭巾の少女は、同じく真っ黒なマントの隙間から、 杖を取り出した。 ―――それをルイズが見逃すはずがない。 敵意が一足飛びで殺意に変わったルイズの行動は迅速だった。 頭巾の少女がルーンを呟こうとする前に、 ルイズは少女の口元を押さえた。 反射的に悲鳴を上げようとした少女だったが、 それは苦痛の喘ぎ声に取って代わられた。 杖を持つ少女の手首が、ルイズによって鷲掴みにされたのだ。 ギリギリと万力のような力で締め付けられて、 ...
  • 第七話 『フェンスで防げ!』
    ギーシュの奇妙な決闘 第七話 『フェンスで防げ!』 (――さて、どうなったか)  特に何の感慨もなく、リゾットは品評会の会場へと戻っていた。  勿論、自分を見張るモートソグニルに怪しまれないよう、騒ぎを聞きつけて走ってきた振りをしてである。  進入するかしないか、散々迷った演技をした後、騒ぎを聞いた瞬間に走り出したから、不自然には見えない筈。  塔を駆け下りながら垣間見た広場では、思ったほどのパニックは起こっていなかった。  生徒たちは広場の一角……日当たりの最もいい場所に集められ、無事のようだった。  不謹慎と言うか余裕の産物と言うか、彼らの仲間内では生徒が何人ブラックサバスに貫かれて死ぬか、というトトカルチョが行われており、リゾットは、生徒が十数名は貫かれて死ぬと予測していたのだが……この分だと、賭けそのものが不成立になってしまいそうだ。 (成る程。真夜中にブラックサバスを倒した...
  • ゼロの茨 4本目
    …朝目覚めて最初に目にするもの、それは枕、布団、ベッドの天蓋部屋の壁だったはずだ。 しかし最近はそれに一つ余計なモノが追加された、それは男子生徒が欲して止まないツェルプストーの寝顔だった。 「はあああああ~……」 「朝からため息なんてついてたら、幸せが逃げちゃうわよ」 ベッドから下りて服を着替え始めた私に、ネグリジェ姿のキュルケがしなだれかかる。 私はひょいと横に移動してそれを避けると、ハーミット・パープルでぐるぐる巻きにして廊下に放り出した。 「ああんもう、乱暴なんだから」 と言ってこちらを見るキュルケの瞳はどこか楽しそうに、そして愉しそうに潤んでいる。 私は開いたままの扉に手を伸ばし、はぁ~~~と長い長いため息をつきながら扉を閉じた。     * 着替えを終えたルイズが寮塔の階段を下りていく、塔の出口に差し掛かったところで、同級生の一人がこちらを見...
  • 見えない使い魔-10
    暗闇の中、ある男が浮かんでくる。そいつを殺そうと杖を向けるも、魔法が 出てこなかった。巨大なゴーレムが現れない。 なぜか。躍起になって何度も何度も杖を振るう。呪文を唱える。されど意味 はない。と、見かねたように男がこう言った。 「お前の持っているものは何だ」 そんなもの自分の杖に決まっている。そう言おうとしたが、違った。 手に持っていたのは、切り落とされた自分の指だった。 「最悪の寝覚めね」 ぼうっとした口調でそうこぼした。彼女はトリステイン魔法学院の宝物庫に 保管されてある破壊の杖を盗んだフーケである。盗難には成功したものの、 使い方がわからなかったので生徒たちを利用しようとした挙句、彼女たち自 身によって取り押さえられてしまい、監獄に閉じ込められている。 思い返せば思い返すほど間抜けなことをしたものだ。フーケはそう思った。 「で...
  • ゼロいぬっ!-26
    「……それで今、三人は?」 「はい。ミス・ツェルプストー、ミスタ・グラモンの両名は捕獲され、以後は別室で軟禁する予定です」 「ミス・タバサは?」 「彼女は薬の効きが弱かったのか、比較的平常を保っていますので大丈夫かと…」 ミス・ロングビルの説明を聞きながらオスマンは溜息を零した。 どうも最近になってから溜息ばかりついている気がする。 しかも、その面子はいつも同じ。 モット伯の一件が平穏無事に済んで安心していた矢先にこれだ。 もう何か悪いものに取り憑かれてるんじゃなかろうかと思いたくもなる。 「まさか、こんな事に秘宝である『眠りの鐘』を使う事になるとは……」 正直、始祖ブリミルが知ったらさぞ嘆くであろう。 といっても相手はトライアングルを含む三人のメイジ。 戦いになればどれだけの損害が出るか知れた物ではない。 ましてや怪我をさせずに捕...
  • タバサの大冒険 第7話
      ~レクイエムの大迷宮 地下6階~ 『それじゃあ何か?オレ達にお前さんの探し物とやらを手伝え、と言う訳かい?』 「マ、結果的にはそうなるね」  ツェペリ男爵と名乗った男から詳しい事情を聞き終えた時、開口一番に口を開いたのは不満げな態度を隠そうともしないデルフリンガーだった。先程ツェペリにしてやられたばかりの噴上裕也は未だに仏頂面を浮かべたまま、タバサはいつも通りのぼんやりした無表情でツェペリの話を聞いていた。  お互いに敵意が無いことを確認した一同は、まずタバサ以外の満場一致で彼女を休ませることにした。  誰もが先程のハイウェイスターや運命の車輪との戦いによる消耗が激しいタバサを無理させたくはなかったと考えていたし、特に今まで散々ハイウェスターをけし掛けて来た張本人である噴上裕也は自責の念もあった為か、この場にいる誰よりも強くタバサの休養を主張していた。  その為に、今...
  • 帰還! 魂の還る場所
    帰還! 魂の還る場所 日食が終わり――太陽がその姿を現す。 アルビオン艦隊の沈んだ空は、まさに青一色。どこまでもどこまでも晴れ渡っていた。 その青い空の中を、彼等は、彼女等は探す。 あの竜は何処。竜の羽衣は何処。承太郎とルイズは何処。 そして――すでにこの空にはいない事を知る。 「とりあえずトリステイン軍が勝ったけど、これから本格的に戦争が始まるわね。  トリステインにいると危ないかもしれないけど……どうする?  よかったら私と一緒にゲルマニアに来ない? 疎開ってやつよ」 「いい」 「あら、そう? どうして?」 「しばらく学院で待ってみたい」 「……そう、そうね。それも悪くないわ。私もつき合う、文句は無いわよね?」 「うん」 「どうしたんだい? なぜそんなに泣いているんだい?」 「ごめんなさい。今は、泣きたいんです。泣かせてください」 「…...
  • ゼロいぬっ!-14
    「一体、この責任を! 誰が! どのようにして取るおつもりか!」 激昂した男が目の前の机を叩く。 それをオールド・オスマンは黙って聞き流していた。 責任も何も知った事ではない。 この件を何も知らされていない者達には何の関わりも無い。 数少ない関係者であったオスマンとコルベールは生徒と王女を守るので手一杯だった。 そもそもフーケに気取られた直接の原因は男の軽率な行動にあるのだから、 “責任取って勝手に自刃したらいいんじゃね?”と言いたくもなる。 あの後、ゴーレムで学院の外へと逃走したフーケを追撃したものの、 ある程度の距離が離れた所でゴーレムが崩壊した。 即座に持っていた馬車の回収が行われたが、積荷はフーケと共に消え失せていた。 完全にフーケにしてやられた訳だ。 「渡す直前まで宝物庫で管理していれば、こんな事態は防げた! これは君達の管理不行き届きが原因で...
  • 第五話 『灯(ともしび)の悪魔』
    ギーシュの奇妙な決闘 第五話 『灯(ともしび)の悪魔』  トリステイン魔法学院から徒歩で一時間ほどの位置にある、一軒の屋敷。昨日までは『モット伯の屋敷』だと表現できた屋敷なのだが今では過去形で表現しなければならないだろう。  主が死亡し、使用人が全員行方不明という状態では、屋敷と呼ぶのもおこがましいだろう。モット伯の死に様の壮絶さを考えると、たと領地の整理が終わったとしても、この屋敷に住もうなどと考える貴族はいないに違いない。  今は内装が豪奢で綺麗なだけの、『空き家』。  数日もすれば内装品の全てが処分され、後数年もすれば、立派な廃屋になる事だろう。  貴族がここまで凄惨に殺害された上に、使用人全員行方不明。  前代未聞の大惨事に王室は揺れに揺れた。是が非でも犯人を捕らえなければ、王室の権威に傷が付くとして、捜索に少なくない数の騎士達が借り出されたのだが。  なにせ、事情を知る使用人...
  • 『Do or Die ―4R―』
    『Do or Die―4R―』  部屋の中を緊張が満たしているのがその場の誰にも感じ取れる。  それほど切迫した事態だと言うことではあるが、少年たちにしてみれば事態がいきなり大きくなりすぎていて未だに現実を受け入れられないものも数名いるようだった。 「外はどうだい?」 「まだ見張りが多いな。あれじゃあすぐ援軍を呼ばれるだろうよ」  フーケの問いに窓から外を覗くウェザーが答えた。  アニエスが階下に向かってからまだ時間は経っていないのだから当然とも言えるが、同時に外の敵が中に誘導されると言うことはイコールでアニエスのピンチに繋がると言うことでもある。  そのジレンマを当然ながら理解している二人は落ち着かないのか先ほどからせわしなく体を揺すっていた。 「……あの、オレ達はどうしたら…」  そんな緊張に耐えかねたのか、口を開いたのは財布をすろうとした少年だった。 「ああ...
  • 第十三話 『魂を蝕む毒』前編
     今日この日……  アカデミーの手によって、ルイズと才人の二人は死を迎えた。  ……そこは、随分と柄の悪い酒場だった。  並べられたテーブルや椅子は傷や汚れのない場所を探すほうが難しいし、立地条件も貧民街のど真ん中。客層も全うな商売の人間は一人もおらず、犯罪者か傭兵ばかりだ。 だれそれが死んだだの、だれそれを殺しただのと、交わされる会話もひたすら物騒だった。  地下にあるため窓などは一切なく、漂う空気には陰気なものが混ざり、殺意や敵意が入り混じっている。  だが、静かだった。テーブルの一つ一つにサイレントがかけられているのだから当たり前だが、それを差し引いても静か過ぎた。  普通に柄の悪い酒場のような喧騒とは無縁の世界……ここにいる人間は全員が全員一流以上の犯罪者であり、彼らの御用達という事で有名な酒場だった。  酒場では常に何らかの取引や商談、情報のやり取り...
  • 外伝~オスマンの過去~-1
    『土くれ』のフーケが破壊の杖を強奪していった夜の夜明け前、トリステイン魔術学院の教師であるコルベールは、大慌てでその大事件を学院長である、オールド・オスマンに報告に来ていた。 「学院長、一大事ですぞ!!!」 「なんじゃ、そんなに慌てよって。この世に大事などない。 全ては小事じゃよ」 ドアを開けざまに叫ぶコルベールに、オスマンは半ば呆れながら返した。 が、次のコルベールの言葉でオスマンは仰天した。 「『土くれ』です!!学院長!!『土くれ』のフーケが、ゴーレムを用いて、宝物庫を襲撃、 破壊の杖以下、その他数十点の秘宝が強奪された模様です!!!」 「な………なんと…!!」 オスマンは椅子を蹴倒しながら立ち上がった。 そうとう慌てている様子のオスマンに、コルベールは萎縮した。 「今夜の当直は、ミス・シュヴルーズだったのですが...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-09
    トリステインの外交の間に、あわてた青年の声がむなしく響く。 「よ、よって、わが国は、かっ開戦いたします。その、トリステイン王国に……」 蒼白な顔で、開戦通告書なる文書を読みあげるその青年に対し、マザリーニは比較 的開戦の事実を冷静に受け止めることができた。 『メルカトール』からの伝書鳩による定期通信がない事。 それと、この非公式の大使の狼狽振り。 何かトラブルがあったことは容易に想像できる。 しかし、とマザリーニは考える。 まさか、開戦とは。 くそっ。 彼は聖職にあるまじき暴言を内心毒づいた。 このタイミングでの開戦では、トリステインの防衛は危うい。 考えられることは二つ。 ひとつは、アルビオンのやつらが確信的に戦争を仕掛けてきている事。 もうひとつは、あのラ・ラメーが、本当に『レキシントン』に向かって実弾をぶっ 放したことだ。 幸いなが...
  • 外伝! 真・スターダストは砕けない?(真だが疑問系)
    外伝! 真・スターダストは砕けない?(真だが疑問系) 1999年。杜王町。 今年高校生になった広瀬康一は、自分の運命を大きく変える人物と出会う。 そのうちの一人とは、道で出会った。というかぶつかってきた。 あまり体格に恵まれてない康一だが、それは相手も同様だったようで、思いっきりアスファルトの上に転倒する。 「わわっ! す、すみません……大丈夫ですか?」 「痛たたた……だ、大丈夫。地図を見ながら歩いてたこっちこそ謝らないと」 そう言って立ち上がったのは、背の低い金髪の美少女だった。 歳は中学生か高校生くらいだろうか、胸は平らで、金の髪は腰まで伸びている。 驚いたのは相手が外国人女性だったという事。 英語の成績が特別いい訳ではない康一は慌ててしまったが、その女性は流暢に日本語を操っている。 「ところで訊きたいんだけど、東方って家を知らない?」 と、質問してきたと...
  • ゼロのスネイク 改訂版-09
    9話 ルイズが朝食の席につくと、他の生徒はおもむろに一席分ルイズから間を開けた。 ルイズに対する嫌がらせというわけではない。 教師たちはそれを重々承知しているので、あえて何も言わなかった。 そしてルイズ自身もそれを教師たちから口を酸っぱくして言われていたので、何も言わなかった。 言わない代わりにため息一つついて、他の生徒たちと一緒に食事の前のお祈りを口にした。 ホワイトスネイクとギーシュが決闘した日から、もう一週間がたった。 ギーシュはすっかり元通りになって、モンモランシーとよりを戻そうと必死になっている。 ただ、ギーシュはルイズには近づこうとはしない。 常に一定の距離を保っており、そこから決してルイズに近づこうとしないのだ。 そうするのはギーシュだけではない。 他の生徒もルイズには近づこうとしなかったし、 加えてこれまでのようにルイズを「ゼロ」と呼んで...
  • 第九話 『柵で守る者』前編
    ギーシュの奇妙な決闘 第九話 『柵で守る者』前編 「ふむ……」  草木も眠る丑三つ時。  書類処理も終わったオスマンは、自室の窓から王都へ向かう馬を見つめていた。馬上の人影は自分のいる塔を見返る事すらせずに、駆け抜けていく。  ギーシュに追っ手としての資格があるのならば、引き返してきて来ると言うのが約束であったから……グラモンの馬鹿息子は、承太郎のお眼鏡に適わなかったと見ていいだろう。  オスマンの手元には、5名の名前が書かれた紙があった。タバサ、キュルケ、ルイズ、才人、ギーシュの名前が書かれており、オスマンはギーシュの名前に横線を引いて、嘆息する。 「この四人……タバサのシルフィードならば捜索範囲も広いじゃろうし……早速、明日の朝一で召集するかのぉ……教職員も一人つけたいところじゃな。ズォースイ君なら適任じゃな……あ」  思いついてから、自分が...
  • 味も見ておく使い魔 第四章 前編
    トリステイン王国とガリア王国にはさまれたラグドリアン高地。その高地に、国境 をはさむように、ハルケギニア随一の名称地『ラグドリアン湖』はあった。 国境線上に存在するこの湖は、交通の要衝でもあり、ガリアとトリステインを行き 来する商人たちは、ほとんどがこの近くを通過する。 ただ、ガリアとトリステインの、長年の確執にもかかわらず、この地域が戦のにお いを放った歴史はない。 なぜか? それは、この地が人間の土地ではないからだ。 人ならざる、水の精霊の土地。精霊の住まう場所。 それが、ラグドリアン湖畔であった。 水の精霊の時は長い。 人の時間にとって、水の精霊が出現する頻度はあまりにも長く、時間は短い。 だから、実質的に、水の精霊と会うことができるのは、トリステイン王国との盟約 の更新を行う以外、人間に出会うことはないといってよかった。 そして、その希少価値...
  • 第二十章 タバサと小さなスタンド使い
    早朝のヴェストリ広場、朝の霧の中を二つの影が目まぐるしく動き回る。 リゾットは土中から相手を取り囲むように刃物を出現させ、一斉に相手に向けて放つ。それに対して相手は跳躍すると同時に『レビテーション』を使って浮き上がり、刃物の囲みから抜け出した。 宙に浮いた相手に駆け寄りつつ、リゾットがなおも刃物を射出するが、出現した無数の刃物はその一つ一つが相手が飛ばした氷の矢によって撃ち落された。 朝の薄い光の中で砕けた金属と氷の欠片が乱反射し、煙幕のようにお互いの視界を遮る。 視界が晴れた時、リゾットの姿は消えていた。 きょろきょろとリゾットを探すが、その間もなく砕かれた刃物が空中で再構成され、容赦なく襲い掛かる。それらをマントや杖で叩き落し、身のこなしで回避しつつ、口元を隠し、素早く呪文を詠唱し、杖を振る。 途端に周囲の温度が下がっていく。だが、人間にすぐに害になる温度ではない。リゾットは気にせず、...
  • 第二十章 タバサと小さなスタンド使い-1
    早朝のヴェストリ広場、朝の霧の中を二つの影が目まぐるしく動き回る。 リゾットは土中から相手を取り囲むように刃物を出現させ、一斉に相手に向けて放つ。それに対して相手は跳躍すると同時に『レビテーション』を使って浮き上がり、刃物の囲みから抜け出した。 宙に浮いた相手に駆け寄りつつ、リゾットがなおも刃物を射出するが、出現した無数の刃物はその一つ一つが相手が飛ばした氷の矢によって撃ち落された。 朝の薄い光の中で砕けた金属と氷の欠片が乱反射し、煙幕のようにお互いの視界を遮る。 視界が晴れた時、リゾットの姿は消えていた。 きょろきょろとリゾットを探すが、その間もなく砕かれた刃物が空中で再構成され、容赦なく襲い掛かる。それらをマントや杖で叩き落し、身のこなしで回避しつつ、口元を隠し、素早く呪文を詠唱し、杖を振る。 途端に周囲の温度が下がっていく。だが、人間にすぐに害になる温度ではない。リゾットは気にせず、...
  • ティータイムは幽霊屋敷で-52
    「お前の娘は預かった。返して欲しくば……」 煉瓦造りの見るからに高級そうな書斎で、青い髪の少女が不穏当な文言を書き記す。 その口元には薄ら笑い。走る筆先がライカ檜の机に叩きつけられてカリカリと小気味いい音を立てる。 しばらくして書き終えた書類を傍に控えていた黒髪の女性へと不躾に押し付ける。 「いいなシェフィールド。こいつをアルビオン王に届けるんだ、一言一句違わずにな」 「拝命しました。正式な書状として清書した上で構わないでしょうか?」 「……ふん。好きにしな。こっちの意図さえ伝わればいい」 「その点は抜かりなく」 恭しくイザベラに礼をするとシェフィールドは書類を手に部屋を立ち去った。 これから清書という名目で脅迫文を形式的な文書に校正するのだろう。 無駄な手間だとイザベラは溜息を零しながら机の上に組んだ足を乗せる。 言っている事が同じならどんな美辞麗句を並...
  • 第二話(17) 恐ろしき王女
     第二話(17) 恐ろしき王女 その① 「オールド・オスマン、それは本当ですか!?」 FFは驚いて聞き返した。 「うむ、本当じゃ。王宮からわざわざ使いが来てのぅ。大変なことになったもんじゃ。…おい、FF君!何処に行くんじゃ!!」 「友人がいる…。以前、話していた…タルブの村出身だと…。だからッ!彼女のところに行く! 彼女はこれを聞いているのならきっと絶望している!少しでも彼女の力になれるようにッ!」 そういうとFFは学院長室を出て行った。 「ふむ、友人がいたとは知らなかったわい。そういえば、FF君になってから少しパンチラするようになったのう。…でも、お尻を触るのを文句言わないのは、ちと張り合いがないんじゃが…。 いかんいかん、ここはカメラ目線で貫禄を漂わせてっと…… こんなに早く戦争が始まるとは、もうトリステインも安全ではないんじゃのぅ。みんなに最...
  • DIOが使い魔!?-3
    そうしているうちに、コルベールが戻ってきた。そして、その後ろに続く二つの人影。 『微熱』のキュルケと、『雪風』のタバサであった。 先程のパニックの折、混乱する生徒達の中で彼女達だけは自分を保っていたのをルイズは見ていた。 恐らく自分と同じくこの死体の奇妙さに気づいたのであろうその2人がこの場に来るのは不思議ではなかった。 内心そう思いながらも、キュルケが嫌いなルイズは、突っかからずにはいられなかった。 「ツェルプストー、何か用?」 宿命のライバルを前に、自然とルイズはいらだった口調になった。 そんなルイズの態度をうけながし、キュルケは杖をいじくりながら飄々と答えた。 「べっつに~。用なんか無いわよ、あんたには。あるとすれば、そこに転がってる身元不明の死体に、かしら?」 「なによ、ハッキリしなさいよ!」 キュルケの微妙に的...
  • @wiki全体から「事件! 王女と盗賊……そして青銅 その①」で調べる

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