ゼロの奇妙な使い魔 まとめ内検索 / 「第二話 決闘の顛末」で検索した結果

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  • 第二話 決闘の顛末
    ギーシュの奇妙な決闘 第二話 『決闘の顛末』  目を覚ましたら……目の前に、天井があった。  当たり前すぎて今更どうこう言う事柄ではないのだが、今まで見ていた夢の内容との落差に、ギーシュはどうしても目を白黒とさせてしまう。  反射的に、向かい合う天井をじっと見つめて観察する……少なくとも、彼自身の部屋ではないらしい。  鼻腔を刺激する薬品の匂いに、首だけを動かして辺りを見回して、初めてそこが何処で、自分がどういう状況に置かれていたかを認識した。 (医務室に、寝かせられているのか。僕は)  それもそうだろうと、納得する。決闘が終わった時点で、ギーシュはかなりの重症を負っていたのだから。  医務室にいないほうが可笑しいのだ。目が冷めたら棺おけの中だった、なんていうのは笑えないジョークだ。  と、見回した拍子に、見慣れた金髪が視界の端に引っかかった。 「…………ギーシュ!」  視線...
  • ギーシュの奇妙な決闘
    ギーシュの奇妙な決闘 第一話 祭りの後 第二話 決闘の顛末 第三話 『平賀才人』 第四話 『決闘と血統』前編 第四話 『決闘と血統』中編 第四話 『決闘と血統』後編 第四話 『決闘と血統』完結編 第五話 『灯(ともしび)の悪魔』 第六話 『向かうべき二つの道』前編 第六話 『向かうべき二つの道』後編 第七話 『フェンスで防げ!』 第八話 『STAND BY ME!』 第九話 『柵で守る者』前編 第九話 『柵で守る者』中編 第九話 『柵で守る者』後編 第十話 『Shall We Dance?』 第十一話 『星屑の騎士団』 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』前編 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』後編 第十三話 『魂を蝕む毒』前編 第十三話 『魂を蝕む毒』後編 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』前編 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカッ...
  • メロンの使い魔
    第一話 僕は使い魔① 第二話 僕は使い魔② 第三話 ゼロのルイズ① 第四話 ゼロのルイズ② 第五話 メロンとメイド 第六話 当然の理由 第七話 使い魔の決闘① 第八話 使い魔の決闘② 第九話 使い魔の決闘③ 第十話 使い魔の決闘④ 十一話 虚無の曜日 第十二話 デルフリンガー
  • ヘビー・ゼロ
    ...んだ風のち異世界』 第二話『困惑のち使い魔』 第三話 『出会いのち晴れ間』 第四話 『決闘日和 ~格の差~』 第五話 『上は爆発下は洪水警報』 第六話 『低気圧のち信頼』 第七話 『微熱注意報』 第八話 『青色上昇気流』 第九話 『寒冷前線最前線』 第十話 『吹き荒ぶ風と立ち塞がる土くれ』 第十一話 『ゼロを包む風』 第二章【風に揺れるアルビオン】第十二話 『帽子旋風』 第十三話 『夢枕のち閃光』 第十四話 『Re:決闘日和 ~Blind Spot~』 第十五話 『澱んだ風と立ち向かう土くれ ~決路~』 第十六話 『風を切る三騎 ~Three Bravemen~』 第十七話 『過去を思う男・彼女を想う男』 第十八話 『アルビオン暴風警報発令!』 第十九話 『悪魔の虹』 第二十話 『そよ風の中で』 第三章【虚空の中の虚無】第二十一話 『愛の蜃気楼』 第二十二話 『湿気った心に蔓延る...
  • 僕の夢は三色コロネッ!
    僕の夢は三色コロネッ!-1 第二話 その男。ドSにつき 第3話 決闘!?青銅のギーシュ 第四話 ギーシュ君の運命 前編 第五話 ギーシュ君の運命 後編 そしてルイズの運命 第6話 同じ匂い 第七話 がんばれ女の子! 前編 第八話 がんばれ女の子!後編
  • 変な帽子みたいな使い魔
    第一話『マンハッタン・トランスファー!契約完了ッ!』 第二話『帽子しか言わない人たち』 第三話『キンケシは硝煙の香り』 第四話『ギーシュ決闘イベントは省略されました。続きを読みたい方は「モンモンLOVE」と書き込んでください』 第五話『よし、俺のシエスタにスケッチさせてみよう』 第六話『帽子はどこに溶けた?』 第七話『悶えルイズ、萌えルイズ』 第八話『「土」との遭遇』 第九話『プロジェクト「ゼロ」―挑戦者たち―』 第十話『 Lesson 1 My Name Is MANHATTAN-TRANSFER 』 外伝1『恋する乙女はグレイトフル・デッド!』 外伝2『風の吹くまま、気の向くまま』 外伝3『風とともに去りコルヌ』
  • 『女教皇と青銅の魔術師』-5
    決闘の前日 二人は町まで買出しに出かけた。 馬には乗りなれていないミドラーは町に付くころには腰痛になっていた。 駱駝いないの、とギーシュに恨みがましい目を向けるがギーシュは取り合わない。 そもそも彼は駱駝を知らなかった。 ミドラーの服を数着と背負うタイプの袋を買う。 ミドラーが決闘に勝った場合すぐに学院を脱出できるように物資を購入する。 自分が死んだ時のために準備する、というのはどんな気持ちだろうとミドラーは彼の表情を伺うが、 ギーシュは平然としていた。 その後武器屋にてギーシュは撒き菱と魔法のレイピアを購入。 (魔法の…?) ミドラーはいぶかしく思いながらハイプリーステスでスキャンしてみる。 (鞘は…問題ない。ただの真鍮の飾り) (刀身と…鍔、それと鞘の口金部分に何か…スタンドが反発する部分がある?) ひょっとしてこんなものが切り札なのだろうか、と落胆す...
  • ゼロの奇妙な白蛇 第三話
    ...いた。 第二話 戻る 第3.5話
  • 第五話 ゴーレムカイル!
    演習場には、噂を聞いて集まった生徒たちにより既に人の輪が形成されていた。 学院という閉鎖空間での生活はどうしても単調なものになりがちだ。 そこに囲われ、刺激に餓えた生徒たちにとって、決闘とは(たとえそれが学生と使い魔のものであっても)なんとも魅力的な娯楽なのだ。 シュトロハイムが、輪へと向けて進み出る。主役の片割れの登場に、生徒たちがさっと道を空ける。 「負けんなよー、ゼロの使い魔! あのスケコマシ野郎のこと取っちめてやれー!」 「ギーシュさん、頑張ってください! あんなよそ者やっつけちゃって!」 双方に、声援が飛ぶ。 シュトロハイムの正面には悠然と立つギーシュ。隣に、モンモランシーが甲斐甲斐しくも付き従っている。 人ごみを押し分け、キュルケがギーシュへと近づく。懐から取り出した手紙を見せる。 ――ボッッ!! キュルケの右手の...
  • 第五話   ゴーレムカイル!
    演習場には、噂を聞いて集まった生徒たちにより既に人の輪が形成されていた。 学院という閉鎖空間での生活はどうしても単調なものになりがちだ。 そこに囲われ、刺激に餓えた生徒たちにとって、決闘とは(たとえそれが学生と使い魔のものであっても)なんとも魅力的な娯楽なのだ。 シュトロハイムが、輪へと向けて進み出る。主役の片割れの登場に、生徒たちがさっと道を空ける。 「負けんなよー、ゼロの使い魔! あのスケコマシ野郎のこと取っちめてやれー!」 「ギーシュさん、頑張ってください! あんなよそ者やっつけちゃって!」 双方に、声援が飛ぶ。 シュトロハイムの正面には悠然と立つギーシュ。隣に、モンモランシーが甲斐甲斐しくも付き従っている。 人ごみを押し分け、キュルケがギーシュへと近づく。懐から取り出した手紙を見せる。 ――ボッッ!! キュルケの右手の中で、炎上し燃え尽きる手紙。恐らく『...
  • ゼロのパーティ-18
    「インテリジェンスソード?」 「そうでさぁ、若奥様。全く。いったい、何処の魔術師が始めたんでしょうかねぇ、剣を喋らせるなんて」 ルイズはその答えを聞いて、暫くジロジロと剣を眺め、店主との商談に戻った。 余り変なものを買われてはたまらないと、僕は一時的に剣から意識を外して、店主に目を向ける。 店主の手元には、過度の装飾の為されたハルバートと、これまた過度の装飾の為されたレイピアが一つずつ。 「昨今は宮廷の貴族の中で、下僕に剣を持たせるのが流行っておりましてね。何でも『土くれ』のフーケとか言うメイジの盗賊が、貴族の宝を盗みまくっているとの噂で」 そういいながら、店主はよいしょと、手に持っていたハルバートと、レイピアをカウンターに置く。 そうして全身像が露わとなったハルバートは、2m半強もあるような代物だった。 どう軽く見積もっても、3kgはある。 「そ...
  • アバッキオVSギーシュ
    「諸君!決闘だ!」 「ギーシュが決闘するぞ!あいてはルイズの平民だ!」 (二股をかけるのは勝手だ。だが罪もない人に八つ当たりするのは許せねえ) アバッキオの心には警官時代の正義感がよみがえりつつあった (確かに俺は同僚を殺した汚職警官だ。いまさら正義面する資格がないのはわかっている。) (だが、だからこそッ!もう2度とあんな後悔を繰り返したくないッ! 今度こそは自分の正しいと思った道を歩む!ブチャラティのように!) 「とりあえず、逃げずにきたことは褒めてやろうじゃないか」 「ああ、決めたんだ。もう二度と自分の決めたことからは逃げないってな。どんな矛盾や苦悩があろうとだ。」 どこか遠くを見ているアバッキオの言葉にギーシュは苛立ちを見せた。 「ふん、まあ君の信念がどうだろうと知ったこっちゃないが…まずは目の前の危険に気をつけることだね」 バラを振るい...
  • 短編
    第一部ゼロの外道な初代様 逃亡した使い魔(スピードワゴン) 閃光の紳士 第二部ゼロのテキーラ酒売り シュトロハイムの野望・将星録 教師な使い魔 第三部アブドゥルさん放浪記 ゼロのタバサ(DIO) ゼロの剣 いただきマサクゥル 割れた世界 第四部ゼロの料理人 吉良 老兵は死なず(ジョセフ) シアー・ハート・アタック 望みの使い魔(トニオ) 少女よ、拳を振れ 紙・・・? うしろの使い魔 収穫する使い魔 茨の冠は誰が為に捧げられしや 茨の冠は誰が為に捧げられしや 『魅惑の妖精亭』編 猟犬は止まらない 第五部ペッシ ブラックサバス アバッキオVSギーシュ ギーシュの『お茶』な使い魔 鏡の中の使い魔 本当に良くやった使い魔(殉職警官) ゼロの鎮魂歌――黄金体験(GER) ゼロのチョコラータ 絶望の使い魔(チョコラータ) しぇっこさん 永遠の使い魔 死にゆく使い魔(カルネ) 王の中の王 -そいつの名は...
  • 第二話 カオスは大変なものを残して行きました
    ... 新ゼロの変態第二話 カオスは大変なものを残して行きました 「いやホントすいませんね。待たせちゃって。」 「いーんじゃよ!いーんじゃよ!しょうがないって!」 鼻にティッシュを詰めたオスマンが答える。 「で・・・話とは?」 「教えておやりなさい、石のゴーレン君。」 「『ディオガ・ゴルゴジオ』!!・・・君の左手のルーンのことです。」 「・・・これか?」 包帯を取って左手を見せるメローネ。 「はい。その模様が問題なのです。変わった模様だと思い独自に調べた結果・・・」 鼻にティッシュを詰めたコルベールが続ける。 「伝説の使い魔『ガンダールヴ』のものと同じだったんだよ!!」 「な、・・・そうなんだ。」 「えぇ。ガンダールヴはありとあらゆる武器を使いこなしたと言われ、『神の盾』とも呼ばれています。」 「あらゆる武器を使いこなすねぇ...
  • 逆に考える使い魔-5
    いまだに私に目を向けないマンモーニは金属…おそらく青銅…の人形を作り出した あれを操るらしいが、何も支持されていないのか、微動だにしない 私はこれ幸いと人形の横を擦り抜けて… 【逆に考える使い魔】 「僕は魔h「蹴り穿つ!」ぉつべらッ!?」 何をしたか? 簡単だ、容赦無く[コークスクリュー式ボディストレート]を叩き込んだ! 風車のように回転しながら水平に飛んでいくマンモーニ… お?気絶しなかったか!やるな! よし!マンモーニからフラレ虫に格上げしよう! 「ひ、卑怯な…」 フラレ虫が悔しそうに唸るが、相手にしない! 「馬鹿者!決闘者が相対した時点で闘いは始まっているのだ!」 うむ、格好良い!流石は私だ 「ところで…だ、君は私に『お仕置き』をする…と言っていたね…、それは無理な相談だな… ...
  • DIOが使い魔!?-27
    DIOの……いや、自分の部屋に戻ったルイズは、ドアをバタンと閉めた。 後ろ手で鍵をかける。 部屋の奥の窓際に立っているDIOを見つけると、ルイズは虚ろな目をしてフラフラと誘われるようにDIOの方へ向かった。 カーテンが閉められた窓際に立つDIOは、自分の左手をルイズに差し出した。 その手は先程のギーシュの血で、真っ赤に染まっていた。 幾分か固まってはいるものの、鼻につく鉄の匂いが辺りに立ち込めている。 ルイズの目は、その左手に釘付けになっていた。 ハァハァと荒い呼吸をして、頬をほんのり上気させているルイズは、途端にガクリと膝をついた。 我慢も限界といった風にDIOの左手に手を添えると、ルイズは自分の小さな舌を、その血に染まる左手に這わせた。 「ハァ…ンゥ…チュ…フッ」 ピチャピチャという、淫らな水音が部屋に響いた。 だが、そんなことはお構いなしに、ルイズは陶酔し...
  • スターダストファミリアー
    ■ 第一章 魔法の国・ガンダールヴ ├ 契約! クールでタフな使い魔! その① ├ 契約! クールでタフな使い魔! その② ├ 学院! メイジとメイド その① ...
  • ゼロいぬっ!-18
    ゴーレムが折れた大木を掴む。 それが錬金によって瞬時に鋼鉄へと変わる。 巨人より放たれる規格外の投擲槍。 それをバオーはデルフリンガーで迎え撃つ。 衝突する鋼と鋼。 雷に打たれたように火花を散らしながら裂ける幹。 二つに分かたれた鉄の樹木がバオーを避けて背後の木に突き刺さる。 その直後に振り下ろされる巨人の足。 どんな流派、どんな剣技であろうとも剣を振った直後は隙となる。 ましてや体全体を使うのなら尚更だ。 それを狙い澄ましての一撃。 だが、それも今のバオーには通用しない。 飛び退きながら繰り出されたバオーの前足とゴーレムの足が交差する。 地響きを立てて地面に落とされた足に鋭い傷跡が刻まれる。 それはバオーのセイバー・フェノメノンによるもの。 刀身が短い為に深くは切れないがデルフリンガーとは切れ味が桁違いだ。 ...
  • パラレル座談会
    勝ち組の宴とその裏で F・Fギーシュ「GJ!決闘フラグ回避!僕よ、さぁっいこぉうにGJ!!」 星屑ギーシュ「漢化フラグ成立!!このまま彼の大魔導士の如く第二の主人公に!!」 偉大フーケ「ありがとう、ありがとう、ミス・ヴァリエール!!お帰りなさい、私の美貌!」 奇妙ルイズ「やったわ!!反抗もしないし、勝手にギーシュを殺したり人間やめずに済む最高の使い魔よ!」 奴隷ギーシュ・絶頂フーケ「おめでとう、おめでとう皆!」 吉良フーケ「うぅらぁぎりぃもぉのおぉ!!」 兄貴ギーシュ(故)「恨めしい!憎らしい!妬ますぅぅいいぃぃ!!」 DIOギーシュ「番鳥ギーシュ、君も一緒に、この特製ワラ人形に五寸釘を打ち込むんだ!」 番鳥ギーシュ「僕の金槌が黒く染まる!貴様を憎めと轟き吼える!!」 ~混沌……というか、他にどう言えと~ DIOフーケ「スプーはイヤ拷問はイ...
  • 第十二話 『帽子旋風』
    第十二話 『帽子旋風』 事件は昼時のシエスタの一言から始まった。 「ウェザーさんって帽子をお脱ぎにならないんですか?」 厨房にいるウェザーに会いに来たキュルケとそれを止めに来たルイズと流れで連れてこられたタバサはたまたまそれを聞いてしまった。 イタリアのとある医者はこう言った。 『好奇心が強いから人間は進化した』 その言葉が示す通り、彼女たちの好奇心が鎌首をもたげた瞬間であった。 「確かにウェザーが帽子を外したところを見たことないわね」 「フーケに泥々にされても洗って舞踏会に被ってきてたわよ」 「頭に秘密が?」 額をくっ付けひそひそ話をする辺り年相応の仲の良い女友達と言った感じだ。 「まさか・・・禿げてるとか?」 「やめてよねルイズ!あるわけないじゃない!」 「だけれど不自然。あれだけ激しく動いても外れなかった」 「確かに、ただの帽子ならとっくに外れてるわ...
  • ゼロと奇妙な隠者-22
     ゼロと奇妙な隠者・幕間劇、もしくは。  キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの憂鬱  フリッグの舞踏会も終わり、学院には宴の後特有の弛緩した静かな空気が流れていた。  我らが『微熱』のキュルケも、そんな空気に当てられたか、深夜だというのに自室のベッドの上で一人、ヘビードールを纏って寝転んでいるだけだった。 「きゅるきゅる」 『今夜は誰かと同衾しないんですか』と暖炉の中から問いかける使い魔。明日は雨だな、とサラマンダーであるフレイムは憂鬱な気分になった。 「あー……今夜はいいかなって思ってるのよねー。ちょっと思うところあって」  月の物でないことは重々承知している。まあ月の物の真っ最中だろうがこの主人は構わず生徒を食っちまう点があるというのに、体調のいい時分に一人寝を選んでいるというのはかなり珍しいことである。  今の...
  • 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』前編
    ギーシュの奇妙な決闘 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』 「…………」 「はい! 才人、あーん♪」 「……だが断る」  香水のモンモランシー、という乙女がいる。  水の秘薬作りに長けたメイジであり、その方面に関しては同年代の中で一番だといっても過言ではない。  学生と言う身分でありながら、その製薬技術は卓越した者があり、上級生にも引けを取らないだろう。  魔法のエリートが集うアカデミーなどから見れば、問題にすらならないレベルではあるのだが。 「…………」 「ふえ!? さ、さいと……? 私の事、嫌いになっちゃったの!?」 「……冗談だよ冗談」  ギーシュ・ド・グラモンとは深い仲であり、彼と才人を中心とした騒ぎにもかなりの割合で関わっている。  そのため、結構異常事態と言う奴に対する耐性が備わっていらっしゃるのだが。 「…………」 ...
  • ゼロと奇妙な隠者-51
    「うん。こりゃ無理じゃな」  昼下がりの厨房の片隅でシチューを飲み干して、ジョセフは二秒で言い切った。  ウェールズに言った通り、奇跡が二つか三つは用意できない限りトリステインはアルビオンの脅威を払拭できない。  孟子曰く、天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず。  つまり天のもたらす幸運は地勢の有利さには敵わず、地勢の有利さは人心の団結に敵わないという事である。  今のトリステインには天の幸運も地勢の有利さも人心の団結もない。天地人三つで惨敗している以上、結構な数の都合のいい奇跡を用意しなければならないが、いくらジョセフでもそんな都合よく奇跡を用意できるわけではない。  それでも一応、大言壮語を吐いてしまった以上は何かしら奇跡が用意できないか、と情報を集めてみることにした。  アルビオンの地理的条件やレコン・キスタ戦の顛末をウェールズに聞き、オスマンに...
  • 砕けない使い魔-12
    「…フンッ なんか知らないが!  知恵をつけたサルのように自信を持ったものだなァ――使い魔君ッ」 血だらけなのにひるむ様子を見せない仗助にすこしたじろいだギーシュだったが 自らの勝ちは揺らぐまい! その確信は変わらなかった 「…やってみろよぉ――『レビテーション』をよ…グラモンさんよ…」 「そうか反省したいか! ならばくらえ『レビテーション』ッ」 ギーシュは杖を振り上げて自ら編み出した必勝パターンに再びハメようとした …はずだった! たしかに奴に魔法はかけた 浮き上がるレビテーションの魔法をだ そしてたしかに浮かび上がっていった… 事実だけ見ればその通りだった 一瞬、浮かび上がったのをギーシュも確かに目撃した だが次の瞬間 仗助はそこにいなかった 何があったか、すぐに検討のついたギーシュだったが! 「…バカなッ」 キュルケとの戦いであ...
  • メニュー
    目次 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 トップページ メニュー 更新履歴 各部キャラ トリップ一覧 第一部 使い魔波紋疾走(ジョナサン) 逆に考える使い魔(ジョージ) 仮面のルイズ 使い魔は勇者(ブラフォード) ジョジョとサイトの奇妙な冒険(ジョナサン) おれは使い魔になるぞジョジョー!(ディオ・ブランドー) 第二...
  • 第六章 土くれと鉄 ~あるいは進むべき二つの道~-2
    朝の光を感じて、ルイズは眼を覚ました。眠い眼をこすりながら身体を起こす。 そこで違和感に気づいた。リゾットはどうしたのだろう? リゾットを使い魔にしてから、彼が寝坊したことは一度もない。 毎朝、最初に見る顔がないと何か落ち着かない。そう思ってルイズが見ると、リゾットは定位置に座り、まだ寝ていた。非常に珍しい。 リゾットがここに来てから、ルイズは彼の寝顔を見たことがないくらいなのだ。 「使い魔がご主人様より遅くまで寝てるなんて…」 ぶつぶつ言いながらベッドから降りようとして、ルイズは顔をしかめた。 だいぶ治ったが、まだアヌビス(という剣らしいと後で聞いた)に操られた時の筋肉痛が残っているのだ。 最初はもっと酷かった。歩くだけで激痛が走り、何度も泣きそうになった。だが、その痛みは仕方ないと受け入れた。 悪くすれば筋肉痛どころか永遠に意識が戻らず、殺人鬼になってい...
  • 8 男の矜持 中編
     血と肉が飛散し、骨が宙を舞った。  戦斧の勢いはそれだけに止まらず、勢い余って地面を抉り、土の中に潜んでいた岩までも打ち砕く。  苛烈にして強烈な一撃は、人間を容易くミンチに変えてしまう。  そんな攻撃を、なんとか後ろに飛ぶことで回避したキュルケは、嫌な予感はこれだったのかと今更に思い出して、恐怖に引き攣る頬を指で揉み解した。  馬の頭部が、見事に粉々になっている。一歩遅ければ、キュルケが身をもってアレを再現していたことだろう。 「馬鹿力ね」  技術も何も無い、ただ力任せに振るうだけの雑な武器の扱い方だ。しかし、その結果として十分以上の破壊を撒き散らせていることを思えば、小手先の技なんてものは無力だと実感せざるを得ない。  果たして、自分で勝てるのか。  戦う力が十分とはいえない仲間達の命を背負ったキュルケは、後ろ手に杖を握って喉をごくりと鳴らした。 「き、キュルケさん...
  • 反省する使い魔!-12
    反省する使い魔!  第十二話「無尊敬な過去、そして香水」 「なんと、お主意外のスタンド使いが………!」 「ああ、なんとか撃退したがな………」 アヌビス神との激戦から勝利した次の日、 時間にして午前11時頃、音石は学院長室でオスマンに 昨日、武器屋での出来事を報告していた。 当たり前だが、来たときに部屋に同席していた コルベールとロングビルには退席してもらっている。 「ふ~む、他人を操る剣のスタンドとはのぉ~~ して、その後ミス・ヴァリエールはどうしたのかね?」 「タバサのシルフィードで学院に戻る最中に無事目ぇ覚ましたよ 筋肉痛で元気な悲鳴あげるたくらいだ。問題ねぇよ」 「ふむ、それを聞いて安心したわい。 しかしわからんのぉ、そのアヌビスというスタンド。 君のようにサモン・サーヴァントで 呼び出されたわけでもないのに、 なぜ君の世界地球から...
  • ゼロの兄貴-11
    「………きー」 突如武器屋の中でどこからか声がした 何故に武器屋なんぞに居るかというと シエスタに連れられ厨房裏で食事を取りマルトーから自分が平民達から 『我らの剣』などと言われている事を知った後食堂でまたしても暗い|||線を作っているルイズを発見した。 そりゃあもうその場にプッチ神父がいたら間違いなくハイウェイ・トゥ・ヘルを選択するだろうと言わんばかりの状況だッ! 「…朝から調子の上がり下がりが激しいヤツだな」 「その原因作ったのはあんたじゃないのよぉ…」 もう今にもヤケ酒大会Part2に発展しそうな状況を見たキュルケが昨日の二の舞は御免だと別の話を切り出す。 「ほ、ほら、今日は虚無の曜日なんだからダーリンに城下街を案内してあげたいんだけど」 「頼むからその呼び方は止めろ…プロシュートでいい」 「それはお互い名前で呼び合う関係...
  • 『女教皇と青銅の魔術師』-10
    オスマン師は完全に意識がないサイトを見る。 コルベール先生が傍らでぼそぼそと説明している。 「…あれが例のガンダールヴでございます…」 (…ガンダ…何?私の知らない間にまた何かサイトがやらかした?) ひやり、と背筋が凍る。 (ああもう何でこんな奴が使い魔になったんだろう!) 師の視線がサイトからこちらに移る。とりあえずコレの追求は後回しのようだ。 目撃情報を伝える。ゴーレムの特徴、大きさ、破壊力… ゴーレム自体は今も逃走中であり、数人の追っ手が張り付いている。 あの程度のスピードならばじきに包囲網が完成するだろう。 と、そこにずっと沈黙を守っていた(といってもこの子はこれが普通だ)タバサが口を挟んだ。 「お待ちくださいオスマン師。  現在犯人と思われる人物はゴーレムとは別行動しております」 その場にいる全員が驚く。私だって聞いてない。 「ゴーレムが逃亡する際一...
  • 味も見ておく使い魔 第八章-02
    「大丈夫? タバサ」ルイズが改めてタバサに問いかけた。タバサの周りには、かつてイザベラであった塵が舞っている。  いまさっきまで敵対していたとはいえ、実の従兄弟が死んだのだ。普通の精神ならば、いくらか精神に変調をきたしてもおかしくないはずだった。  だが、タバサは、 「大事無い。それよりもあなたたちの傷の治療をしなければ」  そういいきり、淡々と杖を振った。が、ルイズにかけられた治療の速度がいつもと段違いに遅い。それは、 「タバサ。それはイザベラの杖よ」  タバサが振った杖はイザベラの杖であった。あわてた風に取り替えるタバサ。  ようやくルイズの治癒が終わるころ、気絶したはずのキュルケから苦痛の吐息が発せられた。どうやら彼女の意識が回復したようであった。 「大丈夫、キュルケ?」  立てる? と問いかけたルイズだったが、キュルケは目を開き、気丈に微笑んで見せる。 「ええ、...
  • 第五話(15) 恋人の資格
     第五話(15) 恋人の資格 「助太刀するぞ、マリコルヌ!」 FFが指で銃の形を構える。 「いいや、手を出さないでくれ!これはルイズの誇りをかけた決闘なんだッ!僕一人でやる!」 それをマリコルヌは断ったが、対するワルドは苦笑する。 「馬鹿が、貴様のような肥満体に何ができる。手伝ってもらえばよかったものを…。 僕は実力の四分の一も出す必要がないと踏んでいるね。さあ、かかってこいよ!」 ワルドは余裕綽々に挑発する。 (先程肥満体が言っていた、『ルイズはまだ初めてを失っていない』発言もどうせはったりだろう。 もし本当だとしても、肥満体の息の根を止めてしまえば真相は闇の中だ。 ルイズはついてこざるを得なくなる。そして二度目をしてしまえばいいのだ。 二度目なら二度目でいいし、その二度目が初めてでも、それが終わった時点では初めては既に失ったことになる。...
  • 7 働く悪魔、働くメイド
    7 働く悪魔、働くメイド こんなに不味い食事は初めてかもしれない。隣に置いてある薄いスープの味がうつったのかと思えるほどだ。 ルイズはのろのろと食事を摂る。食堂の入り口をチラチラと見る。生徒が出入りする。教師が出入りする。 メイドが出入りする。彼女の使い魔を伴って。ナイフとフォークを置き、思わずそちらに首を向ける。 使い魔とメイドは楽しそうに――メイドが笑っているだけで、男はいつもどおりの無表情――話しているのが見て取れる。 呼びかけようとして気づいた。まだ男の名前も知らない。最初に自己紹介の一つもしなさいよ!使い魔なんだから!理不尽な怒りに駆られる。 男がこちらを向く。ルイズも男を睨む。男は目を逸らし、窓の外を見ながら歩いてゆく。メイドと使い魔は厨房に入っていった。 不味い食事が更にまずくなった。 厨房でまかない料理でも食べているのだろう。男は...
  • 味も見ておく使い魔-26
    アルビオン浮遊大陸。 正午まで後三十分。 ニューカッスル城下で…  アルビオン王国軍、最後の工兵小隊の残余、およそ十名が城壁の一角に群がり、城壁にかけられた『固定化』の魔法を解除していた。 城門の右方、およそ二百メイルの位置である。 彼らの背後、練兵所前の広場には砲兵を除いたアルビオン軍の全兵力が集結していた。 この二百余名は、全員騎馬上にある。 メイジは杖を、そうでないものは槍を抱えている。志願した平民も混じっている。 中には初めて馬に乗るものもいるらしく、熟練した者に手綱捌きを教わっていた。 頭上には、断続的に砲弾が飛翔している。 ニューカッスル城の砲兵が城壁に取り付けられた砲で試射を行っているのだ。 雲が出ている。が、晴天に近い。 ウェールズは天候をもう一度確認すると、ひそかに気合を入れ直した。 貴族派の空軍は、半島の反対側から楽しそうに嫌がら...
  • 第十四話 『Re:決闘日和 ~Blind Spot~』
    第十四話 『Re:決闘日和 ~Blind Spot~』 港町ラ・ロシェール。狭い峡谷の間の山道に設けられた小さな街である。 人口は三百人程度しかいないが、アルビオンへの玄関口として常に十倍以上もの人々で賑わいを見せている。 立地条件から昼間でも薄暗いのだが、裏通りのさらに奥深く、日の光から逃れるかのようにして一軒の居酒屋が存在する。 その『金の酒樽亭』には酔っぱらった傭兵や、カタギとは縁遠い輩がたむろしている。 しかしそう言った連中しか開かないはずの扉が、今日に限っては違った。 はね扉を開いて現れたのは白い仮面にマントの長身の男と目深にフードを被ったやはり長身の女だった。 男は女に奥の席に行くよう指示をすると店主と話し始めた。女は少し覚束ない足取りで席にたどり着くと身を縮めて座った。 酔っぱらった男たちは目配せをすると女の席に近づく。 「お嬢さん、連れが...
  • 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』前編
    ギーシュの奇妙な決闘 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』前編 「……?」  扉の向こうから聞こえ始めた喧騒に対する承太郎の反応は早かった。  ギーシュ達を片手で制して会話を切り上げ、ジョリーンと共にソファから立ち上がってオフィスの外へ出る。  呼ぶまでもなく隊員の一人がすっ飛んできて、承太郎達の前で敬礼した。 「何があった?」 「隊長! ミスタ・ポワチエが、来客と共に逃走しました!」  来客。という事は、ギーシュの連れの誰かという事か……クラウダ・ド・ポワチエは犯人でこそないが、犯人逮捕の為に必要不可欠な人間だ。  それに苦もなく逃げられると言う大失態は、普通ならば叱責すべき事態だ。  だが、承太郎はそんな事をしようとは思わなかった。彼は自分の部下たちを信用していたから、何か理由があると感づいたのである。 「客を人質にでも取られたのか?...
  • 第十五話『土くれを撃て』
    第十五話『土くれを撃て』 人気のない夜の森、場違いな巨人がそこに立っていた。 眼前のゴーレムにキュルケは不覚にも恐怖した。 命を奪うものに対する本能的な恐怖―― 本能を怒りが塗りつぶしていくのに、二秒とかからなかった。 怒りが闘争本能を呼び覚まし、次の瞬間には憤怒の炎が敵に躍り掛かる。 炎は届かない。既にゴーレムの左腕が遮っている。 ゴーレムはその勢いで腰を捻り、反対の腕を振りかぶる。 キュルケにはその動きが随分とゆっくりに見えたが、 それは飽くまで人の大きさであればの話であり、その拳速は―― ゴーレムの拳は地面をまるでバターのように削り取った。 間一髪、キュルケは咄嗟に地面に転がって回避する。 しかし、その拳圧で吹き飛ばされた小石で足を痛めてしまう。 痛みはあるが、すぐ近くにいたルイズのほうが気にかかる。痛みを意に介し...
  • 第五話 『灯(ともしび)の悪魔』
    ギーシュの奇妙な決闘 第五話 『灯(ともしび)の悪魔』  トリステイン魔法学院から徒歩で一時間ほどの位置にある、一軒の屋敷。昨日までは『モット伯の屋敷』だと表現できた屋敷なのだが今では過去形で表現しなければならないだろう。  主が死亡し、使用人が全員行方不明という状態では、屋敷と呼ぶのもおこがましいだろう。モット伯の死に様の壮絶さを考えると、たと領地の整理が終わったとしても、この屋敷に住もうなどと考える貴族はいないに違いない。  今は内装が豪奢で綺麗なだけの、『空き家』。  数日もすれば内装品の全てが処分され、後数年もすれば、立派な廃屋になる事だろう。  貴族がここまで凄惨に殺害された上に、使用人全員行方不明。  前代未聞の大惨事に王室は揺れに揺れた。是が非でも犯人を捕らえなければ、王室の権威に傷が付くとして、捜索に少なくない数の騎士達が借り出されたのだが。  なにせ、事情を知る使用人...
  • 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』後編
    ギーシュの奇妙な決闘 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』後編  緩慢な動きで振り向けば、廃屋の入り口で、肩で息をする少年が一人たたずんでいた。  途中で転びでもしたのだろうか? 頬やヒラヒラした飾りのついた服には汚水がべったりと張り付いていたが……その相貌に、クラウダは見覚えがあったのだ。  確か、以前に父親と一緒に参加したパーティで見た覚えがある……!  少年は、廃屋に踏み込みながら息を整え、ポワチエの傍らに立つと、朗々と告げた。  先程、『J・ガイル』と因縁のある人物から教えられた、痛烈な皮肉の効いた台詞を。 「敵を討つときは、こういう台詞を口にするべきです。  『我が名はギーシュ・ド・グラモン。我が愛しき人の姪の安らぎのため、志半ばで散った若い薔薇の無念のため! J・ガイル! 貴様を地獄へ叩き落してやる!』とね」  ギーシュ・ド・グラモン...
  • ゼロのスネイク-10
    10話 前編 月明かりが雲に隠れたのを見計らって、一人の男が音も無くトリステイン魔法学校の敷地に踏み入った。 いや、「踏み入った」と表現するのは正確ではない。 何故なら男は、敷地の土を自身の足で踏むことなく、「レビテーション」でも使っているかのように、 空中を滑るように渡って、学校の校舎の壁に取り付いたからだ。 その姿は、さながら自分が張った糸をするすると渡って移動する、蜘蛛のようであった。 無論、壁に取り付いた瞬間にも音は一つもしない。 吸盤へと変形した彼の両手足の指紋が、接触時の音を吸収したのだ。 そして自分が壁にしっかりと取り付き、誤って落っこちるなどということがない状態になったことを確認すると、 その男――ラング・ラングラーは、自分が受けた依頼の内容を反芻した。 シェフィールド、と名乗ったあの女がラングラーに依頼したこと。 それ...
  • ゼロのスネイク-10 前編
    10話 前編 月明かりが雲に隠れたのを見計らって、 一人の男が音も無くトリステイン魔法学校の敷地に踏み入った。 いや、「踏み入った」と表現するのは正確ではない。 何故なら男は「レビテーション」でも使っているかのように、 空中を滑るように渡って学校の校舎の壁に取り付いたからだ。 その姿は、自分の糸を伝ってするすると移動する蜘蛛のようである。 彼が壁に取り付いた瞬間にも音はしなかった。 吸盤へと変形した彼の両手足の指紋が接触時の音を吸収したのだ。 そして自分の手足が壁にしっかり取り付いたことを確認すると、 その男――ラング・ラングラーは、自分が受けた依頼の内容を反芻した。 シェフィールドと名乗ったあの女がラングラーに依頼したこと。 それはこの魔法学校からある生徒を拉致することだった。 ちなみに、頭がまともな人間ならこんな依頼は普通しない。 トリス...
  • 第八話 『STAND BY ME!』
    ギーシュの奇妙な決闘 第八話『STAND BY ME!』  夜天に双月が輝き、星が瞬いて大地を照らす頃……昼間の騒ぎで疲れた生徒達が深い眠りに落ちていたのとは対照的に、トリスティン魔法学院学院長オールド・オスマンは精力的に動いていた。  オールド・オスマンは、久方ぶりの書類仕事で疲れた眼をしょぼつかせつつも、その手を休めようとはしなかった。  王室への報告書や騎士団への出動要請、『灯の悪魔の筒』の管理追求等……書かなければならない書類は山ほどある。そしてそれらは早ければ早いほどいい。  こうしている間にも、『土くれ』は逃げ続けているのだ……最早、自身の責任問題のためにもがいている場合ではなかった。  一刻も早く体制を整え、フーケを捕らえなければならない。  姫殿下を巻き込んだ事を考えれば、これらの書類が受理されるのは早いだろうが……それでも、半日程度の時間はかかるだろう...
  • 第二十三章 惚れ薬、その終結
    第二十三章 惚れ薬、その終結  授業が終わった後の風の塔の踊り場にルイズの声が響いた。 「見つからないってどういうことよ!」 「言葉通りの意味だよ。解除薬は見つからなかった」  フーケは少し億劫そうな声で答えた。トリスタニア中の闇魔法屋を回ったため、疲れたのだ。 「念のため、材料についても探してみたんだけどね。どうしても必要な水の精霊の涙が入荷されなくなってるらしいよ。何でも、ラグドリアン湖に住んでる水の精霊たちと最近、連絡がとれなくなっているって話でね」 「何で?」 「さあ、そこまではわかんないね。でも、入荷は絶望的らしいよ」  人一倍真面目に知識を蓄えてきたルイズは水の精霊の涙についても知っていた。水の精霊の涙と言うのは、実際には涙ではなく、水の精霊の身体の一部である。 「それじゃ、タバサを元に戻せないじゃない……」  ルイズは肩を落とした。リゾットの前で「解除薬...
  • ゼロと奇妙な隠者-28
     風景を薄っすらと染める朝もやの中、ジョセフ達は馬に鞍をつけていた。  三人とも普段通りの格好をしているが、長い時間乗馬し続けなければならないということで、普段の靴ではなく乗馬用のブーツを履いていた。  距離があるにせよ、さしたる不安はジョセフにはない。  一睡もせずに主従揃って侃々諤々の大討論を繰り広げたものの、部屋を出る前に波紋をルイズに流したので、彼女からは十時間熟睡して目覚めた朝のように眠気も疲労も消えている。  デルフリンガーは意外と長尺の剣なので背中に背負うか腰に差すか悩んだが、利便性を考えて左腰にぶら下げることとなった。 「ところでジョジョ。僕も使い魔を連れて行ってもいいかい」 「なんじゃギーシュ、お前も使い魔なんか持っとったんかい」 「そうでなかったら僕も進級出来てないじゃないか」 「そう言えばあんたの使い魔って見た事がないわね。なんだったっけ?」  ルイ...
  • 第二十三話 『亜熱帯の夜』
    ――――――前略お母さん 大分天気も安定してきて過ごしやすくなってきましたね。タルブ村では良い風が吹く頃だと思いますが、穀物の育ちは良いですか?弟妹たちは元気にしてますか? お父さんもお仕事大変だろうけど、疲れたときはヨシェナヴェを食べて元気を出してください。それと、まだひいおじいちゃんのかたみはちゃんとありますか? なんだかんだであれがないとタルブ村は落ち着かない気がします。 こっちはタルブ村よりも暑くてお仕事も大変だけど、楽しい人たちばかりで辛くはないです。貴族様にお出しするような料理もいくつかおぼえました。 ・・・材料がないけど。 料理長のマルトーさんは気のいい人だし、他のみんなも優しいです。この間みなさんにヨシェナヴェを作ってあげたら好評でした。でもやっぱり故郷の味には勝てません。 それと最近気になる人が出来ました。いつか一緒に挨拶に行けたら・・・なーんて。きゃ、わたしったら! と...
  • 第二十八話 『虚空の中の虚無』
    第二十八話 『虚空の中の虚無』 機銃の唸る音とともに最後の竜騎士が墜落していく。その様子を確認したウェザーとルイズはゼロ戦をゆっくりと旋回させた。 空の上からだと、東の山の向こうから星が夜と共に空に上がってきていて、西の夕日はその明るさを徐々に隠し始めているのが見える。 「初夏で助かったな。日が長い」 暗くなるまでに決着をつけないと敵に引かれて体勢を立て直されてしまう。 ゼロ戦対策をうたれてはもはや空の脅威を排除する術はトリステインにはないだろう。 ただ蹂躙されるがままに任せるしかなくなる。 そうなる前に、 「ケリをつけるぞ!」 操縦桿を起こしスロットルを全開にして旋回から一気に直進させる。 向かう先はもちろんアルビオン艦隊旗艦『レキシントン』号。 今もなお休むことなくラ・ロシェールに激しい砲撃を浴びせかけていた。そこにはトリステイン軍が――――アンリエッタがい...
  • 第二十六話 『プリンス・オブ・ウェールズ』
    それはいつかの会話だった。 「ねえウェールズ様」 アンリエッタは居室の机に向き合って座るウェールズに言う。 「どうしたんだいアンリエッタ?」 「ニューカッスル城が貴族派の総攻撃を受けたって聞いたとき、わたくし、あなたがもう死んじゃたかと思って泣いてしまったの。  だから今こうしてウェールズ様と向かい合ってはなせているのが不思議で・・・本当にもう二度と会えないと思っていたから、嬉しくて仕方ありませんの」 アンリエッタは感極まったように涙を流しながら笑っていた。ウェールズは席を立ちアンリエッタの前に立つとその震える肩を抱きしめた。細い、か弱い肩だった。 「すまなかったねアンリエッタ・・・僕にもっと力があれば君を悲しい目には遭わせないのに・・・どんなことからも守ってみせるのに・・・僕にはその力がない」 「ウェールズ様・・・・・・」 ウェールズの腕の力が強まる。悲しく震えている。...
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