七不思議探究会
ここは某市立の中高一貫校。「ボク」は今年、この学校の中等部に入学した。
創立100年を超えるこの学校には「アレ」が存在する。
そう、どこの学校にでも必ずと言っていいほどある「怪談」だ。
怪談はこの市立校でも人々の目に留まり、耳に入り、口々に「噂」として伝えられる。
ボクはこの度一つのクラブを立ち上げた。その名は――七不思議探究会。
部員は現在ボク一名のみ。放課後になると誰も入って来ないらしい一室を間借りさせてもらっている。
クラブ申請の際、部員不足を理由に許可が下りなかった為、今は非公式のクラブだ。
でもその内、必要な人数が揃えばまた申請を出すので、先生方にはどうか大目に見てほしい。
クラブ名を「七不思議」としてはいるが、この学校は長い歴史をもつ分、怪談の類も相当な数がある。
聞けば七不思議と怪談の線引きが曖昧になって久しいらしく、
今となってはどれが本当の七不思議なのか、それを知る人はもうこの学校にはいないという。
なので、当分の間はこれらを調査して本当の七不思議を見つけ出しつつ、
その過程で寄せられてきた怪談と噂の究明にも当たる、というのが主な活動となる。
……なぜ入学したてのボクがそんなに色々詳しいのか、だって?
実は、ボクの知り合いにこの手の話をよく持ってくる上級生がいて、
今回もまた、その人からの依頼なのだ。
いかにも体を動かすのが好きそうで明朗快活なその人は、現在新聞部に所属している。
夏の間と文化祭で出す新聞記事のネタにする、と言われているので
ボクとしてもこの春の内に一つぐらいは七不思議を見つけ出したいと思っている。
さて、では先輩の寄こしてきた記念すべき一つ目の噂の究明に乗り出そうと思う。
『一枚だけの合わせ鏡 ~鏡面世界との邂逅~』
ご丁寧にタイトルを書き添えるとは。最初から記事にする気満々か、あの人は。
でも、ま。先ほどから気にはなっていたのだ。この空き教室には明らかに似つかわしくない
教室の壁際のスペースにでんと陣取っている一枚の姿見。
寄せられた噂の内容から察するに、大かた生徒の誰かが姿見の前に立った時に
目の錯覚で自分の姿がぶれて見え、背後に誰かがいるように錯覚したとか、
噂の広がり始めの段階で面白がってここに来た複数人の生徒たちが、
自分たちの頭数を数え間違えて一人多いと勘違いし、
大袈裟に騒ぎ立ててここまでの事態になったとか、そんなところだろう。
先輩には悪いがこれもまた枯れ尾花なのだろう。いつものことだ。
――そう、いつものこと。だから、ボクの後ろに「ダレカ」がいたように見えたのだって
ただの枯れ尾花、の、はず……。
―――七不思議探究会会員No.001「ボク」の活動記録より
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最終更新:2016年09月15日 08:12