生ける屍。
それを構成する肉体は生命活動を停止したとされるのにも関わらず、何故か動き続ける存在の総称。
間違えられることもあるが、不死種という種族は存在しない。
よく知られるのは、『蘇屍《ゾンビ/Zombie》』や『屍喰鬼《グール/Goole》』、『吸血鬼《ヴァンパイア/Vampire》』等。
食性によって、主に肉食の『喰貪種』と主に吸血の『吸血種』に分けられる。
その正体は、
審判の日以降激変した地球の環境が原因で突然変異した、雑多な生物の個体群である。
無論、それには人間も含まれ、一般的に不死種としてイメージされるのは、人間が変貌したものである。
喰貪種は、
次元の乱れが魂への通路に影響したことで、余剰の分だけでなく、
体内の生命力までもが
霊力に変換されてしまった生物である。
傍目に見ると肉体は死んだ様に見えるが、実際は、生きる為に必要な生命力の殆どが、
生み出される側から霊力として上位次元に転移してしまっているだけで、一応生命体としては存続している。
但し、残った生命力だけではとてもその種としての機能は果たせず、
この状態では、生存本能に根差す恒常性によって、
霊力に変換しきれない程の生命力を生産すべく新陳代謝が異常に活性化する。
為に、身体の至る所で細胞が癌化に近い形で変容を来たし、
脳幹と小脳、反射レベルの反応を司る原始的な神経系を残して、脳や他の神経は傷付けられ壊滅している。
身体的にも、筋肉や内臓はその機能を徐々に果たさなくなり、乳酸の蓄積等によって次第に崩壊していく。
また、代謝の為に必要な栄養素を補い、或いは外部から直接生命力を取り込む為に、
喰貪種は捕食行動を最優先の行動原理とする様になる。
更に、捕食の際、捕食対象の魂への通路に捕食者の次元の乱れの影響が伝播することもあり、
その場合、通路を制御して安定化させられなければ、
何れ捕食対象も生命力が霊力に変えられていき、喰貪種に変貌する。
一方、吸血種は、生命力が極端に過剰に存在する環境に置かれた結果、
肉体が生命力を生産せず、周辺からそれを取り入れて代替する様になった生物。
例えば、
オールグリーンの生い茂る木々の中では、その溢れんばかりの生命力に頼ることで、
身体が生命力を生み出さずとも生命を維持出来てしまう。
エルフ種は、生命力と近い
マナによる代謝機能と従来の肉体の活動を合わせ持っているが、
吸血種は純粋に周辺から取り込む事しか出来ない。
生命力を生産しないということは、新陳代謝が発生しない、
つまり身体の凡ゆる細胞が活動を停止するということでもあるので、
吸血種になると基本的に肉体の老化が進行しなくなる。
また、肉体のほぼ全ては、生命力制御による代謝の操作によって、
生命力のある限り無限に再生が可能である。
例外は脳で、これは、生命力を生産しない肉体にあって、
唯一つの生命力を制御している器官であるから、 破壊されると普通の生命体と同じく死亡する。
吸血種の特徴である吸血は、生命力を体内で運ぶ乗り物である血を取り入れ、それを体内に蓄えることで、
生命力の過剰な環境から離れての活動を可能とする為の行為であり、
唯生存するだけならば、オールグリーンの中で暮らし続ければ問題はない。
また、血を吸うのは飽くまで手段の一つであり、食物の摂取によっても生命力は蓄えられるが、
食物を消化して栄養素にし、代謝を通じて生命力に変換することが出来ないので、
食べたものは後で吐き出さねばならず、蓄えられる量も極僅かである。
また、吸血行為によって血を吸われた者は、血管等に付着した吸血種の『代謝しない細胞』が、
周辺の『代謝する細胞』と混じって少しずつ増殖し始め、
最終的には、同じ身体構造を持つ吸血種に変貌してしまう。
しかし、この細胞が脳へ到達すると、魂への通路の構築に異常が生じて喰貪種である屍喰鬼に変化してしまい、
また、脳へ到達せず細胞の入れ替わりが完了することは極めて珍しい為、殆どは屍喰鬼になってしまう。
尚、吸血によって増えた個体は、同一細胞の持ち主を『自身そのもの』と認識する為、
吸血種と屍喰鬼との間に戦闘は発生せず、寧ろこれを操る事すら出来る。
以上の様な性質から、吸血種は特定の環境から離れて暮らす事が出来ず、
特に元人間は、何とか暮らしたとしても、 現在の社会で上手くやっていくことは難しいと言わざるを得ず、
彼らが社会に表立って出て来ることはほぼない。
却って、その様な状況下で生きてきたことから、一般的に言う反社会性行動を取る事も多く、
酷い時には、
教会や
協会の討伐対象となる事すらもある。
無論、全てがその様な個体という訳ではなく、
中には、人間社会に溶け込んで生きる者もいるし、無用の競争を避けて生きる個体もいる。
これらの種の攻撃に対する対処法は、幾つかある。
喰貪種に対しては、生命体として必須の心臓や脳の物理的破壊、
或いは、呼吸法によって増幅された生命力そのものである
雷迅を流し込む事で、
本来のそれから変貌した喰貪種の身体に一種の中毒症状を起こさせ、崩壊させるという殺害方法がある。
また、吸血種に対しては、生命力の制御を担う脳の破壊がやはり有効であり、雷迅も同様の効果を発揮する。
一般に知られる通り、日光に当てる事も有効な手段である。
紫外線で細胞が損傷すると、自然の代謝でその細胞を排除出来ない吸血種は、
其処から再生することが出来なくなる。
これを癒す為に、体内の正常な細胞で代謝を始めて外側の細胞を排除することも出来るが、
日光が注ぐ限り細胞の損傷は続く。
結果的に、太陽の下にいる間は常に全身を再生させ続けねばならず、
そのまま放置すれば、何れは生命力が尽き果てて死へと至るだろう。
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最終更新:2016年09月13日 16:34