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1940年 ウィスコンシン州のリック湖周辺の森は大火に包まれていた!


そこで発生していた怪事件の真相は――『生ける炎』と『混沌の神』、因縁の殺し合い……!!






舞台は――聖杯戦争が開催される東京二十三区へ。


ある高校生たちが街中で遊び浸っていたところ、向かい側に彼らの顔見知りが通っているのに気づく。


「あれ? あそこいんの多仲じゃね。声かけてみる??」

「やめとけやめとけ! あいつ付き合い悪いだろ? 誘っても楽しくありませんって感じで笑いもしねえ。
 無愛想ってレベルじゃねーぞ。気味悪りぃ。一緒にいたって盛り下がるだけだべ」


彼らの言う『多仲忍者』は本当に笑わない少年だった。
実際、彼らが交わす通り、学校の行事でも、遊びに誘っても、一度たりとも笑わない。
悪い人間ではないが、関わりたくもない。クラスの中で一人はいる孤立した人間だった。

が、無関心を決めようとした高校生たちに衝撃が走る。


「ん!? お、おい、見ろアレ!」

「多仲の奴、女と一緒にいるぜ!」

「冗談(ウッソ)だろ!?」

「非現実(アリエネ)ッ!!!」


忍者と共にフリルをつけた真っ赤なドレスを着た、赤毛の少女が歩いているではないか!
少女は何者なのか。
一体どうして、笑わない忍者と共にいるのか……付き合っているのか?
この衝撃的な場面は、翌日、クラスで話題になったりする。

一方、忍者と少女は彼らの想像とは異なる会話を繰り広げていた。
忍者が適当に物を指さす。


「あれは?」


少女が元気よく答えた。


「ちいっちゃい女の子!」

「腰曲がった爺さん……あれは?」

「背高い男組!」

「外人の観光客、しかも全員女! じゃあ、あれは」

「……腰曲がったジーさん?」

「婆さんだよ。う~~~~ん……」


忍者はなんとも言えない表情で、次に目指す場所へ足を向ける。


『フラッシュ☆プリンセ~ス!』


人気女児向けアニメ『プリンセスシリーズ』のグッズ専門店『プリンセスストア』。
男ながら堂々と店内に入る忍者と、沢山あるフィギュアをウロウロ眺める少女。
いつも通り、目当ての商品を手に取る忍者が、試しに尋ねる。


「コレどうよ」

「む~~~~、プリホワイト!」

「……正解。こっちは?」


忍者が別のフィギュアを手に取ってみせると、少女は唸ってから「プリアクオス!」と答えた。
興味深く忍者は言う。


「フィギュアとかアニメキャラは判別できんのか……あの人は?」


彼が指さしたのは、プリンセスストアの外にある広告の女性。
少女は首を傾げた。
少女は『貌(かお)』が見分けられないのである。





「シノハ~。あたし、最初からこんなんじゃなかったんだぞ~~。変なモヤモヤしたもんに当たったら、こんなんなったんだ~」

「俺も似たような感じだから、セイバーの気持ちは分からなくもねー」


多仲忍者が笑えなくなったのは、トラウマが原因だった。
それと同じように、セイバーが個々の識別ができないのも原因がある。
『もやもやしたもの』と呼称するそれは、かつて彼女と戦った神の『呪い』。
マスターである忍者は、魔力の繋がりで識別できるらしいが、それ以外の顔はサッパリらしい。

無事に目当てのプリンセスグッズを購入し、帰路についた忍者は道中、セイバーに問う。


「じゃあさ。セイバーの願いって、それ治す事か」

「え? なんで??」

「え」

「ん?」

「……困ってねェ訳ねーよな?」


笑えない事よりも重症だ。それを放っておいて、いい訳ないのだが、セイバーの方は首を傾げている。


「困ってるって、何が?」


本気で困ってなさそうなので、忍者も返事を悩んだ。
セイバーが一つ思いつく。


「シノハは笑えなくて困ってるのか? じゃあ、聖杯にお願いした方がいいな!!」

「俺はいい。いいっつーか……俺、笑えたかもしんねーんだ。極道(きわみ)さんと話してた時」

「キワミ? なんだそれ」

「俺の初めての友達」


ふと彼との記憶を脳裏に浮かべ、忍者は様々な考えを募らせる。
何故か、聖杯戦争に巻き込まれていた。
『忍者(にんじゃ)』である自分が、だ。これだけで異常なのに、サーヴァントだとか、聖杯だとか、非現実的な事ばかり。
おまけに、東京二十三区から脱出する事ができないときた。
極道(ごくどう)が関与する案件以上の事件。
何としてでも、この脱出し、帰らなければならない。仲間と極道(きわみ)の元へ。
そして……この聖杯で目論む連中がいるなら――ぶっ殺さなければ、ならない。


「セイバーが見て識別(わか)る奴っていたりする?」

「いるぞ!」

「……いるんだ。友達?」

「友達? かもな!」


セイバーの基準は怪しいが、とにかく忍者は話を続ける。


「友達と一緒にいて、喋ったり、飯食ったりしてさ……それだけで十分。聖杯(キセキ)なんて必要ねェ。って思うんだよ」

「お~」


根拠なんて皆無。だけど、そんな予感がする。
忍者の話を聞いてセイバーは意気込む。


「じゃあ、あたしも『友達』と喋って、飯食えば、コレ治るんだなー!」

「ん? ちょい待て。友達(ダチ)だよな? 会った時、いつもどーしてんだよ」

「あ! いた!! うお~~~!!! って突撃!」

「待て待て待て待て、絶対向こうから友達認定されてない奴!」






表にはない、裏の世界で囁かれる真実(マジ)の護身術(いいつたえ)!


『混沌の神』が裏(ウラ)で悪事(ワルサ)かました時――『生ける炎(クトゥグア)』を召喚(よ)べ!!!







【真名】
クトゥグア@クトゥルフ神話

【クラス】
セイバー

【属性】
中立・善

【パラメーター】
筋力:C 耐久:A+ 敏捷:A 魔力:B 幸運:D 宝具:A


【クラススキル】
対魔力:A
 魔術に対する耐性。
 Aランクならばおよその魔術が通じず、現代の魔術師では敵わない。

騎乗:E
 乗り物を乗りこなす能力。


【保有スキル】
無貌の呪い:EX
 旧き神からの呪い。彼女は個々の判別、姿の識別ができない。
 あくまで容姿限定なのでそれ以外の特徴で識別する。
 逆に『貌』を持たない存在の識別が可能。

魔力放出(熱):A++
 魔力を自身の武器や肉体に帯びさせる事で強化する。
 生ける炎と呼ばれるクトゥグアだが、炎ではなく熱を司っている。
 炎だけでなく相手を凍らせる事も可能。

女神の神核:B
 生まれながらにして完成した女神であることを現すスキル。
 精神と肉体の絶対性を維持する効果を有する。
 あらゆる精神系の干渉を弾き、肉体成長もなく、どれだけカロリー摂取しても体型が変化しない。


【宝具】
『生ける漆黒の剣(コルヴァズ・クラスター)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000
 『炎の精』によって構成された生ける炎の剣。
 宝具を解放し放たれる斬撃には高密度の熱が備わり、広範囲を炎上、もしくは凍結させる。



【weapon】
『生ける漆黒の剣』



【人物背景】
地球から何十光年離れたフォーマルハウトを住処にする『生ける炎』と呼ばれる巨大な燃える塊。
地上で召喚された際、『混沌の神』の拠点を焼き尽くしたとされる。
この逸話から、あるいは数多の言い伝えから、かの『混沌の神』の天敵とされている。
旧神との闘いで攻撃を受け、精神が錯乱してしまったとされている。

旧神の呪いを受け、彼女が唯一識別できたのが『混沌の神』。
彼女なりに『混沌の神』とコミュニケーションを図ろうとした様子が敵対的にみられてしまった。

何故彼女が『混沌の神』だけを識別できたかは謎は多い。
ある一説では『混沌の神』には元々『貌』がなかったからではないかと言われている。

彼女は『混沌の神』を友達と扱っているが、向こうが彼女をどう想っているかは不明。


【外見】
赤毛のセイバー(アルトリア)顔の少女。
真っ赤なフリルがついたドレスを着ている。


【サーヴァントとしての願い】
『友達』と喋ったり、飯食ったりする。



【マスター】
多仲忍者@忍者と極道


【聖杯にかける願い】
東京からの脱出
聖杯戦争で企んでる奴をぶっ殺す


【能力・技能】
忍手『暗刃』
 極道の武装化に対抗するために編み出された忍者の基本技。
 武器に頼らない、銃器を超える速度の無手の技。


【人物背景】
普段は高校生、裏の顔は忍者。
過去のトラウマから笑えなくなった少年。
最終更新:2022年04月09日 18:30