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1940年 ウィスコンシン州のリック湖周辺の森は大火に包まれていた!
そこで発生していた怪事件の真相は――『生ける炎』と『混沌の神』、因縁の殺し合い……!!
☆
舞台は――聖杯戦争が開催される東京二十三区へ。
ある高校生たちが街中で遊び浸っていたところ、向かい側に彼らの顔見知りが通っているのに気づく。
「あれ? あそこいんの多仲じゃね。声かけてみる??」
「やめとけやめとけ! あいつ付き合い悪いだろ? 誘っても楽しくありませんって感じで笑いもしねえ。
無愛想ってレベルじゃねーぞ。気味悪りぃ。一緒にいたって盛り下がるだけだべ」
彼らの言う『
多仲忍者』は本当に笑わない少年だった。
実際、彼らが交わす通り、学校の行事でも、遊びに誘っても、一度たりとも笑わない。
悪い人間ではないが、関わりたくもない。クラスの中で一人はいる孤立した人間だった。
が、無関心を決めようとした高校生たちに衝撃が走る。
「ん!? お、おい、見ろアレ!」
「多仲の奴、女と一緒にいるぜ!」
「冗談(ウッソ)だろ!?」
「非現実(アリエネ)ッ!!!」
忍者と共にフリルをつけた真っ赤なドレスを着た、赤毛の少女が歩いているではないか!
少女は何者なのか。
一体どうして、笑わない忍者と共にいるのか……付き合っているのか?
この衝撃的な場面は、翌日、クラスで話題になったりする。
一方、忍者と少女は彼らの想像とは異なる会話を繰り広げていた。
忍者が適当に物を指さす。
「あれは?」
少女が元気よく答えた。
「ちいっちゃい女の子!」
「腰曲がった爺さん……あれは?」
「背高い男組!」
「外人の観光客、しかも全員女! じゃあ、あれは」
「……腰曲がったジーさん?」
「婆さんだよ。う~~~~ん……」
忍者はなんとも言えない表情で、次に目指す場所へ足を向ける。
『フラッシュ☆プリンセ~ス!』
人気女児向けアニメ『プリンセスシリーズ』のグッズ専門店『プリンセスストア』。
男ながら堂々と店内に入る忍者と、沢山あるフィギュアをウロウロ眺める少女。
いつも通り、目当ての商品を手に取る忍者が、試しに尋ねる。
「コレどうよ」
「む~~~~、プリホワイト!」
「……正解。こっちは?」
忍者が別のフィギュアを手に取ってみせると、少女は唸ってから「プリアクオス!」と答えた。
興味深く忍者は言う。
「フィギュアとかアニメキャラは判別できんのか……あの人は?」
彼が指さしたのは、プリンセスストアの外にある広告の女性。
少女は首を傾げた。
少女は『貌(かお)』が見分けられないのである。
☆
「シノハ~。あたし、最初からこんなんじゃなかったんだぞ~~。変なモヤモヤしたもんに当たったら、こんなんなったんだ~」
「俺も似たような感じだから、セイバーの気持ちは分からなくもねー」
多仲忍者が笑えなくなったのは、トラウマが原因だった。
それと同じように、セイバーが個々の識別ができないのも原因がある。
『もやもやしたもの』と呼称するそれは、かつて彼女と戦った神の『呪い』。
マスターである忍者は、魔力の繋がりで識別できるらしいが、それ以外の顔はサッパリらしい。
無事に目当てのプリンセスグッズを購入し、帰路についた忍者は道中、セイバーに問う。
「じゃあさ。セイバーの願いって、それ治す事か」
「え? なんで??」
「え」
「ん?」
「……困ってねェ訳ねーよな?」
笑えない事よりも重症だ。それを放っておいて、いい訳ないのだが、セイバーの方は首を傾げている。
「困ってるって、何が?」
本気で困ってなさそうなので、忍者も返事を悩んだ。
セイバーが一つ思いつく。
「シノハは笑えなくて困ってるのか? じゃあ、聖杯にお願いした方がいいな!!」
「俺はいい。いいっつーか……俺、笑えたかもしんねーんだ。極道(きわみ)さんと話してた時」
「キワミ? なんだそれ」
「俺の初めての友達」
ふと彼との記憶を脳裏に浮かべ、忍者は様々な考えを募らせる。
何故か、聖杯戦争に巻き込まれていた。
『忍者(にんじゃ)』である自分が、だ。これだけで異常なのに、サーヴァントだとか、聖杯だとか、非現実的な事ばかり。
おまけに、東京二十三区から脱出する事ができないときた。
極道(ごくどう)が関与する案件以上の事件。
何としてでも、この脱出し、帰らなければならない。仲間と極道(きわみ)の元へ。
そして……この聖杯で目論む連中がいるなら――ぶっ殺さなければ、ならない。
「セイバーが見て識別(わか)る奴っていたりする?」
「いるぞ!」
「……いるんだ。友達?」
「友達? かもな!」
セイバーの基準は怪しいが、とにかく忍者は話を続ける。
「友達と一緒にいて、喋ったり、飯食ったりしてさ……それだけで十分。聖杯(キセキ)なんて必要ねェ。って思うんだよ」
「お~」
根拠なんて皆無。だけど、そんな予感がする。
忍者の話を聞いてセイバーは意気込む。
「じゃあ、あたしも『友達』と喋って、飯食えば、コレ治るんだなー!」
「ん? ちょい待て。友達(ダチ)だよな? 会った時、いつもどーしてんだよ」
「あ! いた!! うお~~~!!! って突撃!」
「待て待て待て待て、絶対向こうから友達認定されてない奴!」
☆
表にはない、裏の世界で囁かれる真実(マジ)の護身術(いいつたえ)!
『混沌の神』が裏(ウラ)で悪事(ワルサ)かました時――『生ける炎(
クトゥグア)』を召喚(よ)べ!!!
【真名】
クトゥグア@クトゥルフ神話
【クラス】
セイバー
【属性】
中立・善
【パラメーター】
筋力:C 耐久:A+ 敏捷:A 魔力:B 幸運:D 宝具:A
【クラススキル】
対魔力:A
魔術に対する耐性。
Aランクならばおよその魔術が通じず、現代の魔術師では敵わない。
騎乗:E
乗り物を乗りこなす能力。
【保有スキル】
無貌の呪い:EX
旧き神からの呪い。彼女は個々の判別、姿の識別ができない。
あくまで容姿限定なのでそれ以外の特徴で識別する。
逆に『貌』を持たない存在の識別が可能。
魔力放出(熱):A++
魔力を自身の武器や肉体に帯びさせる事で強化する。
生ける炎と呼ばれるクトゥグアだが、炎ではなく熱を司っている。
炎だけでなく相手を凍らせる事も可能。
女神の神核:B
生まれながらにして完成した女神であることを現すスキル。
精神と肉体の絶対性を維持する効果を有する。
あらゆる精神系の干渉を弾き、肉体成長もなく、どれだけカロリー摂取しても体型が変化しない。
【宝具】
『生ける漆黒の剣(コルヴァズ・クラスター)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000
『炎の精』によって構成された生ける炎の剣。
宝具を解放し放たれる斬撃には高密度の熱が備わり、広範囲を炎上、もしくは凍結させる。
【weapon】
『生ける漆黒の剣』
【人物背景】
地球から何十光年離れたフォーマルハウトを住処にする『生ける炎』と呼ばれる巨大な燃える塊。
地上で召喚された際、『混沌の神』の拠点を焼き尽くしたとされる。
この逸話から、あるいは数多の言い伝えから、かの『混沌の神』の天敵とされている。
旧神との闘いで攻撃を受け、精神が錯乱してしまったとされている。
旧神の呪いを受け、彼女が唯一識別できたのが『混沌の神』。
彼女なりに『混沌の神』とコミュニケーションを図ろうとした様子が敵対的にみられてしまった。
何故彼女が『混沌の神』だけを識別できたかは謎は多い。
ある一説では『混沌の神』には元々『貌』がなかったからではないかと言われている。
彼女は『混沌の神』を友達と扱っているが、向こうが彼女をどう想っているかは不明。
【外見】
赤毛のセイバー(アルトリア)顔の少女。
真っ赤なフリルがついたドレスを着ている。
【サーヴァントとしての願い】
『友達』と喋ったり、飯食ったりする。
【マスター】
多仲忍者@忍者と極道
【聖杯にかける願い】
東京からの脱出
聖杯戦争で企んでる奴をぶっ殺す
【能力・技能】
忍手『暗刃』
極道の武装化に対抗するために編み出された忍者の基本技。
武器に頼らない、銃器を超える速度の無手の技。
【人物背景】
普段は高校生、裏の顔は忍者。
過去のトラウマから笑えなくなった少年。
最終更新:2022年04月09日 18:30