腕の疲労が感じられる。
遊佐「こりゃ明日は筋肉痛になりそうだな」
晶子「そうですね……」
遊佐「さて、今からリヴァ君迎えに行こう」
晶子「はい」
遊佐「あいつを助けてから結構日数が経ったんだな」
晶子「そう、ですね」
遊佐「あいつのおかげで、晶子と知り合えたんだよな」
晶子「はい……」
遊佐「あいつに感謝しないとな」
晶子「そう、ですね。本当に……」

[病院]

今日は遅くなってしまったので呼び鈴を押す。
香苗「はいはーい」
晶子「あの、リヴァ君を迎えに来ました」
香苗「はいよ」
がちゃっとドアが開く。
香苗「どうぞどうぞ」
遊佐「ども」
香苗「あらあら、すっかりカップルねぇ」
晶子「あう……」
遊佐「相変らずですね」
香苗「だってー、晶子ちゃんは小さいころからよくこの病院に来てたのよ。そりゃ気になるわよ」
近所のおばさんみたいなことを言う。
香苗「あんた、晶子ちゃんを大事にしなきゃダメよ」
遊佐「もちろん、誰より大事にします」
晶子「く、洲彬君」
香苗「あらあら、妬けるわ」
先生「香苗さん……」
香苗「ま、がんばりなさい」
逃げた。
先生「さて、それじゃあ会いに行こうか」
晶子「はい」
リヴァ君のいる部屋で重要なことが告げられる。
先生「リヴァ君は多分誰かに傷つけられたんだというのは前に言ったと思う」
そうだった。確かにケガは明らかにそういう類だった。
先生「だから何かと気をつけて欲しい。何かあったらいつでも連絡するんだよ」
晶子「わかりました」
そしてリヴァ君は晶子の家へと引き取られた。

[晶子宅]
遊佐「んー」
晶子「どうしたんです?」
遊佐「いや、木刀を借りるついでに誰かに指導してもらいたいな、と思って」
晶子「そうですね。お父さんに聞いてみます?」
遊佐「そういえば親父さんも剣道は詳しいんだ?」
晶子「はい、おじいちゃんがよくお父さんとやってます」
なるほど。親父さんに指導してもらったほうが何かといいかもしれない。
遊佐「それじゃあ聞いてみてもらえるかな?」
晶子「はい。ちょっと聞いてきます」
晶子が部屋を出て行って少しして親父さんが入ってきた。
大地「ああ、もちろん構わない。すまんな、親父が無理を言って」
遊佐「ありがとうございます。これは俺が勝手にやってることなんです」
大地「出来る限り協力しよう。指導する前に飯はどうだ?」
俺は少し考えた。ここで遠慮するのも無粋ではないだろうか。
遊佐「はい、いただきます」
大地「よし! それじゃあ飯だ! 晶子もお母さんの手伝いをしているようだしな!」
遊佐「いつもすいません」
大地「はっはっは! 気にするな!」
相変らず豪快だった。

おじいさんは席に居なかった。
涼子「お父さんは後で食べるって」
楓「聞いたわよ遊佐君。おじいちゃんと剣道するって?」
遊佐「あ、まあ俺が勝手に言い出したんだけど」
晶子「洲彬君、すごくかんばってるんだよ」
楓「……」
晶子「お姉ちゃん?」
楓「今、洲彬君って言ったわね~?」
イジワルそうな笑顔。
楓「うりうり」
晶子「あうあう」
楓「もう! 晶子ったらかわいい~」
遊佐「あはは……」
楓「それで遊佐君は晶子のこと、晶子って呼んでるの?」
遊佐「ええ、まあ……」
楓「くー! いいわね」
何がだ。っていうか親御さんが居る前で言わせないでくれ!
涼子「あらあら」
大地「はっはっは!」
相変らず居心地が悪いようで悪くない食事だった。

大地「さて、剣道の経験は殆どないんだったな遊佐君は」
遊佐「はい。昨日買って読んだ本と今日素振りしたくらいです」
大地「そうだな、実戦となると意外と体力、集中力も共に必要になってくる。鍔迫り合いが続くと意外とつらい」
体力と集中力か。
大地「やはり基礎は素振りだ。だがやはり実際は防具をつけることになるだろう。あるなしではかなり違うはずだ」
ふむ、確かに防具をつけた状態はかなり感覚も違ったしなにより視野が狭くなる。
大地「そこで、防具を着けてやってみようというわけだ」
遊佐「なるほど」
大地「防具は自分で身につけられる方がいいだろう。まずはその指導をしよう」
遊佐「助かります」
大地「うむ、まずはこの防具のしまい方を見て覚えておくんだ。しまえなくては駄目だからな」
この状態に戻すのか。
大地「まずは俺と一緒に着けてみるか」
遊佐「はい、お願いします!」
最終更新:2007年02月19日 23:51