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霞の家の前まで来た時
??「姉ちゃん?」
霞「拓也、おかえり」
どうやら会話から察するに霞の弟のようだった。
拓也「学校休んだんじゃなかったの」
霞「あはは」
拓也「朝は大変なんだから熱出した時くらい学校は休まないと」
俺は二人の会話を隣に立って聞いていた。
霞「大丈夫だってば」
拓也「この人は?」
霞「先輩。名前は遊佐君で、わたしをわざわざ家まで送ってくれたの」
拓也は少し俺を見つめて。
拓也「ありがとうございます」
と頭を下げていった。
遊佐「いや、これくらいは。俺も心配だったし」
拓也「わざわざすいません。姉ちゃん、ほら家入って休まないと」
霞「わかってる。それじゃ遊佐君、よろしくね。それとありがとね」
霞が家の中に入る。すると拓也がこっちを向く。
拓也「失礼な事聞くんですけど、姉ちゃんの彼氏ですか?」
おいおい。そんな事聞くなよ。
遊佐「いや、ただの先輩でバイト先が一緒ってだけ」
そう、だよな。
拓也「あ、そうですか。あのもう一ついいですか」
遊佐「ん?」
拓也「姉ちゃん、バイト先で無理してませんか」
遊佐「そんな事はないと思うけど、忙しいのは確かだな」
拓也は少し考えて、
拓也「もし無理してるようだったら、その、お願いします」
何だか重たくなってきた。
遊佐「俺も、入ったばかりだから早く霞の手伝いができるようになれればいいとは思ってる」
拓也「姉ちゃん、バイトしてる理由が実は……いえ、やっぱりいいです」
……一体何だ?
拓也「それじゃあ、失礼します」
その背中を見送って俺はバイト先へさっきの言葉の意味を考えながら向かった。
遊佐「あ、やべ。時間がちょっときつい」
俺は走り出した。

店長「それじゃあ、今日は何とか二人でがんばろう」
遊佐「はい、お願いします」
店長と二人で仕事を分担して覚えたばかりの仕事を何とかこなしていく。
客「今日は霞ちゃんがいないの?」
とか何度も尋ねられた。この店って霞で持ってるんじゃないだろうか。
そして、閉店時間が来た。
遊佐「ふぅ……なんとか終わりましたね」
俺が来てからもあんまり忙しさは変わってないとは思ってたけど。
二人だとここまで忙しいのか……。まだ皿とか洗い終わってないし。
店長「お疲れ様」
遊佐「霞ちゃんがどれだけ忙しいのかがよくわかりました」
店長「いつもあの子には仕事を頼みすぎているからね」
遊佐「ところで、俺は生活費のためなんですが、霞ちゃんは何のためなんでしょう」
俺は本当に何となく聞いてみた。すると店長は動きを止めた。
店長「……実のところわたしも聞いていないんだ」
明るい声で言う。
遊佐「そうですか」
店長「何か欲しい物があるとかだろう。年頃なのだから」
遊佐「それもそうですね」
少し俺はその店長の返答に疑問を抱いたけど、深く考えてもしょうがない。
俺は店の掃除を始めた。
店長「……」
遊佐「……」
二人とも無言で仕事を片付けていく。
店長「それじゃあ今日はここまでにしよう」
遊佐「はい」
店長「今日はちょっと増やしておいたから、はい」
いつものように渡される仕事と引き換えのお金。
遊佐「ありがとうございます」
俺は礼をしながらそれを受け取る。
店長「と、いってもいつもの霞ちゃんと同じだけどね」
遊佐「そうだったんですか。俺より霞ちゃんはいつも一生懸命働いていますしね。それもそうかも」
店長「ははは、本当はそれだけじゃないんだけどね」
遊佐「え?」
店長「さ、遅くなってしまったから今日は帰りなさい」
遊佐「あ、本当だ、それではお疲れ様です」
店を出て、俺は少し蒸し暑い道を歩いてかえる。
今日は、考えてみると色々疑問な事があった。
霞の弟、拓也の言ってた言葉に店長。
遊佐「霞ちゃんってよく考えたら何でバイトしてるんだろう」
俺は考えたこともなかった。
遊佐「……本人に聞いてみるか」
何となく聞いちゃいけないことのような気がするけど……気にせずにはいられなかった。
最終更新:2007年02月07日 17:23