- #シーン6『レッセ・アレ【ましろ、聖、杏、早乙女ルート】』
- 登場キャラ『遊佐、中島、聖、ましろ、杏、早乙女、田中学園長』
- BGM『緊迫感のある曲→戦闘曲』
- 背景『グラウンド→黒一色→グラウンド』
田中学園長「――五、四、三」
まるで年末のカウントダウンイベントみたいに、学園長の数えるカウントに大歓声が同調していた。
聖の無言の口あわせにうなずくと、俺はホルスターから二丁のデザートイーグルを抜く。
聖はましろちゃんを守るように片手剣と盾を構え、ましろちゃん本人は息を呑んで片手持ちの槌をしっかりと握り締めた。
遠くに見える早乙女は反りのない直刀、天の村雲が納まっている鞘の鯉口を軽く切り、居合いの構えに移行。
杏は、体にアンバランスなほど長い黒塗りの両手剣を背中から重たそうに抜き放つ。
試合開始「レッセ・アレ」の合図までは一分間のインターバルが与えられる。
バリスタはサッカーやバスケのように、試合開始まで選手がポジションから動かないのではなく、一分間のインターバルを経てから、そのまま試合開始というローリング・スタート形式になっている。
つまり、インターバルの間は自由に動き回ることが可能なのだ。
俺たち『2‐B特殊突撃戦術部隊』は敵軍ルークへの奇襲攻撃を狙っている。
だから、それに合わせた配置を目指した。
俺、聖、ましろちゃんのグループ。
早乙女、杏のグループ。
そして……単独で中島。
真ん中に中島、それを追いかけるような形で右翼に俺たち、そして左翼に早乙女たちと三叉に分かれた。
中島を中心としたトライデント・フォーメーションである。
(暗転。背景→黒一色)
―― 一分前。
遊佐『いいか中島。お前はまず、インターバルの間に単独で敵軍のルークを目指せ』
遊佐『万が一のために、俺たちが後ろからしっかり見ててやるから、試合開始までは見つかるんじゃないぞ』
遊佐『だが、試合が始まったら、そこで一気にビッグ・サプライズだ』
遊佐『勇み声をあげて、一気にルークへ突撃するんだ。それでもうルークを守っていた敵はびっくり! 出鼻をくじかれて大慌てさ』
遊佐『俺たちが絶対にあとから続く。いいか、絶対に続くから、とにかく大声をあげて特攻するんだ』
遊佐『絶対に大声だけは忘れるなよ! 目立てよ!?』
遊佐『あと、俺とお前はずっと友達だからな!』
(暗転。背景→グラウンド)
――再び現在。
田中学園長「ニ、一」
田中学園長「レッセ・アレェェェい!」
(BGM→戦闘曲)
バッ!
作戦通り、試合開始と共に隊長が躍り出る!
中島「うおらああぁぁぁ――――――!」
その銀の刃は三メートル以上もある大岩の上から輝いた!
中島「ハ――ハッハッハッハ! 俺の名は中島蔵人! 通称なんとなくクラウドだ!」
それと一緒に金髪を煌めかせた中島が空中に飛び出す!
中島「者共、命惜しくなくばかかって来いやぁぁぁ――――!」
中島の体が空中で縦に一回転。
そして着地と同時に地面を思いっきり叩きつけるバスターソード!
ぐぁしい――ん!
まるで漫画のパワー系キャラが登場する時みたいに、剣を叩きつけた衝撃で噴火みたいに五,六メートルくらいまで舞い上がる土。
金髪と体操着は扇風機の強の風を間近で受けるがごとくバサバサとたなびき、
おまけに片手で構えたバスターソードの刃は横に半分以上地面めり込み……
まぁ平たく言うと、とにかくド派手に中島が降り立ったのだった。
中島「ジャスティス&デストロイ……そう、それこそ主人公ってやつなんだぜボーイミーツガール?」
砂塵が晴れたとこから爽やかな笑みがのぞき、白い歯から逆光が放たれる。
どうでもいいが、あいつはボーイミーツガールをレディース&ジェントルマンかなんかと勘違いしているんだろうか。
突然たたたたーたーたーたったたーん、となんとかファンタジーⅦのようなゲームのサントラのきっと一一曲目あたりに収録されているBGMがグラウンド中に鳴り響く。
中島はバスターソードをくるくると回してから背中に納刀した。
中島「キマッた……うごっ!?」
ひゅうと石つぶてが飛んできたかと思うと、中島の頭にメガヒットした。
……短い見せ場だったな。
聖「遊佐。そろそろか?」
遊佐「ああ。準備しておいてくれ。このまま中島に群がってきた敵を、俺たちで一網打尽するんだ」
ましろ「なんか中島君がかわいそうだね……」
遊佐「そうか?」
ましろ「うん」
ましろちゃん……優しいんだな。
ましろ「わたしは、ただみんなに笑って楽しくバリスタをやってほしいだけなの。中島君を犠牲にするみたいな作戦で勝っても、心の底から喜ぶなんてできないんじゃないかな、って思う……」
遊佐「ましろちゃん……」
ああ、ましろちゃん。とても心温まるコメントを
ありがとう。
でも、さっきから手馴れた様子でくるくる投げて遊んでるその鈍器はなんですか。
ましろ「ううん。でもこれはみんなで決めたこと。しょうがないことなのよ」
ましろ「中島君の犠牲は決して無駄にしないわ」
なんだかホラー映画に出てくる妄信教の女みたいなことをおっしゃる。
遊佐「結局、別にやってもいいんだよね?」
ましろ「うん。勝つ為だもん。悪い?」
とても良い性格反転っぷりでした。
遊佐「中島は……おーおー、まだ生き残ってやがる。ソロでも意外といけるんだな」
敵はルークキーパーと思われる六人。
全員が手に得物を持っている。
俺は反翼にいる杏、早乙女に準備OKの合図を送る。
遊佐「さぁ、いくぜ」
遊佐「ビッグ・サプライズだ!」
俺たちは一斉に大岩から躍り出た。
最終更新:2007年03月02日 01:40