田中学園長「三、ニ、一 ――」
田中学園長「レッセ・アレェェェい!」

(BGM→戦闘曲)

 ついに試合が始まった!
 この日のために俺たちは中島には未許可である作戦を密かに画策していた。
 その名も『中島特攻大作戦』。
 表向きは中島を切り込み隊長とした奇襲作戦だ。
 しかし、それは中島を欺くための口実に過ぎない!
 実は中島一人を特攻させ、俺たちが敵を一網打尽するという囮作戦なのだ!
中島「うおらああぁぁぁ――――――!」
 最後の最後まで作戦の本質に気づくことはなかった中島が、試合開始と共に敵地のルーク目の前に躍り出る!
 その銀の刃は三メートル以上もある大岩の上から輝いた。
中島「ハ――ハッハッハッハ! 俺の名は中島蔵人! 通称なんとなくクラウドだ!」
中島が空中に飛び出す!
中島「者共、命惜しくなくばかかって来いやぁぁぁ――――!」
金髪を煌めかせた中島の体が空中で縦に一回転。
そして着地と同時にバスターソードで地面を思いっきり叩きつけた!
 ぐぁしい――ん!
 まるで漫画のパワー系キャラが登場する時みたいに、剣を叩きつけた衝撃で噴火みたいに五,六メートルくらいまで土が舞い上がった。
金髪と体操着は扇風機の強の風を間近で受けるがごとくバサバサとたなびき、おまけに片手で構えたバスターソードの刃は横に半分以上地面めり込み……
まぁ平たく言うと、とにかくド派手に中島が降り立っただけなんだけど。
砂塵が晴れたとこから爽やかな笑みがのぞき、白い歯から逆光が放たれる。
中島「待たせたなボーイミーツガール諸君! この物語の主人公、中島蔵人様たぁオレのことよっ! ブラボー! 拍手だ皆の衆ぅぅ――!!」
 だからお前は主人公じゃなくて三枚目だっつの。テレッテーの人みたいな。
あとボーイミーツガールの使い方間違ってるから。レディース&ジェントルマンかなんかと勘違いしてるんじゃないか?
 続いてたたたたーたーたーたったたーん、となんとかファンタジーⅦのようなゲームのサントラ一一曲目あたりに収録されているBGMがグラウンド中に鳴り響くと、中島はどこかでみたことのある金髪のあの人みたいにバスターソードをくるくると回してから背中に納刀した。
中島「キマッた……うごっ!?」
 ひゅうと石つぶてが飛んできたかと思うと、中島の頭にメガヒットした。
 ……短い見せ場だったな。
聖「遊佐。そろそろか?」
遊佐「ああ。準備しておいてくれ。このまま中島に群がってきた敵を、俺たちで一網打尽するんだ」
ましろ「なんか中島君がかわいそうだね……」
遊佐「そうか?」
ましろ「うん」
 ましろちゃん……優しいんだな。
ましろ「わたしは、ただみんなに笑って楽しくバリスタをやってほしいだけなの。中島君を犠牲にするみたいな作戦で勝っても、心の底から喜ぶなんてできないんじゃないかな、って思う……」
遊佐「ましろちゃん……」
 ああ、ましろちゃん。とても心温まるコメントをありがとう
 でも、さっきから手馴れた様子でくるくる投げて遊んでるその鈍器はなんですか。
ましろ「ううん。でもこれはみんなで決めたこと。しょうがないことなのよ」
ましろ「中島君の犠牲は決して無駄にしないわ」
 なんだかホラー映画に出てくる妄信教の女みたいなことをおっしゃる。
遊佐「結局、別にやってもいいんだよね?」
ましろ「うん! 勝つ為には仕方のないことだもん。悪い?」
 とても良い性格反転っぷりでした。
遊佐「中島は……おーおー、まだ生き残ってやがる。ソロでも意外といけるもんだなー」
敵はルークキーパーと思われる六人。
遊佐「さて、いくぜ」
遊佐「ビッグ・サプライズだ!」
 俺たちは一斉に大岩から躍り出た。
最終更新:2007年04月20日 13:53