キーンコーンカーンコーン。
4限の終了を告げるチャイムが鳴り響く。
遊佐「よし、午前の授業は終わりだ」
中島「俺の体に眠る野獣が血に飢えているぜ…」
遊佐「要は腹が鳴ったって事だろ?」
中島「人がせっかく渋く決めたのに現実的な言葉で片付けるのはやめてくれたまえ」
…お前のその感性がわからん。
遊佐「御託はいい。まずは購買とやらを教えてくれ」
ここは冷静に受け流して購買の在り処を聞き出そう。
中島「お前…戦地に赴くつもりか!」
遊佐「やはりどの学校も昼の購買は凄い人なのか…」
中島「アンタ…地獄を見るぜ。だが心の友のアンタの頼みだ…ついて来な」
お前はどこの西部劇のオッサンだ。
おまけに何時の間にか心の友になってるし…
遊佐「口調はともかくとして、好意には甘えよう」
変なやり取りの後、中島の案内で購買へと向かう。
遊佐「ぬおっ」
中島「だから言っただろう? 戦場であると」
遊佐「まあしかし…壮絶だ」
視線の先には、いたる所に人、人、人。
買い終わるのを待ってから買うと昼休みが無くなりそうだ…。
中島「諦めて食堂にするか?」
遊佐「それは俺のプライドが許さん。まあ見ていてくれ」
俺は適当なものを見繕い、生徒達の隙間から手を伸ばし一つずつ確保していく。
中島「神業だ…俺にはそれは真似出来ねぇ」
遊佐「サンドイッチにコーヒー…あとちょっとお菓子、これくらいか」
中島「お、俺の分も菓子パン何か頼む!」
遊佐「まあこの時間だともう惣菜パンは品切れだろうな」
俺はメロンパンをひょいと掴むと中島に渡す。
中島「
ありがとう、心の友よ!」
人ごみの中で叫ぶな。暑い夏が余計に暑苦しくなる。
あえて直接は言わないが。
遊佐「しかしドリンクのショーケースの前、凄いな」
この暑い夏には、冷たい飲み物が恋しくなる。
でまあ冷蔵ショーケース前が人だかりになるのも必然なのだが、
よく見るとその人だかりから一歩下がったところに見た覚えのある姿が。
確か月島 聖 だったっけな。
中島「お、月島じゃないか」
聖「む、中島と…転校生じゃないか」
遊佐「その扱いは酷いな。俺にも遊佐 洲彬(ゆざ くにあき)って名前があるんだぜ?」
聖「そうか、一応覚えておこう」
遊佐「俺の存在はどうでもいい存在って事か…」
聖「まだよく知らないからな」
ちょっと悲しくなったので印象付けるためにもからかってみよう。
遊佐「それじゃ知らない事は無い程深い仲になろうぜ!」
聖「な……」
いけね、調子に乗りすぎたか。
遊佐「というのは軽い冗談で…」
聖「くくくっ、あははは」
遊佐「お?」
聖「今のはちょっと面白かったな」
中島「良かったじゃないか、月島様のお眼鏡に敵ったようで」
聖「おい、中島」
中島「はいはい、なんざんしょ?」
聖「ダマレ」
ぼすっ。
中島のみぞおちに月島のボディブローが炸裂する。
中島「ごふっ…いいモン持ってるじゃねえか…世界、狙える……ぜ」
崩れ落ちる中島。
遊佐「可哀想な奴だ…ところで月島」
聖「む、どうした?」
遊佐「さっきからショーケースの一歩前で突っ立ってどうしたんだ?」
聖「いや、飲み物忘れたから買いに来たんだけど見ての通りでね」
遊佐「俺が取ってやろうか?」
聖「む…いいのか?」
遊佐「構わないさ。何飲むんだ?」
聖「牛乳」
遊佐「あいよ」
俺は生徒の人だかりの仲にすっと手を伸ばし、牛乳を一つ掴み取る。
遊佐「ほれ、牛乳。これでいいか?」
聖「まあ一応、助かった」
しかし、あの乱暴者が牛乳とはな….
俺は月島に聞いてみた。
A.「やっぱり今からでも健康とか気にしてるんだな」
B.「そんな性格でもスタイルが気になるのか?」
A.
遊佐「やっぱり今からでも健康とか気にしてるんだな」
俺は少し関心してみせた。
聖「まあな。私が健康じゃないと誰がましろを守る」
遊佐「本当に、あの子の事考えてるんだな」
聖「もちろん」
にしてはそのましろちゃんの姿が見えない。
聖「ましろは私にとっての守るべき…って何言ってるんだ私は」
首を振る聖。少し顔も赤かったような気がする。
B.
遊佐「そんな性格でもスタイルが気になるのか?」
俺はおもむろにそう聞いて見た。
聖「む…どういう意味だ」
遊佐「いや、牛乳を飲む人は小さい事を気にする人が多いからな」
聖「…? 私はむしろ平均よりは高いんだが…」
遊佐「いや、なんでもない、気にしないでくれ」
感づく前にこの話は終わらせよう。気づかれたら俺も中島の二の舞になる。
聖「………? わかった」
分岐終了
聖「それじゃ、私はましろを待たせてる。また教室でな」
遊佐「おう、またな、月島」
聖「聖でいい」
遊佐「わかった、じゃあ次から聖と呼ばせてもらおう」
会計を済ませ、購買からすたすたと走り去って行く聖。
購買には喧騒と、うずくまっている中島と、俺が残された。
遊佐「俺たちも教室で食べるか」
俺も追うように、精算の後うなる中島を引きずって教室へと戻った。
最終更新:2007年04月08日 00:51