どれくらいこうしていただろう?
辺りはすっかり夕暮れ色に染まっていた。

かたんっ

遊佐「ん?」
杏「?」

振り向いた先には、聖が居た。
手に四角い包みを持って。

遊佐「ひ、聖!?」
杏「ね、姉さん!?」

慌てて離れる俺と杏。

遊佐「ど、どうしたんだ?」

とりあえず平静を装う俺。
いまさら遅い気がするけど。

聖「あ……」

聖は呆然とした様子で答えない。

遊佐「ひ、聖?」
聖「……な、なんでもない! じゃあな!」
遊佐「ちょ、おい!」

爆走して逃げ出す聖。
何か誤解してそうだ。

遊佐「すまん杏! とりあえず追いかけてくる!」
杏「……そうして頂戴」

何となくマズイ予感がする!

ドドドドドドドドド!

土煙をあげる勢いで爆走する。
音からしてすぐの廊下を爆走している!

ドドドドドドドドド!

後姿発見!

遊佐「聖! 待ってくれ!」

返事もしやしねぇ。
くそう。フルパワーだ!

ドドドドド――ビターン!

前方で聖が豪快にこけた。

遊佐「お、おい! 大丈夫か!?」

駆け寄るが、聖は立ち上がって再び走り出そうとしている。

遊佐「待てって!」

しっかりと腕を掴んで引きとめる。

聖「離せ!」
遊佐「話くらいきけよ!」
聖「嫌だ!」
遊佐「いいから聞け! って、お前」

泣いてる?

聖「うるさい! 離せ!」
遊佐「おい、大丈夫か?」
聖「うるさい……何でもない……」

だんだん声に力がなくなっていく聖。

遊佐「明らかに何かあるだろ。どうしたんだ?」
聖「お前には……関係ない……」
遊佐「さっき転んだからか?」

って、明らかにその量じゃないよな。

聖「うるさい……ぐじゅ……離せ……」
遊佐「分かった分かった。話が終わったら離すって」

だから暴れるのはやめてくれ。

聖「話……だと……?」
遊佐「お前が見た光景は、ただのハプニングだ。別にやましい関係とかじゃないぞ」
聖「ぐじゅっ、本当か?」
遊佐「本当だって。信じてくれよ」
聖「……分かった」

ふぅ。これで変な噂を流されたりとかの心配は無くなったな。

聖「じゃあ、何をしていたんだ?」
遊佐「え? えっと……」

どうしよう。
本当のことを言って良い物かどうか……。

聖「言えない様な事なのか?」
遊佐「ちょ、ちょっとだけ待ってくれ」

完璧な嘘はパッと思いつかないし。
そもそも杏と抱き合うような光景になる話って何だよ。
すると、やっぱり言わないと行けないんだろうか?
でも、全部丸々教えて良いんだろうか?
ぼかして伝えたほうがいいかな?
でも、聖に関係する事だし……。
あー。ゲームみたいにセーブできればいいのに!

聖「やっぱり、言えないのか?」
遊佐「……分かった。言うよ」

1.全部答える。
2.ぼかして答える

――――――1.選択時 聖固有17A
――――――2.選択時 聖固有17Bにそれぞれ続く
最終更新:2008年10月31日 01:45