ヴァスカトル

海を越えればそこは緑の大陸────そんな、敵国に面した黒の港街。
夜でありながらも人通りがそれなりにあるのは、此処が黒の大陸である由縁だろうか。

ヴァンパイアにサキュバス、スケルトン。歩く種族は様々であるが、中には夜遊びに向かぬ厳しい格好に身を包んだ者もちらほらと居る。
────万が一の敵襲に備える警備の者だ。
海辺や港の方に近付くにつれて、警備隊らしき衣裳の者は多くなっていく。
黒の大陸らしい夜のざわめきもある中、今が戦争中である事を忘れさせぬ一面もある。
この街はそんな街であった。

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緑の大陸に面した、黒の大陸にある港街。
敵対国家に面した街という事から、首都シヴィルザードまではいかずとも警備が厳しい場所である。

しかし内部から何らかの手助けでもあったのだろうか。金髪の獣人が街に侵入。
あろう事か街の警備情報を詳細に調べ上げ、逃亡の際表通りの一部を爆破して行方を眩ませた。
民間からの通報によりその情報を知った警備当局は、万が一の事態に備え警備を更に厳重化。
更には警備員の配置を変える事で、獣人に抜かれた情報の無効化を謀る事にした。

その後、収穫の月の半月の夜（第三世界暦2011年10月8日）────金髪の獣人の手引きに従い白緑の軍勢がヴァスカトルを襲撃。
しかし事前に警備を厳重にしていた事に加え、水色の髪のセイレーンにより襲撃情報が黒の大陸側に漏れていた事もあって街の防衛自体には成功する。
戦いに勝利したものの戦場となった街は人的被害こそ軽微ではあったが、一部の建物が倒壊し多くの船が壊されるなどと物的被害はそれなりのもの。
暫くの間、街は復興するために観光客が遠のき、青や赤の大陸行きの船の本数も減る事となる。

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