「おかしいのよね・・」
恒例のミユキさんのダンスレッスンの帰り道、アタシはラブや祈里と別れ、一人だった。
東せつな。
ラブが森の奥の占いの館で出会った、少女。
太陽の光を浴びていない青白い肌、生気のない瞳、
まるで一度も笑ったことのないようなぎこちない笑み。
ミユキさんともう会うなと言ったり、
アタシは初めて会った時から胡散臭いものを感じていた。
ブッキーも同じように思っているのかもしれない。
オウムのナケワメーケが現れた時、
ラブちゃんを傷つけるなんて許さない、そう言っていたのだから。
でも、彼女の魂胆がわからない。
ラブのことを恨んで・・ってことはないか。
アタシならもしかしたら自分の気付かないところで、
他人を傷つけているのかもしれない。恨みをかっているかもしれない。
けれど、ラブや祈里は違う。
ラブは他の人の痛みを自分の痛みとして感じられる子。
だから、せつなを疑うことのできないラブをアタシが守らなくちゃ。
でもどうやったら、ラブを守ることができるの?
と考え歩いていると、家の前まで来た。
あ、そうだ、
蚊を知り、己を知れば百戦殆からず
って言うじゃない。
敵情視察にせつなに会いに行けばいいんだ。
アタシ、完璧。
それを言うなら、彼を知り己を知れば百戦殆からず やろ――。
というつっこみがどこからか聞こえた気がした。
最終更新:2009年12月27日 17:30