純白の主


 吹き荒れる吹雪の中たどり着いたのは真っ白な居城。
 そこに住んでいた美しき白の城主は、一人ぼっちで虚空を眺めていた。
 これは城主を幸せにするための物語。






物語世界/用語解説/登場人物


物語世界

 現代とは軸のずれた中世欧州のだだっ広い平野。以前から冬になれば吹雪が降ることで有名だったその土地は、百年程前に来た異形の民によって吹雪の止まない世界へと変えられてしまった。吹雪の中心地である城には誰も近づけず、その辺り一体にはだれも住めなくなった。強大な力でもって領土を固めた彼らへの対抗手段はなく、為す術もなく明け渡すことになってしまう人々。彼らに幸いしたのは異形の民が城から外にはでなかったことであった。
 吹雪の地さえ侵さねば何もおきない。非干渉の隣人関係は上手くいっていた。



用語解説


尸人;この世に未練や強い感情を抱いたために魂が身体に留まってしまった死した者達。シュロスの『純白の印』によって、体内に生物を飼う事で生前と同じように動くことが出来る。生物から一定時間離れるとまた動かなくなってしまう。少女達のことを尸人形と呼ぶ。



登場人物

  (数字は登場順)反転で死因紹介。
1 城主 シュロス 2 裏英雄 誠二朗
4 ELDER リューゲン
5 TOYS サーベラス 11 TOYS オルトロス
3 DOLLS緑 フランチェスカ 6 DOLLS赤 アーデルハイト
8 DOLLS黃 ディートリンデ 9 DOLLS青 ベルンカステル
7 DOLLS紫 メルトイーリス 10 DOLLS緑 ティファニエル

1
【純白の主】シュロス・フォルラーツ・リースリング・アウスレーゼ
 雪の力を持つシュタインベルガー城の城主。その口付けは全てのものに命を与える『純白の印』という呪い。
 おっとりしていて世間知らず。強すぎる力とは対照的に検挙なお人で憎めない。Iカップ。
 『純白の印』によって無機物が動き出し、意志を持つ。逆に既に命のある生物に使うと二重生命になってしまい、死んでしまうか別の生き物が生物の体に生まれてしまう。
 口付けるという行為によって行われるので普段は支障がない。

2
【玩具の英雄】堂島 誠二朗
 猛威を奮う災害級の魔王を倒すべく向かったが惨劇の気配と人柄に同情、恋愛でない意味で惚れた。彼女を喜ばせるべく、呪いの新しい活用法を提案する。死体を生き返らせて仲間にするなんてことがあれば他人にも迷惑をかけない。
 かくいう彼の能力は『生き物を操縦する力』作ったロボ(玩具)に自らが乗って戦う事もあれば、矯正具のようにして他者を使うこともある。玩具自体も動かせるが意志あるものを使うほうが力を発揮できるらしい。

4
【金の尸人-ELDER-】リューゲン・アニミズム
 自らは動かない策略家。低い背と薄色の髪、金の目が特徴。道化のように飄々としていて狡猾。長い年月封じられた恨みをひた隠して権力者に従うフリをしながら自らの目的を進めていく狡猾さがある。
 とある民族のシャーマン。あまりにも力が大きすぎたために暗殺され、復活をしないように厳重に封印をされていた。有力な魂を求めて来た誠二朗が勝手に封印を解除し盗み出す。
 城での役割は魂の選別。屍の指揮者(かばねのしきしゃ)とも呼ばれている。

5
【黒の尸人-TOYS-】サーベラス
 黒い犬耳のパーカーに身を包む青年。いつもぼんやりとしていて話す速度も少し遅い。艶のある黒髪と赤い目をもっていて、彼の左腕は失われている。
 城での役目は魂を回収すること。犬の頭に食べさせる時に回収することが出来る。
 彼の能力は『死の侵食』、命を喰らう力。失われた左腕から三匹の黒犬の頭を取り出してあらゆる命を喰らう。犬に触れたら黒ずんでいき、全ての物資は炭化していく。黒犬は命を食料としているために定期的に食べなければならない。その合間に魂を取り出している。
 雪山での事故死。左半身が大岩によって潰れていた。同じ場所にいた友人達の魂も含めて一つの体になった。

11
【灰の尸人-TOYS-】オルトロス
 灰の髪を遊ばせたやんちゃな少年。一人称が「僕等」で瞳の色が左右で違う意外はどこにでもいそうな姿をしている。二人で一つの体にいるため、時々浮上する人格が入れ替わっているが情報は共有しているらしい。身体能力が高い。二対一体。
 生誕時に頭がくっついており、切り離そうとした時に死亡した双子の胎児。

3
【緑の尸人-DOLL-】フランチェスカ
 5歳の外見を持つお人形のような少女。緑のウェーブのかかった長髪と赤い目は生き返った際に与えられたもの。世間知らずでわがまま。自分のことを「フラン」と呼び、同じ言葉を繰り返す癖がある。一番年下だが一番最初に蘇ったとして「おねえちゃん」のつもりでいる。
 炎の紋章魔法を扱う。相棒はヒッポグリフのプッペ。
 シュロスに初めて創り出された命ある死体。幼くして死んでしまった彼女は死後木乃伊にされた。美しい外面のままお人形のように飾り立てられ、ガラスケースに入れて飾られる。毎日愛を囁かれ続けるが動けない。ねぇ出してよ

6
【赤の尸人-DOLL-】アーデルハイト
 10歳程度の外見を持つお嬢さん。腰の下まであるストレートの赤髪に青い目は生き返った際に与えられたもの。小さい姉妹に対しては姉としてしっかり者を装い年上には強く出られず声が小さい年頃の女の子。名前に誇りを持っていて、愛称の「ハイジ」や「アディ」で呼ばれることを極度に嫌がる。気丈に振る舞っているが、その実現状から一歩も動き出せないでいる。
 水の紋章魔法を扱う。相棒はグリフォンのルトカ。
 世界滅亡の予言を盲信した両親に氷漬けにされて眠らされ、シェルターに入れられる。未来で会おうと。機械の故障で凍死した彼女。シュロスに生き返らされ両親の元に行ってみると、二人は予言を前に自殺していた。滅亡しなかったのに。

7
【橙の尸人-DOLL-】ディートリンデ
 8歳程度の外見を持つ少女。足元まである艶っぽい橙髪を束ねていて、黄色の目は生き返った際に与えられたもの。同じ姿の姉妹とは色や左右対称の面立ちから見分けてもらえるのを喜んでいる。おっとりしていて食いしん坊。ベッキーのことを「シスター」と呼んで甘えている。
 電の紋章魔法を扱う。相棒はバジリスクのクークラ。
 ベルンカステルと元の個体は同じ。そのため全く同じ姿と同じ体、性格を持つ。病気はそれぞれに変容し変わっていたために、彼女が患っていた病はまた違う。光る瞳を持ち、功績が体を蝕む。

8
【青の尸人-DOLL-】ベルンカステル
 8歳程度の外見を持つ少女。足元まである艶っぽい青髪を束ねていて、紫色の目は生き返った際に与えられたもの。同じ姿の姉妹を「シスター」と呼んでいるが相手ほど執着してないため間違われていても気にしていない。時折体の節々が変化してしまうのは力の制御が上手く出来ていないためで、気を抜くと溶け出したり角が映えたりしてしまう。ドジっ子基質がある。
 風の紋章魔法を扱う。相棒はコカトリスのリャーリカ。
 原因不明の悪性ウイルスによって体を犯された個体を幾つものクローンにして実験を繰り返したものの一例。右目から角のようなものが生えている。全身が柔らかく骨が溶けたり再生したりを繰り返す病。その際可笑しな場所になることも。

9
【紫の尸人-DOLL-】メルトイーリス
 13歳程度の外見を持つ少女。切りそろえた紫髪を足元まで伸ばしており、橙の目は生き返った際に与えられたもの。不思議ちゃんで他者友馴れ合わない自由人。気まぐれだが遊び心があるため襲撃者や敵に対しては好戦的。退屈さえ紛らわされるのならそれでいい。
 岩の紋章魔法を扱う。相棒はマンティコアのパネンカ。
 死因は謎。黒い縁から助けだされたらしい。村人による謂れを執行され、死んだ所を生き返らされた。

10
【黄の尸人-DOLL-】ティファニエル
 15歳程度の外見を持つ少女。緩やかにカールした黄色の髪は腰の下まであり、緑色の目は生き返った際に与えられたもの。静かな人で、他の刺激に対して受動的。好きな植物は自分と同じように感じられて意思疎通が出来る。気は強いが優しさのあまり自分に被害が及んでしまうことが多々ある。守られるべき少女。
 花の紋章魔法を扱う。相棒はペリュトンのアルース。
 重い病気によって植物状態のまま生きながらえていた。脳による意思疎通から家族が彼女を殺せずにいたのだ。病気は治らないと言われる中いろんな人からの言葉を沢山貰った。長い時間を書けて進行した病気によって命は幕を閉じた。




まとめ。

シュロス・フォルラーツ・リースリング・アウスレーゼ 城主 純白の証
堂島 誠二朗 人間 玩具の英雄
リューゲン・アニミズム 尸人-ELDER- 屍の指揮者
サーベラス 尸人-TOYS- 死の浸食 (ケルベロス)
オルトロス 尸人-TOYS- 二対一体 (オルトロス)
フランチェスカ 尸人形-DOLL- プッペ(ヒッポグリフ)
アーデルハイト 尸人形-DOLL- ルトカ(グリフォン)
ベルンカステル 尸人形-DOLL- リャーリカ(コカトリス)
メルトイーリス 尸人形-DOLL- パネンカ(マンティコア)
ディートリンデ 尸人形-DOLL- クークラ(バジリスク)
ティファニエル 尸人形-DOLL- アルース(ペリュトン)



最終更新:2016年02月26日 17:02