悪夢を見た。
アレを悪夢と呼ばずして、何をそう称すればいいのか分からない。
千切れかけた片足を引きずり四つん這いで赤の軌跡を伸ばしているその男は今でこそ敗残者だが、数分前までは聖杯を求める葬者であった。
最優のクラスと呼ばれるセイバークラスを召喚し、わずかな期間のうちに二体のサーヴァントを葬った。
勝利は目前。そう驕ってしまうのも詮無きことと言える、それだけの戦果をあげていたのだ。
だというのに今、彼はすべてを失っている。
頼みの綱であり、共に理想を叶えるのだと誓ったセイバーは消滅し。
戦いの中、半狂乱になって全賭け(オールイン)した令呪は一画ぶんの元も取れていない。
片足は千切れかけてわずかな肉で繋がっているような状態で、生存を維持する運命力もじきに尽き果てること請け合いだ。
まさしく素寒貧。命を賭けた勝負に敗れた者の末路が、ここにはあった。
どこで足を踏み外したのかと問われたなら、それは間違いなくあの"怪物"に遭遇してしまったことだと断言する。
そして敵を頭の抜けた強者だと感じながら、か細いチャンスを掴もうと手を伸ばしてしまったこと。
もしや私達ならば、この怪物にも勝てるのではないか――
そんな夢を、見てしまったこと。
希望という名の甘い罠を踏み抜いた結果は地獄への転落だった。
最強と、無双と信じた朋友は、暴れ狂う怪物を前に十秒と持ち堪えることができなかった。
今目を閉じても鮮明に思い出せる。
怪物と呼ぶにはあまりに可憐で、しかし精霊と呼ぶにはあまりに恐ろしい。
この世の理から外れたような、神話の名画をその全身で体現するような聖性で空を舞う等身大の何か。
あの"美しき怪物"のことを、自分は何度の輪廻が廻っても忘れることはないだろう。
そう思えるほどの、あまりに燦然たる悪夢を、彼は見た。
男は、怯えていた。
死など恐れないと鼻で笑っていた筈だった。
男には理想があった。誤った世界を正すのだと、そう覚悟を決め立ち上がった過去があった。
なのに今、死(それ)が目前に迫ってみると、怖くて怖くて堪らない。
身体が震える。
全身の産毛が逆立っている。
歯の根が合わずに、哀れがましい演奏を繰り返している。
激痛を訴えている筈の足の痛みが、もはや気にならない。
死にたくない、死にたくない。終わりたくない、消えたくない――
そんな思いだけに突き動かされた死にぞこないの無一文が、這いずり向かっている先は教会だった。
宗教は、人類の最大の発明のひとつだ。
何かを信じる心は人に勇気を与え、そして人から恐怖と不安を取り除く。
生涯、一度として十字架に祈ったことなどなかった男だが、そんな彼でも今だけは神の威光に肖りたくて仕方なかった。
だから残された命と、残された運命力。
じきに消えるだろうその双方を燃料にして、必死で這いずる。
教会の門を叩き、中から薄明かりが漏れるばかりのそれをかすかな力を振り絞って押し開けた。
男は、怪物を見た。
怪物にすべてを奪われた。
絆も理想も、すべてあの"美しいもの"にかき消されてしまった。
このまま無念のままに死に行くことは耐えられない。
せめて最後に、気休めでもいい。
救いがほしい。
恐れなどではなく、絶望などではない、救いというものを抱いて召されたい。
そんな敬虔な思いを胸に、最期の力で押し開けた扉。
仄かな蝋燭の香りと、木の温かな湿気が肌に触れる。
ステンドグラス越しに射し込む月明かりのみが照らす、その聖堂の中で。
「――ようこそ。神の逐わす処へ」
男は――神に遭った。
美しくウェーブのかかった気品ある金髪。
白い、白磁と言ってもいい陶器のような肌。
見ようによっては女にも見える、整った容貌。
片目を隠す眼帯は、荘厳さを増さす宝具のようだった。
そして何より、その穏やかで優しい声。
響くテノールボイスの、なんと心に沁みることだろうか。
これに似たものを、魔術師は知っていた。
それは幼い日、まだ理想も世界の残酷さも知らずに暖炉の傍で父と語らっていた頃の記憶を思い出す。
先ほどまであんなに乱れていた心は、気付けば凪いだ水面のように安らいでいた。
恐ろしかった筈の死さえ、この冥界の塵になることさえ、今や毛ほども怖くはない。
神の実在という最大の救いを目の当たりにした今、男の心からすべての不安は払拭されていた。
「あ、ああ……」
主はいませり。
主はいませり。
神は、本当に実在(い)たのだ。
すべての父なるものは実在し、いつでも自分たち人間を見守ってくれていたのだ。
であれば、ああ、一体この世の何を恐れることがあろうか。
自分が恐れ、慌てふためいていた時もずっと、神はこうして穏やかに微笑んでくれていたのだと遅まきながら理解する。
「迷える者よ。お前の人生は、さぞや多くの咎と愚かしさに満ちていたのだろうが……」
神が手を差し出している。
なんと慈悲深い。
なんと美しい。
男はゆっくりと瞼を閉じた。
「感涙しろ。神は、悔い改める者には寛大だ。お前の罪はその死を以って許される。その魂、必ずや神の恩寵のままに安らぐだろう」
理想に狂い、世界を閉ざした。
自分を妄信し、その結果として蝋の翼は焼け落ちた。
そうして地べたを這いずり回るこんな愚者(じぶん)にも、神は手を伸べてくださるのだ。
生きていてよかった。
生まれてきて、よかった。
目を閉じながら、差し伸べられた手に応じるべく手を伸ばす。
その手が、偉大なる父に触れたかどうかを確認するまで彼の命は保たなかったが、それでもよかった。
きっとこの手は届いたのだ。
自分は、神に、赦されたのだ。
天使のラッパが聞こえる。
これはきっと幻聴ではない、そう信じよう。
長い長い人生の果て、酸いも甘いも噛み分けた数十年だったが、そんな愚者の道筋でも神は見てくれていた。
花畑が見える。安らぎの極楽がそこにある。
さあ、帰ろう。さあ、行こう。
主はいませり、主はいませり。
Amen(アーメン)。
◆◆
「ただいま、マスター。今帰った、よ…………」
都内某所。
由緒あるカトリック系教会の門扉を開いた銀髪の騎士は、その向こう側にあった光景を見て言葉を失った。
「おお、帰ったかランサー。お前はやはり素晴らしい信徒だ。神の意思を代弁することにかけて、その剣は無二の輝きを見せる。
無垢なる湖光、よく言ったものだ。その剣、その輝き、まったく神の旗を掲げるに相応しい」
「ああ、うん。それは嬉しいんだけどね……」
薄い蝋燭の灯り。先の大戦の戦火からも生き延びた、古く優しい木材の湿気。
月明かりを透過し色とりどりに輝くステンドグラス――あらゆる聖性がここにはある。
そんな教会の中にふたつ、異物があった。
「……マスターは何をしているんだい?」
教会の入り口付近で、何やら満たされた顔をして朽ちている男。
ランサーもその顔は知っていた。というより、つい先ほど踏み躙ってやった相手である。
自身の手にかかって消滅した脆弱なサーヴァント。それを連れていたマスター……葬者だった男が、右手を伸ばして死んでいた。
ランサーはこの聖杯戦争においても変わりなく絶対的な強者であり、最強種の名を欲しいままにする生物だったが。
かと言って、サーヴァントを失い消滅する以外に未来を持たない葬者をわざわざ追って屠るほど徹底してもいない。
マスターがそれを望むなら話は別だが、逃げた蟻を追うことに本気になる竜はいないのだ。
それに。彼は、明らかに永らえられる容態ではなかった。
だからどこぞで野垂れ死んでいるだろうと高を括っていたのだが、その相手がどういうわけか今、マスターの靴で足蹴にされている。
まるで害虫でも踏み殺すみたいに足を振り下ろしながら、たおやかな笑顔で自分を迎えてくれるマスター。
彼女も大概に自由奔放な質ではあったが、それでも時折、この男の奇行奇言動は常識を超えてくる。
「ランサー。お前は、人は変われると思うか?」
「……モノによるんじゃない? 変われる奴は変われるし、変われない奴は天地がひっくり返っても変わらないと思うけど」
「その通りだ。人は変われる。どれほどの咎人であろうとも、己が行いを悔い改め、神を信じて心から祈るならば赦しの機会は与えられるのだ。
神が人を赦さないのなら、この世に信仰は生まれない。神は慈悲深く寛大だ。だからこそ人は神に膝を突き、頭を垂れる。
そうして赦しを得た咎人が、敬虔な信徒になって新しい明日へ歩んでいく。神の見守る世界にて、本来あるべき形がそれだ」
まるで教鞭を執る教師のように両手を広げ、大袈裟なジェスチャーをしているその間も靴底は死者の顔に振り下ろされ続けている。
整っていた顔がだんだんと靴底の形に歪んでいく。
漏れた鼻血や、潰れた眼球。果てにはそれ以外の、もっと中から出てくる液体で染まっていく。
「その点、この咎人は利口だった。神の触覚たるお前に敗れたことで己の罪を知り、悔い改めるべくして教会の門を叩いたのだ。
おお、なんと殊勝なことだろう。神はそのいじらしさをしかと見ていた。故に手を差し出した。
お前は悔い改めた。今際の際にて己の愚かと決別し、敬虔なる神の信徒に変われたのだと。
神はそう認め、祝福のままにその生を締め括ることを許すつもりだった」
「ふうん。……それで? 今日は何が気に入らなかったのさ」
「愚問だ。この咎人は、"神の手を取ろうとした"」
何しろ、もうそれなりの日数の付き合いになる。
ここまでランサーが圧勝以外の形で戦闘を終えたことはなかったが、それでもマスターとの会話は相応にしてきている方だ。
だからこそ彼女は、己がマスターの言動の大枠の意味合いを理解できるようになっていた。
そう、大枠だ。彼の思想の輪郭は、極限を通り越して肥大化した自我(エゴ)により成っている。
見てくれだけなら、それこそ神々しささえ漂っている柔和な容姿。
穏やかに整ったその顔面に、厳しく皺が寄った。
隻眼が自我の形に歪む。そろそろ来るかな、とランサーは慣れた調子でそう思った。
「咎人というのはかくも愚かしく浅ましく、いっそ呆れるほどに面の皮が厚い。
神が少しでも甘い顔を見せたなら、自分が咎人であることを忘れて救われたような顔で縋ろうとする。
この男もまた、それだった。神の課す最期の試練において尚、その愚かしさを捨てることができなかった」
「少しは大目に見てあげればいいのに。今際の際だったんだろう?」
「ランサー。お前は、『蜘蛛の糸』という寓話を知っているか?」
ふう、と呆れ混じりの吐息を吐き出して教会の椅子に腰かける。
ここは教会、神の逐わす場所。
ただしその"神"が、広義のそれだとは限らない。
「悪逆非道の限りを尽くした咎人が地獄に落ちた。しかしその咎人は生前一度だけ、ほんの気まぐれで足元の蜘蛛を避けてやったことがある」
足元の蜘蛛を助けた話をしながら、足元の死体を踏みつけにする男。
なまじロケーションと顔がいいから、こんな狂気的な状況でもオペラか何かの一シーンのような風格が伴っているのがまた最悪だった。
「御仏はそんな咎人を憐れんで、地獄へ一筋の蜘蛛糸を垂らした。
極楽へと通じる、文字通り救いの糸だ。咎人は仏の慈悲に感謝して糸を上り始めたが、しかしここで問題が起こる。
舞い降りた奇跡へこれ幸いと、他の咎人たちも飛びつき始めた」
「へえ」
「咎人は大声をあげて、下りろ下りろと喚き散らした。身に余る慈悲を賜った身でありながら、その男自身には他人へ慈悲を授ける度量がなかったのだ。咎人が欲を剥き出したその時蜘蛛の糸は切れ、全員あるべき処へ落ちていった……。
ランサー。お前はこの話から学ぶべきことは何だと思う?」
「……独善的な行動は回り回って身を滅ぼすから、他人には優しくしましょう、とか? 僕としてはあまり柄じゃない答えだけど」
「"一度でもクズに甘い顔を見せると、どこまでも付け上がる"だ」
ぐしゃり、と、また靴底が振り下ろされた。
よほどの力で踏み締めているのか、もう既に笑顔で死んだ魔術師の顔は人相の区別が難しくなっている。
ぐしゃ。ぐしゃ。ぐしゃ。ぐしゃ。死人に鞭打つ神罰が、夜の教会で人知れず轟いている。
「世界を善くしたい。だから聖杯が欲しい。そのために民間人を殺し、魂を集めて糧にした……」
すうっ、と息を吸い込む音がした。
ランサーがおもむろに耳をそっと塞ぐ。
別に耳の痛いことを言われているからじゃない。
そうしないと、きっとすごくうるさい思いをするだろうな、と思ったからだ。
「そんなクズが! 然るべき試練も葛藤もなく!
ちょっとしおらしい顔して悔い改めたくらいで即! 救ってもらえるわけねぇだろうがァ――――ッ!!
死ね!! 今蘇ってもう一度死ね!! 神の!! 手を!! 汚そうとしやがってッ!!!
神を何だと思ってる!? お前のような筋金入りのクズはまず人に許してもらうところから始めてこいッ!
差し伸べられたからってすぐ手を取るな! 神はお前みたいなゴミに"触れていい"なんて一言も言ってねぇんだよカス野郎ッッ!!!
調子に!! 乗るな!!! 自分を知れ!!!!」
……絶叫、咆哮、いや癇癪とも呼べるだろう。
偏執狂のような金切り声をあげながら死体を蹂躙する葬者を横目に、ランサーは小さく嘆息した。
「他は申し分ないんだけどなあ」
まあ、数分もすれば収まるだろう。
そう思いながらランサーは、先の戦いを脳内で反芻する作業に移り始めた。
今まで戦ってきた相手に比べればまあ、骨のある部類だったと言えるだろうか。
あわよくば決まり手となったあの一撃を防いでくれるともう少し楽しめたのだが、そこまでを求めるのは酷かもしれない。
彼女は、竜だ。
彼女は、最強と呼ばれる生物だ。
美しく剣を閃かせ、麗らかに舞いながらすべての敵を屠る戦闘機。
その剣は無垢。その玉体は純真。
今はもう亡い、幻想の國からこぼれ落ちた尊いもの。
アルビオンの竜。
そして、今は。
神の近衛。
◆◆
「ふう、やはり咎人を踏み潰すとスッキリするな」
「それはよかったね」
男は、狂信者である。
彼の行動、意思決定の根底にあるのは常に信心だ。
神を信じ、そしてその意思に従い行動する。
彼という人間の行動原理はすべて信仰によって説明がつく。
ただひとつ勘違いしてはならないのは、彼の信じる神というものが既存の宗教に依るものではないということだ。
ランサーは、それを知っている。
召喚して程なく理解し、呆れたものだった。
彼女も大概に奔放な方だし、"ぶっ飛んだ"ものには縁もあった。
だがこうまで外殻からして荒唐無稽な主に巡り合うことになろうとは、さしもの彼女も思っていなかった。
「改めてご苦労だった、ランサー。神意を運び天罰を代行するその働き、神は誇らしく思うぞ」
ステンドグラスを背に立つその姿は、一見すると神父のように見える。
慈悲深く、他人の嘆きや痛みに寄り添い微笑む聖職者――
だが、その認識は絶対的、そして致命的に間違っていると言わざるを得ない。
「聖杯とは神の身許にあることこそ相応しい聖遺物。それを特段欲さないという敬虔さもまた宜しい」
「それほど興味もないからね。万能の願望器と言えば聞こえはいいけれど、たかだか核融合反応程度だよ。
わざわざ君と喧嘩してまでほしいかと言われると、まあそこまででもない」
「重要なのは誰の手元にあるか、ということだ。神として、かの奇蹟を取り戻さぬわけにはいくまい」
ランサーは、知っている。
彼が事あるごとに口にする"神"とは、特定の宗派における信仰対象を指しているのではない。
彼の神とは、己自身だ。
彼は他の誰でもない、自分自身をこそ信仰している。
自分という神が人々を導き、他者はそれを拝跪して受け入れるのが世界のあるべきカタチだろうと本気でそう信じているのだ。
神父などであるはずがない、こんな男が。
彼にとって神とはただの一人称だ。
自分は人界を旅立って冥界に足を踏み入れた神で。
この地にうごめく死者と、願いを求める葬者のことごとくを神の名の許に導き――そして自身の所有物である聖杯を回収する。
彼がかつてランサーに語った方針からしてそれだ。
驚くべき傲岸不遜、ありがた迷惑、そして信じられない唯我独尊。
死と隣接して更に輝きを増すマイソロジー。
そんな男が最強の生物たる、そして自分自身それを自認するアルビオンの竜を招き寄せ。
神の近衛と呼び、裁きという名の蹂躙劇を轟かせ続けている事実は――ある意味では順当な縁の賜物だったのかもしれない。
「ともに征くぞ、ランサー。神を指して死者と称するこの不遜な世界に、我らは神の威光を知らしめなければならない」
こんな人間もいるのか、とランサーは思った。
考え、行動、それの生む結果、彼に関してはすべてがめちゃくちゃだ。
彼は自分以外何も顧みない。
顧みているように見えたとしたら、それは彼が神として行動した結果生じた副産物に過ぎない。
生物学的には、間違いなく人間。
しかしそれ以外は、すべてが人外。
価値観も、能力も、何もかも。
彼のスケールは、人の器に留まっていない。
「――みんな、君みたいに生きられればいいのにね」
ランサーはそう言って、ステンドグラス越しの夜空を見上げた。
汎人類史を写した虚構の街。
かつて、異聞の史にて共に暮らした皆が辿り着けなかった世界。
今はもうどこにもいない、世界とともに消えていった者達。
そして、この手で終わらせてしまった最愛の光。
それに思いを馳せながら、かつての妖精騎士は身勝手の極みのような男に付き従っていた。
◆◆
地上に降りた、尊くまばゆい唯一神。
死の世界を、神の光輝が照らしている。
神は、取り戻せと仰せだ。
聖杯を。神の身許にあるべき、その奇蹟を。
神は、当然にして聡明だった。
そして、その魂は葬者としても極めて秀でていた。
それもその筈だ、彼は元から"葬る者"。
悔い改めるという言葉を駆使して屑を死に追いやり、神罰を名乗る地獄の葬者。
ゆえに神は、竜を呼び寄せた。
神敵の代表たる竜を呼び、神に従う剣として使役したのだ。
人界の神にして葬者。
神父にして、ギャンブラー。
名を、
天堂弓彦。
冠位の竜、暗き沼の妖精。
今はもう、妖精騎士に非ず。
神の近衛、
メリュジーヌ。
半殺し(ハーフライフ)では収まらぬ皆殺し(ワンヘッド)。
神域のタッグが、冥界という名の賭場に入場を果たした。
【CLASS】
ランサー
【真名】
メリュジーヌ@Fate/Grand Order
【ステータス】
筋力C 耐久A+ 敏捷B 魔力A+ 幸運B 宝具A+
【属性】
中立・悪
【クラススキル】
対魔力:B
魔術に対する抵抗力。詠唱が三節以下の魔術を無効化する。
大魔術・儀礼呪法を以ってしても、傷付けるのは難しい。
【保有スキル】
陣地作成:B+
本来はキャスターのクラススキル。魔術師ではないが、自身に有利な陣地を作り上げる能力。
自らの寝床を陰鬱な森の湖へと変質させてしまう能力は『陣地作成』スキルとして認識される。
妖精騎士:EX
妖精の守護者として選ばれた加護を表したスキル。妖精達の誓い。
対人・対文明に特化した自己強化だが、他の『妖精騎士』達への攻撃行動はタブーとされており、妖精騎士を殺めた妖精騎士は自己崩壊する。
ドラゴンハート:B
竜の炉心、あるいは竜の宝玉と呼ばれる、
メリュジーヌの魔術回路を指す。
汎人類史においては『魔力放出』に分類される、生体エネルギーの過剰発露状態。
"竜の妖精"として自身を再構築した
メリュジーヌは、竜種ではないものの竜と同じ生体機能を有している。
無窮の武練:B
汎人類史の英霊、ランスロットから転写されたスキル。
どのような精神状態であれ、身につけた戦闘技術を十全に発揮できるようになる。
過度の修練により肉体に刻み込まれた戦闘経験……といえるものだが、生まれつき強靭な
メリュジーヌにはあまり必要のないスキルだった。
このスキルの存在そのものを
メリュジーヌは嫌っている。生まれつき強い生き物に技は必要ないのである。
レイ・ホライゾン:A
イングランドに伝わる、異界への門とされる「地平線」「境界」を守る竜(ミラージュ)の逸話より。
メリュジーヌはあくまで『妖精』としての名と器であり、本来の役割は『境界』そのものである。
……
メリュジーヌ本来の姿に変貌するための手順。
【宝具】
『今は知らず、無垢なる湖光(イノセンス・アロンダイト)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1匹
自らの外皮から『妖精剣アロンダイト』を精製し、対象に叩きつけるシンプルな宝具。
ランスロットのアロンダイトの槍版。ダメージは低いが、回転率はトップランク。
まるで通常攻撃のような気軽さで展開される宝具。なぜダメージが低いかというと、
メリュジーヌにとってこの宝具はあくまでランスロットの宝具であって自分の宝具ではない借りもの(偽物)だから。とのこと。
『誰も知らぬ、無垢なる鼓動(ホロウハート・アルビオン)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:20~500 最大捕捉:500匹
第三スキルによって『本来の姿』になった
メリュジーヌが放つドラゴンブレス。
『本来の姿』になった
メリュジーヌはもはや妖精と呼べるものではなく、その威容の心臓からこぼれる光は広域破壊兵器となる。
その様は境界にかかる虹とも、世界に開いた異界へのゲート(異次元模様)ともとれる。
使用後、
メリュジーヌは『そうありたい』と願った妖精の器に戻れず、人知れず消滅する。
異聞帯のアルビオンは『無の海』を飛び続け、やがて死に絶えたが、どの人類史であれ『星に帰り損ねた竜』は無残な最期を迎える、という事の証左でもある。
【weapon】
『妖精剣アロンダイト』
【人物背景】
妖精國ブリテンにおける円卓の騎士、その一角。
汎人類史における円卓の騎士・ランスロットの霊基を着名した妖精騎士。
ブリテンでただ一種の"竜"の妖精。
【サーヴァントとしての願い】
特になし。マスターにくれてやるつもりでいる。
【マスターへの態度】
大切にしてくれるので悪い気はしない。その尊大も好ましい。ただ時々何を言っているのかよく分からない。
……"彼女"もこんな風であれたなら、この世界でも強く生きられたのだろうか。なんて想いも、少しある。
【マスターとしての願い】
聖杯とは神にこそ相応しき聖遺物。
ならばその輝き、神の袂に還るべし。
むろん、神とは私のことを指す。
【能力・技能】
ギャンブラーとしての常軌を逸した才覚と頭脳。
更にはわずかな手の動きでカードの配置を当てるほどの驚異的動体視力。
以上を非常に高い水準で併せ持ち、神がかった采配で愚かな衆生に天罰を下す。
そして、『神』への絶対的信心。
天堂弓彦の行動はすべて、神の教えを貫くことに帰結する。
むろん、神とは私のことを指す。
【人物背景】
神。
【方針】
聖杯を"取り戻す"ことは前提だが、神は寛大である。
迷える者がいるならば導き、悔い改めない咎人がいるならば罰を下す。
むろん、神とは私のことを指す。
【サーヴァントへの態度】
愛すべき従僕。その無垢さも含め、神の近衛として働くに足る器と認定。
むろん、神とは私のことを指す。
最終更新:2024年05月04日 09:12