廃墟と化した都市を駆け抜ける。
 幾体もの死霊を引き連れて――否。追い立てられて。
 死霊の群れは、明確に俺を獲物と見做している。
 俺もかつては(あるいは今も?)彼らと同じようなモノだったというのに。

 どうあれ、襲い掛かってくるのなら、今自分にできるのは逃げる事だけだ。
 瓦礫を跳び越え、路地裏を駆け抜け、まだ機能する扉を開け放ち逃げ道を捜す。
 開けた扉は、可能な限り閉めておく。死霊相手に物理的な壁は効果が薄いが、全く無いという訳ではない。
 厳密には違うが、吸血鬼が招かれてない家に入れないのと同じだ。彼らの能力を以ってすれば、扉はおろか家屋ですら容易く壊せるはずなのに、だ。

 つまり重要なのは、“遮られている”という事。
 こちらに危害を加えるには物理的な干渉力を上げる必要があるが、干渉力を上げれば壁にも干渉してしまい、迂回しなければこちらに触れないという訳だ。
 ……まあ、干渉力を下げれば簡単にすり抜けられるため、結局は時間稼ぎにしかならないのだが。

 そうやって稼いだ僅か時間で、少しでも安全地帯へ近づこうと早く走っていく。
 安全地帯に辿り着けさえすれば、死霊たちはもう追ってこられない。
 そしてその安全地帯は、もうすぐで目の前に―――

「ッ、―――………!!」

 安全地帯へと近づいたことで気が緩んだ、一瞬の隙を突かれた。
 地面からヌッと飛び出してきた死霊の爪に、踏み出した右脚を引っ掻かれた。

 肉体的な傷はない。だが一瞬の虚脱感にバランスを崩し転倒してしまう。
 すぐに起き上がり再び駆け出そうとするが、同時に獣の息遣いが微かに聞こえてきた。
 それは俺がとっていた進路の先へと、回り込むように移動している。

「くそ……っ」

 転倒前ならいざ知らず、今からでは確実に待ち伏せされる。
 獣を避けるように進路を変更。安全地帯へは、別の道を探さす必要がある。

 急がなければ。
 ここは常人なら十分程度しか持たないという冥界の淵。
 俺なら遥かに長く耐えられるだろうが、それでもあまり時間は残されていない。


      §


 半ば引きずるように右脚を動かし、少しずつ前へと進んでいく。
 視界に映る情報から、ここは学校だと判別できる。
 と言っても、とっくの昔に廃校となり、長い間うち捨てられたような状態ではあるのだが。
 まあ、安全地帯の外が廃墟であり、そこに建てられた建物である以上は当然だろう。


 最初の失敗でケチが付いたのだろう。安全地帯への移動は、思うように上手くはいかなかった。
 連中のどこにそんな知恵があったのか。どのルートから進もうと先回りされ、獣か死霊の群れに待ち伏せされる。
 強引に突破しようとすれば苛烈に襲い掛かってくるくせに、安全地帯から遠ざかる様に逃げる際にはあっさりと見逃してくる。
 気がつけば安全地帯に辿り着くどころか、そこへ至るルートは総て潰され、この学校へと追い詰められていた。
 おそらく、指揮官の様な個体が混ざっていたのだろう。

 最初の段階で無理矢理にでも突破しておくべきだったと、今にして思う
 一般人が冥界に耐えられる十分はとうに過ぎ去った。
 運命力を消耗している影響なのか、右脚は死霊の爪に引っ掛けられた場所を起点に黒く染まってゆき、今ではほとんど感覚がない。
 強引に突破しようした際に獣に抉られた左脇からは、血と一緒に自分を構成するナニカが零れ落ちていくようだ。
 意識が、少しずつ朦朧としてきている。
 死者へと――かつての俺へと、近づいてきているのだ。

  ――――――、憎い。

 ふと、そんなことを思う。
 死霊たちがなぜこんな回りくどい方法をとっているのか、少しだけ理解する。
 要するに憎いのだ。死者として生まれながら、生者としてここにいる俺のことが。
 自分たちはどれだけ運命力を奪っても生者に成れないのに、なぜお前だけが、と。
 バカな話だ。“そんな”だから生者に成れないのだと、彼らは永遠に気付けない。

 おぼろげな意識の中、前方に見えた影に足を止める。
 死霊でも、獣でもない人型。シャドウサーヴァントだ。
 あれが指揮官個体なのだろうか。
 そう思っていると、その影霊は己が右手に持った何かをこちらへと向けてくる。
 それが銃だと気付き横に飛び退くのと、影霊がその引き金を引いたのは、ほとんど同時だった。

 廊下へと倒れこみ、銃声が響き渡る。
 飛び退いた先は偶然にも階段だった。
 即座に起き上がり、可能な限りの全力で階段を駆け上る。
 当然、万全の状態とは程遠い身体だ。上へ向かう速度はそれほど早くはない。
 だが相手も積極的にこちらを殺す気はないようで、すぐに追いつかれそうな気配はない。
 ………だが着実にこちらを追跡していることだけは、背後から迫る殺気から感じ取れた。




 ……そういえば、あの時もそうだったな、と。ふと思う。
 俺という存在の始まりは、電子で構成された学園だった。
 だがその学園は聖杯戦争の予選の舞台で、モラトリアムが終わると同時に崩壊した。
 そしてその時も俺は、こうして傷だらけになりながら何かに追われていたのだ。
 あの時は(した)に向かって逃げ、今回は上に向かって逃げていることだろうか。

 階段を駆け上った果てにある扉を開き、その先へと進む。
 そこは屋上だ。
 一気に広がった視界に目を眩ませながらも、一部が壊れた転落防止柵の向こうに広がる光景を■■の宿った眼で静かに見据える。
 学校の周辺、一面に広がる廃墟と、その向こう側に見える、俺が辿り着けなかった安全地帯。

  ――――――憎い。

 その光景が、憎くて憎くてたまらない。
 どうして俺がこんな目に合わなければならないのか、という憎しみ(思い)が胸の内を黒く染めていく。
 復讐を。報復を。そう叫ぶダレカの声が、頭の中で反響している。
 まるで血と共に憎悪以外の感情が零れ落ちたかのよう。

 ……ああ、解っている。
 それこそが死霊たちの目的。
 かつては自分たちと同じだったはずの存在を、失意の果てに、再び自分たちと同じ存在へと落そうとしているのだ。
 そしてその目的は、今まさに果たされようとしている。
 連中の思惑通りだと理解していながら、憎しみが溢れ出して止まらない。
 ――――――だが、それでも。

 ガゴン、と。屋上と校内を隔てる扉が蹴破られる。
 その音に、この場所はまずい、と逃げ道を捜す。だがここは屋上。逃げ道など、あるはずもない。
 シャドウサーヴァントが、蹴破られた扉の向こうから姿を現す。その手の銃は、ピタリと俺へと向けられている。
 ……ここまでか。
 そんな諦念が、不意に胸中を過ぎる。
 影霊が指に力を籠め、銃の引き金が引き絞られ、キチリと小さく音を立てる。

 ………………諦めるのか?
 そんな問いかけが、不意に胸中から沸き上がる。
 諦めるのか? こんな所で、あんな連中に、いいようにされたままで終わるのか?
 そして連中と同じ存在に成り果てて、ここを訪れた生者(だれか)を恨むのか?

 ――――――否!
 と、問いかけに答える様に、誰かの声が胸の内に響き渡った。

 撃鉄が落ちる。
 火薬が炸裂し、弾丸が放たれる――その刹那に、どうにかその射線上から飛び退く。
 躱しきれず、左頬が浅く抉られる。構うことなく、屋上の橋を目指して全速力で駆け出す。
 そこは壊れ、転落防止柵がその用を成さなくなった箇所。

 殺気を通して感じる、俺の背中に銃口が向けられた気配。
 構わず屋上の縁を踏みしめ、その外側へと目掛けて跳び出した。
 自棄になっての自殺? 違う。殺される恐怖からの逃避行動? それも違う。

 俺は、死霊とは違う。
 死霊たちは全てを憎んでいる。そして憎しみとは過去だ。
 過去に囚われているから、死霊たちは憎しみに囚われている。
 つまり、“今を生きていない”のだ。
 だから死霊は生者に成れない。
 たとえどれだけ運命力を奪おうと、過去に執着する存在に、“今を生きる者”である生者に成れるはずがない。

 そしてそれが、俺と死霊たちとの違いだ。
 確かに俺にも憎しみはある。かつては月の全てを憎んでさえいた。
 けど今は違う。今は、そんな憎しみ(過去)よりも、未来を見たい。
 怒りと憎しみ。それが俺の本性なのだとしても、未来を見るために、俺は前を向いていたいのだ。
 だから―――

 途切れる足場。落下が始まれば、この身は遥か下の地面に叩き付けられるだろう。
 だがそれでも視線は前へ。
 飛び出した方角は、奇しくも安全地帯のある方向。
 その場所を、今を生きる者達が未来を夢見る場所をまっすぐに見つめる。

 そうだ。だから俺は、死霊へは戻らない。お前らに殺されてなんかやらない。
 加速を失い、落火が始まる。
 それでも、この身体は前へ。この眼は、一秒でも、一瞬でも長く、未来を見届けるために―――

「――――――よく吠えた。
 よかろう。己が死を目前にしてなお未来を目指すことを止めぬその瞳の輝きを以って、貴様が余の葬者(マスター)となることを許す」

 廃墟の校舎に唐突に、そんな言葉が響き渡った。
 同時に溢れ出す、薔薇色の魔力の嵐。
 落下していた俺の身体は、その魔力の中から伸ばされた腕によって受け止められ、地面との激突を免れた。



「セイ、バー……?」
 聞き覚えのある声に、思わずそう口にする。
 その直後、俺の身体がその腕から地面へと投げ出される。
 堪らず苦悶の声を溢すが、屋上からの落下に比べればはるかにダメージは少ない。

「否。余は貴様の知るセイバー……皇帝ネロにあらず。
 我が名はドラコー。ソドムの獣、ドラコー。
 クラスは、そうだな───アルターエゴ、という事にしておくか」

 その言葉に、声の主の方へと視線を向ける。
 そこにはセイバーを――皇帝ネロを幼くしたような風貌の少女がそこにいた。
 だが一目見て理解する。その言葉通り、この少女は皇帝ネロではない。もっと恐ろしい、別の何かなのだと。
 赤い瞳、赤い鱗に覆われた右腕や人には在り得ない尾など、純粋な人間なのかすらも怪しい。
 クラスを“アルターエゴという事にしておく”と言っていた事と、何か関係があるのだろうか。

「貴様、名は?」
「……ハクノ。岸浪ハクノ
岸浪ハクノ……そうか。完全な別人でありながら、姿形だけでなく名もよく似ているか。
 ……あるいはそれが、余と貴様を結んだ縁の一つなのやもしれぬな」
 自らをドラコーと名乗った少女は、感慨深げにそう呟く。

 そうこうしている間に、ザリ、と地面を踏む音が響く。
 目を向ければ、その気は先ほどまで俺を狙っていたシャドウサーヴァント。
 こちらを追うように、ヤツも屋上から跳び下りてきたのだろう。
 体の痛みを堪え、どうにか立ち上がる。今度は逃げるためではなく、立ち向かうために。

「ドラコー、君のことは何と呼べばいい」
「好きに呼ぶがよい……ああ、ネロ・ドラコー、でもかまわぬぞ」
「じゃあそのまま、ドラコーって呼ばせてもらう」

 アルターエゴでは呼びづらい。彼女は構わないと言ったが、ネロと呼ぶのも違うだろう。
 故にドラコー。
 彼女の正体に直接繋がる様な名ではなさそうだし、セイバーと区別するためにもその方がいいだろう。

「それでドラコー、行けるか?」
 周囲を見渡しながらそう問いかける。
 敵はシャドウサーヴァントだけではない。彼女の魔力に触発されたのか、死霊や獣たちも姿を現している。
 だがそれらを前にしても、ドラコーの余裕は微塵も崩れることがない。

「誰に向かって言っている。
 この程度の前菜、容易く喰らい尽くしてくれよう」
 そういうやドラコーは左手を掲げ、その手に黄金の杯を顕現させる。

 同時にシャドウサーヴァントが動き出す。
 いつの間にか両手に握られていた二丁拳銃の銃口が、ドラコーへと向けられ連続で火を噴く。
 対するドラコーは右腕を大きな赤龍のものへと変化させ、放たれた弾丸を受け止め弾く。
 それを開戦の合図として、死霊と獣たちが飛び掛かってくる。
 だがドラコーはずるりと尾を立たせると、その先端からレーザーのように魔力を放射。
 そのままぐるりと尾を回転させ、あまりにも容易く死霊と獣たちを壊滅させた。

 だがただ一人、シャドウサーヴァントだけはその魔力熱線を回避し、こちらへと接近してくる。
 たとえ影に過ぎずとも、英霊の一騎だという事か。
 竜のものと化した右腕から機関銃のように魔力弾を放って追撃を行うドラコーへと、シャドウサーヴァントは武器を両剣へと持ち替え、それを高速回転させることで魔力弾を弾き肉薄する。
 竜の尾から放たれたレーザーの威力は驚異的の一言だ。
 故に、銃による遠距離戦ではなく剣による接近戦に勝機を見出したのだろうか。

 ――だが、たとえ幼い少女のような外見をしていようと、ドラコーは決して並の英霊ではない。

 魔力弾の雨を切り抜け、鬱陶し気に払われた竜の右腕を躱したシャドウサーヴァントは、その勢いのままドラコーの首目掛けて両剣を振るう。
 しかしその刃が届くより早く、ドラコーの華奢な両脚が赤龍の鱗に覆われ、シャドウサーヴァントの胴体を蹴り穿つ。
 そのまま蹴り飛ばされたシャドウサーヴァントは即座に体勢を立て直し、再びドラコーへと肉薄しようとするが。

「朽ち果てよ……」

 ドラコーの左手に掲げられていた杯が傾けられ、黒い泥が零れる。
 滴り落ちた泥は瞬く間に地面を――シャドウサーヴァントの足元を覆い尽くし、
 直後、黒い魔力の嵐が炸裂する。
 その黒い嵐が収まった時には、シャドウサーヴァントの姿はもうどこにも残っていなかった。



「質も量も三流か。だがまあ、死霊や影程度ではこんなものか」
 あまりにもあっけない決着に、ドラコーはそう愚痴を溢す。
 だが俺の方は、ようやく訪れた決着に気が抜け、一気に意識が朦朧とし始める。
 もとより冥界での活動限界はとっくに超えていたのだ。
 ドラコーとの契約で一時的に持ち直したとはいえ、それももう終わりだろう。

「ドラコー……あとは、たの……んだ…………」
 辛うじてそう言い残し、再び地面に倒れ伏す。

「む、おい待たぬか! 始まってそうそう、負けもしておらぬのに脱落など、さすがの余も怒るぞ!
 おいマスター! 聞いているのか!? おい――!」

 薄れゆく意識の中、彼女の声に、不意にセイバーを思い出す。
 皇帝ネロとドラコーは別の存在だが、やはり根本的なところでは、何か繋がりがあるのかもしれない。

「むう、このままではまずいな。早急に会場――安全地帯へと運ばねばならぬか。
 …………しかしまさか、このような形で“東京”に行くことになるとはな」

 だからだろうか。
 瞼が落ち切る寸前に見えた彼女の赤い瞳を、星の様だと、何の意味もなくそう思った――――。


【CLASS】
アルターエゴ?

【真名】
ソドムズビースト/ドラコー@Fate/Grand Order

【ステータス】
筋力B 耐久B+ 敏捷A 魔力A 幸運D 宝具B

【属性】
混沌・悪・獣

【クラススキル】
○獣の権能:C
対人類、とも呼ばれるスキル。
英霊、神霊、どちらであろうと“人間”と交わりのあるものからのダメージを削減する。

○単独顕現:E
単独で現世に現れるスキル。『単独行動』のウルトラ上位版。
このビーストは気まぐれらしく、一都市を滅ぼした程度で気が済むようだ。
また、このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示している為、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の攻撃を無効化するばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。

○ネガ・メサイヤ:EX
反救世主として人類によって付加されたスキル。信仰による加護をすべて無効化する。
また、救世主の名を冠する特殊クラスに有利が付き、彼等の特殊スキルを弱体化させる隠し能力が存在する。

【保有スキル】
○獣の数字:C
ビーストⅥが持つ固有スキルが劣化したもの。自らに刻む、666の『獣の数字』。
自身に6ターンに亘る魔力獲得、6回のクリティカルダメージ+、6回のダメージカットを付加する。

○七つの獣冠:C
黙示録の獣、神を冒涜するもの、都市を破壊するものを表す角。
七つの王冠に対応し、それぞれ固有の能力を向上させる。
一つ一つのバフ効果は低いが、このバフは使えば使うほど後半のバフ威力が向上していく。
七つ目のバフは破格の威力となるだろう。

○黄金の杯:C
富、酒、黄金、伴侶、恋人――人間が抱くであろう欲望を絶え間なく沸き立たせる墜落の聖杯。
敵全体に有利な効果を与えるが、その代償としてHPを半減させる他、不利な効果も発生させる。
FGOにおいてはクラスの違いからか、スマホ版とAC版で発生する効果が異なる。
ただしHPの半減については、どちらであっても攻撃モーションとして表現されていると思われる。

【宝具】
○ベイバロン・ドムス・アウレア
『抱き融す黄金劇場』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:7人
左手に持った盃から泥を溢れさせ、ドムス・アウレアの黄金劇場を構築。
相手を黄金劇場に閉じ込めた後、七体の魔獣赫によって一斉に蹂躙し、黄金劇場ごと粉砕・殲滅する。

ネロのドムス・アウレアのビーストバージョン。捕捉人数が7人なのは七クラスを相手にするという意味が込められている。
皇帝ネロは人々を招き、歓楽で包み込もうとしたが、ドラコーは人々を閉じ込め、絶望で救おうと考える。

○プレテリトゥス・リンブス・ヴォラーゴ
『今は旧き辺獄の底』
ランク:? 種別:対都市宝具 レンジ:?? 最大捕捉:不明
『黄金の杯』より溢れる泥に身を浸し、一時的に天動説体(Arcadeにおける成体のビーストとしての姿)へと成長することで霊基出力を大幅に向上させる。
ただし、見た目こそ成体と同じだがArcadeの時ほどの巨体ではなく、一般的な人類の規格に収まったナイス・バディな成人の女性体となっている。

攻撃として使用する場合は、天動説体への成長後に魔獣赫が天から地表を貫き、赤き血潮を地上へと放出。
大規模な津波を引き起こし、対象となる人間はもちろんその場にある建物や瓦礫なども巻き込む。
津波に飲み込まれたそれらは攪拌され、身動きも取れぬまま互いへと直撃しダメージを受ける。

この宝具は本来、現在の霊基フォーマットでは使用できない。
現在の彼女がこの宝具を使用できるのは、マスターの影響によるものと思われる。
そのためか、宝具のルビも本来の読みとは異なるものとなっている。

【weapon】
黄金の杯から溢れさせた泥や光、竜鱗をまとった右腕や両脚、召喚した魔獣赫などによる攻撃を行う。

【人物背景】
Fateシリーズにおける皇帝ネロを幼く、竜人のような姿にした少女。
瞳は赤く、右腕と両脚も竜の如き赤い鱗に覆われており、竜の尾すら生えている。

その正体は、Arcade版における物語の黒幕であり、人理の全てを完全な終わりへと導く「人理消滅」を目的とする人類悪。ビースト=Ⅵ。
しかし並行世界のカルデアに敗れ、本人もその事実を受け入れ、殊勝にも『極めて普通の、人類に合わせた』霊基フォーマットで召喚されている。

【サーヴァントとしての願い】
特になし。
並行世界の『月の王』に似た現在のマスターの道行きを愉しみとして召喚に応じた。

【マスターへの態度】
サーヴァントとして指示には従うし、必要とあれば意見もするし知恵も貸す。
しかし不機嫌そうな態度は基本的に崩さず、マスターの苦悩や足掻きに愉悦を見出す。
(ただしそれは、自身のマスターが『小さくとも確かな光明になる人間』であることを期待しているため)


【マスター】
岸浪ハクノ@Fate/EXTRA Last Encore

【マスターとしての願い】
聖杯に託す願いはない。
こうして今『生きている』以上、最後まで生き抜く。

【能力・技能】
○死相(デッドフェイス)
自身に内包した死者の怨念の力を引き出すことによる強化現象。
発動すると全身が黒く染まり憎悪の仮面を被った様な姿へと変貌する。
この状態では人間離れした運動能力や異常なまでの不死性、内包する死者の経験や能力・コードキャストを使用できる。
ただし、行使できる死者の能力・コードキャストは一度に一つまでであり、また「使いすぎると死者の相に乗っ取られてしまう」というデメリットもある。
加えて岸浪ハクノの場合、ある理由から不死性はほぼ失われており、現在は“死に難い”“傷の治りが速い”程度に留まっている。

【人物背景】
『Fate/EXTRA Last Encore‎‎』の主人公。外見は『Fate/EXTRA』の主人公「岸波白野」(男)と全く同じ。
月に存在するあらゆる願いを叶える力を持った霊子コンピュータ「ムーンセル・オートマトン」。
その内部につくられた霊子虚構世界「SE.RA.PH」で起きた月の聖杯戦争、そのあり得ざる129人目にして最後のマスター。
外見が似たEXTRAの主人公と比べると冷めた反応に無感動な佇まいをしているが、人間的な感情が無い訳ではない。

その正体はムーンセルにおける数多の敗者の記憶(死者の怨念)から生まれた、死の集合体とも呼べる存在。
そのため、原作の岸波白野とは明確に別人(『Last Encore』における原作の岸波白野の性別は女性)。
外見が岸波白野(男)と酷似しているのは、メタ要素を除けば、岸浪ハクノを構成する敗者の意識に岸波白野(女)も含まれていたが故の偶然(あるいは必然)だろう。


ムーンセル中枢を目指す戦いの終盤で、生者しか持ちえない『生存への願い』を獲得する。
それにより、『既に死亡している』ことに起因するデッドフェイスの不死性を失ったが、同時に『死者には生者の影は掴めない』という理屈から他のデッドフェイスに取り込まれる危険性もなくなった。
そして最後に待ち受ける者を越えてムーンセル中枢へと辿りつき、そうすることで自身が消滅することを理解した上で、未来へ向かうためにその願いを叶えた。

【方針】
交戦は避け、まずは情報収集。
その後どうするかは集まった情報や他のマスター次第。

【サーヴァントへの態度】
セイバー(ネロ)を幼くしたような外見に若干の戸惑いはあるが、そういうモノだろうと受け入れている。
そのため、皇帝ネロと混同して扱う事は基本的にない。

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最終更新:2024年08月24日 14:54