アットウィキロゴ
特別な事じゃない。
誰だって
誰かを失っている。
誰も死なない世界は
存在しない。

another『病ツン』

これは
とある国の
とある病院の

兄妹のお話。





~奇跡の二人~

憂鬱だ。それはもう、憂鬱だ。何故かって?…入院したからだ。
俺がだ。いや、『俺も』だ。
どうやら神様は、中々に性格が悪いらしく…オマケまでつけてくれた。

ツン妹(以下、ツン)
「兄さん!通路の真ん中で亀さんのように歩かないで下さい!」

…元凶は背中にいる。
ツン「…全く…」
ツン兄(以下、男)
「はいはい」
ツン「…はい、は一回で良いんですよ」
男「肺」
ツン「…何か今発音が臓器っぽかったですが、良しとしましょう」
俺達は病気だ。俺は肺炎、妹は…解らん。とりあえずは検査入院で詳しいことは解っていない。
ツン「…兄さん!」
男「ふへ?」
ツン「…聞いてなかったんですか?」
男「うん」
ツン「…はぁ。も、もう一度だけですよ」
心なしか顔が赤い。
ような気もする。





~奇跡の二人2~

ツン「入院中も、もし兄さんが寂しくなったら、病室に来てもいいんですよ?」
…。
男「そんなこと言って、お前が来て欲しいんじゃないのか?」
ツン「バ、バカでしょう兄さん!兄さんなんか居なくても私は寂しくなんかありません!!!」
男「またまた~」
からかうのは実に楽しい。いや、全く。

ツン「う」
ツン「うぅ…」
ツン「兄さんのアホー!」
男「のわっ!」
体当たりして、大声上げながら走りさっていった我が妹。
男「病院ではお静かに…&走るなよー」
聞こえないだろうけど、言ってみました。

男「…しかし…」
男「双子が同時に入院とか、何かのネタとしか思えないぞ」
独り言は周囲の目線が痛い。キニシナイ。
男「本にしたら、ベストセラーに!」
…………。
男「あほらし。病室行こう」

…かったるい病室生活が始まる。





~慣れた?~
男「…暇だ」
暇だ。
男「…」
暇過ぎる。
看護師「仕方ないわよ…それが病院ですもの、いいかげんに慣れなさい」
男「いや、暇なもんは暇です」
点滴中は尚更。
ツン「兄さ…って、点滴中ですか」
看護師「あ、いらっしゃいツンちゃん」
ツン「こんにちは」
看護師「こんにちは」
ツン「…あとどれくらいで兄さんの点滴は終わります?」
看護師「そうね…一時間ぐらいかしら」
ツン「一時間…」
看護師「ツンちゃんはお兄さんと早く遊びたくて仕方ないのねっ」
ツン「そ、そんなんじゃありません!断じて!ただ兄さんでも捕まえてトランプでもしようかな…と」
看護師「兄妹そろって暇そうねぇ…」
ツン「…暇になれちゃうとダメになりますよ?何かしてないと」
看護師「慣れも大事だと思うけど…」
男「…………暇だ…」





~トランプwar~
男「革命」
ツン「革命返し」
男「革命返し返し」
ツン「革命返し返し返し」
男「革命返し返し返し返し」
ツン「…」
男「…」
ツン「…二人でやるものでは無いですね、大貧民」
男「全くだな」




~第二次トランプwar~

ツン「えい」
患者1「うりゃ」
男「てい」
患者2「はい」
ツン「むぅ…」
患者1「あがり!」
男「くぅ…」
患者2「あがり♪」
患者2「さぁ、これで双子のどちらかが私たちにジュースをおごってくれるのね♪」

男「…すまん、妹…いま兄は鬼になる…」
ツン「むぅ…」
男「…お前の手札は解っている。13だ。勝つのは俺だ」
ペシ。1。
ツン「(計 画 通 り!)」
ツン「…兄さん?本当なら私は負けていました…ですが!私はカードを重ねて一枚に見せかけていたんですよ!」

ペシ。2。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


男「ちくしょう!」
ツン「まっとうにカード出していたら、記憶力の良い兄さんには勝てません…」
男「良いのか!俺は確かに負けた!負けたが、俺は兄だ!兄をパシらせたあげく、おごらせるなんて…世間が許すわけがない!」
ツン「そうかもしれません。しかし、私が勝ったのだから仕方ありません」
男「(言っても解らぬ馬鹿ばかり…)」
…。
ツン「解ったからはやく行って下さい」
男「ち、ちくしょう…」
480円出費した、失うものばかりの戦争がここに終結した…。




~コスプレするのなら、魂までキャラになりきってからだ~

男「…」
ツン「…」
看護師「…」
男「なぜツンがナース服を来ている?」
ツン「え、えーと」
看護師「あ、あはは…」
男「…しかも、それこの病院のじゃないな」
看護師「…私の私物」
…。いやいや。
看護師だろアンタ。

男「で?何故だ?」
看護師「い、いや男君はナース好きらしいって噂を聞いて…ツンちゃんが着てみたいとか言いだすから…」
ツン「!何を口を滑らせてるんですか!」
看護師「あ」
ツン「うぅ…」
男「…何か誤解されてる気がするが、そんな趣味はないぞ」
ツン「え」
ジロリ。
看護師「…に、睨まないでツンちゃん」
ツン「はぁ…もう、着替えます」

男「お、そうか…また後で来るわ」
退散。何か険悪なムードだしねぇ…。
看護師「な、なんかゴメンね」
ツン「もう、良いです…私が言いだしましたし」
男「あ」
男「別にツンは何来ても似合うと思うぞ?」
ツン「ふへ?」
男「素材が良いからな~…っと、じゃあまた後でな」
ツン「…」
看護師「顔赤いよ」
ツン「えへへ…」
看護師「…あの天然ジゴロめ…」
ツン「♪♪♪♪」





~素直ヒートのなく頃に~
ヒート「男ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
男「うわっ!」
ヒート「入院したって聞いていてもたってもいられなくなって来たぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
男「うるせぇよ!」
ヒート「大丈夫かぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
男「大丈夫だから帰れ!病院では静かにって親に教わらなかったのかお前は」
ヒート「愛してるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ナースコールしよ。
男「あ、看護師さんですか?男の方連れてきて下さい」
ヒート「私も入院したいぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
男の方たち到着。
連行。
ヒート「男ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉまたなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
…静かに出来るようになってから、来い。





~素直クールもなく頃に~
クー「やぁ男」
男「お、見舞いに来てくれたのか」
クー「愛しい君が入院したと聞いたら、来ないわけにも行かないだろう」
男「相変わらず、冗談が上手いなクーは」
クー「む。私はいたって本気だぞ、なんならこの場で…」
ツン「兄さん!」
煩いのが来た。
ツン「こ・ん・に・ち・は。クー。わざわざお見舞いありがとうねぇ…」
クー「いやぁ、当然さ…あはははは…」
ツン「フフフ…」
クー「あはは…」
ツン「フフフ…」
クー「あはは…」
男「(なんか空気が重い!重いです!)」


看護師「…遠い所から見る分には男くんが困ってて楽しいけど、あの場にだけは入りたくないわね」
医者「…全くです」




~パクリとインスパイアとオマージュとパロディは同じようで…違うような…ような…~

ツン「兄さんって倖田來未嫌いでしたよね」
男「ん?ああ、今はパクリアーティストだしな」
ツン「そうですか…」
男「いや、別に他人が聞くのはどうでも良いんだが…俺は、嫌いだ、というだけ」
ツン「でもパクリとパロディとオマージュとインスパイアって何が違うんです?」
男「夢は時間を裏切らないんだよ」
ツン「?」
男「時間も夢をけして裏切らないんだよ」
ツン「???」
男「プラネタリウムは素敵だね?」
ツン「…全く意味が分かりません」
男「…ツンがカワイイって言うのと、ツンが綺麗って言うのとの違いだ!解りやすい!」
ツン「(////)兄さんのアホ!兄さんなんか嫌いです!」
ツン「第一、何言ってるのか解りませんし!」
男「これ以上言うと消されるぜ…」





~お金で買えない価値がある。買えるものは借金して(ry…プライスレス。~

ツン「んっ…」
…。
ツン「あっ…」
ツン「んんっ…!」
ツン「あっ」
ツン「ああっ!」


男「…なぁ、こんなマッサージだけで声出すのヤメロ」
ツン「だって兄さんが上手いんですもん」
男「誰か他の奴でも大して変わらんだろうに…」
ツン「兄さんが良いんです!…タダだし!」
男「兄妹愛をお前は無料だからと最大利用するのか」
ツン「…愛だなんて♪♪♪」
男「聞いちゃいねぇよ、コイツ」






~働いたら負けだと思ってる~
ツン「兄さん」
男「はい」
ツン「真面目にやりなさい」
男「…いくら学校休んでるからって、何も二人で勉強しなくてもいいんじゃないか?」
ツン「皆よりも送れるわけにもいかないでしょう?つべこべ言わずにやりなさい」
男「…」
ツン「…兄さんは」
男「ん?」
ツン「兄さんは将来やりたいこととかありますか?」
男「いや、特に」
ツン「え」
男「働いたら負けだと思ってる」
ツン「…我が兄ながら何て情けない…」
男「そーいうツンはあるのかよ」
ツン「わ、私ですか」
ツン「…笑いません?」
男「おばあちゃんはいっていた…『子供の夢は未来の現実だ、それを笑う奴は人間ですらない』ってな」
ツン「おばあちゃんから聞いたこともないですよ」
男「TVで言ってた…とにかく教えろよ」
ツン「…さん」
男「ん?」
ツン「お嫁さん…」
男「…」
ツン「…」
男「い、い、イインジャナイノカ夢があるだけ」
堪えろ俺!
笑いを堪えるんだ!
ツン「うぅ…兄さんなんか…!」
ツン「兄さんなんか大嫌い!」
…無理でした。
ガタン!
出ていっちまった。
男「…悪いことしたな…」
でもお嫁さんか…。
想像。
…アリだな。






~君と共に~

私は好きな人がいる
それは
許されない想い。
やがて、
別の誰かと
共に歩くことに
なるのも解っている


それでも、好き。
共に笑い
共に嘆き
共に怒り
共に泣いて。

二人は手を繋ぐ。

二人は
最も近い他人。
二人は
最も遠い双子。






~二人は忘れちゃう~
男「なぁ」
ツン「はい」
男「さっき見舞いにきた人誰だっけ?」
ツン「…兄さんのクラスでしょう?」
男「え、ツンの方じゃなかったっけ」
ツン「私じゃあ…無いと…たぶん」
男「俺も…たぶん」
ツン「…あの人の名前出てきます?」
男「…」
男「…渡辺…?」
男「だったような」
ツン「私は…」
ツン「思い出せません…」


渡辺さん「あれれ~?悲しくないけど、涙が出てきたよ~?」





~二人色の空に~

ツン「んー」
男「モルスァー」
二人で背伸び。
男「風は気持ちいいな」
ツン「そうですね」
男「…ツン」
ツン「はい?」
男「かげおくりって知ってるか?」
ツン「あ、あの小学校の時に教科書にのってた話の」
男「今、やろうよ」
ツン「ふふ、兄さんだら子供みたい」
男「付き合えよ」
ツン「いいですよ」
影法師を見つめて。
ひとつ。ふたつ。
…。……。とお。
スゥ…と。
空に二人を写す。
男「…」
ツン「綺麗…」
男「なんか…」
ツン「はい」
男「恋人といる気分だな」
ツン「…バカ」





~記憶より~

医者「君は病気だ」
ツン「…まぁそれはそうでしょう」
じゃなかったら入院などしていない。
ツン「それで…病気の種類は解ったんですか?検査入院…という形でしたが」
医者「解らない」
ツン「え…」
医者「よく似た病気は存在するんだが、類似しているだけでよく解らないんだ」
ツン「…どういった種類の…?」
医者「若年性アルツハイマーという、新しい記憶から無くしていく病気がある」
医者「それは、完治しない病気でね。君のソレは酷似してる」
医者「最近…多少なり思いあたるふしはあったはずだ」
ツン「…」
医者「……さっきも言ったが、似ている、が全く同じわけでもないようなんだ」
ツン「…完治するかもしれない?」
医者「解らないよ、まだ初期段階だからね」
医者「…ただ記憶を無くすことは、日常に支障をきたす。このまま進めば普通の生活は出来なくなるよ」
ツン「…もしかして、介護が必要になるような状態になったりするんですか?」
医者「…覚悟だけは、しておいた方が良い」
ツン「はい」
医者「まだ、しばらくは大丈夫だろうが…色々あるかもしれない」医者「些細な事でも相談するようにしてね、僕も協力するから」
ツン「はい」
医者「良い方向に動けば良いんだけど…」





~暇人達のジャムパンラプソディ~

この世界は腐ってる
だから私は
一度0に還そうと思う
男「…」
ナースコールをとる。看護師「はい、どうしたの男君」
男「…ロビーにジャムパンを仕掛けた」
看護師「(…)」
男「今から三分後起パンさせる」
看護師「(のってあげよっか、暇だし)」
男「どうした!」
看護師「や…やめなさい!自分が何をしているか解ってるの!」
男「すでに遅いさ…俺は新世界を創るんだ!誰も止められない!」
ポチっとな。
看護師「な、なんて酷い…ジャムだらけだわ…」
男「ふっふっふ…俺を認めなかった世界が悪いんだ!」
男「次は、院長室だ…メロンパンが起パンすればどれだけの被害になるかな…」
看護師「くっ、やらせはしない、やらせはしないわ!」
男「無力だな、看護師さんよ…」

ポチっとな。

…。
男「な、なぜだ!なぜ起パンしない!計画に狂いはなかったはずだ!俺の計画に…」
医者「残念だったね…芯パンは抜いておいたよ」
男「な、なにぃ!」
医者「君の好きにはさせない!」
男「…」
医者「…」

医者「寝ろ」
男「うぃ」
患者1「うぅ…もう食えねぇよ…」
患者1「パイパンは…」






~むかしのお話~

ツン「お兄ちゃん!」
男「ん?」
ツン「お兄ちゃんとわたしはケッコンするんだよね?」
男「バカだな、ツンは。きょうだいははケッコンできないんだぞ」
ツン「えぇー」
ツン「ツンはお兄ちゃんとケッコンしたい!」
男「ワガママいうなよー」
ツン「うぅ…ふぇぇぇぇぇん」



…あの頃から、かぁ。
私が兄さんを好きなのは…。





~ひとりごと~

私は忘れるらしい。
許されない想いを。
とても、
とても悲しい。
けれど涙は出ない。

兄さん。
貴方を好きな日々は
いつまで
続きますか?
全て忘れた後に
兄さんは
隣にいてくれますか?

ツン「兄さん…」





~少しだけの真実~

医者「…というわけなんだ」
男「…嘘でしょう」
医者「…」
男「記憶が消える…なんて、嫌だな先生。ツンがそんな病気だなんて…冗談にもならない話はやめて下さい」
医者「…」
男「本当に?」
医者「あぁ」
男「…」
医者「最終的には、看護が必要な状況になるかもしれない」
男「…そんな…!」
医者「ツンちゃんが自分で言うのは、嫌だけど知っておいては欲しいって言ってたから…僕が言うことにした」
男「母さん達は?」
医者「知っているよ、…受け入れた…のかは解らないが最悪の事態に向けて準備だけはしている」
男「…」
医者「…全く救いがないわけじゃない」
男「…若年性アルツハイマーとか言うのに、『似てる』だけで未知の病気なのでしょう?……そんなの救いなんて呼びませんよ」
医者「若年性アルツハイマーは治らない、進行は遅らせられるんだけどね」
医者「…ただ、何故かツンちゃんは記憶が新しい方から消えてはいるけど、虫食い気味に消えているんだ…それはもしかしたら一筋の光明になるかもしれない」
男「…正直、気休めにしか聞こえません」
医者「…彼女も少なからず、ショックだろう。兄として支えになってあげて下さい」
男「…はい」





~ふたりごと~
ツン「聞いた?」
男「うん」
ツン「…私なら、大丈夫。大丈夫だから」
男「…」
ツン「ほら、いざとなったら兄さんもいるし…お母さんも…」
男「…」
ツン「大丈夫…」
男「…」
ツン「恐くないよ…」
男「…」
恐くない、なんて台詞は震えながら言うものじゃない。
男「俺が居るよ」
ツン「…え」
男「たとえ何もかも忘れても」
男「俺は覚えてる…ツン忘れる度に、強くツンを俺に刻むから」
ツン「う、うぅ…」
男「大丈夫」
男「泣いて、良いよ」ツン「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
ツン「忘れたくない!忘れたくないよ!」
泣きじゃくる。
泣かせてやる。
男「よしよし…」





~緩かに壊れゆく~

チュンチュン。
朝だ。
昨日は消灯ギリギリまで、ツン泣き続けていた。なだめるのも、一苦労だ。
ツン「おはようございます、兄さん」
目は赤い。あの後も、泣いていたのかもしれない。
男「おはよう」
平静を保って、返事をする。
ツン「…今日も、勉強しましょうか」
男「うぇ…」
いつも通りに。
ツン「……何か文句でも?」
いつも通りに。
男「…無いです」
ツン「よろしい」


緩かに壊れゆく日常に脅えながら。






~てぶくろ。~
看護師「ツンちゃん手先器用ねぇ…」
ツン「昔から編み物は得意でしたから」
編み編み。
看護師「健気ね」
ツン「!…ど、どういう意味でしょう…?」
看護師「別にぃ?」
ツン「…なら、構いませんけど」
看護師「あ、間違えてる」
ツン「あ」
看護師「くふふ~動揺したのかにゃ~?」
ツン「そ、そんなワケないでしょう」
直す。すでに少女の顔は真っ赤だったりするわけで。
看護師「暖か~い手袋あげなきゃいけないものね?」
ツン「し、知りません!誰も兄さんなんかに…」
看護師「お兄さんとは言ってないわよ」
ツン「うぅ…!」
看護師「(なんて可愛い…)ま、頑張りなさい恋する乙女」
ツン「あうぅ…」






~想いで~
ツン「は、はい兄さん」
男「ん?手袋?」
ツン「き、今日は兄さんの誕生日じゃないですか」
男「おぉ…そうだったっけ、ありがと」
男「あったかいな、コレ」
ツン「わ、わざわざ私が編んだんですからありがたく着けてくださいね」
男「ん、サンキュ」
ツン「……感謝してます?」
男「そりゃしてるさ!たっぷり!」
ツン「嘘っぽいですねぇ…」
ツン「ほ、本当に感謝してるならお返しにキ、キ、キスして下さ…ぃ」
最後の方は声がかすれて聞こえなかった。
男「え。それは…その…あの…」
ツン「嘘ですよ!何をそんな顔を真っ赤にして…」
男「だってツンが…」
ツン「ふふ、兄さんのアホーバカー」
走り去っていくツン。
男「やられた…」



ツン「(あー心臓が裂けるかと思った/////)」






~優しい夢~
男「俺は誰?」
ツン「兄さん」
男「君の名前は?」
ツン「ツン」
男「家族構成は?」
ツン「お父さんとお母さんと兄さんと私」
男「スリーサイズは」
ツン「…」
男「好きな人は?」
ツン「…」
ツン「死ねぇ!」
男「うわちょっと待て辞書の角はまずい死ぬ角は死ゴファ!」
ツン「…記憶の確認にスリーサイズはいりません」
男「…」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
ツン「最近…夢を見るんです。優しい夢…兄さんと二人だけで、私はとても幸せそうで……。夢が、現実になれば良いのに」
ツン「って兄さん?」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
ツン「うわ!大丈夫ですか!?兄さん!兄さんってば!」

ちなみにたんこぶが出来てました。





第1部完






~「告白」~

今日はクリスマス。
病院でもクリスマスなんてオサレなイベントはやるもので。二人でしんしんと雪が降る窓を見ながら、慎ましやかなパーティをしていた。
そろそろお開きにしようかな、と言う頃。
ツン「兄さん」
静寂を破ったツン。
男「ん?」
ツン「今から言うことを忘れないで下さい」
男「?何だよ?」
ツン「私は」
息を飲んで。
ツン「(大丈夫だ、言える)」
これはきっと最後だから。最後のチャンスだから。…だから。

ツン「私は…兄さんが好きです…男の人として、です」
男「なっ!」
ツン「返事は聞きません」
ツン「聞く意味がありませんからね」
忘れるから。
ツン「だから…兄さんの心に今日の事を焼きつけておいて下さい」
ツン「私の想い」
男「…」
ツン「今日は…もうお開きにしますか」
男「…そうだな」





~灯~
それからツンの病状は悪くなる一方だった。
人の判別は出来なくなって、…とうとう介護の施設にあずける事にまでなった。
俺が誰か解らない。
見るのすら辛い。
それでも共に生きようと思う。未来を全てツンに。あのクリスマスの想いに応えるため。
俺の答えを示すために。





あれから数年。
俺は夢を決めた。
ある人の
夢を叶える夢だ。

~二人の夢~

看護師「まさか、君が介護の資格を取るとはねぇ…」
男「…俺は、兄ですからね」
ツン「…」
看護師「それで、今日はどうしたの?わざわざ教会なんかにまで連れだして…」
男「夢を、叶えにきたんですよ」
ある、服を取り出す。
看護師「!…それは…!…前に、ツンちゃんが言っていたの?」
男「…えぇ」
看護師「…そうね…その服は女の子なら、誰もが夢見るかもね…」
男「着させてあげて、貰えますか?」
男「俺も…中で正装で待っていますから」
看護師「解ったわ」






そして。
扉が開く。
True end
―永遠と、共に―
ドレスを着たツンは
本当に綺麗だった。
眩いほどに。
支えられながら
歩いてくるツンを
受け継いで、
十字架の前まで。

こうやって
歩いていくんだ。

二人で歩くんだ。

「…兄さん」

「……愛してる」

そんな、声が。

遠く
聴こえたような気がした。




END





感想、コメントが作家を育てます。
支障なければほんの一文でも感想を残していただければ幸いです。


名前:
コメント:
最終更新:2009年05月31日 17:17