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Fate/Samurai Remnant

【ふぇいと さむらい れむなんと】
ジャンル アクションRPG


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam)
開発・発売元 コーエーテクモゲームス((開発はオメガフォース、企画はシブサワ・コウが担当。))
発売日 【Switch/PS5/PS4】2023年9月28日&br;【Win】2023年9月29日
値段 9,680円(税込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
Fateシリーズ


概要

評価点

  • アクションのサーヴァントバトルロワイヤル
    • これまで『Fate/EXTRA』や『Fate/EXTELLA』といったRPG・アクションの派生シリーズは存在したが、それらはスピンオフ色が強かったり独自の世界観に基づいたりするものが大半であった。
    • 本作は独立した世界観を持ちつつも、『Fate/stay night』に近い聖杯戦争の体験とストーリーに重きを置いたアクションRPGとして構成されている。長年のファンが待ち望んでいた「聖杯戦争をアクションで体感する」という要素を高い水準で実現している。
      • 後述するが「サーヴァントの圧倒的な強さを身をもって体験する」といったゲーム性による表現も、シリーズの設定に極めて忠実である。
  • 時代劇のFate
    • 中世の100万人都市と称された江戸時代を舞台にしており、現代劇が主流であったTYPE-MOON作品の中でも新鮮なプレイ感を提供している。
    • Fateシリーズ特有の魔術などの伝奇要素と、歴史・伝承を巧みに組み合わせたフィクションへの昇華は、本作でも高く評価されている。
    • 江戸時代を描く作品は多いが、慶安時代に焦点を当てたゲームは珍しい。
      • マップ上の地名は現在の東京と重なる部分が多く、馴染み深い。地域ごとの特徴を捉えた緻密なデザインには、数多くの歴史ゲームを手掛けてきたコーエーテクモゲームスのこだわりと技術が反映されている。
  • キャラクターとサーヴァント
    • シリーズの象徴であるサーヴァントたちの描写は今回も秀逸。歴史上の英雄を元にした英霊たちは、誰もが知る有名人物から知る人ぞ知る存在まで幅広く、セイバーを筆頭に皆個性的で印象に残りやすい。
    • 『stay night』や『Grand Order』などの過去作品に登場したキャラクターも参戦しており、中には姿こそ同じだが性格が異なる者も存在するなど、Fateのオールスターゲーム的な側面も併せ持つ。
    • 『Grand Order』で初登場した女性の宮本武蔵が参戦。伊織の師匠と同名であることから、作中では新たな師弟描写が描かれる。伊織は彼女をすんなりと師匠として受け入れ、そのまま師匠と呼んでいる。
    • 伊織の本来の師である男性の宮本武蔵は作中では故人だが、サーヴァントとしての女武蔵はパラレルワールドの同一存在であり、世界を移動している設定が序盤で説明される。これは『Grand Order』における彼女の設定(並行世界から来た宮本武蔵)をそのまま引き継いだものである。
    • サーヴァントの切り札である宝具解放シーンには、例外なく美麗な演出が用意されている。
    • 宝具設定も多種多様で、王道的な必殺技から変身タイプといった変わり種まで存在する。
    • 由井正雪や鄭成功など、江戸時代当時の実在人物をモデルにしたマスターたちも、サーヴァントに劣らぬ強い存在感を放っている。
    • 特定のキャラクターによく似た若旦那に対し、本作のアーチャーが「人の妻が好きか?」と問うなど、シリーズファンなら思わず笑ってしまうやり取りも豊富。
    • 兄想いの妹カヤや、軽薄ながらも顔なじみの同心・助之進など、聖杯戦争の部外者である一般キャラクターも物語の良いアクセントとなっており、伊織が民のために戦う動機の裏付けとなっている。
  • 真名当て
    • 公式からネタバレ禁止のアナウンスがなされている通り、本作は「真名当て」を重視した設計となっている。
    • サーヴァントの正体はゲームの進行に伴い判明する。言動や風体から正体を推理する過程は『Fate/stay night』へのリスペクトを感じさせ、推理要素としての楽しみを強化している。
    • 一見すると鎧で素顔を隠しているライダーや逸れのセイバーも、セリフ等から正体を推測可能なため、歴史知識やシリーズ作品に詳しいプレイヤーであれば考察の余地が十分にある。
    • 本作では真名が発覚することでストーリー上の弱点露呈に繋がるなど、設定としての真名隠しがゲームシステムやシナリオに深く組み込まれている。
  • セイバーと伊織
    • 主人公である宮本伊織とセイバーの交流は微笑ましく、「わからいでかー!!」といった夫婦漫才のようなコミカルなやり取りが、過酷な物語の中での癒やしとなっている。
    • セイバーは大食漢かつ好奇心旺盛で、子供のような無邪気さを見せる。食べ物を与えたり名所を巡ったりする要素は、プレイヤーの親心をくすぐる。
      • 一方で、セイバーの正体は日本人にとって著名な人物であり、その悲劇的な過去が本作での性格設定に繋がっているなど、シリアスな背景も緻密に描かれている。
      • 本作のセイバーには『stay night』のセイバーを彷彿とさせるオマージュが随所に仕込まれており、ファンをニヤリとさせる。
    • 伊織は過去のFate主人公同様、女性キャラクターに好かれる傾向にある。一方で「無辜の民を守る」という信念を持つ主人公らしい性格で、感情移入がしやすい。
    • 織自身は魔術知識が乏しいため、周囲のキャラクターによる解説を通じて、シリーズ未経験者でも物語や用語を容易に理解できるような配慮がなされている。なお、サーヴァントに食事は不要だが、戦いに直接関係ない知識であるためか、誰も彼にその事実を教えていない。
  • ストーリー
    • 江戸を舞台とした聖杯戦争には、当時の海外情勢や武士道、剣術といった要素が巧みに盛り込まれている。
      • 慶安の変(由井正雪の乱)などの史実を元ネタとして取り入れており、歴史に基づいた深い考察が可能。
    • 各陣営が抱く願いや信念が交錯する濃厚な人間ドラマが展開されるほか、ルート分岐も存在するため周回プレイ時の楽しみも損なわれていない。
  • 異傅
    • 本編では描ききれない陣営の心情や、逸れのサーヴァントのドラマを補完するサイドストーリー。バトルだけでなく江戸の住人との会話も楽しめ、西洋人のドロテアに対する住人の初々しい反応などが見られる。
    • アサシンがマスターであるドロテアを「お姫様だっこ」するシーンは多くのプレイヤーに衝撃を与えた。
    • 『FGO』出身のサーヴァントも多く、お気に入りのキャラクターを操作して戦える点はファンにとって大きな魅力となっている。
  • 霊地争奪戦
    • 霊地の奪い合いをテーマとした戦略ミニゲームで、これ単体でも成立するほどの完成度を誇る。
    • サーヴァントの移動や防衛の判断など戦略性が高く、敵も容赦なく霊脈を奪いに来るため、常に緊張感のある駆け引きが楽しめる。
  • バトルアクション
    • 伊織が操る5つの剣術の型には、コーエーのノウハウが凝縮されており、レスポンスや挙動の質が高い。大量の敵をなぎ倒す爽快感は抜群である。
    • 物語の進行に合わせて、当初は太刀打ちできなかった怪異やサーヴァントに対抗できるよう伊織が成長していく過程が描かれる。
    • 異傅や霊地争奪戦では他のサーヴァントも操作可能。セイバーの華麗な剣さばきやアーチャーの超速射撃など、人間離れしたサーヴァント特有のアクションが見事に再現されている。
  • BGM・主題歌
    • 主題歌「残夜幻想 feat. 六花 / スパイラル・ラダー」は、物語の切なさと熱量を象徴する名曲。
    • BGM全般も評判が良く、探索中の楽曲は江戸の町を散策したくなるような情緒に溢れている。
  • 雑記帳
    • キャラクターや用語を網羅した図鑑機能。進行に応じて内容が充実していく。
    • プレイ中には語られない詳細な設定も多数掲載されており、読み応えがある。
  • 初代オマージュの数々
    • キャラクターや展開の端々に『Fate/stay night』を彷彿とさせる要素が散りばめられている。
    • 「伊織とセイバー」の関係性は、日常・戦闘の両面で「士郎とセイバー」を思わせるイベントが豊富に用意されている。
    • 「マスターがサーヴァントと直接渡り合う」という異常性にもスポットが当てられている。
    • アサシンのマスターや年下の世話焼き、ホムンクルスといったキャラクター配置は、初代のヒロインたちを連想させる。
    • 川を挟んだ立地条件などは、初代の深山町と新都の関係性を彷彿とさせる構成となっている。

論争点

  • ゲームバランスとサーヴァントの外殻ゲージ
    • 基本的には「サーヴァントは人間とは別格の戦闘力を有する」という根幹設定を前提にゲームバランスが組まれている。これはサーヴァントの圧倒的な強さを実感でき、設定を忠実に再現しているとして好意的に捉えられている。
      • しかし、これが最初のチュートリアル時点でプレイヤーを容易に殺しゲームオーバーにさせる形で提示されるため、アクション初心者が標準設定で気軽に手を出せるゲームでないことは否定できない。なお、このチュートリアルでのイベント戦闘には態々コンティニュー後の緩和調整も入るため、制作側が想定した調整ではある。難易度選択や体験版による検討が必要だろう。
    • 強力な怪異やサーヴァントは、基本的に外殻ゲージを削った後に体力ゲージを削る(外殻ゲージの再出現もあり)という二段階以上の手順を踏まなければならず、戦闘に相応の時間を要する。
      • そのため戦術としては「共鳴ゲージ回復」から「共鳴技・宝具・協力技」を繰り返すことが最適解となりやすく、作業感を感じるという意見もある。特に序盤は外殻ゲージを削る手段が限られるため、余計に時間がかかる。
    • 本作では難易度による報酬の変化や高難易度モード限定の実績などは存在しないため、敵が硬いと感じる場合は素直に難易度を下げるのが推奨される。ただし、それによって作業感が完全に解消されるとは言い切れない。なお、アップデートによりさらに容易な難易度や、より過酷な高難易度が追加されている。
    • 物語の進展に伴い伊織がサーヴァント並みに成長するため、サーヴァントの圧倒的強さに対する体感は徐々に薄れていく。しかし、ストーリー上伊織が強くなること自体に意味が持たされているほか、他作品でもマスターがサーヴァントと交戦する例はあるため、設定崩壊というわけではない。
      • サーヴァント側には多くの技にスーパーアーマーが備わるなど、攻撃アクションの性能面で人間キャラクターとの差別化は図られている。
  • 犬猫撫で
    • 町中の犬猫を撫でることで、マスターやサーヴァントの可愛らしい姿を見られる心温まる要素。しかし「大江戸稼業」の達成のために撫でる必要がある際、マスターと同行サーヴァントが順番に行う演出をスキップできず、テンポが非常に悪い。繰り返し行う必要があるため飽きを招きやすい。
    • ボタン連打によってHP回復が可能だが、回復量は1単位という極小値であり、連打の手間に見合う実用性はほとんどない。
      • 伊織以外のキャラクター操作パートでも撫でることは可能で、専用のセリフやモーションも用意されている。ただしアサシンなど一部のキャラは同行していても撫でなかったり、操作キャラによっては犬猫が配置されない場合もある。

  • サーヴァントの人選
    • 登場ラインナップを歓迎する声がある一方で、日本が舞台でありながら当時の日本では知名度のない外国のサーヴァントが次々登場する展開に違和感を抱く意見もある。知名度による土地補正も設定上の概念として存在するため、違和感がある。
      • ただし、シリーズを通して地域に無関係なサーヴァントが召喚される事例は多い。本作でもセイバーは地元の知名度補正を大きく受け、ランサーは後の時代に有名になるため補正が皆無であるといった描写がなされている。補正だけで勝敗が決まるわけではないが、「ご当地サーヴァントを狙うべきでは」という意見が出る一因にはなっている。なお、初代『stay night』では冬木式のシステム上、東洋の英霊は通常召喚できないという設定で整合性を取っていた。
      • 「サムライ」と題しながら侍と呼べるキャラが少なく、江戸時代でありながら幕府や徳川の関係者が直接登場しない(名前のみ出る)点についても、残念に思う層が一定数存在する。
      • 聖杯戦争を扱う作品は現代や近未来が舞台であることが多いため、「わざわざ過去に設定したのだから土地に根ざした英霊が多く出る」と期待された側面もあるだろう。特に発売前の『帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline』が近代の東京を舞台に日本の英霊を多く登場させていたため、比較対象となりやすかった。
      • ただし『Redline』を含む戦国・幕末関連の多くは「ぐだぐだシリーズ」という外伝枠に属しており、本編シリーズとは設定が異なるスピンアウトという立ち位置のため、他作品への出演には制約があるという事情も存在する。これはインタビュー等で語られるのみで『Grand Order』内では区別が曖昧なため、コアなプレイヤー以外には分かりにくい点でもある。
      • 『Grand Order』のシナリオではご当地サーヴァントの活躍が多いことも、期待を煽った一因かもしれない。
    • 操作キャラクターに関しても、ライダー、キャスター、逸れのライダー、若旦那は本編中で操作できない。
      • 直接戦闘向きではないキャラは仕方ないにせよ、大半のサーヴァントが操作可能なだけに、好みのキャラを操作できない点はマイナス要素として挙げられる。
      • 後にDLC第1弾で若旦那と伊吹童子が特定の条件で加入可能になり、ライダーにも操作場面が設けられるなどの補完がなされた。第2弾でも柳生宗矩が操作キャラクターとして登場している。
  • 宝具の威力と発動条件
    • ゲーム上のバランスや演出の影響もあり、発動しても「一撃必殺」と称されるほどの大ダメージを与えられない場合があり、設定との乖離に違和感を覚えやすい。
    • 真名の露見に直結するため、ほとんどのサーヴァントが物語中盤以降まで宝具を放てない仕様となっている。
    • DLCで追加される若旦那は、他のサーヴァントと異なり宝具が使用できず、共鳴技も一つに限定されている。これらは「本気を出さない」という設定に忠実であり、ファンサービスとしての側面が強い。
      • 作中で真名も明かされないため、シリーズ未経験者には仕様上の手抜きに見える懸念がある。若旦那の性格を知れば納得はできるものの、それだけで十分な説明になっているかは微妙なところである。

問題点

  • 霊地争奪戦
    • SRPG形式で進行するが、サーヴァントや伊織の移動演出に若干の時間を要する。
    • 紅玉の書による「○○を占拠したぞ」といった戦況報告が逐一挟まれるため、ゲームのテンポを削いでいる側面がある。
    • 敵の進軍状況によっては、失敗時に最初からやり直しとなる仕様。中断セーブが可能な点は救いだが、シビアな場面も多い。
  • 人間キャラクターの外殻ゲージ
    • サーヴァントや怪異だけでなく、一部の盗賊や浪人といった人間の強敵にも外殻ゲージが設定されている場合がある。
    • サーヴァントとの能力格差を表現するためのシステムとしては理解を得ているが、魔術の心得があるとはいえ「ただの人間」まで過度に硬く設定されている点については、伊織の剣術アクションとしての爽快感を削いでいるという批判もある。
  • サーヴァント間のアクション性能格差
    • 主人公であるセイバー以外のサーヴァントは使用可能な技が固定されており、操作性に癖がある。
    • 特にランサーやアサシンは攻撃モーションが大きく、スピード感のある立ち回りが難しいため、操作キャラクターとしての難易度が相対的に高くなっている。
  • ルート分岐の仕様
    • 中盤と終盤の選択肢によって、キャラクターの生死やラスボスが3パターンに分岐する構成となっている。ただし『Fate/stay night』のような劇的なシナリオ変化を期待すると、やや物足りなさを感じる可能性がある。
      • 一方で、2周目以降に解禁される隠しルートに関しては、既存のルートとは全く異なる結末が用意されている。
    • 特定のルートでは真名が明かされないまま退場(いわゆるナレ死)するキャラクターも存在するため、全容を把握するには周回プレイが前提となる。
      • 既読スキップやイベントスキップ等のシステムは完備されており、異傅も一度クリアすれば周回データに引き継がれるため負担は軽減されている。ただし、霊地争奪戦については周回ごとに再度プレイする必要がある。
  • グラフィックとパフォーマンス
    • PS5世代のタイトルとしては、岩や植物といった背景オブジェクトの作り込みが甘く、質感が低く見える箇所が散見される。
    • Nintendo Switch版はさらに描写の質が低下しており、街中での移動時は常時処理落ちに近いカクつきが発生する。
      • イベントシーンや戦闘時は多少改善されるものの、全編を通して快適な動作環境とは言い難い状況にある。
  • 回復アイテムの供給バランス
    • 体力や共鳴ゲージを回復するアイテムは、屋台での購入や敵からのドロップ等で入手するが、店舗ごとに一度に購入できる数に制限が設けられている。大量に確保するためには各地の屋台を巡らなければならず、手間を要する。
    • アクションに不慣れなプレイヤーほどアイテムを大量に消費する傾向にあるため、この調達の不便さは難易度を押し上げる要因となっている。

総評

  • Fateファンが長年待ち望んだ、アクションRPG形式で描かれる聖杯戦争。江戸時代劇という舞台設定との融合も見事で、高い評価を獲得している。
    • 魅力的なサーヴァントたちと江戸時代の著名人が織りなすシナリオは、濃厚な人間ドラマを描き出している。

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最終更新:2026年05月25日 21:27