SIFU
【しふ】
| ジャンル |
カンフーアクション |
| 対応機種 |
PS5 / PS4 / Xbox Series X/S / Switch / PC |
| 発売・開発元 |
Sloclap |
| 発売日 |
2022年2月8日 |
| 定価 |
4,180円(税込) |
| 判定 |
良作 |
| ポイント |
本格中国武術アクション&br;高難度と老化システム&br;復讐劇と“武徳”の物語 |
評価点
- 本格的な中国武術アクション
- 中国拳法やカンフー映画を強く意識したアクション演出は非常に高評価。打撃の重さや間合い管理、崩しなど、単なるボタン連打では通用しない奥深い戦闘となっている。
- 特にパリィ、回避、体幹崩しを駆使した攻防は爽快感が高く、プレイヤーの習熟がダイレクトに反映される。
- 戦闘アニメーション
- 敵を壁へ叩きつける、机を飛び越える、即席武器を手に取るといった映画的なアクション演出が豊富に用意されている。
- 『酔拳』や『イップ・マン』などの香港アクション映画を彷彿とさせる演出も多く、特に狭い通路や多対一の乱戦における立ち回りの完成度は非常に高い。
- 老化システム
- 死亡するたびに年齢を重ねて復活する独自のシステムを採用。若い頃は体力に優れ、老年になると体力が減る代わりに攻撃力が向上するという変化が生まれる。
- 「死を経験しながら強くなる」という構造が、作品の「修行」というテーマと密接に噛み合っている。
- ビジュアルと演出
- アジア映画風の色彩設定やカメラワーク、音楽は極めて高水準。特に美術館やクラブといった各ステージのビジュアルは印象的との声が多い。
- 横スクロール視点へ切り替わる格闘シーンなど、映画的構図を意識した演出も話題となった。
- 高いリプレイ性
- ステージ攻略の最適化や、可能な限り若さを保った状態でのクリアなど、やり込み要素が豊富。
- プレイヤースキルの向上を実感しやすく、「自らが修行して上達していく感覚」を強く味わえる。
- 「復讐の否定」というテーマ性
- 本作は当初、「父の仇を討つ復讐劇」として物語が進行する。通常ルートでは、主人公は怒りと憎しみに突き動かされるまま、標的を次々と殺害していく。
- しかし真エンドでは、ボス達を殺さず制圧すること。怒りを制御し、武徳を示すこと。単なる復讐者ではなく、“武術を極めた者”として相手と向き合うことが求められる。
- そのため、本作は最終的に「復讐を遂げる物語」ではなく、「復讐を乗り越える物語」へと変化していく。
- ゲームシステムと物語の一致
- 真エンドへ到達するには、単純に敵を倒すだけでは不十分。相手を圧倒しつつも、殺さず制圧する必要がある。
- そのため、プレイヤーには高度な技術が要求される。
- 回避、受け流し、構え崩し、正確な間合い管理など、本作の戦闘システムを深く理解しなければならない。
- つまり、「怒りに任せて叩き潰す」のではなく、「武術家として制する」ことが重要となる。
- 物語テーマとゲームプレイが噛み合った好例として評価されている。
- ラスト演出の静けさ
- 通常エンドは、復讐を果たした後の虚無感が強い終わり方となっている。長年の執念を果たしても、主人公には達成感より空虚さだけが残る。
- 一方、真エンドは非常に静かで穏やかな演出となっている。執着からの解放
- 武人としての完成、師の教えの継承、を感じさせる内容となっており、派手ではないが余韻の強い結末として好評。
- 主人公自身の変化
- 通常ルートでは、主人公もまた憎しみに囚われた存在へ変貌していく。父の仇を討ちながら、同時に“暴力の連鎖”へ取り込まれていく構造となっている。
- しかし真エンドでは、その連鎖を断ち切る存在として描かれる。復讐者や殺戮者ではなく、導く者武徳を継ぐ者、として物語を終える。
- この「暴力を超克する」という結末は、東洋武術映画的なテーマ性とも噛み合っている。
論争点
- 極めて高い難易度
- 本作はかなり高難度寄りの設計となっており、攻略法を正しく理解し、敵の行動パターンを暗記するほど面白くなるという声は多い。
- 一方で、序盤から一切の妥協がない難易度ゆえに、「心が折れた」として途中で断念するプレイヤーも少なくない。
- ストーリーのシンプルさ
- 復讐劇としては非常に分かりやすく、削ぎ落とされた構成。アクション主体のゲームとしてはこれで十分との評価もある。
- しかし、人物描写や背景説明は最小限に留まっており、「物語自体は薄い」という物足りなさを感じる感想も見られる。
- 真エンドのテーマ性
- 通常ルートにおいては徹底的な復讐劇の末に凄惨な結末を迎えるのに対し、真エンディングにおいてはすべての敵ボスを命の瀬戸際で赦し、真の武術家としての究極の精神性である武徳の道を歩むプロセスが描かれる。
- この「憎しみの連鎖を自らの意思で断ち切る」という劇的な結末の精神性の高さに対しては、カンフー映画の王道的な美学として、また物語の真の到達点として非常に高く評価する声が存在する。
- 一方で、ここに至るまでの道中において、雑魚敵を徹底的に叩きのめし、大量に殺害しておきながら、元凶のボスたちだけを赦すという展開は、ゲーム全体の倫理観としてあまりにもダブルスタンダードであり、整合性を欠いているとの指摘も非常に多い。
- 特にゲーム内の攻撃モーションの演出上、鋭利なナイフで容赦なく突き刺したり、首をへし折ったり、高所から容赦なく突き落としたりといった、明らかに致命傷となる凄惨な暴力を満遍なく振るい続けている場面が多いため、物語の最終盤で今さら高潔な不殺の理念を説かれたとしても、プレイヤー視点では視覚的な説得力が極めて薄いと感じる根強い意見もある。
- また、仇敵であるボスたちの過去や犯罪に手を染めるに至った明確な動機、それぞれの抱える背景事情などの描写は、ごくわずかに語られる程度に留まっている。
- そのため、プレイヤーが物語に深く感情移入するドラマとしての掘り下げが圧倒的に不足しており、「プレイヤーの視点としては、相手を真に赦せるほどその内面や苦悩を深く理解できていない」という不満や置いてけぼり感がどうしても残りやすい。
- 特に、ボスキャラクターの中には利己的な欲望の追求や組織の拡大のために、弁解の余地のないほど悪党として描かており、本当にこのまま無罪放免のように赦してしまって良い相手なのか?」と、物語の強引な着地点に対して強い疑問や釈然としない思いを抱く声も散見される。
- 文化描写
- 中国武術や香港映画への深い愛は随所に感じられ、その雰囲気作りを評価する声は多い。
- 一方で、アジア圏の様々な文化が混ざり合っている側面もあり、「描写がやや曖昧」「特定の文化を正確に反映していない」と感じるプレイヤーも存在する。
問題点
- 真エンド条件の分かりづらさ
- 真エンド到達条件に関する説明がゲーム内ではかなり少ない。
- そのため、「条件を満たしたはずなのに進まない」「何をすればいいのか分からない」と混乱するプレイヤーが多かった。
- 特に、構えゲージ破壊後に再度制圧する必要がある特定の入力操作を求められる
といった仕様は直感的ではなく、攻略情報頼りになりやすい。
- 真エンドは実質的に上級者向けルートとなっている。
- 敵を殺さず制圧するには、高度な戦闘技術が必要。回避や受け流しを安定して使いこなす熟練度が求められる。
- そのため、ストーリーを楽しみたいだけのプレイヤーライト層にはかなり厳しい仕様となっている。
- 特に、「真エンドこそ物語の本筋に見えるのに、到達条件が難しすぎる」という意見は多い。
- テーマ性を味わいたくても、腕前不足で辿り着けないプレイヤーも少なくなかった。
- カメラの見づらさ
- 狭い屋内や壁際での戦闘ではカメラが暴れやすい。複数戦において敵が視界から外れやすく、理不尽な被弾を招くケースが指摘されている。
- 敵バリエーションの不足
- 戦闘システムそのものは奥深いが、敵の構成は後半に進むにつれて固定化されやすい。似たような敵との戦闘が続くため、パターン化を感じやすいとの意見もある。
- 説明不足な仕様
- ゲームシステムに関する説明が不親切な部分がある。スキルの詳細な仕様や、真エンドへの到達条件など、初見では理解しにくい要素が多い。
- 特に「ボスを倒さずに許す」という真エンドの条件はノーヒントに近く、気づきにくいとの指摘が多い。
- 周回前提のゲームバランス
- 真エンドに到達するためには、事実上の再攻略が必要となる。これがゲーム性に合っているという意見がある一方で、「同じ工程をもう一度やらされている感覚」が強く、不満を抱く層も見られる。
総評
- 香港カンフー映画への強い愛情を詰め込んだ、ストイックな高難度アクションゲーム。本格的な中国武術を再現した戦闘の完成度は極めて高く、格闘アクション作品としてトップクラスの評価を得ている。
- アクション部分は中毒性が高く、かつて苦戦した敵を流れるように圧倒できるようになる「自己の成長」こそが本作最大の魅力と言える。
- 難易度の高さやストーリーの簡潔さから人を選ぶ作品ではあるが、真エンドの“不殺”というテーマを巡る議論も含め、ネット上での話題性も高い。
- 万人向けではないものの、アクションゲームファンや武術映画好きにとっては、唯一無二の輝きを放つ傑作である。
最終更新:2026年05月30日 01:53