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ペルソナ5

【ぺるそなふぁいぶ】
ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション4&br;プレイステーション3
メディア BD-ROM/ダウンロードソフト
発売・開発元 アトラス(セガゲームス)
発売日 2016年9月15日
定価 パッケージ: 9,504円&br;ダウンロード: 8,800円(各税8%込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
廉価版 【PS4】新価格版:2018年9月6日/4.980円
判定 良作

概要

評価点

  • バトル
    • 『P3』より続く「ワンモアプレスバトル」を更に洗練させ、スリルと爽快感を両立させている。
    • 雑魚シャドウがすべてペルソナと同じになったが、これらは『真・女神転生III NOCTURNE』以降の悪魔の姿と共通であり、視覚的にもわかりやすくなった。
      • 過去作のデザインに慣れ親しんだメガテンファンはもちろん、新規プレイヤーからも「敵に個性があり、ペルソナとしても記憶に残りやすい」と、総じて好評である。
    • ボス戦が、戦略的で飽きの来にくい多彩な内容である。
      • 大半のボスは弱点がなくクリティカルも発生させられないため、通常シャドウ戦のような単なる弱点狙いだけでは攻略できない。そのうえ「強力な敵単体が力押しで攻めてくる」というパターンのボスはおらず、行動パターンが多様、形態変化が目まぐるしい、弱点や耐性の異なる取り巻きが入り混じって出る…など、画一的に対処しにくくなっている。
      • 仲間を派遣して敵の危険な行動を阻害する、攻撃パターンの規則性を見抜いて対策する、全体攻撃と単体攻撃を使い分ける、など様々な技術を駆使して勝利を狙うことになる。「とりあえずレベルを上げて力押しする」という大味な戦略は通用しにくい。
      • 一方で極端な耐性設定のボスも少ないため、どんな編成でもしっかり策を練れば攻略できるようになっており、気に入った味方の力を合わせ、知恵を絞って強敵を撃破する達成感を味わえる。
    • パーティメンバーの性能バランスの良さ。
      • パーティメンバーはほとんど本作中の属性1つずつに対応している。多少の強弱はあれど、みな個性的な性能を持ち全員に活躍の場がある。所謂「死にキャラ」が存在しない。
      • そのうえ今作では戦闘中でもメンバーを入れ替えられるため過去作より臨機応変な戦い方が可能になっており、ごく普通にプレイしていても全メンバーが全編通して活躍できる。
  • ダンジョン
    • 『P3』『P4』と異なり、ダンジョンの謎解き、探索要素が非常に充実している。
      • 「パレス」は固定ダンジョンとなり、主の欲望を反映しているという特性通り外観や意匠が多彩で、なおかつダンジョンの特徴に合わせたギミックたっぷりで、攻略しがいのある内容になっている。
      • 一方「パレス」に並行して攻略していくことになる自動生成ダンジョン「メメントス」も同時に用意され、『P3』『P4』のスタイルを好むプレイヤーの要求にも応える形となっている。
      • 『P3』『P4』で単調と批判されがちであった自動生成ダンジョン内は特殊フロアの出現、メンバーの会話、サブクエストなど、探索過程を飽きさせない工夫が複数凝らされている。
      • メンバー同士の会話は非常に種類が豊富で、何周もしているプレイヤーでも聞き尽くせないほどの充実ぶり。わかりやすいボケ・ツッコミから何のオチもないありふれた日常会話まで幅広く、商品名や有名人の話題なども盛り込まれ、さりげなく世界観を広げるのにも一役買っている。
  • グラフィック
    • PS4/PS3に最適化され、キャラクターのモデリングも前作までより大幅に向上し、表現力が格段に増した。
      • 「怪盗」らしい派手なアクションから日常の細やかな描写まで抜かりなく、モーションも豊富。キャラクターの個性を表現するのにも一役買っている。
      • 日常パートのモーションも非常に凝っている。改札を抜ける時にカードをタッチする、ドアを開けて中に入る、雨の日に傘を差す・たたむ等。
      • 主人公の鞄に常にいるモルガナが時折顔を覗かせるのが非常にかわいい。
      • ダンジョンや戦闘でよく見ると揺れる。何がとは言わないがよく揺れる。
    • ペルソナのモデリングも向上し、旧来の原画をより忠実に再現している。
    • 架空の都市ではなく東京が舞台になり、見慣れた日本の都会風景がリアルに表現されている。
      • 渋谷地下の複雑さも見事に再現。ショートカットできない序盤は迷うこと必至。
      • 東京が舞台である点は『真・女神転生』シリーズ古参ファンにも馴染みやすいものとなっている。
    • グラフィックの向上に伴い演出面も強化されている。
      • 物語の重要な局面においては美麗なプリレンダムービーが用いられ、特に主人公や仲間の覚醒シーンは派手で格好いいと評判。
      • 旧シリーズではテキストのみで済まされていたような部分の描写も増え、視覚的にもよりわかりやすくなった。
    • 総攻撃で戦闘をフィニッシュした際やカットイン時の「一枚絵」は個性豊かでスタイリッシュとして評価が高い。
    • アニメーションも非常に作画が良くなっている。
      • 旧シリーズでは元のイラストやゲーム内のグラフィックとの乖離も見られたが、今作はそれらと比較しても違和感のない仕上がりとなっており好評。
      • ミュージックビデオを意識したようなお洒落なOPも健在。主人公達が街中をフィギュアスケートで華麗に踊るという演出が話題となり、発売前のPVでも度々使用された。
        • ただ、一部問題点も存在する。詳細は「賛否論点」を参照。
  • 音楽
    • 『P3』『P4』ともボーカルを多用した革新的な音楽が高く評価され、同2作とも音楽を特に好むファンが非常に多く、コンサートも頻繁に開催されるなどサウンド面がシリーズの「顔」としての立ち位置を確立する中、今作の音楽もまた事前の期待に十二分に応える完成度で世界的な高評価を得た。
    • 今作のサウンドテーマは「アシッドジャズ」。全体的にしっとりとした大人な雰囲気を醸しており、前2作とは全く異なるテイストで、かつ作品の世界観に見事に合致している。
      • 作戦決行日の『Life Will Change』・通常戦闘曲『Last Surprise』・ボス戦『Blooming Villain』・夜間自由行動時の『Beneath the Mask』・終盤のパレスBGM『The Whim of Fate』・終盤ボス戦『Rivers In the Desert』などは特に人気がある。
      • また、DLCで過去作の衣装をダウンロードした場合、その作品で使用された戦闘BGMを聞くことができる。…のだが、とあるDLCでこのBGMに関する問題が発生する事になってしまった(詳細は後述)。
  • ユーザーインターフェイス
    • ゲーム画面全般が芸術性の高いスタイリッシュなデザインでありながら、視認性や操作性を損なっていないハイレベルな完成度。
      • メインメニューは選ぶ度にアニメーションする作りになっているが、それでいてスピーディーに遷移するため快適な操作が可能。
  • シナリオ・キャラクター
    • 主人公や仲間たちは理不尽な大人と社会に苦しめられてきている若者達の集まり。そんな彼らが自らの正義を示さんと、悪人や社会に一矢報いていくカタルシスはシリーズ随一。
      • 「悪人を懲らしめて弱者を救う」というわかりやすいテーマのもと、その悪人の蔓延る現実と異世界の中を生き抜く緊張感のある展開から感情移入もしやすい。
      • 仲間は『3』や『4』の仲間と同じように高校生の等身大の悩みを持っているそういうどこの学校にもある馴染みやすいキャラクター設定である。
      • 「5」では『4』よりも仲間たちも「不登校」や「クラスから浮いてる」など、クラスのマイノリティである部分が強化されており、より現代的な設定へとなっている。
      • 特に主人公は極めて過酷な境遇にあっても信念を貫く姿や怪盗モードの格好良さから人気が高く、既に人気の確立された『P3』『P4』の主人公と同様に数多くのファンを獲得している。
      • 仲間との距離感も『P3』ほどギスギスしておらず、『P4』ほどベッタリしすぎてもいない、丁度いい関係性と評される。
      • また、『P3』『P4』のメンバーは世間から認知されない(ゆえに世間の直接の反応を知ることができない)隠れたヒーローという立場であったが、今回は世間を騒がせるダークヒーロー的な存在で、世間から自分たちへの認識を全編通して目の当たりにすることとなり、過去作にはない新鮮な演出となっている。
  • 悪役達が強烈な個性で物語を引き立てている
    • 物語の序盤に登場する標的に象徴されるように、敵対者は若者や弱者を食い物にする残虐かつ狡猾な大人たちが中心。彼らの悪辣さが強調されることで、プレイヤーの「改心させてやりたい」という動機付けを強力に促している。
    • さらに物語終盤のボスキャラクターは、それまでの悪役を凌駕するほどの存在感を放っており、クライマックスへ向けてプレイヤーのボルテージを否応なしに高めてくれる。
  • 演出
    • ビジュアル面での演出が劇的に強化されており、旧シリーズではテキストのみ、あるいは簡素な描写に留まっていた部分も、現代的な表現手法により密度が向上している。
    • 特に主人公や仲間たちのペルソナ覚醒シーンは、その衝撃的かつスタイリッシュな魅せ方がファンから極めて高い評価を得ている。
  • コープ
    • 前作までの「コミュニティ」から、今作では「コープ(協力関係)」へと名称とコンセプトを変更。システム自体は踏襲しているが、その名の通り「怪盗団としての利害の一致」から始まる関係性が特徴。
    • 怪盗団の活動を支える技能を持つ人物と協力関係を結ぶという導入から、相手は一癖ある大人が多く、彼らもまた社会の理不尽な境遇に追いやられた者たちとして描かれる。
    • 信頼を得る過程で、主人公は「裏の仕事」を手伝ったり、怪盗としてターゲットを改心させたりと奔走する。世知辛い世の中を生きる大人たちに認められていく独自のプロセスは、本編とは異なる大人の情緒に満ちた魅力を放っている。
    • また、今作では多くの年上女性キャラクターとも恋人関係に発展させることが可能。選択肢が増えた分、特定のイベント日における「修羅場」の規模も過去作以上に凄まじいものとなっている。
    • コープを進めることで得られる「コープアビリティ」はどれも実用的かつ便利であり、育成・攻略の両面で関係を深めるメリットを実感しやすい設計となっている。
  • 盛りだくさんの遊び要素
    • メインとなるパレス探索やコープの進行以外にも、多彩なサブコンテンツが用意されている。
    • 釣りやバッティングセンターといったミニゲームに加え、コープ相手を特定のスポットへ誘うことで特殊なイベントが発生。組み合わせによっては自室に飾れる記念品(インテリア)を入手できるコレクション要素もある。
    • 膨大なコンテンツ量ゆえ、初見プレイのクリア時間が100時間を超えることも珍しくない。これほどのボリュームでありながら、中弛みを感じさせず最後までプレイヤーを熱中させる吸引力は特筆に値する。
      • ただし、このプレイ時間の長さが純粋な遊び要素の多さだけによるものではない側面もある(詳細は「問題点」の項を参照)。
  • 小ネタ
    • ゲーム内のテレビ番組や街頭広告には、過去作のキャラクターや出来事を想起させる描写が随所に散りばめられている。
    • 渋谷の街中に久慈川りせの新曲ポスターが貼られていたり、明智吾郎が「探偵王子の再来」と称されていたりと、特に前作『P4』との繋がりを感じさせる要素が多く、シリーズファンに向けたサービス精神も旺盛である。


賛否両論点

  • ペルソナ処刑
    • 本作におけるペルソナ合体や強化の演出は、ベルベットルームのコンセプトに合わせ「囚人の処刑」をモチーフとしている。
      • ギロチンによる合体や電気椅子によるアイテム化など、ペルソナが認知上の存在とはいえ、布に包まれ抵抗する姿を「処刑」する描写には「悪趣味」との声もあり、好みが分かれる要素となっている。
      • 合体事故を除き、大半の演出はスキップ可能であるため、実プレイ上のテンポを著しく損なうほどではない。
  • 序盤におけるアルセーヌの扱い
    • 物語序盤のチュートリアルで合体が強制されるが、手持ちのペルソナの組み合わせ次第では初期ペルソナである「アルセーヌ」を素材にせざるを得ない状況が発生しやすい。
      • 「主人公専用のペルソナを早々に手放すのが惜しい」という意見もあるが、合体時に専用の台詞が用意されている点からも、システムの活用を促すための意図的な仕様であると推察される。
      • 全書からの呼び出し(再召喚)はチュートリアル後まで解禁されず、呼び出せる個体も初期状態のため、それまでの育成が無駄になってしまう点は注意が必要。
      • なお、この「アルセーヌを合体素材にする」という展開は後のアニメ版でも描かれ、日々の戦いに合わせてペルソナを使い分ける主人公像を象徴するエピソードとなっている。
  • ペルソナの性能差と育成仕様
    • 本作のステータス上昇はレベルアップ時に限定されており、過去作に存在したステータスの直接的な底上げ手段(インセンスカード等)が乏しい。
      • このため、初期レベルが高い高ランクペルソナは成長の余地が少なく、特化型の育成がしにくい傾向にある。
      • 逆に低レベルのペルソナは、希少な「宝魔」を用いた経験値調整やロードの繰り返しによって、特定のパラメータを極限まで高めた強力な個体を作り込むことが可能。
    • 属性耐性に関する格差
      • 銃撃属性については、耐性や無効を付与するスキルが存在しない。そのため、銃撃弱点のペルソナはどれほど育成しても弱点を塞げず、防御面で不利を抱えることになる。
      • 逆に銃撃耐性を元から持つペルソナはそれだけで大きなアドバンテージとなる。敵側の銃撃使用頻度は高くはないものの、一部のペルソナが使いにくくなっている要因の一つである。
    • 専用スキルの格差
      • 「ヨシツネ」の「八艘飛び」は前作に続き圧倒的な火力を誇り、物理耐性がない敵であればこれだけで一掃できてしまう。
        • 作成可能時期が最終盤に限られているため、ゲームバランスを完全に崩壊させるほどではないが、他の神話上の神々を差し置いて日本の武将が飛び抜けた性能を持つことに疑問を抱く向きもある。
      • DLCペルソナ「カグヤ」の専用技「輝矢」も極めて強力。祝福属性のためスキルによる補正が乗りやすく、コスト面でも非常に優秀なため、「八艘飛び」に匹敵、あるいは凌駕する破壊力を持つとされる。
      • 一方で「ルシファー」などの最高位ペルソナが、弱点の存在や専用技の火力不足、成長の伸びしろの少なさから、期待値に反してパッとしない性能に留まっている点も指摘されている。
  • 戦闘に関する制限と調整
    • パレスのボス戦の多くは、クリティカルが発生しないよう制限されている。
      • 新システムである「バトンタッチ」を活かしにくい点に不満の声もあるが、一撃で戦局が崩れるのを防ぐ難易度調整の一環として妥当とする意見もある。
    • バトンタッチの習得時期
      • 「バトンタッチ」はコープアビリティ扱いのため、加入直後の新メンバーはすぐには使用できない(『P5R』で改善)。
      • 新メンバーのコープ解禁は該当パレスのクリア後になることが多いため、最も活躍が期待される加入直後のダンジョンにおいて、連携に参加しづらいというジレンマが生じている。
  • 「銃」システムの運用難易度(『P5R』で改善)
    • 潜入中の使用弾数に制限があるため、弾切れを恐れて銃の使用やカスタマイズ自体を敬遠するユーザーが少なくない。
      • 一方で、適切に強化された銃は極めて高い火力を発揮する。乱射を控えればパーティ全員が弾切れになる状況も稀であり、運用次第では非常に強力な攻撃手段となる。
    • 「塔(織田信也)」のコープを進めることで、弾数増加や強制ダウン、さらには耐性貫通(反射すら無視する『真・IV F』仕様)などの強力なアビリティが得られる。
      • ただし、銃のカスタマイズに必要な「刑死者(岩井宗久)」コープは解禁条件や攻略難易度が高く、「塔」コープも解禁が物語終盤となるため、銃の真価に気づきにくい構造になっている。
      • ペルソナのアイテム化で生成される銃は、設定上「鋳物(実体化した武器)」でありモデルガンではないため、岩井によるカスタマイズが不可となっている。性能面ではこれらペルソナ銃が最強となるケースが多く、相対的にカスタマイズアビリティの影が薄くなってしまっている点は惜しまれる。
  • 会話交渉のバリエーション
    • 「悪魔会話」が復活したものの、本家シリーズや『女神異聞録』『ペルソナ2』と比較すると会話パターンが限定的。
      • シャドウの性格ごとに正解となる回答が固定されているため、法則を把握すれば失敗のリスクがなくなる。持ち逃げや理不尽な要求といった不確定要素も排除されており、利便性と引き換えに駆け引きの面白みが薄れたという見方もある。
  • ゲームバランスに影響を及ぼす救済・稼ぎ要素
    • 特定の条件下で「短時間での莫大な経験値獲得」や「所持金カンスト」が可能となる稼ぎ手段が存在する。
      • 育成ややり込みに必要なリソースを確保しやすいと歓迎する声がある一方、RPGとしての手応えを損なう大雑把な調整であるとの指摘もある。これらは意図的なプレイを要するため、制限すること自体は容易である。
    • 「死神(武見妙)」のコープ特典で販売されるアクセサリ「貼る大気功(毎ターンSP7回復)」の存在により、シリーズの肝であるSP管理が劇的に緩和される。効率プレイの必需品とされる一方で、難易度を著しく下げてしまう側面も持つ。
  • ストーリー
    • 怪盗団による「改心」という手段に対し、「対象の意思を無視して強制的に精神を変容させる」手法が、純粋な善行と言えるのかという倫理的な疑問が呈されることがある。
      • 作中では「全会一致」を原則とし、対象も明確な悪人に限定しているが、そのアプローチが独善的であるとの批判は根強い。
      • しかし、本作は「ピカレスクロマン(悪漢小説)」を標榜しており、主人公らは必ずしも絶対的な「善」として定義されていない。作中のNPCやメンバー自身も、自分たちの行為が正道ではないことを自覚している描写が見られる。
      • 「正攻法では権力によって揉み消されてしまう」という、持たざる若者が異質な手段に頼らざるを得ない極限状態が描かれており、あくまで最後の手段としての反逆である点が強調されている。
  • 悪役の描写と掘り下げ
    • ターゲットとなる大人たちの悪行や心情について、物語序盤の相手を除けば、具体的な描写よりも伝聞やテキストでの説明に留まるケースが見受けられる。
      • これは物語が過度に重苦しくなりすぎるのを防ぐための配慮とも取れるが、敵役としての深みに欠けるという意見に繋がっている。
      • 黒幕側が利用する「認知訶学」の設定も、具体的な計画への活用よりは実行犯による直接的な暴力に収束しており、設定を活かしきれていないとの指摘もある。
    • 敵対する大人たちは俗悪かつステレオタイプな悪人が多く、打倒のモチベーションは維持しやすいが、相容れない信念のために悪を背負うような人間的な厚みを持つ敵は稀である。
      • この点については、完全版『P5R』の追加エピソードにおいて、プレイヤーが感情移入しうる複雑な背景を持つ敵役が登場することで補完が図られた。
  • 終盤の逆転劇に関する描写不足と賛否
    • 物語終盤、窮地を脱するために敵の仕掛けた罠を逆手に取る展開があるが、この作戦の成立過程について説明不足な点が目立ち、プレイヤー間で議論を呼んでいる。
    • 特に「敵側の確認不足や偶然に助けられた」ように見えてしまう箇所が複数存在しており、計画の緻密さよりも「描写の粗」として批判的に捉えられるケースも少なくない。
      • 敵組織内部への徹底した工作が示唆されていれば必然性も増したが、「当初の計画の全容」や「どこまでが想定内だったのか」の解説が乏しいため、結果的に「偶然頼りの杜撰な計画」という印象を与えてしまっている面は否めない。
    • 計画の鍵となる主人公の所持品が、押収されているはずの尋問室に存在する理由が不明瞭である。状況から尋問官が持ち込んだと推察はできるが、作戦実行時までその点に触れられないため不自然さが残る。
    • 特定の人物同士を鉢合わせる必要がある場面でも、事前に確実な情報を得ていた描写がなく、タイミングを含め偶然性に依存しているように見受けられる。
    • 「警察が遺体を確認していないのはおかしい」という指摘も多い。
      • これについては、黒幕側にとっても「偽造した死因を露呈させないために確認させたくない」という思惑があり、そこを逆手に取ったとも解釈できる。ミステリーの定番的手法(権力による隠蔽)を知る層には納得感がある一方、馴染みのないプレイヤーには単なる警察の怠慢に見えてしまいやすい。
    • 身代わりとなるシャドウが消滅するタイミングも、黒幕が立ち去った直後というあまりに都合の良い展開であり、作為的すぎるとの指摘がある。
    • 演出の勢いを重視した結果とも取れるが、解釈が分かれる重要な局面だけに、何らかの形での補完が望まれていた。
      • 特定の時期にパーティメンバーに話しかけると作戦の裏側を一部聞くことができるが、期間限定かつ任意会話のため見落とされやすいのがネックとなっている。
      • ただし、極限状況下での「出たとこ勝負」という側面を考えれば、ある程度の偶然性は許容範囲内とする見方もある。実際に作中でも、直前での無理な軌道修正が行われたことが語られている。
  • 真の黒幕に関する伏線
    • 物語の最序盤から重要な伏線が提示されているが、これはメタフィクション的な要素を含んでおり、過去作の知識や特定の演出意図を理解していることを前提としている。
    • そのため、未経験者には伏線として機能しづらく、結果としてラスボスの登場に「唐突感」を抱かせてしまうリスクがある。一方で、シリーズファンからは熱心なほど意表を突かれる鮮やかな仕掛けとして高く評価されている。
  • 学園生活描写の比重
    • 過去作に存在した部活動が廃止され、学校行事への関わりも薄め。全体として「学生生活」よりも「怪盗活動」に重きを置いた構成となっている。
      • 今作の学校は「大人に管理された不自由な空間」として位置づけられており、あえて自由な活動要素を削ったという制作意図がメディアの特集等で語られている。
    • 序盤から続く主人公への陰口や噂話が執拗であり、プレイしていて不快感を覚えやすい。試験結果などで評価は変化するものの、特定の場所(図書室等)での会話パターンが変わらないなど、変化の乏しさを指摘する声もある。
    • 校内の探索範囲についても、実習棟などが活用される機会が乏しく、やや持て余している感がある(『P5R』にて改善)。
    • モブキャラクターとの交流も限定的で、聞き耳を立てる描写が主となっているため、校内での人間関係の広がりを感じにくい。
  • シチュエーションの不自然さ
    • 正体を知られてはいけないはずの怪盗団が、ファミレスや駅の連絡通路といった公共の場で、ターゲット名や「予告状」などの機密事項を堂々と話し合っている。
    • 演出上も小声で話しているわけではなく、真横を通行人が頻繁に行き交う状況下での密談には「隠す気があるのか」とツッコミを入れられることがしばしばある。物語中盤で一部メンバーから注意が入るものの、場所選びの危うさ自体は終盤まで解消されない。
  • オープニング映像の構成
    • OPアニメーションにおける各キャラクターの露出時間に極端な偏りが見られる。竜司、杏、祐介らが複数回画面に登場する一方で、真や春は一瞬しか映らない。
      • 本作が度重なる発売延期を経てリリースされた背景もあり、制作スケジュールのしわ寄せがこうした構成の差異に影響したのではないかと推察されている。
  • 終盤のスケジュールとイベント
    • ストーリー上の制約により、クリスマスイブ以降はバレンタイン等の特定行事を除いて日付が大幅にスキップされ、そのままエンディングへと向かう形式をとっている。
      • クリスマスイブのイベントに関しても、その後のシリアスな展開を予感させる内容であるため、純粋な行事として楽しみにくいという声も存在する。
      • シリーズ恒例の「修羅場イベント」はバレンタイン時に集約されている。内容自体は好評を博しているが、イベント数そのものの拡充を望む意見も多い。また、特定のヒロインとデート中に他の候補者に遭遇しても一切言及されないなど、不自然な挙動が散見される。
    • 天候不順による修学旅行先の急な変更や、引率教師の不在を埋めるために3年生が急遽同行するなど、一部のシナリオ展開において強引さを感じさせる描写が見受けられる。
  • 超覚醒ペルソナのデザイン
    • 仲間のコープランクを最大にすることでペルソナが進化(超覚醒)するが、一部のキャラクターについては初期デザインの方が好まれるなど、評価が分かれる傾向にある。ただし、これらは個人の嗜好に依る部分が大きいため、一概に欠点とは言えない。
  • プレイボリュームと周回仕様
    • 初周のクリア時間が90~100時間を超え、周回プレイでも40時間以上を要する膨大なボリュームを誇る。
      • カレンダー進行による拘束時間に加え、パレスのギミックが凝っている分、周回時にはそれらが「作業」として感じられ、中弛みを引き起こす要因となっている。
      • 周回時でも序盤のチュートリアルがスキップできないなど、一部のシステム面に不親切な仕様が残っている。
    • 隠しボスの登場や最強ペルソナの合体解禁が2周目以降に設定されており、要素のコンプリートには複数回の周回が前提となっている。
  • パーティメンバーの性能差と役割
    • 前作『P4』ほどではないものの、習得スキルやステータスの関係でメンバー間の使用頻度に差が生じている。
    • 新島真は、全体防御上昇(マハラクカジャ)、全体全回復(メディアラハン)、高威力の核熱魔法を併せ持ち、さらに全能力+10の専用装備があるなど、その万能性から一軍に固定されやすい。
    • 坂本竜司は、攻撃力を高める「チャージ」と全体攻撃上昇(マハタルカジャ)を習得するため、特にボス戦において重宝される。対照的に、同系統の物理アタッカーである喜多川祐介は、属性ブースタ系スキルを習得しないため、器用貧乏な立ち位置になりやすく控えに回されがち。
      • 祐介に関しては「武道の心得」や「アドバイス」といった有用スキルの習得による差別化を望む声も多い。
    • 奥村春は、銃撃・念動の両属性でWブースタを運用可能なほか、全体状態異常回復や各種反射膜、能力上昇スキルを揃える。非常に高性能かつ多彩な役割を担える反面、スキル枠の取捨選択が極めて難しいテクニカルなキャラクターとなっている。
  • キャラクター描写に関する賛否
    • 高巻杏は物語序盤こそ中心的な役割を担うが、真や双葉が加入した中盤以降は発言機会が減少し、存在感が薄まってしまうという指摘がある。
    • 坂本竜司は、コープイベントでは仲間想いの好青年として描かれる一方で、メインシナリオでは軽率な言動や失言が目立つ「損な役回り」を強いられることが多い。コープ時との性格的な乖離から、本編での描写に否定的な意見を持つプレイヤーもしばしば見られる。


  • その他細かな問題点
  • ミニゲームの操作難易度
    • 作中の格闘ゲーム風ミニゲーム「豪血寺一味」におけるコマンド入力判定が極めて厳格。実際の格闘ゲーム以上に精密な入力を要求される局面があり、トロフィーコンプリートを目指すプレイヤーにとっての大きな障壁(ストレス要因)となっている。
    • ストーリー進行に依存するコープの停滞
      • 序盤から解禁されるコープの中には、物語が中盤まで進行しなければランクアップが止まってしまうものが存在する。
      • システム的な事前告知がないため、気づかずに貴重な行動日数を浪費してしまうケースが散見される。特に夜間の行動選択肢が少ない序盤において発生しやすい問題である(『P5R』では進行不可時に相手が断る仕様に変更された)。
    • トロフィー「熱烈リスナー」の取得難度
      • 「双葉のナビを250種類聞く」という条件達成のために、あえて全滅の危機に瀕したり、特定の状態異常を維持したりといった非効率なプレイを長時間強いられることが多く、批判の対象となっている。
    • 引き継ぎ要素の制限
      • 周回プレイにおいて、装備品などは引き継げるようになったものの、レベルや消耗品アイテムなどはリセットされる。過去作(P3等)のような完全な「強くてニューゲーム」を期待するユーザーからは不満も聞かれる。
  • DLに関する問題
    • 衣装受け取り場所の制限
      • DLC衣装の受け取りが自室の段ボールのみに限定されている。そのため、自室に戻ることができない物語最終盤のセーブデータでは新規購入した衣装を反映させることができない。
    • BGM選曲に関する混乱
      • 『女神異聞録ペルソナ』コスチュームセットにおいて、戦闘BGMが原作(PS版)ではなくPSPのリメイク版のものであったため、旧作ファンからの抗議が相次ぎ、一時配信が中断される事態となった(後に名称変更と無料配信、返金措置が行われた)。
      • 『P4』のBGMセットも同様に『P4G』の楽曲が使用されているが、こちらはストア上で事前に明記されていたため大きな混乱には至っていない。
    • 合体テーブルへの影響
      • DLCペルソナを導入すると、通常の2身合体結果にそれらが組み込まれるため、未導入時と比較して特定のペルソナが作成不能になる、あるいは要求レベルが大幅に上昇するといった副作用が発生する。
      • 一度導入すると未導入状態に戻せないため、合体の自由度やパターンの把握を阻害する不親切な仕様となっている。
      • 特に「メサイア」導入時は、特定アルカナの最上位ランクが書き換わる影響で「サタン」の通常合体が困難になる等の弊害が報告されている。
  • 難易度「CHALLENGE」の仕様
    • 最高難易度として追加されたが、実態は「被ダメージの激増」と「リソース獲得量の極端な減少」に集約されている。
      • 戦略性の向上よりも「金・経験値稼ぎの作業量増加」という側面が強く、敵の行動パターンの変化といった質的な調整を望むユーザーからは「作業感の強いHARD」との評価に留まっている。
      • リトライ不可という制限も相まって、理不尽さを感じやすい設計となっている(『P5R』にて仕様変更)。
  • 敵シンボルの再出現仕様
    • エリア(マップ)を切り替えるたびに、撃破済みの敵シンボルが基本的にすべて復活する仕様となっている。
      • 本作のパレスはギミック解除のためにエリア間を頻繁に行き来する構造であるため、その都度再配置される敵との遭遇が、ゲームテンポを阻害する要因となっている
  • 一部コープの仕様と演出
    • 物語終盤に解禁される「審判(新島冴)」のコープアビリティ「真なる正義」は、習得後も効果内容が「??????」と表記されたまま伏せられている。
      • 実態は「審判属性のペルソナ合体時に経験値ボーナス(アルカナバースト)を適用させる」という基礎的なシステムに関わるものだが、他コープのような明確な特殊技能ではないため、演出上の意図を除けばメリットが伝わりにくい。
  • シナリオ上の細かな矛盾点
    • 特定のイベント(佐倉惣次郎との会話等)において、新島真と主人公が交際していると疑われるシーンがあるが、実際に恋人関係であったとしてもシステム上は否定する流れで進行する。
    • 恋人であるのに
      • コープ進行状況がメインシナリオの細部まで反映されていないため、プレイヤーの選択によっては不自然な会話劇になってしまう箇所が散見される。


総評

ビジュアル、演出、システムの両面で劇的な進化を遂げ、まさにシリーズの集大成と呼ぶに相応しい完成度を誇る。
前作と比較して、演出の強化やパレスのギミック重視化によりゲームテンポが鈍化した点には賛否あるものの、圧倒的な作り込みの高さはそれらを補って余りある。
長年にわたるメディアミックス展開や地道なファン層の拡大が実を結び、世界累計出荷本数は270万本を突破。国内のみならず海外市場においてもシリーズ最大のヒットを記録し、JRPGの代表作としての地位を不動のものとした。
なお、不評であったシステム面やテンポの多くは、後に発売された完全版『ペルソナ5 ザ・ロイヤル(P5R)』において大幅な改善・向上が図られている。これから本作に触れるユーザーには、追加要素を含めより洗練された『P5R』が推奨される。

ペルソナ5 ザ・ロイヤル

【ぺるそなふぁいぶ ざ ろいやる】
ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション4
メディア BD-ROM/ダウンロードソフト
発売・開発元 アトラス(セガゲームス)
発売日 2019年10月31日
定価 9,680円
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作

概要(P5R)

『P5』(以下「無印」)に追加要素を足したいわゆる完全版。~
シナリオが延長され、無印とは異なるエンディングが追加されている。

評価点(P5R)

個性的な新キャラクターの登場
  • 芳澤かすみ、丸喜拓人、ジョゼといった、無印版には存在しなかったタイプの新キャラクターたちが追加され、高い人気を博している。
    • キャスティングも雨宮天氏、日野聡氏、森下由樹子氏と実力派が揃い、キャラクターの魅力を引き立てている。特に丸喜拓人は発売前のキャスト発表時から大きな注目を集めていた。
新要素・新エリアの拡充
  • 「吉祥寺」エリアや「水族館」などの新スポット、やり込み要素の「マイパレス」や「イシ」の収集、ジョゼによる「スタンプ」収集といった追加要素は概ね高評価。
    • 「マイパレス」では、ゲーム内ミッション(アワード)達成で得られるPメダルを使い、PV・BGM・設定画などのアーカイブを閲覧可能。また、仲間や協力者たちの認知存在を配置し、彼らの反応を楽しむこともできる。
    • 主人公以外のキャラクター(モルガナ等)を操作して館内を歩き回れる点もファンには嬉しい仕様。
学園描写の補完
  • 無印版で指摘されていた「学園生活描写の薄さ」を改善する形で、学校行事や日常シーンのイベントが追加され、学生としての側面もより深く描かれるようになった。
既存イベントのブラッシュアップ
  • 追加シナリオ部分だけでなく、既存のストーリーラインにも細かな調整が入っている。
    • 例として、無印版で言動の粗さが目立った坂本竜司には、感情的になった後に自省したり、仲間に謝罪の電話を入れたりするシーンが追加。キャラクターのフォローがなされ、印象が改善されている。
コープアビリティ「瞬殺」の劇的改善
  • 無印版で「不便なスキル」の筆頭だった「瞬殺」が、「格下の敵シンボルに ダッシュで 接触した場合のみ」発動する任意形式に変更された。
    • 撃破時にペルソナ(空き枠がある場合)、経験値、お金、アイテムが全て入手可能となり、探索効率が飛躍的に向上。
    • メメントスにおけるジョゼの「認知変化(稼ぎ効率上昇)」と組み合わせることで、無印版を遥かに凌ぐ快適なレベリング・資金稼ぎが可能となった。
楽曲の追加
  • 新たな先制攻撃BGM「Take Over」や、追加ダンジョン・ボス戦の楽曲群も、目黒将司氏による洗練されたサウンド健在であり、非常に評価が高い。
その他の調整・追加要素
  • 強敵「刈り取るもの」の特殊な弱点(インフルエンザ等による自滅)が修正され、本来の強さを取り戻した。稼ぎには使えなくなったものの、前述の「瞬殺」の強化により攻略上の問題はない。
  • 無印版では耐性に乏しかった「ルシファー」が大幅に強化。優秀な耐性を備え、最強ペルソナの一角として返り咲いた。
  • 『女神異聞録ペルソナ』や『ペルソナ2 罪・罰』といった旧作のペルソナが一部追加され、最新の3Dモデルで登場している。

論争点

新キャラ・芳澤かすみの扱い
  • 芳澤かすみは最序盤から戦闘へ参加する機会が用意されているものの、本格的なパーティ加入は物語の最終盤となる。
    • 魅力的なキャラクターだけに「もっと早い段階から共に戦いたかった」「物語の根幹に関わらずとも、おまけ要素等で序盤から使用したかった」という不満の声も少なくない。
  • ただし、戦闘能力自体は極めて高く、純粋な物理アタッカーとして申し分ない性能を誇る。加入時期の遅さを補って余りある爆発力を持っており、活躍の場に困ることはない。
追加のメインシナリオ
+ 内容に関する詳細(ネタバレ)
  • 追加シナリオは「とある存在が創り出した理想の世界」を、「独善的な欺瞞」と断じて改心させるか、あるいは「幸福な現実」として受け入れるかを選択する重厚なテーマとなっている。
  • 敵対者を「改心させる」展開に対しては、「悪人を改心させてきた怪盗団の行為もまた独善的であり、本質的に大差ないのではないか」という批判的な意見も散見される。見方によっては、本作のテーマそのものに対するアンチテーゼとも言える。
    • 敵対者自身も自らの歪みを自覚した上で怪盗団と対峙するが、これは怪盗団側にも同様の危うさが内包されている。
    • 無印版の時点で「怪盗団のやり方は一方的」という指摘はプレイヤー間や作中のNPCからも上がっており、追加シナリオはこの議論をさらに深掘りし、プレイヤーに突きつける形となっている。制作側が意図的に賛否両論を狙った構成とも解釈できる。
      • 怪盗団メンバー自身も、この矛盾と向き合い、対話を重ねた上で自分たちなりの答えを出す展開が描かれており、単なる未解決の問題として放置されているわけではない。
      • 敵対者がこれまでの悪人とは一線を画すイレギュラーな存在であるため、怪盗団側も猛烈な批判を浴びせるのではなく、互いの正義を賭けた対等な対立として描かれている。
    • 目的は共通しながらも手法や立場で対立する「マルチエンディング」の手法は、シリーズの原点である『女神転生』に近い。本編ラスボスをLaw、追加の敵対者をChaos、それらを拒む道をNeutralと捉える視点もある。
      • 敵対者の主張を受け入れるルートも「ハッピーエンド」として用意されており、どちらを選択してもゲーム的にはクリア扱いとなる。
  • 本編が一度綺麗に完結しているため、この特殊な後日談的シナリオはプレイヤーの価値観によって評価が二分されやすい。特に本編での体験にどのような意味を見出したかが評価の分かれ目となる。
  • これら特殊な背景からか、無印エンドと追加シナリオエンドのどちらが正史かは明言されず、パラレル的な扱いとなっている。
    • 続編の『P5S』は無印の設定を汲んでおり、『P5T』は『P5R』準拠とされつつも追加シナリオの詳細はぼかされているため、最終的な解釈はプレイヤーに委ねられている。
双葉の総攻撃フィニッシュ演出
  • 無印で唯一専用カットインがなかった佐倉双葉にフィニッシュ画が追加された点は、ファンから好意的に受け止められている。
    • ただし、発動条件が「主人公の総攻撃時にランダムで介入」という形式のため、主人公のフィニッシュ演出を見たいプレイヤーにとっては、無印版の「瞬殺」アビリティと同様の「意図しない発動」という問題がスライドした形になっている。
    • 他キャラに比べて演出尺が若干長く、戦闘のテンポを削ぐという意見もある。演出のON/OFF切り替え機能があればより快適であったとの指摘も多い。
  • また、双葉のみ衣装変更がフィニッシュ画に反映されない仕様となっており、パーティの統一感を重視するプレイヤーからは残念な点として挙げられている。
事実上の初見殺しギミックボス
  • 物語後半に登場する特定のボスが、本作屈指の難所となっている。
+ 攻略に関する詳細(ネタバレ)
    • 無印版では順次召喚される雑魚を倒す構成だったが、『P5R』では「特定の雑魚集団を2ターン以内に全滅させなければ全回復して入れ替わる」というWave戦仕様に変更され、難易度が激変した。
    • 敵の弱点自体は既知のものであるため、システムである「1more」と「バトンタッチ」を駆使して火力を最大化させれば容易に突破できるが、これらのシステムを十分に理解・活用していない場合は、レベルが高くとも時間切れ(総入れ替え)を繰り返す泥沼に陥りやすい。
      • 属性攻撃アイテムの使用やメンバー交代といった、普段あまり使わなくても進行できていた要素が攻略の鍵となるため、対応に気づかないプレイヤーも少なくなかった。
    • 本作の代名詞的システムをフル活用させる設計であり、噛み合えば爽快感があるものの、アイテムの備蓄や所持ペルソナの状況によっては「詰み」に近い状態を感じさせるほどの強敵となっている。
    • ここで突破を断念し、難易度を下げたりDLCの強力なペルソナに頼らざるを得なかったという声も多い。
新要素の目立ちにくさ
  • 無印版をプレイ済みの層からは「フルプライスのソフトとしては追加要素が物足りない」との指摘が挙がっている。
    • 過去作の完全版(『P3F』等)が廉価版を伴っていたり、移植を兼ねていた(『P4G』等)のに対し、本作は同一プラットフォームかつフルプライスでの販売となったことが、期待値との乖離を生んだ一因とされる。
    • また、同時期に他社の人気シリーズが大型DLCによる拡張形式へ移行していた背景もあり、従来の「完全版商法」に対する風当たりの強さも影響している。
      • 実際には既存要素への細かな調整や新システムも多数盛り込まれているが、新キャラクター(丸喜、かすみ)がシナリオの根幹に絡むのが終盤以降であるため、序盤の既視感を払拭しきれていない。
      • 人気の高い過去作主人公とのバトルがDLC限定である点も、惜しむ声が多い。
無印版からの引き継ぎ要素
  • セーブデータ連動特典が「特定のアイテム入手」に留まっており、進行状況の引き継ぎ等は行われない。
    • 既存要素の再調整やスケジュールの変更(3学期の追加等)が多岐にわたるため、単純なデータ共有が困難な側面はあるものの、1からやり直す手間に徒労感を覚えるプレイヤーも少なくない。
3学期の解放条件と真エンディングの難度
  • 目玉である「3学期」へ突入するためには、特定のコープを期限までに最大ランク(MAX)にする必要がある。
    • 真エンディング到達にはさらに別のコープ(特に明智吾郎)を特定の期間内に進行させる必要があり、初見かつ無印未プレイのユーザーにとっては、ノーヒントで条件を満たすハードルがやや高い。
    • また、条件を満たすと強制的に追加シナリオへ突入する仕様のため、1つのセーブデータで「無印版ルート」と「追加シナリオルート」を容易に選択できた『P4G』と比較すると、利便性が低下している。
追加シナリオ攻略のテンポ
  • 3学期のイベントにおいて、仲間の元を個別に訪ねるパートが存在するが、内容の短さに対して「1人に1日を費やす」形式となっており、その間はファストトラベルも制限されるため、冗長さを感じさせやすい。
真エンディングの描写
  • 仲間との絆を強調した無印版の結末に比べ、各キャラクターが自立し、それぞれの道へ歩み出す現実的な着地となっているが、これを「描写が薄い」と捉える層もいる。
    • 特に芳澤かすみとの別れのシーンが、それまでの親密さに比して淡白すぎるという意見が目立つ。
システム・スキルの不備
  • 銃属性の耐性スキルが未実装
    • 無印版から引き続き、ペルソナの銃属性弱点をスキルで上書きする手段が存在しない。
  • 冴のコープ内容の据え置き
    • ファンの要望が多かった新島冴の追加イベントや恋人ルートは搭載されず、コープ進行が一部飛ぶ仕様もそのままとなっている。
  • 活用箇所の乏しい「お香」
    • ペルソナを独房に預けて強化する「お香」が追加されたが、より効率的な強化手段が他に存在するため、利用価値を見出しにくい。
未回収の伏線
  • 新キャラクター「ジョゼ」の正体や、追加EDに登場する特定人物の意図など、伏線として提示されながらも本作単体では完結しない要素が残り、プレイヤーに釈然としない印象を与えている。
ハード特有の不具合(Switch版)
  • 特定の場面で音飛びが発生する現象が確認されている。


総評(P5R)

多数の新要素と細部におよぶ調整により、元より完成度の高かった『ペルソナ5』がさらに遊びやすく、隙のない作品へと昇華された。新キャラクターたちの存在感も凄まじく、プレイヤーの記憶に残る名シーンを数多く生み出している。

一方で、追加シナリオのテーマ性は非常に挑戦的であり、怪盗団の在り方に対する問いかけを含んでいるため、無印版からのファンであっても評価が分かれる傾向にある。
一部の未回収要素やフルプライス設定に対する不満は残るものの、現時点における「ペルソナ5」の決定版であることに疑いの余地はない。未プレイのユーザーには、対応機種の多さも含め、迷わず本作を薦めることができる。

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最終更新:2026年05月31日 13:54