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ペルソナQ2 ニュー シネマ ラビリンス

【ぺるそなきゅーつー にゅー しねま らびりんす】
ジャンル RPG #ref(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71eSD4gAXcL._SL1000_._SL160_._SL160_.jpg,,http://www.amazon.co.jp/dp/B07G51YT9X/)
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 アトラス
開発元 アトラス&brランカース
発売日 2018年11月29日
定価 6,980円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)


概要

評価点

  • 参戦キャラクターの大幅な拡充と緻密な差別化
    • 今作における最大の刷新点として、前作のリリース時に「なぜ彼女がこのお祭りに含まれていないのか」と多くのファンから不参戦を惜しまれ、熱烈な待望論が巻き起こっていた『ペルソナ3 ポータブル(P3P)』の「女性主人公(ハム子)」の参戦が公式に発表された。このサプライズは、シリーズの熱心なコミュニティの間で驚きと共に極めて熱狂的な歓迎の言葉をもって受け止められることとなった。
    • また、原作である『ペルソナ5(P5)』の本編における特殊な立ち位置やストーリー上の重い因縁、およびその結末の都合から「他作品のメンバーと一堂に会した際、世界観や陣営の空気から浮いてしまうのではないか」と事前にユーザーから懸念や不安を抱かれていた明智吾郎に関しても、作中では同じ「探偵王子」の異名を持つ『ペルソナ4(P4)』の白鐘直斗との繋がりを主軸に据え、チームの頭脳を担う推理役として見事に抜擢。シナリオの進行において他のキャラクターを置き去りにすることなく絶妙に溶け込ませることに成功している。さらに、劇中においては明智自身が自身の境遇や置かれた立場に対して複雑な内心を抱いていることを窺わせる細やかな心理描写や伏線も丁寧に織り込まれており、クロスオーバー作品としての制約を守りつつも、彼のキャラクター性を損なうことなく美しく落とし込んでいる。
    • 最終的なパーティー編成メンバーが総勢25名、探索を後方からサポートするナビゲーターが3名という、RPGとしては異例の超大所帯システムでありながら、各々が習得するスキルのラインナップやパラメーターのステータスは非常に精密な調整によって差別化が徹底されている。そのため、全キャラクターに対して個別の戦術的アイデンティティや明確な長所が担保されており、特定のキャラクターが他の誰かの完全な下位互換に成り下がってしまったり、あるいは一線級での運用に耐えられないほど明らかに不遇なスペックの死にキャラとして放置されていたりするような調整不足は一切存在しない。
  • メインシナリオ
    • 劇中の構成において無視することのできないいくつかの不満点や課題点こそ残されているものの、本作のオリジナルキャラクターとして物語の根幹を担う謎の少女「ヒカリ」の心の葛藤や変化を中心軸に据えて展開するメインストーリーは、プレイヤーをグイグイと引き込む強い魅力とドラマ性を備えている。物語の佳境からクライマックスにかけては、歴代のペルソナシリーズの本編においてファンを魅了し続けてきた伝統の熱い共闘展開や、カタルシスに満ちた演出もしっかりと用意されており、期待を裏切らないクオリティを見せる。
    • 前作におけるオリジナルキャラクターであった「善と玲」のコンビとは異なり、今作のヒカリは戦闘に参加する実戦のパーティーメンバーとしては配置されない。しかし、開発側はその「非戦闘員である」という設定上の特性を逆手に取り、戦闘外のシナリオ上で彼女にしか果たせない重要な役割や固有の見せ場を数多く用意することで、劇中における彼女の存在感や活躍の機会を極めて強固に確立している。ストーリーの全行程を通じて、彼女が精神的に驚異的な成長を遂げていくプロセスが克明に描かれるため、ゲームをプレイし始める前の段階と、感動の結末を迎えた後とでは、彼女というキャラクターに対するプレイヤー側の主観的な印象や愛着が劇的に変化して見える仕様になっている。
  • UIデザイン
    • 前作において大好評を博したグラフィックの方向性をそのまま正統に引き継ぎ、デフォルメ調へと可愛らしくアレンジされたペルソナ使いのキャラクターたちのビジュアルデザインは、今作においても極めて高い評価を獲得している。美麗な2Dの公式イラストはもとより、ゲーム内で実際にキビキビと動作する3Dのモデリングに変換された状態であっても、原作が持っていた本来の格好良さや特徴を一切損なうことなく調和させた、違和感の全くない洗練されたアートデザインとして完成を見せている。
    • また、画面を彩るユーザーインターフェースのビジュアルデザインに関しても、本家『ペルソナ5』がゲーム界に大きな衝撃を与えたあの先進的かつスタイリッシュなデザイン路線をドラスティックに継承。前作の比較的オーソドックスであったUI構成と比較して、視覚的な凝り方や演出の華やかさの面において圧倒的な進化と洗練を遂げている。
      • これに伴い、戦闘画面におけるコマンドの入力操作方法の仕様にもいくつかの変更やアレンジが加えられている。ゲームを開始した初期の慣れない段階においては、独自のボタン配置や遷移に戸惑ってしまい不意の誤操作を誘発しやすい側面もあるが、ひとたびシステムに指が馴染んでしまえば、最小限のボタンストロークと軽快なテンポで目当てのコマンドを瞬時に選択・実行できるようになる機能美を備えている。
  • 時空を超えた夢のクロスオーバー
    • 現時点のゲーム市場において、『P3P』の女性主人公という特殊な存在を含んだ上で、『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』の歴代3大ナンバリングタイトルの主要陣営が完全な形で一堂に会して共演を果たす唯一無二の記念碑的タイトルであり、作品の垣根を軽々と飛び越えて繰り広げられる登場人物たちの日常会話や掛け合いの妙は、ファンディスクとしてのトータルの質を極めて高い次元へと押し上げている。本作という特異な舞台設定の枠組みの中でしか決して成立し得ない、奇跡的な関係性や日常の交流模様を直接体験できることそれ自体が、ユーザーから極めて高い評価を受ける決定的な要素となっている。
      • 劇中に用意されている特殊なサブクエスト要素「特別上映」のシステムにおいては、一見すると親和性の高そうな納得の組み合わせから、事前の予想を裏切るような意外なキャラクター同士の邂逅に至るまで、多種多様な陣営の混成メンバーによる特別なエピソードが、それぞれ独立した一本の完成された短編ドラマとして贅沢に描き出されている。さらに、それら特別上映の枠内に留まらず、ゲームのメインストーリーの道中においても、陣営の差異を意識させない多角的な人間関係の構築や密度の濃い対話が息長く繰り広げられるなど、前作において最大の長所として数えられていたクロスオーバーの精神は、今作においても揺らぐことなく非常に強固に受け継がれている。
      • 例えば、歴代の作品を遊び込んできたプレイヤーであれば思わず笑みをこぼしてしまうような、3作(3・4・5)の歴代主人公たちが一堂に会して過酷な大食い勝負に挑むミニイベントや、4と5の主人公同士が互いの原作の趣味を引っ提げて火花を散らす釣り対決など、各作品の代表的なサブコンテンツや日常のやり込み要素を共通の話題として昇華させ、爆笑の掛け合いを展開するファンサービスが満載である。
      • 仲間キャラクターたちの間でも、それぞれの作品で学園の「委員長」の重責を担っていた者同士の苦労話や、主人公を支える「相棒」としてのポジションを確立している者同士の連帯感など、共通の属性や似通った境遇を持つ者ならではのローカルトークで大いに盛り上がる。このように作中で深い絆や明確な共通点を獲得したキャラクター同士の組み合わせに対しては、バトルの局面において固有の強力な「連携技」が個別に解禁されて習得する仕様がほとんどのケースで採用されており、実際の戦闘画面においても息のぴったりと合った専用のカットイン演出やダイナミックな攻撃モーションを披露してくれる。
      • さらに、熱い展開の極みとして、4の主人公と5の主人公が特定の局面において直接刃を交えるバトルシチュエーションなど、プレイヤーの興奮を最高潮に沸き立たせるドラマチックなプロットも搭載されている。特に特筆すべき爆笑演出として、5の主人公が周囲に対する自己紹介の際に、お茶目に「よろしくダホー」と口を開き、それに対して4の主人公が原作の悪ノリを踏襲して間髪入れずに「オレサマオマエマルカジリ」と返すなどの、ワイルドの資質(ペルソナ能力の特性)を持つ者同士にしか通じないシュールな伝統芸能(悪魔会話システムに由来するあるあるネタ)が完璧に再現されており*1、往年のアトラスファンを大いに笑わせてくれる。
      • また、5の主人公が原作で見せていたような、いわゆる「タラシ」気質なパーソナリティをあえて弄るような、コミカルな選択肢の数々も迷宮の各所にチラホラと仕込まれている。原作ゲームの進行次第では最大9股という驚異的な多重交際を平然と成し遂げ、公式の関連メディア等でも度々悲惨な「女難の相」をネタにされている5の主人公であるが、今作においてはメインヒロインであるヒカリから探索の同行に関して「みんなに迷惑をかけてしまってゴメンネ……」と健気に謝罪された際、プレイヤーの選択肢次第で「可愛いからオッケー」などと下心を隠さず平然と言い放ち、同行しているモルガナから即座に呆れ果てたツッコミを喰らう展開が存在する。さらに、その一連の調子の良い言動に対して、周囲にいた女性陣のメンバー一同から冷ややかな視線と共に「……まさかとは思うけれど、現実に戻った後で女の子を泣かせるような不実なことはしないよね?」などと笑顔で鋭い釘を刺されるなど、抱腹絶倒のコミカルなイベントが展開される。その悪ノリの直後において、同じくワイルドの苦労や女難の重みを身をもって知る立場である3の主人公と4の主人公の両先輩から、背後から静かに「……女性の扱いには本当に気をつけた方がいいぞ」「手痛いしっぺ返しを喰らうからな」などと、自身の血の滲むような経験則に基づいたリアルな警告やアドバイスを授けられる一幕もあり、ファンの爆笑を誘う。また、別のイベントにおいては、作中で自我に目覚めた特定の自律型ロボットの個体に対して、プレイヤーの悪ノリの選択肢によって「べっきぃ*2という、非常にニッチで業の深い名称を名付けようとして周囲を困惑させるなど、悪ノリの切れ味も健在である。
      • これらの充実した現代ナンバリングの要素のみに留まらず、劇中の非常にささやかなイースターエッグや演出の端々において、シリーズの原点である初期作品『ペルソナ1』および『ペルソナ2 罪/罰』の独特な世界観やフレーバーを彷彿とさせる小ネタやオマージュの要素も隠し味として仕込まれている。
  • ポータブルゲームとして圧倒的なプレイボリューム
    • 前作である『PQ1』のトータルのクリア所要時間と比較した場合、短縮されているのではないかという意見や批評も一部で見受けられる。しかしながら、それでもゲームのエンディングに到達するまでに必要な純粋なクリア想定時間は、普通にプレイを進行させていくだけでもおよそ50時間から、やり込み要素を含めれば100時間程度という膨大なプレイ時間を要求される設計になっており、ニンテンドー3DSという携帯ゲーム機向けにリリースされた大作RPGのボリューム感としてみれば、文句の付けようのない極めて濃厚かつ破格のスケール感を誇っている。
  • お祭りを盛り上げる至高の新規オリジナルサウンドとOPアニメーション
    • 前作において極めて高い支持を獲得していた、作品の壁を超えた高品質な新規オリジナルBGMのクオリティや、世界観に一瞬で引き込むスタイリッシュなオープニングムービーの完成度は、今作においても一切の妥協なく健在である。
    • 特にオープニングムービーにおいては、デフォルメされた各作品の主要メンバーたちが画面狭しと滑らかに動き回り、4の主人公たちの陣営と5の怪盗団の面々が背中を合わせて共闘する姿がハイクオリティなアニメーションで描写され、まさに夢の共演と呼ぶに相応しいお祭りゲーとしての最高の高揚感を演出する楽曲と映像に仕上がっている。また、この映像の演出の中には、前作と同様に物語の核心や後半の展開を暗示する緻密な伏線やビジュアルのギミックが幾重にも張り巡らされており、本編のゲームを完全にクリアした後に改めてこのOPを見返すと、散りばめられていた記号の意味やメッセージ性が完全に理解でき、より一層作品への理解と感動が深まる仕様になっている。
    • さらに、ゲームの発売後に配信された公式のアップデートを適用することにより、多くのユーザーから熱望されていた戦闘BGMの「ランダム再生機能」がオプション内に正式に追加された点も非常に好評を博している。*3
    • 本作に実装されている4つの主要な通常戦闘曲(バトルBGM)は、それぞれ『ペルソナ5』『ペルソナ4』『ペルソナ3』、そして『P3P(女性主人公)』の世界観や音楽的ジャンルを正確にイメージして書き下ろされた贅沢な構成となっており、ボーカルや演奏のレコーディングに関しても、それぞれの原作ゲームで歌声を担当していた往年のオリジナルアーティスト(川村ゆみ氏、平田志穂子氏、Lyn氏、藤田真由美氏ら)をそのまま一堂に編成して制作されている。これはファンからすれば、実質的にそれぞれのナンバリング作品に対して完全な「新曲」が1曲ずつ公式に追加されたも同然の極めて贅沢なファンサービスであり、どの楽曲も単体の音楽作品として極めて高い完成度を誇っている。
  • メインペルソナにおけるスキルカスタマイズ性の劇的な自由化
    • 今作における極めて大きなシステム面の改善点として、各キャラクターが永続的に所有している「メインペルソナ」のスキル編成を、プレイヤー自身の手で完全に自由にいじり、管理できるようになった点が挙げられる。
    • 具体的には、キャラクターのレベルが上昇して新たなスキルを習得した際、換装不可能な固定枠であっても、装備中のサブペルソナの仕様と全く同様に「今ある手持ちのスキルのうち、一体どれを消去して新しいスキルで上書きするのか」をプレイヤー自身の判断で任意に選択・拒否できるシステムへと改定された。前作の仕様においては、レベルアップ時に古いスキルがシステムの自動判定によって強制的に上書きされてしまう仕様であったため、例えば迷宮の探索において非常に重宝していた便利な『全体攻撃魔法』が、レベル上昇に伴って威力の高い『上位の単体攻撃魔法』へと勝手に書き換えられてしまい、実戦面における使い勝手が著しく悪化してしまったり、あるいは戦術の要として残しておきたかった貴重な補助・パッシブスキルが自動で消去されて使い物にならなくなってしまったりといった不便な事態が多発していた。しかし、今作の仕様変更によって、それらのリソース管理に対してもプレイヤーの戦術眼に基づいた的確な対処や維持が可能となった。
      • さらに、ゲームの進行によって拠点のベルベットルームで解禁される「イケニエ合体」の機能を用いることにより、メインペルソナに対してプレイヤーの好きなスキルを任意に継承・付与させることが可能になったため、原作の仕様を超えて「かなり好き勝手に、自分自身の理想とする戦術に特化させたオリジナル性能のメインペルソナ」へとキャラクターを育成・ビルドすることが可能となった。
    • ただし、これほどまでに育成の自由度が劇的に拡張された反面、この仕様変更は「一度スキル構成を確定させて成長させてしまったメインペルソナに関しては、付け替え自由なサブペルソナとは異なり、後から初期状態に戻してスキルを1からクリーンに育て直す手段が存在しない」という、後述する別の育成上のジレンマや取り返しのつかない問題点を生み出す引き金にもなってしまってはいるのだが。
  • ユーザーフレンドリーを追求した各種システム面の快適な改善
    • まず、迷宮探索の合間に利用する拠点におけるキャラクターの「体力・魔力の回復システム」に関しては、前作の煩雑なメニュー遷移や仕様と比較して、実行に必要なボタン入力の手間や画面の切り替えプロセスが劇的に削減され、極めてスムーズかつ便利に実行できるように改良された。本作のバトル環境においては、前作の一部で見られたような「あえて自身のHPを低く不健康な状態に維持することで、特定のスキルの火力を爆発的に引き上げる」といった極端なリスク型の変則戦法がそもそも成立しないゲームバランスに調整されていることもあり、このワンボタンに近い簡略化された高速回復仕様の導入は、純粋なプレイの快適性を高める要素としてユーザーから全面的に好評をもって迎えられている。
    • 探索の戦略性を広げる「サブペルソナ」のシステムに関しても、全体の所持上限枠のキャパシティが前作のタイトな設定から大幅に拡張され、より多くのペルソナを手元にキープしながら取り扱えるよう、運用の自由度が大幅に向上した。
      • ゲームの進行状況やヘビーな合成素材の厳選を行う局面においては、これほど拡張された枠であってもなお「まだまだ手元のストック数が足りない」と感じる瞬間こそ皆無ではないものの、この制約の範疇でいかに効率的なペルソナの在庫を回し、取捨選択を行うかというプロセス自体が、ダンジョンRPGにおける健全な「プレイ選択の幅」として機能している範疇と言える。
    • さらに、拠点のショップの機能において、迷宮の探索中に手に入れたものの今すぐには使用しない貴重なアイテムや、枠を圧迫する装備品などを一時的に外部へ預け入れて保管しておくことができる「倉庫・アイテム預かり機能」が正式に実装され、これがプレイヤーの間で非常に好評を博している。ただし、この便利な預かりシステムに関しても、後述する一部のUIの仕様やアイテムの引き出しの制限において、実戦面での新たな問題点や課題が浮上してしまっている。
    • 下画面の液晶画面をタッチペンでなぞって地図を描き出していくマッピングシステムのUIにおいて、プレイヤー自身の好みに応じて「頻繁に使用するお気に入りのマップアイコンを、最大6個まで独立して常時配置・セットしておけるクイック自由枠」が画面内に新たに新設された。この劇的な改善により、壁の線や隠し通路のマークなどを描き込む際、いちいち右下に配置されているメインのアイコンパレットを毎回ペンタッチで展開して目当てのマークを探し出すという煩わしい二度手間が完全に省けるようになり、地図作製の作業効率と快適性が飛躍的な進化を遂げている。
  • 戦闘バランス
    • 今作のバトルバランスにおける最も本質的な変更点として、前作の『世界樹』準拠のシステムにおいて前衛・後衛のポジション間に厳格に設定されていた「物理ダメージの距離減衰」の概念が全面的に削除・撤廃された。さらに、本家『ペルソナ5』の属性相性を踏襲して「念動属性」や「核熱属性」、および即死魔法ではない純粋なダメージソースとしての「祝福属性」「呪怨属性」といった新たな魔法属性の概念がゲーム内へドラスティックに追加。これに伴い、前作の環境下においては属性相性の都合上、実戦において確率に左右されるハマ・ムド系の即死魔法を発動するしか役割を持てず、ボス戦などで置物化しがちであった即死特化のキャラクターたちに対しても、相応の威力を誇る純粋な「属性ダメージ攻撃技」が豊富に新規追加された。さらに、最高難度である「RISKY」の環境を選択してプレイしている場合を除けば、シリーズの伝統であった『主人公の強制出撃縛り』が緩和され、主人公たちを戦闘パーティーの隊列から完全に外して控えに回す自由な編成も解禁されるなど、バトルを構成するシステム全体に対して劇的かつ徹底的なバランス調整が施された結果、プレイヤーが構築できるパーティー編成の自由度や推しキャラ雇用の幅は前作よりも遥かに増大している。
    • 前作において最大のボトルネックであり、戦闘バランスを著しく歪める要因となっていた「サブペルソナの入手手段・ドロップ条件」の仕様に関しても、今作では完全にシステムが刷新された。具体的には、迷宮内を徘徊する特定の「レアモンスター」を確実に撃破することへとフラグの成立条件が変更され、これにより前作の戦闘において『サブペルソナのドロップ発生確率を最大化させるために、毎戦必ず味方全員をブースト状態に導かなければならず、結果としてブーストの恩恵を無視して敵を初手で一撃全滅させてしまう光・闇の即死魔法が極めて使いづらくなっていた』という致命的なジレンマが完璧に改善・解消されるに至った。
    • また、前作のゲーム環境において「スキルの消費コストの重さ」や「ステータスの噛み合わせの悪さ」などが原因で、実戦での運用が著しく難しい、あるいは使いづらいと烙印を押されていた不遇なスキルや不遇キャラクターたちに対しても、今作では非常に丁寧なテコ入れと能力の救済措置が図られている。
      • その象徴的な一例として、発動に必要な消費SPの数値が実戦的なバランスへと劇的に見直された各種の攻撃魔法のコスト改定や、キャラクターの行動順や回避率に直結する「速」のステータスの基本成長値が大幅に上方修正され、前線での立ち回りが驚くほど快適に使いやすくなったクマのスペック向上などが挙げられる。
    • バトルの戦況を大きく覆す一斉攻撃「総攻撃」の発動条件に関しても仕様変更が行われ、今作では「戦闘ゾーンに存在する敵シンボルの『全員』を同時にダウン状態に追い込むこと」が厳格な発動フラグとして再定義された。この改定に伴い、敵の弱点を突いてダウンを奪っていくプロセスの中で、複数を巻き込む範囲攻撃を繰り出した際に「たった1発だけでも攻撃をミスして外してしまい、ダウンしていない敵を場に残してしまうリスク」の重みや戦術的なペナルティが相対的に格段に大きくなった。この仕様変更の恩恵により、物理攻撃スキルが内包する固有の命中率の不安定さに対し、必中かつ相性を突けば確実に敵をダウンさせられる各種「攻撃魔法スキル」の持つ確実性や戦術的な優位性が相対的に劇的に向上することとなり、前作のバトル環境を完全に支配していた『クリティカルを乱発して強引に押し切る物理スキル一辺倒・物理偏重』の極端なゲームバランスに対して、明確なブレーキと魔法復権のメスが入り、戦闘の多様性が少し改善している。また、新属性である「祝福」「呪怨」の攻撃魔法のカテゴリ内には、物理攻撃の判定を持つスキルが構造的に一切存在しないことや、ゲームが終盤戦へと突入すると、パーティー全体のSPを一瞬で全回復させることが可能な極めて強力な固有の連携技が正式に解禁されることなども、魔法スキルを主軸とした戦略を力強く後押しする追い風として機能している。
  • 成長の香
    • 物語の進行に伴って新たな作品のキャラクターたちが順次、かつ段階的に戦列へと加入してくるゲームデザインであること、そして最終的な総参戦キャラクター数が前述の通りあまりにも膨大な大所帯になることをあらかじめ考慮してか、使用した任意のキャラクターの現在レベルを、現在パーティー内で最もレベルの高い「全キャラクターの中の最高到達レベル」の数値に引き上げることができる「成長の香」が、ストーリーの全行程を通じておよそ10個ほど確実に手に入る。
    • この親切なアイテムの存在により、ゲームの後半でお気に入りの新キャラクターが加入した際や、これまで控えで眠らせていた低レベルのキャラクターを実戦に投入したくなった際であっても、わざわざ戦闘を何度も繰り返して泥臭い経験値稼ぎを一からやり直さなければならないというような、不毛な育成のストレスを完全に排除しており、プレイヤーはいつでも好きなキャラクターを即座に最前線の戦力として起用・編成できる環境が美しく整えられている。

論争点

  • P3P』女性主人公(ハム子)
    • 今作において満を持して新規参戦を果たし、かつ本来であれば同一のタイムライン上に同時に存在し得ない『ペルソナ3(P3)』の「男性主人公」との異例の同時参戦という極めて特殊な立ち位置を担っていることも手伝ってか、その引き換えとしてメインシナリオや各種のサブエピソードにおける彼女の扱いや露出度は破格のスケールに達している。
    • 実際に、物語の随所において彼女を中心とした出番や台詞、固有のプロットが非常に大きな割合を占めており、これほどまでに劇中での存在感やシナリオ上の主役級のウェイトが置かれている。いっそのこと彼女自身を独立したもう一人の選択式の『主人公』として、システム的にも最初から正式に選べる構造にしておいた方が、お祭りゲーとしての収まりが良かったのではないか」という本質的な指摘や不満の声がユーザーの間から上がるほどであった。
    • 前作において彼女の不参戦を余儀なくさせた最大の要因は、原作のタイムラインにおいて本来であれば明確な「ifの世界線」の住人として厳格に位置づけられている彼女の特殊な存在を、正史の『P3』および『P4』のメンバーが同居する本作の一本化されたクロスオーバーシナリオの中に、破綻なくどのように整合性を持たせて絡めるべきかという、設定上の極めて難解なジレンマに起因するものであった。
    • それら過去の懸念に対して、今作は「時空の歪みによる別世界からの迷い人」という強引な形での参戦状況の力業を選択したわけであるが、結果として懸念されていた「一本のシナリオ内での描写の破綻や偏り」という予感が、最悪の形で的中してしまうこととなった。
      • この極端な出番の多さは、新規参戦という話題性やパラレルワールドからの客人という特殊な設定を消化するための、ある種の「お祭りゲーとしてのバランス調整の産物」とも解釈できるが、劇中で描写される彼女の性格が、元々天然気味な気質であると同時に、意外にも口調が少々辛辣で口が悪いという、プレイヤーを選ぶ極めて癖の強いキャラクター性として出力されてしまっている点が問題をさらに複雑にしている。
    • 元々、原作の『P3P』における彼女の台詞や性格は、プレイヤーがゲーム中に選択する選択のバリエーションによって様々なグラデーションを見せるものであったため、各プレイヤーの間で「彼女の本来の性格はこういうものだ」という認識の齟齬や理想像の乖離が根強く存在していた。
    • それだけに、今作の開発側によって一つの尖った性格(天然かつ毒舌)へと半ば固定化される形で記号的に描写され、それがストーリーの中心で執拗に連発された結果、彼女に対して元々苦手意識を持っていた層や、彼女以外の他作品の陣営をメインの目的として本作を購入したユーザーからは、「特定のキャラクターに対する過剰な優遇、あるいは公式による不公平な贔屓である」とネガティブに受け止められるケースが頻発し、コミュニティにおける評価を真っ二つに分断する深刻な賛否両論の火種となってしまった。
    • さらに深刻な点として、この偏ったシナリオ構成は、彼女を心から愛している純粋なファンやプレイヤーにとっても、必ずしも100%満足して楽しめるような理想的な内容には仕上がっていないという致命的なジレンマを抱えている。
      • 今作の設定において、彼女はあくまで「別のパラレルワールドからやってきたペルソナ使い」という極めて寂しい前提が課されているため、今作の場に居合わせている『P3』の特別課外活動部の仲間たちは、彼女にとっての「大好きな仲間たち」と同姓同名・同一の容姿でありながらも、その実態は彼女のことを一切認知していない、完全に初対面の赤の他人であるという悲劇的な設定がベースとなっている。
    • この世界線の不整合が原因となり、どれだけ彼女が劇中で活発に動き回って出番を与えられようとも、シナリオの根底において「彼女だけが本来の居場所を持たず、周囲の人間関係の輪から浮いてしまっている」という孤独な違和感が拭い去れないまま付きまとうこととなる。
    • また、彼女が本来所属していたパラレル世界での仲間たちとの深い絆や、彼女ならではのキャラクター性を身をもって深く理解し、共有している人間が、同じくベルベットルームの住人として実装されているテオドアただ一人しか存在しない。
    • そのため、彼女と他の新しい混成メンバー(P4やP5のキャラクターたち)との間で行われる会話や日常のリアクションは、どこか表面的なやり取りや毒舌の一発ネタのような薄味な内容に終始せざるを得ず、クロスオーバーとしての深みや情感という観点から見ても、いま一歩噛み合わせの悪い不完全燃焼な仕上がりに留まってしまっている。
  • 戦闘
    • 今作において戦闘システムに大きな刷新が加えられた結果、前作と比較してプレイヤーが対処しなければならない「属性の総数」が劇的に増加。これに伴い、未知のフロアを探索する際に出会う初見のシャドウに対して、有効な弱点属性が一体どれであるかをナライズを完了させるためのプロセスや手間が、前作よりも遥かに膨大かつ過酷なものへと変貌してしまった。
    • 前作において3つのカテゴリ(斬撃・打撃・貫通)に細かく分断されていた物理系の属性に関しては、今作で一転して「物理属性」という一つの広範なカテゴリへとシンプルに統合された。しかしながら、ペルソナシリーズ全体の伝統的なゲームバランスの傾向として、通常戦闘で遭遇する一般の雑魚敵の中に「物理属性そのものが明確な弱点として設定されている個体」は極めて稀であり、ほとんど存在しない仕様になっているため、この物理属性の統合という緩和措置は、実戦における弱点探知の手間を軽減する上ではあまり大きな恩恵や意味を成していない。その一方で、魔法属性のカテゴリに関しては、本家『ペルソナ5』のシステムから「念動属性」および「核熱属性」という2つの新しい属性がドラスティックに追加されたほか、従来は確率に依存する即死魔法の枠組みであった「光属性(祝福)」と「闇属性(呪怨)」が、今作では他の4大属性と全く同格の「純粋な相性ダメージを算出する通常の攻撃属性」へと仕様が変更された。この結果、物理属性を除く純粋な「魔法属性のバリエーション」だけで実質的に合計8つの系統(火炎・氷結・電撃・疾風・念動・核熱・祝福・呪怨)が並び立つこととなり、初見の敵に対してシステム側から相性の開示をすべて完全に行わせるためには、原則として「最大で8回もの異なる属性攻撃を、手探りで律儀に撃ち込み続けなければならない」という、極めて過酷で骨の折れる検証作業を毎回強いられることとなる。この手探りのアナライズ作業の過程においては、燃費の悪い高位の魔法スキルを連発することによる味方全体のSPの劇的な消耗が避けられないばかりか、弱点を探っている最中に敵からの痛烈なカウンターを喰らったり、全体魔法が敵の耐性によって「無効」化されてターンを無駄に浪費してしまったりといった、道中での返り討ちに遭う戦術的なリスクや全滅の危険性が格段に跳ね上がる結果となっている。
    • この仕様がこれほどまでに面倒かつ不親切に感じられてしまう最大の背景として、本作が属性のベースとして丸ごと拝借してきたはずの本家『ペルソナ5』のゲーム本編においては、こうした属性の増加に伴う探知のストレスを未然に防止するための強力な救済要素やゲームデザインがしっかりと機能していた点が挙げられる。本家『P5』の環境下においては、「戦っているシャド)とペルソナが全く同じ同一の存在である」という世界観の設定が活かされており、戦闘中に一度でも該当のシャドウを交渉によって自身の『仲間ペルソナ』として手に入れることに成功しさえすれば、以降の戦闘においてそのシャドウと再戦した瞬間、まだ見ぬ全ての弱点や属性相性のデータが最初から「全開示」された状態でバトルを開始できるというスマートな救済システムが存在していた。また、敵の3Dグラフィックのビジュアルや外見的な特徴から、プレイヤー自身の直感や経験則によって「おそらくこの属性が弱点、あるいは無効だろう」というアタリを多少なりとも容易に察することができるように親切に設計されていた。しかしながら、本作においてはベースとなるゲームシステムが『世界樹の迷宮』の3DダンジョンRPGのフォーマットを踏襲している都合上、敵として登場するデザインはペルソナではなく完全に独立した未知の固有シャドウたちであり、それらを交渉で仲間に引き入れるシステムも存在しないため、本家に存在していたそれら全ての便利な救済・アシスト要素が根こそぎ丸ごと消滅してしまっている。その結果、本家から受け継いだ「属性が8種類もある」というシステム的な複雑さと面倒くささの負の側面だけが、一切の緩和措置なしでそのまま生々しくプレイヤーの手元へと残される形になってしまっている。
      • ただし、この「常に敵の苛烈な猛攻や見えない耐性を耐え忍びつつ、命がけで一歩ずつ有効な弱点を探っていく」という胃がキリキリするような極限の緊張感そのものは、古き良き高難度ダンジョンRPGとしての醍醐味や手応えに直結している部分でもあり、好悪や適性を激しく選ぶハードな要素ではあるものの、スリリングな戦闘を好むコアなゲーマー層にとっては非常に面白い戦術的な魅力として機能していることも確かである。さらに、今作のシステム的な追い風として、前述の通り迷宮から一度拠点(へと離脱した際のキャラクター全体の体力・魔力の全回復処理が完全に「無料」へと大幅に改善されているため、リソースの忘却を恐れて消極的になる必要がなく、後先のことや残高を一切考慮せずに初手からSPを贅沢にフル消費して全力で弱点属性の探査を試みるという、力業のゴリ押し戦術を気軽に組み立てやすくなっている点は、この仕様の不自由さを緩和する大きな救済材料となっている。
    • しかしながら、実際の過酷なダンジョン探索のフェーズを可能な限り効率的、かつ安全に立ち回ろうと試みる場合、プレイヤーが構築する5人編成のアクティブパーティー(および彼らが装備するメインとサブを合わせた合計10体のペルソナ枠)の中で、前述した「全8つの魔法属性」を隙間なく完璧に網羅しておき、いつ、いかなる属性相性を持った未知の強敵や混成部隊とエンカウントしたとしても、瞬時にそれぞれの弱点を突いて一斉に「総攻撃」の発動フラグへと繋げられるような、極めて計算され尽くした完璧な属性分散編成を常時維持することが、事実上の「必須の最適解」としてプレイヤー側に強く要請されることとなる。この仕様は、リソースの組み合わせを熟考するパズル的な戦略性を極めて高い次元へと引き上げている一方で、プレイヤーが自身のお気に入りのキャラクターたちを自由に組み合わせたり、特定の属性や戦術(例えば物理特化や状態異常特化など)に極端に尖らせたロマンあふれる自由なパーティーを構築したりするような「育成や編成における自由な幅」を、システム側から実質的に狭めて固定化させてしまっているという、ゲームデザイン上の大きな窮屈さを生み出す一因としても機能してしまっている。

  • 初期レベルでの習得がもたらした、固有スキル「探偵の戒め」の過剰な性能バランスブレイカー要素
    • 今作に参戦する各主要キャラクターたちがレベルアップに伴って個別に習得していく専用の固有スキル群の中で、バトルのゲームバランスを著しく揺るがすほどの過剰なスペックを誇っているとして、プレイヤーの間で一際大きな物議を醸しているのが、前述した明智吾郎が自力で習得する専用スキル「探偵の戒め」の存在である。このスキルの具体的な効果は、敵の行動や能力を著しく制限する「力封じ」「魔脈封じ」「速さ封じ」という3種類の主要な『封じ』系状態異)の全てを、同時にまとめて「中確率」の判定で敵単体へと一斉に付着させるという、極めて強力なマルチデバフ効果を有している。
    • 純粋なスキルの最終スペックや性能の絶対値そのものとして比較対象に挙げられるのが、敵単体に対して「高確率」という極めて高い付着成功率の判定をもって、同じく3種類の封じ状態の全てを確定に近い形で一気に叩き込むことができる、作中最高峰の封じ特化スキル「サロメの口づけ」の存在である。これと比較した場合、明智の持つ「探偵の戒め」は、付着確率の判定が一段階劣る「中確率」に設定されているため、純粋な効果の定義としては明確な下位互換のスキルとして位置づけられている。しかしながら、このスキルがバランスブレイカーとして問題視されている真の本質は、その効果の数値ではなく、システム的に設定されている「僅かレベル15(Lv15)」という、物語の極めて初期〜序盤の段階において早くも自力で習得できてしまうという、あまりにも早すぎる習得タイミングの異常さに起因している。さらに、実戦において発動の際に要求される消費SPの数値が、最上位スキルである「サロメの口づけ」と比較して劇的なまでに低燃費に設定されているため、バトルのリソース運用面における取り回しの良さは他の追随を許さない。
    • この異常な早熟スペックの恩恵により、道中の強敵や、各迷宮の最深部でプレイヤーの前に立ちはだかる凶悪なボスキャラクターとの決戦の局面において、明智を戦闘メンバーにただ1人編成しておくだけで、序盤から終盤に至るまで敵の強力な大技や魔法発動、素早い行動の全てを低コストで完全に封殺し続けるハメ技に近い立ち回りが容易に成立してしまう。これは前作のゲームバランスにおいて「道中の通常戦闘における探索の効率化は、とりあえず直斗を1人パーティーに入れてハマ・ムドを連発させておけばそれだけで全て解決する」と評されていた、あの極端な直斗固定化の歪みと全く同じ構図であり、今作のボス戦におけるフロントメンバーの枠が「とりあえず明智を固定で入れておくのが最適解」という形で完全に形骸化・固定化されやすくなるという、深刻な戦術の硬直化を招く主犯となってしまっている。
    • そのため、本作のスキルバランスに対するユーザーの評価やコミュニティ内での意見としては、「この強力な多重封じ効果を、ゲームが本格的に始まって間もない序盤のLv15の時点でプレイヤーの手へと明け渡してしまうのは、バトルの難易度崩壊を招く設計ミスであり、習得のタイミングがあまりにも早すぎて不健全である」と痛烈に批判する意見が根強く存在する一方で、「ベースの付着確率自体はあくまで不確定要素の絡む『中確率』の枠を出ない単体対象の技であること、そして何よりも明智自身がレベルアップの過程において、状態異常や封じの付着成功率をシステム的に底上げして重複させるための必須パッシブスキル(『封じ付着率強化』など)を自力で一切習得しないという致命的なキャラクター特性を持っている点を考慮すれば、最終的な打率や実戦での安定性はそこまで絶対的なものではなく、過大評価の域を出ない大したことのないスキルである」とする冷静な擁護派の反論も存在しており、その実用性や強さの定義を巡っては、今なおユーザーの間で激しい賛否が分かれる一大議論のトピックとなっている。

問題点

  • ワンパターンなメインシナリオ
    • 今作のシナリオ構造における最大の問題点であり、最も辛辣な批評が集まっている要素が、物語の全体的なプロット構築における著しい多様性の欠如と退屈さである。
    • 「周囲のノイズや大衆の意見に盲目的に流されるのではなく、自分自身の確固たる個人としての意見や信念をきちんと主張することこそが何よりも重要である」という、作品が掲げるメインテーマそのものの方向性や道徳的なメッセージ性自体は、決して悪いものではない。
    • しかしながら、メインストーリーの展開はこの特定の思想・テーマ性のみに極端に偏って終始支配されており、物語が進展してもテーマ自体のさらなる深掘りや、劇的なシチュエーションの転換、意外性のある話の広がりといった作劇上の工夫がほとんど見られない。
    • 各章ごとに扱う映画やキャラクターの配役、シチュエーションこそ表面上はガラリと変化するものの、その本質はいずれも「個人の主張や個性を理不尽に否定する社会的な抑圧に対し、いかに抗うか」という、全く同じパターンの似通った精神論のシナリオを最初から最後まで延々と繰り返すだけに終始している。
    • このワンパターンな単調構造が、ラストダンジョンの直前に位置する「第4シアター」の最深部に至るまで容赦なく継続するため、プレイヤーは中盤を過ぎたあたりで強烈な食傷気味に陥り、ストーリーに対する興味を途中で完全に失って飽きてしまいやすい。
    • 一応、全体を通せば魅力的な演出や高く評価できる感動的な名シーンも部分的には存在するのだが、それ以上に「同じ話の繰り返しによる退屈さ」のネガティブな印象がプレイ体験の大部分を覆い尽くしてしまうため、クリア後にデータを引き継いで「2周目をもう一度最初から楽しもう」というプレイヤー側のモチベーションや気力を著しく削ぎ落としてしまう最大の要因として機能している。
      • 前作の『ペルソナQ』においても、一つの根底にある一貫したシリアスなシナリオを中心に据えてはいたものの、あちらは「迷宮を探索中はシナリオの押し付けがましい介入をほぼ皆無の最小限に抑え、各迷宮のボスを撃破した直後のタイミングで初めて短くシリアスな核心の断片が語られ、それが最終的に一本の線へと繋がっていく」という、ダンジョン探索RPGとして極めてメリハリの利いたゲームデザインを採用していた。
    • だが今作は、迷宮ごとに独立した映画風の物語を付与することでシナリオ面の全体的なボリュームアップや補強を試みた形に変更している。
      • その結果として、中身の伴わない薄い引き延ばしのようなワンパターン展開を全編にわたってプレイヤーに強制することとなり、結果的には探索のテンポを損なう改悪を招いている。
    • 数ある和製RPGの中でも、特に「先の読めない緻密なプロットと、構成力の極めて高い秀逸なストーリーテリング」を最大のアイデンティティとして誇ってきたペルソナシリーズの派生作品であるからこそ、このメインシナリオにおける構成の致命的なお粗末さや退屈さは、ユーザーの間で一際目立つ大きな失望点として刻まれることとなった。
  • メインテーマの矛盾と同調圧力の構図
    • 本作が提示する「大衆の無責任な意見に流されることなく、個人の意志を明確に主張すべきである」というメインテーマの扱いを巡っては、そのシナリオの魅せ方や演出の力不足に起因する、物語の構造的な矛盾を指摘する声も少なくない。
    • 客観的な視点から彼らの行動を観察した場合、数十名もの大勢のペルソナ使いたちが、寄ってたかって繊細なメインヒロインであるヒカリに対して「自分自身の意見を持ち、主張しなさい」という特定の価値観を執拗に説き伏せ、押し付けているだけのように映る。
      • 結果として、ヒカリが最終的に彼らの意見を受け入れて前を向くという結末を迎えたとしても、それは本質的に「『目の前にある多数派・大勢の意見』に対して、ヒカリが最終的に同調し、流されてしまっただけのではないのか」という、テーマの根幹を根底から揺るがしかねない皮肉な矛盾構造が成立してしまっている。
      • 実際のところ、テキストの細部やシナリオの本質的な趣旨を論理的に読み解けば、作中で彼らが主張しているのは単純な自己主張の推奨ではなく、「たとえ周囲の大衆がどれほど賛同し、それが社会の多数派の空気になっていようとも、客観的に見て明らかに正しくないことに同調してはならない」という、個人の倫理観に根ざした高潔な抵抗の精神である。
    • したがって、ペルソナ使いたちが命がけで示したその気高い生き様や主張に心から感化され、ヒカリ自身が彼らと全く同じ信念の領域へと自発的に到達することそれ自体は、物語の因果関係やキャラクターのビルドアップのロジックとして決して矛盾しているわけではない。
    • だが、いかんせんトータルで「28人」という圧倒的な大所帯のペルソナ使いが文字通り一堂に会してスクラムを組んでいる状況下において、そのメンバーの中から誰一人として「同調圧力を生み出してしまう大衆側の心理や、保身に走らざるを得ない凡庸な一般人の弱さ」に対して人間的な共感や理解の視点を示す者が現れず、かつヒカリがそのような極限状態にまで精神的に追い詰められてしまった現実的な家庭環境や社会的な背景に対して、深く寄り添ったり、配慮して思い悩んだりするような生々しい情緒のクッションがシナリオ上に著しく欠落している。
    • そのため、結果として彼ら正義の味方たちの熱弁が、寄ってたかって一人の傷ついた少女を包囲して特定の価値観へと修正を迫る「美しい同調圧力」の暴力的な構図としてプレイヤーの目に映ってしまったとしても、それは作劇および演出上の明らかな手落ちであり、批判を免れないポイントとなっている。
  • プレイヤーの分身たる「主人公」の『P5』ジョーカー固定化に伴う仕様の後退
    • 前作の『ペルソナQ』においては、ゲームを開始した最初の段階において『ペルソナ3』のルートと、『ペルソナ4』のルートの「2つの独立した視点」が贅沢に用意されており、選択した主人公によって拠点の会話や人間関係の変遷がガラリと変化するマルチな仕様が大きな魅力であった。
    • しかしながら、今作におけるプレイヤーの分身のポジションは、最新作である『ペルソナ5』の主人公の視点ただ一つへと完全に固定化される仕様へと変更された。
      • 前作における実質的な主役やクロスオーバーの軸が3と4の陣営であったことを踏まえれば、今作のゲームデザインにおいて最新作である5の怪盗団をストーリーの中心軸に据え、そのリーダーを固定の主人公として抜擢すること自体は、シリーズのマーケティングや世代交代の観点から見てもおおむね妥当であり、ファン側にとっても十分納得のいく選出であると受け止められている。
    • しかしながら、その妥当性を差し引いたとしても、選択できる主人公が前作の半分へとドラスティックに削減されてしまったこと、およびそれに伴ってゲームをクリアした後に2周目をプレイした際のテキストの変化やルート分岐の楽しみといった「周回プレイ時における新鮮な驚きや変化のバリエーション」が著しく乏しくなってしまった。
    • さらにシステム的な噛み合わせの悪さとして、この固定主人公であるジョーカー自身が、今作メインシナリオの進行や事件の核心に対して、驚くほど有機的に関わってこないため、大所帯の会話劇の中で事実上の「空気」と化してしまいがちであるという指摘も非常に多い。
      • 彼が主人公としての存在感を著しく失ってしまっている背景には、前述したバトルシステムの親切な改善点が、最悪の形で裏目に出てしまっている事実が関係している。今作においては、ゲームの最高難易度である「RISKY」モードを選択してプレイしている極限状態の環境を除けば、たとえゲーム上の絶対的な主人公であるジョーカーであっても、戦闘に参加する5人のアクティブメンバーから任意で完全に外して控えのベンチへと追いやる自由な編成変更が可能となっている。
    • この仕様は編成の自由度を広げる上では非常に好評であった反面、「ストーリー上は彼を中心に怪盗団が動いているはずなのに、実際のゲームプレイの局面においては、プレイヤーの好み次第でジョーカーの姿が画面から完全に消え去り、一切戦闘に関与していない状態が何十時間も平然と維持できてしまう」という致命的な乖離を生み出すこととなり、主人公としてのアイデンティティや影の薄さにパーソナリティをかける決定的な要因となってしまっている。
  • 『ペルソナ3(P3)』男性主人公陣営の極端な参戦時期の遅さと不遇な扱い
    • 今作は参戦する作品の総数が劇的に増加した関係上、ストーリーの進行に伴ってそれぞれの陣営を段階的に迷宮内で合流させていく群像劇のスタイルを採らざるを得ない。
    • そのため、物理的な仕様の都合上、どうしても特定の作品のメンバーの合流時期がゲームの後半〜終盤へと著しく遅れてしまう現象が発生すること自体は、クロスオーバー作品の構造上ある程度までは仕方のない不可避の制約であるとファン側の間でも理解は示されている。しかしながら、その割を食う形で最も過酷な実質的冷遇のポジションに追いやられてしまったのが、他ならぬ『ペルソナ3(P3)』の男性主人公率いるオリジナル陣営の面々であった。
    • 特に、そのオリジナル陣営の象徴である「P3男性主人公」と、対シャドウ特別制圧兵装である「アイギス」の2名に関しては、今作において最大の目玉・特別扱いとしてストーリーの超序盤から大々的にフィーチャーされている『P3P』の女性主人公との作劇上の明確な対比や配置の兼ね合いも悪く影響し、全参戦キャラクターの中で最も遅い「最終盤のタイミング」に至るまで、パーティーへの正式加入が徹底的に引き延ばされる仕様となっている。
    • その結果、ようやく彼らが合流を果たした段階においては、メインシナリオの残りのボリュームやテキストの枠がほとんど残されておらず、特にP3の男性主人公に関しては、他のナンバリング主人公たちと比較しても、ストーリー本編の日常会話や作戦会議のイベントにおける発言の機会や見せ場が目に見えて極端に少なく調整されている。
      • これに加えて、彼らが縦横無尽に活躍するための肝心の舞台に関しても、前作の『ペルソナQ』のボリュームから劇的に増加しているわけではないため、P3勢のオリジナルメンバーたちは、純粋なシナリオのテキスト量としても、ゲームプレイにおける実戦への投入期間という意味においても、あまりにも出番が少なすぎる不遇な消化不良の状態のまま、物語の幕引きを迎えてしまうこととなった。
  • 総勢28名のキャラクター肥大化に伴う作劇のキャパシティオーバーと描写の希薄化
    • 前作の時点で既に「主要キャラクターの総数が多すぎて、テキストの中で全員を完璧に扱い切れていないのではないか」という作劇上の限界を指摘する意見が一部で上がっていたにもかかわらず、今作においてはそこに『ペルソナ5』の怪盗団一同、および『P3P』の女性主人公という大所帯の新規戦力がさらに上乗せされる形で参入した。
    • この急激なキャラクター数の肥大化がもたらした弊害はあまりにも深刻であり、一人一人のキャラクターに割り当てられる純粋な台詞の行数や個性を発揮するためのイベントスペースが、前作以上に目に見えて著しく縮小・圧迫される結果となっている。自分自身の思い入れのある大好きな推しキャラクターの出番や、物語の本筋における活躍の機会が著しく制限されてしまうであろうという不都合な現実に関しては、ゲームが発売される前の発表段階においてある程度はプレイヤー側も覚悟し、予想できていた範疇の悲哀ではあったとはいえ、いざ実際の製品版においてその極端な描写の薄さや出番の無さを目の当たりにしたファンの間からは、やはりどうしても寂しさや落胆の混じった残念な声が隠しきれずに上がる形となった。
    • さらに、このキャラクター描写の希薄さに対して、前述した「選択式の別シナリオの完全な廃止」という今作の仕様の後退が追い打ちをかける形で重く響いており、一度のプレイで薄く広く全員の台詞を消化して終わってしまい、別視点からお気に入りのキャラを深く掘り下げるような救済ルートも閉ざされている点が、キャラゲーとしての物足りなさをより強固なものにしてしまっている。
    • このキャパシティオーバーの極致とも言える無残な作劇の弊害は、ゲームの終盤からラストダンジョンにかけてのイベントシーンにおいて最も顕著な形で露呈することとなる。物語のクライマックスにおける重要な決意表明や敵への啖呵を切る場面などにおいて、まるで学校の卒業式における生徒全員による呼びかけのアトラクションをそのまま見せられているかのように、「誰が喋ってもキャラクターの整合性や文脈が一切変わらないような、凡庸で無個性な短い一言のフレーズ」を、数文字〜十数文字単位で細切れに細かく区切り、それを複数人のキャラクターたちのリレー形式で順番に一言ずつバケツリレーのように喋らせていくという、極めて不自然で人工的なテキスト演出が頻発する。これは、膨大な数の登場人物全員に対して「最低限の一言の出番」をシステム的・機械的にノルマとして無理やり捻出するために編み出された、苦肉の策にして極めて稚拙なテキスト構成の悪手であり、キャラクターそれぞれの個性を重んじるプレイヤーからは、お祭りゲーとしての風情を著しく損なう安易な数合わせの演出として、非常に冷ややかな評価を受けることとなった。
    • また、ユーザーの細かな不満点や落胆の要素として、ゲームが発売される前のプロモーション段階において、シリーズの熱心な有識者やファンたちの間で「このクロスオーバーが実現するならば、原作の設定や背景を踏まえて、きっとこのような夢の絡みや特別な会話イベントが贅沢に用意されているに違いない」と多大なる期待を寄せられていた、特定の記号的・歴史的な繋がりを持つキャラクター同士の固有の掛け合いが、実際の製品版において何一つとして実装されず、完全にスルーされてしまっている点も非常に惜しまれている。
    • その代表的な一例として挙げられるのが、原作『P3P』において女性主人公を選択してプレイした際にのみ発生した期間限定の特殊な旅情イベントにおいて、当時まだ中学生の子供でありながら実家の老舗旅館を手伝っていた天城雪子と直接出会って言葉を交わしていたという、ファンにとってはたまらない歴史的な連続性を有している『P3P女性主人公と天城雪子』の二人の間における、過去の邂逅を踏まえた同窓会的な特殊会話の不在である。さらに、格闘ゲーム作品の『P4U』などの外部メディア展開において、P3のオリジナルメンバーである岳羽ゆかりが特撮番組『不死鳥戦隊フェザーマン』の劇中女優として芸能界で大活躍している事実と、本編『P5』において重度の引きこもりハッカーである佐倉双葉が、自身の自室の棚にそのゆかりが演じたフェザーピンクの超レアなフィギュアを家宝として大切に飾っているという、作品の枠を超えた非常にエキサイティングな繋がりが存在している『岳羽ゆかりと佐倉双葉』のオタク的な絡みに関しても、今作では一切描写されない。
  • 各迷宮のストーリー主導化に伴う、クロスオーバー要素の著しい単調化と形骸化
    • 前作においては、拠点である文化祭の催しやバラエティ豊かなシチュエーションを巧みに利用し、作品の枠を超えたキャラクター同士の予想もつかない突発的な交流やコミカルな化学反応を多彩なシチュエーションで贅沢に用意していた。
    • しかしながら、今作においてはゲームデザインの舵取りが大きく変更され、各迷宮ごとに完全に独立した一本の明確な映画風のメインストーリーが設定され、それに従って探索が進行していく「ストーリー主導型」の構造へとシフトした。この弊害として、迷宮を攻略している最中にキャラクターたちの間で交わされる戦闘外のテキストバリエーションの大部分が、その時攻略しているシアターの映画の内容や、NPCであるヒカリに関する進捗状況といった「目の前の一時的な事件に関する解説や義務的なコメント」ばかりで占められるようになってしまった。その結果、物語の本筋や世界の謎に対して有機的な影響を及ぼしたり、作品間の設定を深くクロスさせてファンを唸らせたりするような、本来の意味での「質の高いクロスオーバー要素」が劇中においてきわめて少ない、あるいは皆無に近い状態にまで単調化してしまっている。日常の掛け合いの大部分は、極論すれば「ストーリーの進行を見る上では、全て既読スキップで飛ばしてしまっても何一つ問題がないレベル」の、その場限りの薄味な世間話や状況説明の繰り返しに終始してしまっている。
    • 作品の垣根をまたいだキャラクター同士の貴重なプライベートな交流やコミカルな掛け合いの大部分は、本編とは完全に切り離された前述の独立システムである「特別上映」の枠内へとほぼ全て隔離・一元化される形となった。これに伴い、前作においては迷宮探索の合間に拠点を散策するだけで自然に発生し、プレイヤーの目を楽しませてくれていた「迷宮の実際の戦闘や探索を伴わない、純粋な拠点内でのイベント形式のコミカルなサブイベント」という手軽な交流の選択肢がシステム上から完全に消滅してしまった。
    • 結果として、今作におけるクロスオーバー要素の大部分は、「特別上映のミッションをこなすために、義務的に特定の映画マップへと再出撃し、指定された敵の討伐や特定の素材の採集といった作業的なタスクをこなす合間に、その前後のテキストで取って付けたような当たり障りのない世間話を繰り返す」という、極めて単調で作業感の強いルーチンワークの枠を出ないものへと変貌を散らしてしまっており、前作の学園祭という最高の舞台設定を活かした多彩なファンサービスの充実度と比較してしまうと、お祭りゲーとしての総合的なエンターテインメント性は、明確に一歩「退化・後退してしまった」と言わざるを得ない。

  • ファンの興奮を冷めさせる、製品版における細かな設定ミスやテキストの誤字の散見
    • キャラクターゲームとしてのディテールの細かさや原作へのリスペクトが極めて重要視される本作のような記念碑的タイトルでありながら、製品版のパッケージ内には、開発側のチェック不足や監修の甘さを露呈するような、細かな設定上の矛盾や、テキストメッセージ内における初歩的な誤字・脱字がそれなりの頻度で散見される点が、熱心なユーザーの間でノイズとして不評を買っている。
    • しかしながら、それらアップデートによる修正対応が行われた後であってもなお、ファンの間で最も激しいツッコミや落胆の混じった批判が集中し、現在もそのまま残されてしまっている象徴的なグラフィックのエラーが、他ならぬ『ペルソナ3』男性主人公が戦闘中に総攻撃のフィニッシュを決めた際に画面いっぱいに大々的に挿入される、専用の美麗な1枚絵のカットイン演出において、彼のアイデンティティであり、特別課外活動部の絶対的な象徴であるはずの「S.E.E.S.の制式戦闘腕章」が、絵師の単純な描き忘れによって彼の左腕から完全に消失してしまっているという、あまりにもお粗末なビジュアルエラーの存在である。
    • 信じがたいことに、この腕章の描き忘れに起因するビジュアルの不具合は、ゲームが実際に発売されるよりもかなり前のプロモーション段階の時点で、公式サイトや先行公開されたティザー映像のグラフィックを通じてユーザー側の間で早くも発見され、多くの熱心なファンから開発元であるアトラスに対して「本編の発売までに必ず修正しておいてほしい」との指摘や修正要望が大量に送られていた。にもかかわらず、開発側はそれらユーザーからの事前のフィードバックを完全に無視するか、あるいは修正が間に合わなかったのか、何一つとしてビジュアルの修正措置を講じることなく、腕章が消失したままの不完全なグラフィックデータの状態のままで平然と店頭へと発売されてしまった。
    • このユーザーの原作愛を軽視するかのような開発側の不誠実な対応やチェックの杜撰さは、P3のファンを大いに失望させ、今なお深い怨嗟の声の対象として語り継がれている。
    • 他には、作中に登場する特定の人物のキャラクター名や固有名詞の「読み仮名」の設定において、公式が長年定義してきた厳格な公式設定の読み方とは異なる、明らかな間違った読み方の指示書の状態で声優陣の収録を強行してしまった形跡がそのまま残されており、実際のゲーム音声として間違った発音のボイスがそのまま大真面目に再生されてしまっているという、音響監督や監修の致命的なエラーまで発生している。
    • さらに、同じ一つの映画イベントのシーンの枠内であるにもかかわらず、特定のキャラクターが相方のキャラクターの名前を呼ぶ際の「呼び方」が、セリフの前後で突然ブレて変化してしまっているといった、キャラクターのセリフの監修として初歩的かつ不自然極まりないテキストのバグも散見され、世界観への没入感を著しく削いでしまっている。

  • 重要キャラクター「ラヴェンツァ」の未登場に伴う、ベルベットルーム姉妹の掛け合いの損失
    • 原作である『ペルソナ5』の物語の終盤における最大のサプライズであり、双子の看守であるジュスティーヌとカロリーヌの二人の魂が本来の正しい姿へと融合して一つに生まれ変わった真のベルベットルームの住人「ラヴェンツァ」が、今作においてはプレイアブルやイベントNPCを含めて、一切画面に登場しないという点も、5のファンのみならずシリーズの住人ファンから非常に惜しまれている要素である。今作における『ペルソナ5』陣営の時間軸の設定は、彼らが現実世界においてまだラストダンジョンを迎える前の、怪盗団としての全盛期の活動期間の途中のタイミングからこのシアターの世界へと精神を囚われているというタイムラインが採用されている。
    • そのため、彼女らの正体であるラヴェンツァの姿がまだこの世に顕現していない状態であるため、設定上の整合性を守るためのロジックとして、彼女が今作に姿を現さないこと自体は一見すると筋が通っているようにも思える。
    • しかしながら、本作のストーリー全体の根底に課されている絶対的なルールとして、「この映画館の世界から現実へと帰還する際には、この異世界において経験した全ての出来事や出会った人々の記憶を、全員が例外なく綺麗さっぱりと忘却し、元の時間軸へとリセットされて戻っていく」という、記憶の忘却によるタイムパラドックス防止の鉄則が最初から完璧に定義されている。したがって、仮にここで本来の時系列を多少無視してラヴェンツァを前倒しで登場させ、歴代の住人たちと接触させたとしても、現実に戻る瞬間に全ての辻褄が合うように記憶が消去されるため、シナリオ上の矛盾や原作の設定破壊が起きるリスクは構造的に100%回避できたはずであり、参戦させること自体にシステム的な障壁は何一つ存在しなかったはずである。
    • それだけに、もし彼女が今作の豪華な祭典の場にしっかりと参戦を果たしていれば、シリーズのファンが長年にわたって妄想し、強く期待を寄せていたであろう、ベルベットルームが誇る最強にして個性豊かな姉妹たちの総勢4名が一堂に会し、互いにどのようなコミカルな家族の掛け合いや、独自の姉妹喧嘩のドラマを繰り広げていたのかという、本作でしか絶対に実現し得なかった至高のベルベットルーム・ファミリーのクロスオーバーイベントが完全に拝めるチャンスであっただけに、その可能性が設定上の生真面目な自重によって丸ごと潰され、未登場のまま幕を閉じてしまったという事実に対しては、キャラゲーとしての純粋な物足りなさや、ファンサービスの好機を自ら逃してしまった開発側の判断に対する落胆の声が、今なお非常に残念な損失としてファンの間で語り継がれている。

  • パズル要素の簡略化に伴う、単調な迷宮構造とギミックの底浅さ
    • 今作の迷宮探索における大きな失望点として、ダンジョン内に仕掛けられたパズルや謎解き要素の難易度が前作から大幅に低下してしまった点が挙げられる。迷宮に用意されたギミックの大部分は、「特定のスイッチを切り替えて対応する扉や隔壁を開閉し、先へ進む」という極めて古典的かつ単調な処理の繰り返しに終始しており、ゲーム序盤から終盤のラストダンジョンに至るまで、迷宮攻略に求められる思考の深さや難易度に劇的な変化やステップアップが見られない。そのため、フロアを進めても新鮮な手応えが得られず、探索そのものが作業的で非常に単調なものへと陥りやすくなっている。
    • 前作においてマッピングの醍醐味やルート構築の楽しさを巧みに演出していた「複雑に絡み合う一方通行の抜け道」だけで緻密に構成された高難度の部屋や、前作のイベントに見られたような、作中の世界観や設定をユニークに落とし込んだお遊び要素満載の固有ギミックも今作では根こそぎオミットされた。結果として、どの映画館を訪れてもビジュアルの皮がすげ替わっているだけで、やっていることは中身の薄いスイッチ押しゲームに終始しており、探索RPGとしての深みや知的な達成感は著しく後退している。

  • 過剰な演出ファーストの仕様が強いる、冗長でストレスフルな迷宮ボス戦
    • バトルの戦闘デザインにおいて、特定の演出やシステム的なお約束をプレイヤー側へ半ば強制するようなボス級エネミーのギミック設計が、戦闘のテンポを著しく悪化させて不評を買っている。この問題が最悪の形で露呈しているのが、「第3シアター」の最深部で待ち受けるボスキャラクターとの戦闘である。このボスは劇中の演出や固有のギミックを正確に消化していくことがシステム上絶対の前提として組まれており、たとえプレイヤー側がキャラクターを極限まで育成し、強力なペルソナや装備を整えて挑んだとしても、その圧倒的な火力によるゴリ押しや短期決戦での撃破が一切通用しない堅牢なロック仕様が施されている。その結果、ギミックを一つずつ律儀に解除しながら戦わざるを得ず、ただ1回の戦闘をクリアするためだけに最低でも20ターン以上もの膨大な時間を強制的に費やされることとなり、バトルの難易度や戦術的な手応え以前に、純粋にただただ面倒で時間がかかるだけの退屈な引き延ばし戦闘であるというネガティブな意見がユーザーの大部分を占める結果となった。
    • なお、これ以降の「第4シアター」やラストダンジョンに登場するボスたちに関しては、プレイヤーの戦術的な創意工夫をしっかりと反映させる余地のある知的な戦略ギミックが付随しているか、あるいは最悪の場合でも育成による圧倒的なステータスやスキルシナジーによる力業のゴリ押し突破が平然と通用する緩いバランスに調整されているため、この第3シアターのボス戦で見られたような最悪レベルのテンポの悪さやストレスは辛うじて解消される形となっている。

  • 全体的なレスポンスの遅さと、各種演出のスキップ不可がもたらすモッサリ感
    • ゲームの根本的な動作パフォーマンスやシステム全体のレスポンスに関しても、前作や他の3DS作品と比較して明らかな退化が見られ、全編を通して非常に重たくモッサリとした操作感がプレイヤーに付きまとう。キャンプメニューの画面を呼び出す挙動から、各種UIの画面切り替え、戦闘時におけるコマンド入力の選択に至るまで、あらゆるレスポンスに若干のラグや引っかかりが発生するため、快適なゲームプレイが著しく阻害される。
    • 戦闘時のテンポを最速にするシステム設定「VERY FAST」を選択している状態であっても、味方が全体攻撃スキルを発動した瞬間や、連続して追撃や連鎖スキルが次々と発生する局面において、内部的なエフェクト処理の負荷が原因なのか、画面の進行が数秒間ほどピタッと止まるような不自然で長い間が頻繁に発生し、バトルの爽快なテンポやスピード感が著しく損なわれてしまっている。
    • また、今作からは任意のキャラクターのステータスを手軽に強化できるお助けアイテム「成長の香」が追加された点自体は育成の緩和措置として高く評価されているものの、それを使用したり戦闘で勝利した際に入手する大量の経験値によって発生するレベルアップ演出を、ボタン入力によって途中で高速スキップすることが一切できない不親切な仕様になっている点が非常に痛い。この弊害は、ゲームの終盤において今までベンチで全く育成していなかった控えの膨大なメンバーたちを一斉に実戦レベルまで引き上げるために、香や経験値の大量投与を行う際に最も顕著となり、キャラクター1人1人のレベルが連続で上昇していく演出を何十回も延々と等倍の速度で見せられ続けることとなるため、作業効率やUIの快適性という意味において、極めて目につきやすい大きな難点として批判の対象となっている。

  • 壁線の認識アルゴリズム変更とタッチバグが招いた、下画面UIの決定的な劣化
    • 世界樹の迷宮シリーズの最大のアイデンティティである「タッチペンによる手書きマッピング」のシステムにおいて、今作は下画面の入力に対する線の認識アルゴリズムが大幅に書き換えられてしまったことが原因で、前作よりも壁の線を引く際の判定が劇的に悪化している。タッチペンで画面をなぞっても綺麗に線が引けない描き損じや未認識の現象が画面上のあらゆる方向で頻繁に発生し、プレイヤーの意図通りのマッピングを行うことが極めて困難な仕様へと劣化してしまった。このマッピングの描きにくさやストレスの度合いは、かつて同様の線引きバグを抱えて物議を醸した『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』の通常版の不具合と比較しても、今作の方がさらにタチが悪いと評されるほどである。あちらは特定の限定的な状況下において、左方向へと引く横線のみが正しく認識されないという局所的なバグであったのに対し、今作の劣化アルゴリズムにおいては、上下左右どの方向に向けて線を引こうとしても全方位で等しく線の描き損じや未認識のストレスが発生する。
    • さらに、今作から利便性を向上させる目的で新設された「下画面のマップ領域を2回素早く連続でタッチすると、地図の全体表示と部分表示が瞬時に切り替わる」という新規のショートカット機能が、前述した線の認識不良の仕様と最悪の形で悪魔的なシナジーを起こしており、かえって全体の操作性を劇的に悪化させる致命的なバグの引き神となっている。そもそも、この画面の表示切り替え自体は、前作と全く同様に本体のYボタンを押すか、あるいは下画面の右上隅に常設されている専用のアイコンボタンを1回タッチするだけで、いつでもノータイムかつ安全に実行可能な処理であり、わざわざマップの描画領域自体にダブルタップ判定を仕込む新機能の必要性自体がそもそも皆無であった。この余計な親切心が、壁線の認識の悪さと組み合わさった結果、プレイヤーが壁の線を2マス分、素早くシュシュッと連続で描こうとしただけの極めて日常的なマッピングの操作行為が、システム側によって画面への素早いダブルタップ操作であると誤認されてしまう現象が多発。壁線が正常に描けないどころか、操作の途中で意図せず突然地図が全体表示へと勝手に切り替わってしまうという、最悪レベルの誤動作とマッピングのテンポ阻害を頻繁に誘発することとなった。
    • これら2つの不親切極まりない下画面UIの設計不良が重なった結果、地図を描く際の手間や時間のロスが大幅に跳ね上がり、ダンジョン探索の進行テンポそのものが著しく停滞・遅延させられる結果となっている。「自分自身の親指とタッチペンで、未踏の迷宮の地図を克明に作り上げていくことの喜び」を最大の売りとして掲げ、長年ファンに愛されてきた世界樹のゲームシステムをベースとして拝借しておきながら、しかもニンテンドー3DSというハードウェアにおける2画面世界樹シリーズの事実上の集大成にして最後の作品という極めて重要な記念碑的タイトルにおいて、この基礎的な操作性すら担保できていない極めてお粗末な仕上がりで世に送り出されてしまった事実は、シリーズのファンやマッパーの層からすれば、ゲームの存在価値そのものを揺るがしかねない極めて致命的な大欠陥・大改悪として酷評されている。一応、ゲーム全体の謎解きやパズル要素が前述の通り大幅にカットされたことで、地図のアイコンやメモ機能を駆使して頭をフル回転させながら複雑なルートをマッピングしなければならないようなシチュエーション自体がほぼ皆無にまで激減していることだけが、この劣悪なマッピング環境下における唯一の皮肉な救いとなっている。

  • 主人公固定と動作遅延が拍車をかける、周回プレイ要素の著しい希薄さ
    • お祭りゲーやRPGとしてのリプレイ性という観点から見ても、今作は極めて底が浅く、2周目を遊ぶためのバリューが著しく欠落している。前述した通り、プレイヤーの分身となる主人公が『P5』のジョーカーただ一人へと完全に固定化されてしまっているため、前作のように2周目はもう片方の主人公のルートを選び、全く異なる視点や新たな専用会話の数々を贅沢に楽しむといった、周回プレイにおける最大の原動力となる新規のテキストや体験の差異がシステム上どこにも存在しない。
    • これに加えて、前述した通りゲーム全体の根本的な処理動作や画面切り替え、バトルのエフェクト等のレスポンスが全体的に遅くモウザリとした調整のまま据え置かれているため、ストーリーの結末やゲームの仕様を全て把握しきっている2周目のプレイ環境下においてすら、無駄な演出やラグに時間を取られ、テンポよくサクサクと快適にダンジョンを攻略していくスピードプレイを行うことが構造上できない。このシステム的な不自由さや快適性の低さも遠因となり、プレイヤーに対してもう一度最初からこの長い迷宮を上り直そうと思わせるだけの魅力や周回要素が完全に失われてしまっている。

  • 育成の取り返しがつかない、メインペルソナのスキル上書き不可避の仕様
    • 今作の育成システムにおける極めて不親切かつ不条理な仕様として、各キャラクターが固有で所持しているメインペルソナのスキル習得に関して、一度決定したスキルの構成を後から初期化したりやり直したりすることが一切できないという、非常にシビアで罠のようなシステムが導入されている。本作においては、合体によって自由に作成して付け替えることができるサブペルソナのスキル枠に関しては、新しいペルソナを上書き装備させることでいくらでも後から自由に変更やカスタマイズの手直しを利かせることが可能である。しかしながら、キャラクター本人の根幹の強さを形成するメインペルソナのスキル群に関しては、レベルアップに伴って自動的に新しいスキルを習得した際、枠の制限から過去に自力で覚えた固有のスキルを一度別のスキルで上書きして消去してしまうと、二度と元のスキルを覚え直したり、習得時の状態へと巻き戻したりすることができない不可逆の仕様となっている。
    • ベース元である『世界樹の迷宮』シリーズであれば、拠点の施設において自身のキャラクターのレベルを数段階ほどペナルティとして引き下げる代わりに、それまで消費したスキルポイントや習得したスキル構成を全て真っさらにリセットして最初から自由にビルドを組み立て直すことができる「休養」という極めて便利で必須の救済システムが当然のように常設されていた。しかしながら、本作にはそうしたスキル初期化のシステムが一切存在しない。そのため、各キャラクターが自前で習得するはずの非常に便利な汎用スキルや、そのキャラクターのアイデンティティとも言える強力無比な専用の固有スキルなどを、プレイヤーの不注意や実験目的の選択によって間違って他のスキルで上書き消去してしまった場合、そのセーブデータ内においては完全に取り返しがつかない状態が確定してしまう。この育成の失敗をリカバリーするためには、過去の正常なセーブデータへと数十時間単位で巻き戻してやり直すか、あるいはゲームを一度完全にクリアした上で、キャラクターのレベルを初期状態へと強制リセットさせた状態で膨大な時間をかけて周回プレイを開始する以外に救済の手立てがなく、プレイヤーの些細な選択ミスに対してあまりにも重すぎるペナルティを強いる歪な設計となっている。

  • レベルカンストが招くメインペルソナの機能停止と、覚醒不能に陥るシステム上の致命的な罠
    • 今作のキャラクターおよびペルソナの育成が限界値に達した際、ゲームのシステム上の仕様が噛み合っていないことが原因で、育成の幅が完全にロックされて機能停止に陥ったり、最悪の場合はキャラクターの強化イベントそのものが完全に不発に終わって取り返しのつかない詰み状態に陥ったりするという、極めて深刻な設計上の不具合が存在している。本作においてペルソナを他のペルソナと融合させて消滅させる代わりに、特定のペルソナへと大量の経験値を直接注ぎ込むことができる育成システム「イケニエ合体」は、そのシステムの根底にある大前提のルールとして対象となるペルソナに対して、システム的な経験値を付与してレベルを上昇させることを主目的として定義されている。この仕様のせいで、メインペルソナのレベルがゲーム上の絶対的な最高値であるレベル上限に達してしまったキャラクターに対しては、システム側からこれ以上経験値を受け取ることができないと判断され、イケニエ合体の実行対象として選択すること自体が完全に不可能になってしまう。イケニエ合体は、単に経験値を与えるだけでなく合体の副産物として、任意のスキルをメインペルソナへと自由に移植・付け替えを行うための唯一の手段としても機能しているため、メインペルソナがカンストした瞬間に、そのキャラクターに対するスキルの付け替えやカスタマイズの余地が一切閉ざされ、完全にスキル構成が固定化されて機能停止してしまうという、理不尽な育成の限界を迎えざるを得なくなる。
    • さらに、ゲームを普通にプレイしている分には滅多なことでは発生しないものの、プレイヤーの育成の進捗状況によっては、キャラクターの最大の見せ場であるペルソナの最終覚醒が完全に不可能になってしまうという、取り返しのつかない致命的なシステム上の罠が潜んでいる。今作において各キャラクターのメインペルソナを究極の姿へと進化させるための覚醒条件は、物語の後半において解放される特定の特別上映を無事にクリアした状態を満たした上で、さらにそのキャラクターのレベルが一定以上の数値に達している状態で、戦闘勝利時などに実際にレベルアップの処理を発生させることという、二重のフラグ管理のステップが要求される。そのため、この特定の特別上映をクリアして覚醒フラグを立てるよりも前の段階において、お気に入りのキャラクターを過剰に溺愛して戦闘に連れ回しすぎたり、あるいは、購入したゲーム内特典である入手経験値を劇的に3倍へと跳ね上げるという強力無比な課金ダウンロードコンテンツの専用アクセサリーを装備させた状態で過度な経験値稼ぎ・レベル上げの作業を過剰に行ってしまった場合、ペルソナの覚醒イベントを迎えるよりも先に、キャラクターのレベルが上限値へと到達してしまうケースが発生する。一度レベルがカンストしてしまうと、以降の戦闘においてどれだけ勝利を積み重ねようとも、システム上のレベルアップの瞬間そのものが永久に発生しなくなるため、内部的な覚醒進化のトリガーが完全に踏めなくなり、そのセーブデータ内においては、該当のキャラクターが二度と本来のペルソナへと覚醒することができないという、致命的な育成の詰み状態・不利益を被ることとなる。
  • 戦闘中におけるボイスパターンの減少に伴う、臨場感のトーンダウン
    • 今作はゲーム全体に収録されているキャラクターボイスの総量そのものは決して少なくはないものの、前作の仕様と比較した場合、戦闘中に発生するセリフのバリエーションが明確に減少している点が非常に惜しまれている。
    • 具体的には、敵と遭遇した瞬間にナビゲーターや仲間が発する属性相性に関するアドバイスのセリフや、戦闘中に味方が深刻な状態異常に陥った際に周囲のメンバーが心配して叫ぶ特殊な掛け合いのパターンなどが目に見えて削られている。
    • その結果、バトルの展開がどうしても単調なセリフの繰り返しになりがちであり、前作が誇っていた「大所帯のキャラクター全員がその場で生き生きとリアルタイムに戦況へ反応している」という圧倒的なライブ感や臨場感は、今作において一歩後退する形となってしまった。

  • リアリティの追求が裏目に出た、戦闘時におけるボスのセリフ演出の見栄えの悪さ
    • バトル画面のレイアウトやカメラワークの設計において、特定の状況下におけるキャラクターの配置が視覚的な見栄えを損ねてしまっている。
    • ストーリー上重要なボス敵との戦闘中において、味方のキャラクターたちが相手に向かって直接啖欠を切ったりセリフを喋りかけたりするカットが挿入される際、ゲームの画面構造が「常に手前に味方、奥に敵」という伝統的なフロントビュー形式の構図をベースにしていることが原因で、味方のグラフィックが正面の敵の方向を向いたまま、すなわち画面の前のプレイヤーに対して完全に背中を向けた状態で熱弁を振るうという、不自然なビジュアルシーンが展開されることとなる。
    • 敵に向かって喋るというシチュエーションとしての論理的なリアリティは担保されているものの、お祭りゲーとして肝心のキャラクターの美麗な表情やカットインの迫力を楽しみたいプレイヤーの視点から見れば、肝心の見せ場が背中一色の地味な絵面で覆い尽くされてしまうため、作劇上の演出としてあまり見栄えが良いものとは言えない。

  • 一括処理機能の廃止と、アクセサリー鑑定システムが強いる深刻なテンポ阻害
    • 拠点における各種メニューの利便性やインターフェースの仕様に関しても、前作から不条理な仕様変更が行われたことで、プレイヤーの作業ストレスが大幅に増大している。
    • その最たる例がベルベットルームにおけるペルソナ全書の登録システムであり、前作において極めて容易に実行可能であった「所持しているペルソナデータを一斉にまとめて最新状態へと更新する一括登録」の機能が今作ではなぜか完全に廃止され、1体ずつ手動で個別に登録を選択していかなければならないという極めて不親切な仕様へと退化した。
    • さらに、迷宮探索で入手した未鑑定のアクセサリーをショップで鑑定する際のユーザーインターフェースも劣悪であり、こちらも複数個をまとめて一瞬で鑑定する一括処理機能が備わっておらず、1つ1つボタンを押して演出を消化していく作業を強制される。
    • この鑑定の処理自体に1個あたり約3秒という絶妙に長い演出時間が設定されているため、ゲームの終盤においてより強力な追加効果を求めてダンジョンを周回し、大量のアクセサリーの厳選作業をストイックに繰り返している熱心なやり込みプレイヤーにとっては、この仕様の底浅さとレスポンスの遅さが度重なる精神的な苦痛として重くのしかかることとなる。

  • 同じアクセサリーが重複してまとまらない、預かり所の枠の仕様の不都合
    • 拠点にある預かり所のシステム仕様に関しても、アイテム管理の難度を無駄に跳ね上げる原因となっている。
    • 作中に登場する膨大な種類のアクセサリーを保管する際、たとえ全く同じ名前・同じ効果を持つ同一のアクセサリーであったとしても、それらがインベントリ内の同じ1つの枠にスタックされてまとまることがなく、個数分だけ保管枠を完全に1マスずつ独立して消費してしまうという極めて融通の利かないデータ構造が採用されている。
    • 今作は参戦キャラクターの総数が28名という大所帯であるため、実戦に投入する複数人のメンバーや控えの陣営のために、同じ有用なアクセサリーを人数分キープしたり、複数種類の候補をストックしておこうと計画したりした瞬間に、預かり所の最大保管枠がそれだけで一瞬にして埋め尽くされてしまうこととなる。
    • この仕様のせいで、前述したアクセサリーの厳選作業を行うにあたっての持ち物整理の手間が劇的に跳ね上がっており、アイテムコレクターややり込み派の層にとって地味ながらも極めて厄介なネックとしてプレイの快適性を著しく阻害している。

  • ユーザーからの強い要望をことことく拒絶した、ギャラリー機能および衣装変更機能の不在
    • 前作が発売された当時から、多くの熱心なユーザーの間で「キャラゲーとしての付加価値を高めるために、製品版にはぜひとも実装してほしい」と切実に熱望され続けていた、作中の美麗なイベントグラフィックや貴重なムービー、BGMなどをいつでも自由に鑑賞できるギャラリーモードの追加は今作も見送られた。
    • 同様に、キャラクターの戦闘時のビジュアルを原作の制服や特殊なコスチュームへと自由に着せ替えることができる衣装変更機能の要素も、今作において何一つとして導入されず、完全にスルーされたままの状態で幕を閉じた。
    • 2画面ハードにおけるシリーズの集大成を謳う記念碑的な作品であり、かつ魅力的なキャラクターたちのクロスオーバーとお祭り要素を最大の全面的な売りとして掲げているタイトルであるにもかかわらず、こうしたファンサービスに直結する基礎的なモードや機能の追加に対して開発側が徹底して消極的であり、前作からのユーザーのフィードバックや期待に対して真摯に応える姿勢を見せなかった点については、ゲームの総合的な満足度を下げる大きな落胆材料としてファンの間で根強い不満が残ることとなった。

  • 戦闘バランスの救済措置として機能し切れていない、終盤のSP回復システムと物理優遇の弊害
    • 今作のバトルバランスにおける懸念点として、前作から引き続き指摘されている「物理スキルが圧倒的に優遇され、魔法スキルが日陰に追いやられている」という歪なパワーバランスを改善するために導入されたはずの新要素が、ゲームデザインの噛み合わせの悪さによってその役割をほとんど果たせていないという問題がある。
    • 今作からは、特定のキャラクター同士が連携して繰り出す協力技の恩恵として、戦闘中に枯渇しがちなSPを回復させることができるという実質的な魔法救済システムが新たに追加された。
    • しかしながら、この協力技のシステム自体が解放されるタイミングが物語の全体の終盤というあまりにも遅い時期に設定されている点、およびバトルの最中にそのSP回復効果が実際に発動するかどうかがプレイヤー側の戦術や意思とは無関係な完全な確率の運任せに依存している点などが重なり、戦術としての安定性が著しく低い。
    • 結果として、発動するか不透明なSP回復に頼って魔法を連発するリスクを冒すよりも、自身のHPをコストとして消費して発動し、減ったHPを回復魔法や安価なアイテムで確実にリカバリーしていく従来通りの物理スキル主軸の立ち回りの方が圧倒的にローリスクかつ堅実であるという結論に落ち着いてしまう。
    • さらに、今作から特定のキャラクターが一時的に強化される絶好調状態のシステムが追加されたことで、魔法運用のコスト面が多少は緩和される形となったものの、前作で散々指摘されていた「弱点属性を突いて一気に総攻撃へと繋げ、相手に行動を許す前に壊滅させる」という短期決戦前提の大味なゲームバランスそのものの根本的な変革には至おらず、戦略の多様性を広げるという点においては一歩及ばない仕上がりに留まっている。

総評

本作は「世界樹の迷宮のゲームシステムをベースとして、ペルソナシリーズの歴代キャラクターたちが作品の枠を超えて一堂に会するお祭り系3DRPG」の第二弾として世に送り出されたタイトルであったが、蓋を開けてみれば、メインシナリオの単調な構成や構成力の低さ、周回プレイを遊ぶためのバリューの著しい薄さが浮き彫りとなり、さらに原作の設定を重んじる熱心なコアファンであればあるほど見過ごすことのできないような細かなグラフィックのエラーやテキストの設定ミスが散見されるなど、総合的な完成度という意味においては、どうにも残念な出来栄えの印象が先行してしまう結果となった。

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最終更新:2026年06月03日 19:57

*1 実は前作の『ペルソナQ』本編においても、3の主人公と4の主人公の間でこれと全く同様のワイルドに起因するパロディの掛け合いを見る機会が用意されていた。

*2 これは原作『ペルソナ5』において、主人公が担任教師である川上貞代のメイドを利用する際に用いられていた、非常に印象深い固有の源氏名・あだ名である。

*3 なお、この機能のアップデートが実装された初期の段階においては、特定の条件下でランダム再生機能が正常に作動しなくなるプログラム上の不具合)が一時的に発生していたものの、現在においては開発側による修正パッチが速やかに適用され、完全に修正・解消済みとなっている。