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女神異聞録デビルサバイバー

【めがみいぶんろく でびるさばいばー】
ジャンル シミュレーションRPG
;
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売元 アトラス
開発元 アトラス
発売日 2009年1月15日
定価 4,980円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作

特徴・評価点

  • 日常の崩壊と人間のエゴを生々しく活写する、意欲的かつリアルなシナリオ
    • 本作はすでに崩壊しきった終末世界を舞台にするのではなく、平和な日常が「今まさに壊れていくリアルタイムの恐怖」を東京の街を舞台に克明に描き出しており、極限状態における人間の争いやエゴといった醜い側面を前面に押し出した非常に挑戦的なシナリオを展開している。
    • 従来の関連シリーズにおいても「ヤクザ」や「ゾンビ」といった記号的な存在が敵(悪魔)として登場することはあったが、今作では一般の民間人や、本来であれば市民を保護すべき立場にある自衛隊員までもが明確な殺意を持ってバトルに参入し、状況によっては主人公たちと激しく敵対する泥沼の展開を迎える。
    • 「理由も目的も一切知らされないまま、突如として7日間の都市封鎖に巻き込まれる」という過酷なシチュエーションが、精神的に極限まで追い詰められた群衆の心理を巧みに表現しており、作中のイベントでは人間の狂気や醜悪な本質が数多くテーマとして扱われている。そのため、作中のセリフには「死ね!」といった直接的で凄惨な暴言や感情のぶつかり合いが飛び交い、シナリオの持つ緊張感やダークな臨場感を劇的に跳ね上げている。
    • 主人公たちは偶然手にした携帯端末「COMP」の特殊な機能により、視界に入る人々の頭上に浮かぶ「余命」の残日数を視覚的に把握できるようになっており、その数値が誰しも最大で「7」を示していることから、7日目に訪れる破滅的な災厄への対策と回避の手段を模索することが物語を牽引する最大の主軸となっている。
    • この余命表示のシステムは単なる演出に留まらず、ゲーム進行において「直近で死亡するリスクの高い人物」をあらかじめ察知するための重要なインジケーターとして機能しており、プレイヤーが能動的にその場へ介入して問題を解決することで、作中に登場する知人や友人たちの過酷な運命を変え、彼らの命を救い出すことができるというタイムリミットサスペンスとしての高いゲーム性を実現している。

  • プレイヤーの決断が運命を左右する、完成度の高いマルチエンディング方式
    • 物語が佳境を迎える6日目の終盤において、最終的に誰と思想を同じくし、誰の手を取って行動を共にするかによって結末が激しく枝分かれする本格的なマルチエンディングシステムが採用されている。
    • 王道のヒロインと行動を共にすることが必ずしも最善の選択肢や大団円のハッピーエンドに繋がるとは限らないという冷徹な展開の数々は、勧善懲悪に囚われないアトラス作品らしい一癖も二癖もある独自の捻った演出・作劇として強い印象を残す。
    • また、作中でキャラクターたちがふと口にする素朴な疑問や散りばめられた伏線はもちろんのこと、劇中で発生する怪異や事件のほぼ全てに対して論理的かつ整合性のある理由付けが徹底的になされており、SF・オカルトサスペンスとしてのシナリオの完成度は極めて高い水準を誇っている。
    • なお、のちに発売されたリメイク版『デビルサバイバー オーバークロック』においては、選択したルートの「その後」を深く描く「8日目」のシナリオが新たに新設され、既存の結末の補完のみならず新規のエンディングが多数追加されたことで、物語の奥行きとゲームとしてのバリューがさらに強化されることとなった。

  • 洗練されたUIデザインと、ストレスフリーで快適なゲームテンポ
    • 作中のタイムライン管理や各種インターフェースの作り込みが非常に秀逸であり、プレイヤーの快適性を最優先にしたゲームデザインが高く評価されている。
    • 画面のベースカラーに鮮烈な「赤」とスタイリッシュな「暗色」を大胆に配したステータス画面や各種メニュー画面のレイアウトは、アトラス作品特有の抜群のセンスと洗練された都会的な格好良さを強く感じさせる。
    • ゲーム全体の動作パフォーマンスも極めて軽快であり、場面転換時における不必要な画面の暗転や、キャラクターの行動間に発生する不自然なラグ(モッサリ感)が徹底的に排除されているため、シミュレーションRPGでありながらバトルのテンポ感は非常に小気味よく、サクサクと快適に進行する。
    • 作中には、シナリオ上の時間を一切経過させることなく何度でも無リスクで挑戦できる「フリーバトル」の環境が常設されているほか、オークションを通じて独自の悪魔を競り落として手に入れる汎用性の高いシステム「デビオク(デビルオークション)」など、自陣の戦力を能動的に強化するための救済措置が非常に豊富に用意されているため、バトルの難易度で行き詰まる要素は極めて少ない。
    • さらにこの「デビオク」に関しては、ゲーム内のセーブ&リセットの手順を駆使することで、作中の時間を消費するなどのデメリットやペナルティを一切受けることなく、出品される悪魔のリストをいつでも自由に最新状態へと更新・厳選できる仕様になっており、ストイックな育成を楽しみたいプレイヤーにとっても非常に利便性の高い親切な設計となっている。

  • 悪魔合体における任意スキル継承の復活と、愛着に応える育成バランス
    • 過去の『真・女神転生III-NOCTURNE』以降のシリーズ作品において長らく標準化され、プレイヤーに度重なるセーブ&リセットの作業を強いていた「合体時における魔法やスキルのランダム継承仕様」が今作ではオミットされ、かつての『デビルチルドレン』シリーズ等で好評を博していた「プレイヤー自身が任意のスキルを自由に選択して継承させることができる任意選択式」へと先祖返りした。
    • この仕様変更により、自身の戦略に合致した理想的なスキル構成を持つお好みの悪魔(仲魔)を作成するハードルが劇的に下がり、悪魔合体というシステム本来の持つパズル的な楽しさとカスタマイズ性が大幅に向上している。
    • 今作では人間キャラクターのみならず、味方となった仲魔たちも戦闘によって経験値を獲得し、個別にレベルアップしてステータスを成長させることができるため、この仕様を念頭に置いてお気に入りの悪魔を長期的に運用していくことが攻略を有利に進める鍵となる。
    • ただし、戦闘によって得られる獲得経験値には「自身と敵のレベル差」に応じた強力なレベル補正のアルゴリズムが働いているため、ゲームの終盤において悪魔たちのレベルを過剰に引き上げようとすると育成の効率が劇的に悪化する。具体的には、レベルが70付近にまで到達すると、次のレベルに上昇するために必要な経験値量がシステムの上限値である「65535」に固定されてしまうことが常態化するため、ストイックなレベル上げ作業には相応の根気が必要となる。
    • しかしながら、一部の極端な例外を除けば、本作に登場する悪魔たちのステータス上限値はどの種族であっても一律で同じ基準に設定されている。さらに、戦闘時のダメージ計算においては単純な能力値の数値よりも「キャラクター同士の絶対的なレベル差」から算出される補正の影響の方が遥かに大きく味方する設計になっているため、プレイヤーの「お気に入りの悪魔と共に戦い抜きたい」という愛着さえあれば、初期に出会った仲魔であっても限界まで育て上げてラストボスを撃破し、クリアまで連れて行くといったこだわりプレイが十分に可能となっている。

  • アトラスの伝統を受け継ぐ、圧倒的な破壊力を持つ隠しボスの存在
    • ゲーム内には、メインストーリーのボスを遥かに凌駕する圧倒的な戦闘能力を誇る、非常に強力な「隠しボス」が裏要素としてひっそりと存在しており、激闘の末に見事撃破することができれば、その悪魔を自らの手で合体・作成して仲魔に引き入れるための合体制限が解禁される仕様となっている。
    • しかしながら、この隠しボスが発揮する強さは文字通り桁違いの規格外であり、人間のアタッカーや前線の仲魔たちのステータスやスキル構成が少しでも中途半端なビルドのままで挑めば、戦術を組み立てる暇すら与えられず一瞬にしてあっさりと返り討ちに遭う絶望的なバランスに調整されている。
    • 仮にキャラクターのレベルをゲーム上の最大値である「レベル99」まで極限に育成し、最高峰の耐性やスキルシナジーを用意して万全の布陣で挑んだとしても、一歩間違えれば即座に全滅へと追い込まれるほどの凄まじい苦戦を強いられるため、最後の瞬間まで一切の油断を許さない。
    • このような、ライトユーザーの生半可な挑戦を真っ向から粉砕する圧倒的な戦闘力を持った究極の裏ボスの存在と、それを攻略していくシビアな死闘の快感は、今やアトラスという開発スタジオが誇る最高峰の伝統であり、コアなゲーマー層を惹きつける最大のやり込み要素として今作でも見事な輝きを放っている。
  • 価値観の対立が世界を塗り替える、多層的で深いマルチエンディングシステム
    • 本作にはプレイヤーの決断によって物語が万華鏡のように枝分かれしていく、極めてバリエーション豊かなルート分岐が用意されており、どの勢力に与するかという選択によって、物語の結末のみならず世界観や秩序のあり方そのものがドラスティックに変貌を遂げる。
    • 用意されている結末は、世界のすべてを神の絶対秩序のもとに平定しようとする「人類側(天使側)」の思想、神の支配を覆し力による自由を渇望する「悪魔側」の思想、あるいはそのどちらの狂信的な支配をも拒絶し、人間としての尊厳と可能性を信じて足掻く「自由意思側」など、全く異なる哲学や倫理観に根ざしたエンディングが多角的に存在している。
    • これらの結末は、一般的なゲームにありがちな「勧善懲悪の二者択一」や「安易な善悪のパラメーター」といった単純な二元論には決して着地しない。それぞれの思想を掲げるキャラクターたちに確固たる大義名分と切実なロジックが存在するため、プレイヤー自身が神の代行者となるか、あるいは魔王として世界を蹂躙するかという、人間の本質を突くような重厚な決断を迫られる点が、ストーリーテリングの面において非常に高く評価されている。

  • 思考とスピードが融合した、シミュレーションRPGとプレスターンバトルの革新的な融合
    • 本作のバトルシステムは、マス目上のマップでユニットを動かすタクティカルなシミュレーションRPG(SRPG)の戦略性と、『真・女神転生』シリーズの代名詞である手に汗握るプレスターン形式のコマンド戦闘を高次元で融合させた、極めて独特かつ洗練されたゲームデザインを確立している。
    • フィールド上で敵のユニットへ接近して攻撃を仕掛けると、その瞬間に最大3対3の緊迫したコマンドバトル画面へとシームレスに移行する形式を採っており、位置取りの戦術と個別の戦闘戦術の双方が同時に要求される。
    • さらに戦闘中、敵の弱点属性を的確に突くか、あるいはクリティカルヒットを発生させることに成功すれば、もう一度だけ行動権が与えられる「EXTRA TURN(エクストラターン)」のシステムが極めて秀逸に機能している。この仕様を駆使することで、戦術次第では強敵の反撃を一切許さずに一ターンで一網打尽にすることが可能となり、シミュレーションゲーム特有のじっくりと思考する楽しさを維持しながらも、圧倒的にテンポ良く爽快なバトルを展開することができる。

  • 戦略的なカタルシスをもたらす、自由度の高い悪魔合体と独自の育成システム
    • シリーズの最大のアイデンティティである、悪魔同士を掛け合わせてより強力な新たな仲魔を生み出す「悪魔合体」のシステムは、シミュレーションRPGとしての盤面戦略を支える基盤として今作でも抜群の存在感を放っている。
    • 封鎖された東京という極限の状況下、限られた資金(マッカ)や手持ちの仲魔といった極めてシビアなリソース管理の中で、「次の戦局を切り拓くために、どのスキルを持ったどの悪魔を誕生させるべきか」を試行錯誤する戦略性は非常に高い中毒性を誇る。
    • 今作では合体時におけるスキル継承の自由度が過去作に比べても比較的高く設計されており、プレイヤーの意図した通りに攻撃魔法や補助魔法、強力なパッシブスキルを思いのままに仲魔へ引き継がせることができる。これにより、「物理特化型の悪魔」や「万能型のヒーラー」など、自身のプレイスタイルや戦術のコンセプトに合わせた自由自在な悪魔のカスタマイズが可能となっており、育成と編成の楽しさを極限まで引き上げている。

  • 極限状態がむき出しにする、強烈な信念と人間臭さを備えたキャラクター描写
    • 物語を彩る主要な登場人物たちは、単なる記号的な役割に留まらず、それぞれが自身のバックボーンに裏打ちされた明確な人生観や強固な価値観、譲れない信念を持って激動の世界を生きている。
    • 彼らは神の封鎖によってもたらされた絶望的な状況下で、誰もが例外なく等身大の人間として深く葛藤し、時には狂気に呑まれ、時には涙を流しながら苦悩しており、単純な「絶対的な善人」や「薄っぺらな悪人」という枠組みには決して収まらない深みを持っている。
    • 特に、主人公に世界の真実を突きつけ、神への反逆と魔王としての覚醒を促してくる従兄の「ナオヤ」や、神への絶対の信仰を捧げ、神の法的秩序による人類の救済を第一に掲げる「アマネ」といった、物語の根幹を揺るがすキーパーソンたちに関連したルートは、彼らが背負う宿命の重さや思想の先鋭さも相まって、プレイヤーの心に強烈な爪痕を残す非常に印象深いドラマとして完成している。

  • 焦燥感とリアリティを増幅させる、非情なる時間制限システム
    • ゲームの進行において、マップ上で特定のイベントやキャラクターとの対話を選択するたびに、作中の時間が30分単位でシビアに経過していく独自のタイムマネジメントシステムを採用している。
    • 刻一刻とタイムリミットが迫る1日の中で、限られた行動回数を誰のために、どの事件の解決のために割くのか、常に優先順位の選択を冷徹に迫られ続けることとなる。ある人物を助けるために時間を使えば、別の場所で発生していた惨劇を止めることができなくなるというトレードオフの構造が、プレイヤーに常に強い緊張感を強いる。
    • このシステムは、ゲームシステム的なリミッターとして機能するだけでなく、「本当に東京という巨大都市が、わずか7日間という短い時間の中で破滅と崩壊に向かって加速度的に突き進んでいる」という圧倒的なライブ感とサスペンスの焦燥感をプレイヤーの肌に直接伝えており、本作の持つダークな世界観への圧倒的な没入感をさらに強固なものにしている。

論争点

  • 物理属性における運用ハードルの高さと、ピーキーな性能バランス
    • 今作のバトルバランスにおいて、物理属性は他属性の魔法攻撃などと比較した場合、いくつかの仕様上の制限からやや不遇な立ち位置に置かれているという側面がある。
    • 具体的には、強力な威力を発揮する物理コマンドスキルの命中率や使い勝手が総じて悪く、さらにダメージ計算の基準となる依存ステータスが「力」と「速」の二大要素に分散してしまっているため、パラメータを一点特化させて火力を底上げするという育成戦術が非常に取りにくい。
    • また、物理の威力を最大限に引き出すために必須となる自動効果スキル(パッシブスキル)の吟味や組み合わせの手間が極めて面倒である点に加え、強力な技を発動する際のコストとして自身のHPを大量に消費させられるリスクが重くのしかかるなど、他属性に比べて手軽かつ有効に活用するためのハードルが非常に高い。
    • しかしその一方で、物理属性には「一定確率でダメージが跳ね上がるクリティカル判定が存在するため、最大火力の期待値が極めて高い」という魅力や、「反射属性を除くあらゆる耐性を完全に無視して大ダメージを叩き込む専用スキルが用意されている」といった、他属性には真似のできない強力な差別化点も明確に存在している。そのため、適切なスキル構成とサポート体制を整えて運用すれば、強敵を瞬殺するアタッカーとして活躍の場が全く無いわけではない。

  • キャラクターデザイナーの変更がもたらした、シリーズの伝統と新たな作風の乖離
    • 本作のキャラクターデザインには、シリーズの象徴であった金子一馬氏や、近年のナンバリングを手掛ける副島成記氏ではなく、新たにイラストレーターのヤスダスズヒト氏が抜擢されたが、その明るくポップで現代的な絵柄は、従来のダークな「女神転生」の系譜においては少々異色な印象を与え、ファンの間で賛否が大きく分かれる結果となった。
    • ただし、突如として極限状態の都市封鎖に巻き込まれ、恐怖と不安に身を震わせる「困難な状況に置かれた等身大の弱々しい民間人」の描写に関しては、同氏の瑞々しくも生々しい画風が見事にマッチしており、そのリアリティとドラマ性については非常に高く評価されている。
    • 一方で、特にオールドファンから意見が分かれたのが、ビジュアルにおけるいわゆる「萌え・お色気」の要素の強さである。同氏は女性キャラクターの胸部を全体的にかなり豊満に描く作風であり、一部の登場人物が世界の危機という緊迫した状況にそぐわないほど必要以上に露出度の高い服装を纏っているため、キャラゲーとしての記号化が「露骨すぎて作品の持つ硬派な世界観や没入感を損ねている」との手厳しい批判的な意見も散見される。

  • 絶望感を煽るエッジの効いたギターサウンドの功罪と、評価の二分
    • 作中のバトルシーンで激しく流れる、けたたましく鳴り響くディストーションの効いたギターサウンドは、都市封鎖という逃げ場のない極限状態の「絶望感」や「焦燥感」をこれ以上ないほど劇的に煽る効果を発揮しており、BGMの楽曲単体としてのクオリティや音楽的な評判は総じて非常に高い。
    • ちなみに、今作の音楽プロデュース・コンポーザーを務めたのは、日本のロック界の伝説的バンド「ゴダイゴ」のギタリストとして数々の名曲を世に送り出した浅野孝已氏であり、その職人技とも言えるエッジの効いたメロディラインが戦闘を大いに盛り上げている。
    • しかしながら、その一方でゲームプレイという観点から見ると、あまりにも激しく激越に主張し続ける重厚なギターサウンドのボリュームに対し、一部のプレイヤーからは「ヘッドホンで長時間プレイしていると耳が疲れる」「コマンドをじっくり選択して思考を巡らせるシミュレーションRPGの戦闘曲としては、音が立ちすぎていて少々うるさく感じてしまう」という贅沢な不満の声も上がっている。
  • 難易度における容赦のない洗練と、一手のミスが瓦解を招くシビアなゲームバランス
    • 本作の戦闘難易度は、シミュレーションRPGやアトラス作品の系譜の中でも全体的にかなり高めの水準に設定されている。
    • 力押しやレベル上げによるゴリ押しが通用しにくい設計になっており、敵の悪魔構成やスキルの属性相性を徹底的に分析し、緻密な戦術を組み立てる必要があるため、歯応えのある硬派なゲーム性を求めるコアユーザーからは絶大な評価を得ている。
    • 特に物語が佳境を迎える終盤戦においては、敵のユニット側も「強力な全体攻撃魔法」「凶悪なステータス状態異常」「追加行動を確定させるスキル」などを容赦なく多用してくるため、プレイヤー側が一歩でもコマンドの選択や配置の判断を誤れば、わずか1ターンで自陣の戦力が一瞬にして壊滅へと追い込まれる極限の緊張感が続く。
    • なかでも、物語の大きな節目となる「バベル戦」や、最終日の過酷な戦場が待ち受ける関連マップの数々は、初見のプレイヤーを完膚なきまでに叩きのめす事実上の「初見殺し」として語り継がれるほどの圧倒的な難度を誇り、プレイヤーの知略の限界を試してくる。
    • また、特定のキャラクターが深く関わる「ケイスケ関連イベント」などにおいては、道中の選択肢の選び方やバトルにおける救出結果次第でその後の生存フラグやストーリー展開が劇的に変化するため、事前の予備知識がないまま手探りで進めると、知らぬ間に取り返しのつかない悲劇的な展開や厳しい局面に追い込まれやすいという、システム的にも一切の妥協がない厳格なゲームデザインが特徴となっている。

  • 閉鎖的な舞台設定がもたらす圧倒的な終末感と、ビジュアルの単調さという両刃の剣
    • 本作の物語の舞台は、突如として国家権力によって隔離・封鎖された「東京の特定の山手線圏内」という極めて狭い局所的なエリアに完全限定されている。
    • この外界から完全に遮断され、どこにも逃げることができない極限の状況設定そのものが、刻一刻と物資や理性が枯渇していく都市の「終末感」や「息詰まるような閉塞感」を劇的に強める最高の演出として機能している。
    • 「日常の象徴であった見慣れた東京の街が、そのまま逃げ場のない巨大な檻へと変貌する」という恐ろしくも魅力的な空気感の構築に関しては、多くのプレイヤーから極めて高い芸術的評価を受けている。
    • しかしその反面、ストーリーの性質上、背景のグラフィックや戦闘マップのバリエーション変化はどうしても少なく抑え込まれており、長時間のプレイや周回プレイを続けていると、画面から受ける景色がどうしても単調になりやすいという構造的な弱点も抱えている。
    • 特にゲームの後半以降は、荒廃した避難所、物々しい警察の封鎖区域、不気味に静まり返る駅周辺といった似たようなロケーションを何度も繰り返し移動する場面が連続するため、プレイヤーによっては「画面がずっと暗く陰鬱である」「世界が狭すぎて閉塞感が強すぎる」と、精神的な息苦しさやビジュアル面での物足りなさを覚えてしまう側面もある。

  • 短期間のサスペンスが引き締めるキャラクター描写の功罪と、掘り下げの偏り
    • わずか7日間という極めて限定された短いタイムラインの中で物語が目まぐるしく展開していくため、シナリオ全体の駆動テンポは非常に良く、無駄な引き延ばしを感じさせない。
    • 死の危機に直面した極限状態の中で、等身大の若者や一般市民たちが精神的にじわじわと追い詰められ、エゴを剥き出しにしていくリアルな心理変容の描写は、人間ドラマとして非常に高く評価されている。
    • しかしその一方で、駆け足で進む短期間のサスペンスであるがゆえに、一部のキャラクターに関しては設定の割に内面の掘り下げや見せ場が不足しているという指摘も存在する。
    • 主人公の親友である「アツロウ」は、物語の最初から最後まで比較的理性的かつ一般的な視点を保ち続けるポジションであり、プレイヤーのナビゲーター・補佐役としては抜群の安定感を誇る反面、劇的な人間的成長や劇的な思想変化といったキャラクターとしてのダイナミックな起伏にはやや乏しい。
    • また、独自の目的を持って行動する「ジン」や、物語の鍵を握る歌姫「ハル」などは、シナリオの本筋に深く関わっている設定の重さに対して実際の登場期間や活躍の機会そのものが短く、プレイヤーの印象に深く残りきらないまま物語が収束してしまうという不完全燃焼感も否めない。
    • さらに、正義感に燃えていたはずの「ケイスケ」が、世界の不条理に直面して精神的に壊れ、極端な思想へと走っていく過激な変遷のプロセスに関しても、その心理的な飛躍が極めて急激に描写されるため、「彼の抱く絶望や動機自体は論理的に理解できるものの、演出のテンポが早すぎて展開がやや唐突に感じられる」と、感情移入の難しさを吐露するプレイヤーも散見される。

  • 緻密なフラグ管理を要求するマルチエンド構造と、思想の先鋭化による評価の二分
    • 本作は何度も周回プレイを行うことを前提とした精緻なゲーム設計になっており、プレイヤーの決断次第で全く異なる思想的背景を持ったバリエーション豊かな結末を回収できる点は、リプレイ性の観点からも非常に大きな魅力となっている。
    • しかしながら、一部の特定のエンディングへ到達するための分岐条件がゲーム内でかなり分かりづらく不親切に隠されている点が、攻略上の難点として挙げられる。
    • 特に、物語の核心を握る「ナオヤルート」や「アマネルート」といった重要なシナリオ分岐へと進むためには、特定の日に発生する一見何気ないイベントを正確な順番で消化し、厳密に指定された選択肢のフラグを完璧に管理し続けなければならない。
    • そのため、事前の情報なしに完全な初見プレイの感覚だけで進めていると、意図せずしてルート自体の解放条件が途中で消滅してしまい、望まない結末へ強制的に流されてしまうケースが多発するため、結果としてプレイヤーが外部の攻略情報に過度に依存せざるを得ない構造になっている。
    • また、それぞれのルートが掲げる結末の方向性に関しても、ナオヤ側が提示する未来は神への絶対反逆を謳うかなり過激でダークな極端の思想に振り切っているため、その思想に「共感できるか、あるいは嫌悪感を抱くか」によってプレイヤー間の作品評価が真っ二つに分かれやすい。
    • 逆に、アマネ側が先導する救済の道は、あまりにも神の絶対秩序に縛られすぎた窮屈でディストピア的な統制の世界観として描かれる側面もあり、結果として「どのルートを選び取ったとしても、誰もが手放しで幸せになれるような完全無欠のハッピーエンド(正解)は存在しない」という非常にビターな現実を突きつけられる。しかし、この簡単には救われないビターな着地こそが、まさにアトラス作品の原点であり、本作を唯一無二の傑作たらしめている最大の本質であるとも言える。

問題点

  • 周回プレイ時における、1〜6日目のシナリオ展開の代わり映えの薄さ
    • マルチエンディング方式を採用し、何度も繰り返し遊ぶことを前提とした設計であるにもかかわらず、物語の序盤から終盤の分岐点に至る1日目〜6日目までのイベント展開に変化が極めて乏しく、周回プレイのモチベーションを著しく削ぐ要因となっている。
    • システム的に「イベントシーンのスキップ機能」が標準搭載されていないため、一度見た内容であっても等倍で読み進めなければならない仕様である割に、バトル前後に挿入されるキャラクター同士の細かな掛け合い(小芝居)が非常に多く、タイムライン上の選択肢を色々と試したいやり込み派のプレイヤーにとっては、この冗長な仕様がかなりの作業ストレスとなって重くのしかかる。
    • 一応、作中には任意の時間まで一瞬でスケジュールを飛ばす「時間を経過させる」という一種のスキップコマンドが用意されてはいるものの、これは要するに「その時間帯にあるイベントを全て放棄して何もしない」という選択と同義であるため、キャラクターの生存フラグの回収やルートの分岐条件を網羅するための能動的な行動が一切取れなくなってしまう。その結果、物語を隅々まで遊び尽くすための周回プレイにおいては実質的にほとんど意味を成さない機能として死文化してしまっている。

  • 悪魔合体や戦力強化の足を引っ張る、慢性的なマッカ(資金)不足
    • ゲーム進行全体を通じて、味方の戦力を増強するための基盤となる資金(マッカ)の供給バランスが非常に厳しく、常に慢性的な資金不足に悩まされやすいシステム構造になっている。
    • 通常の戦闘において出現する敵の悪魔を順当に撃破して得られる報酬としてのマッカの獲得量が全体的にかなり低めに設定されているため、戦術の要となる「デビオク」での強力な悪魔の競り落としや、全書からの悪魔の呼び出しを頻繁に行おうとすると、一瞬で財布が底を突いてしまう。結果として、より強力な仲魔を揃えたい局面であっても資金不足に阻まれやすく、戦力を思うように底上げできないストレスに繋がりやすい。

  • 取り返しのつかない読み飛ばしを誘発する、バックログ機能の不在
    • 近年のアドベンチャーゲームやストーリーを重視するテキスト主軸のRPGにおいては、ほぼ例外なく標準搭載されているはずの「バックログ機能(過去の会話ログを読み返すシステム)」が今作には一切備わっていない。
    • これにより、ボタンを連打してしまったり不意の操作ミスによって重要なセリフや世界観の核心に迫る会話を間違って読み飛ばしてしまった場合、それをその場で画面上に巻き戻して読み返す手段が完全に存在しない。シナリオの密度やキャラクターの細かな心理描写が魅力的な作品であるからこそ、このアドベンチャーパートとしての基礎的なユーザビリティの欠落は非常に不親切な仕様として惜しまれている。

  • 限界突破を阻む、隠しボス攻略に向けたレベル上げの過酷な作業感
    • メインシナリオを普通にクリアするだけであれば、1周目の環境下に設定されている獲得経験値のレベル補正があっても戦闘難易度の上限としてはそれほど致命的な問題にはならない。
    • しかしながら、前述した圧倒的な破壊力を誇る「究極の隠しボス」を撃破するために絶対の前提条件となる、キャラクターのレベルを「90〜99」の極限領域まで引き上げようとした瞬間、その育成のハードルは常軌を逸した過酷なものへと変貌する。
    • 補正の影響により、ゲーム内で最も多くの経験値を払い出してくれる最高効率の雑魚敵パーティーを撃破したとしても、1回の戦闘で得られる経験値は最大でも13000程度に留まる。それに対して、次のレベルに到達するまでに必要な経験値の上限値である「65535」という膨大な数値をレベルアップの度に何度も何度も繰り返し稼ぎ続けなければならないという仕様は、戦術的な楽しさを完全に置き去りにした果てしない単純作業の繰り返しであり、コアゲーマーの間でも「精神的な作業感が強すぎてあまりにも苦行である」と手厳しく批判されている。
  • 価値観の対立が世界を塗り替える多層的で深いマルチエンディングシステム
    • 本作にはプレイヤーの決断によって物語が万華鏡のように枝分かれしていく、極めてバリエーション豊かなルート分岐が用意されており、どの勢力に与するかという選択によって、物語の結末のみならず世界観や秩序のあり方そのものがドラスティックに変貌を遂げる。
    • 用意されている結末は、世界のすべてを神の絶対秩序のもとに平定しようとする人類側の思想、神の支配を覆し力による自由を渇望する悪魔側の思想、あるいはそのどちらの狂信的な支配をも拒絶し、人間としての尊厳と可能性を信じて足掻く自由意思側など、全く異なる哲学や倫理観に根ざしたエンディングが多角的に存在している。
    • これらの結末は、一般的なゲームにありがちな勧善懲悪の二者択一や安易な善悪のパラメーターといった単純な二元論には決して着地しない。それぞれの思想を掲げるキャラクターたちに確固たる大義名分と切実なロジックが存在するため、プレイヤー自身が神の代行者となるか、あるいは魔王として世界を蹂躙するかという、人間の本質を突くような重厚な決断を迫られる点が、ストーリーテリングの面において非常に高く評価されている。

  • 思考とスピードが融合したシミュレーションRPGとプレスターンバトルの革新的な融合
    • 本作のバトルシステムは、マス目上のマップでユニットを動かすタクティカルなシミュレーションRPGの戦略性と、真・女神転生シリーズの代名詞である手に汗握るプレスターン形式のコマンド戦闘を高次元で融合させた、極めて独特かつ洗練されたゲームデザインを確立している。
    • フィールド上で敵のユニットへ接近して攻撃を仕掛けると、その瞬間に最大3対3の緊迫したコマンドバトル画面へとシームレスに移行する形式を採っており、位置取りの戦術と個別の戦闘戦術の双方が同時に要求される。
    • さらに戦闘中、敵の弱点属性を的確に突くか、あるいはクリティカルヒットを発生させることに成功すれば、もう一度だけ行動権が与えられるEXTRA TURNのシステムが極めて秀逸に機能している。この仕様を駆使することで、戦術次第では強敵の反撃を一切許さずに一ターンで一網打尽にすることが可能となり、シミュレーションゲーム特有のじっくりと思考する楽しさを維持しながらも、圧倒的にテンポ良く爽快なバトルを展開することができる。

  • 戦略的なカタルシスをもたらす自由度の高い悪魔合体と独自の育成システム
    • シリーズの最大のアイデンティティである、悪魔同士を掛け合わせてより強力な新たな仲魔を生み出す悪魔合体のシステムは、シミュレーションRPGとしての盤面戦略を支える基盤として今作でも抜群の存在感を放登録している。
    • 封鎖された東京という極限の状況下、限られた資金や手持ちの仲魔といった極めてシビアなリソース管理の中で、次の戦局を切り拓くためにどのスキルを持ったどの悪魔を誕生させるべきかを試行錯誤する戦略性は非常に高い中毒性を誇る。
    • 今作では合体時におけるスキル継承の自由度が過去作に比べても比較的高く設計されており、プレイヤーの意図した通りに攻撃魔法や補助魔法、強力なパッシブスキルを思いのままに仲魔へ引き継がせることができる。これにより、物理特化型の悪魔や万能型のヒーラーなど、自身のプレイスタイルや戦術のコンセプトに合わせた自由自在な悪魔のカスタマイズが可能となっており、育成と編成の楽しさを極限まで引き上げている。

  • 極限状態がむき出しにする強烈な信念と人間臭さを備えたキャラクター描写
    • 物語を彩る主要な登場人物たちは、単なる記号的な役割に留まらず、それぞれが自身のバックボーンに裏打ちされた明確な人生観や強固な価値観、譲れない信念を持って激動の世界を生きている。
    • 彼らは神の封鎖によってもたらされた絶望的な状況下で、誰もが例外なく等身大の人間として深く葛藤し、時には狂気に呑まれ、時には涙を流しながら苦悩しており、単純な絶対的な善人や薄っぺらな悪人という枠組みには決して収まらない深みを持っている。
    • 特に、主人公に世界の真実を突きつけ、神への反逆と魔王としての覚醒を促してくる従兄のナオヤや、神への絶対の信仰を捧げ、神の法的秩序による人類の救済を第一に掲げるアマネといった、物語の根幹を揺るがすキーパーソンたちに関連したルートは、彼らが背負う宿命の重さや思想の先鋭さも相まって、プレイヤーの心に強烈な爪痕を残す非常に印象深いドラマとして完成している。

  • 焦燥感とリアリティを増幅させる非情なる時間制限システム
    • ゲームの進行において、マップ上で特定のイベントやキャラクターとの対話を選択するたびに、作中の時間が30分単位でシビアに経過していく独自のタイムマネジメントシステムを採用している。
    • 刻一刻とタイムリミットが迫る1日の中で、限られた行動回数を誰のために、どの事件の解決のために割くのか、常に優先順位の選択を冷徹に迫られ続けることとなる。ある人物を助けるために時間を使えば、別の場所で発生していた惨劇を止めることができなくなるというトレードオフの構造が、プレイヤーに常に強い緊張感を強いる。
    • このシステムは、ゲームシステム的なリミッターとして機能するだけでなく、本当に東京という巨大都市がわずか7日間という短い時間の中で破滅と崩壊に向かって加速度的に突き進んでいるという圧倒的なライブ感とサスペンスの焦燥感をプレイヤーの肌に直接伝えており、本作の持つダークな世界観への圧倒的な没入感をさらに強固なものにしている。

  • 容赦のない洗練と一手のミスが瓦解を招くシビアなゲームバランス
    • 本作の戦闘難易度は、シミュレーションRPGやアトラス作品の系譜の中でも全体的にかなり高めの水準に設定されている。
    • 力押しやレベル上げによるゴリ押しが通用しにくい設計になっており、敵の悪魔構成やスキルの属性相性を徹底的に分析し、緻密な戦術を組み立てる必要があるため、歯応えのある硬派なゲーム性を求めるコアユーザーからは絶大な評価を得ている。
    • 特に物語が佳境を迎える終盤戦においては、敵のユニット側も強力な全体攻撃魔法、凶悪なステータス状態異常、追加行動を確定させるスキルなどを容赦なく多用してくるため、プレイヤー側が一歩でもコマンドの選択や配置の判断を誤れば、わずか1ターンで自陣の戦力が一瞬にして壊滅へと追い込まれる極限の緊張感が続く。
    • なかでも、物語の大きな節目となるバベル戦や、最終日の過酷な戦場が待ち受ける関連マップの数々は、初見のプレイヤーを完膚なきまでに叩きのめす事実上の初見殺しとして語り継がれるほどの圧倒的な難度を誇り、プレイヤーの知略の限界を試してくる。
    • また、特定のキャラクターが深く関わるケイスケ関連イベントなどにおいては、道中の選択肢の選び方やバトルにおける救出結果次第でその後の生存フラグやストーリー展開が劇的に変化するため、事前の予備知識がないまま手探りで進めると、知らぬ間に取り返しのつかない悲劇的な展開や厳しい局面に追い込まれやすいという、システム的にも一切の妥協がない厳格なゲームデザインが特徴となっている。

総評

  • 本作は、伝統的な『女神転生』シリーズが培ってきた「悪魔合体」や「属性の駆け引き」といった底堅い悪魔育成RPGとしてのゲームのアイデンティティをベースに残しながら、マス目上のフィールドで戦略を組み立てるシミュレーションRPG(SRPG)のシステムへと見事に融合・昇華させた秀作である。

デビルサバイバー オーバークロック

【でびるさばいばー おーばーくろっく】
ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 アトラス&br;廉価版:セガ
発売日 2011年9月1日
定価 5,980円(税別)
廉価版 アトラス・ベストコレクション:2015年12月3日&br;パッケージ・ダウンロード共に2,980円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作

評価点

  • 物語を真の完結へと導く追加シナリオの8日目
    • 原作である無印版においては、新たな戦いが始まることを予感させて幕を閉じたり、実質的なバッドエンドに近いビターな結末を迎えたりするなど、お世辞にも綺麗に完結したとは言えない消化不良なエンディングが一部に存在していたが、今作ではそれらの結末の文字通りその後を克明に描く完全新規のシナリオが追加された。
    • ネタバレを避けるため詳細な展開への言及は伏せるものの、突入したルートの思想に基づいた新たな戦いとその終着点、あるいは絶望的なバッドエンドの状況からの大逆転劇を掴み取るドラマなどがきっちりと描き切られており、ボリューム自体はコンパクトながらも本編の余韻を美しく補完する極めて完成度の高い良好な追加エピソードに仕上がっている。
    • また、この8日目のマップにおいては、7日目の難所を乗り越えたプレイヤーをさらに圧倒する最高峰のラストボスが新たに用意されており、極限の戦略性を求めるやり込み派の期待を裏切らない凄まじいやり応えを実現している。ただし、選択したルートの性質によって対峙するボスの強さやギミックが劇的に変化するため、8日目であっても比較的マイルドな難易度でスムーズにクリアできるルートも並行して存在する。

  • 臨場感とドラマ性を飛躍的に高めた全編フルボイス化の恩恵
    • 本作では主要キャラクターから重要な脇役に至るまで、アドベンチャーパートの全編において待望のフルボイス化が敢行されており、世界観の緊迫感やキャラクターの感情の起伏をよりダイレクトにプレイヤーへ伝えることに成功している。
    • 割り当てられた声優陣は、全体的に各キャラクターが持つ元のパーソナリティやビジュアルイメージを一切損なわない極めて的確で豪華な配役がなされており、テキストを読み進めるアドベンチャー部分の没入感や劇的な演出を劇的に盛り上げる立役者として多大な貢献を果たしている。
    • しかしながら、熱心なファン層の間では、過去に発売されていたドラマCD版のキャストから一部のキャラクターの声優が変更されたことに対する一抹の寂しさや、システム上の都合から主人公のデフォルト名が存在しない関係で、ボイス中において主人公の名前部分だけが不自然に音声として呼ばれない仕様になっている点など、一部に画竜点睛を欠く残念なポイントとして惜しむ声も上がっている。

  • 育成の自由度と戦術の幅を爆発的に広げる悪魔全書の新規追加
    • 続編であるデビルサバイバー2において初めて導入され、プレイヤーから絶大な支持を得ていた画期的なコレクション・登録システムである悪魔全書が、リメイクにあたって今作にも満を持して逆輸入の形で新規追加された。
    • これにより、一度作成して手塩にかけて強力なスキルを継承させたお気に入りの悪魔をデータとして全書に登録しておくことが可能となり、ゲーム内で必要となるマッカさえ潤沢に支払うことができれば、いつでも何度でもその強力な個体を呼び出して複数のチーム間で使い回すことができるようになった。
    • この機能の恩恵により、新しい悪魔を作成するために過去の強力な仲魔を泣く泣く合体の素材として完全に消費してしまうリスクがなくなり、リソース管理の難易度が緩和されると同時に、バトルの状況に応じたより柔軟で多彩な戦術の構築が手軽に行えるようになっている。

  • サバイバーズアワードと2周目以降の追加ボスがもたらす豊富なやり込み要素
    • 何度も周回プレイを繰り返すことが前提のマルチエンド設計である本作において、2周目以降のプレイが単なる同じ作業の繰り返しになって飽きを招いてしまうという、前作が抱えていた最大の弱点が大幅に改善された。
    • その中核を成すのが、ゲームのクリア状況や特定のやり込み実績に応じてポイントを獲得し、次周への引き継ぎ要素を能動的に解禁していくシステムであるサバイバーズアワードの導入であり、実質的なアチーブメント(やり込み要素)の一覧として機能している。
    • このアワードは各項目の詳細な達成条件があらかじめ隠されている仕様になっているため、プレイヤー自らが「どうすればこの実績を解除できるのか」という条件を模索し、手探りで試行錯誤を繰り返しながらゲームを深く遊び尽くしていくという、ストイックなやり込みの楽しさを提供している。さらに、特定の周回数以降でしか遭遇することのできない圧倒的な実力を秘めた追加ボスなども裏要素として配置されており、コアゲーマーへの挑戦状として十分すぎるボリュームを誇る。

  • 快適性を極限まで追求したUIの向上とコンフィグ機能の刷新
    • ハードウェアが移行したことに伴い、ユーザーインターフェースまわりの利便性やゲームをプレイする上での快適性が劇的な進化を遂げている。
    • 特に、原作では1つしか存在しなかったセーブデータのスロット数が一挙に3つへと増設されたことは非常に利便性が高く、各日の開始直後のデータを保険として別枠で残したり、ルート分岐直前のデータや、クリア特典を引き継いで最初から始めるためのクリアデータを保持したまま別のスロットで周回プレイに臨んだりといった自由なデータ管理が可能となった。
    • このセーブ枠の拡張により、1台の本体を兄弟や友人などの複数人で共有して個別のデータで同時並行プレイする際の手間やリスクも大幅に軽減されている。
    • さらに、システムの環境設定を行うコンフィグ機能も大幅に強化され、シミュレーションRPGの画面におけるユニットの移動速度や演出を劇的にスピードアップさせる高速化オプションが追加されたほか、イベントシーンにおいてLボタンとRボタンを同時に長押しすることで、不要なテキストや既読のシナリオを一瞬で超高速スキップできる機能が実装された。これにより、周回プレイ時にネックとなっていたイベントの冗長な待ち時間が完全に解消され、驚異的なテンポの良さでゲームを進めることが可能となっている。

論争点

  • コマンドスキルの追加に伴う物理属性の劇的な強化と圧倒的な一強性能
    • 原作においてやや扱いづらさの目立っていた物理属性であるが、今作では強力なコマンドスキルの新規追加に伴い、他の魔法属性を大きく引き離して頭一つ抜けた屈指の最強属性へと変貌を遂げた。
    • 元々物理属性は、攻撃属性の中で唯一反射以外のすべての耐性を力づくで無視できる強力なスキルを内包していたため、スキルの選択肢が増えたことでその潜在的なポテンシャルが一気に爆発する結果となった。
    • 特に続編のデビルサバイバー2でも猛威を振るった千烈突きのスキルが今作にも持ち込まれたことが非常に大きく、その性能は戦局を根底から覆すほどに恐ろしい。
    • このスキルは自身の速のステータスが相手を上回っていればいるほど攻撃回数が劇的に増加し、その連続攻撃を敵全体それぞれに対して一斉に叩き込むという凄まじい攻撃判定を持っている。
    • 単純な威力が桁違いに高いことは言うまでもなく、本作の戦闘において最も重要となるアドバンテージであるエクストラターンの権利を容易に奪い取ることができるため、戦術的なリターンが非常に大きい。
    • さらに、敵が展開する一度だけ攻撃を完全に無効化する護りの盾やテトラカーンといった強力な防御障壁、および戦闘不能になるほどの致命傷を受けても必ず残りHP1で耐え抜くパッシブスキルである食いしばりなどの遅延要素に対しても、その圧倒的な多段ヒット性能によって容易に貫通して実質的に無効化できるなど、バトルの前提を崩壊させるほどの狂気的な性能を誇っている。
    • ただし、この調整は無印版において不遇極まりなかった物理属性の地位を救済し、育成のモチベーションを大きく引き上げた前向きな調整の一環であるという側面もあり、極端な強さを歓迎する声と大味さを懸念する声で評価が分かれている。

  • 救済措置としての悪魔全書における召喚費用の高騰とゲームバランスの維持
    • 待望の追加要素として実装された悪魔全書システムであるが、そこに登録された悪魔を実際に手元に呼び出す際に要求されるマッカの金額が非常に高額に設定されており、軍資金に余裕のない状況ではあまり自由に悪魔を連れ出すことができない仕様になっている。
    • この価格設定に対しては利便性を損ねているという不満がある一方で、序盤から強力な悪魔を無制限に呼び出せてしまってはシミュレーションRPGとしての骨太なゲームバランスが崩壊してつまらなくなってしまうため、手持ちの仲魔をいかにやりくりして戦線を維持するかという職人芸的な攻略を楽しめる1周目においては、これくらいの手不自由さがあった方がゲームとして健全であるという肯定的な意見も根強い。
    • また、この召喚費用に関してはデビルサバイバー2の仕様と同様に、ゲームクリア後に獲得できる特典を適用することによって価格を半額にまで劇的に引き下げることが可能であるため、プレイヤーが本格的なやり込みや隠しボスの撃破を目指すようになる頃には資金面の不便さはほとんど気にならなくなる。

問題点

  • 既存シナリオおよび戦闘マップにおける変化の乏しさと原作からの据え置き
    • リメイク作品として多角的な追加要素がアピールされているものの、物語の根幹を成す1日目から7日目までの既存シナリオや、そこで発生する戦闘マップの構造に関しては、一部の雑魚敵のエネミー配置がわずかに変更された程度に留まっており、無印版とほぼ変わらない内容のまま据え置かれている。
    • そのため、原作の最大の弱点として指摘されていた周回プレイ時における展開の代わり映えの少なさや、ビジュアル面でのマンネリ感といった課題は相変わらず解消されておらず、無印版を限界まで遊び尽くしたプレイヤーにとっては既視感が強く残りやすい。

  • 発売までの開発期間に対して体感的な追加要素の割合が少ない物足りなさ
    • 原作の発売から数えて2年半以上という長い充電期間を経てリリースされたタイトルであるため、当時リアルタイムで遊んだ既存のプレイヤーであっても、ある程度は懐かしさと新鮮な気持ちを抱きながらプレイを始められる環境は整っていた。
    • しかしながら、ゲーム全体のボリュームや構成を客観的に俯瞰してみると、完全新規の要素が占める絶対的な割合は決して多いとは言えず、原作を文字通り隅々までやり込み記憶に新しい状態で本作に触れたユーザーからすると、価格に対する実質的な追加分の物足りなさを指摘されやすい。

  • フルボイスの魅力を大きく損ねている収録ボイスの劣悪な音量バランス
    • 本作の最大のセールスポイントの一つとして大々的に宣伝されていたフルボイス化であるが、実際にゲーム内で再生される音声データの調整クオリティが極めて低く、ユーザーの快適性を著しく害している。
    • キャラクターや場面によって音声のボリュームが極端に大きすぎたり、逆に聞き取れないほどに小さすぎたりする不安定な状態が全編にわたって散見され、中には激しい感情のセリフにおいて明確な音割れが発生している箇所もあるなど、せっかくの熱演とアドベンチャーパートの盛り上がりに冷や水を浴びせる極めて残念な仕上がりとなっている。

  • 世界観の魅力を半減させる悪魔のボイス仕様における割り切りと謎のこだわり
    • 人間キャラクターがこれだけ生き生きと喋るようになった一方で、メガテンシリーズの主役とも言える悪魔たちのボイスに関しては、専用のセリフ音声が一切用意されておらず、一律で汎用的なうなり声や咆哮のエフェクトのみが鳴り響く仕様に終始している。
    • 作中に登場する悪魔たちは知性的で個性豊かなセリフテキストを数多く喋るキャラクター性を持っているからこそ、それらがすべて無機質な獣の声だけで片付けられてしまっている点は演出面において非常に惜しい。
    • さらに不可解な点として、普段は人間の姿に擬態して社会に潜伏している悪魔に関しては、人間の状態を保っている間はイベントシーンで美麗な個別ボイスが完璧に再生されるにもかかわらず、バトルの発生などに伴ってひとたび正体を現し悪魔のグラフィックに変化した瞬間、他の一般悪魔と同様にうなり声しか発しなくなるという謎の方向性のこだわりが徹底されており、かえって不自然さと不満を際立たせる結果となっている。

  • サバイバーズアワードの導入による引き継ぎ要素の自由度の制限
    • 2周目以降のゲームプレイを快適にするための各種引き継ぎシステムが続編のデビルサバイバー2に準拠した形式へと改修された結果、リメイク前のように2周目のスタート時点で無条件ですべての要素を完璧に引き継いだ状態で無双プレイを始めるということが不可能になった。
    • 実績解除ポイントを消費して引き継ぎ項目を個別に選んで解禁していくシステムになったため、プレイヤーの好みに応じた段階的な縛りプレイや育成の楽しみが生まれた反面、前作の手軽な全引き継ぎによる圧倒的な爽快感を愛していたプレイヤーにとっては、システムによる実質的な行動制限や手間の増加としてネガティブに受け止められやすい。

  • 現代の操作基準から見ると少々煩雑なコンフィグのスキップ操作
    • イベントシーンを高速で読み飛ばすためのスキップ機能自体は実装されているものの、その発動条件がLボタンとRボタンを同時に押し続けなければならないという、携帯ゲーム機の操作体系としては少々時代遅れで不親切な方法が採用されている。
    • この仕様のせいで、片手で画面を持ちながら空いた手で気楽にテキストをスキップするといった快適なプレイスタイルが構造的に不可能となっており、周回プレイで頻繁にスキップを多用するゲーム性であることを考えると、ボタン一つで瞬時に機能のONとOFFを切り替えられるような現代的なユーザーインターフェースと比較して利便性の低さが目立つ。

総評

  • 完全新規の追加シナリオである8日目を新たに創設したことにより、原作において多くの伏線や謎自体は論理的に回収されつつも、どこかビターで消化不良な余韻の残っていた一部のエンディングに対して、物語の真の終着点と明確な救いの未来を提示することに成功しており、シナリオ面での完成度は格段の向上を遂げている。

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最終更新:2026年05月20日 19:59