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デビルサバイバー2

【でびるさばいばーつー】
ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 1024MbitDSカード
発売・開発元 アトラス(インデックス)
発売日 2011年7月28日
定価 6,279円(税込)
判定 良作
女神転生シリーズ

特徴・評価点

  • 縁システム
    • 仲間キャラである悪魔使いたちとの交流を深める事で、新たな仲魔の合体解禁や、戦闘においてプレイヤーに有利な局面に導く様々な恩恵・効果を得る事ができる今作の新要素「縁システム」。
    • 展開される交流の内容も、過酷な状況下で絆を育む心温まるものから、キャラクターの過去や苦悩に踏み込むシリアスなもの、さらには思わず笑ってしまうようなギャグチックなものまで非常に幅広く描写されている。
    • 作中で最高の結末にあたるベストエンディングを迎えるためには、参戦する全仲間の縁ステージをある程度まで満遍なく上げなければならないため、限られた時間の中で誰と過ごすか計画的にプレイする必要性がある。
    • 前作の不満点として、仲間との固有の交流イベントを見る機会が極めて少ないのが残念がられていたが、今作では主人公が各仲間と能動的に会話して絆を深める事自体が本編・システムの主軸となっており、前作の欠点が見事に解消されている。

  • 前作よりもキャラクター化された主人公
    • 前作の主人公には特殊な背景設定が存在したが、今回の主人公は突発的な災害に巻き込まれたただの一般人の高校生である。そのためキャラクターとしての個性がより明確になり、プレイヤー側からも感情移入しやすくなっている。
    • 作中で提示される会話の選択肢の自由度も非常に高く、周囲を引っ張るカリスマ性溢れるリーダー然とした言動から、魅力的な女性キャラに対するちょっとしたセクハラな言動、場を和ませるおとぼけ選択肢までよりどりみどり。結果として、 劇中の仲間たちからはもちろんのこと、実際のプレイヤーやファンからも強く愛される「人たらし」なリーダー という特有のキャラクター像を確立している。

  • マルチエンディング
    • アトラス作品の伝統に漏れず、今回もマルチエンディング方式が採用されており、物語の終盤におけるプレイヤーの思想的な選択や生存させたキャラクターの状況に応じて、世界の命運を分ける複数の結末が用意されている。

  • 「死に顔サイト ニカイア」
    • 物語の開始と同時に流行する、近い未来に理不尽な死を迎えてしまう運命を負ったキャラクターの凄惨な死亡シーンを動画として事前配信する謎のウェブサイト「死に顔サイト ニカイア」。
    • ただし、配信された動画を見た主人公たちが先んじて的確な行動を起こし、現地に介入することによって、その凄惨な死の運命はプレイヤーの手で変える事が可能となっている。そのため単なる悪趣味なホラー動画というよりは、むしろ未来の悲劇を回避するための重要な警告・予兆としてストーリー上で活用されている。
    • キャラクターの死亡が文字のテキスト情報だけで淡々と処理されて終わっていた前作と違い、今作では実際にプレイヤーが縁を結び、愛着が湧いている仲間たちが命を落とす凄惨なシーンの動画が直接ビジュアルとして流れるため、プレイヤーにも「一歩間違えれば仲間を失う」という強い緊張感を与えており、終末世界を描く今作の重厚な雰囲気作りに大きな一役を買っている。

  • 「平等」か「実力」か対立するシナリオ
    • 世界を脅かす未知の悪魔だけでなく、極限状態における人間同士の思想・理念の対立も本作において健在であり、物語はよりディープに加速していく。
    • 弱者を淘汰し強者が道を切り開く「実力主義」の世界か、誰もが等しく手を取り合う「平等主義」の世界か、あるいはそれらの歪みを正すまた別の道か。
    • 極限の終末においてそれぞれが正しいと信じる理想の世界を作ろうとし、それまで共に戦ってきた仲間達が互いの信念をかけて袂を分かち対立していく、鬼気迫るドラマチックな展開は、一度没入するとコントローラーを置く止め時が分からなくなるほどの魅力を放つ。
  • スタッフ陣
    • 前作のクオリティを支えたクリエイターに新たな才能が加わり、前作に引き続き、スタッフ陣は非常に豪華な布陣となっている。
    • メインキャラクターデザインは、スタイリッシュな絵柄で絶大な人気を誇るヤスダスズヒト氏が前作から引き続き続投。
    • 今作でも、滅びゆく世界の暗い雰囲気をある程度払拭させるような、ポップで元気に溢れた魅力的なキャラクタービジュアルを楽しむことができる。
    • また、ゲームの印象を決定づけるサウンドコンポーザーは、伊藤賢治氏が新たに担当している。
      • 前作を担当した浅野孝已氏による曲群は、重低音のギターが激しく鳴り響く世界滅亡の絶望感に溢れたダークなサウンドが多かったのに対し、本作のサウンドは神話的な強敵や理不尽な運命に人間の知恵と絆で立ち向かうような、勇壮かつメロディアスで熱い曲が多い。
      • 特に荒荒した日本を巡るマップ曲、およびボス戦を盛り上げる戦闘曲がユーザーの間で特に評価が高い。また、作品の余談ではあるが、今作の先着購入特典にはアトラスのサウンドスタッフがアレンジした楽曲を収録したスペシャルCDがついてくるのだが、ライナーノーツ等において参加した全クリエイターがいずれも伊藤賢治氏の熱狂的なファンを自認していたという微笑ましいエピソードもある。
    • さらに、本作の象徴的な敵生物である「侵略者」のデザインには、漫画『ぼくらの』や『なるたる』などの独創的な世界観で知られる鬼頭莫宏氏を起用。
      • 氏の織り成す、既存の悪魔とは一線を画す不気味で無機質かつ強大な幾何学的イメージは、実際のゲーム本編での圧倒的な強さやギミックの理不尽さと相まって、初見のプレイヤーに非常に高いインパクトと絶望的な絶望感を生み出した。

  • 悪魔・コレクター要素
    • 今作に登場する悪魔総数は前作の約二倍という圧倒的な大ボリュームに増加。それに伴い、最高峰の強さを誇る「英雄」や、特殊な合体でのみ誕生する「魔人」などの新種族もプレイヤーの手で作成可能になり、やり込み派のためのコレクター要素もさらに広がりを見せている。
    • 本編とは別に用意されているやり込み用の隠しボスも前作より大幅に増え、また、いずれのボスも一筋縄ではいかない極めて高い難易度を誇る。
    • 特にゲーム序盤に遭遇する最初の魔人である「ゴーストQ」は、対策なしの初見撃破が非常に困難な、多くのプレイヤーを絶望させた門番ボスとして広く知られている。
    • また、ファンサービス要素も非常に充実しており、前作の「最強の隠しボス」であった魔王ルシファーは、なんと悪魔合体の組み合わせが前作と全く同じである、と言う心憎いファンサービスが試みられており、更に今作では彼と対を成す最高位の堕天使「サタン」も満を持してゲームに参戦している。
    • 育成面では戦闘中や特定の条件で入手できる「アドオン」という新システムが導入されたことにより、仲魔が持つスキルを制限なく全て自由に付け替え可能になり、プレイヤーが時間と労力を惜しみなくかければ、自分の好きな低レベルの悪魔であっても理論上最強にまで育成して前線で活躍させられるようになった。
    • 悪魔の総数自体が大幅に増えたことで、悪魔個々の基礎レベルにとらわれず、自分の好みのグラフィックや思い入れのある種族をゲームの序盤から終盤まで継続して使いやすくなった。種族ごとに移動力や攻撃回数が変わる「種族固有スキル」が、戦闘における極めて重大な差別点・戦略の要として存在する今作においては、この育成の自由度はシステム的に極めて重要である。

  • 戦闘面の向上
    • 魅力的な新種族の登場や多種多様なスキルの増加・バランス修正などにより、前作以上にプレイヤー個人の好みに合わせた戦略の幅が増えている。
    • ハードの性能を活かした画面の画質向上や、必殺技・魔法の演出強化の他、ロード時間の短縮を含めて全体的にバトルのテンポも非常に良くなっている。
    • バトルの根幹を支える戦闘システム自体は、前作の形ほぼそのままの完成された形で続投。敵の弱点を突くことで有利になる「エクストラターンシステム」や、一手ごとの行動の重みを変える「行動力制」は前作同様に奥深い駆け引きが味わえるとユーザー間で非常に好評。

  • 舞台
    • 国家崩壊の危機に瀕した複数の主要都市を舞台にした、スケールの大きい物語。
    • 前作の舞台であった東京だけでなく、新たに日本の大都市である大阪、名古屋の新ステージが追加されており、誰もが知っている有名な観光スポットやランドマークが美麗な背景イラストや、臨場感あふれるシミュレーション戦闘マップとして多数登場する。

  • バトルの改善
    • 前作のバトルバランスでは、物理属性の攻撃スキルがやや不遇でイマイチな性能だった反面、万能属性を含む魔法属性スキルが圧倒的に強力という偏りがあったが、今作ではその反省を踏めて、前線で大暴れできる非常に強力な物理スキルが多数追加された。しかし、その強化具合はあまりにも凄まじく、ゲームバランスを容易に破壊してしまうバランスブレイカー気味の調整ではあるが、その強力な物理スキルの詳細な性能や組み合わせについては後述の項目を参照。

論争点

  • 前作との「サバイバル」の路線の違い
    • 前作におけるシナリオは「極限状態に陥り封鎖された山手線内という狭い空間に閉じ込められた挙句、突如として悪魔や悪魔使いが現れはじめ、インフラが途絶し時間の経過とともに徐々に荒廃・狂気へ向かっていく」という、まさに日常の崩壊を描いた現代劇舞台のサバイバルに相応しいシチュエーションが絶賛されていた。
    • しかし、今作で描かれる物語の主軸は「日本全土を襲う謎の巨大生命体である侵略者との、国家の生き残りをかけた組織的な大決戦」へとスケールがシフトしており、前作のような地を這うような生存劇を期待していた一部のプレイヤーからはサバイバルという方向性に対して首を傾げられたり、違和感を覚えられたりすることも少なくない。
      • 加えて、個々の一般人が互いに寄り添い泥泥になりながら明日を生き延びるために行動していた前作の孤立無援な環境と比べ、今作ではジプスという国家規模の巨大な防衛組織に主人公たちが所属・協力して侵略者に対抗していくというストーリー展開の都合上、どうしても組織のバックアップによる心理的な安心感を生み出してしまっている側面がある。
    • 主人公とその仲間たちは組織によって最低限の安全な拠点や衣食住の環境を保証されているため、前作で大きな魅力であった限界状況における生存そのものの危機感や、物資の枯渇といった切実な心配が薄れてしまっている点が賛否を分ける要因となった。
    • ただし、サバイバーという英単語自体が本来持つ意味は、サバイバル生活のような文明から隔絶された野生の自給自足環境を指す言葉ではなく、事件や事故、大規模な戦争や災害などにおける生存者や生き残りという意味合いが強い。
    • その点に注目すれば、日本各地の都市が壊滅的な打撃を受け、どこにも逃げ場のない文字通りの絶望的な極限状況に追い詰められている本作の描写は、前作以上に過酷でスケールの大きい生存劇であるとも評価できる。

  • バランスブレイカーの存在
    • 「千烈突き」
      • 今作のバトルバランスにおいて、最も強力な壊れ性能を持つバランスブレイカーの筆頭格としてユーザー間で良く代表に挙げられるのが、この物理属性攻撃スキルである。物語の終盤に差し掛かる時期に敵からスキルクラックすることでようやく手に入る強力なスキルなのだが、その驚異的な効果は「敵の1チーム全体に対して、攻撃側のステータスである速の値に比例した凄まじい連続物理攻撃を叩き込む」というもの。
      • 特にヨシツネやフェンリルといった、悪魔の成長傾向として力と速のステータスが突出して高く設定されている物理特化型の仲魔は、この千烈突きの恩恵を極限まで最大限に受けやすく、敵側に物理反射の耐性を持つユニットが存在しない限りは、あらゆる戦局を単騎で無双できるほどの圧倒的な殲滅力を誇る。
    • また、本作の戦闘システムの肝であるエクストラターンの仕様上、手数が多くなる連続攻撃の回数が増えるということは、それだけ物理クリティカルを発生させる機会が飛躍的に増えることを意味するため、非常にクリティカルを誘発しやすく、結果としてエクストラターンを強引に奪い取りやすいという極めて凶悪なシナジーを生み出している。
    • 自軍が有利なエクストラターンを獲得したうえで、手数の暴力によって敵全員のエクストラターン発生フラグを根こそぎ奪い去り完封する、といった圧倒的なハメ殺し展開も日常茶飯事となる。
      • ただし、当然ながら物理攻撃をそのまま跳ね返してくる物理反射の耐性持ちの強敵相手には一切通用せず、むしろこちらが即死しかねない致命傷を負うため、万能属性や魔法属性といった他の有効な戦闘手段・対抗策を用意しておく工夫も必要になる。
    • さらに、逆に敵側の強力なボスや悪魔がこのスキルをこちらに向けて使用してきた場合は、一瞬で自軍チームが壊滅へと追い込まれる恐ろしい脅威と化す。
    • また、このスキルを最速でクラックできるタイミング自体が6日目の中盤以降とかなり遅めの時期に設定されている点も絶妙な調整と言える。
      • 物語が終盤に突入すると、流石にメタ要素として物理反射耐性を持つ強力なユニットや敵ボスも配置されて増えてくるものの、ゲーム全体を見渡せば物理反射を持たない敵ユニットの方が遥かに多数を占めているため、依然として全編を通して最強クラスの壊れスキルであるという評価は揺るがない。

    • 「邪念流動」
      • もう一つの代表的なバランスブレイカーとしてプレイヤー間でよく挙げられるのが、邪龍種族の上位悪魔が固有で所持している極めて強力な種族特異スキル「邪念流動」である。
      • その規格外の効果は「スキルを発動して使用したそのターンのみ、自身の攻撃射程および戦闘を仕掛けられるレンジを+4マスも強引に延長する」という、文字通り戦場の射程概念を根底から覆す恐るべき内容となっている。
      • マップ上での部隊の移動や、敵からの攻撃に対する迎撃戦闘を行うたびに行動順の遅延(ウェイト)ペナルティが増加していく仕様が強化された今作においては、移動を極力行わずに安全圏から一方的に敵を狙撃できる、いわゆる超長距離の固定砲台としての立ち回りの優位性が飛躍的に上昇しており、そのシステム的な恩恵を極限まで最大限に享受した壊れスキルであると言える。
      • これほど強力無比なスキルであるにもかかわらず、オマケに何故か敵側のCPUユニットはこのスキルを一切使用してこないというプレイヤー側に有利な仕様になっている。まぁ、もしもこんな理不尽な超射程スキルを敵側の大群やボスに縦横無尽に使われたとしたら、それはそれでプレイヤーが確実に詰みかねない大惨事になるため、味方専用の救済要素として機能している。

問題点

  • シナリオの説明不足
    • 前作においては、作中で発生するあらゆる怪奇現象や凄惨な出来事へのロジカルな理由付け、緻密に張り巡らされた多数の伏線の完全なる全回収など、シナリオ自体の圧倒的な完成度の高さが作品の大きな評価点の一つとして確立されていた。しかし、今作のストーリー展開においては、それと比較して描写不足・説明不足な粗い点が随所で目立つ構成になっている。
      • 劇中のキャラクターたちが物語の中で特に疑問として話題にしない事まで含めると、明確なアンサーが提示されず謎のまま有耶無耶に終わってしまう重要な設定や背景が多数存在している。例えば、物語の中盤で大きな転換点となる「憂う者がジプスの科学者であるフミを拉致してマインドコントロールし、裏から操っていた本当の理由・目的」や、世界の在り方を巡る戦いにおいて重要な概念であるはずの「輝く者とは一体どのような存在なのか」といった、核心に触れるようなイベントや世界観の重要用語に対する具体的な補足説明の無い描写が非常に多い点が指摘されている。

  • シナリオの変化に乏しい
    • 前作と同様に、プレイヤーの選択によって結末が分岐するマルチエンディング方式を大々的に採用している本作ではあるが、物語の最終盤の分岐点に到達する直前まで、中盤のメインシナリオの展開に大きな変化や差異が見られないという点が、前作のファンを中心として大きな不満点となっている。
      • 今作には確かに新要素の縁システムが導入されたことによって、各キャラクターとの絆の深さに応じた細かな会話のテキスト内容やリアクションこそ変化するものの、大まかなストーリーの動線や辿る運命自体はどのルートを選ぼうが概ね同じ進行を辿ることになる。
      • 特に前作では、限られた時間内でのプレイヤーの選択や行動、キャラクターの死亡フラグ管理の成否などによって、発生するイベントそのものが根本から大幅に増減したり、全く別のシチュエーションのバトルイベントへ変化したりと、周回ごとにダイナミックな展開のバリエーションの変化を体感できた。しかし、今作では分岐条件を満たしたとしても、展開されるイベント自体の流れは変わらず、登場するキャラの台詞が少し変化したり、その場で会話のやり取りをする相手キャラクターが差し替わるという程度のマイナーチェンジのような変化しか味わえない。また、バトルの局面においても、特定の仲間キャラクターが事前に死亡していることで味方の出撃数や編成できる数が減少して変化しはするものの、戦闘のシチュエーションや発生する敵の増援イベント自体の内容は完全に共通で同じままである。
      • この仕様は、複数のルートを何度も何度も周回して遊ぶ周回プレイ前提のゲームデザインであるという作品の性質とも相まって、プレイヤーに対して同じ展開を何度も見せる形となり、プレイのマンネリ感や作業感を強めて不満の声に拍車をかける結果となってしまっている。

    • 使い回しが多い
      • 今作のために用意された美麗な新規3Dステージや新デザインの一般モブキャラクターなども多数実装されてはいるものの、ゲーム全体で見ると前作のグラフィック資産やアセット、各種データをそのままそのまま流用・使い回ししている部分がかなり目立つ。
      • 特にゲームの最序盤から登場する一般の警察官のキャラクターたちが、前作においてプレイヤーを苦しめたあの悪名高い悪徳警官の立ち絵グラフィックのままで平然と画面に現れる仕様は、前作をプレイしたファンにとって、良い意味でも悪い意味でも過去のトラウマを想起させる強烈なインパクトとシュールな違和感を与えることとなった。

    • 会話
      • 前作での不満点として要望の多かった要素であるが、今作でも改善されず同様のままであり、イベント中のセリフや会話の内容を読み返せるようなバックログ機能が一切搭載されていない。選択肢のミスや読み飛ばしに対して不便を強いる仕様のままである。

総評

  • 作中におけるサバイバルの方向性の劇的な変化や、シナリオ展開における一部の説明不足・変化の乏しさといった問題点など、前作の尖った作風をこよなく愛していた熱心なファンからするとやや期待外れに感じたり残念に思えたりする箇所も散見される。しかしながら、新システムである縁システムの導入によるキャラクターの内面の深い掘り下げや、アドオンをはじめとする悪魔育成要素の強化、バトルテンポの改善といったゲームシステム的な側面においては、前作の不満点をしっかりと克服した極めて良好で正統派な進化を遂げた意欲作・新作として完成している。


デビルサバイバー2 ブレイクレコード

【でびるさばいばーつー ぶれいくれこーど】
ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 2Gbyte3DSカード
発売・開発元 アトラス(インデックス)
発売日 2015年1月29日
定価 6,458円(税込)
判定 良作
女神転生シリーズ

追加要素・評価点(ブレイクレコード)

    • 完全新作となるアフターストーリーおよび新キャラクター「峰津院 都」に焦点を当てた新シナリオ「トリアングルム編」が完全新規で追加された。
      • ゲーム開始時に、オリジナル版の物語である「セプテントリオン編」と、この新規追加された「トリアングルム編」のどちらからでも自由に選択してストーリーをスタートできる、プレイヤーに配慮した親切な設計となっている。
      • オリジナル版のシナリオと今回追加された新規シナリオの双方を合わせた総プレイボリュームは50時間強という圧倒的な大ボリュームに達しており、ニンテンドー3DSで発売された数あるRPG作品の中でも屈指の密度とプレイ時間を誇る大作へと新生を遂げている。
      • さらに、新キャラクターである峰津院都をはじめ、追加シナリオに登場するすべての仲間キャラクターに対しても個別イベントシステムである「縁システム」が余すことなく網羅されている。激動の事件を経て精神的に大きく成長した既存キャラクターの姿や、世界の構造変化による環境の激変に戸惑いを隠せないリアルな葛藤など、キャラクター個々の内面がより深く掘り下げられたことで、登場人物たちの持つ人間的な魅力が一段と底上げされている。
    • おもしろ主人公の健在
      • 新規追加された「トリアングルム編」のシナリオ内においても、オリジナル版でユーザーから大好評を博した主人公のバリエーション豊かでコミカルな会話の選択肢は一切の衰えを見せることなく健在。それどころか、作中の女性キャラクターに対するセクハラまがいの過激な言動や突拍子もないおとぼけ発言の選択肢がさらに増量されているような印象さえ受け、相変わらずの愛される人たらしぶりを発揮している。
    • オリジナル版にあたるシナリオ「セプテントリオン編」のプレイ環境にも、多方面にわたる劇的な改良・ブラッシュアップが加えられている。
      • 全編を通した主要イベントのフルボイス化に完全対応したほか、周回プレイやテンポの良い進行に不可欠なイベントスキップ機能の性能が大幅に向上。さらにBGMの音量バランス調整やキャラクターボイス自体のON/OFFを個別に切り替えられる細かなコンフィグ機能が追加され、ユーザーの快適性が追求されている。
      • オリジナル版(無印)では一切喋ることのなかった主人公に対して、今作では待望のキャラクターボイスが新規で追加。数々の名作で主役を務める実力派声優の神谷浩史氏が熱演を担当しており、主人公が持つ独特のカリスマ性とどこか憎めないコミカルなキャラクター性の強化に見事な一役を買っている。
      • また、劇中に登場する一般のモブキャラクターたちに関しても、物語の舞台となる地方ごとに固有の方言や訛り(大阪弁や名古屋弁など)を交えてリアルに喋るなど、細部に至るまで徹底的な作り込みが施されている。
      • さらに、作中で発生する特定の健康診断イベントのシーンにおいては、なんと完全新規となるキャラクターの専用立ち絵グラフィックが贅沢に追加実装。ビジュアル面におけるサービス精神が旺盛な、実にけしからん嬉しい強化がなされている。
    • プレイヤーのゲーム習熟度や好みに合わせて、作中の戦闘難易度をいつでも自由に変更できるようになった。難易度はライト層向けの「福音」と、従来の歯応えある戦闘を楽しめる「黙示録」の2つの難易度から任意で選択が可能。
      • 低難易度にあたる「福音」はいわゆる「イージーモード」に相当するバランス調整が施されており、万が一戦闘で全滅してしまった場合でも、それまで獲得した経験値やレベルを引き継いだままその場でリトライできたり、事前に習得したスキルを持ち込んだりできる救済措置が完璧に完備されているため、シミュレーションRPGの初心者であってもストレスなく快適にストーリーを最後までクリアできるようになっている。
    • 今作の「トリアングルム編」用に新規で書き下ろされた追加楽曲の作曲コンポーザーは、『ペルソナ』シリーズや『真・女神転生』シリーズでお馴染みのアトラスの看板サウンドクリエイター・目黒将司氏が満を持して担当。オリジナル版の伊藤賢治氏のサウンドとはまた異なる、スタイリッシュで洗練された目黒氏特有のメロディラインが新たな世界観と見事に融合している。
    • ニンテンドー3DSのハード特性を最大限に活かした「すれちがい通信」機能が新たに追加。
      • すれちがい通信を行うことで、街中を行き交う他プレイヤーの編成情報やプロフィールを閲覧して楽しめるほか、すれちがいが発生したタイミングで自身が登録している手持ちの仲魔1体がランダムで経験値を獲得して成長するという、育成の手間を省くお役立ち要素が盛り込まれている。
    • 「いつの間に通信」機能の追加。
      • いつの間に通信の電波を通じて、ゲーム内で作成可能となる特別な追加悪魔の合体解禁データや、アドオンによる希少なスキルの引き継ぎ要素が順次配信された。さらに期間限定のスペシャルコラボ企画として、本作と同じくヤスダスズヒト氏がメインキャラクターデザインを手掛けた人気アニメ・小説作品『デュラララ!!』に登場する主要キャラクター(平和島静雄や折原臨也など)が仲魔ユニットとしてゲーム内に直接配信されるというファン垂涎の試みも行われた(もちろん、これらの期間限定配信や外部の追加悪魔データを一切入手していなかったとしても、ゲーム内の悪魔全書を100%コンプリートすることは可能な仕様になっているため、後発のプレイヤーへの不利益はない)。

問題点(ブレイクレコード)

    • シナリオ
      • 完全新規で追加されたトリアングルム編のストーリー展開においても、オリジナル版が抱えていた「描写不足・説明不足」という課題は完全に克服されておらず、作中における重要なイベントの背景理由や世界観の専門用語に対する具体的な説明がないまま進行する場面が未だに多く散見される。特に、新キャラクターとして物語の鍵を握る「峰津院 都」に関しては、劇中での彼女の動機が分かりづらい突飛な行動や、設定自体に不可欠で不可解な謎が多く集中してしまっているため、プレイヤーが置いてけぼり感を抱きやすい。
      • また、シナリオの構成・時間配分の都合上、彼女たちの「縁」のステージ数値を上昇させるための個別会話の機会が物語の極めて終盤の特定タイミングに偏って集中してしまっている。そのため、ゲーム内の作中時間にしてわずか半日にも満たないようなごく短い時間の中で、それまでの溝を埋めるかのように一気に絆のレベルを最大近くまで急上昇させることになり、割と主人公に対する他キャラクターの好意(デレ)のハードルが低めでチョロい傾向のある本作のキャラクター陣の中でも、特に「あまりにも簡単に主人公に絆されてしまうチョロすぎるキャラクター」という不自然な印象を強く与える結果になってしまっている。
      • さらに、オリジナル版のシナリオにあたるセプテントリオン編に関しては、前述の通りボイス追加やシステム面の快適化こそ徹底されているものの、シナリオのテキスト内容やストーリーの展開自体には一切手が付けられておらず手付かずのまま残されている。そのため、オリジナル版が元々抱えていた世界観の掘り下げ不足や説明不足といった物語の根本的な問題点は、改善されることなくそのままの状態で残存している。
    • その他
      • 通信機能を通じてのみ特例で獲得することができる特定の「アドオン」が存在するのだが、これを使用しなければ他の悪魔に対して絶対に継承させることができない強力な固有スキルがゲーム内にいくつか存在している。
      • そして厄介なことに、その貴重な通信限定アドオンは、1つのセーブデータにつき実質的な入手機会がたったの1回のみと非常に厳しく制限されている。そのため、万が一そのアドオンを特定の仲魔に覚えさせた状態で、その悪魔のデータを悪魔全書に上書き・最新登録(アーカイブ保存)しないままゲームの周回プレイに突入してデータを回してしまった場合、そのセーブデータ内では二度と同じアドオンを再入手してスキルを覚えさせることが完全に不可能になってしまうという、育成面の取り返しのつかない重篤な罠・仕様が存在している。
      • 前述した通り、今作の主人公が提示する会話の選択肢は非常にバリエーションが豊富であり、選んだ内容によって周囲のキャラクターたちのコミカルな反応の違いを何度も何度も楽しめるのが大きな魅力となっている。しかしその一方で、各キャラクターとの絆の深さ(縁レベル)の内部数値を上昇させるための重要なボーナスポイントが設定された選択肢が、イベント内の至る所に数多く存在している。
      • 1回あたりの選択肢で加算される縁ポイントの数値自体は極めて微々たるものではあるため、物語の後半に発生する各ルートの陣営分岐そのものに対する致命的な影響は比較的少ない。しかしながら、ゲーム内に登場するすべての仲間キャラクターの命を救い、誰も欠けさせることなく最高のハッピーエンドである「全員生存の大団円エンド」の到達フラグを完璧に満たそうとした場合、ゲーム内のスケジュール管理とポイントの猶予がかなりカツカツで余裕のない設計になっている。そのため、自由におもしろ選択肢を選んで遊びたくても、実質的には評価ポイントの高い正解の選択肢を選び続けなければならないという「プレイヤーの選択肢が最適解に固定されてしまう」問題が少し解消されずに残っている。

総評(ブレイクレコード)

    • オリジナル版(無印)においてユーザーから指摘されていた不満点やシステム面の不便な要素が徹底的に見直されて快適に改良されており、さらに完全新規の追加シナリオによって圧倒的なボリュームアップと魅力的なコンテンツの拡充が図られたことで、ニンテンドー3DSというハードにおける数あるRPG作品の中でも、名作・傑作と呼ぶに相応しい極めて高い完成度へと至っている。オリジナル版を未プレイの新規ユーザーはもちろんのこと、前作のファンであっても一度は手に取って実際に遊んでみるだけの価値が十分に詰まった、非常に完成度の高いゲームに仕上がっている。

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最終更新:2026年05月22日 17:18