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たけしの挑戦状

【たけしのちょうせんじょう】
ジャンル アクションアドベンチャー ASINを正しく入力してください。
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 発売:タイトー / 開発:タイトー
発売日 1986年12月10日(FC版)
定価 5,300円(税抜・FC版)
レーティング 対象外(スマホ版:12+/17+相当)
備考 ビートたけし(北野武)監修
ポイント ビートたけし氏の不条理で過激な世界観をそのままゲーム化
理不尽極まる攻略手順と一歩間違えれば即詰む難易度
ファミコン史上最高の「クソゲー」として今なお語り継がれる伝説の一作
判定 クソゲー / BGCOLOR(lightgray): 理不尽


謎を解けるか。一億人。


特徴

  • サラリーマンの悲哀と宝探しを描いた異色のストーリー
    • 主人公は冴えないしがないサラリーマン。酒に溺れ、会社を辞め、妻と離婚し、ヤクザや喧嘩に巻き込まれながら、南海の孤島に眠る「宝島」を目指すという破天荒なストーリー。
    • 街中を歩く通行人やヤクザ、警官に至るまで殴りかかることが可能で、暴力と欲望に満ちた危険な世界観が形成されている。
  • 2Pマイクや放置を要求するファミコンのハード機能をフル活用したギミック
    • 2Pコントローラーのマイクに向かって叫ぶことでカラオケを歌う、特定の場面で1時間コントローラーを触らずに放置する、日光に当てるために画面をかざすといった、当時のハード仕様を極限まで活用した(かつノーヒントな)特殊操作が要求される。
  • 攻略本すら裏切る理不尽なフラグ管理とゲームオーバーの罠
    • 「離婚届を出していないと宝が見つからない」「酒場での選択肢を間違えると即ゲームオーバー」「ハンググライダーで風に乗れずに即死」など、手順を一つでも誤るとクリア不可能になる不条理なトラップが全編に張り巡らされている。

評価点

  • ビートたけし氏の毒気と昭和の裏街風俗を完全再現した世界観
    • しがないサラリーマンが酒に溺れ、会社を辞め、妻と離婚してヤクザとの抗争に巻き込まれながら宝を目指すという破天荒すぎるストーリーを採用。
    • パチンコ店での玉出し、スナックでの飲酒、海外旅行のパスポート発行手続き、ヤクザの事務所への殴り込みなど、昭和後期の日本の社会情勢や裏街風俗が色濃く反映されており、当時の子ども向けファミコンソフトの常識を根底から打ち破るバイオレンスと大人の欲望が渦巻く世界観が構築されている。
  • 現代のゲームと比較しても群を抜く圧倒的な自由度の高さ
    • 定められた一本道のルートを辿るだけでなく、街中をあてもなく歩き回ったり、パチンコやスナックなどの娯楽施設に興じたり、果ては会社を辞めて無職になるといった人生の選択に至るまで、プレイヤーの意思で行動を決定できる破格の自由度を誇る。
    • 通行人や警察官を含む全てのNP Cに対してボタン一つで攻撃を加えられる狂想的な仕様や、目的達成に至るアプローチの選択肢など、後年のクライムアクションゲームや広大な箱庭型ゲームに通ずる自由なプレイ感覚を80年代半ばの時点で提示していた。

  • ファンタジー全盛期において異彩を放った「現代日本」という独自のロケーション
    • 『マリオ』のようなドリームファンタジーや『ゼルダの伝説』に代表される中世西洋風剣と魔法の世界観がファミコン市場の主流であった時代において、実在する日本の街並みや大人の日常生活を舞台に選んだオリジナリティは極めて異彩を放っていた。
    • 身近で泥臭い「現代劇」をベースに据えたことで、現実の社会生活の生々しさと非日常的な冒険とのギャップが強烈な個性を生み出し、他の王道タイトルとは一線を画す唯一無二の存在感を放っている。
  • ファミコンのハードウェア機能を限界まで引き出した斬新なギミック
    • 2Pコントローラーのマイクに向かって声を張るカラオケや、画面上の地図を白紙から浮かび上がらせるために「コントローラーを一切触らずに1時間放置する」といった、本体機能をフル活用した特殊操作を導入。
    • 従来のボタン操作だけに囚われないハードの可能性を模索した試み自体は、当時の技術や発想の限界に挑んだ刺激的なシステムであった。
  • あまりにも豊富でブラックなゲームオーバー演出の数々
    • 特定の目的地へ到達する正規のエンディングだけでなく、プレイヤーの道中の行動や選択によって多種多様な悲惨な結末(実質的なゲームオーバー)へ分岐するバリエーションの豊富さが際立つ。
    • 街中でむやみに老人に話しかけたり攻撃しようとして返り討ちに遭い「老人に殺される」、離婚手続きを踏まずに過ごしていると「怒った妻に捕まる」、会社を無断欠勤し続けて「社長に捕まる」など、理不尽かつシュールなバッドエンドが各所に仕込まれている。
    • ゲームオーバー時に画面へ大きく映し出される主人公の「葬式」のグラフィックと演出があまりにもブラックで直接的であり、プレイヤーに強いトラウマや不気味さを植え付けたという意見も少なくない。
  • 街の至る所に散りばめられた狂気と笑いを誘う豊富な小ネタ
    • 主人公が務める会社の「しゃちょうしつ」には額装された「愛人」の書が飾られており、街の映画館では『やくざ対やくざ』という単なるヤクザ同士の抗争でしかない身も蓋もない映画が上映されているなど、街の風景自体がツッコミ所に満ちあふれている。
    • パチンコ屋の「玉玉デル」という看板は「パ」の文字がズレて「チンコ」部分が不適切な単語になっている上、「玉玉」の文字が露骨に強調されているなど、開発側の明確な悪意と遊び心が伺える。
    • 旅行代理店「トラベル玉川」の看板では「ベ」の文字をわざわざ押しのけて「ブ」を挿入して「トラブル」に見せかけており、これから始まる理不尽極まりない旅の多難さを暗示したブラックな仕掛けが施されている(しかも受付が無人であるにもかかわらず問題なく会話が成立する)。
    • 八百屋の看板に「八百長」と書かれているのをはじめ、主人公の自宅近くには「世界が平和でありますように」と書かれた電柱が立っているものの、その根元はヤクザの出現ポイントとなっており、理念など「知ったことか」と言わんばかりに主人公へ容赦なく殴りかかってくるシュールでカオスな光景が展開される。

論争点

  • 「不快な伝説のクソゲー」か「早すぎたオープンワールドの先駆者」か
    • 街中の通行人、ヤクザ、警官にまでボタン一つで殴りかかることが可能な自由度、パチンコや飲酒といった多様な寄り道要素、複数の手段で展開が変わる設計などは、後の『GTA(グランド・セフト・オート)』シリーズをはじめとするオープンワールドゲームの先駆けであったと再評価する声が存在する。
    • 一方で、あまりにも理不尽なフラグ管理やノーヒントの罠、不快感を伴う難易度から「プレイヤーを馬鹿にした単なる失敗作」と切って捨てる層も多く、ゲーム史における評価は今なお大きく割れ続けている。
  • ブラックユーモアとしての評価と生々しすぎる演出への賛否
    • ゲームオーバー時に主人公の遺影と祭壇が映し出される「葬式」のグラフィックが採用されており、プレイヤーの死を徹底的に皮肉った破天荒なブラックユーモアとして高く評価する声が存在する。
    • 一方で、暗いBGMとともに生々しい死の概念を突きつけてくる演出があまりにも直接的かつ不気味であったため、当時の幼少期のプレイヤーに強いトラウマや不快感を与えたという意見も根強く、賛否が大きく分かれている。

問題点

  • 作中で一切明かされない謎に包まれたゲームの目的
    • 主人公は「薄汚れた町の中で暮らし、粗野な言動が目立つ妻子持ちの平凡なサラリーマン」という人物として描かれている。そんな彼が偶然、財宝の場所を示す地図を手に入れ、それを頼りに宝探しの旅へ出る……というのが本作の一応の筋書きとなっている。
    • しかし「一応」としか言えないほど目的が作中で説明されず、ゲームを開始しても自分がなぜ宝探しを目指すのかすらプレイヤーには一切明かされない。この導入ストーリーすら付属の取扱説明書を読んで初めて判明するレベルであり、ゲーム本編のプレイヤーは終始「なぜこの行動をしているのか」という目的不明な状態のまま理不尽な世界へ放り出されることになる。

  • 当時の2Pマイクの仕様と著しく劣悪なカラオケの操作性
    • イベントの進行にはスナックでカラオケを歌う必要があるが、当時のファミコン用2Pコントローラーに搭載されたマイク機能を利用するため、操作性や判定基準が極めて特殊かつ難解なものとなっている。
    • ファミコンのマイクは音声を識別する機能を持たず、実態は単に一定以上の音量を検知する仕組みに過ぎないため、マイクに向かって息を強く吹きかけるだけでも反応する仕様であった。
    • しかし、当時のハード特有の不安定さやマイクの個体差、さらにはゲーム側で「3回連続でうまいと判定される」というシビアな条件が課されていることから操作の難易度が跳ね上がっており、プレイヤーを大いに苦しめる要素となった。
  • ヒント皆無で進行不能に陥るノーヒントなフラグ配置
    • ゲームを開始すると、「主人公が社長から仕事の成績について嫌味を言われながらボーナスを受け取る」という場面から突然始まる。その後、いったん画面を切り替えてから社長へ話しかけ、辞表を提出することが必要なのだが、これを直接教えてくれるヒントは存在しない。
    • 自宅へ戻った後は妻との離婚を成立させなければならないのだが、こちらにも明確なヒントは用意されていない。
    • 退職と離婚は単なる寄り道ではなく、どちらも必須条件である。どちらか片方でも済ませないままゲームを進めると、後半の難所を突破した直後に社長や妻が突如出現して日本へ強制送還され、苦労して突破したハンググライダーも最初からやり直しになるなど、それまでの苦労を無駄にされることになる。一応、状況によっては復帰できる方法も存在するが、その代償は非常に大きい。
    • 最重要アイテムである「宝の地図」の謎を解くには、「にっこうにさらす」を選択したうえで、現実時間で1時間待つ必要がある。その間、コントローラーには一切触れてはいけない。別の選択肢なら待ち時間を5分程度に短縮できるが、こちらもその間にボタンを操作してはいけないため、やはり退屈な時間を過ごすことになる。しかも5分後には決められた操作を実行しなければならず、操作を間違えたり、何もしないままさらに5分経過したりすると入手に失敗する。どちらの方法でも失敗した場合はカラオケからやり直すことになる。

  • ハードの仕様や個体差に依存する理不尽な入力ギミックと罠
    • あるイベントではIIコンのマイクを利用してカラオケを歌う必要がある。突破するには3回連続で「うまい」と判定される必要があるが、一度でも失敗すると「へたくそ やめて かえれ」と容赦なく追い返される。ファミコンのマイク機能には本体ごとの個体差があり、機種によっては音のON/OFF判定が逆になる場合もあったとされ、本作序盤における最初の難関の一つとなった。
    • 道中には、講習も試験も受けず、金さえ払えばその場で資格を取得できる様々な資格を手に入れられる「カルチャーセンターBG」という施設が存在する。「ひんたぼ島」では、あらかじめカルチャーセンターで「ひんたぼ語」を習得していないと、住民の会話が意味不明な文字列として表示され、ここで特定の資格を取得していないと後になって進行不能になる。
    • 「ひんたぼ島」の銀行にも、とんでもない罠が仕掛けられている。ここではお金を預けることはできるのに、預けた金を引き出すことができない。「金を出せ」という、いかにも預金を引き出せそうな選択肢まで存在するが、それを選んでも所持金は戻ってこない。代わりに表通りへ大量の敵キャラクターが出現する。つまり、一度預金してしまった時点で所持金は実質的にすべて没収される。

  • 脈絡のない即死トラップとハンググライダーの絶望的難易度
    • 「本物の宝の地図」を所持していなかったり、目的地を間違えたりすると、乗っていた飛行機が「なぞのくうちゅうばくはつ」を起こしてゲームオーバーになる。ここで旅を終えることになったプレイヤーは数知れない。地図を間違えた結果として「飛行機が空中爆発する」と予想するのはほぼ不可能であり、プレイヤーにとっては非常に理不尽なゲームオーバーである。
    • 「ひんたぼ島」から先はハンググライダーに乗り、横スクロールシューティング形式で巨大な鳥やUFOを撃ち落としたり回避したりしながら、宝のある島を目指すことになる。しかし、画面上に同時に発射できる弾は1発だけで、下降することはできても風に触れなければ上昇できないなど、操作面でも非常に厳しい。敵や山に接触すれば即ゲームオーバーとなり、敵弾を受けて体力が0になっても同じくゲームオーバーである。
    • このハンググライダーはプレイヤーの間で本作最大級の難関として知られている。しかも画面に1発しか出せない弾についても、事前に特定の場所で銃を入手していなければ使用できない。ときどき弾が敵をすり抜けて飛んでいってしまうバグが発生することがあり、さらに鳥が無敵状態になってしまうという致命的なバグまで存在する。資格を取得していればセスナなど別の乗り物を選択することもできるが、ハンググライダー以外の乗り物では着陸できず、結局ゲームオーバーになるため攻略上はほぼ意味がない。

  • 理不尽を極めたラストダンジョンの構造と最序盤の罠
    • ラストダンジョンとなる洞窟は全4フロアで構成されているが、一般的なゲームにあるような階段や穴などの「次の階へ進む入口」がまったく存在しない。次のフロアへ進むには決められた地点でしゃがむという特殊な操作を行う必要がある。しかもその攻略方法を教えてくれる人物は、よりによって第3フロアの特定地点に隠れている。その人物を出現させるためにも別の場所で特定の行動を取らなければならないという、本末転倒な構造になっている。さらに洞窟内の敵は異常なほど耐久力が高く、メニュー画面へ切り替えて敵を初期配置へ戻すリセット技を活用しなければ突破は困難。
    • そして、ようやく宝のところまで到達したとしても安心はできない。事前に必要な準備を済ませていなければ、最後の最後で予想外の大どんでん返しが発生し、そのまま強制ゲームオーバーになる。しかも、その条件を満たすためにはゲームの最序盤で準備を済ませておく必要がある。つまり、終盤まで来てから条件不足に気付いた場合、長時間かけて進んだ道のりをほぼ最初からやり直すことになってしまう。


  • プレイヤーの努力と達成感を根本から否定するエンディング
    • 数々の理不尽な罠や苛烈な難所を死に物狂いで攻略し、最終的に宝箱に辿り着いたあとに表示されるのは「こんな げーむに まじになっちゃって どうするの」というプレイヤーを直接煽るメッセージ。
    • 画面の前に何十時間も拘束されたプレイヤーに対して達成感や報われる瞬間は一切与えられず、ただ強い脱力感と徒労感だけを残す結末となっている。

総評

  • ファミコンブームの渦中に解き放たれた、ビートたけし氏の毒気と狂気が詰まった不条理アクションアドベンチャーの代表格。
    • 徹底された理不尽さとノーヒントの罠、そしてプレイヤーを煽るエンディングによって「伝説のクソゲー」としての地位を不動のものとした。
    • しかしその一方で、自由度の高い街の散策や大人の世界観を描いた挑戦的な姿勢は後年のゲームクリエイターにも強い衝撃を与え、昭和のゲーム史に強烈な爪痕を残した一作である。

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最終更新:2026年08月23日 00:59