LOOPERS
【るーぱーず】
| ジャンル |
ビジュアルノベル |

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| 対応機種 |
プレイステーション・ヴィータ |
| 開発元 |
Key~ |
| 発売日 |
2015年11月26日 |
| 定価 |
パッケージ版:2,309円 |
| 判定 |
賛否両論
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| ポイント |
癖の多いキャラ。良くも悪くも竜騎士07 |
概要
- 「Key」が贈る「キネティックノベル」第1作。
- シナリオライターに『ひぐらしのなく頃に』シリーズの「竜騎士07」、イラストに「望月けい」を起用した話題作。
- 対応言語は日本語、英語、中国語。
- 選択肢による分岐が存在しない一本道の構成。
- 「ジオキャッシング」という実在のアウトドアゲームをモチーフにしており、作中でも専門用語がそのまま登場する。
物語
GPSを利用したスマホゲーム「ジオハンティング」に熱中する高校生「タイラ」は、夏休みのある日、小学校時代の友人「ヒルダ」と再会する。
共にジオハンティングを楽しむ中で、二人は不可解な体験に巻き込まれる。見えるはずのない「隠れ女」の幻、狂気に陥る友人、そして繰り返される今日。
彼らは『時の渦』に呑み込まれ、無限に続く一日をループすることになる。
そこで出会ったのは、自分たちと同じくループの中に閉じ込められた少年少女たち「ルーパーズ」だった。
世界観
- ジオハンティング
- 現実の「ポケモンGO」のようにGPSを利用し、他人が隠した「宝物」を見つけるゲーム。
- 宝物はアクセサリーやぬいぐるみなど。所有者(オーナー)が設置し、世界中のプレイヤーにヒントを出す。
- 私有地や立ち入り禁止場所への設置は禁止されている。
- 発見者は宝物を持ち帰ることもできるが、自分の持ち物と交換するのがマナーとされる。
- 時の渦
- 世界各地で発生している、一日を繰り返す時間逆流現象。川の逆流に例えられ、一種の自然災害として扱われる。
- 若者が巻き込まれることが多く、10年から20年近くループし続けるケースもある。
- 渦に呑まれた人間は「ルーパーズ」と呼ばれ、長期間の脱出不能状態から精神を病む者も少なくない。
評価点
- ほどよくまとめられたシナリオ
- 本作は王道的な時間ループ物の構造を踏襲しつつ、映画(約2時間)よりは深く、一般的な長編ADV(数十時間)よりは短いという、絶妙なプレイ時間の中で非常に密度の高い物語を構築している。
- 何度も同じ時間を繰り返すループ物特有の面白さはもちろん、その泥沼から生じる精神的な苦痛や閉塞感が丁寧に描写されているため、それらを乗り越えた終盤の圧倒的な開放感と、クライマックスの結末へ向かう熱い盛り上がりがプレイヤーの感情を強く揺さぶる。
- キャラクターの魅力
- 登場人物たちは非常に個性的で、プレイヤーの印象に残りやすい鮮烈なキャラクターメイキングがなされている。個々の掘り下げも魅力的であり、「このサブキャラクターの過去や背景をもっと深く知りたい」とユーザーに思わせるほど、各キャラの造形そのものの完成度は極めて良好。
- 物語を読み進める上で不快感や過度なストレスを与えるようなキャラクターが排除されているため、終始スムーズに世界観と物語へ没入できる。
- ジオハンティングの設定
- 作中でキーとなる「ジオハンティング」のルールやガジェット、世界観の設定が非常に緻密かつリアリティを持って練り込まれており、「実際にこの仕様のままスマートフォンアプリとしてリリースしてほしい」という声が多くのプレイヤーから上がるほどの完成度を誇る。
- 単なる舞台装置に留まらず、登場人物たちがこの宝探しゲームに心から没頭し、情熱を注ぐ動機やプロセスにも無理がないため、プレイヤー側も彼らの行動に深く共感し、一緒に熱中できる。
- システム面
- 快適なゲームプレイを支えるセーブ、ロード、バックログの閲覧といったADVの基本機能が非常に洗練されており、遅延やバグもなく軽快に動作する。これにより、物語のテンポを損なうことなく、一切のストレスを感じずにエンディングまで完走できる。
論争点
- 強すぎるキャラクターの癖
- 各キャラクターに付与された個性のアクセントが過剰とも言えるほど強烈であり、この独特なテキストのノリや世界観に馴染めるかどうかが、作品全体の評価を大きく分ける分岐点となっている。
- 「寝ても覚めても宝探しのことしか考えていない」という極端な体育会系主人公や、ツッコミの手段がなぜか激しい頭突きであるヒルダなど、一般的なアニメ・ゲームのテンプレートから大きく逸脱した設定が目立つ。そのため、この強烈な個性がコミカルな魅力として刺さる人がいる一方で、生理的に受け付けず合わないと感じる人には徹底して合わないという極端な二極化を招いている。
- 「竜騎士節」の全開
- ライターが得意とする十八番の「ループ物」というテーマを扱っているが、それゆえに同氏の過去作(『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』など)を熱心に通過してきたユーザーからは、「またこのパターンか」といった既視感やマンネリ感を指摘されることも多い。
- テキスト面でも「うおおおおおおおお」といった感情を限界まで爆発させる特有の叫び声や、独特の泥臭い熱弁など、氏の個性が100%全開で表現されている。往年のファンにとっては「これぞ求めていたもの」として存分に楽しめる要素である一方、氏の作家性に特段の思い入れがないライト層や、現代的な洗練されたテキストを好む層にとっては好みが激しく分かれるポイントとなっている。
- 主人公「タイラ」への賛美
- 物語の展開が良くも悪くもタイラを中心に回転しており、彼が発案し、彼が行動を起こすことで、膠着していたすべての状況が劇的に好転していく。さらに、周囲の仲間たちが彼の行動や人格を「全肯定」し、過剰なまでに称賛する流れが終始続く。
- 「最初は興味のなかった仲間たちが、タイラの影響で急にジオハンティングに命を懸けるほど夢中になる」といった急激な心境の変化も含め、主人公の都合に合わせて周囲の環境や人間関係が歪められているようにも映る。これが創作物における完璧超人、いわゆる「メアリー・スー」的なご都合主義および自己投影的な全能感に見えてしまい、冷めてしまう層も一定数存在する。
- 万能すぎるサイモンの存在
- 一度見たものは忘れない驚異的な暗記能力、あらゆる状況を網羅する明晰な頭脳、そして個人の枠を超えた莫大な資産を保有しているという、あまりにも盛りすぎたスペックを持つキャラクター設定。
- 複雑なルールや状況をプレイヤーに分かりやすく伝える「解説役」としては極めて重宝される存在だが、ループ内における技術的・資金的・知的なあらゆる障壁を彼一人のスペックで強引にクリアできてしまうため、物語の緊張感を削ぐチートキャラとしての側面が非常に強い。限られたプレイ時間の中で物語を破綻させずにスピード解決するための「便利な装置」としてはこれ以上なく優秀だが、物語としてのカタルシスやサスペンス性を損なうほどの強烈なご都合主義感は否めない。
- 王道的すぎる展開
- 物語の最終的な目的であり最大の障壁として立ちはだかるのが、「ヒロインが不治の重病(あるいは謎の奇病)で苦しんでおり、その少女の命を救うために仲間たちが一丸となって奮闘する」という、王道を通り越して現代のエンタメにおいてはやや手垢のついた古典的な設定。
- 誰もが直感的に理解しやすく、手堅く涙を誘う感動的なプロットとして機能している反面、物語の根幹を支える一番の動機としてはあまりにも捻りがなく、展開の先読みが容易。劇的なパラダイムシフトや、現代的なアプローチによる独自の再解釈、新鮮な肉付けが薄いため、ループ物特有の先の読めないハラハラ感を期待していたプレイヤーにとっては、どこかで見たような物語の焼き直しに感じられ、独自の驚きや新鮮味に欠けるという指摘も少なくない。
問題点
- ボリューム不足
- 本作は全体のクリアまでおおよそ6~8時間程度とかなり短めのボリュームに収まっており、フルプライスで購入したユーザーからは、「価格に対してプレイ時間が短すぎる」「あっという間に終わってしまい物足りない」という落胆の声が多く寄せられている。
- 設定の矛盾
- 物語の根幹を支えるループ現象「時の渦」について、序盤から中盤にかけては世界の理に基づいた不可解な「自然現象」として説明されていたにもかかわらず、終盤の展開に差し掛かると「ヒロインであるミアの強い願いや祈り」が直接的な原因であるかのような描写へと唐突にシフトしていく。
- もし仮にミアのまじないや個人的な感情がすべての引き金なのだとすれば、作中で言及されている「世界各地で同時多発的に発生している他のループ現象」とのロジック的な整合性が完全に破綻してしまい、全体的にシナリオの詰めが甘く、説明不足な印象を強く与えてしまっている。
- 日常パートの不足
- 全編の3分の1程度が日常の交流を描くパートに充てられているものの、主人公と仲間たちが深い信頼関係を築き上げていく過程の描写が極めて駆け足気味に処理されている。
- プレイヤーの客観的な体感としては、ほんの数回集まって遊んだ程度にしか見えない段階であるにもかかわらず、キャラクター同士がすでに命を預け合う「かけがえのない親友」のように熱く振る舞い始めるため、感情移入が追いつかず、シナリオのテンポに対して置いてけぼり感を抱くような違和感が生じやすい。
- 一部キャラの立ち絵不足
- 物語の中で同じ時間ループを経験している主要なルーパーズの一員であるはずの「カイ」と「クロ」に対して、専用の個別立ち絵が用意されておらず、その他の一般的なモブキャラクターと同様のグラフィックで処理されてしまっている。メインシナリオに深く関わるポジションでありながら、視覚的な扱いが明らかに軽いため、画面上での存在感が周囲から浮いてしまい、手抜き感を漂わせる原因になっている。
- サブキャラの描写不足
- 魅力的な造形のサブキャラクターたちが多数登場するものの、彼らの過去の経歴や人間性を深く掘り下げるような個別エピソードやサイドストーリーがほとんど用意されていない。結果として、主人公の行動を盛り上げるため、あるいはシナリオをただ予定通りに進行させるためだけに配置された「都合のいい舞台装置(パーツ)」としての印象が拭えないまま物語が終わってしまう。
- 少年の声の違和感
- 回想シーンなどで描かれる幼少期のタイラのボイスについて、子役や女性声優へのスイッチを行わず、成人男性である現在の担当声優がそのまま演じている。大人の声質のまま無理に声を高く張り上げて演じているため、演技の技術云々以前に聴覚的な不自然さが際立っており、シリアスな回想シーンであっても没入感を著しく削がれてしまう。
- あっさりしすぎた問題解決
- 物語の最大のクライマックスであるはずの「ミアの重篤な昏睡状態からの回復」や「絶望的な時間ループからの脱出方法の確立」といった極めて困難な難題が、終盤に入ると驚くほどトントン拍子に、かつ何のリスクもなくあっさりと解決の帰結を迎えてしまう。物語を締めくくる最大の山場だからこそ、もう一波乱や二転三転するようなドラマチックな展開、あるいは知略を尽くした果ての説得力ある解決プロセスを求めていたユーザーからは、拍子抜けであるという不満の声が少なくない。
総評
個性の強いシナリオライターとイラストレーターがタッグを組んだ、短編ループ物ADV。
良くも悪くもライターの個性が強く反映されており、キャラクターの癖や「ご都合主義」とも取れる展開を受け入れられるかで評価が大きく変わる。
一本道のキネティックノベルとして、短時間で熱い展開を楽しみたい層には向いている一作。
最終更新:2026年08月19日 14:40