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巨影都市

【きょえいとし】
ジャンル SFサバイバル・アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション4
メディア BD-ROM1枚
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 グランゼーラ
発売日 2017年10月19日
定価 8,200円(税別)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
廉価版 Welcome Price!!:2019年2月28日 / 3,800円
判定 クソゲー
ポイント 日本版『クローバーフィールド』 &br;多種多様な巨大キャラ・メカが集結&br; クロスオーバー要素は皆無 &br;アイレムの流れを汲むユーモア要素&br; 巨影以上に執拗な極道たちの存在


作品概要

絶体絶命都市』シリーズの主要スタッフが設立したグランゼーラと、バンダイナムコによる共同プロジェクトから誕生したサバイバルアクション。グランゼーラにとっては、コンシューマー向けオリジナル作品の第1弾となる。
従来の『絶体絶命都市』が自然災害との戦いを主題としていたのに対し、本作では「 巨影 」と称される未知の巨大生物や巨大兵器が街を襲撃するという、SF設定に基づいた脱出劇が描かれる。
「特撮やアニメで繰り広げられる巨大な戦いの最中、足元にいる一般市民はどう生き延びるのか?」という、ファンなら一度は抱く興味深い着眼点をゲームの核としている。この独創的なシチュエーションは本来、名作となり得る可能性を秘めていたのだが……。

本作には『ゴジラ』『ガメラ』『ウルトラマン』といった特撮作品のほか、『機動警察パトレイバー』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』などのアニメ作品から様々な巨影たちがゲスト出演している。当初はPS Vita版のリリースも予定されていたが、開発途中で中止が発表され、PS4専用タイトルとして発売された。


ストーリー

物語は、主人公が特定の女性との待ち合わせ場所へ向かう場面から幕を開ける。平穏な日常は、突如として出現した謎の巨人の襲撃によって崩壊。街は破壊され、人々は未曾有のパニックに陥る。
主人公は合流したヒロイン・香野ユキと共に、幾多の「 巨影 」がもたらす脅威を切り抜け、壊滅していく都市からの脱出を試みる。

―これは、ヒーローの物語ではない あなたの物語だ―


システム

  • キャラクターメイク:
    • ゲーム開始時、プレイヤーは主人公の性別と社会的立場(会社員・学生・情緒豊かな若者・受動的な若者など)を選択する。
    • 男性主人公「三崎ケン」、女性主人公「松原ミハル」のどちらかを選び、名前の変更も可能。過去のシリーズ作とは異なり、ボイスで名前を呼ばれることはない。
    • 性別による性能差はないが、入手アイテムや一部のイベント内容が変化する。選択した立場は初期の衣装や髪型に影響するが、ストーリーの根幹に干渉することはない。
    • ヒロインであるユキとの関係性もプレイヤーが設定可能(友人、恋人、大切な人など)。この設定に応じて、彼女の初期の外見(カラーリング等)が決定される。

  • 巨影からのサバイバル:
    • 巨大な存在同士の戦いによって崩壊する市街地を駆け抜け、脱出を目指す。落下物や巨影の直接攻撃、戦闘の余波などを回避するアクションが主体となる。
    • 前作に見られたアクロバティックなアクションは整理され、ダッシュと回避に重きを置いた、より現実的な挙動へと刷新された。

  • 体力(HP)とゲームオーバー:
    • 主人公の生命力を示し、ダメージを受けて尽きるとゲームオーバー。回復手段は豊富であり、難易度自体は控えめだが、シリーズ伝統の即死ギミックも多く、「死んで覚える」側面を併せ持つ。

  • スタミナ(ST):
    • ダッシュや回避行動で消費される。枯渇すると一時的に行動が制限されるが、緊急回避のみSTに関わらず発動可能。

  • 回避アクション:
    • 伏せ動作(転倒防止)や、走行中のローリングによる回避が可能。特定の局面では、画面上のアイコンに合わせてボタンを押すQTE形式の緊急回避も発生する。

  • 装備とカスタマイズ:
    • 多数の衣装が用意されており、随時着せ替えが可能。衣装にはHPやスタミナへの補正効果があるが、ダメージの蓄積で破損する。破損した場合は専門の業者で有償修理を行う必要がある。

  • KYOEI NEWS:
    • エピソード終了時に閲覧できるネットニュース形式のリザルト。プレイヤーの行動が記事の内容として反映される。

  • 巨影メダル:
    • ステージ内に配置された収集アイテム。希少な衣装や道具と交換できるほか、最高額のメダルを入手すると 謎の歓声と拍手が響く というシュールな演出がある。

  • 億万長者への道:
    • シリーズ恒例のキャラクター、竹辺幸から託される宝石を端緒とした、わらしべ長者的な資産形成イベント。
    • 未曾有の災害下でありながら、主人公が不動産やビルを所有し、莫大な富を築いていく様は本作独特の不条理なユーモアを象徴している。

評価点

  • 『絶体絶命都市』の系譜を継ぐサバイバルと、特撮・アニメの融合
    • 虚構の巨大生物や兵器が現実の街に現れ、人々がパニックに陥るという舞台設定は、開発陣が得意とするサバイバル世界観と見事に合致している。
      • 過去のシリーズと比較しても、マップ上のモブNPCの配置が充実しており、臨場感溢れる演出が光る。逃げ惑う群衆だけでなく、絶望に打ちひしがれる者や、危機的状況下でスマホを向ける若者など、現代社会に即したリアリティのあるNPC描写がなされている。
    • 劇中に登場する巨大キャラクターたちは、たとえ原作で「正義の味方」であっても、逃げ惑う一般市民の視点から見れば等しく脅威であり、その恐ろしさが克明に描写されている。
    • 原作への深いリスペクトと再現:
      • 窮地の仲間に加勢するウルトラ兄弟や、ビル群を飛び越え現れるエヴァ2号機など、象徴的なシーンを丁寧に再現。
      • 『パトレイバー』では、通路で立ち往生するパイロバスターや、ビル突入後に市民から「危険だ」と苦情が寄せられるニュースなど、原作特有のコミカルなエッセンスも取り入れられている。
      • ダダによる「人間標本」化という特殊なゲームオーバーや、原作準拠の襲撃場所(宇宙線研究所)など、細部へのこだわりが強い。
    • 巨影たちのモデリングはPS4基準で見ても高く、爆発や崩壊を掻いくぐるアクションの迫力は、長年このジャンルを手掛けてきたスタッフならではの安定感がある。
    • 凄惨な被害状況の一方で、巨影が戦う傍らで業務に励む会社員や営業を続ける店舗など、シュールかつ「おバカ」な演出も満載。
    • 被災者の視点に特化した本作の構成は、映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』を彷彿とさせ、「日本版クローバーフィールド」と呼ぶに相応しいパニックものとしての様相を呈している。
    • 特撮アニメ好きも、現代人の反応が分かるようになって変わった面白さがある。

  • 健在のバカゲー要素
    • アイレム時代から続く「アホ選択肢」の伝統は今作も健在。女性キャラへのセクハラまがいの発言や、機動隊員から提示される逃走手段が「オートバイか馬か」という突拍子もない二択であるなど、随所で笑いを誘う。ちなみに馬はオートバイを凌駕する速度を誇る。
    • 追っ手を撒くために「動物の鳴き真似」や「留守番電話のモノマネ」を披露するシーンでは、声優陣の熱演も相まって爆笑必至の超展開となる。特に留守電の真似では、自ら「ピー」という発信音まで演じる徹底ぶり。
    • KYOEI NEWSの存在により、これらの小ネタが公式に拾い上げられるため、やり込み要素としても機能している。

  • 質の高い楽曲群
    • 飯田舞氏による主題歌・挿入歌は、いずれも作品に彩りを添える良曲。
    • 穏やかな曲調を得意とする飯田氏だが、OP曲「Shadow」ではHeart’s Cryとのコラボにより、疾走感のあるシリアスなアップテンポ曲に挑戦。本作の緊迫感を見事に表現している。

  • シリーズファンへのサービス
    • 『絶体絶命都市』1・2の主人公や馴染みのキャラクターがカメオ出演。
      • 「足が挟まった高校教師」や「手錠をかけられた女」、「女子トイレから現れる変態教師」など、過去作を知る者ならニヤリとする状況で登場。篠原に至っては、アルバイトで叱責されるという定番の演出まで再現されている。
    • 作中に登場するゲーム「絶対安全都市」など、自虐的かつユーモラスな演出もファンを喜ばせる。

  • KYOEI NEWSによる多角的な描写
    • 各ステージ後のリザルトとして、プレイヤーの行動がニュース記事として配信される。本編では語り尽くせない設定や第三者視点の解釈が盛り込まれており、読み応えがある。
    • 真面目な報道から極端なネタ記事まで幅広く、記事のコンプリートを目指して奔走する楽しみがある。

  • 充実のコレクション・カスタマイズ要素
    • 衣装やアイテムが豊富に用意されており、おふざけ全開の格好や、ヒロインの水着姿での同行も可能。
    • 異性用の衣装が着用可能という驚きの仕様。男主人公でセーラー服やチャイナドレスを纏い、シリアスなイベントに臨むシュールな光景が展開できる。
      • 序盤のチュートリアルで、混乱に乗じて交番から異性用の制服を盗んで着込むという、ツッコミどころ満載のイベントも用意されている。
    • アクセサリー(眼鏡、付け髭等)や髪型変更の自由度も高く、鏡があればどこでも容姿を変更できる利便性も備わっている。

  • プレイスタイルの選択
    • 3種類のカメラ視点を搭載。主観視点を選べば、より『クローバーフィールド』的な没入感を味わえる。
    • ボタン一つで見上げる視点に切り替わる「巨影カメラ」は、巨大なヒーローや怪獣の圧倒的なスケール感を真下から体感できる優れた機能である。

  • 周回プレイへの配慮
    • イベントムービーの台詞送りや、選択肢までのスキップ機能が実装されており、再プレイ時のテンポが非常に良い。

  • 最終盤のサプライズ演出
+ ネタバレ注意
  • クライマックスにおいて、事前告知のなかったウルトラセブンとパンドンの激突が描かれる。
    • この予期せぬ新巨影の参戦は、特撮ファンにとって「嬉しい不意打ち」として高く評価された。

賛否両論点

ヒロイン・ユキを巡る設定と結末
  • 物語の根幹に関わるヒロイン、香野ユキの正体とエンディングの展開については、否定的な意見を含め大きな議論を呼んでいる。

+ ストーリーの核心に触れるネタバレを含みます
  • ユキの真実:彼女の正体は、宇宙から飛来した「思念体」であり、皮肉にも 「巨影」を地球へと引き寄せた元凶そのもの であった。かつて宇宙で「影」と呼ばれる存在に追われ、地球へ逃げ延びた際、能力の減退を補うための仮の姿として、事故死した女性「山村ユキ」の記憶と容姿を借りて実体化したのが「香野ユキ」である。さらに彼女は、偶然居合わせた主人公の記憶を書き換え、自身を「守るべき大切な存在」と思い込ませてボディーガードとして利用していた。
    • 主人公が発揮する超人的な回避能力も、この思念体から付与された力である。終盤の演出で主人公の手のひらが紫色に発光する描写は、その力の介入を象徴している。
  • 結末の是非:ラストでは思念体が正体を明かし、主人公を危険に晒したことや山村ユキの尊厳を損ねたことを謝罪し、感謝を告げて宇宙へ去っていく。これに伴い、巨影たちも地球を去り事件は終息する。
    • 「一般人がなぜこれほどのアクションをこなせるのか」というメタ的な疑問に設定上の裏付けを与えた点は評価されている。
    • 一方で、 自らの避難が原因で甚大な人的被害と数兆円規模の損害をもたらしながら、事後処理もせず謝罪のみで立ち去る という無責任な姿勢には批判が集中した。特に「興味深い体験だった」という高圧的とも取れる物言いや、事態の収監に際して死傷者の救済や街の修復といった能力の行使を一切行わない点も不満を助長させている。
  • 報われない主人公:命懸けで守り抜いた「絆」が偽りの記憶に基づいたものであったという結末はあまりに不憫であり、救いがない。オリジナルのユキの意志が僅かに残っていたというフォローはあるものの、最終的には彼女も消滅し、主人公のその後の人生についても「誰にも分からない」と突き放したような記述で終わる。
  • 選択の自由の欠如:システム上、ユキを突き放すような選択肢こそ存在するが、メインストーリーは強制的に「彼女を護り抜く」方向へ収束するため、プレイヤーの意志が反映されないストレスも指摘されている。
  • 名称の混同:真相解明の場面で、思念体が自身とオリジナルの山村ユキを混同して「香野ユキ」と呼称する場面があり、どちらの意識を指しているのかが不明瞭な点も混乱を招いている。

敵対勢力「W&Pコンサルティング」の介入頻度
  • 本作には「巨影」以外に、主人公を執拗に追う人間組織が登場する。兵器売買や暗殺を裏で操るW&Pコンサルティングの武藤(モヒカン)と柴田の二人組である。彼らは序盤の密会現場を目撃した主人公を口封じのため、全編にわたって追い回す。
  • 演出の功罪:どんな壊滅的な災害現場でも平然と現れ、たとえ怪獣に連れ去られても生還して追跡を再開する彼らのバイタリティは、シリーズ伝統のシュールなユーモアとして機能している。主人公の「声真似」で彼らを欺くシーンなどは爆笑を誘う。
  • 構造的な問題:しかし、 人間による追跡イベントが多すぎる 点が最大の問題となっている。
    • 全17ステージ中、半数近い8ステージで彼らとの逃走劇が発生する。クライマックスの目的すらも「怪獣からの脱出」ではなく「組織に攫われたユキの奪還」にすり替わってしまう。
    • 開発側は「巨影から離れれば済むだけのゲームにならないよう」に彼らを配置したとしているが、実際には主人公は他者の救助やトラブルで自然と巨影に遭遇する構造になっており、彼らの存在がなくともストーリーは成立する。結果として「怪獣特撮ゲーを期待していたのに、実際はヤクザから逃げるゲームだった」という落胆を招いてしまった。


問題点

ボリュームと構成の不均衡
  • プレイ時間の短さ:初回クリアまで約10時間程度という規模はシリーズ共通だが、本作はフルプライス(版権料の影響で高価)であるため、割高感は否めない。
  • ステージの質的ばらつき:全17ステージの長さが極端に異なり、後半ほど短時間のステージが増えるため「尻すぼみ」な印象を与える。
  • アクション性の喪失:ステージ10のように、一方のルートが「主人公の自問自答と会話」のみで構成され、アクションが皆無な場面も存在する。演出としては面白いが、ゲームとしてのバランスを欠いている。
  • 一本道のシナリオ:多種多様な選択肢があるものの、結末や展開に大きな変化をもたらすマルチエンディング性は乏しく、周回する動機付けが弱い。

周回・引き継ぎ要素の欠落
  • データの初期化:クリア後に引き継げるのがKYOEI NEWSの取得状況のみという、極めて限定的な仕様。所持金や装備品が引き継げないため、豊富なネタ衣装を2周目の序盤から活用することができない。
  • 入手経路の制限:初期衣装はその時に選んだ立場でしか入手できず、カジュアルな私服でプレイしたくとも、他の立場の服は手に入らない。ファッション誌形式のニュースで紹介されるのに実際には着られないというもどかしい設計になっている(※後のアップデートで一部改善されたが、基本仕様は変わらず)。
  • 機能面の不備:好きな巨影のシーンを繰り返し遊べる「チャプターセレクト」が搭載されていないのは、版権キャラクターを扱ったゲームとして致命的な欠陥といえる。

グラフィックと演出の限界
  • モデリングの不自然さ:裸体時などの肉体の質感やモブキャラクターのバリエーションの少なさが目立つ。イベントシーンでもモブの服装を使い回しているケースが多く、名前付きのキャラ同士が同じ服を着ているようなシュールな場面も散見される。
  • 違和感のある挙動:多数のモブが寸分の狂いもなく同一の動きを見せる演出は、フォトリアルな画面構成の中では不気味、あるいは単なるギャグに見えてしまう。

技術的な不備:処理落ちとロード時間
  • 処理性能の不足:PS4専用タイトルでありながら、敵が多数出現する場面などで激しい処理落ちが発生する。シリーズ特有の難点まで継承してしまっている。
  • 致命的な待機時間:ステージ開始時だけでなく、ミスをした際のコンティニューロードも非常に長く、トライアンドエラーを前提とするゲームデザインにおいて大きなストレス要因となっている。

  • ユキの着せ替え機会の欠如
    • 今回のヒロインであるユキの衣装を変更できる場面が非常に限られている。
    • 巨影の襲撃や追跡者の気配がない、物語上のごく一部の安息地点でのみ実行可能という制約があり、全編通してその機会は3回程度。しかも事前の選択肢次第ではその機会すら失われる。
    • 『絶体絶命都市2』以来の同行者カスタマイズ要素だが、実用性が低く、各衣装に用意された固有の反応も鑑賞しづらいため、自由度の低さを惜しむ声が絶えない。

  • 脆弱すぎる衣装の耐久性
    • 装備品の耐久力が著しく低く、僅かな衝撃ですぐに破損してしまう。
      • 敵の直接攻撃だけでなく、単なる転倒ですらボロボロになる。人間による打撃以外はほぼ全てのダメージが破損に繋がるため、綺麗な状態を保つのが困難。
      • ステージ上のNPCに接触して押し倒された際にも服が破れるため、巨影とは無関係な平和な場面で一般人に服を剥ぎ取られるようなシュールな事態も起こりうる。
    • 災害下のリアリティを出す演出としては機能しているが、お気に入りの服装で進めたいプレイヤーには不評。また、一段階の破損で上着が完全に消滅してシャツ一枚になるなど、変化が極端。
      • 破損せずとも、ローリングや一部の攻撃で衣類が水浸しになるが、これを乾かす手段がなく、修理業者に頼むためにあえて一度破損させる必要があるなど仕様が不親切。
      • 宣伝用のイラストで描かれていた「適度に汚れたスーツ姿」のような中間の状態は再現できず、極端に「無傷」か「大破」の二択になりがちである。
    • なお、ユキはシステム上不死身であるため、攻撃を受けても衣装が破れることはない。

  • 乗り物パートのクオリティ不足
    • 劇中に挿入される乗り物操作シーンは、質・量ともに課題が残る。
    • オートバイ:複数回登場するが、速度が遅く爽快感に欠ける。その上操作性が悪く、僅かな障害物に接触しただけで大きく進路を乱される。
      • 終盤の脱出時に馬かオートバイかを選択する際、オートバイを選ぶと性能不足で追手に追いつかれやすく、事実上の初見殺しに近い扱いとなっている(馬の方が圧倒的に高性能)。
    • 自動車・レイバー(エイブラハム):操作できる区間が極めて短く、いずれも一度限りのイベントで終了する。回避やコンテナ破壊といったゲーム的ギミックがあるにもかかわらず、十分に活かされていない。

シナリオ構成と演出の課題
  • 『ガメラ』シリーズの不遇な扱い
    • 参戦作品の中でも『ガメラ』に関する描写が極めて限定的である。
    • ガメラ関連のステージは4つあるが、その大半は人間サイズの小型怪獣(ギャオス、ソルジャーレギオン)からの逃走であり、マザーレギオン等の巨大怪獣は姿を見せない。
    • オープニング映像にあるレギオン草体への攻撃シーンが本編には存在せず、物語上も爆発を阻止できずに終わるなど、カタルシスに欠ける。
    • 他の作品のように主人公を能動的に救う見せ場がなく、ガメラの攻撃に巻き込まれて死亡するリスクがあるなど、原作の設定(地球の守護者)には忠実ながらも、ファンが期待する活躍とは乖離がある。

  • 主人公の物語と巨影の希薄な関係性
    • 巨影たちはあくまで「舞台装置」であり、主人公たちの人間ドラマに直接関与することは少ない。
    • 開発側は「原作のダイジェストにする意図はなかった」として一般市民視点の「知る由もない戦い」を意図的に描いているが、その結果、巨影が単なる背景に終始してしまっている。
    • 著名なキャラクターが多数出演している以上、より物語に深く関わってほしいという要望は強く、結果としていつもの人間同士の愛憎劇に巨影を添えただけ、という印象を与えてしまっている。

  • クロスオーバー要素の欠如
    • 発売前から明言されていた通り、異なる作品同士の共演や対決(ゴジラ対ガメラ等)は一切存在しない。
    • 戦いは常に同一作品内の組み合わせに限定されており、クロスオーバーによる夢の対決を期待した層からは落胆の声が大きい。
      • 過去の他作品では実現例があるだけに、技術的・権利的な制約があったとしても、複数の版権を一度に扱う意義が薄れてしまっているという手厳しい批判もある。

  • 巨影の定義と設定の曖昧さ
    • 本編に登場する巨大生物、ロボット、宇宙人などは総じて「巨影(影)」と呼称されるが、物語の核心である「宇宙からの追跡者としての影」と、それ以外の存在の区別がつきにくい。
    • レイバーが既存の技術であることは劇中で語られるが、エヴァや3式機龍に関しては地球製の兵器であることを示唆する記述が散見される程度に留まる。一方でウルトラマンティガのように、原作同様の献身的な救護活動を行う者も混在している。
    • 巨影ごとに、本来の目的を果たすための行動と、無関係な救助や黙殺といった支離滅裂な振る舞いが同居しており、どの個体がエンディングで言及される「影」に該当するのか判然としない。
    • 舞台装置としての役割を優先した結果、多くの巨影が本作独自の設定に組み込まれており、原作の設定を重視するファンからは不満の声も上がっている。
      • 世界観の統合のための独自解釈は珍しくないが、歴史の長い作品群を扱いながら、クロスオーバーも介さず原作再現シーンと独自設定が混在していることが、かえって違和感を際立たせている。

  • 性別を問わない「狙いすぎ」な選択肢
    • 制作陣の伝統とも言えるが、主人公の性別に関わらずパートナーが女性であるため、女性主人公を選んだ場合は常に同性愛的なニュアンスを含んだ選択肢が提示される。関係性の初期設定で「恋人」が選べる点からもその傾向は顕著である。
      • ヒロインとの対話シーンの多くにこうした選択肢が介在するため、女性主人公でのプレイには特定の嗜好や耐性が求められる側面が強い。
    • 前作までは「選ばない」という自由があったが、今作では選択肢の内容が極端に偏っている場面や、女性同士でも公然と「カップル」扱いされるイベントが存在し、特定のプレイスタイルを強制されているような印象を与えかねない。ニュース記事での表記も同様である。

  • 男性主人公を基準とした構成による不整合
    • 性別選択によるシナリオの変化が乏しく、女性主人公でプレイした場合に不自然な展開が目立つ。
      • ストーリーが固定されているため、主人公は常に「女性(ヒロイン)を守る騎士」という役割に縛られる。これは従来の制作陣のスタンスではあるが、自由なロールプレイを期待する層には不評である。
      • 過去作に見られた「女性主人公ならではの専用要素」が激減しており、男性視点でのプレイを前提とした設計が透けて見える。
    • ニュース記事の文章も男女兼用が主体であり、女性二人組に対して「若者と女性」といった不適切な表現が用いられるケースがある。
    • 周囲のキャラクターの反応も性別による差異がほとんどない。主要キャラの大塚が主人公を問答無用で「カップル」や「デート」と結びつける台詞は、女性主人公であっても変更されない。
      • 柏木というキャラクターに至っては、女性主人公に対して「弟を思い出す」と発言し、直後に慌ててフォローを入れるといった、設定の強引な調整が伺える。
    • 明確に女性として扱われるのは一部の特殊なイベントに限られており、それ以外は男性同様の扱いに終始する。
    • 燃え盛る火災現場や激しい戦いの中で、成人女性を背負って疾走するという、身体的に極めて過酷な役割を平然と課される点も、男性主人公前提の設計を象徴している。
    • 選択肢の語彙や一人称も、多くは男性用を微調整しただけの共通仕様である。女性主人公でも他の女性キャラを口説くような振る舞いが可能である一方、男性キャラに対して好意を示すような選択肢はほぼ皆無に近い。
      • 独自のイベントも、男性は「膝枕」、女性は「服の交換」といった程度であり、性別による体験の差別化は極めて限定的である。


総評

『絶体絶命都市』のシステムで特撮・アニメの世界を体験できるという期待作であったが、ボリューム不足や周回要素の乏しさが目立つ結果となった。
PS4独占タイトルでありながら、激しい処理落ちや長時間のロードといった技術的な課題が散見され、ハードの性能を十分に活かせているとは言い難い。
物語の構成においても、待望の巨影による災害描写より、人間組織との追いかけっこに多くの時間が割かれている点が、多くのプレイヤーの期待を削いでしまった。
独創的な題材や開発陣特有のユーモアは評価されているものの、クロスオーバーの欠如や巨影の扱いの軽さから、原作ファンには「素材の持ち腐れ」と揶揄されることもある。
これらの要因が重なり、各レビューサイトや市場での評価は、当初の期待値に届かない厳しいものとなっているのが現状である。

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最終更新:2026年05月04日 22:41