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太閤立志伝V

【たいこうりっしでんふぁいぶ】
ジャンル シミュレーションゲーム

対応機種 Windows 98~XP
プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 コーエー
発売日 【Win】2004年3月12日
【PS2】2004年8月26日
【PSP】2009年9月17日
定価 9,800円/【PSP】5,040円
レーティング CERO:12歳以上対象
廉価版 KOEI the Best
【Win】2005年8月26日/3,800円
【PS2】2006年1月19日/2,940円
コーエー定番シリーズ
【PS2】2010年1月21日/1,575円
判定 良作
リコエイションゲームシリーズ









概要

『信長の野望』シリーズの派生作品であり、戦国時代の立身出世をテーマとした『太閤立志伝』シリーズの第5作。当初は豊臣秀吉の生涯を追体験する作品であったが、シリーズを重ねるごとに操作可能な人物が拡大した。

初代『太閤立志伝』はその独特の空気感から今なお根強い支持を受ける。続く『II』では舞台となる地方や登場武将が大幅に増員され、他大名家でのプレイ解禁など正当な進化を遂げた。歴史シミュレーションファン以外にも門戸を広げた傑作として定評があったが、一方で『III』は自由度の低下を招き、評価を落とす結果となった。

前作『IV』で再び自由なプレイスタイルへの回帰が図られ、全武将が操作対象となるなど野心的な試みがなされたが、戦闘システムの変更やイベント密度の偏りといった課題も残した。
本作『V』では、前作で浮き彫りとなった問題点の多くを改善。多岐にわたる新要素の導入により、シリーズ屈指のボリュームとやり込み甲斐を誇る良作へと結実した。


特徴

  • 多様な生き様
    • 武士としての天下統一以外にも、商人による経済支配、忍者による闇の跳梁、海賊による制海権掌握など、職業ごとに異なる到達点とエンディングが用意されている。
      • 親密度の向上といった条件を達成して「主人公札」を得ることで、次回以降のプレイでその人物を操作できるようになる。
      • 茶人や医師、鍛冶職人といった町に拠点を置く専門職もプレイアブル化が可能。
      • 操作不能なNPCにも個別の属性が設定されており、宿屋の娘や寺の僧侶、異国の宣教師などが登場する。宿娘の一部とは婚姻も可能であり、システムの裏側では年齢や詳細なデータが厳密に管理されている。

  • 人物
    • 各人物には好みや価値観が設定されており、贈答品や茶会を通じて親交を深めることができる。ただし武芸一辺倒の人物は茶道を解さない場合もあり、相手の性質に合わせたアプローチが必要となる。
    • 体力制が導入されており、あらゆる行動によって消費される。戦闘による負傷などで一定値を下回ると病気状態となり、能力の低下や修行の制限といった深刻な不利益を被る。
      • 低下した体力は、休養や薬の服用によって回復させることが基本となる。

  • 能力値
    • 統率、武力、知謀、政務、魅力の5項目で構成される。基本上限は100だが、称号や貴重品による加算で限界突破が可能。
    • バトルの趨勢自体は技能の比重が大きいものの、ミニゲームの成否や難易度はこれらの基礎能力に大きく依存する。能力が高いほど制限時間や試行回数で優遇され、高成績を収めやすくなる。

  • 技能
    • 「足軽」「茶道」「武芸」など全16分野の専門能力。0から4の5段階で評価され、主人公のみさらに極めた「★」ランクを目指せる。修行を通じてレベルを上げることで、仕事の成果向上や特殊な札の入手が可能となる。

  • 名声と悪名
    • 義侠的な行動で名声が、反社会的な行いで悪名が蓄積される。これらはエンディングの分岐や士官の条件、さらにはフィールドでの賊の遭遇率など、ゲーム内の多方面に影響を及ぼす。

  • 戦闘
    • 個人戦
      • 多彩な武器を駆使して戦うモード。一画面内のマップで移動と攻撃を交互に行い、敵の体力を削り切れば勝利となる。
      • 移動先の指定と行動が同時に処理されるため、相手の次の一手を予測する戦略性が求められる。また、秘技札の使用により広範囲攻撃や自己強化といった特殊効果を発揮できる。
    • 合戦
      • 野戦と攻城戦に大別される。野戦は地形を活かしたタクティカルバトルであり、兵科ごとの相性や戦術札の活用が鍵を握る。
      • 攻城戦は拠点の防衛設備を巡る攻防に特化した形式。攻撃側は門の突破や総大将の撃破を、防衛側は敵軍の撃退を目指す。

  • 名所
    • 日本各地に点在する景勝地。訪問によって体力が回復するほか、コレクション要素としての札も獲得できる。特定の技能がないと到達困難な場所もあり、コンプリートには入念な旅の準備が欠かせない。瞑想による奥義習得や、特殊な敵との決闘イベントなども発生する。

  • 貴重品
    • 各地で購入できる多種多様な品々。実用的な武具から、贈答に適した芸術品、外交を有利にする特産品まで存在する。各アイテムに添えられた解説は、当時の風俗や歴史的背景を知る資料としても楽しめる。

    • 生活と交流の拠点。米屋、馬屋、酒場、宿屋といった基本施設のほか、町ごとに特色ある専門施設が配置されている。
    • 施設ごとの役割
      • 米屋・馬屋:軍需物資の売買や騎馬の訓練を行う。
      • 酒場:情報収集や賭博、傭兵の雇用が可能。
      • 宿屋:休養による体力回復のほか、結婚候補となる宿娘との出会いの場でもある。
      • 寺・医師宅:教養の習得や医療品の購入、病気の治療を行う。寄付による徳の積み上げも可能。
      • 商家・南蛮商館:高級品や火器の調達、算術の修行を行う。独自の交易許可が必要な場合もある。
      • 座:各地の特産品を扱い、交易による利益追求の舞台となる。
      • 道場・茶人宅:武芸や茶道の研鑽に励み、師匠に弟子入りすることもできる。
      • 職人・鍛冶屋:高性能な武具や芸術品の製作を依頼・修行する場。

  • その他
    • 行商人
      • フィールド上で遭遇する商売人。安価で正体不明の品を売り歩いており、中には価値ある名品が紛れていることもあるが、真贋を見極めるには鑑定の技能や専門家の助力が必要となる。

評価点

  • 圧倒的な自由度を誇る戦国シミュレーション
    • 本作の最大の魅力は、プレイヤーの行動指針が完全に個人の裁量に委ねられている点にある。主命の完遂、技能の研鑽、あるいは辻斬りや座での商いによる資金稼ぎなど、戦国時代を一個人の視点から縦横無尽に生き抜くことができる。
      • 主命ひとつとっても攻略の幅は広い。「交易で得た利益のうち、評価に必要な最低限のみを献上し残額を着服する」「忍者に工作を外注して労を省く」「私財を投じて迅速に物資を揃える」といった、清濁併せ呑む立ち回りが可能となっている。
      • 拠点の移動に制約が少ない点も特筆に値する。武将プレイであっても、序盤から日本各地を巡って遠方の有力武将を勧誘し、独自の精鋭家臣団を組織するといった遊び方も許容されている。
      • 悪行に手を染めるプレイもシステム的にフォローされており、特定の悪条件を満たすことで得られる特殊な称号や、その上位版も用意されている。
        • 出世後の「謀反」による独立はもちろん、他勢力への「寝返り」や、同僚の城主を唆して謀反を誘発させる「教唆」など、権謀術数の限りを尽くせる。特に秀吉プレイで信長に対し反旗を翻した際には専用イベントが発生するなど、細部の作り込みも妥当である。

  • 膨大なプレイアブル武将と多様な生き様
    • 条件達成により、登場するほぼ全ての武将(総勢800名以上)が操作対象となる。前作で未開放だった一部の著名武将も、本作では入手難度はあれど全て獲得可能となった。
      • 武士以外の職業も前作の「脇道」的な扱いから脱却し、各勢力ごとに固有の特性や展開が用意されたことで、プレイの多様性が劇的に向上している。
        • エンディングのバリエーションも増強。短時間で到達可能な小規模エンドから、天下の情勢や主人公の出自(源平藤橘や足利一門、僧侶、女性など)によって細分化される武将エンドまで多岐にわたる。
      • ただし、未所有の武将札は初期選択できない点や、特定の生き方を選んだ際にイベント密度が低下し、単調な展開に陥りやすい側面も残っている。


  • 副業システムの導入と交流の深化
    • 本業を維持しつつ別の専門職を兼業できるようになり、行動の選択肢が大幅に拡張された。
      • 史実において相良家に仕えつつタイ捨流を興した丸目長恵のような、武将兼剣豪といった生き様がシステム上で再現されている。
      • 独自の流派や看板を掲げた道場破り、あるいは医者として仁術を施す(あるいは法外な診療報酬を得る)など、MMO的な自由度を持ったロールプレイが可能。
      • これらの活動は武将間の交流にも寄与する。登用したい浪人を治療して恩を売ったり、稽古をつけて弟子にしたりといった関わり方ができる。
        • 例えば、秀吉で柴田勝家を弟子にすると、訪問時のセリフが変化するといった小ネタも充実している。
      • 各専門職には任意で迎えられるエンディングが設定されており、職を極めて引退するか、そのまま乱世を生き続けるかを選択できる。
    • 信長を海賊頭として生きるなどの自由度が高いプレイが可能である。

  • 圧倒的なデータ量と詳細な作り込み
    • 武将数やシナリオの増加に伴い、やり込み要素も比例して強化された。
      • 膨大な武将数に反して会話パターンは細かく、血縁関係や師弟関係、主従関係の有無によって口調が動的に変化する仕様となっている。
    • 新武将作成機能の強化
      • 最大40名の自作武将を登録可能。パーツは人物札の収集に応じて解禁されるため、コレクション要素としても機能している。
        • 女性新武将での「色仕掛け」や、親族設定に起因する特殊な拒絶台詞など、システムを逆手に取ったユーモアのある演出も健在。

  • イベントの拡充とIF展開の妙
    • 歴史上の重大局面からマイナーなエピソードまで、イベントの網羅性は極めて高い。
      • 著名な合戦では敗者側の視点でもプレイ可能であり、壊滅的な戦力差を覆すための周到な準備や、歴史を塗り替える一打を探るという高度なやり込みが楽しめる。
      • 秀吉専用の長大なシナリオはもちろん、1598年開始から即座に大坂の陣へ突入できる構成など、テンポも配慮されている。
      • ユーザーが自由にイベントを作成できる「イベントコンバータ」の存在も大きく、これを究極の完成形と推す声も多い。
        • PS2/PSP版ではコンバータは未搭載だが、Win版にない追加武将やシナリオ、個人戦の新技などが補填されている。
        • なお、Win版で猛威を振るった上泉信綱の奥義「転」は、CS版でさらなる強化を遂げるという驚きの調整がなされている。

  • 結婚システムの充実
    • ゲーム中に登場するほぼ全ての女性(汎用NPC除く)と結婚が可能。特定手順を踏めば他作品からのゲストキャラとも結ばれる。
      • 秀吉プレイ時にねね以外と密通した場合の修羅場イベントなど、限定的な状況への作り込みも執拗なまでに細かい。
      • 一方、史実の妻キャラは面会機会が限られており、夫を不在にするなどの工夫をしない限り姿を拝むことすら難しい。この問題に対し、CS版では全員が独身で登場する特殊シナリオが追加されている。

  • 戦略・育成面の進化
    • 勢力拡大のテンポ改善
      • 降伏勧告が通りやすくなり、小勢力を一括で支配下に置くといった効率的な統一が可能となった。
      • 全ての城を武力制覇せずとも、石高を稼ぎ公家工作を行うことで「正一位」エンドに到達できるなど、勝利条件も複数用意されている。
    • 技能システムの深化
      • 全16種の技能は、凡庸な武将を育成によって一流の将へ変貌させる可能性を秘めている。配下を修行に出し、特定の分野に特化させる育成要素は中毒性が高い。

    • 交易
      • 当時の物産を反映した交易システムは、投資による新商品の開発や海外貿易など、経済シミュレーションとしての側面も持つ。
    • 戦術
      • 合戦はヘックス制のターンバトル。戦術札を駆使することで、寡兵をもって大軍を制する詰将棋的な醍醐味が味わえる。

賛否両論点

  • グラフィックの刷新と流用
    • 武将の顔グラフィックの多くは『嵐世記』から『天下創世』にかけてのシリーズ作品から流用、あるいは加工されたものが使用されている。
      • 元作品にバストアップ描写が存在しないため、一部の武将において頭部と身体の均衡が不自然であったり、装束に違和感が生じているケースが見受けられる。
    • 一方で、前2作で見られた少女漫画を彷彿とさせる柔和な絵柄から、シリーズ本来の重厚なタッチへ回帰したことを評価する声も多い。
    • 身分によって外見が変化する仕様により、出世して威厳を放っていたNPCの秀吉が、解雇された途端に瑞々しい足軽の姿に戻るといった、システム上のシュールな現象が一種のネタとして親しまれている。

  • 兵站概念の簡略化
    • 拠点間における兵糧、軍馬、兵員、火器などの輸送、および人物の移動に時間経過の概念がなく、遠隔地であっても即座に完了する。
    • これをリアリティに欠ける「ぬるい」仕様と断ずる意見がある一方で、煩雑な輸送管理を排した快適なゲーム設計として肯定的に捉える層も存在し、評価が分かれている。


問題点

ゲーム

  • 初期選択キャラの制限と札収集の負担
    • 開始直後は「おすすめ」設定の5名しか選択できず、任意の武将でプレイするためには「主人公札」の収集というプロセスを経る必要がある。
      • 札の入手には親密度向上が不可欠だが、贈答や茶会は月1回に限定されており、手合わせによる短縮には個人戦の反復という手間を要する。
    • 木下藤吉郎(秀吉)のシナリオは要素が網羅されている反面、クリアまでの拘束時間が極めて長く、完遂時に達成感よりも疲弊感が生じやすい。
      • 秀吉の生涯を網羅するイベントの発生条件は極めて複雑で、一度のプレイですべてを回収するのは困難に近い。さらに、地位向上後は城攻めの繰り返しによる作業感や、イベント待機のための時間調整が課題となる。
    • おすすめ5名の中でも、忍者担当の服部半蔵は特筆して難易度が高い。1560年開始という条件が固定されているうえ、自身の職能と主家の動向の不一致により、歴史イベントを完遂するには過酷な運規が要求される。
    • 円滑にイベントを進めた結果、勇猛な髭面の武将が数歳という年齢で登場するといった、設定とグラフィックの乖離によるシュールな光景が頻出する。


  • 新武将の登録可能人数
    • 本作における新武将の登録可能枠は40人と、『信長の野望』や『三國志』といった同社の他シリーズと比較して著しく少ない。
      • 一プレイに登場させられる新武将の数も制限されるため、自分だけの勢力や架空の家系図を大規模に構築したいプレイヤーにとっては物足りなさが残る仕様となっている。

  • 主命による勲功値の不足
    • 一度の主命で得られる勲功は概ね100~200前後であり、身分を上げるためには十数回以上の仕事を完遂する必要がある。
      • 武士であれば合戦による戦働きで勲功を上積みできるが、合戦頻度の低い海賊や忍者、商人司争いでの獲得勲功が少ない商人は、出世までに多大な時間と根気を要する。
      • 特に序盤は馬の購入といった能吏的な仕事が中心となるため、武力に特化した武断派の武将は活躍の場を見出しにくい。
    • 大名プレイ時においても、身分の低い家臣には重要な主命を割り振れないため、意図的な育成が難しい。配下を出世させるためのフォローが乏しく、有能な人材が低身分のまま停滞しやすい。
    • 上記の信長を海賊するなども非常に根気のいる作業がいる。

  • NPCの出世停滞
    • プレイヤーの配下以外のNPC武将は、能力にかかわらず出世が極端に遅い傾向にある。
      • これはAIが特定の少人数にしか主命を与えないアルゴリズムに起因しており、織田家などの巨大勢力ほど、有能な人材が低身分のまま埋もれるという現象が顕著である。
    • プレイヤーが拠点主であれば「寄騎」として育成を代行することも可能だが、根本的な解決には至っていない。

  • 忍者・海賊の経済的困窮
    • 兵糧の売却がシステム上制限されており、慢性的な資金不足に陥りやすい。武士プレイにおいても、援軍要請時に兵員が十分であっても兵糧不足を理由に拒絶される事態が散見される。
    • 拠点主であれば外交の「親善」を通じて資金援助は可能だが、兵糧の直接的な補給手段に乏しく、抜本的な解決には至らない。
    • 首領(頭)プレイであっても、軍資金工面のためにプレイヤー自らが各地を奔走して交易に従事する姿は、半ば恒例となっている。
      • 陥落寸前の城から資金を強奪する「ゆすり(通称:カツアゲ)」や、海外交易といった手段も存在するが、これらが有効に機能する頃には既に天下を狙える戦力を有していることが多く、序盤の救済策としては乏しい。

  • 専門職の単調さ
    • 師範、医師、鍛冶職人における「瞑想」や「採集」といった工程が、ひたすら時間を要する単調な作業になりがちである。体力の消耗や拘束時間に対するフォロー、あるいは作業自体の多様性が望まれる。

  • 勧誘の難航
    • 人物の勧誘において、親密度を最大まで高めても失敗に終わるケースが多い。これは内部的な相性や、各人物に設定された「仕官相性(武士優先、他職業優先など)」が壁となっている。
      • 一プレイでの全職業コンプリートを抑制し、勧誘補助札の価値を担保するための調整と思われるが、三顧の礼を体現するような執拗な訪問が必要となる。

  • 悪名のデメリット
    • 悪行を重ねることによる不利益が大きく、リスクに見合う恩恵が少ない。賊の襲撃を回避できるメリットも、武芸称号を獲得すれば代替可能であり、悪人プレイの意義が薄れがちである。

  • 難易度の低さと中盤以降の作業化
    • いずれの職業もエンディングへの到達難易度は低めに設定されている。特に武士プレイでは、城主就任以降は天下統一まで単調な出陣の繰り返しになりやすく、作業感が強い。
    • 敵勢力の大名拠点を最後の一城まで追い詰めなければ「降伏」が成立しない仕様も、この傾向に拍車をかけている。
      • ただし、この低難易度はシミュレーション初心者への門戸を広げる要因でもあり、自由なプレイスタイルを追求する上での「余白」とも解釈できる。

  • 個人戦における武器種格差
    • 「刀」が攻撃力、秘技の充実度、強力な武具の入手性において他を圧倒している。
    • 「苦無」はコンシューマ版での高性能品の販売や機動力により、低武力キャラの護身用として機能するが、強力な秘技の多くが忍者専用となっている。
    • 「槍」と「鎖鎌」は射程や秘技の数で劣り、特定勢力の門下に入らなければ習得も困難。強力な武器の入手機会も限られている。
    • 「弓」と「鉄砲」は、攻撃後の硬直時間が長く、多人数を相手にする個人戦では極めて不利な「地雷」仕様となっている。合戦札との兼ね合いによる調整と思われるが、その扱いづらさから、特定札の入手には忍術を主体とした戦法が推奨されるほどである。
      • コンシューマ版で追加された金銭をばら撒く秘技「大盤振る舞い」は、剣豪すら完封可能な異常な性能を誇り、巷では「金撒流」と揶揄されるほどのバランスブレイカーとなっている。

  • 初期バージョンのバグ問題
    • 各ハードともに初期段階では不具合が散見された。Win版は発売初日に修正パッチが提供され、後にパッチ適用済みの廉価版が発売された。
    • PS2版およびPSP版においては、廉価版やベスト版の過程で修正状況が前後しており、最終的に販売されたバージョンが必ずしも最適化されているとは言い難い。
      • これらのバグの多くは後年の『太閤立志伝V DX』にも一部引き継がれたが、アップデートにより主要なものは改善されている。

  • 海外交易の制約と難易度
    • 交易に必要な外交文書の入手手段が限られており、忍者や海賊による強奪が機能しない。大名家を滅ぼしても文書を入手できないため、商人や海賊以外の身分での交易は著しく困難である。
    • 特に呂宋(ルソン)との交易は難易度が高い。文書を所持する島津家は勢力が強く、容易には滅びない。加えて島津家を支持する坊津水軍は初期戦力が低く、大型船を保有していないため、御用商人になっても交易が立ち行かない事態に陥りやすい。
      • 水軍の強化支援か島津の攻略が必須となるが、いずれも膨大な労力を要する。


シナリオ

  • イベント設計の課題
    • テキストや歴史イベントの多くが前作からの流用であり、シリーズファンからは新鮮味の欠如を指摘されることがある。
      • フラグ管理が厳格かつ不透明で、NPCの戦略によって意図せずイベントが消滅するリスクも高い。
    • 1598年シナリオにおける歴史イベントの進行速度が異様に早く、数ヶ月単位で関ヶ原から大坂の陣へと推移するため、本来その時期には没しているはずの武将が戦場に姿を現すといった不自然さが生じている。
      • ただし、これは有力武将を生存させて自勢力に引き入れるといった、歴史IFを楽しむ要素として肯定的に機能している側面もある。


  • 商人プレイにおける特定シナリオの不快感
    • 商人の修行過程で発生する、ある青年の私利私欲に加担させられるイベントが不評を博している。
      • 物語の結末において、主人公が善意を裏切られ、膨大な私財と労力を浪費しただけに終わるという展開は、商人の成長譚として疑問視されることが多い。


  • 不可避な忍者の強襲
    • 名声が高く敵対勢力が忍者衆を従えている場合、町での「旅人助け」が、判別不能な忍者の変装による強制戦闘(敗北はゲームオーバー)へと繋がる理不尽なイベントが存在する。
    • 城主以上の身分では自拠点の広間ですら忍者に襲撃される恐れがあり、自宅での休息すら安らげない。味方の忍者衆を確保するまでは、評定を開くことさえ命がけとなる極端な仕様である。

  • 天覧試合における戦果とエンディングの両立不可
    • 毎年6月に開催される天覧試合は、後半戦になると剣豪たちの即死級火力が飛び交う高難度イベントとなる。
      • 優勝時に稀少な装備品(武器1種・防具3種からランダム)を獲得できるが、直後の選択肢でエンディングを迎えると、獲得した装備がシステムデータに反映されず、プレイデータも終了してしまう。
      • 優勝した状態でセーブを行うと、そのデータでは二度と天覧試合への再挑戦が不可能となる。そのため、特定の装備収集とエンディング到達を同一データで両立させるには、最低2回の優勝が必要となる。
    • 希望の装備を入手するためには、優勝直前のデータをリロードして周回を繰り返す「リセマラ」を強いられる。



内政

  • ミニゲーム制の功罪
    • 育成や業務の成果が全16種のミニゲームに依存している。省略は可能だが、その場合は能力値依存の判定となり最高評価を得にくくなる。
      • 前作の運要素が強いものや過度に複雑なものから、パズルやアクションなどの短時間で終わる形式へと刷新された点は、手軽さを求める層には概ね好意的。
    • 一方で、繰り返しの作業となる内政において、毎回ミニゲームを要求されること自体に抵抗を感じるプレイヤーも少なくない。
    • PS2版やPSP版では一部のゲームが差し替えられ難易度が調整されたが、PSP版では画面比率の変更により逆に難易度が上昇した種目も存在する。

  • ユーザーインターフェース(UI)の不備
    • 配下への主命割り振りにおいて自動化が可能だが、病気で確実に失敗する武将を避けるといった配慮がなされていない。
    • 「修行」の主命も失敗率が高く、成功率の高い「長期修行」を優先的に選択するような最適化も行われないため、手動での微調整が欠かせない。

  • 拠点移動時のリスク
    • 本拠地を移転させる際、移転先に十分な資金を分配していないと、信頼度の低い配下武将が即座に出奔してしまう。事前の資金管理が重要となるが、システム側での警告などは乏しい。

  • 城主・拠点主としての不備
    • 城主に任命された際、配下として引き連れられる人数が5名(国主は10名)に限定されている。そのため、援軍要請時に配下が主命に従事していると、軍の司令官が汎用のモブ将軍に差し替えられる事態が頻発する。
    • 委任状態の拠点における物資管理がプレイヤーの手を離れるため、兵糧不足で援軍を断られるケースが多々ある。物資の融通を求めるような能動的なアクションも存在せず、管理の柔軟性に欠ける。
    • 城主の直臣となった武将は、勲功を積んでもプレイヤーの手で昇進させることができない。


戦争

  • 攻込名分の煩雑さ
    • 武士プレイでの宣戦布告には「攻込名分(大義名分)」が求められ、これを欠いた攻撃は悪名の上昇を招く。
    • 外交コマンドの「宣戦布告」は実質的に「相手に名分を与える」行為であり、布告後に相手から攻撃を受けるまで自軍の名分が発生しないという、受動的で不自然な手順を強いられる。
    • 朝廷から「治罰綸旨」を得る手段もあるが、多額の献金と月ごとの回数制限があり、手軽とは言い難い。結局、名分を無視して攻め込み、上昇した悪名を寺院への寄付で相殺するのが最も効率的な攻略法となってしまっている。

  • 水軍技能への過度な依存
    • 水上フィールドでの移動力が水軍技能に依存しており、技能が低いと移動に多大なターンを費やす。特に川での移動にさえこの技能が要求される仕様には疑問の声が多い。
    • 内陸出身の武将の多くは技能を保持しておらず、軍全体の機動力を確保するために、個別に技能伝授を行う手間が発生する。

  • 兵数および戦場規模の固定
    • 拠点の最大兵数が一律5万人(小城から大坂城まで共通)に制限されている。
    • 合戦に参加可能な最大部隊数も限られており、数千から数万規模の局地戦に留まるため、史実の二十万人規模が激突した大戦を再現するにはスケール不足が否めない。

  • 攻城戦の仕様と単調さ
    • 一度に送れる援軍や軍団数に制約があり、広域的な同時攻略が難しい。また、出陣中は拠点の移動が制限されるなど、戦略上の足枷も多い。
    • 野戦と比較してフィールドの構造が固定されており、城ごとの差異も少ないため作業感が強い。城門への攻撃が中心となるが、壁が堅牢で時間を要する一方、防御側の対抗手段が乏しく、壁の破壊=陥落という単調な展開になりがちである。
    • 弓や鉄砲の名手による遠距離攻撃が強力すぎて対抗手段に乏しい反面、攻め側は士気低下系の特技を連発することで容易に降伏へ追い込めるなど、バランスの極端な面が目立つ。
    • 自拠点が攻められた際の迎撃軍派遣も不可能であり、強制的に籠城戦へ突入させられる点も自由度を削いでいる。

  • 野戦の課題
    • フィールドのバリエーションが乏しく、地形による移動制限(山岳地や水上)がストレス要因となりやすい。
    • 直接攻撃に対する反撃ダメージが過大であり、与ダメージを被ダメージが上回ることも珍しくない。この仕様により、直接攻撃主体の騎馬隊が相対的に冷遇されている。

  • 忍者・海賊の軍事力バランス
    • 海賊衆や忍者衆が数万規模の兵力を保持し、一大名を超える軍事力を行使する点はリアリティに欠けるとの指摘がある。
    • 武士側から彼らを能動的に攻める手段が限定されている一方で、忍者は領土の概念を無視して日本全土の合戦に介入できるなど、システム上の優遇が目立つ。

  • AIの挙動と戦略的硬直
    • 主君AIは評定時以外に柔軟な軍事行動を取らず、自勢力が攻められている際も無反応であることが多い。また、出陣中は拠点での他業務が全て停止するため、長期戦になると勢力全体の発展が停滞する。
    • 合戦時においても、敵総大将が極端に後退したり、優勢時でも拠点を死守しようとしたりと、消極的あるいは非合理な行動が散見される。


その他

  • 情報報告の頻度
    • 忍者がもたらす勢力情報の報告が、設定を「簡易」にしてもなお過剰であり、例えば九州の大名をプレイして、東北の大名が滅びたなどの遠方の些細な情勢まで都度通知されるため、ゲームのテンポを阻害している。

  • 武将能力値への疑義
    • 伝統的な傾向ではあるが、一部の著名な武将(特に、「後藤又兵衛が統率51」「毛利勝永が統率47」などなど)の能力値が、その実績に反して低く設定されていることに対し、不満を抱くユーザーは少なくない。


総評

前作の要素を徹底的に洗練・拡張した本作は、まさに「あらゆる道で天下に名を成す」というコンセプトを具現化した傑作である。武力に頼らずとも、知略や商才、あるいは専門技能のみで乱世を渡り歩ける懐の深さは、他の歴史シミュレーションの追随を許さない。
膨大なイベント数と、プレイヤーの想像力を受け止める高い自由度は、リプレイ性を極限まで高めている。特にWin版における「イベントコンバーター」の存在は、本作を不朽の地位へと押し上げた。
ハードごとの仕様差異や、内政・戦争面における細かな不満点はあるものの、それらを補って余りある没入感と作り込みは、今なお新作や続編を熱望される所以となっている。2004年の発売以来、個人プレイ型歴史シミュレーションの最高峰として君臨し続けている。

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最終更新:2026年05月05日 02:31