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【しゅたいんずげーと】
ジャンル 想定科学アドベンチャー

対応機種 Xbox 360
発売元 5pb.
開発元 5pb.&br;ニトロプラス
発売日 2009年10月15日
定価 通常版 6,800円
限定版 8,800円
廉価版 プラチナコレクション
2011年6月16日/3,800円
備考 移植版(Win/PSP/PS3/PSV)&br;の情報は本文に記載
ネタバレ回避を強く推奨
判定 良作
科学アドベンチャーシリーズ
※本作は移植が非常に多岐に亘る為、基本情報欄は360版のみに絞りました。

~
神をも冒涜する12番目の理論 &br;'''それは、 俺たちが手にした偶然の産物'''
~


概要

  • 作品概要
    • MAGES.(旧5pb.)とニトロプラスによるコラボレーション企画「科学アドベンチャーシリーズ」の第2弾。
    • 数多の偶然が重なり誕生した「タイムマシン」を巡り、人類の未来を託されることになった中二病の青年の物語が、秋葉原を舞台に展開される。
    • 前作『CHAOS;HEAD』と世界観を共有しているが、前作の要素が本筋に直接関わることはほとんどない。
    • 形式としてはオーソドックスなアドベンチャーゲームだが、選択肢の提示ではなく携帯電話の操作によって物語が分岐するシステムを採用している。
    • 未プレイ者に対するネタバレ回避が強く推奨される作品として知られる。本稿にも多数のネタバレが含まれるため、閲覧には十分な注意が必要である。
    • コミカライズなどのメディアミックス作品への接触や、インターネット上での情報検索すら推奨されないほど秘匿性が重視されている。
    • 特筆すべき点として、公式サイト自体がネタバレを多分に含んでおり、未プレイ者の閲覧が推奨されていないという珍しい側面を持つ。
    • 複数の魅力的な女性キャラクターが登場し、特定のヒロインに焦点を当てた個別ルートも存在する。そのため広義の「ギャルゲー」に分類されることもあるが、恋愛要素以上に練り込まれたストーリーとSF的ギミックが極めて高く評価されている。

  • ストーリー
    • 秋葉原を拠点とする総勢3人の小規模な発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーを務める中二病の大学生、岡部倫太郎。
    • 彼は研究所のメンバー(ラボメン)である橋田至や、幼馴染の椎名まゆりとともに、日々奇妙な発明品を作り続けていた。
    • ある日、岡部は過去に向けてメールを送信できる装置、すなわち広義の「タイムマシン」を偶然にも発明してしまう。
    • しかし、その発明はやがて大きな悲劇を招くこととなる。悲劇を回避し世界を救うため、岡部は果てしない苦闘の旅へと身を投じる。

  • フォーントリガー
    • 本作の最大の特徴であり、本編中に一般的な選択肢は一切登場しない。
    • 代わりに、劇中で携帯電話に出るか否か、メールへの返信内容の選択、あるいは返信そのものをしないといった行動の積み重ねによって物語が分岐していく。

  • 時間ループものとしての構造
    • ジャンルとしては「時間ループもの」に該当する。
    • 時間ループの発生に一定の科学的理論付けがなされている点や、それが主人公の意思によって能動的に引き起こされる点が独自の特色となっている。
    • ループを繰り返しながら各ヒロインのルートへと分岐し、個別エンディングを体験していく構成となっている。それらを経て最終的に真の結末(トゥルーエンド)へと到達する仕組みだが、特定の一つを除いて全ての個別エンドを網羅せずとも、直接トゥルーエンドへ向かうことは可能である。

評価点

  • 理論とリアリティの両立
    • 「99%の科学と1%のファンタジー」を掲げる本作は、テーマであるタイムトラベル理論に説得力を持たせるため、徹底したリアリズムが追求されている。物語の導入部で光速移動の必要性やブラックホールの重圧といった現実的な障壁を提示し、一度はその存在を完全に否定するプロセスを挟むことで、その後のブレイクスルーに強い説得力を与えている。
    • SF作品にありがちなご都合主義を排し、タイムトラベルに伴う人体への物理的な影響や「親殺しのパラドックス」といったリスクについても、主人公たちが試行錯誤の末に解決策を見出す過程が丁寧に描かれる。
    • ジョン・タイター事件や、実在の欧米研究機関をモデルとした組織の登場など、現実世界の事象や用語を中核に据えた構成により、科学やSFを好む層も十分に満足できる内容となっている。
    • 舞台となる秋葉原の街並みは、実在する店舗名を含めて極めて忠実に再現されており、その圧倒的な実在感も評価が高い。
    • また作中でタイムマシン研究の「因果のループ」*1が起こっているのだが、これは世界線移動ということで証明されている。

  • 実力派声優陣による熱演
    • 声優陣の演技力は総じて高く評価されている。特に主人公を演じた宮野真守氏の演技は圧巻で、コミカルな日常から悲痛なシリアスシーンまでを完璧に演じ分けており、スタッフから「宮野さんあっての『シュタインズ・ゲート』」と評されるほどの熱演を見せている。

  • 世界観を彩る主題歌とBGM
    • 主題歌「スカイクラッドの観測者」は、企画・原案の志倉千代丸氏自らが作詞作曲を手掛けており、歌詞の内容に多くの伏線が含まれている。クリア後に改めて聴くことで、その整合性の高さに驚かされる構成となっている。
    • Windows版のPVなどに使用された「A.R.」の映像には、物語中盤以降の重大なネタバレが全画面で表示される箇所があるため、未クリア時の閲覧には注意が必要である。
    • BGMは阿保剛氏が担当。明るい日常曲から、冷徹なシリアス曲、サスペンス調の楽曲まで幅広く、作品の空気感を見事に表現している。特にメインテーマである「GATE OF STEINER」の人気は高く、サウンドトラックが各地で即日完売するほどの支持を集めた。

  • 没入感を高める構成の妙
    • 海外ドラマの手法を取り入れた構成により、各章が絶妙な山場で締めくくられるため、プレイを止めるタイミングが見つからないほどの牽引力を持つ。王道的なサークル活動の日常から始まり、徐々に不可解な現象が重なり不穏な世界観へと引き込まれていく過程は非常に巧妙である。ラボでただ駄弁るだけのシーンや、意味のない雑談、未来ガジェットのくだらない実験描写が大量に積み重ねられる。
    • しかし、その平和な時間を長く体験するからこそ、後半に訪れる喪失感が強烈なものとなる。これは単なる尺稼ぎではなく、失いたくない日常をプレイヤーへ刷り込むという重要な役割を持っている。
    • 前半に散りばめられた膨大な伏線が後半で一気に回収される落差は激しく、プレイヤーは主人公の岡部とシンクロするように「世界線」や「因果律」に翻弄されていくこととなる。特に物語が加速する第6章以降は、徹夜でプレイする者が続出したと言われるほどの高い没入感を誇る。
    • 基本的には一本道のシナリオ構成となっており、意図的に一昔前のアドベンチャーゲームを想起させる硬派な作りとなっている。
    • プレイヤーへどうにもならなさを植え付ける演出が非常に強烈である。何度やり直しても結果が変わらず、成功したと思った直後に状況が破綻するなど、希望を見せてから叩き落とす構成が繰り返される。
    • 特に中盤以降の心理的圧迫感は凄まじく、アドベンチャーゲームでありながらサスペンスやホラーにも通じる極限の緊張感を生み出している。
  • 独特なキャラクターデザイン
    • イラストレーターにはhuke氏を起用。独特の色彩感覚とテクスチャを用いた写実的なデザインは、従来の「ギャルゲー」的な記号化された美少女像とは一線を画しており、幅広い層に受け入れられるポップかつクールなビジュアルを実現している。
    • このデザインの採用は、サブカルチャーというテーマを扱いながらも、既存のオタク層以外のユーザーへも訴求したいという製作側の明確な意図によるものであり、結果として作品の世界観に絶妙にマッチしている。
  • フォーントリガーによる自己責任の強調
    • 独自システム「フォーントリガー」は、単なる選択肢の代替に留まらず、キャラクター同士のメールのやり取りを通じて強烈な感情移入を促している。
    • 単に「選択肢を選ぶ」のではなく、自らの手で「携帯電話を操作する」という行為が重要であり、たった一通のメールが過去を塗り替え、それまでの絆を「なかったこと」にしてしまう絶望感は、自らの選択が招いた結果としての重い悔恨をプレイヤーに抱かせる。
    • 携帯電話の壁紙や着信音のカスタマイズ機能も充実しており、特定の条件で追加される収集要素としての作り込みも細かい。
    • 「地下鉄」「ゲル○○」「手紙」といったトラウマ級のイベントは、その衝撃的な内容とともに、プレイヤー自身の選択の重さを刻み込む装置として機能している。
  • 終盤における怒涛の伏線回収
    • 序盤の何気ない描写のすべてが、終盤で一気に重要な意味を持ち始める。冒頭で感じた違和感、電話レンジの偶然、IBN5100の行方、ジョン・タイターの正体、まゆりの言動、紅莉栖との会話など、些細なギャグ描写すらも伏線として機能している。
    • 一度クリアした後に再プレイすると、序盤の景色が全く違う印象に変わるほど、その構成力は非常に高い。

  • 感動を呼ぶトゥルーエンド
    • 心を抉るような過酷な展開を乗り越えた先に待つトゥルーエンドは、至高の感動をもたらす。
    • 最終盤における伏線の鮮やかな回収と岡部の再起は、それまでの鬱屈とした空気を一掃するほどの熱量を持ち、最後の一行に至るまで完璧な締めくくりを見せる。
    • そのあまりの衝撃から「記憶を消してもう一度遊びたい」と称賛され、同ジャンルの名作『Ever17』に比肩する評価を得ることもある。
  • 利便性の高いTIPS機能
    • 作中用語やネットスラング、中二病用語まで網羅した用語集(TIPS)を搭載。
    • 詳細な解説をTIPSに委ねることで物語のテンポを維持しつつ、必要に応じていつでも知識を補完できる設計となっており、作品への理解を深める助けとなっている。

  • 秋葉原という舞台の空気感
    • 2000年代後半の秋葉原文化を極めて濃密に再現している。メイド喫茶文化やPCショップ街、裏路地の雑居ビル感、そしてオタク同士の独特な雑談の空気感などが細部まで描き込まれている。
    • 当時のネット文化や2ch文化、ニコニコ動画文化までが色濃く反映されており、あの時代の秋葉原を記録した作品としても評価が高い。後年プレイすると、一種の時代資料的な側面すら感じさせる。
  • リーディングシュタイナーという設定の秀逸さ
    • 主人公だけが世界線の変動を認識でき、以前の世界線の記憶を保持し続けられるという設定が物語の肝となっている。
    • これは単なる特殊能力ではなく、主人公の孤独を演出する装置として機能している。周囲の人々は世界改変後の記憶しか持たないため、岡部だけが失われた世界の記憶を背負い、誰にも理解されない苦痛に耐え続ける構図となる。
    • タイムリープ物にありがちな仲間全員での協力体制ではなく、主人公だけが精神的に壊れていく感覚が強く描かれている。
  • ループによる精神摩耗の生々しい描写
    • タイムリープの代償としての精神的消耗が丁寧に描かれている。同じ悲劇を何度も目撃し、何度助けても失敗を繰り返す中で、岡部の表情や言動が徐々に壊れていく。
    • 宮野真守氏の卓越した演技も相まって、岡部の精神疲労は非常に生々しく響く。タイムリープ能力を便利な力としてではなく、精神を削る呪いとして描いた点は高く評価されている。
  • 岡部倫太郎という主人公の成長
    • 単なるオタク的な主人公像に留まらず、物語を通じての精神的成長が濃密に描かれる。
    • 序盤は痛々しい中二病青年として振る舞うが、後半では仲間を救うために心を擦り減らしながら戦う姿が映し出される。逃げたいのに逃げられない状況に苦悩し、自らの弱さや情けなさを隠さない等身大な描写が共感を呼ぶ。その上で、最後に再び鳳凰院凶真として立ち上がる展開は屈指の熱量を持つ。
  • 牧瀬紅莉栖との完成された掛け合い
    • 岡部と牧瀬紅莉栖による会話劇は本作における大きな魅力となっている。
    • 科学的な議論から軽妙な口喧嘩、ツンデレ的な応酬に至るまで、互いに知性が高いためテンポが非常に良い。終盤に向けて二人の信頼関係が深まっていく過程も丁寧であり、単なる恋愛アドベンチャーの枠を超えた良き相棒関係として評価する声も多い。
  • 低予算を感じさせない演出の工夫
    • アドベンチャー形式ゆえにキャラクターの動き自体は少ない。立ち絵や背景の切り替えが中心でアニメーションも限定的だが、カメラ風の加工や効果的なSE、BGMの活用によって緊張感を演出している。
    • テキストの表示演出だけで恐怖感を作り出す技術が高く、特に唐突に響く電話の着信演出は、プレイヤーへ強い心理的ストレスを与えるほどの効果を発揮している。

論争点

  • 人を選ぶゲーム前半のハードル
    • 物語の前半は、以下に列挙する諸要因から来るハードルの高さにより、プレイヤーを選ぶ傾向が顕著である。これらの要素を「個性」として受け入れられるか否かで、作品への没入度が大きく左右される。
  • 主人公の中二病言動
    • 主人公・岡部倫太郎の中二病的な言動が極めて痛々しく、人によっては煩わしさを感じる。自らを「狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真」と称し、携帯電話に向かって「―それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択か。エル・プサイ・コングルゥ」と独り言を繰り返すため、初見では強い拒否感を覚える可能性が高い。
    • 声優の宮野真守氏による熱演が、台詞の溜めや語尾を極端に伸ばす演出(例「きょよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおきぃいいいいのぉおおおおおおおおお……………………………マッドサイエンティスト」など)を際立たせており、テンポを冗長に感じさせる側面がある。
    • ただし、設定やテーマにおいて「岡部が中二病である必然性」は明確に存在しており、物語が加速する中盤以降、あるいは彼の苦闘を最後まで見届けたプレイヤーにとっては、そのウザさこそが格好良さへと反転する巧妙な仕掛けとなっている。
    • シナリオ担当の林直孝氏によれば、本作のテーマの一つは「中二病で世界を救う」ことであり、前作『CHAOS;HEAD』における「中二病を捨てて現実を見る」というテーマへのアンチテーゼとしての側面も持っている。
  • 過剰なネットスラング、オタク用語の多用
    • 作中の登場人物の多くがオタクや匿名掲示板ユーザーという設定であり、ネットスラングや流行語を日常的に多用する。これらの言葉に馴染みのない層にとっては、会話自体が苦痛に感じられるリスクがある。
    • 特に岡部の親友である橋田至(ダル)は、典型的な「ピザオタ」の外見で「~だお」といったやる夫的な口調を多用する。演じる関智一氏の怪演も相まって、強烈なインパクトを与えるキャラクターとなっている。
    • 2000年代の日本のネット文化に馴染みがない、あるいはそれらに嫌悪感を持つユーザーにとっては、受け入れがたい部分も多い。一方で、この濃密な文化描写こそが、当時の秋葉原を象徴する唯一無二の魅力であると評価する層も多い。
  • 難解な科学知識の提示
    • 作中には膨大な科学的考察が詰め込まれており、文系・理系を問わず理解が困難な描写も多い。TIPSによる補完はあるものの、その密度は非常に高い。
    • 「99%の科学と1%のファンタジー」を謳っている通り、現実の理論を意図的に改変している点や、未来から持ち込まれた超常的なアイテムなど、理論的に説明がつかない要素も含まれている。完璧な理解を試みるよりは、SF的な雰囲気を楽しむ姿勢が推奨される。
    • 世界線、シュタインズゲート、ダイバージェンス、アトラクタフィールドといった概念が次々と提示されるため、初心者やSFに不慣れな層は混乱を招きやすい。
    • 理論の細部を理解しなくてもストーリー自体は楽しめるように工夫されているが、常に高い情報密度と向き合う必要があり、プレイヤー側の知的な持久力が試される。
  • アニメ・ゲームのパロディネタ
    • オタクの聖地を舞台にしていることもあり、既存のアニメやゲームを元ネタとしたパロディが頻出する。
    • 「機動勇者ガンパムの兵器から名前を取った『ビット粒子砲』」といった、作中世界に落とし込まれた「パロディのパロディ」という形式を採っており、元ネタへの思い入れが強いプレイヤーほど反感を抱く可能性がある。
  • 既存のジャンルに囚われないキャラクターデザイン
    • 本作のキャラクターデザインは、メタルギアシリーズのサブキャラクターデザインや『ブラック★ロックシューター』で知られるhuke氏が担当している。
    • 独特の目の描き込みや緻密なテクスチャを多用する氏の画風は、従来のギャルゲーに多いアニメ調の絵柄とは一線を画す強烈なオリジナリティを放っている。この写実的かつ独創的なビジュアルにより、一般的なアニメ絵に対して敬遠しがちな層でも違和感なく作品に入り込めるよう工夫されている。
    • この起用は「ユーザー層をさらに広げたい」「良い意味でギャルゲーらしくしたくない」という製作側の明確な意図によるものであった。
    • 結果として、後述の通り売上は極めて好調に推移しており、アドベンチャーゲームというジャンルに馴染みのなかった未経験者に対しても、その裾野を大きく広げることに成功したと言える。
  • 序盤の展開速度の遅さ
    • 本格的に物語が動き出すまでに要する時間が非常に長い。物語の前半数時間は、ラボメン同士の雑談や、とりとめのない未来ガジェット遊び、専門用語の解説といった描写が中心となる。
    • 「いつになったら面白くなるのか分からない」と感じて途中で脱落してしまうプレイヤーも一定数存在する。特に、物語の全容を知っているアニメ版視聴済みユーザーからすると、この序盤の溜めの時間を冗長に感じてしまいやすい。
    • また、似たような岡部と紅莉栖の名前のやり取りやまゆりの口癖など同じ会話を何度も聞く。
    • ただし、このゆったりとした導入こそが、後半の怒涛の展開と日常の崩壊を際立たせるための計算された「静寂」としての側面も持っている。
  • 圧倒的なテキスト量の多さ
    • アドベンチャーゲームの中でも文章量がかなり膨大な部類に入る。
    • 説明台詞の一行一行が長く、科学的な議論やSF考証、さらに主人公である岡部の膨大な内面独白が大量に詰め込まれている。
    • サクサクとテンポ良く物語を進めたいユーザーにとっては、この情報密度の高さが重荷に感じられることもある。知的な会話劇そのものを楽しめるかどうかが、本作の評価を分ける大きな分岐点となる。
  • 物語終盤におけるご都合主義的な側面
  • 未来におけるタイムマシン開発の飛躍
    • 物語序盤では、現代科学の視点からタイムマシンの実現可能性が徹底的に否定されていた。しかし、未来世界においてはそれらの障壁が「すんなり」と解決され、実用化に至っている。
    • 特に、物語の舞台となる2036年は世界大戦の最中であり、研究設備や資源が万全ではない極限状態にある。そのような過酷な環境下で、過去と未来を自由に行き来でき、かつ人体への致命的な副作用も克服した完成度の高い機体が開発されている点については、技術的飛躍が激しすぎるとの指摘もある。
    • 序盤で提示された重厚な科学考証や「現実はそう甘くない」というリアリズムの壁を、未来の技術力という一点で突破してしまっているため、科学的な整合性よりも「物語の結末へ向かうための装置」としての側面が強調されている感は否めない。
    • ただし、この技術的成功は、岡部やダル、あるいはSERNといった者たちが、数え切れないほどの「失敗した世界線」の犠牲と研鑽を積み重ねてきた結果としての到達点であるとも解釈できる。
    • 本作は全体としてはタイムリープ理論や世界線変動といったSF設定を比較的緻密に構築しており、作中においても未来ガジェット研究所の面々による実験や検証を通じて、世界線や因果律に関する法則が段階的に積み上げられていく。しかしその一方で、物語が佳境へと突入する終盤になるほど、厳密な理論性よりも「物語の勢い」や「演出上の熱量」を優先した展開が目立つようになり、一部の視聴者・プレイヤーからはご都合主義的な側面を指摘されることがある。
      • 特に象徴的なのが、紅莉栖救出作戦によって「シュタインズゲート世界線」へ到達するクライマックス周辺である。作戦の内容自体は、「紅莉栖を実際には死亡させず、それでいて過去の岡部に“彼女が死んだ”と誤認させる」という極めて大胆かつ劇場的なものであり、成立のためには多数の偶然や条件が完璧なタイミングで噛み合う必要がある。血糊による偽装、岡部自身の位置取り、中鉢博士の行動、鈴羽との連携など、少しでも歯車が狂えば即座に破綻しかねない綱渡りの作戦であるにもかかわらず、最終的にはほぼ理想的な形で成功へ到達してしまう点に対し、「理論による突破というより、ドラマ性を優先した展開ではないか」と感じる層も存在する。
      • また、終盤では未来の岡部から送られてきたビデオメッセージの存在も大きな役割を果たしている。精神的に限界寸前まで追い詰められていた岡部が、そのメッセージを視聴したことで短時間のうちに再起し、再び困難へ立ち向かっていく流れは非常に熱く王道的な演出として高く評価されている一方、「都合よく主人公を奮い立たせるための導きが完璧すぎる」という意見もある。
      • さらに、第三次世界大戦回避の遠因となる「メタルウーパ」のエピソードについても、偶然性への依存が強いとの指摘が見受けられる。些細な荷物の入れ違いや論文焼失といった小さな偶然が世界規模の未来改変へ直結する展開は、本作がテーマとして掲げるバタフライ効果を象徴する要素である反面、「歴史改変の決定打としては少々都合が良すぎる」と感じる視聴者も少なくない。
      • 加えて、終盤における鈴羽の存在感の大きさについても、「未来知識」「タイムマシン」「状況説明」「行動支援」など、多数の役割を一手に担っていることから、便利キャラクター的な側面を指摘される場合がある。特にクライマックスでは、彼女の存在によって物語が強引に成立しているように見える場面もあり、リアリティ重視のSFとして見た場合には違和感を覚えるプレイヤーも存在する。
      • もっとも、これらの要素は同時に『STEINS;GATE』最大の魅力である「怒涛のカタルシス」や「感情的な盛り上がり」を支えている部分でもある。本作はあくまで超硬派なハードSFではなく、SF理論を土台にしながらも、最終的には人間ドラマと熱量によって物語を走り切るエンターテインメント作品としての性格が強い。そのため、終盤のご都合主義的な側面についても、「勢い任せで粗がある」と批判する意見が存在する一方で、「理屈を超えた熱さこそが本作の醍醐味である」と高く評価するファンも非常に多い。
  • ルート構造の完成度の偏り
    • メインシナリオの圧倒的な完成度と比較して、各ヒロインの個別ルートには内容やボリュームに大きな差が存在する。
    • 非常に短尺で終わってしまうルートや、設定を活かしきれない実験的な内容に留まるルートも存在し、どうしても「ifエンド」としての側面が強くなっている。
    • 特定のヒロインだけが他のキャラクターに比べて掘り下げが不十分であると感じるプレイヤーもおり、全ルートを通じた満足度にはばらつきがある。
  • 論文焼失による世界線収束の解釈
    • 物語のクライマックスでは、中鉢博士が持ち出した牧瀬紅莉栖のタイムマシン論文が焼失することで、各国の技術競争が回避され、第三次世界大戦という破滅的未来が阻止される。
    • しかし、本作で強調されていた「世界線の収束」という概念は、主に椎名まゆりの死に代表されるような「確定した結果へ向かう不可避な現象」であった。そのため、人命のような絶対的な事象ではなく、単なる「物体(論文)」の有無が、そこまで強力に未来を固定し、あるいは劇的に変えうるのかという点に疑問を持つプレイヤーも少なくない。
    • 論文さえ燃えれば世界大戦が回避されるという構図自体が、ドラマチックな結末を優先した設定であるとの指摘もある。
    • 一方で、論文という「物」だからこそ、人命収束ほどの強固な因果に縛られず、わずかな改変で未来を大きく分岐させられたという解釈も可能だが、その境界線についてはファンの間でも議論が分かれる。
  • 橋田至が万能過ぎる
    • 橋田至は、物語における技術的解決のほぼすべてを一身に背負っている。ハッキング、電子工作、高度なプログラミング、通信解析から未来ガジェットの製作に至るまで、その担当分野は極めて広範である。
    • 特に物語中盤、未来から飛来したタイムマシン「FG204」の修復。未来世界では2036年側でタイムマシン開発に関わり、「Dメール」ではなく、動画形式のメッセージを過去へ届ける仕組みを用意した。巨大組織SERNへの対抗手段確保などを次々と完遂する姿には「いくらなんでも万能すぎる」という指摘が絶えない。
    • 作中では「未来においてタイムマシンを完成させた開発者」という設定が付与されているが、現代のダルにはそこに至るまでの具体的な研究・学習プロセスの描写が乏しく、結果として「天才だから何でもできる」という記号的な処理に見えやすい。
    • また、オーパーツとも言える未来技術の結晶であるタイムマシンを、現代の限られた設備と部品で修復できてしまう点についても、物語を進行させるためのご都合主義的な側面が強いという意見が存在する。
  • レトロPC「IBN5100」を巡る状況の変動
    • SERNの解読に不可欠なレトロPC「IBN5100」は、世界線変動の影響を最も受けるキーアイテムであり、その所在は常に不確定である。
    • 希少な機種であるにもかかわらず、都合よく秋葉原近辺の神社に保管されていたり、特定の知人が所有していたりといった偶然が重なっている。物語を停滞させるために「あったはずの場所にない」という展開が繰り返される一方で、別のルートではあっさり発見されることもあるなど、その入手難易度の変動についてもご都合主義との指摘がある。
    • ただし、このPCは単なる道具ではなく、過去の選択が積み重なって現在があるという「失われた可能性」や「因果の繋がり」を視覚化する象徴として描かれており、物語のテーマ性を支える重要なファクターとなっている。

問題点

  • シナリオ面における問題点
    • 一部回収されていない伏線がある。「90%回収してネット上の議論のためにいくつか回収しなかった」とコメントされているが…。
    • 設定面で細かい矛盾がちらほらある。血縁関係であるはずの人物同士の血液型が合わないという矛盾には、後に血液型が修正された。
      • とあるキャラを妊娠中だった頃の母親にDメール(過去へ送るメール)を送って性別を改変出来るのがおかしい点という指摘には、のちにドラマCDで理由が補完された。
      • ブラックホールを通すことで送受信するデータ容量(パケット容量)を圧縮する点は、前作のセナルート同様に現実ではありえないデジタルな法則が働く世界というメタを匂わすものである。ゲーム冒頭のアルパカマンも単にミスリードさせるものではあるものの同様の意図がある。
      • この作品の世界のブラックホールはZIP圧縮などのようにデータ圧縮が可能で、その圧縮データはネット回線を通してダウンロード可能で、しかも解凍ソフトなどにかけなくても自然にデータ解凍される、そういう世界という設定なのである。あまりに都合が良くはないだろうか。
      • なお独自設定多数の小説版では、ネット回線のほうが特殊でブラックホール内でのみ起きる特殊な事象を維持したままダウンロードできる量子通信という設定にしていた。
      • 既に捕捉されてから結構な日数が経過済みのDメールを消去して世界線を変える点は、ファンの間ではまだ機関の者の目に触れていなかったのではという考察も多かったが、後に出た資料集での公式回答は「Dメールは因果から外れたものなのでそれを消去する行為も因果を無視した改変が起きる」という内容でファンを落胆させた。ただし、これはこの件に限らずDメール関連の因果律変動の基礎ルールである。またファンの考察も資料集スタッフのコメントに書かれているようにそれだけでは他の世界線理論に反する可能性もあるため、一概には言えない。
    • 一部ルートにおける不整合
      • フェイリスルートでは岡部が不幸な未来を変える為にフェイリス以外の全員と知り合いで無くなるルートがある。かなり大幅な変動であり、世界線はΩ世界線というマイナスの値を示す世界線にもかかわらずα世界線にしか存在しないダイバージェンスメーターがある。
      • またフェイリスルートでの秋葉原から萌え文化がいなくなる大幅な改変に関しては世界線の幅が短すぎるという意見もある。ただし、α世界線は「未来でSERNがディストピアを作る」という条件さえ満たせばよく、世界線の大変動に関わる2000年における改変であるため、設定的には数値の変化は大きい方である。

  • 桐生萌郁について
    • ラボメンの中で唯一彼女だけ専用のルートがなく、本編で浮いている感じは否めない。当人のシナリオは存在するが、その前に通過した3人のヒロイン(+α)と違ってそこでの分岐は特殊イベントが見られるか否かなのでどちらを選んでもストーリーに変化は無い。
      • そのため、彼女のことも掘り下げられておらず、動機や行動理念や背景もあるにはあるが描写不足。
      • 要望があったのかは不明だが、ファンディスクの『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』では萌郁ルートが存在する。
      • ちなみにゲーム、アニメ版、漫画版(本編を描いたコミックアライブ版)とでは、萌郁のシナリオにおける彼女の末路こそ同じだがそこに至る経緯は何故か全て異なっている。2巻以降はほぼアニメに忠実だった漫画版ですらもここは独自展開となっている。ゲームの委細は省くとして、アニメではある人物に射殺されるのに対し、漫画ではその人物の自殺を止めようとして銃弾に当たるという最期を迎える。
    • トゥルーエンディングでも彼女についてはやや強引な扱いになっている。
      • トゥルーエンドでは彼女はラボメンに加えられている。詳細は避けるが、本編では彼女は危険な立ち位置であり、トゥルーエンドの世界線でも完全にシロとは言い切れない。
      • 特段岡部との和解の描写も無いのにラボメンになっているのも違和感を覚える。

  • テキストと描写量の偏り
    • テキストに若干量の誤字がある。有料ダウンロードコンテンツを適用する事で演出強化のついでに大部分が修正される。
    • メインヒロイン2名に比べて、その他サブヒロインたちの描写量が少ない。
      • 上記の通り大筋は一本道のシナリオであり、サブヒロインのEDはメインルートから分岐する形になるため、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
      • しかも一部のエンドは「幸せそうに見えても、実はどう考えてもバッドエンド」だったりする。具体的に言うとるかEDのこと。他のヒロインEDはいずれも「大団円ではないが岡部の選択で勝ち取ったエンディング」と言えるが、るかEDはSERNについて完全放置なので「るかと共に生きていく」と言う勝ち取った結果さえいずれ覆される可能性が高い。まゆりEDは一応解決、フェイリスEDは世界線大幅変動、鈴羽EDは解決に向かうシーンで終了なので問題ない。
    • ご都合主義の傾向がある上に、やり尽くされている感のあるタイムトラベル・ループジャンルなので、このジャンルに親しんだプレイヤーにとっては、途中でストーリーの展開がある程度まで予想できてしまう。
      • 個々の小エピソード内では予想外の展開もあるのだが、メインストーリーに斬新などんでん返しを期待すると、肩透かしを食らう。
      • 全体的な雰囲気から、洋画の名作「バタフライ・エフェクト」を思い出す人も多い。作中でもこの単語が多用されるため、意識している可能性は高い。
      • 一部のエンディングの内容はバタフライ・エフェクトのスタッフが「全てを振り出しに戻す行為」「何も学んでいない」と言って没にしたエンディングそのまんまである。
  • システム面の問題点
    • セーブデータの管理不備
      • オートセーブ、任意セーブ共に個別に削除が不可能なため、特に前者は周回プレイを繰り返すとトゥルーエンドへ向かうフラグを立てた状態なのか、そうでないのかが非常に解りにくい。
      • どうしても消したい場合は360本体の管理画面から一括で削除するしかないが、システムデータとセーブデータは分別されていないため、プレイ時間やクリアフラグ等も全て消える。これは、「セーブデータ(記憶)も無かったことにしてはいけない」ということなのだろうか。
  • フォーントリガーの問題点
    • メール返信時の仕様
      • メールを返信する際、送信前にキャンセルすることが出来ない。選択肢が複数あるような場合、自分が送る文面を見比べて決めようと思ったら一度送信してからデータをロードしてやり直すしかない。
      • 「特定のセリフが表示されている間に、電話をかける(メールを出す)と分岐」と言うシーンで、どの台詞までが分岐可能かが分からない。そのため、電話をかけたいと思っていても、意図せず分岐範囲が過ぎてしまい電話がかけられない事態が少なからず発生する。分岐可能範囲に突入した時点ですぐに電話をかければ分岐を逃す事はないのだが、そうすると今度は台詞が中途端になってしまう。バックログから任意の場所に戻れるようになっているのでそれほどの手間は掛からないが、それでも手間は手間である。何より、後者は重要なシーンで発生する事も多いので、シナリオへの没入感を下げてしまう。
      • メール返信で選んだ選択肢によってどんなメールを出すか、そしてどんなメールが帰ってくるか、どのようにシナリオが分岐するか、が非常に分かり難くなっている。ノーヒントで目的の分岐に到達するのはかなり難しく、特にトゥルーエンドは攻略サイトがほぼ必須。その一方で、選択次第では1周目から(意図せず)いきなりトゥルールートに行けてしまう事もある。そんな事になってしまったら、諦めて「それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だった」とでも思うしかない。
  • システムとしての限界
    • 総じて、「ゲームのシステム」としてはやや不便なシステムである。そもそもの所、斬新なシステムに見えて結局「選択肢を選んで分岐」と言う物であり、普通のアドベンチャーの選択肢とほとんど変わりがない。
      • このシステムの主眼は前述した通り「携帯をいじる事で主人公への感情移入度を上げる」所にあり、「ゲーム性」よりも「シナリオ性」に寄ったシステムと言える。ただそれゆえに、テンションを下げかねない前述の仕様はなかなか痛い所。
  • げるまゆしぃのCGコンプリート
    • 大半は普通にゲームを進めていく中で取れるが、問題は多くのユーザーが最後に取得するであろうCGイラストである。
    • 詳細は避けるが椎名まゆりの無残な姿が描かれている。このCGは気分が悪くなる事請け合いの、かなりショッキングな内容。タチの悪い事に、回収ルートはゲームのシステム上分かりにくい位置にあるため、全てを終えた後で最後に見る事になりやすく、通常よりも一層心が抉られた人も。
  • ルート構造の完成度の偏り
    • メインシナリオの圧倒的な完成度と比較して、各ヒロインの個別ルートには内容やボリュームに大きな差が存在する。
    • 非常に短尺で終わってしまうルートや、設定を活かしきれない実験的な内容に留まるルートも存在し、どうしても「ifエンド」としての側面が強くなっている。
    • 特定のヒロインだけが他のキャラクターに比べて掘り下げが不十分であると感じるプレイヤーもおり、全ルートを通じた満足度にはばらつきがある。
  • トゥルーエンドへの攻略情報依存度
    • トゥルーエンドへ到達するための条件が、事前の知識なしでは極めて判別しにくい。
    • 特定のタイミングで送られてくるメールに対し、特定のワードを選んで返信するといったフラグ管理が非常にシビアかつノーヒントである。
    • 偶然に到達できる確率は極めて低く、結果として多くのプレイヤーが攻略サイトや攻略本を頼らざるを得ない状況を生んでいる。自力でたどり着きたいプレイヤーにとっては、この仕様が大きな障壁となっている。


総評

  • 硬派なストーリーが魅力の正統派SFドラマ。そのストーリーやSFギミックは多くのプレイヤーを魅了し、ネットを中心に話題を呼んで大きな盛り上がりを見せた。
    • 「ループする時間と改変される世界」というアイデアを表現するにあたって、周回プレイ・シナリオ分岐型ADVという物語形式が効果的に活用されており、小説や映画では味わえない迫真の演出効果と感情移入効果をプレイヤーにもたらした。
  • 一篇のSFドラマとしてみれば、古典的とすら言える王道な内容である。だがそこにギャルゲー的なエッセンスと現代オタク的な感性を加味することで、本作ならではの新鮮な味わいが生み出されている。
    • SFマニアだけでなく、読み応えのある骨太な物語を求めるすべての人にお勧めしたい名作である。もちろん、女の子キャラの可愛らしさや独特の魅力がある絵柄に魅かれてプレイするというのも、一向にアリだろう。

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最終更新:2026年05月23日 13:16

*1 未来の出来事が過去に影響し、その過去の出来事が再び未来を生み出すように、原因と結果が円環状に繋がっている現象