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野狗子: Slitterhead

【やくし すりったーへっど】
ジャンル バトルアクションアドベンチャー #amazon(B0DHV3T5C9)
対応機種 PlayStation 5 / PlayStation 4 / Xbox Series X S / PC(Steam,Epic)
発売元 Bokeh Game Studio
開発元 Bokeh Game Studio
発売日 2024年11月8日
定価 通常版: 4,950円
レーティング CERO:Z(18歳以上のみ対象)
判定 なし
ポイント 外山圭一郎氏による新スタジオ初作品
「憑依」を軸とした独創的なアクション
九龍城風の世界観とグロテスクなクリーチャー
人体を武器に変えて戦う独特のバイオレンス


概要

『サイレントヒル』や『SIREN』シリーズを手掛けた外山圭一郎氏が、独立後に設立した「Bokeh Game Studio」の第1作目。
かつての香港を彷彿とさせる混沌とした街「九龍(クーロン)」を舞台に、人間に擬態する怪物「野狗子」と、実体を持たない精神体である主人公「憑鬼」との戦いを描く。

ストーリー

1990年代の多層都市。そこには人間の脳を喰らい、その姿を模倣する未知の怪物「野狗子」が潜伏していた。
記憶と肉体を失った精神体「憑鬼」は、街を行き交う人々に次々と憑依し、野狗子を殲滅するための孤独な戦いに身を投じる。

特徴

  • 憑依システム
    • 主人公は実体を持たないため、街中にいる一般市民や、特殊な能力を持つ「稀少体」と呼ばれる人間に憑依して行動する。
    • 戦闘中も次々と器(肉体)を乗り換えることが可能で、ダメージを受けた肉体を捨てて別の人間へ飛び移るといった戦略的な立ち回りが必要となる。
  • 血の武器
    • 自らの血液を凝固させて剣や爪などの武器を生成し、野狗子に立ち向かう。体力が武器の源となるため、リソース管理が重要。

評価点

  • 独創的なアートワーク
    • 九龍城砦をモチーフにした、湿度と生活感の漂うアジア・ノワールな街並みの作り込みが秀逸。
    • 山岡晃氏による、不安を煽りつつも中毒性の高い楽曲が世界観を強く引き立てている。
  • 「稀少体」を巡る群像劇
    • 特殊な力を持つ人間たちとの出会いと、それらが交錯するストーリー展開。
  • 唯一無二の「憑依」システム
    • 本作最大の特徴は、“肉体を持たない存在”である主人公が、街中の一般人へ次々と憑依しながら行動するシステム。
      • 単なるキャラクターチェンジではなく、「街の群衆そのものを移動手段・戦力として使う」という発想が極めて独創的。
      • 戦闘中に瀕死になった瞬間、近くの一般人へ飛び移って戦線維持するなど、通常のアクションゲームとは根本的に異なる立ち回りが要求される。
      • 「自分自身の肉体が存在しない」という設定がゲームシステムへ直結しており、作品テーマとの一体感が強い。
    • 移動面でも個性が際立つ。
      • ビル屋上から飛び降り、落下途中に別人へ憑依して着地する、雑踏を渡り歩くように高速移動するなど、“魂だけが都市を漂う”ような感覚を味わえる。
      • 一般人の身体を消耗品のように扱うプレイ感覚には不気味さがあり、倫理観が揺らぐ独特の没入感を生んでいる。

  • アジアンダークホラーとしての空気感
    • 舞台となる街は、香港・九龍城砦・東南アジア繁華街を混ぜたような雑多で猥雑な空気を持つ。
      • 狭い裏路地、ネオン看板、老朽化した雑居ビル、湿気を感じる市場など、アジア都市特有の圧迫感が強烈。
      • 近年の欧米系ホラーとは異なる、“生活感のある汚さ”が特徴。
    • 街が単なる背景ではなく、「怪物が潜む人間社会」として成立している。
      • 市場で働く人々、酔っ払い、屋台街、雑踏などが存在し、「普通の日常」と「異形」が地続きになっている不安感を演出している。
      • 敵が人間社会へ完全に溶け込んでいるため、「誰が怪物なのか分からない」恐怖が常に付きまとう。

  • 強烈なクリーチャーデザイン
    • 敵である「野狗子(スリッターヘッド)」は、人体破壊・変形を前面に押し出した極めて生理的嫌悪感の強いデザイン。
      • 顔面が裂けて巨大な口になる、筋肉や骨格が露出する、肉塊のように変形するなど、グロテスク演出が非常に濃厚。
      • “化け物”というより、「人間が壊れた何か」という不快感を重視している。
    • 変身演出のインパクトも高い。
      • 普通の市民と思っていた人物が突然裂けるように変貌し襲い掛かってくる演出は、視覚的ショックが強い。
      • 敵が社会へ擬態している設定のため、「街の誰も信用できない」緊張感がある。

  • 音楽と音響演出
    • 音楽担当に山岡晃を起用。
      • 環境音・民族音楽風旋律・ノイズ・不協和音を混ぜた独特なサウンドが高評価。
      • 「怖がらせるBGM」ではなく、“街そのものが腐っている”ような不快な空気を作り出している。
    • 静かな場面でも安心感が薄い。
      • 遠くの雑踏、機械音、湿った足音などが常に不穏さを漂わせる。

  • 外山圭一郎作品らしい世界観
    • ディレクターである外山圭一郎作品らしい、「理解しきれない恐怖」が色濃い。
      • 単純なゾンビ物ではなく、異形存在そのものの気味悪さを重視。
      • 説明しすぎず、プレイヤーへ断片的情報だけを提示する手法が採られている。
    • SIRENやSILENT HILL系統の、“日本的ホラー感性”を感じるとの声も多い。

賛否両論点

  • アクションのプレイフィール
    • スタイリッシュなアクションゲームとは一線を画す、独特の操作感や挙動。憑依を前提としたシステムのため、一般的なアクションに慣れていると戸惑う部分がある。
  • クリーチャーデザインの生理的嫌悪感
    • 人間に擬態する「野狗子」が正体を現す際の変態描写や、人体が激しく異形化するビジュアルは非常にショッキングであり、本作のホラー色を決定づけている。
    • 「これぞ外山作品」といえる独創的なクリーチャー造形を高く評価する声がある一方で、肉体欠損や生々しい質感といったグロテスクな表現はかなり人を選ぶ。
    • 耐性のあるプレイヤーやB級ホラー映画の質感を好む層からは「美しき異形」として歓迎されているが、ホラーに馴染みのない層や生理的な嫌悪感を抱く層からは「直視に堪えない」という声も上がるなど、評価が真っ二つに分かれている。
  • ホラーよりアクション寄りのゲーム性
    • 本作は「逃げる恐怖」より「戦うアクション」の比重がかなり大きい。
      • 敵を積極的に倒す設計であり、ステルス主体だった外山作品を期待すると方向性の違いを感じやすい。
    • 血液を利用した攻撃やコンボなど、戦闘システムはかなりゲーム的。
      • そのため「怖さより爽快感が勝っている」との意見もある。
      • 一方で、「ホラーアクションとしてはテンポが良く遊びやすい」と評価する声も強い。

  • 説明不足気味のシナリオ
    • 世界観や設定説明はかなり断片的。
      • 専門用語や背景事情も詳細説明を避ける場面が多い。
      • 「考察型作品」として楽しめる反面、「結局何が起きていたのか分かりにくい」と感じる人もいる。
    • ストーリーより雰囲気優先の演出が多い。
      • 会話も抽象的で、全てを明快に説明しない。
      • これを“味”と捉えるか“不親切”と捉えるかで評価が分かれる。

  • PS2~PS3時代風の作り
    • 現代AAA作品と比較すると、かなりクラシックなゲームデザイン。
      • 不便さや粗さも含め、「昔のホラーゲーム感」が強い。
    • ロード・UI・テンポなどに古臭さを感じるプレイヤーもいる。
      • 一方で、「最近の映画的ゲームよりゲームらしくて良い」という支持もある。

  • キャラクターへの感情移入の弱さ
    • 一般人へ次々と憑依する構造上、個々の人物を深く描く形式ではない。
      • そのため、“群像劇”というより“器を使い分ける感覚”が強い。
      • 主要人物以外は印象が薄くなりやすい。
    • 設定上は意図的な演出だが、「ドラマ性不足」と感じる人もいる。

問題点

  • カメラワークと視認性
    • 入り組んだ路地や高低差のある場所での戦闘において、カメラが壁にめり込む、あるいは対象を見失う場面が散見される。
  • 戦闘の単調化と底の浅さ
    • 序盤こそ「憑依を切り替えながら戦う」という独自性が新鮮だが、後半になると戦法が固定化しやすい。
      • 回避→攻撃→憑依切替→回復、の流れが中心になりやすく、戦術の幅が狭いとの指摘がある。
    • 敵バリエーションもそこまで多くない。
      • 中盤以降は既視感のある戦闘が続き、マンネリ化しやすい。
      • ホラーゲームとしての“未知の恐怖”が薄れていく。

  • カメラワークと視認性の悪さ
    • 狭い路地や暗所での戦闘が多く、敵の位置把握がしづらい。
      • カメラが壁へめり込む、敵を見失う、攻撃方向が分かりにくいなどの問題が発生しやすい。
    • ホラー演出としての閉塞感は出ているが、アクションゲームとしてはストレス要因になっている。

  • 目的地や進行導線の不親切さ
    • 次に何をすべきか分かりづらい場面が散見される。
      • マップ誘導も最低限であり、探索中に迷いやすい。
    • 「雰囲気重視の探索」と言えば聞こえは良いが、単純にテンポを悪化させているとの批判もある。

  • 低予算感・技術的粗さ
    • グラフィック自体は独特の味があるものの、AAA級タイトルと比べると粗さが目立つ。
      • モーションの硬さ、演出不足、表情の乏しさなどが指摘される。
    • 処理落ちやフレームレート低下を報告する声もある。
      • 特に敵やエフェクトが増える場面では不安定になりやすい。
  • ストーリーの消化不良感
    • 終盤までプレイしても、「結局敵は何なのか」「世界で何が起きているのか」が完全には整理されない。
      • 伏線や設定を雰囲気で流している部分も多い。
    • “理解不能な恐怖”を狙った演出ではあるが、説明不足との紙一重になっている。
      • 「考察の余地」ではなく、「単に説明が足りない」と受け取るプレイヤーも少なくない。
  • SIREN系統期待とのズレ
    • 外山圭一郎作品として期待された結果、「もっと純粋ホラー寄りだと思った」「精神的恐怖を期待していた」という反応も多い。
    • 実際にはアクション性がかなり強く、ゲームテンポも異なる。
      • そのため、“SIREN新作”を期待した層ほど賛否が割れやすい作品となっている。
  • キャラの性能は特に変わらない
    • 女性や男性や若者中年だろうと動きなどはあまり変わらない。

総評

伝説的なホラーゲームを手掛けてきたクリエイターによる、極めて個性的でエネルギッシュな一作。
万人受けするスムーズさよりも、独特の「憑依」アクションと強烈なビジュアル、そして退廃的な世界観に振り切った設計が魅力である。
かつての和製ホラーが持っていた、どこか歪で不気味な熱量を現代の技術で再構築した意欲作と言える。

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最終更新:2026年05月11日 01:43