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チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿IV

【ちんぎすはーん あおきおおかみとしろきめじかふぉー】
ジャンル 歴史シミュレーションゲーム #amazon(B00005OVRT)
対応機種 Windows 95/98 / プレイステーション
発売元 コーエー
開発元 コーエー
発売日 1998年7月17日(Win)
定価 通常版:10,290円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 コーエー定番シリーズ:2002年/2,079円
判定 なし
ポイント 世界規模の1枚マップによる箱庭内政
シリーズ最多の登場人物と全国家プレイ可能
宴(オルド)による世継ぎと親族将軍の育成
事実上のシリーズ最終作にして完成形
蒼き狼と白き牝鹿シリーズ関連作品リンク


  • 概要
『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズの4作目。~
これ以降、現在に至るまで『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズの新作は発売されていないため、事実上のシリーズ最終作となっている。

  • ゲーム内容としては、全国家でのプレイが可能となり、登場する実在人物(将軍)も大幅に増加
    • 将軍の能力値は政治・戦闘・知謀という3つの100段階数値、歩兵・騎兵・弓兵・水軍という兵科適性としての4つのランクがSからEまである。
    • これまでのシリーズに比べて、6種類の内政特技および6種類の戦闘特技の有無という細かいパラメーター設定になった。
    • また、全ての都市に将軍単位でプレイヤーが命令できるようになったことに加え、世界を1枚のマップで表現し、その上を各将軍率いるユニットが移動して内政や戦闘を行う*1という、いわゆる箱庭内政システムが導入されている。

  • 総じて前作までとはかなり毛色の違ったゲームに感じられるが、世界を舞台としたスケールの大きさ、各地に実在の国家や人物が多数登場すること、国王の血縁者の重要性、文化圏の概念など前作までの特徴も色濃く引き継いでいる。また、前作までは歴史イベントも存在しなかったが本作ではいくつかの国に盛り込まれている。

  • Win版は2002年より廉価版「コーエー定番シリーズ」の1つとしても販売されていたが、2005年にコーエーからの販売を終了し、以後はソースネクストより廉価版「Quality イチキュッパ」で販売された。それとほぼ同時期にダウンロード販売も開始された*2。現在はいずれも販売を終了している。

  • シリーズとしては初めて拡張ソフトの「パワーアップキット」(以下「PK」と略)が1998年12月23日に発売された。
    • 2005年に無印とともに販売終了となり、現在は絶版。無印と異なりソースネクストからの廉価版は発売されなかった。
    • PKは「Quality イチキュッパ」のパッケージ版に適用できるが、ダウンロード版には適用できない。Windows XPでの動作保証も無印に対してのみ*3でPKにはされていない。

  • PS版は、PKで追加されたコマンドやイベントの一部が導入されていたり、一部の将軍の能力値が見直されている。
    • 「隊商」に将軍が必須となったり、妃との「宴」の演出が変更されている。ただしハードの容量の問題か、シベリアや北アフリカ以南がかなり削られるなど世界マップが小さくなっている。
    • また、徴兵の仕方が大きく違っている。


  • シナリオ
  • 無印はシナリオ2本
    • モンゴル・鎌倉幕府・南宋・アイユーブ朝・ビザンツ帝国・フランスなどの国から自分の担当する国家を選ぶ(最大8ヶ国)。国によっては特殊なオープニングイベントがある。
    • シナリオ1「草原を駆る狼」  
    • 1189年、チンギス=ハーンが大ハーン位についた直後(第一次即位)。本作ではモンゴル編・世界編の区別は無く、最初から世界を舞台としている。
    • シナリオ2「蒼き狼の末裔たち」  
    • 1271年、前作「元朝秘史」のシナリオ3に相当。フビライ=ハーンの治世


評価点

  • 評価点
  • 貴重な12世紀~15世紀を舞台にしたゲーム
    • シナリオ1では従来通りモンゴルの部族抗争に焦点を当てつつ、主役テムジンの波乱に満ちたエピソードをシステム面で巧みに表現している。
    • 本作の魅力はモンゴル勢力に留まらず、源頼朝・義経兄弟やサラディン、リチャード1世、フィリップ2世といった東西の英雄が揃い踏みする点にある。豊富なイベントを通じて 12世紀という激動の世界情勢を鮮やかに描き出した。
    • 全国家がプレイ対象となったことで、南宋のような大国から滅亡寸前の弱小勢力まで、プレイヤーの好みに合わせた多様な攻略が可能となっている。

  • 1枚マップで展開される壮大な戦略
    • 世界全土がシームレスな1枚マップで構成されており、進軍ルートの選定など戦略・戦術の自由度が飛躍的に向上した。
    • リアルタイムで各勢力が動めく様子は、まさに世界征服を志すチンギス=ハーンの視点を追体験させる仕上がりとなっている。
    • モンゴル高原から遠く離れた異境へ辿り着くには多くの苦難を伴うため、 ユーラシア大陸の圧倒的な広大さを肌で感じることができる。

    • シリーズの代名詞であった「オルド」は、配下への論功行賞を兼ねた「宴」として統合され、前作よりスピーディーな進行が可能になった。
      • 後に登場したPS版では、Win版の簡素な内容に比べて演出面でのブラッシュアップが図られている。
    • 戦勝によって他国の妃を自国の妻妾に加えることができ、当時の略奪婚という時代背景がシステムに組み込まれている。
    • 妃のグラフィックは非常に美麗かつバリエーション豊か。古今東西の美女を揃えて壮麗なハーレムを築き上げる楽しみもある。

  • 後継者選び
    • 他の歴史シミュレーションでは軽視されがちな「跡継ぎ問題」が、本作では戦略の柱となっている。安定志向の嫡男を立てて内乱を防ぐか、武勇に秀でた血縁者を据えて実力主義を貫くか、独特の緊張感を生んでいる。
      • 歴史の実情に即した継承の難しさを体験できる仕組みは、プレイヤーから高く評価された。
      • なお、後継指名から漏れた王子たちは下野するため、注意を払わなければ他国へ仕官して敵として立ちはだかるリスクもあり、管理には戦略的な判断が求められる。


  • 賛否両論点
  • 特定兵種の突出した性能
    • まず「蒙古騎兵」の存在。射撃能力を持つ将軍に率いさせ、集中攻撃を仕掛ければ野戦ではほぼ無敵を誇る。
      • この強力すぎる性能ゆえに、戦術がパターン化して底が浅いと感じるプレイヤーも存在する。
      • しかし、 当時の地上戦におけるモンゴル軍の圧倒的強さ を考慮すれば、リアリティの反映として肯定的に捉える向きも強い。
    • 攻城戦では「火砲兵」が猛威を振るう。圧倒的な射程に加え、混乱や火災を誘発する追加効果が極めて強力。
      • 防衛側が城に籠もっている状況では、一方的に壊滅させる作業ゲーになりがちである。
      • 序盤から金などの特定勢力で編成可能な点や、雨天時の制限・機動力の低さといった弱点はあるものの、それらを補って余りある破壊力は「ゲームバランスを壊している」との指摘も少なくない。

  • スケールの大きさとゲームテンポ
    • 世界規模の舞台設定は、ドメスティックな『信長の野望』などにはない本作最大の個性として称賛された。
    • 各地の特産品や独自のBGM、象兵・駱駝兵といったご当地兵科の存在が、多種多様な文化が混在する世界の彩りを豊かにしている。
    • 広大な大陸を街道で繋ぎ、 何代にも渡る世代交代を経て悲願を達成するダイナミズムは、本作ならではの醍醐味である。
    • その反面、広すぎるがゆえに一地方を制圧した時点で満足してしまい、中だるみを感じるという意見も根強い。後半戦のイベント密度が薄くなる点も、飽きを早める要因として挙げられている。


問題点

  • 部隊規模の縮小感
    • 将軍の格付けにより最大兵数が3000〜5000に制限されており、同社の他シリーズと比較しても数値上のボリュームは控えめ。
    • 世界全土を舞台とする壮大なスケールに対し、個々の戦闘規模が小さく見えてしまう点は否めない。
    • 例えばホラズム遠征ではモンゴル軍が20万人規模だったという説もあるため、 史実級の大軍を直接動かす快感は得にくい。
      • ただし、コーエー作品では操作の煩雑さを避けるため、数値「1」が実数「100〜1000」に相当する抽象的な表現を用いることが通例。今作も兵数ではなく「戦力のバロメーター」として解釈すれば、プレイヤーの想像次第で補完可能である。
      • また、当時の軍隊は非戦闘員を含む総数で語られることも多いため、純粋な「戦闘従事者のみ」の括りと考えれば、現実離れした数値ではないという見方もできる。
  • 歴史の再現性と史実将軍の不足
    • 実在人物が不在の地域はないものの、総勢530人強という将軍数はユーラシア全域をカバーするには少なすぎる。
      • 同時期の『信長の野望 将星録』や『三國志VI』が1地域に数百人を配していたのと比較すると、広大なマップに点在する史実将軍の少なさがより際立ってしまう。
      • シナリオ間の共通将軍も極めて限定的。シナリオ1から進めてもシナリオ2の著名人が登場しない、あるいは血族関係があっても継承されないケースが多く、歴史の連続性を感じにくい。
      • プレイが進むにつれ、ランダム生成される架空将軍が勢力の中心となり、中盤以降は超一流の史実将軍以外は彼らに埋もれがちになる。
    • 王位継承の再現性も低い。頼朝の息子たちが登場しないなど次世代の血族設定が薄く、コンピューター勢力では序盤を過ぎると架空将軍や、時には文化人が国王に就任するといった不自然な展開が多発する。
  • マップ構成の取捨選択
    • 世界地図を標榜しているものの、細部の密度にはムラがある。ウィーンや琉球王国といった歴史的要所が、隣接都市の領域扱いや地形の都合で事実上カットされている。
    • モンゴル諸部族や大理国といった前作までの勢力も一部姿を消した。
    • 特にインドや東南アジアは空白地が目立ち、都市建設の余地があるにもかかわらず閑散としている。
      • これについては「当時の群雄割拠による未開発状態の再現」という公式の意図も窺えるが、歴史シミュレーションとしての充実感を削ぐ要因にもなっている。
  • プレイスタイルの固定化
    • 王子の能力が誕生都市の文化レベルに依存するシステム上、有能な後継者を残すには国王が文化都市に留まり続けるのが効率的となってしまう。
      • その結果、前線で戦い続けたチンギス=ハーンのような生涯よりも、首都で内政と宴に専念し、部下を遠征させるオゴダイ=ハーン的なプレイスタイルが最適解となる矛盾が生じている。
  • CPUによる都市乱立の弊害
    • 戦略的価値の低い場所にCPUが新都市を建設することがあり、内政の邪魔になるケースが多い。
    • 特に無印Win版では一度作られた都市を廃棄できないため、低能力な将軍の隔離先程度の用途しかなくなる。開発を楽しみたいプレイヤーにとっては、景観と効率を損なう厄介な要素である。
  • 操作性と演出の不備
    • 演出のスキップ機能が不十分で、進行が全体的に重い。早送りをすると重要なイベントまで一気に流れてしまうため、微調整が効かない。
    • 災害(台風)などの演出エフェクトが長く、プレイテンポを阻害している。
    • インターフェイス面でも、ミニマップとの連動不足や設定の保存機能がない点、交易編成の手間など、現代的な利便性に欠ける箇所が散見される。


総評

『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズは『信長の野望』『三國志』と並ぶ、当時の光栄の「歴史三部作」の一角を担っていた作品で、特に今作は力を入れていただけあって非常に良く仕上がっている。~
前作よりも強化されたプレイの自由度は高く、自由な戦略と様々な戦術を考案したり、実行できたりできる。~
またオルド、後継者など他のシリーズには無い部分の戦略もあり強化され、非常にオリジナリティ溢れる物になった。~
他の2つに比べてコアなファンが少ないからか、本作でシリーズが打ち切りになってしまったのが非常に残念に思うプレイヤーが多い。


余談

  • Win版(PK含む)/PS版ともにプレミアがついており、中古市場でも高価で買い取られる一品でもある。

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最終更新:2026年05月11日 01:59

*1 ただし軍隊ユニット同士や軍隊ユニットと都市との戦闘は別画面で行う。

*2 コーエーから2005年12月8日、ソースネクストからは2006年12月14日。

*3 Windows Vista以降での動作は、BGMがループ再生されないなどの不具合が生じている。