[[一人ぼっちの夜]]
都会に出たのが間違いだった。
今日はクリスマスだ・・・・。
クリスマスは実家へ帰る予定だったのだが、仕事で大きなミスをしてクビ・・・。
ここ3日ろくなもん食ってねぇなぁ・・・。
実家に帰る電車代すらない・・・。
このまま飢え死ぬのか・・・?
男は町を歩いている。
すれ違う人々は、クリスマスプレゼントを手にぶら下げている。
男はため息をついた・・・。
むなしいよな・・・こんなクリスマス聞いた事ねぇや・・・。
1人だけ・・・俺だけ・・・突然地獄に落とされた感じだよなぁ・・・。
「おい。」
その時、後ろから声がした。
男が振り向き目にしたのは、男の親友だった。
「1人なのか?家こねぇか?ちらかってっけどよ・・・。」
いつもコイツと喋ってるけど今日は・・・言葉があったけぇ・・・。
「おいおい、何泣いてんだよ。」
「な・・・何でもねぇよ・・・!」
友達って・・・いいなぁ・・・。
友達の優しさを・・・クリスマスプレゼントとして、サンタクロースが渡したのだろう・・・。
人は皆平等なのだ。1人だけ不幸になる。そんな事はないんだよ。
[[腐りきった友情]]
「俺さぁ・・・。将来・・・医者になろうと思うんだ・・・。」
「医者!?おいおい!マジかよ!」
「声がでけぇ!これは秘密だぞ!誰にも言うなよ!」
「俺秘密にぎると・・・言っちゃいそぅ・・・・。」
「言うなよ!言ったら縁切らせてもらうからな!」
「わかったよ・・・じゃぁな!」
「ああ・・・明日学校でな・・・。」
翌日・・・
それは、クラスの学級委員長だった。
「君、医者目指してるんだって?」
一瞬、心臓が飛び出るかと思った。アイツ・・・あんだけ秘密にしてくれって言ったのに喋りやがったんだ!
縁切るったのに・・・・。
「おはよー!」
アイツが教室に入ってきた。
「てめぇ・・・。」
「何だよ。」
「あんだけ秘密にしろって言ったのに・・・喋ったな・・・?」
「は・・・・?喋ってない。」
「ウソつくんじゃねぇよ・・・・!」
「何か誤解してない・・・・?」
「してねぇよ!」
つい突き飛ばしてしまった。
ドン!
一瞬にしてクラス中から注目された!
「何すんだよ!」
顔を殴られた!
バシィ!
「やろぉ!やんのか!」
取っ組み合いになった!
が、クラスの女子が先生を呼んで、2人とも押さえつけられた。
「俺は何も言ってねぇ!」
「なら何で学級委員が知ってんだよ!俺はお前にしか言ってねぇんだよ!」
「俺には関係ないね!」
この日をさかいに、2人の縁は切られた。
ある日、俺は学級委員の家に電話したんだ。
「もしもし。あー何?」
「お前、俺が医者になりたいって誰から聞いたんだよ。」
「教室の後ろにある掲示に書いてあったろ。」
!
やっちまった・・・!
半年前、進路の授業で、将来の職業。そう俺の掲示のその覧に「医者」って書いた記憶がある。
翌日・・・
俺はアイツに謝ろうと、胸をドキドキさせていた。
1時間目・・・学級
アイツは先生に呼ばれ、黒板の前に立った。
「突然ですが、僕は今日いっぱいで他の学校に転校する事になりました。」
目の前が真っ暗になった。
コイツとは幼稚園の時からの親友であり、兄弟のような存在だったのに・・・
俺のせいか・・・・?
次の日、アイツはいなかった・・・昨日アイツに謝る事はできなかった。
机に今日の用具をしまおうと、机の中に手を入れた。何かあった。アイツからの手紙だった。
お前といた10年間。本当に楽しかった。家の用事で転校する事になった。俺がいなくても元気でやれよ!
医者になったらお前の病院に入院してやるよ!じゃな!
短い手紙だった。
俺の責任でない事に安心したが、最後まで礼も何もできなかった。すごく悔いが残った。
レビュー
投稿者:麒麟丸 投稿日:2003/05/18
2編ありますが・・最初の1編は、ショートと呼ぶにも、内容が薄いと思いました。
ショートは短いから、ということだけでなく、短い中で、即、読み手を話に引き込み、端的な説明を簡潔に表し、一つの話にするものです。
題材の基盤は良い話なので、もう少し贅肉をつけるとよいかと思いました。
2編目は、物語の流れだと、転校する前に謝る時間は1日あったのに・・と読み取れるんで、その辺の経緯で、なぜ、次の日に手紙で・・
ということになってしまうのか、という自然な流れの持っていき方をするとよかったかと思いました。
投稿者:ビスコ 投稿日:2003/01/1
少し短い気もするけど こういうのもあるんだって思いました。
投稿者:明日があるよ 投稿日:2002/12/2
こんなに感動させてもらっていいのだろうか・・・・この作品には著者のセンスの良さを感じる。お勧めの一冊。
投稿者:水道のおいしい水 投稿日:2002/12/1
一人ぼっちの夜については、孤独な感じが良いですね。(最初)人生くじけてはだめだと思いました。
腐りきった友情については、私もある人との友情が腐りきってますからねぇ。自分の犯したあやまちにきずいてももう手遅れ。
この本を読んでそう言うことに注意しないと!と思いますね。でもこの二人の友情はつきることがないと思います2作とも良い本でした。
投稿者:哲矢 投稿日:2002/11/25
2つの短編小説が入っている本である。言い方は悪いが2つの話とも、ありきたりである。
勿論ありきたりというのはそれだけいい話だからこそよく使われるわけで、それなりの内容は持っていると思う。
特に2話目の「
腐りきった友情」の方は力が入っていて、いい文章だったと思う。
最終更新:2022年08月28日 00:02