れいむの平和な一日(前編) 11KB
現代 飼いゆ 駆除 希少種
『れいむの平和な一日(前編)』
タイポあき
3作目
※注意など
・現代もの
・飼いゆもの
・駆除もの
・希少種も少しだけでます
***
公園の木々も枯れ始めるこの季節、野良ゆには厳しい季節です。
冬に備えて大量の食料が必要にもかかわらず、それに反して、ただでさえ少ない食料がさらに減少してしまいます。
草花が枯れることに加えて、野良ゆ対策にゴミ管理の徹底が行なわれるからです。
加えて非情なる乾いた風が、エサを探し回るゆっくりのお飾りを、容赦なく奪っていきます。
とは言え、それは野良ゆにとっての話。
風さえなければ、意外とすごしやすいものです。
窓辺でのんびり日にあたっていたかと思えば、うとうとしていた自分に気が付くほどです。
「すーや、すーや」
お姉さんの飼いれいむも、野良ゆの苦労とは無縁の世界の住人です。
日のあたる窓辺で、すやすやタイム中です。
「ゆふふ、こんなにたくさんのベーコンごはんさん、ゆっくり食べきれないよ!」
どうやら幸せな夢を見ているようです。
ですが、本当に家の中なら安全で快適なのでしょうか?
今回は、このれいむの一日を見守ることにしましょう。
***
「じゃあれいむ、ちょっと駅まで友達を迎えにいってくるから。お留守番お願いね」
突然の姉さんの声です。
「ゆっ! ゆわわわ、ゆっくり起きるよ。のーび、のーび」
声をかけられて驚いたれいむでしたが、体を伸ばして餡のコリをほぐすと、キリッと表情を改めます。
「お姉さん、いってらっしゃい!
れいむの心配はいらないよ、ここはれいむに任せて行ってね!」
そう言って、しっかりお姉さんを送りだしました。
お姉さんを送り出したら、再びすやすやタイム。
お気に入りの窓際で、二度寝に入ります。
しかしゆっくりが幸せになれば、それを崩そうとするものが現れるのが世の理です。
寝ているれいむを睨み付ける、影がひとつ。
まりさです。
硬いアスファルトを跳ねてきたあんよは、泥汚れにまみれた上にささくれだっています。
ゴミ漁りでついた汚れで異臭を放つお帽子は、くたくたにくたびれてしわくちゃです。
しかし最も目を引くのは、黒く濁ったおめめ。
おめめを覗きこめば〈まんじゅうの餡黒面〉が広がっていることでしょう。
「ゆへへ、こんなゆっくりプレイス、無能なれいむにはもったいないんだぜ。
まりささまが使ってやるから感謝するんだぜ!」
そういって、庭に落ちている石を拾います。
石を投げつけて、窓を割る気なのでしょう。
「でも意外と美ゆっくりだから、〈永遠にゆっくり〉するまで〈すっきり〉するのも悪くないんだぜ!」
石を口に含みながら喋れるあたり、なかなか器用なものです。
そんなまりさに、電柱の影から熱い視線を投げるひとつ影がまたひとつ。
ありすです。
砂や泥で煤けてはいるものの、野良特有のゴミ漁りの対価である腐臭はありません。
捨てられた飼いゆなのでしょう。
カチューシャに残る、バッチを引きちぎったほつれの痕もそれを裏付けます。
「ゆふふふ、とってもかわいいまりさねー。そんなにお尻をふってありすを誘ってるのねぇぇっ!」
発する言葉はれいぱーそのもの。
口元は垂らしたよだれでべちゃべちゃ、そして〈ぺにぺに〉はギンギンにせり立ってます。
きっと〈れいぱー化〉して捨てられたのでしょう。
〈すっきり〉に対する自制が、まったくありません。
さらに、そのありすをスコープ越しに覗く影がまたひとつ。
胴つきうどんげです。
近くのビルの屋上で、匍匐態勢でライフルを構えています。
その腕には、「野良ゆ駆除員」の文字が書かれた腕章をしています。
人間に混じって働く、公務ゆっくりの一体――いや一人なのでしょう。
「げら(クソッタレのれいぱーめ! その醜い顔をフッ飛ばしてやる!!)」
ふてぶてしいながらもどこか愛嬌のある顔も、今は嫌悪に歪んでいます。
〈れいぱー〉に良くない思い出でもあるのでしょうか。
そう呟きながら、〈カプサイシン弾頭〉がこめられたライフルの引き金に指をかけるのでした。
さらにさらに、うどんげを上空から補足する影がまたひとつ。
周回軌道上を巡る人工衛星です。
その映像は電波を通し、お兄さんの部屋へと送信されます。
「うふふふふ。うどんげ……。まさか狙う側の自分が狙われているとは思うまい」
その口元は禁忌に触れることに伴う、特有の愉悦に歪んでいます。
彼自身、その行いが倫理に反するものなどは承知しているのでしょう。
分かってなお、彼はスイッチの上に指を乗せ、その時がくるのを待っているのでした。
***
まりさがぷくーと体を膨らませました。
投石の態勢です。
対象は窓ガラス。
そしてその奥に写る、すやすや二度寝タイムのれいむです。
まりさの中にとりこまれた空気の圧力が、石に伝わるその瞬間でした。
「まりさあああっ! ぷくーして怒っているフリなんかしなくてもいいのよおっ!
まりさがありすのことを愛いているのは、知っているんだからああっ!」
ゆっくりにあるまじき猛スピードで、後方からありすが迫ってきました。
「ゆべらっ! ごっくりー!」
体当たりのと変わらない勢いで、まりさに〈ぺにぺに〉を突き立てるありす。
まりさにとっては、たまったものではありません。
お口のなかの石を、思わず飲み込んでしまいました。
「ゆあああああっ、あでぃすううううううっ!
ありすはゆっくりできないよ! ぴょんぴょん逃げるよ!」
そういって逃げようとするまりさですが、飲み込んだ石の重さで跳ねることができません。
もっともそれが無くても、れいぱーから逃げられたかは疑問ですが。
「どうしてあんよさん動いてくれないのおおぉっ!」
「ゆあっ、ゆげ、うほっ。すっきりー!
いやいや、やめてねありすまりさはまだ……。すっきりー!
えいえんに……ゆっくりしたくは……。すっきりー!」
ありすが中身を解き放つたびにまりさが悲鳴をあげ、額からは茎が伸びていきます。
一本、二本、三本……。
茎はどんどん増えていきます。
「まりさのまむまむ最高だわああっ!
でもこれでフィニッシュよおおっ! 最高の愛をあげるわああああっ!」
そういって体を打ち付ける速度を上げました。
「ぼう、これ以上すっきりしたくない……。すっきりー!
ばりさ死んじゃう……。すっきりー!」
そういって許しを請うまりさ。
しかし茎の数がダース単位で数える状況となったいま、〈すっきり死〉をまぬがれることはできないでしょう。
今すぐに〈ゆっくり〉するか、それとも数時間後か――それだけの問題でしかありません。
「まりさあぁああっ! すっすっすっきりぃぃいっ! ――ゆべしっ!」
ありすがすっきりに達したその瞬間でした。
遠方から飛来した〈弾丸〉が、ありすを捕らえたのです。
まんじゅう皮を突き破った〈弾丸〉は、カスタードクリームを掻き分けて進むと、中枢餡に食い込んで静止します。
つづいて先頭がマッシュルームに変形すると、内部のカプサイシン成分と運動エネルギーを解放。
ありすの中枢餡を一瞬にして、破壊します。
「ゆっ、よく分からないけど、ゆっくり逃げるよ!
そろーり、そろー……エレ、エレ」
ありすがゆっくりしてしまった隙をついて、逃げようとするまりさ。
しかし中枢餡が破壊されても、その体は死んでいません。
まりさに注ぎ込まれるカスタードも、むしろその制御を失った今、かえって勢いを増します。
その全てを出し切るまで止まりません。
それは、まりさに許容量を超えるカスタードが注ぎ込まれることを意味しています。
高まりすぎた圧力の逃げ場は、まりさのおくち。
まりさの体内の餡子とともに、外部へと解放されるのです。
ありす一匹分のカスタードが注ぎこまれる以上、押し出されるまりさの餡子も同量になるでしょう。
「餡子さん、まりさから出ていかないでね!
あと、ありすはゆっくりしないでどいてね!」
そういってお願いするまりさでしたが、餡子の流出はとまりません。
また、石を飲み込んで重くなった体では、ありすを振りほどくことも叶いません。
「ゆっ、そうだ、ゆっくりおくちを閉じるよ!」
まりさが、口を閉じれば餡子の流出が止まることに気がつきました。
餡子の勢いはかなりのものでしたが、そこは生き残るための執念が打ち勝ちました。
なんとか口を閉じることに成功します。
しかし、それではまりさ内部の圧力は高まるばかり。
逃げ場を失った圧力は、逃げ場と探して暴れまわします。
それに耐えるまりさ。
お口をあけることは、死につながるのですから文字通り死にものぐるいです。
ともすれば、〈永遠にゆっくり〉して楽になりたいとすら思える苦痛の中、口をつむぎ続けました。
すぽん! ころころ、ころり。
その均衡を破ったのは、間抜けな音でした。
まりさのおめめが、内圧に耐え切れずに飛び出してしまったのです。
まりさを離れた二つのおめめは、まりさをあざ笑うかのようにゆっくりと転がっていくと、排水溝の中へと消えていきました。
これでまりさは永遠に光を失いました。
しかしまりさは諦めません。
必死におめめを閉じて、生に執着します。
ですがそれでは、高まり続ける内圧を下げることはできません。
そうして再び、圧力という名の怪物が出口を求めて暴れだしました。
ぶちぶち、ぷしゅー!
それが二度目の均衡を破った音でした。
まりさの頭の皮が破れてたのです。
まりさは、何度も〈すっきり〉して沢山の茎を生やしていました。
赤ちゃんに餡子を送るために、茎は空洞になっています。
当然、茎を生やしたまりさの頭の皮にも沢山の穴が開いています。
結果として、最も弱くなった頭の皮が破裂したのです。
頭から噴出した餡子は、まりさのお帽子を吹き飛ばし、そのまま噴水のように吹き上がり続けました。
そして数分後、まりさの中身はほとんど出しつくされ、餡子の噴水は止まりました。
それはまりさの命の終焉を示しています。
「もっとゆっくりしたかった……」
このゆん生をしめくくる一言も発せぬまま、短いゆん生を終えたのでした。
***
「ゲラ!(作戦目標をクリア。作戦行動を終了します。)」
そう言うのは、スコープを覗いていた胴付きうどんげです。
自分の成し遂げたことに満足し、撤収へと入る彼女。
しかし、そのときでした。
この時期特有の、砂埃を含む強い風が彼女を襲います。
とっさに目を閉じましたが、目に砂が入ってしまいました。
カラン。
思わずスコープを取り落としてしまいます。
ころころ、ころり。また、ころり。
円筒状の光学部品は、屋上の傾斜に従って転がります。
その先にあるのは、屋上の端を示すフェンス。
ですが、小物であれば、引っかからずにそのまま落ちてしまうでしょう。
それに気が付いたうどんげは、迷わずヘッドスライディング。
スカートがめくれてパンツが見えてしまうのもかまわずに、スコープに迫ります。
勢いのままフェンスの下に体をねじ込ませると、下に落ちそうなほど上半身をビルの端から投げ出します。
性能の良い光学レンズは、彼女にとってそれほどまでに重要な品なのです。
その甲斐もあって、なんとかスコープをキャッチすることができました。
しかし、そのときの格好といったら見てられません。
スカートがめくれあがるだけならまだしも、フェンスに引っかかったパンツは破れ、ボロ布となって転がっています。
さらに極めつけは自分の体勢。
落ちないようにと、そろりそろりと戻っているのですが、お尻を上に向かって突き出すポーズになっています。
正直、こんな姿を見られては生きていけない!
ここが屋上で、誰もいなくてよかった。
心底そう思う彼女でした。
ぽちっとな。
カシャリ。
しかし、現実は起こって欲しくないことほど起こるもの。
ここから離れたある一室、そこでお兄さんは歓喜に包まれていました。
「ふふふっ、ふはははっ、やったぞ! ついにやった!!」
馬鹿みたいに大声を上げてはしゃいでいます。
彼の目的は、愛しいうどんげの盗撮。
そのために人工衛星まで持ち出したのです。
初めは望遠レンズで盗撮ようとしたのですが、光の反射で気づかれて、逆に狙撃されてしまいました。
彼自身は無事でしたが、カメラの生体部品であるきめーまるが、〈カプサイシン弾〉を受けて永遠にゆっくりしてしまいました。
その程度でひるむ彼ではありませんでしたが、犠牲になった〈カメラ〉がトリウムの崩壊系列の数を超える頃には、望遠レンズによる盗撮の無駄を悟りつつもありました。
しかし、そこで引くお兄さんではありません。
彼はお隣さんに、相談を持ちかけます。
加工所勤務の研究員である、心優しいお隣さんは、即座に協力を快諾します。
100円ショップで材料をそろえると、おくうを動力とした人工衛星を作り、ドスを発射台として打ち上げたのです。
もちろん、きめーまるともみじを組み込むのも忘れていません。
素晴らしい〈目〉を手に入れたお兄さんは、うどんげを見つめ続け、チャンスを待ったのです。
そうして得られたのが、先ほどの奇跡です。
さらに手元には、修正なしには表に出せないほどの画像。
叫ばすにはいられないでしょう。
「素晴らしい!
これだけのものならコレクションとしてだけでなく、上手く使えばうどんげにあんな事やこんな事をさせるのも夢じゃないぞ。
ふふふっ、ふはははっ、はーはっはっは!
やったー! ついにやったんだ! やったー!!」
股間のレイピアに〈白くべたつくなにか〉をエンチャントさせながら、向こうの世界に行ってしまうのも、無理からぬことなのでしょう。
どんっ!
「うるさいぞ! 静かにしろ!!」
「すいません……」
もっとも隣の部屋からの苦情によって、すぐに現実に引き戻されてしまいましたが。
***
この後、お兄さんとうどんげの間にはあんな事やこんな事、はたまたそんな事まであるのですが、それはまた別のお話です。
いまはひとまず、れいむにスポットライトを戻しましょう。
突然目の前に現れた、ゆっくりできる〈あまあまの噴水さん〉に目を輝かせているれいむに。
-To Be Continued.-
この後、お話の傾向が変わるので、ここまでを前編とします。
後編は近いうちにできると思います、たぶん……。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- てっきり、善良うどんげを衛星狙撃する外道お兄さんかと思ったが、
ただの盗撮かいっ!?ww -- 2018-01-10 16:20:30
- お兄さんwww 念願かなって良かったねw
人工衛星打ち上げにどんだけ金使ったんだがww -- 2010-10-12 20:39:19
最終更新:2009年11月15日 16:13