ふたば系ゆっくりいじめ 519 ゆっくりの電車02


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「だ、だれなんだぜえぇぇ!! まりさは目をつぶってるから、正直に名乗り出るんだぜえぇぇ!?」
「あ、ありすおねえさんは、まりさと一緒にいたよ! だから、ありすおねえさんとまりさは違うよ!」
「…まりさ…ひろばに戻るときは…わたしたち…別々に戻ったわ……」
「あ、ありすおねえさん…! ち、違うよ! まりさじゃないよ! まりさは…!」

犯ゆんを特定しようと足掻くもの。

「だ、だれだあぁぁ?! で、でいぶは死なないよっ! ぜっだいにいぎるよおぉぉ!」
「ゆ…ゆふふ…死んじゃうんだね…れいぶだぢ…みんな死んじゃうんだね…ゆっくりりかいしたよ…」

生に執着するもの。生を諦めるもの。

「ゆやあぁぁ!! れいみゅたち、ちんじゃうのおぉぉ?! きょわいよぉ…」
「うー!? いやなんだどー!? じぬのはいやなんだどー!! さぐやー!!」
「ゆ、ゆっ! だ、だいじょうぶだからねぇぇ! れいむのおちびちゃん達ぃ…!
 おちびちゃんは、おかあさんが絶対に守ってみぜるがらねえぇぇ!!」

ただ恐怖に震えて寄り添い合う母と子。

長ぱちゅりーから知らされた驚愕の事実は、ゆっくり達にとって、何の救いにもならなかった。
いまや、仲間だと思っていたゆっくり達の、誰もが信用できない。
隙を見せれば、次に死ぬのは自分かもしれない。
身動きする事すら恐ろしく、ゆっくり電車がガタゴトと音を響かせる中、沈黙が場を支配する。


「そ、そうよ! あのゆっくりの中身は餡子さんだったわ!
 だったら、おさとありすは、犯ゆんじゃないでしょ!?」

沈黙を破ったのは、ありすだった。

「……むきゅ…ありす…それは私も考えたわ…
 でも…例えば犯ゆんが私とまりさを殺したとして、まりさのお帽子を私の死体に被せて、自分は私のお帽子を被れば、
 まりさの餡子さんを残して私になる事もできるのよ。絶対ではないの…」(※121ページ 図1参照)

図1

▲ ⌒ ?
ま ぱ 犯

  ↓

無 ▲ ⌒
ま ぱ 犯
餡 ま ぱ ←ゆっくりにはこう見える

「……そう。つまりぱちぇは、ありすも疑ってるのね…」
「……」


「…おさ…おさを信用して聞くわ。何か犯ゆんを見つける方法はないの…?」

再び沈黙が流れた後、口を開いたのはやはりありすだった。
このまま事態を動かせず、いたずらに疲弊するよりは、勝負に出る事を選んだのだった。

「むきゅ…むきゅう……」

長ぱちゅりーは考える。
今まで、群れの皆が困ったときに助けてくれたのは、経験と知識。
つまりは、お兄さんがくれた思い出達だった。
だから、きっと今度もぱちぇを助けてくれる。
そう信じて、長ぱちゅりーは、お兄さんとの思い出を振り返る。

……

むきゅん!? おにいさん いきなり どうしたの!?
おにいさん…き…きもちいいわぁ~ ぱちぇのなかの くりーむが とろけちゃう…
もっと もみしだいて~

……!

「むきゅうっ!!」
「おさ、何か思いついたのね。ありす達に説明してちょうだい。」


「むきゅ、いいこと? みんなこれから、ふたりずつで一組になってちょうだい。
 そして、お互いに体をくっつけあって、他の組とは離れるの。」
「ゆ…? どおおしてそんなことするのぉ?」
「まだ続きがあるの。ゆっくり聞いてちょうだい。もし、その状態で誰かが襲われて死んだとするわ…」
「い、いやなんだどー! まだじにたくないどー!?」「ゆんやあぁぁ!!」
「しーっ! れいむのおちびちゃん達! ゆっくりおさの言うことを聞いてね!」
「うー…」「ゆぅぅ…」

「…他の組のゆっくりを殺すには、自分が組になっているゆっくりから離れなければならないわ。
 だから、誰かが襲われた時に、他の組がみんなお互いに離れていなければ…」

「襲われたゆっくりと組んでいたゆっくりが犯ゆん…なのぜ」
「そうよ。そして、他の組で離れたゆっくりがいれば…」
「その組のゆっくりのどちらかが犯ゆん…ということね」
「むきゅ。そうね。その場合は、どちらが犯ゆんかは決まらないわ…可愛そうだけど、同じ組のゆっくりには…」

一回で理解したありすと運転士まりさを除く他のゆっくりに何回か説明をした後、
赤ゆっくり以外の全員がようやく長ぱちゅりーの作戦を飲み込む。

「で、でも?! それって誰かひとりは襲われるってことでしょおぉぉ!
 それに犯ゆんと同じ組になったら、むじつなのに殺されちゃうかもしれないよぉぉ!
 れいむはいやだようぅぅ!! じにだぐないよおぉぉ!?」

真っ先に異を唱えたのは、痴ゆんれいむ。
他のゆっくりの中にも、口にこそ出さないが、戸惑いを隠せない者はいる。

「このまま一人ずつ殺されてゆくよりは、よっぽどマシでしょ! 他に何か手があるの?!
 れいむ! 覚悟を決めなさい! とかいはじゃないわよ!」
「ゆ…ゆう………ゆっくりりかいしたよ…」

「…また霧さんが出てきたんだぜ…」

運転士まりさの声を機に、ゆっくり達が互いに組を作り始める。

長ぱちゅりーとしんぐるれいむ
ありすと若まりさ
運転士まりさと痴ゆんれいむ
つがいれいむと、二匹の赤ゆ達

段々と霧が深くなって行く中、青ざめたゆっくり達を乗せ、ゆっくり電車はひた走る。

「むきゅ! みんな! 犯ゆんがわかったら、戦えるゆっくりは全員でかかるのよ!
 倒せなくてもいいわ! でんしゃから落とすだけでいいの! 逃げ切れば私達の勝ちよ!」

「とかいはに生き残るわよ!」「ゆ、ゆう…!」「だぜぇっ!」「でいぶはじぬもんがぁ!」
「ゆふふ…もうどうでもいいよ…れいむはおちびちゃんに会いにいくよ…」
「おちびちゃん達は絶対に守るよ!」「ゆぅぅ…きょわいよぅ…!」「うー♪」


そして霧が全てを包み隠す。

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「むきゅ? おそらを…むきゅうううぅぅぅ!?!?」

「「「「おさあぁぁぁ!?!?」」」」

「むきゅうう!! みんなぁっ! まだうごかないでっ!! むぎゅうううっっっ!!!!!」
「だ、誰か離れた?! ありすとまりさは離れてないわ!」「ま、まりさはありすおねえさんと一緒だよ…!」
「まりさとれいむも離れてないんだぜ!」「で、でいぶはいぎでるよぉ!!」
「おちびちゃん達は絶対に離さないよ!」「おきゃあしゃあん…!」「うー♪ なんだかたのしいんだど~♪」

   「ゆふふふ……」


長ぱちゅりーは、帽子ごと何かに髪を掴まれ、宙に浮いていた。
じたばたと身を捩り、髪が何本か抜けるが、それで逃げられる訳がない。

「むきゅうう!! みんなぁっ! まだうごかないでっ!!」

生け贄の羊は自分自身だった。
だが、それでいい。元より、自分が考えた策だ。
あとは、ありすが…最悪、ありすが犯ゆんだった場合、運転士のまりさなら皆を引っ張ってくれるだろう。

不意に、スッ…と、体が下に下がったかと思うと、次の瞬間、激痛があんよを襲った。

「むぎゅうううっっっ!!!!!」

一瞬遅れて、体が地面に擦りつけられているのだと気付く。
高速で走行するゆっくり電車に、地面を引きずらている状態だ。

「むきゅううぅ!! いたいいたいいたいぃぃ!!! はなしてぇぇ!」

細かい砂がざりざりざりっと底部の饅頭肌を削り取り、尖った小石が高速で掠めて長ぱちゅりーのあんよを切断する。
傷口から漏れだした生クリームが、乾いた地面に白い筋を何本も描いて行く。
なんとか痛みから逃れようと、体をくねらせて、地面とあんよが平行になるようにする。
ただ引きずられていては、あっという間に体を削り取られて絶命する。
地面を跳ねる事で、設地する時間を減らすのだ。
せめて、霧が晴れ、皆が反撃の体勢を取れるようになるまで、生きて、時間を稼ぎたい。
その一心で、長ぱちゅりーは大きく跳ねようとする。   だが

何か、巨大な力が、ぱちゅりーの頭を押さえつけていた。
跳ねようと、上に向かった力は、全てその力に押し返される。
地面と、上からかかる力に挟まれ、長ぱちゅりーのあんよが、凄まじい勢いでガリガリと削れて行く。
あんよの皮が一瞬でベロリとめくれ、千切れて、体から離れていった。
ゴポリと、大量の生クリームが地面に零れる。

「むぎょぉぉっ?!?! たすけてえぇぇっ!!! お

そこで下顎がなくなり、それ以上は声を出せなかった。
生クリームが漏れ出す度に、その中の記憶が流れ出すのか、走ゆん燈のように、長ぱちゅりーの記憶が脳裏に浮かんでは消える。

その記憶の中に

森のけんじゃは、真実を見い出した

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霧が晴れる。

「ぱちぇえええぇぇえぇぇっっ!?!?」
「「「「「おさあああああぁぁっ!?!?」」」」」

ゆっくり達の絶叫が響き渡る。

ゆっくり達の真ん中に横たわっていたのは、口から下がなくなった長ぱちゅりーだった。
見開いた目からは涙が溢れ、電車の床を濡らしている。
口より上の部分からも相当量の中身が漏出しているのか、長ぱちゅりーの後頭部はベッコリとへこんでいた。

「ぱちぇえぇっ!! ぱちぇえええっ!! いやあっ!! こんなのいやああぁっ!!」

ありすの声に反応したかのように、長ぱちゅりーの上唇が微かに動く。
最後の力を振り絞って、仲間達に何かを伝えようとするように。

(…犯人……は…………)

しかし、もう長ぱちゅりーの体に、声を出すための機構は存在しない。
長ぱちゅりーの瞳から最後の涙が零れ落ちると共に、唇の動きも止まった。



「ゆふふふ……」

ゆっくり達の視線がその声の元に集まる。
殺気と畏怖を込めた視線を向けられながら、しんぐるれいむは笑っていた。

ありすが最初に動いた。

みょんの亡骸に刺さっていたはくろーけんを咥え、しんぐるれいむに突進する。

「ゆ゛っ…」
はくろーけんが、グシュと音を立てて、しんぐるれいむの下腹に突き刺さり、しんぐるれいむは僅かに呻く。

「ゆ…ゆわぁぁぁ…!!!」
「ゆ゛ぎっ…」
若まりさが帽子から小ぶりな枝を取り出し、しんぐるれいむのあんよに突き刺す。

「よぐもれいぶのまりざをぉぉ!!!」
「ゆ゛がっ…」
つがいれいむが、死んだまりさの帽子から枝を取り出し、しんぐるれいむのあんよに突き刺す。

「じねえええっ!! よぐもぱちぇをぅぅ!! ゆっぐりどじだ! とかいはなぱちぇだっだのにぃぃ!!
 いっづも! むれのごどばがりかんがえでる! ゆっぐりどじだ! おさだっだのにぃぃぃ!!!!」
「ゆ゛っ…ゆ゛っ…ゆ゛っ…ゆ゛げげっ……」

ありすが、叫びながら、はくろーけんを抜いては刺し、抜いては刺しを繰り返す。

「ありす…もういいのぜ…その怪我なら…ソイツはもうまともに動けないのぜ…
 それに…今のありすを見たら…おさは…とかいはじゃないって言うのぜ…」

運転士まりさの言葉に、ようやくありすの動きは止まり、ポロリとはくろーけんを取り落とした。

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「ゆ゛っ…ゆ゛げっ…ゆ゛っ…ゆふふ……」

二本の枝が刺さったまま、しんぐるれいむが、壊れた呻き声を上げ続ける。

「ぱちぇ……ぱちぇぇ……」
「ゆうう……ありすおねえさん……」

ずっと泣き続けているありすに、若まりさがそっと寄り添い、頬を押しつける。

「れいむのおちびちゃん達…もう大丈夫だよ…ぜんぶ…おわったからね…」
「ゆぅぅ……おきゃあしゃん……」「うー! ぷっでぃーん♪ たべたいんだど~♪」
「ゆ…そうだね…おうちに戻ったら、ごはんさん、むーしゃむーしゃ、しよう…ねぇ…!」

赤ゆ達をあやしながら、れいむが車窓から外を見やる。
林道は崖沿いの道に差し掛かり、遙か下には広い地面が広がっている。

ゴンッ…

「ゆ?」

何か硬い物が床を叩く音に、れいむや他のゆっくり達の注意が向く。
音のした場所には、人間の握り拳大の石が転がっていた。
そこに、

ゴンッ…

もう一つ、同じくらいの大きさの石が降ってくる。

「上から来るんだぜ! 気をつけるんだぜ!!」

運転士まりさの声に、ゆっくり達が一斉に上を見上げると、ちょうど三つ目の石が落ちてくるところだった。


(え……?)

降ってくる石を見ていたありすの目が、視界の下端、床の方に何か動くものを捉えた。
次の瞬間、ありすの体が何かに強く押され、バランスを崩したアリスの体がコロコロと、車内を転がる。
崖下を望む、ポッカリと開いたゆっくり電車の乗車口へと向かって。

「ゆああぁっ?!」 「ゆっ?!」

ありすが悲鳴を上げるのと、若まりさがありすの窮地に気付いたのはほぼ同時だった。
ありすの体が乗車口から転げ落ち、崖下へ向けて一直線に落ちて行く。

だが、落下はすぐに止まる。

「ゆ…ぎぎぎ……!」

間一髪、若まりさが飛びついて、ありすの髪を咥えて落下を阻止していた。
しかし、成体になり立てで、まだ小さい若まりさの体では、ありすの体を支えきることはできない。
若まりさの体も、ずりずりと乗車口の外に向けて引きずられ、コロンと落下する。

「まりさあぁぁ?!」 「ゆうぅぅ~?!」

しかし、またも落下は阻止。
今度はつがいれいむが、若まりさの髪を、痴ゆんれいむが、つがいれいむの髪を咥えて支えていた。
それでも、まだ危機が去ったわけではない。

「「ゆーえす! ゆーえす!」」

二匹のれいむが、若まりさとありすの体を引き揚げようとするが、仮にも成体二匹の重量。
一気にひっぱりあげられる物でもない。
そして、新たな破滅の綻びが生まれた。

ビリ 「ゆぎっ?!」

綱引きの綱の一番弱い部分、若まりさのまだ弱い頭皮がわずかに破れた。

「まりさ…?」 「だ、だいじょうぶだよ! ありすおねえさん! すぐに助けるからね!」

ビリ ビリ 「ぎっ!!」

「ゆ? ゆあぁぁ?! ま、まりさのあたまが破れちゃうよおぉ!!」

気付いたつがいれいむが、後ろから叫ぶ。


「…! まりさ! ありすを離しなさい! このままじゃ、ふたりとも死んでしまうわ!」
「ゆうう! やだああぁぁ!! まりさはありすおねえさんを守るんだぁぁ!」
「ま、まり…さ……」
「まりさは、ありすおねえさんとゆっくりしたいよぉぉ!! ずっといっしょにゆっくりしてほしいよぉぉ!!」
「………まりさ………ありがとう……ゆっくりしていってね…」
「ゆゆっ?   ゆぴゃあっ?!」

突然、若まりさの片目に何かが飛び込み、驚いて咥えていたありすの髪を思わず離してしまう。

「ゆ…ゆああぁぁ!!! ありずおねえざあぁん!!!!」

若まりさが、無事な方の目を下方に向ける。
その瞬間には、ありすの体はまだすぐそこに浮いていた。
ただし、もはや若まりさからは絶対に届かない距離だが。

そこで、ありすは、にっこりと笑っていた。
ニュルリとした精子餡が滴るぺにぺにを、若まりさの顔に向けておっ勃てたまま。

「あら、失礼♪ ありすったら、とんだいなかものね!」

ありすの笑顔はすぐに小さくなって行き、やがて崖下へと消え去り見えなくなった。

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「ゆうぅぅ…! ゆうぅぅ…!」
「どうしてぇ…どうしてありすが死ななきゃいけないのぉ…もう殺ゆん鬼は倒したのにぃ…」
「おきゃあしゃん…」「うー?」
「………」

若まりさがすすり泣き、つがいれいむも、赤ゆ達に擦り寄られながら涙を流す。
痴ゆんれいむは何も言わず、運転士まりさは、何も考えないようにしているのか、前を見据えたまま電車を操る事に専念している。


「…ゆっ! れいむ、いい事考えたよ!」
「「「ゆ?」」」

痴ゆんれいむが唐突に、そう宣言し、他のゆっくり達が疑問の声を出す。

「ゆ…れいむ…おねーさん…?」

ニコニコと笑いながら近づいてきた痴ゆんれいむに痴ゆんをされた記憶が蘇り、若まりさが顔を引きつらせる。
そのれいむの背中、若まりさからは死角にあったものを見て、つがいれいむが直感にまかせて叫ぶ。

「まりさ、逃げてぇぇっ!!」


「ゆ……?」

つがいれいむの叫びが届いた時には、痴ゆんれいむが隠し持っていたはくろーけんが、若まりさの口から背中までを貫いていた。

「ゆ……なん…で…ゆ…?」

ゴボリ、と若まりさの口から餡子が漏れ、体が痙攣を始める。

「ゆ゛っ…ゆ゛っ…ゆ゛っ……ありず…おねえ…ざん……ごべんな…ざい…………」

「どおおおじでごんなごどずるのおぉぉ!?!?」
「なにするんだぜぇぇ?! でいぶぅぅぅ!?!?」

痙攣が止まった若まりさの体から、はくろーけんを抜いた痴ゆんれいむに向けて、つがいれいむと運転士まりさが叫ぶ。

「ゆっ! このまま帰ったら、れいむは痴ゆんの罪で捕まって群れを追放されちゃうんだよ!
 でも、れいむひとりしか帰らなかったら、れいむは無罪だよ! かんっぺきっな作戦だね! ゆっくりりかいしてね!」
「このげずうぅぅ!! ゆっぐりじでないげずは、ゆっぐりじないでさっさどじねえぇ!!」
「死ぬのはれいむの方だよ!」

はくろーけんを咥えて突進してきた痴ゆんれいむに対して、つがいれいむは身を捩って交わす。
頬を掠めたはくろーけんが、つがいれいむの饅頭皮を切り裂く。
痛みに怯んだ隙を逃さず、痴ゆんれいむが体当たりをしかけ、弾き飛ばされたつがいれいむは電車の壁にぶつかって、餡子を吐く。

「ゆぶぶ…!」
「れいむ! これを使うんだぜ!」

運転士まりさが自分の帽子から枝を取りだし、つがいれいむに向けて放り投げる。
枝を拾ったつがいれいむは、殺気の籠もった目で痴ゆんれいむを見据える。

「おお、こわいこわい! こわいから、れいむは赤ちゃんから殺すことにするよ!」
「ゆ?! ゆあああぁ?! やべでえぇぇ!!」
「ゆんにゃあぁぁ! きょないでえぇぇ!! おきゃあしゃあん!! たしゅけちぇぇ!!」
「うー…」

つがいれいむが飛びかかるより先に、痴ゆんれいむは赤ゆ達のすぐ隣まで跳ね、一匹の赤れいむにはくろーけんの切っ先を向ける。

「ゆふふ! れいむの赤ちゃんはとってもゆっくりできるね! れいむ、赤ちゃん助けたい?
 助けたければどうすればいいか、ゆっくりりかいしてね!」
「れいむ! だめなんだんぜ! れいむはきっとみんな殺すのぜ! 言うことを聞いたらゆっくりできなくなっちゃうんだぜ!」
「うるさいよ! まりさ! まりさは群れの近くに着くまでは殺さないであげるよ! だから大人しく運転しててね!」
「ゆ…ゆぅぅ………」

つがいれいむが悔しげに歯を食いしばるが、すぐに枝を放り捨てる。

「ゆぷぷ! じゃあ、れいむから殺してあげるから、ゆっくりとこっちにきてね!
 そうしたら、赤ちゃんだけは助けてあげるよ! ほんとだよ! れいむはうそつかないよ!」

「おきゃあじゃああん!! きょわいよぉぉ!! おねいちゃああん!!」
「うー…なんだがこばらがへってきたんだどぉ……そうだどー! おやつのじかんにするどぉ~♪」

「ゆ?」

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何? 何がおきたの? どおおして…

痴ゆんれいむは困惑していた。
赤ゆが生意気にも噛み付こうと飛び掛ってきたので、もみあげで叩き落した…はずだった。
だが、次の瞬間、自分の体に激痛が走っていた。

「ゆ゛っ…ゆがあああっ?! いだあいいっ!! ゆぎいぃっ!! どぼじでえぇっ!?」

痛い 痛い 痛い 頭が痛い おめめが痛い


何? 何がおきたの? どおおして…

つがいれいむは困惑していた。
れいむの赤ちゃんが、あのれいむに飛び掛ろうとしていた。
制止の声すら間に合わず、れいむのもみあげが動き、赤ちゃんを叩こうとする。
だが、次の瞬間、あのれいむの頭がもみあげごとゴソッと欠けていた。
右のほっぺから、右目の中心を通って、頭頂部やや右側まで。
何かで抉り取ったように、無くなっていた。

「うー!!」

むしゃむしゃと何かを咀嚼する音が聞こえる。
それからまた、痴ゆんれいむの頭が、更にゴッソリと欠けた。

「ゆ゛がっ…ゆ゛ががっ…でい…ぶは…じぬ…もんが……じにだぐ……な………」
「うー♪ …うー? なんだか、あんまりおいしくないんだどー…こんなものはぽいっするどー!」

赤れいむが、半分ぐらいに減った痴ゆんれいむを電車の外に投げ捨てた。
そして、くるりと向きを変え、もう一匹の赤れいむに顔を向ける。

「うー♪ こっちのほうがおいしそうなんだどー! えれがんとなおぜうさまのおやつにふさわしいんだどー!」
「ゆぅ…? おねい…ちゃん…?」


「ゆぴいぃぃいぃっ?! おねいちゃあんっ! れいみゅいちゃいよぉぉ! はなちちぇぇ! どうちてこんにゃゆぎいぃっ?!」
「うー♪うー♪」

「お、おちびちゃん! やめてあげてね! いもうとのおちびちゃんがいたがってるでしょおぉ!!」

赤れいむが赤れいむに噛み付き、ズゾゾゾ…と中の餡子を吸っている。
赤れいむの凶行を止めようと、つがいれいむがリボンに食いついて引っ張るが、
赤れいむの小さな体はびくともせず、リボンだけがすっぽ抜けて髪から外れた。


「「…ゆ……? れ、れ、れみりゃだああぁぁぁ!?!?」」

つがいれいむと運転士まりさが同時に叫ぶ。
飾りがなくなり、「れいむである」認識が消えると同時に、ゆっくりの餡子脳は認識の更新を始めた。
水色の髪、赤い瞳、鋭い牙、二枚の羽。
トレードマークの帽子こそないが、それがれみりゃだと認識するには十分だった。

「ゆやあぁぁ…!? ゆびっ…?! だじゅげ…おきゃあじゃあゆびゅっ? …ゆびゅっ…ゆびゅっ……もっ…ゆ…」
「うー♪ さっぱりあまあまでおいしいんだどー!」

成体の胴なしれみりゃに中身を吸い尽くされ、赤れいむはしわしわの皮だけに成り果てた。

「れいぶのがわいいおぢびぢゃんがああぁぁ!!」
「ど、どおじで、れみりゃがいるんだぜえぇぇ?!」

「このごみはいらないんだどー! ぽいっなんだどー!」

そう言って、れみりゃが赤れいむの皮を電車の外にポイ捨てする。

「あああがぢゃああん!! よぐもれいぶのぎゃばいいおぢびぢゃんをぉぉ!!」

捕食種への恐怖も忘れ、れいむがれみりゃに突進するが、れみりゃはパタパタと羽ばたいて軽く突進を交わす。
勢い余ったれいむはゴロゴロと転がり、隅に放置されていたしんぐるれいむにぶつかった。

「ゆべしっ!?」 「ゆげ…」
「おぜうさまは、まだはらはちぶんめなんだどー! おまえもくわれるんだどー!」

れいむの背後から、れみりゃが迫る。

「ゆっ…! ゆっ…! ゆゆっ!?」 
「いただきまずなんだ…  プスッ  うぎゃあああぁぁ!!」

れみりゃの悲鳴が上がる。
れいむが、しんぐるれいむに刺さっていた、つがいのまりさの枝を見つけて引き抜き、
振り向き様にれみりゃの頬を突き刺したのだ。
だが、十分に狙いを定める余裕がなかったため、急所から大きく逸れる。

「うがー! おぜうざまのかりずまなびぼうに、なにずるんだどー!!」
 ベシッ! ベシッ! ベシッ! 
「ゆぶっ! ゆぶっ! ゆぶっ!」

怒り狂ったれみりゃが、左右に羽を振り回し、ベシベシとれいむの頬を打つ。
最初のビンタで枝を取り落としてしまったれいむは、なすがままに往復ビンタの洗礼を受け、みるみる内に頬が腫れ上がる。

「ゆひぃ…! ゆひいぃぃ…!」
「おとなしくしないから、いたいめにあうんだどー!」

戦意を喪失し、しーしーを漏らしながら震えているれいむの姿に満足したのか、れみりゃはいつもの笑顔にもどる。
そして、れいむの頭上へと上昇し、あんぐりと口を開けた。

「うー! いただきま  「だぜえぇっ!!!」  ぶぎゃっ!!」

まりさが、ゆっくり電車を岩にぶつけ、電車がガクンと揺れる。
その衝撃でれいむの体が転がり、れいむめがけて急降下したれみりゃは、顔面から床に激突した。

「うー!? うー!? いだいんだどー! れみり゛ゃは ごーまがんのおぜうざまなんだどー!?」

無様に大声を上げて泣き喚くえれがんとなお嬢様。

「れいむぅ! なにやってるんだぜぇ!? いまのうちにれみりゃを倒すんだぜぇ!」
「ゆぅ…ゆぅ……」

運転士まりさの叱咤が飛ぶが、れいむのあんよはブルブルと震えて言うことを聞かない。

「はやぐ! はやぐずるんだぜぇ! 永遠にゆっくりしちゃったおちびちゃんの仇を取るんだぜぇ!」
「ゆ…だめだよぉ…れいむにはむりだよぅぅ…おぢびぢゃん…ごべんねぇ…おがあざんをゆるじでねぇ…」

…その時、れいむのもみあげが、ピクリと動いた。


「うー!! もうゆるざないんだどー!! おぜうさまはおこったんだどー!!」

ようやく泣きやんだれみりゃが、恐怖に怯えるだけのれいむの方を振り向き、ゆっくりと近づいて行く。
もう不意打ちを食らわないように、じわじわと距離を詰め、そして、れいむの目の前で、口を開く。


「うっぎゃああああぁっ!?」

鳴り響いたのは、れみりゃの悲鳴。
驚きに目を見開くれいむの目に映るのは、涙を流して悲鳴を上げるれみりゃと、その後ろにいる、しんぐるれいむの姿。
先程まで、ピクリとも動かなかったしんぐるれいむが、背を向けたれみりゃの羽に噛み付いていたのだった。

「はなぜー! はなぜー!! うぎゃあぁ!!」
「…れいむは……れいむは…しんぐるまざーで…かわいそうなんだよ…」

羽が千切れそうになる痛みにも構わず、れみりゃが体を振ってしんぐるれいむを引き剥がそうとするが、
半死半生のしんぐるれいむの何処にそれだけの力があったのか、その歯がしっかりとれみりゃの羽に食い込んだまま、剥がれない。

「うがああぁぁっ!! ちょおじにのるなあぁ!!」
「かわいいおちびちゃんまで…しんじゃって…とっても、とっても…かわいそうなんだから…」

れみりゃが、電車の壁に、しんぐるれいむの体を叩きつける。
仲間達に付けられた傷口から餡子がボロボロと零れるが、それでも、れいむはれみりゃの羽を離さない。

「いだいんだどぉー!! やべるんだどぉー!!」
「優しくしないと…だめ…なんだよっ!!」

れみりゃが、無我夢中で更に激しく暴れる。少しずつ羽が千切れてきている事にすら気付いていない。
一層激しく叩きつけられたしんぐるれいむは、片目が潰れ、体内の餡子を半分近く失って縮んでいた。
それでも、れいむはれみりゃの羽を離さない。

「ざぐやー! さぐやー! おぜうざまをだずげるんだどー! どうじでだずげでぐれないんだどー?!」
「だがら…かわいそうなれいむに…ひどいごどずるれみりゃはあぁ…!」

戦意喪失したれみりゃを引きずりながら、しんぐるれいむが、ずりずりと這う。
そして

「ゆっぐりじないでさっさどじねええぇぇ!!!!!」

れみりゃを道連れに乗車口から転がり落ちた。


「うぎゃああぁぁっ!! ざぐやあぁぁーーっ!!」

疾走する電車から落下したれみりゃは、まだ羽に噛み付いているれいむのせいで飛ぶ事もできず、
れいむともつれあったまま堅い地面に激突した後、勢いよく転がり、
木や岩に体を打ち付け、餡子と肉まんの具を撒き散らしながら、瞬く間に見えなくなって行った…



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ガタゴト… ガタゴト…

夕日に赤く染まり始めた山道を、ゆっくり電車が揺れて行く。

じっと前を見据えてゆっくり電車を操る運転士まりさ。
その横で、れいむがまりさにもたれかかってた。

「ゆうぅぅ…まりさ…みんな死んじゃったよぉ…みんな…とっても…ゆっくりしてたのにぃ…ゆっくりできないよぉ…」
「…れいむ…ゆっくりできないけど…それでもまりさ達はゆっくりしなきゃいけないのぜ…
 じゃないと…みんなもゆっくりできないんだぜ…」
「………ゆん……」

吹き付ける風に、れいむの赤いリボンがたなびき、まりさの体をくすぐる。

………

「………れい…む…?」
「ゆ?」

「…れいむ達の…おりぼんさんは…自分でつけられるのかぜ…?」
「れいむ達のおりぼんさんは…自分ではつけられないよ。誰かにつけてもらわないとだよ」

「じゃあ……あのれみりゃに…れいむの赤ちゃんのおりぼんさんをつけたのは……誰なのぜ…?」
「………」

二匹の言葉が止まる。
いや、言葉だけではなく、体の動きも瞬きすらも止めて、互いに互いを見つめていた。
一瞬たりとも、相手の動きを見逃さないとするかのように。

そして、張りつめた空気を破るかのように、一陣の風が吹いた。

「!? ゆあああぁぁっ?! ばりざのおぼうじがああぁぁーーーーーーー


木のバッジがついた帽子が風に舞い、まりさの視線は帽子を追った。




==========

「ばりざのおぼうじがああぁぁーーーーーーー

ぁぁぁ……あ~あ、行っちゃった…まあ、いいか。十分楽しませてもらったし」

まりさが地面に足を降ろして、すぃーを徐々に減速させて止める。

「ふう~…しっかし、下り坂とは言え、この大きさだと足だけで操るのはきっついなぁ…
 いや、俺が特別な訓練を受けていなければ無理だったよな、実際のとこ」

「ま、まり…さ……? どこ……行ったの……?
 お兄さん……だれ……?」

カタカタと震えるれいむに、"まりさ"は満面の笑みを向けた。


「やあ。僕は




==========

「ゆうぅ…おそいのじぇ…」

沈みかけた夕日の中、群れの広場でゆっくり電車の帰りを待つ子まりさズ。
ゆっくり電車のお迎えも、彼らの仕事。

「ゆっ! きたよ!」

赤い太陽に照らされながら、ガタゴトと、ゆっくり電車がやってくる。

「ゆゆっ! おかえりなさ……?」

ガランとしたゆっくり電車に乗るのは一匹のゆっくりのみ。

「ゆ~? どうして、れいむおねーさんが運転してるのじぇ?」
「ゆぅぅ…みんなはどうしたの?」
「ゆ? まりさ、おそらを飛んでるみた~い♪」

れいむの腕が、子まりさズを抱え上げた。


「終点『ゆっくりプレイス』だよ~ 『ゆっくりプレイス』だよ~ …ゆっくり楽しませてね?」




おわり

==========

あとがき

というわけで、ゆっくりの群れに電車を与えて、
よくあるラッシュの風景+よくある暴走特急の風景で「ミニ社会化」としてみたのですが、
こんなテーマ解釈でよろしかったでしょうか?

後半部分は「ベタなパニック(サスペンス?)物風味」を書いてみたかったのですが、自分の力量ではどうにも。
深刻な破綻箇所とかあるかもしれませんが、お手柔らかにお願いします。

餡子ンペ出展は作者名が必要との事なので、これを機に「お説教されたいあき」と名乗らせていただきます。



以下は、虐待成分が少なかったとお嘆きの貴兄と私へのささやかなオマケ、兼、わかりにくい?ネタを補うための何かです。

==========

    『れいむの記憶』


「……! ……!」
「さあ、れいむ。これを食べてごらん。楽しいモノが見られるかもしれないよ?」

れいむが、憎しみに満ちた目を男に向ける。
男に飛びかかろうとするが、男の手にしっかりと頭を押さえつけられ、体がひしゃげるのみ。
ガムテープで塞がれた口からは、くぐもった呪詛の声がわずかに漏れ聞こえてくる。
男が、容器の中でマーブル模様を描く餡子とクリームをスプーンで掬い取り、れいむの頭に開けた切れ目から差し入れた。


れいむの中に何かが流れ込んでくる。

『れみりゃだああぁぁぁ!!』
『だずげでええぇぇ!!』
『どおぉじで、れみりゃがいるのおおぉぉっ!?』

陽光が降り注ぐゆっくりプレイス。
れいむの目に映るのは、逃げ惑う仲間達の姿。聞こえるのは、悲鳴。

『うー♪ あまあまたべちゃうどー!!』
『ゆぎゃああぁ!! た、たべないで! れいむをたべないでえぇぇ!!』

れいむの口から悲鳴が発せられる。
眼前にれみりゃの牙が迫り、次の瞬間、れいむの頭に激痛が走る。

『でいむー!? わがらないよー!!』
『ゆ゛っ…もっと…ゆっぐり……じだがっだ……』

   ブツンッ

不意に、テレビの電源が落ちたように、その光景と音が消え、別の何かがれいむの中に流れ込んでくる。


『ゆぇぇぇん!! おきゃあしゃあん!! どきょー!? まりしゃ、きょわいよおぉぉ!!』

れいむのおちびちゃんの泣き声。
(おちびちゃん!どこにいるの?!おかあさんはここだよ!)
叫ぼうとするが、れいむの口から漏れるのは、おちびちゃんの泣き声だけ。

『おちび! はやくにげるんだぜ!
 ここにいたら、れみりゃに食べられちゃうんだぜぇ!! まりさのお帽子の中に隠れるんだぜっ!!』

お帽子に木のバッジをつけたまりさが、れいむを咥えてお帽子の中に隠す。

   ぐにゃり

そこで、視界が歪み、目の前の光景が消える。


そしてまた、流れ込む。
餡子の持ち主の記憶が。


『ゆゆっ? なんだかひろばのほうがにぎやかだね! みんな、何してるのかな!』
『ゆっ! ゆっくり見に行こうね!』
『やあ! ゆっくりしていってね!』

れいむの目の前に男が立ちはだかる。

『ゆっ? ゆっくりしていってね! お兄さんはゆっくりできるひと?』
『全然できない人だよ』

風を切る音と共に、何かを握った男の腕が動いた。

   ブツンッ


『ゆぅぅ…にゃんだか、ゆっくちできにゃい こえがしゅるよ…れいみゅ、おきちぇね!』

れいむが話し掛ける先には、石の影ですやすやと寝ているれいむのおちびちゃん。

『ゆぴー…れいみゅ、もうちゃべられにゃいよ…』
『どうちて おきにゃいのぉぉ? ゆ?』

頭上を遮った影に、上を仰ぎ見ると、れみりゃと男がこちらを覗き込んでいた。


『ゆええぇぇ…! れいみゅのおりぼんしゃん、かえちてー!』
『うー! おぼうじとらないでほしいんだどー!』
『我慢しろ。あとでぷっでぃーん食わせてやるから』
『うー…』

男が涙目のれみりゃの髪に赤いリボンを結ぶ。

『ほら、できたぞ。ソイツは食っとけ。皮も残さず食えよ』
『うー! おどりぐいだどー!』
『ゆにゃああぁぁ?! れいみゅー! おきちぇー! たちゅけちぇー! いちゃああいっ!』
『ほら、こぼすな、バカ肉まん。それ食ったら後は休んでていいぞ。昼寝でもしてろ』
『うー! おぜうさまはしぇすたのじかんだどー♪』
『ゆぴっ! ゆぴいぃぃっ!! おぎゃあぢゃあぁ…あ…ぁっ…!』

赤れれみいりむゃの牙が食い込み、れいむの体はグシャグシャに砕かれながら闇に飲み込まれていった。

   ブツンッ


男はすぃーの上に散らばったゆっくりの中身もれいむの頭に流し込む。


『むきゅううぅ!! いたいいたいいたいぃぃ!!! はなしてぇぇ!』

霧に閉ざされた白い闇の中で、ガリガリとあんよが削れて行く感覚が流れこんでくる。

『むぎょぉぉっ?!?! たすけてえぇぇっ!!! お』 兄さあああんっ!!

むきゅ… お兄さん…?! お兄さんのおてて…? お兄さんとおんなじ…強くて大きい…おてて!!

伝えなきゃ みんなに伝えなきゃ ぱちぇは"おさ"よ みんなを守らなきゃいけないのよ

その思考と繋がるようにして、あるゆっくりの顔が脳裏に浮かぶ

… "ぱちゅりー!" …

…! 違う…! ぱちぇは"ぱちゅりー"じゃない!! ぱちぇは…ぱちぇは"おさ"よぉ!!


霧に閉ざされていた視界が開け、ありす達の顔が映る。

ごべんなざいぃぃ! ぱちぇが間違ってたのおぉ…!
犯"人"は…犯人は人間さんなのよぉ…!
れいむじゃないのよぉ…!
人間さんはおててがあるから、離れたところからでも私達を殺せるのよぉ…!

涙を流しながら、何かを叫んでいるありす達の後ろで、アイツがクスリと笑いを浮かべた。

おまえがっ! おまえがぁぁ…!!

   ブツンッ


『ゆふふふ…』

俯いて泣いているゆっくり達をどこか達観した気分で眺めながら、れいむの口から笑いが漏れる。
あんよとおなかがズキズキと痛むが、何故だかそれがどうでもいい事のように思える。

その視界の中で、石が飛び上がり、重力に引かれて落ちる。

ゴンッ…

石が床に落ちると同時に、もう一つ石が飛び上がる。
あるゆっくりの背中越しに。
三つ目の石が飛び上がった時、そのゆっくりが叫んだ。

『上から来るんだぜ! 気をつけるんだぜ!!』

どうでもいいよ…

   ぐにゃり


『ゆええぇ…うんてんちしゃん…まりしゃたちもちんじゃうのぉ…?』

頭の上からおちびちゃんの泣き声が聞こえる。

『大丈夫なんだぜ! おちび! あそこにまりさのでんしゃがあるんだぜ!
 まりさのでんしゃなら、れみりゃでも絶対においつけないのぜ!  ゆ?』

『やあ、まりさ』
『ゆっ! 人間さん! 助けてほしいんだぜ! 悪いれみりゃがまりさ達を…』

(だめえええぇぇっ!!! にげでええぇぇっ!!!)

『まりさが、あのすぃーを運転しているのかい?』
『そうなんだぜ! まりさは、うんてんしなんだぜ…ゆあっ?!
 ば、ばりざのおぼうじ! とらないでなんだぜっ?! ばっじさん!! ばりざのばっじさんがえぜぇぇぇ!! ゆぎぴぃっ?!』

れいむのおなかに男のつま先が食い込み、頭の上にいたれいむのおちびちゃんと一緒に地面に転がった。


『ふんふふん~♪ 運転手は僕だ~死体は君だ~♪』

ピーラーを握った男の手がれいむの肌を撫で、肌色の饅頭肌の切れ端が次々に舞い落ちる。

『ゆびいいいっっ!!! どおじでっ!! どおじでごんなごどずるんだぜぇぇ!! ゆびいぃっ!!
 いやだあああぁぁ!! ばりざ、じにだぐないいぃぃ!
 うんてんじになっだのにぃぃ!! ばりざ、いっばいがんばっだのにぃぃぃ!!!
 じにだぐないよおぉぉ!!!!』
『はいはい、ゆっくりゆっくり』

   ブツンッ


『…だのにぃぃぃ!!! じにだぐないよおぉぉ!!!!』

グシャッ グシャッ グシャッ

『ゆっ…ゆわっ…ゆわっ……』
『んー、どうしたのかなー? おちびまりしゃちゃあん? そんなに、ちーちー漏らしちゃってぇ。
 大丈夫でちゅよー? まりしゃちゃんのちっちゃなお帽子さんは取らないからねー
 だからね? 別に用はないから…』

頭上に男の足が見える。
それは、れいむのおちびちゃんが見ている光景か、それとも


「『ゆっくり死んでね」』

『ゆやああぁぁぁ!!!! おきゃあしゃああああああん!!!!!!!!』

   ブツンッ…!

    ………




「さあ、───。これを食べてごらん。楽しいモノが見られるかもしれないよ?」




これまでに書いたもの



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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

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  • 社会崩壊とか、笑えない -- 2016-03-12 00:00:01
  • 人間の歌は踊る駄目人間かな -- 2014-07-22 16:00:55
  • ヤバイ、これはアカン -- 2014-07-10 17:58:14
  • こうしてみるとちゃんと伏線は張ってあるんだよな
    前半の「ぱちゅりー! どうしたんだぜ!」とか
    ただ恐怖に震えて寄り添い合う母と子の部分で赤れいむの一匹がれみりゃのセリフだったとか
    長ぱちゅりーが死ぬ時の(…犯人……は…………)とか -- 2013-12-12 05:24:35
  • 少し変なところもあったが凄い面白くて素直に関心した。 -- 2012-07-19 18:59:53
  • 痴ゆんとか電車描写にワロタw -- 2012-02-20 04:48:34
  • 明らかにおかしいだろ!と思うところでも気づかないのは読んでて楽しいな。
    うーうー言ってるの見るたびに笑っちゃったよ
    れみりゃだけかと思ってたから人間登場は驚いた
    ってか下り坂だし進むのは足だけでどうにかなるとしても曲がりはどうしてたんだw

    ぱちゅりーが人間の関与が分かったのは手の感触、誰が人間か分かったのはいつもなら「おさ」と呼ぶのに「ぱちゅりー」って言ったから? -- 2011-05-07 16:10:15
  • ↓別に推理しろなんて誰も頼んで無いし、読者にも推理させる本格ミステリーとして作った作品とも書いていない。
    勝手に推理ごっこ始めといて、何を人様にミステリーの十戒とかほざいてるんだい? -- 2011-01-12 19:22:54
  • 人間がどうやってハンドルもないすぃーを運転してたんだ?
    最後になって特別な訓練を受けていましたとか言われても推理できないよ
    特別な技能というよりかはもう超能力レベルだし
    あとぱちゅりーの犯人が分かった理由が瀕死の自分を見て笑ってたからって
    言われても、その描写も無かったし推理のしようがないよ
    ミステリーの十戒だか二十戒だかにふれるんじゃないのこれ
    -- 2010-12-12 02:17:52
  • まさかのどんでん返しでびっくりした -- 2010-12-05 00:06:25
  • 面白かったけど… 人間とゆっくりじゃ大きさ全然違うだろ、気づけよww -- 2010-10-14 17:37:12
  • 面白かった!
    れみりゃのせいかと思ってたけど違かったのね -- 2010-09-17 09:15:21
  • 普通に面白かった。 -- 2010-07-04 02:36:36
  • ラストの鬼意山はパチュリーの元飼い主? -- 2010-06-11 22:39:54
最終更新:2009年11月26日 19:51
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