ふたば系ゆっくりいじめ 587 バトル・プレイス

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悲劇 理不尽 自業自得 自滅 家族崩壊 夫婦喧嘩 同族殺し 共食い 野良ゆ 赤子・子供 現代 人間なし うんしー ぺにまむ 五作目

「バトル・プレイス」
 ・独自設定と独自設定のゆっくりが出てきます
 ・自滅ものです
 ・大量のゆっくりが出てきます
 ・駄文注意
「ゆ!ゆ!くささんゆっくりぬけてね!」
一匹のまりさが街の空き地で必死に草を口で抜いていた。
足が長く硬い草の間に生えているヒョロヒョロの草を引き抜いては帽子に詰め込んでいる。
当然そんな草は少なく、バスケットボールサイズのまりさの帽子の中の半分にも満たない少なさだ。
「むしさん!ゆっくりまってね!ゆ!ゆ!」
今度はこの時期に珍しい昆虫を舌を伸ばして捕まえようとする。
だがまりさの猛追も空しく草むらの中へと逃げ込んでしまった。
「ゆう…ぜんぜんたりないよ…」
冬も目前に迫ろうとしているこの季節。街のゆっくりは半分以上が既に越冬に入っている。
残った「あぶれゆっくり」は数少ない餌場をめぐって壮絶な争奪戦を繰り広げており、まりさが間に入ることなど不可能であった。
当然、食糧集めは空き地やあまり手入れされていない公園に生えた雑草や虫等が主となる。
秋の内ならまだしも冬にもなるとゆっくりが食べられる柔らかい草はあまり生えなくなる。
虫なんてもちろんいない。それでも固い草でも我慢すれば食べられるし餡子の足しにはなる。
なぜまりさは柔らかい草を選ぶのか?
「しかたないよ…きょうはここまでにしてもうおうちにかえるよ…」
日はすでに傾きかけていた。ただでさえここら一帯はれいぱーありすの周回ルートで危険なのに、夜にもなればれみりゃやふらん等の捕食種が跋扈するだろう。
つまりタイムリミットである。まりさはスカスカの帽子をかぶってトボトボと跳ねていくのだった…
「れいむ…ゆっくりかえったよ…」
「ゆ!まりさ!ゆっくりおかえり!」
「ゆっきゅりおきゃえり!」
「まりしゃおなきゃしゅいたんだじぇ!」
路地裏のビールケースを改造した「おうち」にまりさは番いのれいむと住んでいた。
まりさは帽子を舌で取ってバサバサと草を落とす。あまり多いものではない。
奥の方にはボロボロのタオルを巻いて作った「ベッド」の上に三匹の赤ゆっくりがすーやすーやと眠っていた。
ソフトボールサイズの子れいむと子まりさ、そしてピンポン玉サイズの赤れいむが二匹、赤まりさが一匹と大所帯だ。
これが食糧の貯め込みが難航する理由である。
子ゆっくり程なら多少のものは食べても問題はない。だが生まれたての赤ゆっくりは別だ。
餡子変換能力が弱い赤ゆっくりは柔らかいものしか食べられない。どの程度の基準かというと頭に生えた蔓をさらに親ゆっくりが咀嚼して柔らかくしたぐらいでないとダメだと言われている。
固い物を食べさせてしまうと餡子を吐き出したり、うんうんが止まらなくなったりする。
なのでまりさは柔らかい草しか集めなかったのだ。
「おちびちゃんゆっくりおきてね!ごはんさんがあるよ!」
れいむがそう言うと赤ゆっくり達が目を覚ました。
れいむが柔らかい草をむ~しゃむ~しゃと咀嚼して目の前に吐き出す。一斉にそれに群がる赤ゆっくり達
「む~ちゃむ~ちゃ…それにゃりー…」
「かちゃいんだじぇぇ…!もっちょおいちいのがたべちゃいんだじぇぇぇ!」
「ゆげぇ!きょんなまじゅいのちゃべりゃれにゃいよおおおおお!!」
反応はあまりいいものではない。だがこれでも用意できる最上のものだ。
れいむはぷくーっと膨れるとこう赤ゆっくり達に怒鳴りつける
「わがままいわないでね!たべないとれいむおこるよ!」
「まりしゃもちゃべちゃいんだじぇええええええ!!」
「いもうちょばっきゃりじゅるいよおおおお!!」
子ゆっくり二匹が声を上げる。優先的に赤ゆっくりに回しているためもう丸半日何も食べていない。食べたと言えば越冬用食糧を切り崩したほんの少しだけ。これでは到底満足するはずがなかった。
「ゆっくりがまんしてね!おちびちゃんたちのほうがそだちざかりなんだからね!」
まりさがなだめ様にも「あまあまが食べたい」「クッキーが食べたい」等と喚いて全くなだめられていない。
マズくはあるが赤ゆっくり達は物をたくさん食べられる。
散々文句をつけて食べた後はれいむに勝手な要望を申し立てる。
「もっちょおいしいにょちゃべちゃいよ!あまあましゃんをもっちぇきちぇね!」
「きょんなんじゃゆっきゅりできにゃいんだじぇ!」
「ゆ!ちゅっきりー!」
一匹の赤れいむに至っては勝手にふんぞり返ってうんうんをかましている。当然子ゆっくり達は不満があるようだ。
「ゆぎぃぃいい!まぢぢゃのぶんもだべでおいでがっでなごどいうんじゃないじぇえええ!!」
「しょうぢゃよ!おいしくにゃいにゃられいみゅたちにちょうだいね!」
「ゆっくりおこらないでね!れいむもとめてね!」
「みんないいかげんにしてね!なかよくしないとれいむおこるよ!」
れいむが膨れてようやくおさまったが。このままでは信頼が崩壊してしまう一歩手前だ。だがまりさにはどうすることもできなかった。
「ゆう…このままじゃごはんさんがたりないよ…」
「なにいってるの?ごはんさんはためてるじゃない!」
「さんびきのおちびちゃんはそだてられないかもしれないよ…」
「そんなわけないよ!おちびちゃんたちがもうちょっとおおきくなったらみんなでかりにいけるよ!そうすればもっとあつまるよ!」
数が多ければいいという問題ではないとまりさは思う
楽観的なれいむに対してまりさは現実的だ。そもそも子ゆっくり二匹と自分たち二匹、計上4匹の食料分を貯めていたと言うのにこの土壇場での赤ゆっくりが増えるというアクシデント。
「かぞくがふえればゆっくりできるよ!」とれいむは言うがその重荷は全てまりさがおうと言う事を分かっていない。
そもそも4匹が総出で秋の初めから集めてようやく越冬出来るだけの数を集められたのだ。食料だって保存がきくものばかりで赤ゆっくり様の柔らかい物などある筈もない。
このままでは仲良く共倒れだ…まりさの頭にふと一つの可能性がよぎった。
「…ちいさいおちびちゃんはそだてられないかもしれないよ」
「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお!?」
「だってたりないものはたりないよ!れいむだっておちびちゃんのせわでかりにいけないしまりさやおおきいおちびちゃんだけだったらごはんさんなんてあつめられないよ!」
「だっだらごはんさんをずぐなぐずればいいでじょおおおおおお!?」
「これいじょうきりつめられないよ!それにいまあつめてるのだってちいさいおちびちゃんようのごはんさんだよ!いまのじきそれだけしぼってあつめるだけでもすごいくろうなんだよ!?ゆっくりりかいしてね!」
「ゆぐぐ・・・わかったよ!れいむもかりにいくよ!とにかくちいさいおちびちゃんもおおきいおちびちゃんもれいむがそだてるよ!まりさももっとがんばってごはんさんをあつめてね!」
「ゆうう…れいむ…」
このれいむは決して「ゲス」ではない。れいむ種は特に母性が強いと言われている。子ゆっくりが出来た際はそちらの方に集中するため番いを軽んじてみる傾向があるのだ。
もちろんそれが行き過ぎれば「しんぐるまざー宣言」になってしまう。結局のところまりさの負担が増える一方であった。
そもそもれいむだってちゃんと一緒に狩りに行っていた。数が多ければゆっくりできると押し切ってすっきりを強行したのはれいむだ。もちろんそれを許したまりさにも責はあるが…
険悪なムードで小麦粉の皮を寄せ合ってすーやすーやと眠りに入る。
まりさは考えていた、狩りが出来なくなった分のれいむの食料は越冬用に貯めていたものを切り崩していたからそれも集めなければならないと。
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次の日、今にも雨が降りそうなどんよりとした曇り空を見上げながらまりさが呟いた。
「ゆゆ・・・あめさんがふりそうだよ・・・」
「だいじょうぶだよ!これぐらいならそんなにちょいあめさんはふらないよ!」
れいむが横でキンキンと大声でわめきたてる。声が大きいので目をつぶっていた子ゆっくり達も目を覚ましてしまっていた。
起こす手間が省けたのはいい事だが、このれいむはいつも声がうるさい。何とかならないのかと常々まりさは思っていた。
れいむは子ゆっくり達の方に視線を向けると
「おちびちゃんたち!きょうはみんなでかりにいくよ!ゆっくりついていってね!」
といった。
比較的大きい子ゆっくり達は乗り気の様だ。一日半も外に出られずまともな物も食べられなかったので、意気込みを見せて食糧集めに気合いを入れている。
小さい子ゆっくり達は目をキラキラと輝かせながら口々に外について話し合っていた。これまでは薄汚いダンボールの中でいたのだ。外の世界は話でしか聞いた事がないので何かしら期待を持っているのだろう。
「ゆ!じゃあいくよ!おかあさんについてきてね!」
「「ゆっきゅりー!」」
れいむが声を上げてボヨンボヨン跳ねる。
それについていくように子れいむと子まりさ。そして三匹の赤ゆっくりが連なる様についていく。
まりさはその後ろをゆっくりと移動しながら草の生えた空地へと向かっていった。
「ゆ!ゆ!あんよがいちゃいよ!」
「いちゃいんだじぇぇ…!」
「あんよしゃんがひりひりしゅるよ!」
五分もしない内に赤ゆっくりが口々に痛みを訴える。
本来、街ゆっくりの子ゆっくりというのはテニスボール大になるまでおうちの中で育てるのが普通と言われている。
それはアスファルトという固い地面に小麦粉の皮が薄い赤ゆっくりが長時間跳ねるのが難しいからである。
休み休み動いてはあっという間に夜になってしまうし、それにれいぱーありすやゲスゆっくりの襲撃にも迅速に対応できなくなると言う事ではっきりいってデメリットしかない。
そもそもピンポン玉程度しかない赤ゆっくりを外に出すという時点であり得ないことなのだ。
まりさが赤ゆっくり達を見てこう言った。
「おちびちゃんたち!まりさのおぼうしさんのなかにはいってね!」
帽子を取り払い、舌を伸ばして赤ゆっくりを一匹一匹丁重に砂糖細工の髪の上に載せる。フワフワとした感触に赤ゆっくり達もご機嫌の様だ
「ゆゆーん♪ちょっちぇもゆっきゅりできりゅよ!」
「おとーしゃんのおぼうしさんのなかあっちゃかいんだじぇ!」
「ゆ!でもそとさんがみられないよ!」
帽子を再び被りながらまりさは赤れいむに声をかける。
「しかたないよ!あめさんもふりそうだからゆっくりがまんしてね!」
「なにしてるの!ゆっくりついてきてね!」
当のれいむの方はそれを何とも思わずゲキを飛ばしながら飛び跳ねている。空地は近いと言えどもこんな配慮のない言動に少し苛立ちをまりさは覚えた。
怒っても仕方がないので黙ってついて行く。
さらに五分も進めば草の生えた空き地が見えてくる。昨日まりさが草を集めていた所だ。
狩り…と言ってもこの時期に生えている草は固い草ばかりで、その間に生えている柔らかい草花を手分けして探さなければならない。
「れいむはおおきいおちびちゃんたちといっしょにこっちをさがすよ!まりさはむこうをさがしてね!」
「…ゆっくりわかったよ」
まりさはそれを聞いてゲンナリとした。れいむや子ゆっくり達が向かう先には明らかに下生えの草しか生えていない場所である。そんな所に虫も草もあるわけがない。
一方まりさに割り当てられた所はジャングルと見まごうばかりの足の長い草が生えている場所だ。いちいちかきわけなければならないし、それにここら辺はすでに探して殆どの草を抜きとっている。
「ゆ…おちびちゃんたち!しっかりつかまっててね!いまからごはんさんをさがすね!」
まりさは念を押して帽子の中の赤ゆっくり達に告げた。赤ゆっくり達も「ゆっきゅりわかっちゃよ(んだじぇ)!」と言った後に砂糖細工の髪の毛を咥えたようだ。少し引っ張られたような感覚を感じる。
まりさはガサガサと草の生えた場所をかき分けいく。
草や花を帽子の中に入れたら口の中に赤ゆっくり達を入れなければ…とそんな事を考えながら草をかき分け柔らかそうな草を見つけては舌でブチブチと抜いていく。
当然だが草は一日で生えるものではない。どれだけ探しても少ししか見つからなかった。
それでも探すが対して集まらず、あっという間に二時間ほど時間がたってしまった。

「れいむ!どれぐらいごはんさんがみつかっ…た…」
まりさが口をあんぐりと開けて驚いた。そこにはれいむが体を傾けてあにゃるから特大のうんうんをぶちかましていたからだ。
「ゆ!ゆ!すっきりー!」
実に清々しい表情で不要になった餡子がブリブリとひり出される。これで草や花を大量に積んであるなら許せたものを目の前には自身がしたであろう巨大なうんうんだけ、草も虫も全くないのだ。
「ゆ!すっきりしたよ!れいむはつかれたからやすむよ!おちびちゃんたちはゆっくりごはんさんをさがしてきてね!」
「ゆゆ!ゆっきゅりわかっちゃよ!」
「もっちょくしゃさんをさがしゅんだじぇ!」
事もあろうに自分はうんうんだけを垂れた挙句に子ゆっくり二匹に食料探しを命じて自分は休むという暴挙を成し遂げたのである。
子れいむも子まりさも堅い葉で小麦粉の皮を薄く切ったのか切れ目が付いており、草を踏んで潰した時の汁が付いて汚くなっている。
なのにれいむだけは綺麗なままだ。十中八九適当に飛び回っていただけで狩りらしい狩りをしていなかったと簡単に推測できる。
「ゆうう・・・!もうおこったよ!」
まりさは激怒した。こんな態度に出られればどんな温厚なゆっくりでも憤怒の念を禁じえない。
声を上げてれいむに抗議しようとした瞬間に、ガサガサと音がして子れいむと子まりさがすごい勢いで飛び出してきた。
「あ、あ、ありぢゅぢゃあああああああああああ!!」
「ゆっきゅりにげりゅんだじぇええええええええ!!」
その言葉を聞いてまりさは目を見開いた。その直後に後ろから二匹ほどのありすが寒天の目を血走らせ、砂糖水の涎を吐き散らしながらゆっくりとは思えない速度で飛び跳ねている。
「んほおおおおおおおおおおおおお!!いっぱいゆっくりがいるわああああああああ!!」
「ありすのとかいはなあいをうけとってえええええええええ!!すっきりすっきりいいいいいい!!」
「ゆ!おちびちゃん!ゆっくりにげてね!ゆぎゃ!?」
まりさがしんがりを務めるためにわざと子れいむ二匹を先に行かせるために立ち止まる。自分が囮になろうとしているのだ。
だが何か凄まじい勢いでぶっとばされた。まりさはゴロゴロと一回転半転がって帽子が投げだされる。幸い舌で何とかキャッチしたのですぐに被ることが出来た。
まりさはぶつかった物が何なのか後方を振り返るとすぐに確認する事が出来た。
「ゆんやああああああああああ!!かわいいれいむをたすけてね!ゆ!ゆ!あでぃずはゆっくりどっかいってねええええええ!!」
そこには凄まじい形相で子ゆっくり二匹を追い抜きはるか後方へ一目散に跳ねて逃げていくれいむの姿があった。
「まっちぇえええええ!!おきゃあしゃああああああん!!れいみゅをおいちぇいきゃにゃいぢぇね!」
「ゆううううう!!は、はやくにげりゅんだじぇえええええ!!」
子ゆっくり二匹は泣き叫びながら必死にれいむについていく。まりさの方も足の長い草むらに紛れて逃げようと準備を整えた。
その時赤ゆっくりがいない事に気づく。ギョロギョロと寒天の目を動かすと、まりさの手前30cm程の所に三匹が投げ出されていた。
「ゆんやああああああ!!いちゃいんだじぇええええええ!!まりしゃのきゃわいいきょあぎゃああああ!!」
「ゆびぇえええん!きょわいよおおおおおおお!!」
「ゆ”…!ゆ”…!」
口を大きく開けて砂糖水の涙を流して泣き叫ぶ赤れいむと赤まりさ、もう一方の赤れいむの方は石コロに当たったのか底部が裂けて餡子が漏れ出していた。
「ゆ!おちびちゃん・・・!」
まりさはすぐに助けようとするが、一瞬思い悩んだ。いちいち口の中に入れるのも時間がかかるし、後ろから来るありすはすぐそこまで来ている。もうこれ以上は待てない。
だが手間がかかるとはいえ自分の可愛い子ゆっくりだ。どうすればいいのだろうか…
そんな考えを遮る様に後ろから醜悪に顔をゆがめたありすがそこまで来ていた。
舌をブルンブルンと振り回しぺにぺにを上下にガックンガックンと上げながら襲い掛かってくるありすを見た途端に、まりさは何も考えられなくなった。
「ゆ…!ゆ…!ゆっくりこないでねえええええええええ!!」
まりさは逃げ出した。それはもう凄まじい速さで。
死に物狂いで飛び跳ねるその後ろから赤ゆっくり達の声が聞こえたような気がする。
「こんなところにかわいいれいむやまりさがいるわああああああああ!!」
「んほおおおおおおおお!!すっきりいいいいいいいい!」
「ゆんやあああああああ!!おとおしゃあああああああん!!かわいいれいみゅをたしゅけちぇねえええええええ!!」
「きょわいよおおおおおお!!おいちぇかにゃいでほしいんだじぇえええええええええ!!」
まりさは逃げた。振り返らず猛然と
結果的にこのまりさ一家は赤れいむ達を身代りにして逃げおおせたという結果になったのだった―――

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「ゆ!ゆ・・・!れいむのかわいいおちびちゃんたちがぁぁ…!」
さめざめとれいむが寒天の両目から涙を流して泣いている。
自分が真っ先に見捨てて逃げ出した事を悪い事とすら認識していないようだ。いや、正確にいえば都合の悪い事は忘れて、都合よく記憶を変えていると言ってもいい
恐らくれいむの頭の中では「自分がちょっと目を離したすきに赤ゆっくりと逸れた」といった思考が展開されているのだろう。
まりさは恐怖でガタガタと震える子れいむと子まりさをすーりすーりして落ち着かせる。
既に泣く気力もなくなっていた。れいむがまりさを弾き飛ばしたおかげで赤ゆっくりごと数少ない食料を豪快にぶちまかしたので結局骨折り損というわけだ。
今頃あの草はありすのカスタードクリームにでもなってしまっているのだろう。
「ゆ”…!しかたないよ…いなくなったおちびちゃんのぶんまでゆっくりするよ…」
自分が何か悲劇の主人公にでもなったつもりだろうか。全くゲンナリだ。
少なくともまりさはそう考えていた。いや、あの状況で少しでも見捨てるという選択肢を考えて、なし崩し的にとはいえそれを選んだ自分が一番ゲスなのかもしれない。
そう考えているまりさをおいて、れいむはすぐに眉をキリッとさせるとまりさ達に向かってこう話しだした。
「とにかくあそこはありすがいっぱいいるからゆっくりできないよ!ごはんさんがいっぱいあるばしょにまりさはれいむたちをあんないしてね!そこでてわけしてかりをするよ!」
自分がかじを取ろうとでも考えているのだろうか?それにしては人(饅頭)任せ過ぎる。
まりさは暗い表情でれいむにポツリポツリと話す。
「ゆ…でももうごはんさんがあるところなんてゆっくりできないゆっくりがいっぱいいるえさばぐらいしかないよ…」
「じゃあそこにいくよ!まだあかるいからきっとそろーりといけばばれないよ!ゆっくりみつからないようにいこうね!おちびちゃんたち!ゆっくりついてきてね!」
まりさは信じられないというような感情を覚えた。本気で言っているのだろうか?
確かに朝から昼の人目に付きやすい時間帯はあぶれゆっくりたちはいない。いないといってもそれは少ないと言うだけであってキッチリいるのだ。
見つかればどうなるかわかった物ではない。少なくとも帰れないだろう。どんな所か分からないのは言って帰ってきたゆっくりがいないからだ。
そもそもれいむは声がでかい。「そろーりといけば」なんて能天気な事を言っているが全然忍べない事は火を見るより明らかだ。
それに子ゆっくり二匹も同行なんてリスクが高すぎる。れいむは「みんなでいけばかりのこうりつがよくなるよ!」とたびたび言っているが。当のれいむも知らない内に体のいい身代わりとして使っている結果になっている事に気が付いていないのだ。
それでもゲスでないと思うのは、自分が悪い事をしたと全く感じていない事だからだろうか?とにかく餡子脳がオメデタすぎてまりさは乾いた笑いが出そうになる程に感情がマヒしていた。
(れいむはいつもこうだ…まわりのめいわくもかんがえずにいっつもかってにみんなをこまらせる…れいむはゆっくりできてもまりさやおちびちゃんはゆっくりできないよ…)
そう考えても自分がれいむの元を離れるわけにはいかない。自分が離れればれいむはたちどころに潰されてしまうだろう。自分が守らなければ…と混乱が続いている頭でもそれだけはしっかりと考えていた。
だからなのかもしれない、赤ゆっくりもいなくなった今、「おうち」に戻って越冬用食糧を使えば冬を越せると言う事にまで頭が回らなかったのは…


結局まりさはれいむの提案を呑んだ。危険な餌場に足を踏み入れる事となった。
だがまあ、成功する公算は高いと考えていた。夜や夕方ならあぶれゆっくりが大量にいるので近づく事もかなわないが、昼間の内なら大丈夫「かもしれない」
とにかく元気よく跳ねるれいむの後ろを跳ねて着いていっていた。
「ゆ・・・おきゃあしゃんまりしゃおなかしゅいちゃんだじぇ…」
「れいみゅももうぺきょぺきょぢゃよ…」
子ゆっくり二匹が空腹を訴えていた。当たり前だ。もう既に一日半は何も食べてないのだから
それでもれいむはプクーッと膨れてこう言った。
「ゆ!うるさいよ!みつかったらゆっくりできないんだからだまっててね!ごはんさんはもうすぐあるよ!それまでがまんしないとれいむおこるよ!」
「ゆ・・・ごめんなしゃい…」
「ゆっきゅりしずかにしゅりゅんだじぇ…」
れいむが怒ったため萎縮して謝り出す子ゆっくり達、餌場はもうすぐそこまで来ていた。
路地裏の広い袋小路、そこまであと1m、前に進むか後ろに戻るしかできない立地が否応なしにまりさ一家を緊張へと導いていた。
「そろーりそろーり!おちびちゃんたち!ゆっくりしずかにうごいてね!」
「「そろーり…そろーり…」」
「そろーり…れ、れいむぅ…こえがおおきいよ…」
大きな声でれいむが叫ぶ為にまりさがなだめる。だがもう遅かった。
既に他のゆっくりに取り囲まれて退路まで経たれている。その事にまだまりさ一家は気づいていない。
突如れいむの横に丸い影が近づいたかと思うと、れいむが突然大きな声を上げ出した。
「ゆ!?ゆぎゃあああああああああ!!!!????」
「で、でいぶううううううう!?どぼじだのおおおおおおおお!?」
子ゆっくりたちが異変に気づいてまりさの周りに集まる。
まりさはその異変の正体に気づいた。
あの丸い影の正体は…「ちぇん」だ。ちぇんがれいむの右側面に口を大きく開けて噛みついている。
「ゆがあああああああ!!ゆっぐりばなじでね!ゆ”!ばなぜええええええええ!!」
れいむが寒天の目を血走らせてあらん限りの力でブンブンと体をふって引きはがそうとする。だがちぇんはビクともしない。
ちぇんの方も何かおかしかった。「ふーっ!ふーっ!あまあまなんだねぇぇぇええええ!!わがるよおおおおおお!!」と叫びながら砂糖細工の歯をれいむのモチモチとした小麦粉の皮に突き立てている。
寒天の目は焦点が定まらずぐりんぐりんと回っており、息も荒い。明らかに普通ではない。
「ゆ!?」
まりさは辺りを見回す。れいむの大声に気づいたのかそこにはまりさ一家を取り囲むようにグルリと様々なゆっくりがいた。
どれもこれも風態がおかしい。飾りのない物や、半分禿げているもの、様々な「ゆっくりできない」ゆっくりが大量に取り囲んでいた。
一つ共通する事はどれもこれもあのちぇんの様な様子だと追う事だけだ。
「ゆぎぃいいいいいいいいい!?」
まりさが警戒して周りを見ている頃、れいむの方は凄まじい事になっていた。
今度はリボンめがけてリボンのないれいむが後ろ上部に噛みついたのだ。凄まじい力でミチミチと小麦粉の皮が千切れていく。
あっという間にブチブチと音がしてれいむの自慢のリボンは砂糖細工の髪の毛が音引きちぎられた。
「ゆっぎゃあああああああああ!?でいぶのおりぼんざんがあああああああ!?」
カッパハゲになってしまったれいむ、だが気にしている時ではない。まだちぇんが噛みついているのだ。それを何とか引きはがそうと必死に体を動かすが、ちぇんはガブガブと噛みついて全く離れる様子がない。
リボンのない「あぶれれいむ」の方は舌でリボンを持ち上げながら
「りぼんざんがあればゆっぐりでぎるよおおおおおおおおお!!」と雄たけびを上げている。
だがそれも長く続かない。他のリボンがないあぶれゆっくりのれいむ種が二体、一斉にあぶれれいむに群がったのだ。
「ゆぎゃ!ゆぎぃいいいいいい!!」
「りぼんんんんんんんんんんん!!」
「あばあばざんはゆっぐりでぎるよおおおおおおお!!ゆぎゃばばばばばああああああ!!」
あぶれれいむも反撃するが、あっという間に小麦粉の皮を三分の一以上食いちぎられ、「ゆ”!ゆ”!」と痙攣を起こしている。長くはないだろう。
れいむに噛みついているちぇんにもあぶれゆっくりの洗礼は続いた。帽子のないまりさがちぇんの帽子ごと真上の部分に噛みついて、バリッと食いちぎる。
「ごのあばあばはまどめでまでぃざがいだだぐんだぜええええええええ!!」
「ぢぇええええええん!!ゆぎぃっ!ゆがっ…!がっ…!?」
あぶれまりさがグッチャグッチャとちぇんのチョコレートをむさぼる様に食べ始める。ちぇんは寒天の目をグリンと上に向けて力なく口を離した。
「ゆ”!ゆ”!いだいよぉぉおおお・・・でいぶのりぼんざんがあああ…ゆ”っぎぃ!?」
「がふっ!がふっ!じあわぜえええええええええええええええ!!」
やっと一息ついたのもつかの間、れいむはまた別のあぶれありすに噛みつかれたのだ。今度はちぇんの様に噛みついているだけではない。体をふって先ほどちぇんが噛みついていたところに噛みつき、一気に小麦粉の皮を食い破る。
「あ”あ”あ”あ”あ”!?いだいいいいいいい!!」
れいむが顔をゆがめて叫ぶ。右側面は大きく裂けて餡子がボトボトと落ちている。それをあぶれありすは口を地面につけてグチャグチャと貪っていた。
「む~ちゃむ~ちゃ!ちあわぜえええええええええええ!!」
「ゆ”!やべでね!でいぶのあんござんだべないでね!」
「む~ちゃむ~ちゃ…ぢあわぶぢぇ!?ゆがっ…ぎ…ぎいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
「ぢ~んぼおおおおおおお!!がっでにみょんのあんござんをだべるなんでとんだげずだねぇぇぇぇええええ!!」
あぶれありすの真上に木の枝が深々と突き刺さった。そのままあぶれみょんが舌でグリグリとかき回しながらありすを放り投げる。
「ゆ”んやああああああああ!?ゆっぐりやべでねええええええ!!がわいいれいぶをゆぎいいいいいい!!」
止めとばかりにあぶれぱちゅりーがれいむの上にのしかかって餡子をひり出す。餡子が一気に流れ出たれいむはそのまま寒天の目をグリンと上に向けて「ゆ”!ゆ”!」痙攣を始める。
そのあぶれぱちゅりーにも一斉に他のあぶれゆっくりが襲い掛かり、ゆっくりのダンゴが出来上がった。ウネウネと動いてそれらが離れた頃には、れいむは小麦粉の皮のキレのこしてそのまま他のゆっくりの餡子になってしまっていた。


まりさは周りの状況を見渡しながら恐怖のあまりうんうんとしーしーを垂れ流してその場に張り付いた様に動けなくなっていた。
それがいけなかった。まりさに突然砂糖細工の後ろ髪を引っ張られた様な感触が襲った。ブチブチと音を立てて痛みが走る。
「ゆがああああああああ!?いだいいいいいいいいい!!」
見れば、砂糖細工の産毛を数本のこした何種か分からない禿げ饅頭が髪の毛をペタペタと舌で張り付けていた。
「までぃざのがみいいいいいいい!!ぎゃみいいいいいいい!!ゆっぐり!ゆっぐりいいいいいいいいい!!」
どうやらまりさ種の様だ。だが空恐ろしい何かにしか映らない。
他のあぶれゆっくりがまりさの小麦粉の体と言う体にのしかかり、そして噛みつく。
「ゆぎゅううううううう…!おぼいいいいいいい!!ゆぎぃっ!ゆごおおおおおお!?いだいいいいいい!!ぼうやだああああああああ!!おうぢがえるうううううう!!」
まりさがの視線の先には子れいむと子まりさがいた。
「む~しゃむ~しゃがふっごふっ!」
「うべっ!ごれべっぢゃうべぇええええええ!!」
「やべぢぇねえええええ!!いぢゃいいいいいいい!!れいみゅをちゃべにゃいぢぇねええええええ!!ゆ!…!…!!」
「ゆんやああああああ!!ゆっきゅりちゃべりゅんじゃないじぇええええええ!!ゆ!ゆ!あ”あ”あ”あ”!…!…!……!!」
二匹のあぶれまりさがソフトボール大の子れいむと子まりさを丸のみにしようとしていた。
子れいむも子まりさも抵抗してあぶれゆっくりの口から小麦粉の体を乗り出してグネグネと動くが。暖簾に腕押し、どんどん口の中に引っ張りこまれていく。
遂にはゴボン!と口の中に入れられてしまった。二匹のあぶれまりさはむ~しゃむ~しゃと咀嚼する。
「ゆげぇっぷ」とゲップをかますと口からリボンのキレと帽子のキレを残して完全にいなくなってしまっていた。
「までぃざのおぢびぢゃんがああああああああああああああああ!!」
まりさが穴と言う穴から砂糖水の涙や涎を流して泣き叫ぶ。しかしこんな状況ではまりさも子ゆっくり達と同じようになるのは時間の問題だった。
まりさが痛みでのた打ち回っている時、突然目の前が真っ暗になった。襲ってくるのは凄まじい激痛。
「ゆばあああああ!?までぃざのおべべがあああああああああ!?」
3匹のあぶれぱちゅりーが口にくわえた木の枝でまりさを突き刺したのだ。内二本は寒天の両目にジャストミートしてまりさを苦しめる。
「むぎゅううううううう!!ごうずればあばぐなるわあああああああ!!」
「「むぎゅばばばあああああああ!!ばぢぇだぢのずのうのじょうりよおおおおおおおお!!!」」
まりさがゴロゴロと転がりまわってなんとか脱出を試みる。だが深く刺さった木の枝はまりさの餡子をかきまわすだけであった。
まりさに一斉にあぶれゆっくりが群がって行く。
ブチブチと言う音が聞こえる。グチャグチャと何かを咀嚼する音が聞こえる。
「いだいいだいいいいいいい!!ゆっぐりだべないでゆびぃっ!ゆ”!ぎぃっ!ゆがあああ…!!……!………!!」
あぶれゆっくり達は止まらない。餡子を食べて、小麦粉の皮をくいちぎる。
「…!…!!」
まりさ一家がいなくなった後も、一堂に会したあぶれゆっくりたちは戦う。最早餌場という目的でなく「ゆっくり」という饅頭を食べるために。


…一時間後、そこに残っているのはゆっくりの飾りや餡子やクリームのカス、小麦粉の皮のキレだけであった。
一匹のボロボロのれいむがそこに唯一いた。
「ゆへへへぇぇぇ~!ゆっぐりおながいっばいになっだよぉぉ~!」
片方の寒天の目はなく、もう片方もあり得ない方向にギョロギョロと動かしている。
底部の方からは餡子が流れ出ていた。かなりの深手の様だ。
「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆ~っくり~していって~ね~♪」
そう歌いながらガクっと項垂れてそのまま動かなくなる。
あと数十分もすればまた離れていた別のあぶれゆっくりがここに集まるだろう。
ここに行きついたゆっくりに待っているのは。統率できるゆっくりがあらわれてその傘下に入るか、他のゆっくりのうんうんになるかだけであった。
冬の餌場。ゆっくりにとってはオアシスになるはずの場所がとんでもない戦場へと変貌するのである。
今日もあぶれたゆっくり達は互いの餡子をかけて鎬を削っている。
ゆっくりプレイスとは程遠い場所、しいて形容するならば「バトル・プレイス」で―――




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感想

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  • まりさはこんな母性(笑)しかない悪質な妻さっさと見限りゃよかったのに。 -- 2012-01-31 22:41:58
  • この妻れいむはゲスではないかもしれんが、知能が低く器が小さい小物だな -- 2011-05-29 13:38:25
  • ゲスでもバカでもどの道同レベルの迷惑だから変わりは無いな -- 2010-11-10 15:52:19
  • いやこの親れいむはゲスだろ。まりさもとっとと見捨てればいい物を… -- 2010-10-17 21:47:53
  • ゲスというかただのおばかさんなんだね~ -- 2010-08-12 06:46:56
  • この親れいむはゲスじゃないって言ってるけどゲスにしかみえない -- 2010-07-18 13:51:37
最終更新:2009年12月16日 17:00
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