絶対的虐待意思 0 37KB
虐待-凄惨 理不尽 駆除 ツガイ 群れ 野良ゆ ドスまりさ 自然界 都会 現代 虐待人間 独自設定 前作を読むと世界観がわかりやすいです
虐待[ 凄惨 HARD ] 理不尽 駆除 妊娠 ツガイ 群れ 野良ゆ ドスまりさ 自然界 現代 虐待人間 独自設定
前回『
絶対的虐待意思』の過去話です。
ちなみに前回でた『クロリボンマンジュ』=『ゆっくりようむ』です
ゆっくりがこの『世界』に流れ着いて数週間。
この『世界』であり、すべての『母』でもある『彼女』はゆっくりを―――
拒絶した。
突然開いた『隙間』からゴミを捨てるかのように大量に吐き出されてきた饅頭達。
饅頭達の身の程知らずの馬鹿な行動などはどうでもいい。
『力在る子』達の方が、酷い事もできるし愚かしい行動もする。
許しがたいのは―――饅頭如きが、『言葉と感情』を吐くことだ。
さらにこの世界にいるほかの生物に一切の敬意を払わない。
あろうことかそれが勝手に生まれてくると思い、自分達に与えられたものと思い込んでいる。
許しがたい無知であり、その存在は世界の『理』を捻じ曲げている。
だから、その『言葉』がもう二度と理解されないように、その『感情の変化』がはっきりとわからないようにするのだ。
つまり『四足の子』と同じようにする。
理を矯正するのだ。
贔屓でも差別でもない。
饅頭達にはそれにみあう立場になってもらう。
それだけだ。
命を奪うことは『父』から禁じられている。
だがそれ以外のことだったら何でもして良いと。
いきなりこの世界に吐き出された饅頭など粗末に扱っても問題ないのだ。
『四足の子』『地を這う子』『大地に根付く子』『天空の子』『大地の青』は、
『力在る子』と同じ言葉を使う饅頭を敬遠していたが、これによって自分の意思を理解してくれるだろう。
それに『光』も協力してくれるだろう。
その果てにあの饅頭たちがどうなるかは火を見るより明らかだが、その結末だけは確認しよう。
でははじめよう。
さようなら。
哀れな饅頭共。
<『地を這う子』たちの会話>
「知ってるか?『あいつら』さ『母君』に『言葉』を奪われたんだって」
「本当か?」
「俺も知ってる。もう人間みたいにしゃべれないらしいぞ」
「まあその点はどうでもいいさ。重要なのはそれが意味する事だ」
「『母君』が直接手を下したってことは……」
「奴らは認めてもらえなかったんだ」
「じゃあ『敵』だな」
「ああ、敵だ」
「大体やつらむかつくんだよな。知ってるか?あいつら俺らが『勝手に生まれてくるもの』だと思ってるんだぜ」
「そうそう。草花も『勝手に生えてくるもの』って思ってるんだよ」
「ホントかよ……。あいつらどんだけ終わってるんだ?そりゃあ『母君』もお怒りになるわけだ」
「ということは、もう我慢しなくていいんだよな?」
「そうだ」
「じゃあ、俺は仲間集めて『あいつら』を切り刻んでくるわ」
「俺は毒針で始末してくる」
「いいよなあ。ちゃんと武器があるヤツは」
「お前らは喰われるときに一矢報いればいいだろ。そこらへんはしょうがない」
「っち……他人事だと思って。まあいいさ……『あいつら』どのくらいで全滅するかな?」
<『四足の子』たちの会話>
「それが『お母様』の意思なのか」
「そういうこと」
「昆虫や草花達はすでに行動を起こしているらしいよ?」
「じゃあ、私たちもしないわけにはいかないねえ……」
「まあ俺はいいと思うよ?いいかげん『あいつら』にでかい顔されるのもイヤだったし」
「そうだな。『お母様』の意思を見るまでは手を出さないと決めていたが……正直、我慢の限界だった」
「もうやりたい放題って訳だ。くひひ……」
「でかいヤツはみんなで集まればどうにかなるだろ」
「ああ。それに身軽なヤツが目を潰しちまえばいいんだ」
「よし。じゃあ早速一番近くにいる群れからやっていこうぜ」
「おお!」
<『天空の子』達と『大地の青』の会話>
「そうですか……『母』が……」
「いいんじゃねえか?俺はやるぜ!」
「私たちも協力します。それに『あいつら』はいい食料になりそうです」
「……わかりました。私も協力しましょう」
「おお!お前もやってくれるか!まあ、他の連中には迷惑かけない程度にやるさ!」
「彼は相変らずやんちゃですね……」
「はい。まあ、彼のお陰で私たちは空に居る事ができるわけですがね」
「ふふっ。では私の中に住まう彼らにも伝えておきましょう。それでは」
「はい」
<『光』の独り言>
そういう結論か
いいだろう
あの驕り高ぶる饅頭を焼き尽くそう
二度と我の下を歩けぬようにしてやる
恨むのなら己を恨め
『彼女』の元に連れてこられた自分らの不運をな……
夜明け。
森に太陽の光が満ちる。
一日の始まり。
―――ゆっくりにとっては『終わりの始まり』だが。
「「ゆっくりしていってね!」」
「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」
そんなことも知らないゆっくりまりさとれいむ、そして七匹の子ゆっくりの一日も始まる。
森の巣穴で暮らす一家は朝の日課であるお散歩に出かけた。
「ゆゆ~ん!まりさがいちばんだよ!」
「ゆ~!れいむだよ!」
「おねーちゃんまってよ!!」
「ゆっ!じめんにいしさんがあったらあぶないよ!ゆっくりしていってね!」
「れいむだいじょうぶだよ!!こどもはげんきにあそぶんだぜ!」
そして子まりさが森の木陰から広場へと出ようとしたときだった。。
「ゆゆー!いちば……ゆ”っ!?」
ジュッっと、太陽の光が子まりさの肌を焼いた。
日に当たった部分が赤く焼け上がり、子まりさは思わず木陰に逃げ帰った。
「ゆわあああああぁぁぁ!!いたいよおおおおおぉぉぉ!?」
「ゆっ!?おちびちゃん!?どうしたの!!」
「おねーちゃん?」
「ゆあああぁぁ!!」
子まりさが泣き叫ぶが両親や兄弟はわからなかった。
木陰の外ではお日様がいつも以上に明るく輝いている。
とてもゆっくり出来そうな日。
「ゆっ!なにかゆっくりできないものがったの!?おねえちゃんがゆっくりこらしめてくるよ!」
「おちびちゃん!ゆっくりまってね!まずおとうさんが……」
長女のれいむが元気よく日なたへ飛び出た。
「れいむのいもうとをいじめたのはだれ!?ゆっくりしないでしんでね!」
子れいむは通りに飛び出すと同時に視線を上げた。
れいむはおめめに強烈な痛みを感じた。
次の瞬間目の前が真っ暗になった。
「ゆあああああぁぁぁ!!れいむのおめめがあああああぁぁぁ!?!?」
―――光がれいむの瞳の寒天を焼き焦がし、一瞬で視力を奪ったのだ。
同時に全身が熱く痛い。
全身が赤くはれ上がり全く動けなくなる。
「いだい”い”い”い”い”!!うごげないよ”お”お”お”お”お”ぉぉぉ」
―――子まりさと同じく、光がれいむの肌を焼き運動能力を奪ったのだ。
同時に、全身を焦げつかせてしまったため何も聞えない。
ただただ悲鳴を上げる。
「おどうざんんんんん!!おがあざあんんんんん!!だずげでえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!」
だが死ねない。
光はその表面を焼いただけで、中身の餡子は無傷なのだから。
「おちびちゃんんんんん!?どぼじだの”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!?!?」
「いまおとうさんがたすけにいくよっ!!ゆっくりまっててね!」
「おねえちゃんをたすけるよ!!」
「「「「えいえいゆー!!」」」」
子ゆっくりたちもそれに続く。
「ゆっ!ゆっゆっ……ゆ”っ!?ゆっぎゃあああああぁぁぁ!!ばりざのきらきらなおめめがあああああぁぁぁ!!」
「「「「「ゆぎゃあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ」」」」」
助けようとした両親や他の兄弟も同じような目に遭った。
今は叫び声をあげるだけだが、やがて中身の餡子も水分を奪われ、渇きと共に苦しみぬいて死ぬだろう。
助かったのは、最初に焼かれた子まりさとその容態を診ていた親れいむだけだった。
同じような光景が森のいたるところで見られた。
太陽の光がゆっくり出来ないと気づいたゆっくり達は木の陰に逃げ込んだ。
「とかいはじゃないたいようはゆっくりしになさい!!」
「「「ゆっきゅりちんでね!」」」
日陰から日なたに向かってぷくーをする親ありすと赤ありす達。
「だ……だ、ず……で……あ”、でぃ……ず……」
「ゆ”っ……ゆ”っ……ゆ”っ……」
日なたの中には全身を真っ赤に焦げ付かせながら、半分溶けたような状態で呻き声をあげる親まりさと赤まりさが居た。
赤まりさはすでに死の痙攣が始まっている。
「こんなのとかいはじゃないわ!!こんないなかくさいところはありすとおちびちゃんにふさわしくないわ。
ゆっくりといどうしましょう!」
「「「しょうだね!」」」
まりさの言葉など届いていないのか、親ありすはどこかに行こうとしていた。
だが木の周りは日光で満ちているため、移動する事などできないのだが。
その時、木の下を一筋の風が通り抜けた。
「まったくこんなきけんなところにつれてくるなんて、まりさもとん『スパッ、びちゃり』だいなか……ゆっ?」
親ありすの顔にかかる生暖かい感触。
目の前に居た一匹の赤ありすの体が上下に切り裂かれていた。
断面は非常に綺麗で、転がっている赤ありすの上半分の表情が何が起こったかわからない不思議そうな表情をしている。
しかしやがて痛みが襲ってきたのか、血走った目を見開きつつ瞳から涙を流しながらビクンビクンと震える。
残った下半身も同じだったが、やがて動かなくなった。
その様子を見守っていたありす達は、何が起こったかわからず呆然としていたが
「あ”り”ずの”がばい”い”どがい”はな”あがぢゃん”があ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!
「「ありしゅのいもうちょがあああああぁぁぁ!!」」
悲鳴を上げたありす達だったがそれはすぐに途絶えた。
続いて吹きぬけた風が、赤ありすをバラバラにし、親ありすの体を二分の一ほど切り取ったのだ。
「ど、どぼじで……ごんなごどに……あでぃずば……どがいばの……」
親ありすは死ぬ一歩寸前の激痛の中で、番であったまりさのほうを見た。
しかしそこには、帽子が無残に切り刻まれ、溶けかけた体をしたゆっくりがいただけで、番だったまりさを見つけることは出来なかった。
ありすはいつまでたっても自分を助けにこない番を呪いながら死んでいった。
「わからないよー。ゆっくりできないよー」
「むきゅ……こまったわね……」
「「「わかりゃにゃいよー」」」
「みゅきゅ~……」
親ちぇんと親ぱちゅりー、そして赤ちぇん赤ぱちゅりーの一家はからくも難を逃れていた。
お隣に居たみょん一家が太陽の光に焼かれ。
その隣にいたまりさ一家が風に切り裂かれた。
日なたを避け、風が通らない巣の中に移動した。
「おきゃーしゃんおにょどがかわいたんだねー」
「むきゅ。ならゆっくりとかわさんのちかくにいきましょう」
一家はそろーりそろーりと移動を開始する。
幸い風は吹かず、太陽は雲に隠れていた。
一家は逃げ尽くめで疲れていたこともあり、小川の水をみんなでごーくごーくし始めた。
「ごーく、ご……」
「むきゅ……?……む、むっぎゅう”う”う”う”う”ぅぅぅ!?!?」
「ゆ”にゃ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!」
「ぎゃら”い”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
「わ”がら”な”い”よ”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!!どぼじでお”み”ずざん”ががばい”の”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!?」
喉を潤そうと水を飲んだに、その水は強烈な辛味を帯びていたのだ。
「「「「う”びょお”お”お”お”お”ぉぉぉ!!」」」」
赤ゆっくりたちは中身を吐き出し即死した。
「ぢぇん”の”がばい”い”あがぢゃん”があ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!?わがらだいよお”お”お”お”お”ぉぉぉ!?」
「む”ぎゃっ!えべべべべべぇぇぇ!!」
「ばぢゅり”ぃぃぃ!?」
親ぱちゅりーも中身をぶちまけた。
そしてまっ平になって息絶えた。
「ゆ”ぎゅあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ」
親ちぇんも、体内を辛い水に犯される地獄の苦しみを味わいつつ息絶えた。
「ゆうう……おなかしゅいたよぉ……」
「おちびちゃんゆっくりがまんしてね……きょうはおそとにいったらゆっくりできないよ……」
親れいむと唯一生き残った赤れいむが、巣穴の中で震えていた。
親れいむはしんぐるまざーをかさにきて、他のゆっくりから食べ物を奪い生活してきた。
今日も同じ一日が始まると思いきや、周りでゆっくりが次々に死んで行く。
自分もかわいい(笑)かわ~いぃ(絶笑)おちびちゃんがすでにたくさん(四匹)死んでいる。
残ったのはたった一匹だけである。
「ゆっきゅりできないよおぉぉぉ……」
赤れいむがつぶやく。
「ゆうぅ……ゆっ!あれは!」
れいむは巣穴の中の隅っこの方に顔をだしている雑草を見つけた。
「ゆ!かわいそうなれいむにぷれぜんとだね!おちびちゃん!ゆっくりくささんをたべようね!」
「ゆわーい!くささんゆっきゅりいちゃぢゃきまーちゅ!!」
隅から顔を出した若草に二匹でかぶりつく。
「むーちゃ!むーちゃ!それ、にゃ……」
「むーしゃ!むーしゃ!それな……」
二匹の動きが止まった。
「ゆっぎゅりいいいいいぃぃぃ!?!?こりぇどきゅぎゃhjl;:ぱkpはkpjふぁk@f」
「ゆげえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!どぼじでぐざざんががばbkだはfじゃfじゃfなklfじゃ」
目を血走りさせ。
大口と叫びを上げ。
全身から体液が吹き出す。
「ゆっげ……!ゆっげ……!ゆっぎい”い”い”い”い”ぃぃぃ……」
赤れいむは叫び声をあげると同時に。
親れいむは散々苦しみぬいた後呻き声を垂れ流しつつ死んでいった。
よく聞くと、同じような呻き声が森の中で響いていた。
「みょ……みょん……」
「ゆうううぅぅ……」
「みょぉぉぉん……いちゃいよぉ……おちょーしゃん……」
「ゆびいいいぃぃ……ありちゅのきれいにゃおめめがぁ……」
「ぴゃぴゃぁぁぁ……しょんなかまきりしゃん……はやきゅこりょちてぇ……ありしゅのかしゃきちょっちぇぇぇ……」
ゆっくりみょんとありすは、巣の中で一匹の蟷螂と対峙していた。
その日、ゆっくりできない事が多く起こり、巣穴の中で家族でじっとしていたらこの蟷螂が来た。
そして次々とおちびちゃんたちを傷つけ、こうして自分の前に立っているのだ。
みょんと蟷螂はにらみ合っている。
みょんは口に棒を咥えているが、蟷螂は鋭い鎌を振りかざしている。
「みょん!」
みょんが先に動いた。
咥えた木の棒で蟷螂に殴りかかる。
だが蟷螂はヒラリとそれをかわすと、逆にみょんの頬を鎌で切り裂いた。
「み”ょん”!?」
「みょん!!」
番のありすが短く悲鳴をあげる。
蟷螂は第二撃を繰り出すために空中からみょんに突進する。
「みょ”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!!」
だがみょんはそこで、棒での攻撃ではなく体当たりを仕掛けた。
攻撃範囲が広い体当たりをまともに食らった蟷螂は地面に倒れ伏す。
そしてその一瞬の隙を突いてみょんがその上に飛び乗った。
「みょん”!みょん”みょん”!おちびっ!ちゃんを!きずつけるっ!かまきりはっ!しぬんだみょん!!」
バンバンバン、と何度も何度も飛び跳ねる。
しばらくしてみょんは荒い息を整えつつその場からどく。
そこにはぺしゃんこになった蟷螂がいた。
「みょん!ぶじなのね!」
「ありす!もうだいじょうぶだみょん!ゆっくりしてってね!」
夫婦二匹で勝利を喜ぶ。
「ゆ~ん。ゆゆ~ん……ゆ?そういえばありすのこどもたちはどこ?」
「みょ?」
蟷螂に気を取られていたが、いつの間にか子供達がいなくなっている。
あの怪我では動けるはずが無いのに……と、巣穴の外から何か聞えてくる。
「ゅ”……ゅ”……ぎゅ……」
「ゃ”べ……ちぇ……」
「ぃ”……ゃ”……ぃ”ゃ”……」
「「……」」
みょんとありすは恐る恐る巣穴の外を見た。
そこは『虫』達の饗宴だった。
群れの広場では多くのゆっくりが虫に集られ喰われている。
「やめ、でぇぇぇ……たべないでぇぇぇ……」
「いぢゃいぃぃっ……どぼ、じでごんな、ごどぉ……」
自分の体が食われているのに抵抗らしい抵抗はほとんどしない。
よく見ると、その体には何かに刺された跡。
饗宴の中を跳ぶ大きな羽音の主、蜂がゆっくりを刺し、その毒で動きを封じたのだ。
そしてそこを一気に襲う。
「いびぃぃぃ!ぎ、ら”な”いでぇぇぇ……あでぃずのがらだぁぁぁ……」
蟷螂はゆっくりの体に集り、外皮を切り裂き中身をすする。
「わ、わ、わ、わがだぁぁぁぁぁ」
カブトムシやクワガタはその武器でゆっくりの体を刺し、挟み傷つけ解体する。
「ゅぅぅ……おちょぅしゃんじょきょぉぉぉ……にゃにもみえにゃいぃぃ……」
蜜を吸う蝶などはゆっくりの目玉から甘い体液をすする。
蟻。ムカデ。蝶。ゴキブリ。カナブン。蜂。甲虫。芋虫。毛虫。虫。虫虫虫虫虫虫虫
虫嫌いな人が見たらショックで気絶するかもしれない。
その中にはみょんとありすの子供もいた。
「ゃ”……だべ……な”……」
「だ、ずげ……で……」
「じに、だぐ、じゃぃぃ……」
「い”ぃ”ぃ”ぃ”じゃぁ”ぁ”ぁ”……」
助けを求める呻き声と苦痛がその場所で渦巻いている。
「「……」」
みょん思わず咥えていた棒を落とした。
虫たちの無数の視線が哀れな餌へと一斉に向けられた―――
その日から森にゆっくりの悲鳴が響き渡り、ゆっくりの死体が絶えることなく転がる事となる。
とはいえその悲鳴もすでに人間にとっては意味を成さず、ただの「ゆーゆー」という声が聞える程度の認識になっている。
ではゆっくり達を統べるドスがいる群れはどうなっているだろうか?
とある群れを見てみよう。
「だずげでえ”え”え”え”え”ぇぇぇ」
「どぼじでどうぶづざんがお”ぞっでぐる”の”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!?」
「どぼじでごん”な”ごどずる”の”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!?」
「あ”づい”みょ”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!!だい”よ”う”ざん”がゆ”っぐり”でぎな”い”みょ”お”お”お”お”お”ん”ん”ん”ん”ん”」
「がら”い”い”い”い”い”ぃぃぃ!!ゆっぐじでぎな”い”い”い”い”い”ぃぃぃ」
「む”ぎゅばぢぇの”ぢじぎでばごのぐざざんばだいじょぶな”の”にぃぃぃ……エベエベエエエエエェェェ!!」
「いちゃいよおおおぉぉ!!にゃんできゃぜしゃんでまりしゃのきゃらだしゃんがきりぇりゅのおおおぉぉ!?」
「ゆ”んげえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!わ”……が……ゆべっ!!」
「みゃみゃぁぁぁ!たしゅけちぇえええぇぇ!!」
「わがらない”い”い”い”い”ぃぃぃ!!どりざんばぢぇんのごどもをがえじでえ”え”え”え”え”ぇぇぇ」
「ごろ”ざな”い”でえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!
あ”でぃずの”おぢびぢゃん”ごろ”ざな”い”でえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!」
太陽の熱線によって焼かれる体。
吹き込む風によって切り刻まれる体。
水や植物は猛毒となり食べられない。
森に住む動物たちの襲撃。
鳥達の攻撃。
昆虫達の同時攻撃。
野生のゆっくり達は瞬く間にその数を減らしていった。
「ゆゆっ!?なんなのこれはぁぁぁ!?」
ドスが群れに到着する。
「どずう”う”う”う”う”ぅぅぅ!!だずげでえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!」
「ゆっ!どすがきたらからもうどうぶつさんたちなんてこわくないよっ!」
「ゆっくちできないどうぶちゅしゃんたちをしぇぃしゃいしちぇねぇ!」
今まで泣き喚いていたのに、途端に大きな態度になるゆっくり共。
「ゆっ!みんなをゆっくりさせない動物さんたちはせいっさいするよ!!」
ドスはその巨体を武器に動物達に襲い掛かる。
「ゆっくり潰れてね!」
三メートルを超えるドスの跳躍!
『ドコンッ!』「ゆ!?!?」
突然ドスの立っていた地面が大きくへこんだ。
ドスの大きな体が顔を真上にしてすっぽりと地面の中に埋まってしまう。
「ゆうっ!?ゆうううううぅぅぅ!?動けないよぉぉぉ!?」
底部が下に来ていればまだ飛び跳ねて抜け出せたかもしれないが、この状態ではムリであった。
「どすうううぅぅ!?なにしてるのおおおぉぉ!?」
「はやくありすをたすけてえええぇぇ!!」
ゆっくりの悲鳴がさらに大きくなる。
「ゆ!待っててね!今助けるから……」
と、ドスを覆う大きな影が
「……ゆっ?ゆっあああああぁぁぁ!!熊さんだあああああぁぁぁ!!」
森に住む最強の存在までもが、他の動物に協力しゆっくり狩りへと赴いたのだ。
しかも何十頭もだ。
「ゆうううぅぅ!!熊さんはゆっくり死んでねっ!!」
ドスは帽子の中からキノコを取り出しドススパークを撃つ為に口に運んだ。
「むーし「ガアッ」ゆ”ぶぼっがあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!」
そんな長いチャージを待ってくれるはずが無い。
例え撃てたとしても、真上を向いているので動物達に被害が及ぶ事などないのだ。
明確な敵意を持って熊はドスまりさを攻撃する。
熊の腕力によってドスの体の一部が大きく削ぎとられる。
「ゆがぼがぼべえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!や、やべろ”お”お”お”お”お”ぉぉ!!
どずの攻撃をゆ”っぐり”ま”っで……「ガアッ」ゆ”ごお”お”お”お”お”ぉぉぉ!!」
熊の一撃はドスの体をさらに深くえぐり取った。
「や、やべっ!ゆぎゃあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!ど、ドズの体、けずら……ゆぎい”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
そしてドス弱まったところで他の動物達が一斉に襲い掛かる。
鳥。狸。鼠。猿。犬。鹿。鳥。動物動物動物動物動物。
わくわく動物園開園である。
「ど、どす……?……!ゆっぎい”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
「どしゅがしんじゃっちゃっゆぴいいいぃぃ!!」
「ゆぎゃあああああぁぁぁ!!」
「だずげでえええええぇぇぇ!だれがだずげでえええええぇぇぇ!!」
「やべでどずのからだたべないで ゆぎいいいぃぃおめめがみえだいいいぃぃ がみのげざんぬがないでいだいいだいいだい
ぐちのながにはいだないでいぢゃいいぢゃいいぢゃい あんよをけずらないでやべでやべでやべで
あんござんどらないでやべでやべでやべで どぼじでごんなごどずるのどうじでどうじでどうじで
ゆっぐりざぜでゆっぐりざぜでゆっぐりをゆっぐりざぜで ごろざないでごろざないでみんなをごろざないでどずをごろざないで
ゆっくりをごろざないでゆっぐりをごろざないで ……ゆげっ ゆげげげげげ ゆげげげげげげげげげげげげげげげ」
こうしてドスまりさも動物達の前に屈した。
ちなみに地面が突然陥没したのも『大地』の意思である。
世界の森羅万象全てがゆっくりを攻撃し始めたのだ。
こうしてドスは無力化され、各所に点在していたドスのほとんどは動物によって屠られ、その体をバラバラにされていった。
しかしそれでも、動物達は殺したゆっくりをほとんど食べなかった。
つまり『殺す』為にゆっくりを襲っていた。
なのでゆっくりが巣の中でおとなしくしていても、そんなの関係なく次々と狩られていった。
そして野生のゆっくりの99.99%は一週間で全滅したのだった。
では、人の生活圏内のゆっくりはどうだったのであろう?
<『力在る子』の会話>
「しかし何なんですかねこいつらは……」
「うむ……」
「中身は全部餡子。構造上は饅頭と全く同じ。ですが五感があり、感情のようなものがあり、しかも人語を解する……」
「うむむ……」
「私は少し恐ろしいです……。こいつらは全ての常識を覆しかねない……」
「うむぅ」
「しかも突如として全国に出現した。人の生活圏内では軽い混乱も発生しています。早くこいつらの正体を突き止めないと……」
「うむ」
「さて、では今日も始めますか……。えーあーれいむ?まりさ?ちょっといいかな……あれ?……おい!?」
「うむ?」
「おかしいぞ……?昨日まではムカツク言葉を垂れ流していたのに?おい、れいむ。まりさ?ふざけているのか?」
「うむむ……?」
「おい!!おい!!……おかしいです。やつら『ゆーゆー』としか言いません。表情の変化もありません!」
「うむっ!」
「そんな馬鹿な……。昨日までの映像の確認を……。あれ……?そもそも、あいつら話せたんだっけ……?」
「うむぅ?」
「……あるわけないですよね。饅頭がしゃべるなんて。饅頭が話したり、感情があるなんてあるわけ無いですよね」
「うむっ……」
「では、構造を解析したいんで、解体実験や投薬実験、刺激実験を行ないましょう」
「うむ!!」
「ゆぅ……ここならゆっくりできるよ……」
「ゆっ!まりさもここににげてきたんだねー」
「みょんんん……」
「むきゅぅ……いったいなにがおこっているのかしら?」
「みんなゆっくりできなくなっちゃったよ……」
とある大きな建物の軒下。
日陰であり、風も通らず、食料も水も無い、真っ暗で狭い空間。
もはや日なたの世界では生きていけないと判断した賢いゆっくりは、それらから逃げるように暗がりへと身を潜めた。
「たべるものがなにもないわ……」
「むきゅ。にんげんのだすごみはたべてもだいじょうぶだったわ」
「ごみさんはゆっくりできるよー。わかるよー」
「よるになったらごみすてばにいくんだぜ!」
人間が作った食べ物は既に自然のものではない。
加工されたものは彼女の意思を実行はできない。
月日がたって毒気が抜けた草や虫なども食べることができるようだ。
もっとも都市部のゆっくりがそれを有効活用できる時は訪れないが。
ガコン
「ゆ!いりぐちさんからなにかはいってきたよっ!」
「なんだみょん?」
「むきゅぅ?なにかながいものね……これは……」
ぱちゅりーが不思議がって『それ』に近づいた。
シュワッ、と『それ』から煙のようなものが噴出した。
「むきゅ!?む、む……む”む”っ!?む”っぎゅう”う”う”う”う”ぅぅぅ!!むぎゅえげえええええぇぇぇ!!」
「ゆわあああああぁぁぁ!?!?おあちゅりーがあああああぁぁぁ!!」
ゆっくり達が逃げ込んだ場所は家の軒下。
そしてそこに入ってきたのはホース。
そこから噴出されたのはガス状の殺鼠剤だった。
ゆっくりのことはまだよくわかっていなかったが、普通の毒が普通に効くというのはすでに知られていて、
駆除に使われるようになっていたのだ。
ガスは瞬く間に床下に広がって行く。
「ゆゆっ?まっしろいけむりさん、ゆっく……ゆ?……ゆ”ぎえええええぇぇぇ!!」
「ゆぐぐ……ぐる”じい”い”い”い”い”ぃぃぃ……ゆっげゲッげっげええげえげかjにぅなlは」
「こ、こっちにこないでねー!!ゆっくりできないけむりさんは、ゆげっほっ!!」
「もう、おわりなんだみょん……せめてらくにしぬみょん……さあ、おたべなさいみょん!」
「ゆぎい”い”い”い”い”ぃぃぃ!!じに”だぐな”い”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
「だずげでえええええぇぇぇ!!ぼう!おう”じがえ”る”ううううげええええぇぇぇ!!」
「ごべんだざいいいいいぃぃぃ!!ゆぎょぼおおおぉぉ!!」
窒息死するゆっくり。
毒に耐え切れず餡子を吐き出すゆっくり。
諦めて自ら「おたべなさい!」するゆっくり。
床下で阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられている。
「これで大丈夫です。もううるさくないですよ」
業者の人間が床下に突っ込んだホースを回収しつつ住人に言う。
「ありがとうございます。いつの間にか床下に住み着いていたらしくて。『ゆーゆー』うるさくて困ってたんです」
「いったいなんですかねーこれ?」
「さあ……。いま国で研究が行なわれているらしいですよっと、ああいるいる全部で20くらいですね」
長い棒で引っかきだすと、ゆっくりの死骸が転がり出てきた。
「気持ち悪い……人間みたいに飾りとかつけちゃって……」
「うわあ……舌とか歯まである……ホントきもい……」
「今にもしゃべりだしそうですね」
「あはは、まさか……。なんでもこいつら饅頭と同じ成分で体が出来てるらしいですよ?」
「饅頭、ですか?」
「饅頭がしゃべるなんてありえないですよね」
「ええ、そんなことになったら気味が悪いですよ」
『ゅ……れいむは、まんじゅう……じゃ、なぃ……』
「あ、これまだちょっと生きてる。ほら、みてください」
業者の男はれいむの体を両手で掴むと、それをあっさりと引き裂いた。
『ゆっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……!!」
無論れいむの言葉や断末魔もただの「ゆーゆー」という声にしか聞えない。
その苦悶に満ちた表情も、死んだ魚のような無表情にしか映らない。
「ホントだ。ホントに餡子だ……」
「不思議ですね……食べられるんですか?」
「さあ……。でも、落ちてる饅頭なんて食べますか?」
「食べないですね」
「ええ。全くです」
駆除する以外の人もいた。
『ゆぎゃあああああぁぁぁ!!』
『おきゃあしゃんちゃしゅけちぇえええええぇぇぇ!!』
『ゆっきゅりできにゃいいいいいぃぃぃ!!』
ゆっくりの悲鳴。
「あはははははは!!チョーおもしれえええええぇぇぇ!!」
「跳ね回ってるよ!!火ぃつけたまま跳ね回ってよ!!」
深夜の公園。
多くの生き物が寝静まる時間帯。
その時間帯を狙って動くゆっくりもいた。
だが、そこを運悪く不良の若者達に見つかってしまう。
『やめろおおおおおぉぉぉ!!おちびちゃんたちをいじめるなあああああぁぁぁ!!ばかなじじいぃどもはしねえええええぇぇぇ!!』
「お?何じゃれ付いてきてるんだコイツ?」
親まりさの必死の体当たりも、人間にとっては只の遊びにしか感じない。
「まあ饅頭だし、殺されるのも理解できねえんじゃないの?自分もやってよ~とか!あはははは!!」
『ぞん”な”ごどい”う”があ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!じねえええぇぇ!じねえええええぇぇぇ」
「はいはい。うんじゃ、ほれ」
若者は親まりさの目にタバコの火を押し当てた。
『ゆ”っ!?……ゆっぎゃあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!ばりざのづぶらなおめめがあああああぁぁぁ!!』
「おーおー跳ねてる跳ねてる。ゆーゆー言ってそんなにうれしいのか?」
「コイツら痛覚とかないの?あ、饅頭にそんなもんないか!あはははは!」
『ゆっぎぃぃぃ……がえるうううぅぅ!もう”おうぢがえるうううぅぅ!!』
若者達から逃げようとする親まりさ。
『ぉ……ちょ……しゃ……』
『ど……し、ちぇぇぇ……』
赤ゆっくり達はかろうじて生きていたが、既に髪も飾りも燃え尽き、全身に大やけどを負っていた。
自分達を置いて逃げようとする親を絶望のこもった瞳で見つめ死んで行った。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!……ゆばああああ!?」
一陣の風が吹いて、親まりさの体がバラバラに切り刻まれた。
風はいつでも吹く。
「おお!風に対して体が拒否反応を起こすってのは本当だったんだな!」
「あはははは!ばらばらだよ!ばらばら!中身ぶちまけてヤンの!!」
ひとしきり笑って若者は周りを見渡す。
「ん~。もういねえかな饅頭?」
「いないんじゃない?以前はたくさんいたけど突然少なくなったし。死体も増えたから役所がしょっちゅう回収してるよ」
「そうか。じゃあコイツらもゴミ箱に捨てとく……ん?」
見ると野良猫が焼き饅頭を持ってどっかに行ってしまっていた。
「猫の餌か。片付ける手間も省けたし、どっか行くか」
「そうしよそうしよ」
人の生活圏内では自然と動物に加え、人間もその攻撃に加わった。
『気味が悪い』
『動いて気持ち悪い』
『ゆーゆー鳴いてうるさい』
『なんか顔がむかつく』
『潰すとすっきりする』
動物達以上の執拗さと残酷さを持って、ゆっくり達はどんどん殺されていった。
そんなこんなで人の生活圏内に居たゆっくりは三日で全滅した。一部の研究用ゆっくりを除いて。
そして残りの0.01%、最後の野生ゆっくりは……
ここはある森の地中。
その中に成体であるゆっくりれいむとまりさが居を構えている。
れいむの額には植物型妊娠をした茎が生えており、そこに赤ゆっくりが六匹ほど生っている。
「ゆぅ……ゆぅ……ゆぅ……」
「ゆゆぅ……れいむぅ……がんばってね……」
何故かれいむの表情は苦しそうである。
よく見るとれいむから生えた茎はやせ細っており、生っている赤ゆっくりも先端に行くにつれサイズがより小さい。
いわゆる未熟児というやつだ。
理由は親れいむから送られる栄養が不足しているからだ。
茎になっている赤ゆっくりの栄養は、母体であるゆっくりの餡子から栄養が送られている。
なので母体が健康でないと健康な赤ゆっくりは生まれない。
通常にんっしんしたゆっくりは、いつもより多めに餌を食べ、赤ゆっくりの成長をサポートする。
だがこのれいむはそれができない。
出来ない理由があるのだ。
二匹の背後に目を向けてみよう。
そこには食料らしきパサパサの草がたくさん積まれている。
どれもこれも干したようにカラカラになった草がほとんどで、ゆっくりが好む木の実や虫、若々しい草は一切無かった。
無論、それらはゆっくりにとってすべて毒となるからだ。
その対処としては毒が抜けるまで放置すること。
しかし同時に栄養価もほとんどが抜け切った状態になってしまうのだ。
なので只でさえ栄養不足の体から餡子を吸われる親れいむにとって、この出産は非常に苦しいものだった。
とはいえ『ゆっくりできない世界』になってから始めて生まれる命。
二匹は何とか無事に生まれてきて欲しいと思っていた。
「ゆゆっ。うまれるよっ。まりさ、うまれるよ」
「ゆっ。わかったよ。いまおぼうしを」
親まりさが帽子を赤ゆっくりの下にひこうとしたときだった。
先端に実っていた未熟児がプチッと茎から落ちた。
「ゅ……」
未熟児赤ゆっくりは地面へと落下し、パチュンという音と共に体の下半分を破裂させた。
未熟児の体は脆い。
生まれたばかりでは僅かな衝撃も致命傷となる。
生まれた高さから地面に落ちるなど、死亡確定の大事故である。
「ゆあっ!?」
「まりさのあかちゃんがっ!?」
「ゅ”……ゅ”……っぐ……」
下半身を破裂させた未熟児赤ゆっくりは、何が起きたか判らないといった感じで親ゆっくりを見る。
「ゆあぁっ!」
「あかちゃんん!ごめんねえぇ!」
「ゅ”……ぎゅ……」
未熟児赤ゆっくりは最後に大きく痙攣すると、血走った目をギョロンと回転させつつ息絶えた。
「ゆあぁぁぁ!」
れいむが大きく体を揺らした。
と、もう一つ実っていた未熟児が茎からプチッと離れた。
「ゅ~ゅっきゅ~……ゅ”びぃゅ”!」
ヒューンと、空を飛んだ未熟児はそのまま壁に激突。
両親は初めに落ちた未熟児を注視していて気づかない。
「ゅ”……っぐ、ゅ”ぅ”……」
第二の未熟児は、誰に気づかれることのないまま、壁のシミとなってコンマ5秒のゆん生を謳歌した。
「ゆあぁ……ゆっ!?またあかちゃんがうまれるよっ」
「ゆっ。こんどはちゃんとひくよっ」
まりさがサッと帽子をひく。
残った赤ゆっくりは未熟児ではなく、普通の赤ゆっくりのようだ。
そしてプチプチッと音がして赤ゆっくり達がまりさの帽子に着地した。
「「「「ゆ……ゆっきゅりし「「ゆっくりしずかにしてねっ」」ゆっ?」」」」
無事に生まれた赤ゆっくりはれいむ2のまりさ2。
生まれて始めての挨拶を交わそうとした子に、親二匹は静かながらも真剣な口調で言う。
「おちびちゃんたちっ。おおきいこえださないでねっ。でないとゆっくりできなくなるよっ」
度重なる動物たちの襲撃で、二匹は学習していたのだ。
「ゆゆっ!?でもりぇいみゅ「ゆっくりしずかにしてねっ」ゆぅ……」
赤れいむの反論もあっさりさえぎられる。
「ゆっくりりかいしてね。でないとこわいどうぶつさんにゆっくりできなくされちゃうよっ」
「ゆぅ……」
「ゆっきゅちりかいしゅるよ……」
「まりしゃもりかいしゅるよ……」
「ゆっきゅり……」
「いいこだねっ。じゃあしずかにあいさつするよっ。ゆっくりしていってね」
「「「「ゆっきゅ……!「「おおきいよっ」」ゆ”ぎゅっ!!」」」」
慌てた両親にその舌で押さえつけられる。
その後、数十分をかけて赤ゆっくり達は声の出し方を叩き込まれた。
「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ……」」」」
赤ゆっくりらしからぬ静かな声。
これなら巣の外にも響く事はないだろう。
「ゆんっ。さすがれいむとまりさのおちびちゃんだよっ。あたまがいいよっ」
「そうだねっ。みんなっ。ぜったいおおきなこえをだしちゃだめだよっ」
「「「「ゆっきゅりりかいしちゃよ……」」」」
自分の思い通りに出来ないというのは赤ん坊にとっては多大なストレスとなる。
自己中の塊である赤ゆっくりならばなおさらだ。
現に赤ゆっくり達の顔色は悪く、少しえずいているのもいるくらいだ。
「ゆくっ……ゆくっ……」
「ゆぅ……ゆっくちできにゃいよぉ……」
生まれてくればゆっくり出来る、という希望をもって生まれてきた赤ゆっくりにとって、この現実は厳しいものだった。
「ゆゆっ……まりちゃおにゃかしゅいたよ」
「ゆ~れいみゅもおにゃかしゅいちゃ」
「ゆっ。まっててねおちびちゃんたち。いまこのくきさんを……」
れいむは舌を伸ばして、赤ゆっくり達が生っていた茎を取ろうとした。
しかし疲れがたまっているのか、舌に力が入らず、茎を取る事ができない。
「ゆ……とれないよ……ゆっゆっゆっ……」
「ゆっ。れいむ。まりさがとるよっ」
まりさはれいむの額に生えている茎を咥え引っこ抜いた。
「ゆ。ありがとうまりさ。そのままくきさんをかんでやわらかくしてね」
「ゆっ。わかったよ。むーしゃむーしゃ……」
「おちびちゃんたち。くきさんはかたくてたべにくいけど、おとうさんがやわらかくしてくれるからね」
「ゆわーい。たのちみー」
「おちょーしゃんっ。はやきゅたびぇさせちぇねぇ」
暗かった赤ゆっくり達の顔に笑顔が戻る。
「むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ……」
『ゴクン』「……し、し、し、あわせえええええぇぇぇ!!」
親まりさの『しあわせー』が巣の中に響いた。
「……ゆ?」
「「「「ゆゆっ?」」」」
やせ細った茎とはいえ赤ゆっくりに栄養を与えていた器官。
その味と潤いは、巣の中にある干草など比ではない。
「どぼじであがぢゃんのごばん”ざんだべぢゃう”の”お”お”お”お”お”ぉぉぉ!?!?」
「ゆ~……ゆゆっ!?」
『しあわせー』に浸っていたまりさは、れいむの絶叫で我に返った。
「ゆぇーん!おちょーしゃんがれいみゅのごはんしゃんちゃべちゃちゃあああぁぁ!!」
「ごはんしゃんちぇべちゃかっちゃのにいいいぃぃ!!」
「ご、ご、ごべんねえええええぇぇぇ!!わるいおとうさんでごめんねえええええぇぇぇ!!」
幸せな雰囲気は一気にぶち壊し。
一家は大泣きする。
―――そして、破滅は唐突に訪れた。
「ゆびいいいぃぃ!」
巣穴の中に響く赤ゆっくりの悲鳴。
「ゆ!おちびちゃん!?」
まりさが声がしたほうを振り向く。
そこには、体の下半分を地面に埋もれさせた赤れいむが、必死の形相で泣き喚いていた。
「い”ぢゃい”い”い”い”い”ぃぃぃ!!ゆっぎゅり”でぎゅな”びい”い”い”ぃぃ!!」
「まりちゃのいもーちょがあああああぁぁぁ!?」
「りぇいむおねえしゃーん!?」
「ゆわあああ!!『もぐら』さんだあああああぁぁぁ!!」
親れいむが叫び声を上げた。
親れいむの言うとおり、赤れいむの体を地中から引っ張っているのはモグラである。
小さく開けた穴から無理矢理赤ゆっくりの体を引っ張り込もうとしている。
そのため体の中の餡子が引っかかり、その上半身は醜く膨れている。
「ゆ”びっ、び、び、ゆぎっ……おちょ、しゃ……たしゅけちぇ……」
「おちびちゃんんんんんんん!!」
まりさがその体を引っ張りあげようとした瞬間、「ゆびんっ!」という声を遺して、赤れいむの体は地中に消えた。
上半身を破裂させ、体の餡子の半分を地面に飛び散らせるという、凄惨な最後を見せ付けて。
「ゆ”ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!れ”い”ぶの”がわ”い”い”あがぢゃん”があ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!」
「おねぇしゃんがあああぁぁぁ!!」
「ゆえーん!ゆえーん!」
「きょわいよおおお!!」
―――さらに悲劇は加速する
バキッという音が入り口から響いた。
「ゆ!」
親まりさがそっちの方を見るとそこには……
「お、『おさる』さんだあああああぁぁぁ!!」
三匹の成体の猿が巣の中に乱入してきたのだ。
猿達は一匹ずつ赤ゆっくりを掴むと、ぱくりと噛み付いた。
「ゆ、おしょらを……ゆびいいいいいぃぃぃ!?」
「ゆゆっ?きょきょはまりしゃにょゆっくち……ゆぎいいいいいぃぃぃ!!」
「いちゃいよ!りぇいみゅおゆっきゅ、いぎゅうううううぅぅ!!」
「おさるさんやめてね!あかちゃんたちをたべないでね!」
親れいむの必死の呼びかけも空しく、猿達は赤ゆっくりをあっという間に平らげた。
「あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!でいぶのあがぢゃん”ん”ん”ん”ん”んんん!!」
「ゆっぐりじでな”い”おざる”だぢばじねえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!」
怒ったまりさは猿に体当たりを仕掛けた。
しかし猿はそれを難なく止めた。
「ゆ!?おさるさんはまりさをはなしてね!」
「うきっ!」
猿はそれに答えるようにその手をまりさの頭に突っ込んだ。
「ゆぐうぅ!?い”だい”い”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
そして口の中からその体内の餡子をつかみ出すと―――食べることなどせずにそのまま地面に捨てた。
猿達は食べるためにまりさを襲っているのではない。
『殺す』ため。
ただ殺すためだけにまりさを攻撃しているのだ。
「や、やべでえ”え”え”え”え”ぇぇぇ!!ばりざのあんござんずでな”いでえ”え”え”え”え”ぇぇぇ」
「ば、ばりざあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!」
れいむの叫び声があがった。
二匹の猿がれいむに群がり、その体を引き千切りつつ餡子をかき出していたのだ。
「ゆぎっ!やべっ!いぢゃい!れ、れいむのっ!かばだっ!ごばざっ!ゆぎい”い”い”ぃぃ!!」
「でいぶ!でいぶうううぅぅ、ゆぶうううぅぅ!?」
まりさを掴んだ猿はまりさの舌を引っこ抜いた。
「ゆひゅひゅひゅゆふー!!」
―――嵐のような襲撃が過ぎ去って……
巣の中には体を穴だらけにし、完全に形が崩れたれいむとまりさの姿があった。
すでにれいむは息絶えていたが、まりさは僅かだが生きていた。
だがそれも時間の問題だ。
すでに巣の中には大量の虫が流れ込んできており、二匹の餡子に群がっていたからだ。
(ど、どぼじで……)
まりさは薄れ行く意識の中で思う。
(どぼじで……ごん、な、めに……あうの……?)
多くの仲間が死んだ。否、殺された。
頼りにしていたドスもあっさりと殺された。
そして今、自分達も死のうとしている。
(どぼじで……?)
わからない。
でもまりさは問い続けた。
まるで自分の体に群がる虫が、その答えを教えてくれると思っているかのように……
こうして自然界に存在していたゆっくりは実質全滅した。
『彼女』としてもこの結果に非常に満足していた。
『力在る子』は飽きやすい。
そのうち研究用の饅頭もすべて処分されるだろうと思っていた……
が、どんなものでも有効利用するのが人間である。
『やべでえええええぇぇぇ!!れいむのあかちゃんたべないでえええええぇぇぇ!!』
「はいはい。お前の実は美味しいよ。ありがとな」
『じねえええええぇぇぇ!!あがぢゃんをだべるじじいはじねえええぇぇ!!』
ここは河川敷の掘っ立て小屋。
そこに暮らすホームレスの一人は、ゆっくりの中身にいち早く気づき、ゆっくりが言葉を奪われる前からそれを食べていた。
それに伴いゆっくりを研究し、その増やし方や移動方法の奪い方。
さらには美味しくする方法もわかっていた。
この小屋の中にいる『餡子製造機』たるゆっくり達は、足を切られ、口を接着され、そして赤ゆっくりを喰われ続けていた。
「さーて、次は白餡でも喰うか」
『ゆあああぁぁ!!やめるみょんんんんん!!」
『おきゃぁしゃんんん!!ちゃしゅけちぇえええぇぇぇ!」
パチーン『ゆやあああぁぁ!!』
男は赤みょんを両手の中でキャッチボールするかのようにして弄ぶ。
パチーン『ゆぴいぃ!』
パチーン『ゆっぴ!』
パチーン『ゆっきゅぴぃ!』
『おちびちゃあああああぁぁぁんんん!!みょおおおおおんんん!!』
『ゅ……ゅ……』
「さて、頃合だな」
その体が小さく痙攣を始めたら準備完了。
そのまま口に運びほお張る。
『ゅっ……もっ……ゅっ……』
『みょおおおおお!!おぢびがあ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ』
「うん!うまい!」
男は頷いた。
「しかし最近コイツら弱くなったのかな?餌の草食わせたら死ぬし、外に出しても太陽で死ぬし……。飼い方考えないとな……」
もぐもぐと赤みょんを食べつつつぶやいていると……
「おい。はいるぞ」
「あ?」
川を挟んで向こう側で暮らすもう一人のホームレスがやってきた。
「なんだよ。饅頭はやらんぞ」
「いるか。俺もたくさんあるんだ」
ちなみに、ゆっくりの出現によって彼らの食糧事情が好転したの言うまでもない。
「じゃあ何の用なんだ?敷地の件は解決しただろ」
どうやらこの二人、あまり仲がよろしくないようだ。
「いや、今日はそのことじゃない……実は……お前の力を借りたい」
「あ?」
「俺の計画を聞いてくれ……」
後に始まる『饅頭畜産計画』―――自然の中でゆっくりを畜産しそれを食用として収穫する
これの始まりはここから始まったのだった。
まあそれまでに、数え切れないほどのゆっくりが、畜産するための実験体として消費されたのだが。
―――それはまた、別のお話。
こんにちわ。
前回は多くの感想を頂きありがとうございました。
当初は書く予定無かったのですが、皆様のお言葉に動かされ『0』となりましたが書いてみました。
感想の中にあったお言葉も参考にして書いてみました。
『世界補正』などという厨二臭い設定ごめんなさい。
わざわざ自然や動物の事を厨二臭い『~子』なんて書いてイミフにしてごめんなさい。
それでもお楽しみいただけたら幸いです。
ちなみに自分のSSはいわるゆ「あげておとす」手法をあまり使いません。
なぜかというと
『そこを書くと自分の寿命がストレスでマッハ。「あげてる」描写は他の作者様が存分に書いてくださっているし、
自分はひたすら底辺で、苦しめて、苛めて、叫ばして、虐殺してすっきりーするぜ!』なのです。
それでは失礼します。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- くきさんがおいしそうでなにより -- 2014-01-10 03:57:37
- ↓そんなこと言うなら自分で書け -- 2013-09-05 20:28:49
- よくこんな山もオチもない年表みたいなの書けるな。まだ稚拙な会話劇のほうが楽しめるわ。100本に一本の駄作だ。 -- 2013-01-13 18:22:10
- 冒頭のオリキャラ部分は削るか最後に持ってきたほうが良い構成になったと思う -- 2012-03-25 22:13:09
- 厨二チックw -- 2011-05-28 05:35:47
- ↓それを言っちゃお終いだよ。俺もこの話は好きだな。ゆっくりに「味方」なんて、「幸せになれる」要素なんて」この世に一切必要ないだろ。
-- 2011-01-15 00:24:40
- 人間がこの制裁を受けないのはなんでかな? -- 2011-01-14 19:17:36
- 自然界の制裁ッだな。個人的には光や風まで攻撃に加わるのは超常現象過ぎると思ったがw
ちぇんのチョコレートとか人間以外には毒らしいし、食わずに捨てる所が上手いと思ったよ -- 2010-10-23 13:54:35
- 俺は面白かったよ。今までの話の中で「ちきゅう」を敵に回してしまった糞饅頭共の話しは無かったな。発想が良いね。 -- 2010-09-29 03:28:16
- つまんねってのはやめろよ。その言葉は全く生産的じゃない。どこがどう良くないからつまらない、という形で書くべきだ。 -- 2010-09-12 00:39:11
- 批判だけは一人前だな屑ども -- 2010-09-06 02:04:21
- つまんね -- 2010-08-19 13:53:01
- 無理に序盤を高尚にかかんでもいい -- 2010-06-11 05:19:27
最終更新:2010年01月06日 18:36