◆
画面に映し出されているゴミ袋。
それが今、まりさの目の前にあった。
少女が家に持ってきた黒いゴミ袋。その中にはまりさの元番であるありすが入っていたのだ。
少女が伸ばした足を乗せているその物言わぬ黒い袋から、少しでも距離を取ろうとまりさが体をよじった。
「ゆわっ・・・ゆわわっぁぁぁ!!」
少女の膝の上から転がり落ちて、尻で後ずさる様にしてリビングから出ようと、戸を目指して逃げるまりさ。
しかし、今までは何とかまりさの力でも開けることのできた廊下へと続く戸は、今はビクともしない。
少女がまりさを連れてこの部屋に入ったときに、戸をロックしていたのだ。
「だじゅげでええええ!だれがっ!だずげでっ!ばやぐがわいいばでぃざをだずげでねぇぇぇえ!!」
天を仰いで、精一杯の大声を張り上げて助けを求めるまりさ。
しかし、その声は家中で鳴り響く大音量の、テレビやラジオそしてコンポの音楽によってかき消され、外に漏れる事は無かった。
まりさにとってこの家は、まさに陸の孤島と化していた。
そんな様子のまりさを眺めながら、少女は足を乗せていたゴミ袋を蹴り飛ばす。
ゴロリと転がった袋の中から変わり果てたありすの姿が躍り出た。
全力疾走した心臓の鼓動の様に早いテンポで痙攣を繰り返し、真っ赤に充血した目をグルグルと回転させて何処を見ているかわからない。
少女はありすの口に貼られたガムテープを無造作に剥がすと、足を使って逆さまになっているありすを無理やり立たせる。
「ごろじでええええっ!あでぃずをごろじでぐだざいいいいい」
「昨日の約束通り、合わせてあげたよ」
「ゆ゛っ!!?」
「ありす、そこにいるのが「まりさ」だよ」
少女に促されて辺りを見回したありすは、
どうやっても開かない戸にカリカリと必死に自らの歯を突き立てるまりさの後ろ姿を見つけると、狂ったように奇声を張り上げて絶叫した。
「までぃざぁぁぁっ!おばえのっ!おばえのぜいだああああっ!」
「ゆんぎっ!」
背中に叩きつけられた怒声にまりさは汗をまき散らしながら振り返る。
そして、自分を凄まじい形相で睨みつけるありすを見てまりさは勢い良くしーしーを放出させた。
「ありす、久しぶりにあったんだから二人でゆっくりしてね」
「ごろじでやるううう!!」
パンパンに膨れ上がったその身を持て余しながらありすがまりさに向かって襲いかかる。
「あっ!あでぃすっ!・・・ゆ、ゆっくりしてい・・・」
ニコリと引きつった笑みを浮かべたままの表情でまりさが宙を舞った。
轢かれたと形容してもいい程の、勢いで壁に叩きつけられるまりさ。
「どっどぼじでっ!・・・ま、まりさは・・・おむこさんなのにっ・・・」
説得など通用しないだろうという事が、ゆっくりであっても見れば分かった筈である。
どうやらまりさは、自分自身の都合のいいように状況を解釈する「脳内補完」の速度が他のゆっくりよりも飛び抜けて早い様だ。
あの一瞬でまりさの脳内はありすと共に群れから離れて街へ降りてきた頃にまで遡っていた。
いや、無理やり遡ろうとして失敗したのだった。
ありすは一瞬、大きく沈み込むとゆっくりとは思えない程の跳躍力を見せた。
天井に頭を掠める勢いで、宙に舞ったありすはそのままその醜く膨れ上がった巨体をまりさめがけて振り下ろした。
まりさは「ゆ゛っ!?」と小さく野太い声を漏らすとありすの落下地点から飛び退く、
その次の瞬間、轟音をあげてありすが床に着地した。
まともに食らったらそこには餡子の水たまりが出来ていたであろう。
そんなゆっくりの常識を超えたありすがギョロリと目を動かして、逃げたまりさを追う。
まりさの逃げた場所は部屋の角。逃げ場は無かった。
まりさは部屋の角に体を押し付けて、フルフルと首を振るようにその身を揺り動かしている。
「こないでねっ!こっちこないでねっ!」
まりさの言うことなど、ありすが聞き入れる筈が無い。
しかし、ありすの動きは止まっていた。
ありすはまりさを舐め回すように眺めている。
オレンジジュースによって幾分回復したとは言え、少女の暴行によってボコボコに腫れた皮膚。
所々、皮膚を露出させたボサボサの醜い髪。
おまけに野生のゆっくりにとっては、命と同じ位に重要な要素であるお飾りすら持ってない。
ありすが通常の思考を持っていれば、今のまりさなど歯牙にもかける事の無いゆっくりできない存在である。
しかし、今のありすの思考は既にその機能を停止していると言っても良かった。
ありすは舌からダラダラと涎をまき散らしながら、まりさに絡みつくと飴玉の様に舐め回す。
「やべでええ!!ぎぼぢばるいいいい!!」
「んほおおおおおおおっ!!!んほおおおおおおおっ!!!」
くんつほぐれつの揉み合いは三分もすると、どういう訳か交尾に移行していた。
全身から滴る何なのかよくわからない粘着質な液体を垂れ流しながら、ありすが咆哮をあげる。
テラテラと鈍く輝く、二匹は蛍光灯の光りを反射して怪しい光りを放っている。
少女はそんな二匹を冷めた目で暫く見つめていたが、リビングに飾ってあるバットを取り出してありすの後ろに立つ。
少女は手に取ったバットを「ぼぅっ」と眺める。これは兄のバットなのだろう。
その確証が無かったのは、少女が一度も兄がこのバットを使っている所を見た事が無いからである。
しかし、そのバットと一緒に飾ってある賞状やトロフィーを見れば、それが兄の物だという事はわかる。
目の前で「こうこつ」の表情を浮かべている二匹は、兄がこのバットで青春を謳歌するという囁かな夢も握りつぶしたのだ。
少女の目に浮かぶ兄の姿は、疲れきった作業服姿の兄、父だと思しき男とこのリビングで口論している兄、
泣き叫ぶゆっくりを笑顔で追いかける兄、そんな姿ばかりだった。バットを振る所か手に取っている所すらも見たことが無い。
「んほおおおおっ!んっほおおおおっ!」
「すっきりするよっ!かわいいまりさがすっきりするよぉぉぉっ!」
ぴきっ!と少女の頭の中で、何かが切れる音が響いた。
自然と体が動いていた。
振り下ろされたバットは、ありすの後頭部に突き刺さり、大きく沈み込んでいる。
行き場を無くしたありすの「中身」は結合部を経由してまりさの中へと流れ込み、まりさの体が大きく膨れ上がる。
「ずっぎりいだい!!いだあづい!!」
恍惚の表情から一転して、舌をだらりと垂らしながら転げまわるまりさ。
ありすも、ぷるん!と気色の悪い音を出して抜けた”それ”を振り回しながら床をのた打ち回る。
少女はそんなありすに狙いを定めて、もう一度大きく振りかぶったバットを振り下ろす。
「ゆ゛っぐり゛!!」
ありすの動きがピタリと止まり、うつ伏せの状態で「どくんどくん」と醜く胎動する。
少女は躊躇する事無く、更にもう一度バットを振り下ろした。
今度は、ありすから声が漏れる事なく、鈍い音と共にありすの後頭部が裂けて、
カスタードと黄色い液体が混ざった液体が噴水の様に「びゅるびゅる」と吹き出した。
それでも少女はバットを振り下ろす事をやめない。何度も何度も一心不乱にありすにめがけてバットを振り下ろし続けた。
「ゆ゛っ!!ゆ゛わ゛っ!!」
ありすから流し込まれた「熱くて痛い餡子」によって、
床をのたうち回っていたまりさが突然、素っ頓狂な声をあげはじめる。
「い゛っ!い゛だいよっ!あだまがいだいっ!ゆっぐりっ!割れ゛っ!?」
まりさの頭からギチギチと得体の知れない音が鳴り響いたと思った矢先の事だった。
まりさの頭からは、通常の物とは比べ物にならない速度で茎が生え始めた。
それも一本では無い。夥しい数の茎が一瞬にして生えて、そこに生った赤ゆっくりもまた形相を浮かべながら、瞬時に膨れ上がる。
あっという間に子ゆっくり程度の大きさになったそれは、皮の伸びる限界を超えて渇いた音と共に爆発した。
茎はすぐに膨れ上がる赤ゆっくり達の重さに耐えきれずに折れ、成長途中で茎から切り離された赤ゆっくりも爆発することは免れたものの、
ありすからまりさに注入された「精子餡」に混ざった「熱くて痛い餡子」によって、産まれた直後にしてその激痛に悲鳴をあげる。
「「「「ひぎぃぃぃぃぃ!!!」」」」
「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
まりさは頭上と目の前で起こっている地獄絵図を見て歯茎を剥いて絶叫した。
それで終わりではない。更に折れた茎を押し分ける様にして次から次へと新しい茎が生えてくる。
打ち上げ花火の様に赤ゆっくりが次々と生まれては、爆発してまりさに降り注いだ。
それはありすから注入された過剰な栄養分が、まりさの中で尽きるまで延々と繰り返された。
まりさは周りに転がる無数の「ゆっくりの成り損ない」の耳を劈くような奇声を一斉に浴びて放心している。
「ゆっぐじうばれあばばばばばばばっ!!」
「いだいいいい!!いだいいい!!」
「がわ゛い゛・・・・いだだだだっ!ゆぎぃぃぃ!」
赤ゆっくりにとっては、一体何が起きているのかわからない。理解のしようが無かった。
親ゆっくりと茎で結ばれて、ゆっくりと母体から栄養分を供給してもらい、
それと同時に脈々と受け継がれてきた記憶を引継ぎつつ、母体やその番から「ゆっくり」した声をかけられる事によって、
自身を「ゆっくり」だと自覚し、平均して数十時間から数週間かけて「ゆっくり」と生まれるのが通常のプロセスである。
しかし、今回はそれらを全て省略して、瞬時に生まれ落ちてしまった赤ゆっくり達。
子ゆっくりサイズにまで膨張してしまった自らの体、体中に駆け巡る激痛、
そして頭の中で響く煮詰められて死んでいったゆっくり達の声。
どういう事だ?これはどういう事なのだ?何故ゆっくりさせてくれないのだ?親は何をしているのだ?
赤ゆっくり達は、一様にその答えを母体であるまりさに問いかけようと、重い体を引きずってにじり寄る。
しかし、当のまりさは首をぶんぶんと振りながら、かわいいおちびちゃんである彼女らに向かって、
来るな、こっちへ来るなと、ただひたすらに拒絶するだけであった。
そのまりさの態度に、赤ゆっくり達にゆっくりにあるまじき感情が芽生えはじめる。
沸々と煮えたぎる様な、やり場の無い負の感情。
自分たちをゆっくりさせずに、何もできずに泣きわめいているでかいだけの愚図に憤りを感じていた。
何一つ教育されること無く、生まれ落ちた赤ゆっくり達だったが、脈々と受け継がれた餡子に眠る罵倒の言葉を一心不乱に絶叫した。
「「「「じねっ!ゆっぐじじねええええ!!」」」
「ごないでねっ!!ぐるなぁぁぁっ!!」
赤ゆっくり達は這うようにしてまりさに接近すると一斉にその体に食いついた。
「ん゛ぎっ!?」
ぎゅうう!という締め付ける様な音と共に、まりさの体に熱い痛みが走り、次々とその小さな痛みの箇所が増えて行く。
まりさは頭から生えた膨大な量の茎によって立つことすらままならなかった。
自らが産んだ赤ゆっくり達に囲まれ、為す術も無く形相を浮かべて泣き叫ぶだけであった。
「じねっ!じっ・・・!?ゆ゛びえっ!?」
その時、まりさに歯を突き立てる膨張した赤ゆっくりの一匹が突然断末魔の叫びと共に爆ぜた。
水風船を破裂させたかの様に、爆散する膨張した赤ゆっくり、その餡子は水っぽくまるで泥水の様だった。
まりさにかじりつく歯と転がる目玉だけを残してその姿は床の染みになってしまった。
そんな仲間の呆気ない最後を見て、膨張したゆっくり達がまりさから離れる。
「「「やめちぇあげちぇにぇ!」」」
「「「ゆ゛っ!?」」」
そこには他の赤ゆっくり達とは違い、比較的普通の赤ゆっくり近い形状をしたゆっくりの姿があった。
ありすの過剰な栄養分が尽きかけていた時に産まれた為に「痛い餡子」の流入を極力回避することのできた赤ゆっくり達である。
「おかあしゃんにそんなことするなんて、ゆっくりしてない「げしゅ」だにぇ!」
「しぇーしゃいしゅるよっ!」
「ゆっゆぉー!」
膨張した赤ゆっくりは意外にも見た目よりその力は弱く、自分よりも二回りは小さい赤ゆっくりに容易に弾き飛ばされて床を転がる。
「ゆびっ!」
「げしゅはそくざにしんでにぇ!!」
面白いように敗れ去って行く膨張したゆっくり達を見て、赤ゆっくり達は自信を深めていった。
最後は奪いあうようにして、膨張したゆっくりを競う様に次々と殺して行く。
あっという間に膨張したゆっくり達は、全滅してしまった。
「「「ゆっくりちていっちぇにぇ!」」」
「ゆっ!ゆゆうっ!」
まりさの前に一列に並んで同時に軽く飛び跳ねながら、ゆっくり特有の挨拶をする赤ゆっくり達の姿を見てまりさは昔の事を思い出していた。
ゆっくりしたおちびちゃんを沢山授かる為に、群れを出て街へと向かった日の事を思い出していた。
(ゆっ!ゆっ!まりさっ!ゆっくりすすもうねっ!)
(ゆっ!ゆっ!ありすっ!丈夫でゆっくりしたおちびちゃんを産んでねっ!)
群れを離れた時は、今目の前に広がるこんな光景を夢見ていた筈でだった。
それが、人間の居るこの「まち」に来てからは目に映るもの全てが物珍しくて、とてもゆっくりしていると思った。
気がついた時には、大きなゆっくりプレイスを手に入れる為に、躍起になっていて、群れを出た時の想いなどすっかり忘れてしまっていた。
どうしてこんな事になったの?どうしてまりさがこんな目にあわないといけないの?
(ゆっくりプレイスなんて何処を探しても無いの)
(何故なら、この街全体が人間のゆっくりプレイスなんだから)
ふいに思い出したあの「弱い人間」の言葉がまりさの脳裏を過ぎる。
どうしてそんな事を言うんだろう?まりさはただ、ただゆっくりしたかっただけなのに。
人間たちは数え切れない程の大きなゆっくりプレイスを沢山持っている。
ひとつくらい。ひとつくらいまりさがそこでゆっくりしてもいいではないか。
ありすを失ってしまい、自らもこんな深手を負ってしまった。可哀想。可哀想なのだ。
そう、こんなに可哀想なまりさが何でこんな目にあわなくてはならないのだろうか?
「ゆぐっ!どぼじでぇぇぇ・・・、どぼじでぇぇぇ・・・」
「おきゃぁしゃん!なにないちぇるのっ!?ゆっくちしちぇ・・・い゛っ!」
その時、母を慰めようと一歩前に飛び跳ねた赤ゆっくりに少女が握ったバットの先がのしかかった。
バットの先が赤ゆっくりの頬を撫でて、その頬がぷるん!と揺れた。
「ゆっ!やめちぇにぇ!ゆふふっ!くすぐっちゃいよっ!」
最初はそのいい匂いのする木の感触に笑顔を浮かべていた赤ゆっくりだったが、
赤ゆっくりを押さえ込む力が次第に強く、重くなっていく。
「やっ!・・・やめっ!・・・ちゅぶれ!・・・ゆっぐぢっ!・・・ちゅぶれり゛ゅ!!」
少女の押し付けるバットの圧力から逃げる様に、
押しつぶされた赤ゆっくりの体内の餡子が逃げ場を求めて、押しつぶされていない部分へとプルンと寄った。
バットの先からはみ出した顔面に一斉に餡子が流れんで、はち切れんばかりに顔を膨張させる。
その苦悶の形相が、先程競うように殺した膨張した赤ゆっくりと重なった。
皮は中身の餡子が透けて見える程に薄く引き伸ばされ、両目は大きく見開かれて火花を散らすかの様に血走った。
「ちゅぶれっ!や゛め゛ろ゛っ!ばきゃっ!・・・ちゅぶ・・・れ゛ッ!!」
赤ゆっくりの両目はコルク栓の様にぽんっ!という渇いた音と共に飛び出して床を跳ねる。
それと同時にその両目の窪みから噴水の様に餡子がビュル!と吹き出した。
赤ゆっくりが爆ぜた事を確認した少女は赤ゆっくりをそのバットの重圧から開放してやる。
「ゆっぐち!まっぐらでっ!・・・どごっ!?おがあ・・・ざっ!!」
ぽっかりと穴のあいた両目から黒い涙を垂れ流しながら、よろよろと親であるまりさの元へと向かおうとする赤ゆっくりだったが、
その暗闇の中でまりさに出会うことができずに明後日の方向へと進んで行く。
「おがあしゃん!なおじでにぇ!おべべをゆっぐりなおじでにぇ!べろべろじでにぇ!」
ようやく、ふわっ!とした感触の元にたどり着いた赤ゆっくりがパァァ!と安堵の表情を浮かべる。
「ゆっくち!ゆっくちさせちぇにぇ!しゅーりっ!しゅーりっ!ちあわちぇーっ!」
赤ゆっくりが必死に体を擦りつけるそれは、先程自らが殺した膨張したゆっくりの残骸であった。
そんな赤ゆっくりだったが、再び少女のバットがその脳天に振り落とされると、再び両眼から餡子を噴出させて、呆気無く動かなくなった。
「やべでえええ!やべでぐだざいいいい!」
まりさが涙をまき散らしながら赤ゆっくり達を庇うように少女の前へと躍り出た。
「おでがいじばず!ごで以上までぃさのがわいいおぢっ!!」
それと同時に少女のバットがまりさの右頬に突き刺さった。
バットはまりさの体の半分の所までめり込み、右側の歯を粉々に砕きながら振り抜かれた。
叩きつけられる様に地面を滑るまりさ。それに赤ゆっくりが巻き込まれて下敷きになる。
「ゆ゛わ゛っ!?おぢび・・・じゃっ!!」
「ゆぴぃ!いちゃいよぉぉぉ!」
そんなまりさの脳天にバットが再び振り下ろされた。
その稲妻が落ちたかの様な激痛に、まりさが目玉を飛び出さんばかりの形相を浮かべる。
少女は無言でバットを振り上げる。
それを見たまりさは、バットをかわそうと身を捻ろうとしたが、
まりさの下でフルフルと震えながらつぶらな瞳に涙を貯めている赤ゆっくりが視界に入った。
かわせば赤ゆっくりが犠牲になる。
まりさはギュッと目をつむると、随分と数を減らした歯をギリギリと鳴らしてバットをその体で受け止める体勢に入った。
「ゆっぐりうげどめるよっ!おぢびぢゃん!ゆっぐりじでねっ!」
鈍い音がして先程と全く同じ位置にバットがめり込んだ。
違ったのは音である。今度は湿った音が鳴り響いて、まりさの頭からボタボタと餡子が滴り落ちた。
「あんござんっ!」
それを見てまりさが大声で絶叫する。
そして、天を仰ぐとそこには、更にバットを振りかぶる少女とその光る眼が視線に入った。
「おきゃぁしゃん!ゆっくりありがとうっ!とってもゆっ・・・ぷぎゅるっ!!」
まりさは少女の振り下ろしたバットを転がってかわした。
わが子を守ろうと奮起した「ぼせい」は早々に萎んで消えた。
バットの直撃を受けた赤ゆっくりは、跡形も残らず床の染みになった。
「ま゛っ!ま゛っでっ!!」
少女はまりさの言うことなど聞かない。
転がったまりさに再び横薙ぎにバットが突き刺さる。
まりさは少女に必死に話しかけようと声をあげるが、その訴えは聞き取られずに何度も何度もバットが突き刺さった。
「・・・何?」
「い゛っ・・・!い゛ぎっ・・・!」
ようやく少女がまりさの訴えに耳を傾けた時にはまりさの全身はうっすらと滲んだ餡子で醜く変色していた。
まりさはグルリを白目を向きながら、ゆっくりと後ろにさがると、絞り出した様な小さな声で、こう呟いた。
「も゛う゛要ら゛な゛い゛です゛・・・」
次の瞬間、少女のバットの先がまりさの顔面へと突き刺さる。
その激痛にまりさは舌をだらりと出して苦悶の表情を浮かべる。
「大きな声でハッキリ言って」
「おちびはもう要らないがらっ!までぃざに痛いことをするのをやべでぐだざいっ!」
まりさは痛みから逃れる為に、自分を救ってくれた赤ゆっくり達をあっさりと見捨てた。
当の赤ゆっくり達はまりさの発した言葉の意味がわからずに目を白黒させている。
「食べて」
「ゆ゛っ!?」
「要らないんでしょ?・・・なら全部「食べて」みせて」
「ゆ゛ん゛や゛っ!!」
信じられないと言った表情で少女を見上げるまりさ。
少女は何も言わない。
その冷たく輝く両目でまりさをジッと睨みつけている。
「はやくしてね」
少女はリビングの引き戸に手をかけると、吐き捨てる様にまりさにこう言い放った。
私が戻ってくるまでにやっておく事。
そうしたら”今日は”焼かないでおいてあげる。
そういうと少女はリビングから出て行ってしまった。
少女が戻ってくるまでにおちび達を全員食べなければならない。
しかも「焼く」とは何だ?これから一体何がはじまると言うのだろうか?
とにかく、あの「恐ろしいお姉さん」がまたここへ戻ってくるまでにやらなければいけない。
ゆっくり殺しはゆっくりできない。しかし、それをやらないとゆっくりできなくなる。
いや、これからまりさが「ゆっくり」できる事なんてあるのだろうか?
どうしてまりさがこんな・・・いや、どうしてまりさはこんな恐ろしい「まち」に何か来てしまったのだろうか?
身を寄せてガタガタと震える赤ゆっくり達を見下ろしながら、まりさはこの世の終わりの様な表情を浮かべた。
「おきゃーしゃんはみんにゃを食べたり何かしにゃいよね?ね?」
「こんなにきゃわいいのに、食べるわけがないよねっ?」
「ねっ?ねっ?・・・ね!」
「にぇ?なんときゃいっちぇにぇ!」
「こっちをみてにぇ!」
「こたえてにぇ!」
「こたえろおおお!!」
「ぐる゛な゛!」
「あっぢへいげっ!じねっ!!」
無言でぽすんぽすんと床を跳ねてこちらへ向かってくるまりさから、蜘蛛の子を散らす様にして赤ゆっくり達が逃げ惑う。
まりさは舌を伸ばして逃げ惑う赤ゆっくりの一匹を絡めとると、口の中に運び込んだ。
「やめちぃぃえぇぇ!ゆっくちさせちぇぇぇぇ!」
まりさの口の中で悲痛な叫び声が反響して頭の中で響く。
何とか口の中から脱出しようと、まりさの歯に内側から必死に体を擦り付ける赤ゆっくりの様子が手に取るように感じられた。
しかし、躊躇はしなかった。
まりさは一瞬、歯を僅かに開くと、そこに滑り込んできた物体を歯で挟み込んで食い千切る。
「ぴきゅっ!!」
ぐにゃり!と柔らかい感触が走って、口の中で狂ったように暴れまわる物体が二つに増えるのを感じた。
その嫌な感触を消すために、まりさは何度も何度も歯を上下させてその物体を粉々に噛み砕いた。
物体はすぐに動くのをやめる。その瞬間、まりさの口の中に焼けるような甘みがパァッ!と広がった。
◆
「「「むーちゃ!むーちゃ!ちやわちぇー!」」」
「「「どぼちてぇぇ!どぼちてぇぇ!」」」
れいむは死んでいなかった。
茎が折れた赤ゆっくり達も既に実ゆっくりから赤ゆっくりへと成長しきっていた為に、
茎からその身を引き離すと、パチリと目を開けて産声をあげた。
そもそも、少女の脚力ではゆっくりを一撃で死に至らしめる事など不可能であったのだ。
恐ろしい少女の姿も居なくなった事もあり、失った片目の事などとうに忘却の彼方のれいむが不貞不貞しい笑みを浮かべている。
その視線の先には、3匹の赤れいむと、3匹の赤まりさが対照的な表情を浮かべていた。
赤れいむ達は自らが生っていた茎をむしゃむしゃと口に頬張って舌包みを打っている。
一方、その光景を涎と涙を垂らしながら、羨ましそうに見つめている赤まりさ達。
「しょりょーり!しょりょーり!」
そろりそろりと実際に口で言いながら、赤れいむ達の元へ忍び寄る一匹の赤まりさだったが、
すぐさまそれを見つけたれいむによって排除される。
「ゆぴんっ!」
ころころと涙をまき散らしながら床を転がる赤まりさ。
他の赤まりさが目をギュッと瞑りながら身を捩らせて叫び声をあげる。
「どぼじでまりちゃ達にはむしゃむしゃさせてくれないのじぇぇぇ!!」
「しょうだよぉぉ!ゆっくちさせちぇぇぇ!」
そんな赤まりさ達の悲痛な面持ちを見下ろして、れいむが鼻も無いのにフン!と鼻息を荒らげて吐き捨てる
「あんなゲスと同じ顔をしたゆっくりなんてれいむの子供じゃないよっ!ゆっくり飢えていってねっ!」
「「「うえちぇいっちぇにぇ!」」」
まりさのせいで大きな傷を負ったれいむに、まりさと同じ姿をした赤まりさを養う母性など無かった。
そして、そんな光景に自分たちは「選ばれたゆっくり」だと錯覚して高飛車な態度を撮り始める赤れいむ達。
赤まりさにとってはれいむの理由など理解できる筈も無かった。ただただ理不尽な親の仕打ちに涙を流す赤まりさ達。
そこに少女がゆらりと現れた。
少女の姿を見たれいむはビクリと体を震わせると大きく後ずさった。
「かわいそうに、はいチョコをあげるよ」
少女が赤まりさ達の前に半分に割った板チョコ置く。
そのチョコに向かってわらわらと集まってくる赤まりさ達。
「ゆゆっ!これくりぇるにょ?」
「うん、仲良く分けて食べてね」
「「「ゆわーい」」」
残り半分の板チョコをかじりながら少女はにこりと笑った。
そんな少女の微笑みに生まれてはじめての「ゆっくり」を感じた赤まりさ達はフルフルと身を震わせてほろりと涙をこぼした。
「むーちゃ!むーちゃ!・・・ち、ちあわちぇぇぇぇ!」
「なにこりぇぇぇぇ!ゆっくち!ゆっくちぃぃ!」
「ちやわちぇのじぇ!ちやわちぇのじぇ!」
チョコにはむはむと口を押し付けて、目を輝かせる赤まりさ達。
「ゆっ!なにしょれ!れいむも「むーちゃむーちゃ」しゅるよっ!」
「ちょうらいにぇ!」
「はやくしてにぇ!」
少女は図々しく食べ物を催促する赤れいむ達に向かって、無言でチョコの欠片を投げ捨てた。
床を転がるチョコの欠片は、赤まりさ達に与えられた量の十分の一も無い。
それに我先に群がって、奪い合うようにして貪る赤れいむ達。
「うみぇ!これめっちゃうみぇ!」
「もっと!もっとちょうらいにぇ!」
「はやくしてにぇ!たくしゃんでいいよっ!」
「嫌だね」
「ゆゆっ?」
少女は赤れいむ達にもわかるように、わかりやすく、回りくどく、何度も言い聞かせるように語りかけた。
今食べたものがお前たちの人生で最も美味しかった食べ物である。
これ以降、お前たちがこんな美味しい物を食べる事は二度と無い。
それどころか、間もなく飢えて死ぬだろう。
普通に暮らしていれば、美味しいと感じることのできた食べ物も、今食べたチョコのせいでおいしいとは感じない。
それも皆、お前達を産んだれいむが無能だからである。
しかし、それに対して不平不満を漏らせば、れいむによって即座にその人生は終わるだろう。
何故ならば、お前たちを産んだれいむは無能だからである。
お前たちはこれから短い、短い期間を飢えと乾きと、そして親の機嫌を取りながら惨めに寂しく過ごすだけだろう。
何故そんな事になったのか?そう、それは”れいむが無能だから”である。
「「「ゆ゛ぅ!?・・・ゆゆゆううう!?」」」
赤れいむ達は少女とれいむを交互に見渡しながら声にならない声をあげた。
赤れいむ達のゆん生は今始まったばかりである。
産まれてすぐにまりさ達よりも優遇された事によって、自分たちは「選ばれたゆっくり」と錯覚していた。
甘いチョコを食べてしまった為に、今では大しておいしいとは思わなかったが、茎をお腹いっぱい食べて幸せだったのだ。
そしてこの幸せはこれからもずっとずっと続くものだと、そう勝手に思い込んでいた。
しかし、目の前の人間が言うには、もう幸せな事は無いらしい。
それどころか、間もなくゆっくりできずに死ぬとこの人間は言っている。
赤れいむ達は一様に、心配そうな眼差しで親れいむを見る。
だが、頼みの綱の親は、赤ゆっくり達と視線を合わせようともせずに
少女に対して何も言い返すこともできずに、ひきつった笑みを浮かべるだけである。
「おきゃーしゃん!なにかっ!なにかいいかえちてよっ!」
「あのにんげんを「しぇいしゃい」ちてねぇ!」
「はやく!ころちて!ころちていいからにぇ!」
少女の言い分を認めるわけに行かなかった。自分たちの待っている未来が絶望的にゆっくりできない事を認めるわけに行かない。
赤れいむ達は金切り声でれいむを焚き付ける。しかし、れいむから出た言葉は意外なものだった。
「おちびちゃんをあげたかわりに・・・れいむも・・・飼ってね」
「ゆゆっ!なにいっちぇるの!?おきゃーしゃん!」
「うるさいよっ!}
「「「ゆゆうう!?」」」
少女はれいむの問い掛けには一切答えずに無言で外へと続く玄関の扉を開けた。
外からは身を切るような冷たい風が吹き込んでくる。
「ゆっ!さ、寒いよっ!お姉さんっ!ゆっくりと扉さんを閉めてねっ!」
少女が赤れいむ達に話した言葉を一番痛感したのはれいむだった。
飼いゆっくりであった筈の自分がこの数週間、何故か飼い主からはぐれて野良生活を強いられている。
認めたくは無かったが、れいむは捨てられたのだ。
もう冬がもうすぐそこまで迫っている。今から食料を集めて、越冬の為の丈夫な巣を探すなどとても間に合わない。
そもそも、飼いゆっくりであるれいむには、越冬の経験すらなかった。
このまま外へと放り出されれば、間違いない命を落すことになる。
そしてあのゲスのまりさのせいで、担がされた居るだけで枷になるチビども。そして自身の重い怪我。
状況は絶望的だった。
つい、数分前までこの広くて餌の豊富なゆっくりプレイスで悠々自適な暮らしが約束されていたのいうのに。
何故だ?どうしてこうなったのだ?
しかし、今はそれを嘆いている場合ではない。抜き差しならない状況を打破するにはこうするしかなかった。
れいむは土下座をするような姿勢で深々と床に頭をこすりつけると少女に懇願した。
「おでがいじばず!ごのままお外に出たら!でいぶが死んでしまいばす!だから飼ってくだざいっ!」
「いやだよ、出て行って」
れいむの譲歩に譲歩を重ねた必死の訴えは、そっけなく少女に打ち消された。
「じゃあおちびはいいでず!れいむだけは飼ってくだざいっ!」
「聞こえないの?」
少女はにこやかな表情とは裏腹にやや強い口調でそう言った。
「しぇーしゃい・・・しゅ!!!」
その時、業を煮やした一匹の赤れいむが大きく飛び跳ねて少女に襲いかかった。
「制裁する」そんな短い言葉を言い切る事無く、赤れいむは少女の払いのけた手に叩き落されて、
玄関の固い石造りの地面にその体を打ちつけると、ジワリと餡子を全身から漏らした。
「ゆ゛っ・・・!ゆぴっ・・・ゆぴぃぃん・・・」
虫の息の赤れいむは、まだ何が起こったのかよく分かっていない姉妹達と
醜い形相を浮かべるれいむを見回すと、力無く呟いた。
「もっちょ・・・ゆっくち・・・しちゃ・・・」
ほんの僅かな餡子をトロリと口から出すと、赤れいむは見る見る黒ずんでいった。
他の赤ゆっくり達には、まだ状況が良く呑み込めていない。
「ゆっ?ゆっ?」と声を出しながら、黒ずんだ姉妹に体を擦りつけたり、ペロペロとその体を舐めたりしている。
そんな光景を目の当たりにしながらも、れいむは土下座の体勢を崩さない。
「おでがいじばずっ!おでがいじばずっ!」
れいむの中で赤れいむは切り捨てられていた。既に全員死んでいるのと同じだった。
少女はそんなれいむのもみあげを握り締めると、外へつまみ出した。
「ゆべぇっ!・・・ま゛っ!ま゛っでっ!おでがいじばずっ!」
れいむはその怪我からは想像できない動きで素早く立ち上がると、
家の中へ戻ろうと目を血走らせながらずりずりと体を引きずる。
「飼っでぐ・・・だざゆ゛っぐり゛っ!!」
そこに重い鉄の塊が後ろから迫ってきて、れいむを挟み込んだ。
少女が勢いをつけて閉めようとした扉に挟まったのだ。
その顔面を焼けた餅の様にぷっくりと膨らませて、れいむは両目を大きく見開いた。
「ゆっくりしていってね・・・わたしの視界に入らない所でね」
再び僅かに開いた扉から、れいむと赤れいむ達がコロコロと転がって外へ放り出された。
れいむは少女の家の前でいつまでもわめき続けた。
れいむはきんばっちなんです。といれも自分でいけます。
餌も残り物でかまいません。おちびも全部あげます。
上手にお歌も歌えるんです。だから、寒くて死にそうなんです。
お願いだから飼ってください。お願いします。お願いします。
簡素な作業着を着た男達がれいむ達を連れて行くまでその叫び声が鳴り止む事は無かった。
少女の言った通り、赤ゆっくり達の惨めな生活は僅か2日で終了した。
◆
数ヶ月後
空は透き通るような青空で覆われていた。
雲ひとつない快晴。
少しばかり降り積もった雪も今はその名残りを塀の隅に僅かに残すだけである。
柔らかな春の風に乗って何処からとも無く桜の花びらがひらひらと舞い込んで少女の頬を撫でた。
手入れの仕方が分からない為に、荒れ放題になってしまった芝の上に縁側から足を投げ出して、少女はぼんやりと庭を眺めている。
その視線の先には、楽しげにボールを蹴る三匹の子まりさの姿があった。
「ゆっ!ゆっくりけるよっ!ゆっくりとうけとめてねっ!」
「ゆっくりりかいしたよっ!ゆっくりけってねっ!」
「ゆんゆっ!ぱすっ!ぱすっ!ぱすなのぜええっ!ゆんやっ!」
あの時、れいむから奪い取った赤まりさ達は子まりさに成長していた。
生みの親の非道な行為もあってか、子まりさ達は人間である少女によく懐いていた。
子まりさ達は、少女の前で自分が優秀な個体であるという所を見せようと、競いあうようにボールを追いかける。
「かわいくてごめんねっ!}
いち早くボールに追いついた一匹のまりさが、全身をふくっ!と膨らませた勢いでボールを強く弾く。
ボールは勢い良く弾んで、少女の元へと転がっていった。
少女は目の前まで転がってきたボールに足を置いてその回転を止める。
「ゆゆんっ!おねえさんっ!ゆっくりまりさにパスしてねっ!」
「ゆゆっ!おねえさんはきっとまりさにパスするよっ!」
「パスなのぜっ!パースパースっ!ゆっくりまりさにパスするのぜっ!」
地面を軽快に跳ねながら屈託のない笑顔で少女に声をかける子まりさ達。
しかし、少女はそんな子まりさ達の声に耳を傾けること無く、足元のボールをジッと見つめている。
暫く微動だにしなかった少女だったが、ポツリとこう漏らした。
「もう子供に蹴られるのもすっかり慣れちゃったね「ゆっくり」してるでしょ?まりさ」
「ゆゆん?」
少女の言葉の意味がわからずに一様に小首を傾げる子まりさ達。
その言葉は庭で遊んでいた3匹の子まりさ達に投げかけられたものでない。
少女の足の下にあるボールに対して言ったものだった。
少女はボールを拾い上げると、それについている不自然な3つのジッパーを静かに開いていく。
そこには二つの大きな濁った目と、カチカチと音を鳴らすボロボロの歯が並んだ口があった。
「・・・やべでね・・・やべでね」
「「「ゆ゛っ!?なにぞれぇぇぇ!?」」」
そのボールは子まりさ達が、まだ赤まりさだった頃に少女からはじめて貰った宝物だった。
他の玩具で遊んでいる時よりも、少女が嬉しそうにしていたのを見ていた子まりさ達は、
少女の笑顔を見るために毎日毎日、飽きること無くそれを蹴り続けてきたのだった。
その正体がゆっくりだった事に今初めて気がついたまりさ達がガクガクとその身を震わせる。
「あなた達のお母さんはどんな人だった?」
いびつな肉塊を地面に無造作に放り捨てると、唐突に少女が3匹の子まりさ達に問いかけた。
「ゆっ!ゆゆぅ・・・っ!ま、まりさの・・・まりさのお母さんは・・・」
まりさ達は赤ゆっくりだった時の事を忘れずに記憶していた。
産まれたばかりの自分たちに一切餌を与えること無く、不貞不貞しい笑みを浮かべていたゲスの事を。
それでも自分たちは、おねえさんの言うことをしっかり聞いて立派に「ゆっくり」している。
それは、きっと自分の父親が立派なゆっくりだったからだ。そう自分たちに言い聞かせて生きていた。
「おっ、お母さんは・・・ゆっくりしていない「ゲス」だったよ」
「そしてそこに転がってるのが、お父さんだよ、まりさ」
「「「ゆ゛ん゛ぎぃぃぃ!?」」」
子まりさ達の前でブクブクと泡の塊を口からこぼしながら、小刻みに痙攣する肉塊。
それが、子まりさ達が思い描いて心の糧としていた「立派な父親」だった。
少女は呆然とした表情を並べる子まりさ達に、父親であるこの肉塊が行って来た事を淡々と告げる。
少女の母を殺し、少女の兄に制裁されたのにも関わらす、それを助けた少女に行った行動。
ゆっくりよりも、人間に同族意識を感じるように育てられたまりさにとって、それは衝撃的なものだった。
「お゛ばえ゛はっ!おばえばっ!な゛に゛をじでる゛ぅぅぅ!!」
「人間ざん゛にっ!なんてごとじでるのぉぉぉぉ!!」
「じね゛っ!ゆ゛ん゛っ!ごろじでやるんだぜぇぇぇ!!」
三匹の子まりさ達は激昂して、目の前に転がる父親を罵倒し、踏みつけ、蹴り飛ばした。
そんな子まりさ達に対してまりさはオドオドと怯えた様な表情を浮かべるだけて何も抵抗しない。
いや、抵抗できなかった。
その全身は少女の手によって、火で入念に焼かれた為にきらきらと輝く綺麗な髪は二度と生えてくる事無く、
底の部分の皮はガリガリに炭化してピクリとも動かせないので、二度と自分の足で飛び跳ねる事はできない。
まりさは喋るだけの達磨になってしまっていた。
「や゛っ・・・やべでね・・・っ!おぢびちゃん・・・っ」
「おばえなんがっ!「おや」じゃないよぉぉっ!!」
「おばえじゃないっ!まりさ達の「おや」はおねえさんだよっ!」
「あの時助けてもらった恩をかえすよっ!おねえさんっ!」
惨めに許しを懇願する親を憎々しげに睨みながら、子まりさ達が叫び声をあげる。
醜い肉塊を奪い合う様にして、何度も何度も体重を乗せて踏みつけた。
まりさは自らを殺そうとする子まりさ達に対して「やめてください、やめてください」と力無く呟くだけであった。
「ごめんね(子)まりさ、もう貴方達・・・もう要らないの」
「「「ゆ゛ゆ゛っ!?」」」
少女の声を聞いて、子まりさ達がその動きをピタリと止めた。
食い入る様に少女を見つめるその瞳には、今にもこぼれ落ちそうな程に涙が浮かんでいる。
そんな子まりさ達の表情を見ても、少女は顔色ひとつ変える事なく、淡々と話を始めた。
あの日、子まりさ達をれいむから助けた理由。
それは、このまりさを精神的に痛みつける道具として必要だったからである。
子まりさ達がおいしい食べ物を食べて、綺麗に体を洗ってもらい、
清潔な寝床でゆっくりとした生活を満喫している傍らで、ゴミの様に扱われるまりさ。
まりさは矮小な薄っぺらいプライドを大きく傷つけた様で、子まりさ達は大いに役に立った。
しかし、目の前の肉塊は、もう苦しんでいないし、何も感じていないのだ。既にこの苦痛には慣れてしまっていた。
傷ついたフリをしてこっそりと「ゆっくり」しているのだ。だからもう子まりさ達は必要無くなってしまった。
まりさをゆっくりさせないという事が子まりさ達の存在価値と言っていい。それができないのならもう必要無いのだ。
「だからお願いしてもいいかな?」
自分たちの事を必要無くなったと言い放つ少女にすがり付きながら、子まりさ達はポロポロと涙をまき散らした。
そして、一様にフルフルとその身を揺さぶりながら大声をあげる。
「なにっ!おねえさんっ!なんでもするよっ!」
「だから要らないとかいわないでねっ!」
「まりさはこんなにゆっくりしてるんだぜええ!!」
子まりさ達の言葉に少女は少し表情を綻ばせると、こう言い放った。
「そこのゴミクズと”すっきり”してね」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
そう告げると、少女は踵を返して家の中へと入っていってしまった。
一匹の子まりさが後を追うように縁側に飛び乗ると、
少女が入って行った引き戸をこじ開けようと、その体を必死に擦り付ける。
しかし、何時もは容易く開くその戸は、今日はピクリとも動かなかった。
固く閉じられた戸と、目の前に転がる肉塊を交互に見るまりさ達。
辺りは不気味な程の静寂に包まれている。
「お゛っ!お゛ぢびぢゃん゛・・・っ!に゛げよ゛う゛ね゛っ!・・・ゆっぐりばでぃざど、にげっ!!」
世迷い事を抜かす肉塊を一匹の子まりさが齧り付いて掴むと、草むらへ向けて突き倒した。
為す術無く、ゴロゴロと芝を転がって子供の様な嗚咽の声をあげるまりさ。
そんな、あまりにも情けない自らの親を道端に転がる汚物を見るような目で見下ろす子まりさ達。
縁側にあがって何とか戸を開けようと、顔を真赤にしている子まりさが、ニコリと笑顔を浮かべて家の中の少女に語りかける。
「ゆゆんっ♪おねえさんっ!いじわるしないであけてねっ!ゆっくり一緒にお歌を歌おうねっ!」
額に汗を滲ませつつも、精一杯の猫なで声で「ゆーゆー」と調子の外れた歌を披露する子まりさ。
しかし、何時まで経っても中から返事が帰ってくることは無く、戸は依然固く閉ざされたままだった。
再び、辺りは重く苦しい静寂に包まれた。
そう、辺りは物音ひとつしない静寂に包まれている筈である。
しかし、子まりさ達の頭の中には少女の言葉が何度も反響して響く、それ所かどんどん大きくなっていく。
もうあなたたち、いらないの。
子まりさ達は、少女に世話をしてもらっていたが、
その代わりに少女をとても「ゆっくり」させてあげていると思っていた。
だから、その立場は対等と思っていた。しかし、そんな事は無かった。全くそんな事は無かったのだ。
目の前で泣き叫んでいるゴミを悲しませる。ただ、それだけの存在だったのだ。
少女に自分たちは必要な存在だと理解させるにはどうしたらいいだろうか?
言うまでもない。「ゆっくり」させてあげればいいのだ。
少女の言うとおりにすれば、少女はゆっくりしてくれる筈だ。
いや、違う。
目の前に転がるゴミクズ。あれはかつてゆっくりだったのだ。
お姉さん・・・あの人間の命令を無視したら・・・自分たちもあんな目に会うのでは無いだろうか?
徐々にその目をはち切れんばかりに見開く子まりさ達。
その視線の先には、醜く顔を引きつらせた自らの父親の姿があった。
◆
以前とはすっかり様変わりしてしまった少女の部屋のリビング
暖かな色のカーペットは剥がされて、剥き出しのフローリングの床の上に簡素な作業台が置かれている。
その上には、様々な小物や金属部品、そして兄の残したゆっくりの虐待方法を記したファイルが置いてある。
最初はこのファイルの終盤の記述の意味がわからなかった。
ゆっくりを殺すための装置でも、薬でも、習性を記したものでもない無いこの記述。
しかし、今ならばこの項目の意味が理解できる。つまり、兄も私と同じ「結論」に達したのだった。
ゆっくりどもよりも許せない。
あいつがもっとしっかりしていれば、そもそもゆっくりにこの家を蹂躙される事なんて無かったのだ。
これは思ったよりも簡単に作ることができる事を知った。
市販の製品を利用して、材料さえ用意できれば半日も製作に掛からない。
そして兄の記した材料は、夏に使う嗜好品、文房具、調理用具、普通に暮らしているのならば、誰もが購入するであろうものばかりである。
几帳面に製品の型番まで指定されており、それらの商品はこの国所か、世界各地で製造されているものもある。
これならば、材料から身元が割れる事はまず無いだろう。
しかし、ひとつだけ問題があった。この装置の核となる部分。
それに時計を使った場合、時間通りに対象がその場に居るのかがわからない。
それに化学反応を利用した場合、その知識の浅さからか成功率が芳しくなかった。
だが、それを解決するのが、ゆっくりを利用した方法である。
試行錯誤の上にようやく完成した一本の銅線がはみ出した小箱を大事に両手で抱えた少女は、引き戸を開けて庭へと戻った。
そこに広がる光景を見て少女は、ふわりと笑みを浮かべた。
「ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!」
塀に餡子と思わしき、黒い染みが斑点のように幾つもこびりついている。
この子まりさは、自分の体を何度も壁に叩きつけたのだろう。
顔面を黒く変色させて、壁の傍で仰向けになって白目を剥いて痙攣している。
「~~~~~!!」
この子まりさは自分の舌を噛みちぎっていた。
止めどなくあふれ出てくる餡子を口の中一杯に貯めて苦悶の形相を浮かべながら、
無言で頬を膨らませて、自分のやった行為を後悔する様な悲しげな表情を浮かべている。
二匹の心境などわからない、自分の両親の外道ぶりに悲観して行ったのか。
それとも、少女の手で”それ”を行われるくらいなら、と自らを自傷したのか。または「これは夢」だと逃避したのか。
少女にとっては、心底どうでもいい事だった。
こいつらを可愛いなどと思った事は一度も無い、道端に落ちている蝉の死骸程にも関心が無かった。
そんな二匹には目を合わせること無く、”まりさ”の元へと向かう少女。
「すっ!すっ!すっ!すっ!すっ!」
最後の子まりさは、親の上に乗って一心不乱に腰を振っていた。
醜い恍惚の表情を浮かべながら、、顔を真っ赤にして涎をまき散らしている。
こいつらの何時もの気持ちの悪い表情だ。
「いつまでやってるの?」
少女はそう言うと、子まりさを蹴り飛ばした。
横腹に衝撃を受けた子まりさは、餡子をまき散らしながら芝生を転がって歯茎をむき出した。
その体は楕円に醜く歪んだままで、元の形状には戻らない。
少女のつま先が突き刺さった疵痕から夥しい餡子を垂れ流しながらも、まだ一心不乱に腰を振っている。
少女が”まりさ”に視界を移すと、その頭からは弱々しい茎が一本生えていた。
茎には四つの実ゆっくりが生っている。
四つの実ゆっくりの内、二つは舌をだらりと垂らして髪は抜け落ち、黒ずんでいる。既に死んでいるのだ。
もう一つはギリギリのところでゆっくりという存在を何とか維持していた。
閉じたまぶたは微かに震えて、青ざめた顔がその生命の維持が限界に達している事を告げていた。
それに反して、最後の一つは丸々と太って幸せそうな笑みを浮かべて、すやすやと眠ったような表情を浮かべている。
少女は、丸々と太った一匹を掴むと捻じり取る様に茎から切り離して手元に寄せる。
柔らかな笑顔を浮かべていた実ゆっくりはクワッ!と形相を浮かべて痙攣を始める。
そして、少女を睨みつけるとギリギリと歯を鳴らして威嚇を始めた。
少女は何をする訳でもなく実ゆっくりを、ただジッと見つける。
実ゆっくりは次第にその表情を威嚇から、許しを請う様な弱々しいものへと変化させていった。
そんな実ゆっくりの様子を見て少女は口の先を吊り上げると、それをまりさの口の中へと放り込んだ。
「食べろ」
まりさは何も反論することなく、プチップチッと小気味の良い音を出しながら実ゆっくりを貪りはじめた。
まりさが少女の行為に対して反抗の態度を示したのは最初の数日だけだった。
最近は叫び声さえあげる事も少ない。ただただ「やめてください」と力無く呟くだけになっていた。
今回も黙々と少女の言いつけを実行したまりさを
少女はまりさを優しく抱き抱えると、懐から取り出したまりさの帽子を被せてやる。
そして、優しげな笑みを浮かべて撫でた。
「もう大丈夫だよ、怖かったね」
「ゆ゛っ!!」
その言葉を聞いたまりさはカッと目を見開いた。
目の前に居るのは、恐ろしいお姉さんでは無い。
まりさをあの恐ろしくて、息の出きない、怖い箱の中から助けてくれた優しいお姉さんだ。
待っていて良かった。まりさはずっと待ち続けていたのだ。優しいお姉さんがまりさを助けてくれる日を。
きっとまた優しいお姉さんがまりさを助けてくれると信じていた。
「恐ろしいおねえさん」と「優しいおねえさん」
まりさの中で少女はいつの間にか二人の人間になっていた。
「までぃざば!!ばんぜいじばじだあああ!!ぼんどうに!ぼんどうになんでずううう!!」
「そう、怖かったね」
本当に反省していようが、していまいが、少女はどうでも良かった。
仮に本当に反省していたとして、だからなんだと言うのだろうか?
なので少女は、機械的に優しい声で返事をしてやった。
そんな少女の声にまりさは頬を綻ばせてポロポロと涙をこぼす。
歓喜の声をあげるまりさを他所に、少女はまりさの頭から生えた茎をジッと眺めていた。
それを一度優しく撫でるとポキリと根元から折って静かに地面に置いた。
そして、まりさを抱き抱えたまま縁側に腰を降ろすと、まりさを綺麗な箱の中へと寝かせて入れた。
そして懐から取り出した先程の「小箱」をまりさの帽子の中に入れてそこから伸びる銅線をまりさにくわえさせた。
「ゆっ・・・!これはなんですか?おねえさん?ゆっくりできるもの?」
「違うよ、でもとても大事な物なの」
「・・・ゆ゛っ?」
まりさはとても怖い夢を見ているの。
これはまりさが群れを離れて街に来る前の日の夜に見ている夢なの。
本当は、怖い思いも痛い思いもしていない、群れの温かい寝床ですやすやと眠っているの。
少女の言葉にまりさが目を輝かせる。
「ほんとうにっ!?ほんとうにっ!?」
「うん、そうだよ。早く起きたい?この夢を終わりにしたい?」
「したいっ!したいですっ!してくださいっ!おねがいしますっ!」
夢から覚めるには方法があるの。
これからこの箱をゆっくり閉じるけど、中では喋ってはいけないよ、身動きひとつしちゃいけない。
そして、この箱がもう一度開いた時に元気に「挨拶」をして、それからこの線を噛みちぎってね。
少女の口から告げられる悪夢から目覚める方法を、
目を血走らせて念仏の様に何度も唱えて自らの餡子脳に刻みつけるまりさ。
「ゆっ!でぎばず!ゆっくりしないでできばず!」
それができたら、まりさの怖い夢は終わるよ。
優しいありすと群れの仲間がまりさを起こしてくれる。
だから「夢から覚める」までは決して「寝ては」駄目だよ。
「わかったよっ!ゆっくりしないでやるよっ!」
「・・・失敗したら「えいえん」にこの夢は終わらないからね」
最後に低く冷たい声でそう告げると少女は静かに箱を閉じる。
その声を聞いて恐怖に表情を引きつらせたまりさの形相が一瞬だけ見えた。
例えこの中で十年待たされても、まりさが箱の中で眠ることは無いだろう。
それ程に、まりさが”今見ている夢”は恐ろしいものだった。
少女は、まりさの入った箱を可愛らしい包装紙でラッピングするとリボンを添える。
それを両手で抱えると、誰もいない家の中へ向かって大きな声で叫んだ。
「それじゃあ、いってくるね!」
その声は少女の見た目からしてもまだ幼い、まるで幼稚園児の様な小さな子供の声だった。
◆
「今の子・・・一体だれなの?」
男はそう呟いた声の主を一瞥すると、憎らし気に舌打ちして自室のドアを力強く閉めた。
男の部屋は酷く散らかっていたが、そこに置いてある家具や小物はどれも価値のある物ばかりである。
艶やかな光沢を放つ黒いソファーに深く腰を降ろすと、小脇に抱えた「箱」を投げ捨てる様に置いた。
「馬鹿女の子供もやはり馬鹿なのかねぇ」
そう呟くと、箱のリボンを無造作に解いた。
その光景に男は、この箱を持ってきた少女の胸に飾りつけてあったリボンを解く妄想を思い浮かべて汚い笑みを浮かべた。
もう少し自分の”賢い”血を色濃く受け継いでいれば、上手に楽しく世の中を渡って行けると言うのに。
保証だの、賠償だの、小煩かったあの兄貴の様に騒いでもいいものなのに事も有ろうか、
毎月勝手に振り込まれていたらしい雀の涙程の養育費を「もう要りません」と断りに来たのだ。
しかも、こんな御大層なプレゼントまで用意して、だ。間抜けにも程があるだろう。
もしかしたら、今まで振り込んでいた額の十倍くらい振り込んでやったら、向こうの方から勝手に服でも脱ぎだすかも知れない。
再びそんな妄想を脳内で描きながら、男は胸のポケットから煙草を取り出して口にくわえると、忙しなくライターを求めて体中をまさぐる。
その時、机の上に置いた箱がビクリ!と震えると蓋が勝手に開いた。
その中身は男が想像していた物とは全く異なっていた。
ケーキでもクッキーでも無い。
中では異臭を放つ物体がプルプルと小刻みに震えている。
無意味に大きく見開かれた両目は焦点が定まっていない。何処を見ているのかわからなかった。
僅かに開かれた口からは、ボロボロになった歯が僅かに頭をのぞかせている。
そんな気味の悪い物体が、もぞもぞと体を揺り動かしてムクリと立ち上がった。
男の口にくわえらえた煙草がポロリと床に落ちる。
気味の悪い物体は、男と目が合うと体をくねくねと踊るように揺らしながら、
ニコリとこぼれ落ちそうな笑顔を浮かべて、底抜けに元気に叫んだ。
「ゆっくりしていってねっ!」
その瞬間、男の目の前が真っ白になって、何も見えなくなった。
おしまい
今まで書いたもの
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- この小説はいつ発売ですか?(これはお金出せるレベルに素晴らしい作品!)
これほどの憎悪をゆっくりに抱くとは思わなかった(殺)
この男、自分の娘に手を出すつもりだったのか(怒)
···少女を抱き締めてあげたい。良く頑張ったねって言いたい(涙) -- 2018-01-09 00:57:51
- なんと言うか
凄い -- 2013-06-17 21:58:14
- これは…すごい。面白いとも違う、ただ、凄い。 -- 2013-03-29 21:53:49
- なんか悔しいな。 -- 2012-11-15 23:03:08
- 今まで読んだ中で一番良いゆ虐SSでした
コレ書いたのプロじゃないのか?と思わせるような感じで
場面の情景が目に浮かぶような描写が凄かった。 -- 2010-12-27 11:07:56
- 未だにコレを超えるゆ虐SSは読んだことがない
「ゆっくり」に対する嫌悪感はもう多分この作品を超えることはできないと思う
うざいとか、イラッとくるとかそんなのが可愛く思えてくる
これ読む前と後でゆっくりSSと、すべての「ゆっくり」の見方が変わったよ
「ゆっくり」の恐怖を描いた極北って感想スレにあったけど、その通りだと思う
このまりさが性質、能力、思考などすべての面でごく一般的なまりさなのが本当に怖い
ゆ虐知った人なら一度は読んでほしいと思う傑作中の傑作ではあるけど、
人によってはショッキングな内容だから人によっては読まない方がいいのかなーとも思う -- 2010-12-27 06:57:48
- 悪い奴等は死んでゆっくりできたよー!
少女が幸せになりますように… -- 2010-12-02 18:08:51
- 男もまりさも死んで良かった。女の子には幸せになって欲しい -- 2010-11-22 23:56:49
- お兄さんがやった以上のどんな恐ろしい虐待をこのまりさに?
と思っていたが予想外のENDだなぁ、しかし胸が震えた -- 2010-08-18 20:19:14
- このまりさが特別酷いゲスだとは思えんな
ゆっくりという種そのものがゲスであり、ごく一部の善良な饅頭が種全体からみて異常なだけだろう
だから善良な奴ほど差別されるし迫害されし殺される。つくづく腐りきったナマモノだなこいつらは -- 2010-08-13 20:46:09
- 少女が今後、苦しむことがありませように。幸せになれますように。
それにしても殺されて当然以前に、生まれてきたこと事態が何かの間違いだったってくらいのゲスだな、このまりさ。 -- 2010-08-13 19:04:42
- 感動、では無くただただ驚いた、最後の最後で本当のゲスが誰なのか、そして復讐を果たした少女が最高に心に響いた
そして、ゆっくりの先天的な意識はやはり万物の生きる生命にとって有害であると理解できた
最後に今までゲス人間は制裁しよぜ!と言っていた閲覧者にここだけで初めて同調するわ
確かに最後に死んでしまったがこのゲス男は、このまりさ達が味わった以上の虐待を加えてやりたいな
この男こそゲスゆっくりそのものじゃないか、あっさり死にやがって生き返れ
そしたら俺がヒャッハー!!してやるよ!ありっがたっくおもってね!
少女に無限の幸あれ -- 2010-08-12 03:25:09
- 本格的で面白かった
普通にプロなんじゃね?ってくらい良くできてる
あと、これ見て思った
ゆっくりは善良もゲスもない。ゆっくりはゆっくりでしかないのだと -- 2010-08-11 14:18:09
- この作品に出てくるまりさには
ゆっくりの持つ醜悪さが凝縮されている
傑作 -- 2010-08-09 05:17:21
- 少女が少しでも幸せになれることを祈る
面白かった -- 2010-07-01 18:38:51
- おもしろかった -- 2010-06-16 01:05:04
- 悲しいお話だなぁ・・・ -- 2010-04-15 18:09:10
最終更新:2010年04月10日 20:12