ふたば系ゆっくりいじめ 1193 老夫婦とまりさ5

老夫婦とまりさ5 11KB


虐待-普通 愛で 悲劇 同族殺し 自然界 現代 愛護人間 六作目です。遅れました。


六作品目です。諸事情により遅くなりました。申し訳ないです。

前作品の続きです。
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老夫婦とまりさ5


1.

子まりさが老夫婦と生活してしばらく経った。
体も大きくなり成体になりつつある。
知能は日に日に高くなり、簡単な手伝いも出来るようになってきた。
その日はお爺さんと一緒に畑仕事をしていた。
口を使って器用に雑草を抜いている。

「この辺の草はもう全部抜けたんだぜ」
「ご苦労さん。こっちも終わった。それじゃ、もうそろそろ帰ろうか」

一人と一匹は帰路についた。
見慣れた道をいつものように横に並んで歩いている。

「おっと、草取り鎌を忘れてきた。お前は先に行っとれ。俺は取りに戻る」
「お爺さん、まりさが行ってくるんだぜ。お爺さんは腰が悪くなってきているんだぜ」
「何、まだまだ元気だ。お前に気を遣われるほどではない」
「お婆さんが心配してたんだぜ。お爺さんを手助けしてやって欲しいと頼まれているのぜ」
「…そうか。まあお前がやってくれると言っているんだからいいか」
「そういう訳なので行ってくるんだぜ」
「おぅ、じゃあ先に行ってるぞ」

まりさはお爺さんと分かれ、畑へと戻っていった。
その表情はにこやかなもので、お爺さんを手伝えることに喜びを感じているようであった。

「…ゆ?」

まりさの視界に飛び込んできたものはお爺さんの畑に忍び寄ろうとしているちぇんであった。
このちぇんは以前お爺さんに逃がされたちぇんであり、今回も懲りずに野菜を狙いに来たらしい。

「やめるんだぜ!」

大声で叫ぶとそのちぇんはまりさの方を見た。
そして一言呟くように話しかけた。

「もしかして、まりさ?」
「…ちぇん?」

群れのゆっくりとの再会であった。
このちぇんはまりさがいた群れに所属しているちぇんであり、まりさより先に生まれている。
群れの中でも強い方に入り、お爺さんの虐待に耐えられる程度のタフさを持っている。
二匹はお互いに近づき会話を始めた。

「ひさしぶりだねー」
「ちぇん!久しぶりなんだぜ」
「まりさがかえってこないからしんぱいしてたよー」

その言葉には偽りは無いようである。
心から心配していたようであり、安堵の表情をしている。
だが、それも長くは続かなかった。

「ごめんなさいだぜ。今は人間さんの家に住んでるんだぜ」
「ゆ?あのくそじじぃをどれいにしているんだねー。わかるよー」

ちぇんの中ではこのまりさが人間の家を乗っ取り人間を奴隷にしているという考えに至った。
お爺さんにこっぴどくやられたのにその様な妄想ができるのも餡子脳の成せる業であろう。

「…違うんだぜ。お爺さんの飼いゆっくりになってるんだぜ」
「まりさはにんげんのどれいになってるんだねー。ゆるせないよー」
「そうじゃないんだぜ!」
「そういうようにめいれいされているんだねー。わかるよー」

まりさは焦った。
ちぇんの眼は本気であり、からかいや冗談で言っていないということが分かったからである。
まりさは同種であるゆっくりに対し、その考え方を憐れに思っていた。

「だから違うんだぜ!まりさはお爺さんが好きなんだぜ!」
「…じゃあまりさはちぇんのてきなのかなー。わからないよー」

ちぇんのその表情は悲しみや諦めや怒りなどが入り交じった複雑な表情であった。
自分の仲間が人間の手に堕ちたということを信じたくないのであろう。

「ちぇん…」
「…まりさはまりさのすきにすればいいよー」
「分かったんだぜ…」

まりさはちぇんと決別した。
これ以上お互いが関わっても不幸になるだけだと判断したのだ。
住む世界と考えが異なる以上、衝突が起こるのは避けられない。

「じゃあこのおやさいさんはもらっていくねー」
「ゆ!?」

ちぇんは野菜を掘り出し始めた。
突然の発言と行動にまりさは困惑した。
仲間であったちぇんがまさかそんな発言をするとは思っていなかったのである。

「やめるんだぜ!」
「ちぇんはちぇんのすきにするよー。じゃましないでねー。わかったねー」

まりさはちぇんに体当たりをした。
体格差で劣るものの、横からの体当たりは相手のバランスを崩し、突き飛ばすことができた。

「ここはお爺さんとお婆さんの畑なんだぜ!絶対に守るんだぜ!」
「…わからないよー。おやさいさんはかってにはえてくるんだよー」
「野菜は心を込めて育てる大事なものなんだぜ!」
「しらないよー。…まりさはもうてきなんだねー。わかるよー」

そう言うが否や、ちぇんはまりさに飛びかかるように体当たりをした。
まりさがしたものより早さも威力も大きく勝っている。

「ゆ!?」

まりさは唐突な行動に反応しきれずにまともに体当たりを喰らってしまった。
餡子を口から吐きながら空を舞い、落ちた。

「あのにんげんのてしたならころすしかないねー。わかってねー」

ちぇんはお爺さんに痛めつけられたことを覚えていた。
その恨みの対象は目の前のかつての仲間に向けられることになった。
そして、体勢を立て直そうとしているまりさに向けて再度体当たりをした。

「ゆぐぁっ!」

まりさはまた餡子を飛び散らせながら吹っ飛び、鈍い音を立てながら落ちた。
力の差は歴然であり、殺すことを目的とするちぇんとの戦闘がこれ以上続くものなら死は避けられない。
そんな状況の中、まりさは近くに落ちていたお爺さんが忘れた草取り鎌に気がついた。

(これを使えば…でもそうするとちぇんが…)

決断を迫られた。
かつての仲間であるちぇんに刃をかざすかどうかの選択である。
仲間を殺すことは群れのタブーであった。
ちぇんはまりさを見限り敵と見なしているが、まりさにはまだ決心ができていなかった。
ただの餡子脳には容易である単純な判断ができず、
異常に発達した餡子脳が様々な要素でまりさを取り巻いていたのだ。

「うらぎりものはしんでもらうよー。わかってねー」

ちぇんは隣の一段高い畑からまりさを見下ろしていた。
弱ったまりさを真上から踏みつぶすつもりである。

「しねー!」

ちぇんは大きく飛び上がった。これはまりさにとっては好機であった。
空中からの攻撃は大きな隙を伴う。
移動方向は上か下へかに限られ、着地点も読みやすい。
着地点が読めるとなれば、反撃も容易である。
まりさにとっての最初で最後のチャンスであった。

「ゆがぁっ!?」

まりさは考えるより先に体が動いていた。動いてしまっていた。
残りの力を振り絞り、草取り鎌を口に咥え、ちぇんの着地点で構えていた。
ちぇんは着地と同時に体を鎌に貫かれた。

「ゆぐあぁあああぁぁ!!わがらないー!!わがらないぃぃぃいいぃぃぃいぃ!!!」

大きな叫び声が辺りに響き渡る。
その断末魔はまりさに最も強く響いた。

「あ……あ……」

まりさは鎌をこぼすように落とし、ちぇんを恐れるように見つめた。

「…っじねぇ!!うらぎりものばっ…じ…ねぇ!……じ……ね…………」

まりさは自分が取った行動と目の前の現実を認識した。
自分が群れの仲間であったちぇんを殺したということに戸惑っている。
頭の中で様々なことが思い返されて混乱する。
ちぇんに遊んで貰ったこと、他のゆっくりに苛められた時に助けて貰ったこと、
些細なことで喧嘩をしたこと、一緒に歌を歌ったこと。
そして、自分がそのちぇんを殺したこと。

「も………ゆっ……ぐ…………じだ…………がっ………………………」

そう呟くように息絶えた。
もう二度とちぇんが動くことはなかった。

「ああぁぁあぁああああぁぁああぁあああぁぁぁぁぁ!!」

悲痛な叫び声がまりさから放たれた。
その声はむなしく響くだけであった。


2.

気がつくと座布団の上にいた。
見渡すといつものお爺さんとお婆さんの家であることが分かった。
外はすでに真っ暗になっている。

「気がついたか。お婆さんがお前を夜遅くまで治してたんだぞ。後で礼を言っておけ」

後ろから声がして振り返るとお爺さんがいた。
その表情は心なしか申し訳なさそうだった。

「ゆ…お爺さん…」
「畑が騒がしいと思って、様子を見に行ったらお前が倒れていて驚いたぞ」
「ごめんなさいだぜ…」
「いや、謝ることはない。お前を一人にした俺が悪かった」

言葉の一つ一つが重く感じられた。
一言話すにも言葉がなかなか出てこない。

「ゆ…まりさは…」
「……分かっている。別に話す必要もないし、忘れた方がいいだろう」

まりさはお爺さんの気遣いに感謝をした。
かつての仲間を殺してしまったことを察してくれたことを嬉しく思った。
だが、その時のことが思い返され、溢れるようにまりさは言葉を涙ながらに吐き出し始めた。

「…っまりさはっ…!…仲間を殺して…殺してしまったんだぜっ……!!ちぇんはっ…とっても…とっても良いゆっ…くりでっ…!
う…ぅっ……まりさの友達でっ…!仲間で…っ!……お兄さん…みたいな存在だったんだぜ…!
それなのにまりさはっ…!まりさは…っ!殺してしまったんだぜっ…!仲間を…っ!殺して…しまったんだぜ…!
鎌で…っ!ちぇんが…ちぇんが……死ぬようにっ!殺そうとして…!殺したんだぜ……!
もう……もうまりさはっ……!!仲間殺しのっ……最低な…!ゆっくりなんだぜ……!!!」

言い終わると、まりさは慟哭した。
人間とともに生活した故に苦しみ、異常に発達した餡子脳を持った故に苦しんだ。
ゆっくりでありながら人間の世界に馴染みすぎた結果である。
まりさには戻るべき群れを失い、そこにいる仲間も失ってしまった。
この日はまりさが孤立したことをまりさに突きつけた日となり、
まりさに新たな決意を芽生えさせる契機ともなった。


3.

「お爺さん。まりさはもっともっと頭も良くなりたいんだぜ。勉強の時間をもっと増やして欲しいんだぜ」

まりさは決意を固めていた。
普通のゆっくりとして生きることができなくなった以上、できる限り人間に近づこうと決めたのである。

「別に教えることはいいが…」
「何か問題でもあるんだぜ?」
「いや、これ以上ゆっくり離れしたらいつかのように仲間と争うことになると思ってな…」

お爺さんは顔を伏せながらそう言った。

「ゆ…いいんだぜ。まりさが戻る場所はもうここ以外ないんだぜ」
「…そうか」

お爺さんはまりさがゆっくりの仲間を失ったということを悟った。
自分の息子が孤立していたことを思い返し、お爺さんはその決意に答えることにした。

「分かった。できる限りのことはしてやろう。お婆さんにも手伝ってもらうように言っておく」
「ありがとうなんだぜ!よろしくお願いするんだぜ」

その日からまりさの教育はさらに熱を帯びたものになっていった。
お爺さんは時間がある時にはできる限りの教育をすることにしていた。
学べば学ぶだけ、まりさは賢くなっていった。
国語、算数は勿論のこと、理科や社会など他の教科までも手を広げていった。
決意がまりさの学習意欲を高め、目覚ましい知能の発達を見せた。

「64割る4は幾つ?」
「えーと、16だと思うんだぜ…います!」
「お、正解だねぇ。割り算の暗算ができるなんてまりさは賢くなったねぇ」
「お婆さんとお爺さんのお陰なんだぜ…です!」
「そいつはもう少数も分数もできるようになってるぞ。大したゆっくりだよ」
「照れるんだぜ…ます!」
「言葉遣いまでは難しいみたいだな」
「頑張るんだぜ…ます!」

お爺さんとお婆さんの教育はまりさの決意に応え、長く熱心に続けられることになった。


4.

まりさが成体となった頃にはまりさは充分な会話能力を手にするまでになった。
老夫婦との生活にもすっかりと馴染んで、今日もいつものようにお爺さんとの畑仕事を終え、帰路につくことにした。

「さて、そろそろ帰るとするか」
「分かりました!」

普段と変わらない空気、普段と変わらない道を一人と一匹は通っていく。
だが、家には異変が起こっていた。

「ただいま」
「今帰りました」

返事はない。
家の中から聞こえるのは時計の音だけである。

「寝ているのかな」
「御婆様ももうお歳ですからね、そうかもしれませんね」

一人と一匹は寝床に向かった。
しかしそこにお婆さんの姿どころか布団すら敷いていなかった。

「おかしいな」
「どこかに出掛けているのかもしれませんね」
「ふむ。じゃあ俺は外を探してみる。お前は家の中を探してくれ」
「分かりました」

まりさは家の中を探し始めた。
お婆さんは台所で見つかったがどうにも様子がおかしい。

「御婆様!?」

お婆さんは俯せるように倒れていた。
まりさは声を掛けながらお婆さんを揺すった。
だが返事はなく、体からは暖かみが感じられなかった。

「御婆様…!御婆様…!」

そこからの展開は急だった。
まりさはお爺さんを急いで呼びにいった。
お爺さんは最寄りの病院に連絡し、救急車を待ちながら救命活動を行った。
介抱は無駄に終わり、お婆さんは息を引き取った。
今までの日常は何の予期もなく唐突に失われてしまった。


5.

お婆さんの葬式はしめやかに行われた。
お爺さんの落胆ぶりは顕著であり、親族も声を掛けにくかった。
まりさは葬式の邪魔になるという親族の主張で自室にいるように言われた。
まりさもお婆さんが亡くなったことを嘆き悲しんでおり、明らかに意気消沈している。
自分の部屋で悲しんでいると部屋に一人の男が入ってきた。

「へぇ、これが叔父の飼いゆっくりか」
「あなたは誰ですか?」
「うわ、本当にこんな風に喋るのか…俺はお爺さんの甥の利昭だ」

利昭と名乗る男はまりさをろじろと見つめている。
どうやらまりさに興味を持っているようだ。

「あの、何か御用ですか?」
「ん、いやただお前がどんなゆっくりなのかな、と気になったから見に来ただけだよ。邪魔したな」
「はぁ…」

男はそれだけ告げると部屋を出て行った。
まりさには疑問が残ったが今はそれを気にしている状況ではなかった。

(通常種とはいえこれだけ知能の高いゆっくりなんだ。道楽人共を相手にすれば相当高く売れるだろうな…)

男はほくそ笑むと葬式の席へと向かった。
男の考えにまりさもお爺さんも気がつくことはなかった。
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  • こんなに知能が高くなっても、胴付きにはならないんだね?

    ちぇんは昔の仲間の言葉が信じられないなんて、ゆっくりとしてどうなんだ?
    まりさの両親のことも思い出すと、群れ全体がゲスなんだろうねww -- 2018-03-10 09:53:06
  • おじいさんの甥はゆっくりできないよ! -- 2014-06-15 13:54:16
  • これはゆっくり・・・なのか? -- 2013-07-12 05:46:38
  • う~んだぜ口調は残して欲しかったかな

    漢字だけ増やしてさ -- 2013-06-24 17:20:02
  • 敬語しか使わなくなるともう全然ゆっくりまりさらしくないな。悪い意味で。 -- 2011-01-09 03:30:05
  • ちぇんのしゃべり方はどうも緊張感に欠ける -- 2010-09-30 00:24:18
  • 敬語しか使わないゆっくりって思った以上にきもいな -- 2010-08-11 21:37:27
  • あぁ、一作目との関連があったのか。気がつかなかった。
    じじばば物はゆっくりできる。
    まあ転に入って、ゆっくり出来なくなってきたようなきがしないでもないけど。 -- 2010-07-02 04:51:10
最終更新:2010年05月15日 12:21
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