ふたば系ゆっくりいじめ 430 幸せ

『幸せ』 制裁 19KB

「幸せ」



※テンプレです
※現代設定(?)です
※独自設定があります
※心の底から愛されるゆっくりが登場します
※心の底から憎まれるゆっくりが登場します









ありすは幸せだった。

今は12月。
冬の最初の氷雨が、夜の街に落ちかかっていた。
野生や野良のゆっくりにとっては、最も厳しい時期である。

だけどありすは、とってもゆっくりしていた。
ありすがいるのは“とかいは”な人間さんのおうちの中。
外の寒さなど微塵も感じさせない暖かさに包まれて、ありすは眠っていた。
その横で、2匹の子ありすたちが、すぅ…すぅ…、と幸せそうな笑顔で愛らしい寝息を立てている。

ありす親子が寝ているのは、ふかふかのベッド。
周りには、室内用遊具や玩具などが転がっている。
どれもゆっくり専用として、特別に作られたものだ。
そして、そんなありすたちの様子を見つめる、1人の人間。

「眠ったか…」

そう言うと、彼は仲良く眠る親子を起こさないように、そっと扉を閉め、部屋から出て行った。





  *  *  *   *  *  *   *  *  *





翌朝、目が覚めた親ありすは子供たちに朝の挨拶をする。

「おはよう、ありすのかわいいおちびちゃんたち。おきるじかんよ」

そう言って優しく子ありすの体を揺する。
しかし、子供たちはまだ眠っていたいようだ。
寝ぼけ眼で母親に抗議する。

「んくぅ…、みゃみゃぁ…ねみゅいよぉ…」

「もうしゅこしだきぇ…、ねかしぇちぇねぇ…」

そんな子供たちにありすは優しく言う。

「こら、おねぼうさんはとかいはじゃないわよ。ゆっくりおきなさい」

すると、

「ゆぅん…、はぁい…」

「ゆっくちおきりゅわ…」

と素直に従う子ありすたち。
本当に“とかいは”な子供たちだ。
そこに、ガチャリと扉の開く音がして、男が部屋に入ってきた。

「起きてるか? 朝ご飯だぞ」

男が手に持っているのは、たくさんのお菓子が盛られた大きなお皿。

「「ゆっゆ~ん!!」」

それを見て、眠そうだった子ありすたちは大喜びだ。
すかさず、親ありすが嗜める。

「おちびちゃんたち、まずはおにいさんにごあいさつするのがさきでしょう?
 ままといっしょに、とかいはなごあいさつをしましょう」

「「ゆっくちりきゃいしちゃわ!!」」

「おはよう、おにいさん。ゆっくりしていってもいいのよ!」

「「いいにょよ!!」」

元気いっぱいの挨拶をする子ありすたち。
その目の前にお皿が置かれた。

「ああ、ゆっくりしていくよ。今日もいっぱい食べるんだぞ」

男はそう言うと、部屋から出て行った。
早速、優雅な朝食を始めるありす親子。

「さあ、とかいはにいただきましょう」

「「いちゃぢゃきましゅ!!」」

お皿に盛られたお菓子は、クッキーにドーナツと、ありすたちの大好物だ。

「「むーちゃ、むーちゃ…」」

ドーナツを口いっぱいに頬張り、その甘さに顔を綻ばせる子ありすたち。

「「ちあわちぇ~!!」」

その笑顔を見ているだけで、親ありすはこの上なくゆっくりできた。



朝食を終えて、男のいる居間へとやって来た親ありす。
男は新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいた。
ポヨン、ポヨンと近づいて、ありすは男に訊く。

「おにいさん、なにかとかいはなことはあったのかしら?」

男は新聞からありすに視線を移し、答えた。

「“とかいは”とは違うが、最近このあたりで、住宅に侵入する野良ゆっくりが増えてるみたいだな」

「まあ、とかいはじゃないわ。こわいわねぇ」

「野良なんかに手出しはさせないから安心しろ。
 お前たちも、勝手に外に出たり、窓を開けたりするなよ」

「もちろんよ! とかいはなありすにまかせなさい!」

えっへん、と胸を張るような仕草をするありすに、
男は「そうか」、と答えると新聞をたたみ、席を立った。
もうすぐ出勤の時間だ。



「それじゃあ行ってくる。いい子にしてるんだぞ」

「いってらっしゃい、おにいさん」

「「いってらっちゃい!!」」

男を見送ると、ありすたちはいつものようにお部屋で遊ぶ。
ソフトボールくらいの大きさの子ありすたちにぴったりの、滑り台やジャングルジム。
親ありすはバレーボールくらいの大きさなので、使うことはできなかったが、
子供たちの笑顔で十分すぎるくらいにゆっくりできた。

キャッ、キャッと歓声を上げて跳ね回る子ありすたちの髪の毛は、ふわふわでサラサラだ。
当然、見守る親ありすの髪の毛も。
毎晩、男が丁寧にブラッシングしてくれているおかげである。

美しいのは髪だけではない。
肌も、飾りも、そして瞳にいたるまで、男の念入りな手入れによって最高の状態に保たれていた。
街中をうろつく野良ゆっくりはもちろん、ペットショップ育ちの高級ゆっくりでも振り向かずにはいられないほどの、美ゆっくり。
ありすたちは自分たちのことをそう思っていたし、男もそうだと褒めてくれた。

やがて遊び疲れた子供たちといっしょに、男が用意してくれていた、“とかいは”なランチを食べる。
今日のメニューはバームクーヘンだ。

「ありしゅ、ばーむくーへんしゃん、だーいしゅき!」

「ありしゅも!」

「おぎょうぎよくたべましょうね」

元気良く、けれども口から零さないように上品に食べるありす親子。
とってもおいしい、とってもゆっくりできる。



ありすは幸せだった。





  *  *  *   *  *  *   *  *  *





私はゆっくりを飼っていた。
家族のように可愛がり、ゆっくりも私を心から慕ってくれていた。
私たちは本当に幸せだった。

だが、その幸せは、あの日、壊された。





  *  *  *   *  *  *   *  *  *





夜、帰宅した男を出迎えるありすたち。

「おかえりなさい、おにいさん」

「「おきゃえりなちゃい!!」」

「ただいま」と答えた男は、早速夕食の準備に取り掛かる。

「今日はお前たちの好きなハンバーグだぞ」

「「ゆっゆ~ん!!」」

「おちびちゃんたち、はしたないわよ」

口ではそう言いつつも、ハンバーグと聞いて親ありすも嬉しかった。



「ありしゅたちはほんちょうにちあわちぇだにぇ!」

「とっちぇもゆっきゅりできちぇるにぇ!」

「ええ、ままもほんとうにゆっくりできてるわ」

これは毎日のように、夕食前にありすたちがする会話である。
「今日も一日ゆっくりできた」。
そんな幸せを親子で共有し、明日もゆっくりしようね! と願う。

そしてその会話には、男も常に加わっていた。
料理の下拵えをする手を止めて、ありすたちの所へやって来る。

「今日もゆっくりできたか?」

「ええ、とかいはないちにちだったわ」

「お前たちは幸せか?」

「ええ、とてもしあわせよ。ねぇ、おちびちゃん?」

「「しょうだよ!!」」

「…どれくらい幸せだ?」

「とっても、とってもしあわせだわ。だから…」

「だから…?」



「おにいさんのこと、これからもずっとゆっくりさせてあげるわね!」

「「あげりゅわにぇ!!」」













グチャッ。



妹ありすの体が潰れ、親ありすと姉ありすの顔にカスタードが飛び散った。

((…え……?))

笑顔のまま固まるありすたち。

妹ありすがいた所には、1本の腕が垂直に突き立っている。
その腕の持ち主は、



「その言葉を…ずっと…待ってたぞ…!」

冷たい瞳でありすたちを見下ろしていた。





  *  *  *   *  *  *   *  *  *





私はゆっくりを飼っていた。
種類はまりさ。
少し生意気なところもあったが、純粋で心優しいゆっくりだった。
まりさとの想い出はたくさんあるが、それを語るのはよそう。
私が耐えられなくなるからだ。
まりさは家族同然の存在だった、とだけ言っておく。



あの日。
出張から帰った私を待っていたのは、割れた窓ガラス、眠っている野良ゆっくりのありすたち。

そして、額から茎を生やし、黒ずみ小さくなったまりさだった。

「まり…さ…?」

駆け寄る私。
まりさを抱えて、台所へ走る。
大量のオレンジジュースをかけて、必死に呼びかける。

「まりさっ! 目を開けてくれっ! まりさっ…!」

私の出張は3日間だった。

―襲われてどれくらい経つ? もう手遅れなのか? そんな…!

混乱して、周りの景色がぐらぐらする。
ようやっと、病院へ連絡することを思いつき、電話を手に取ろうとした。
その時、

「…おに…さ…」

まりさが微かな声で、私を呼んだ。

「…! まりさっ! 大丈夫かっ?! 今すぐ病院へ…!」

「おにぃ…さ…、まりさ……もぅ…」

「何言ってるんだ?! 必ず助け…!」

「さいご…、あぇ……よか…」

「止めろっ! 止めてくれ! もう喋らなくていいから…!」

「おね…ぃ…、ありす……ゆるし……げて…」

それがまりさの最後の言葉だった。
瞼を閉じ、動かないまりさ。
その顔は、まるで眠っているかのように穏やかだった。

「…嘘だ……。嘘だろ……? まりさ…?
 …っ! 目を開けてくれよ!! まりさぁっ…!!」

視界が滲む。
いつの間にか、私の目から涙が溢れ出ていた。
頭では、まりさがもう二度と目を開けないことは分かっていた。
それでも私は、まりさに呼びかけるのを止めなかった。止めることが出来なかった。
まりさを抱きしめ、泣き続けた。

どのくらいの間、そうしていたのか。
まりさを抱きしめたまま、悄然と立ち尽くす私の背後で、気配がした。
私の声で目が覚めたのだろう、大きなありすが台所までやって来たのだ。

そして、ありすは、私に向かって、言った。

「おにいさん、うるさいわよ。
 おちびちゃんたちがねているんだから、しずかにしてよね。
あら? そのきたないの、かたづけてくれたのね。
 なかなかとかいはなおにいさんね、かんしゃしてあげるわ」



瞬間。

私の心に湧き上がる、一つの感情。
それは殺意。
悲しみに支配されていた私の心を、一気に塗りつぶす。
まりさは『許してあげて』と言った。
だが出来ない、こいつは殺さなければならない。
死んだほうがいい奴というのは、確かにいた。

―殺してやる、殺してやる、殺してやる…!
―よくもまりさを…!

だが、ありすを潰そうと振り上げた私の腕が、止まる。
殺意に染まり切らなかった、最後の心のヒトカケラが、私を制止した。


深く息を吸い、吐く。
私は、体の震えを必死に押さえ、努めて笑顔で、ありすに言った。


「私の飼いゆっくりにならないか?」と。


私の心の最後に残った部分。

それは、殺意すら凍りつかせるほどの『憎悪』。

この場ですぐに潰しても、こいつらは僅かな苦痛だけで楽になる。
それでは駄目だ。
私とまりさが受けた以上の苦しみを与えてやる。
大切なものが奪われる悲しみを教えてやる。
幸せの絶頂から、絶望のどん底に叩き落してやる。

そのために、私は1ヶ月もの間、ありすたちを家に住まわせ、世話をした。
私ができる範囲で、最高の生活を提供した。

ゆっくりは自分がゆっくりしていなければ、相手をゆっくりさせることなど出来ない。
心からゆっくりしたとき、初めて『ゆっくりさせてあげる』と言えるのだ。
今、ありすたちは漸くこの言葉を口にした。

ありすたちの顔、笑顔、幸せそうな笑顔を見るたび、私は唇を噛み締めた。
ありすたちの声、笑い声、幸せそうな笑い声を聞くたび、私は拳を握り締めた。

まりさを殺し、その亡骸も貶めておきながら、私を『ゆっくりさせる』だと?

―どの口がほざくか。
―ゲスが。



復讐の時間だ。






  *  *  *   *  *  *   *  *  *





渾身の力を込めて振り下ろした腕をどけると、中身がほとんど押し出され、ぺしゃんこになった妹ありすがいた。
飾りは砕け、目玉は飛び出ていたが、それでも表情は残っていた。
全身で幸せを表現しようとした、笑顔の残滓が。

カスタードに塗れた手をタオルで拭こうとして、気付く。
あまりにも強い力で拳を握り締めていたため、手の平には爪が食い込み血が滲んでいた。
だが痛みは感じない。

ありすたちの方を見ると、どうやら思考停止状態のようだ、微動だにしない。
親ありすを、この日のために用意していた水槽の中に放り込み、姉ありすは放置して、台所に道具を取りに行く。
先ほどまでの賑やかさから一転した、重苦しい静けさが心地良い。

最初に静寂を破ったのは親ありすだった。
私が戻ると、放心状態から回復したらしく、水槽の中でキョロキョロしていた。
どうやら妹ありすを探しているようだ。
私に気付いたありすが訊いてくる。

「ゆ…? おにいさん…? ありすのおちびちゃんがひとりみあたらないの…? しらないかしら…?
 それにこのがらすさんは…?」

目の前で潰して、死骸もそのまま、自分の顔にはカスタードまでかかっているというのに、現実が理解できていない。
あるいは、心の防御機構とやらが働いているのだろうか。

―では、教えてやろう。

私は、カーペットにめり込んだ妹ありすの皮を剥ぎ取り、水槽に貼り付けた。
ニチャアッ、とカスタードが接着剤の役割を果たし、妹ありすの皮は固定される。
虚ろな眼窩が、水槽の中の親ありすを見つめるように。

「え…? なあに、おにいさん…? なんなの、これ…?」

―ああ、そうか。
―飾りがないと駄目だったな。

私は、妹ありすの砕けたカチューシャの中から一番大きな欠片を拾い、
残骸の上にくっつけてやった。
今の今まで、愛くるしい笑顔を振りまいていたお前のおちびちゃんと、感動のご対面だ。

「……ゆ…? ……ゆぎゃああああああああああああ!!!」

―喜んでもらえて何よりだ。

「ゆあああぁぁぁ……! あでぃずのおぢびぢゃんがぁぁぁ……」

泣き叫ぶありす。
必死な目で私に助けを求める。

「おにいざんんんんん…! はやぐ…、はやぐあでぃずのおぢびぢゃんをだずげでぇぇぇ…!」

―この期に及んで幻想に縋るか。

私は答えてやった。

「お前の子供を潰したのは私だぞ、ありす」

そう言って、私は水槽から子ありすの皮を剥がすと、飾りをつけたまま引き裂いた。

「ほら、これで諦めがついただろ?」

たっぷり10秒ほど沈黙して、ありすは先ほどとは比べ物にならない叫び声を上げた。

「どぼじでぇえええええ?! どぼじでごんなごどずるのぉおおおおおおおおお?!」

―おいおい、あまり大声を出すなよ。
―“とかいは”じゃないぞ?

私はありすの叫びを無視して、姉ありすを摘み上げる。
母親の悲鳴で、我に返っていたようだ。
現状も認識できているのだろう、私が触るとブルブルと震えていた。

「ありしゅのいもうちょがぁぁぁ…。どうちてぇぇぇ…。」

大きな瞳からポロポロと涙を零し、妹の死を悼むありす。
だが直に、妹を心から羨むことになるだろう。

私は姉ありすを、台所から持ってきたまな板の上に乗せた。
途端にありすが絶叫する。

「もうやめでぇえ!! あでぃずのどがいばなおぢびぢゃんをいじめないでぇええ!!!」

一方の姉ありすは、恐怖のあまり硬直して、逃げようともしない。
私はそんな姉ありすの緊張を解いてやるため、お話をしてやった。



夜眠る前に、私が読んでやった絵本に出てくるような、獣の話。

それは即ち、まりさを犯し殺し、この家に居ついたありすの話。

とどのつまりは、犬畜生にも劣る親の所業と、自分の出生の話。

全てを聞いた姉ありすは、

「ゆ、ゆ、ゆ……」

と繰り返すばかり。
私はそっと囁いてやった。

「…だから、お前も“れいぱー”なんだよ、ありす」

「いやぁ……いや…、いやぁ…! ありしゅはれいぱーにゃんかじゃにゃいぃいいいいい…!」

「ぞうよっ! あでぃずも、あでぃずのおぢびぢゃんも、りっばなどがいばよぉおおおおおっ…!!」

憤怒の形相で、水槽に体当たりを繰り返すありす。
私がこんなことをする理由が分かったことで、全身から殺意が溢れている。

―硬化テクタイト複合の強化ガラスでできた水槽だ。
―傷も付かんよ。

私は無駄な努力を続けるありすを一瞥して、姉ありすに訊いた。

「お前は本当に“れいぱー”じゃないのか?」

親の声に励まされ、多少はショックから立ち直ったのか、姉ありすは私の目を見て答えた。

「…しょうよ…! ありしゅはれいぱーにゃんかじゃにゃいわ…!
 みゃみゃとおにゃじ、りっぱにゃときゃいはよ…!!」

「そうか、ではその証を見せて貰おう」

私は姉ありすの後頭部をそっと掴むと、顎の下辺りをまな板に擦り付けるように振動させた。

「ゆっ?! ゆゆっゆっゆぅぅぅぅぅ…! やっ、やめちぇえぇええぇぇぇ…!!」

潰されると思ったのか、必死に抵抗する姉ありす。
しかし、次第にその瞼がトロンと下がり、悲鳴も嬌声へと変わっていった。

「ゆっ…ゆふぅ…みゃみゃぁ…ありしゅ…にゃんだか…ゆっ…へんにゃにょぉ…」

いったん動きを止めて、姉ありすの様子を見る。
全身からぬらぬらとした分泌液が噴出し、生殖器が隆起していた。
再び振動を与える。

「ゆっ…ゆぁぁぁあぁぁあああ…! み…みにゃいでぇぇぇぇえええ…!」

白く透き通るようだった肌は、羞恥と興奮で真っ赤に上気し、瞳も潤んでいた。
そんな姿を見られたくないと必死に懇願するが、私は止めない。
未知の快感が波となって押し寄せ、姉ありすの精神は限界のようだ。
そしてついに、

「ゆぅぅぅぅうううううう…! しゅっ…、しゅっき…!」

「やっぱり“れいぱー”だったじゃないか」





シャキン。



絶頂に達する直前、私は手にしていた鋏で、姉ありすの生殖器を根元から切断した。
円形の切断面から、ビュッ、ビュッとカスタードが発射された。
姉ありすより先に、水槽の中のありすが悲鳴をあげる。

「……べにべにが!! あでぃずのおぢびぢゃんのどがいばなべにべにがあぁぁぁぁ!!!」

一拍遅れて、姉ありすも自分の体の一部が切り取られたことに気付き、叫ぶ。

「ゆ…ゆびゃぁああああああああああ! かえぢでっ…かえぢでよぉぉぉおおおおお!!!」

私はそんな2匹に見せつけるように、1ミリ刻みで、姉ありすの生殖器を細切れにした。
姉ありすは、最も大切な部位を永久に失った。

「「ゆぎゅぅぁぁぁぁぁあああぁあぁぁぁあああああっ!!!」」

―まだ始まったばかりだというのに、そんなに興奮するとは、はしたないぞ。

私は鋏を置いて、スプーンを手に取った。
狙うのは、涙を滝のように流す、姉ありすの青く輝く大きな瞳。

まずは右目からだ。

グリュン、ブチィ。

続いて左目。

グリュン、ブチィ。

「ゆぎょぉぉぉおおおお…!!!」

「おぢびぢゃんのぎれいなおべべがぁあああああああああ…!!!」

私の手の中には、サファイアのように青い瞳が2つ。
一気に握り潰す。
ムリュン、と指の間からはみ出てくる、割れてくすんだ宝石。

「いやぁああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ…!」

親の絶叫で、自分の目が二度と戻らぬことを悟った姉ありすは、呟き続ける。

「みえにゃい……にゃんにも、みえにゃいよぉ……。みゃみゃぁ……どきょぉ…?」

次はその舌だ。
スプーンから鋏に持ち替えて、姉ありすの口をこじ開ける。

「ひゃべちぇえええええええ…! ひびゃあああああああああ…!」

死に物狂いで、口を閉じようとする姉ありす。
だが人間の力に敵うはずもない。
口の中に鋏を捻じ込み、標的を捉える。



ジョキン。

「んぶぅぅぅううううう…! ふぶぅぅぅぅぅううううううううう…!」

「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!」

―良かったな、ありす。
―これでもう、お前は獲物を犯すことも、品定めすることも、“とかいは”を連発して馬鹿をアピールすることも出来なくなったぞ。

“れいぱー”ではないが、それ以上に醜悪で無様な姿となった姉ありす。
カスタードを吐かれては困るので、私は姉ありすから奪ったものを全て、口の中に返してやった。
ついでに、妹の死骸も。

「ふぐっ…!」

そのまま姉ありすを持ち上げようとするが、上手くいかない。
今や姉ありすの全身はヌルヌルとした粘液に包まれており、何度やっても滑ってしまう。
リンスまでしてやった髪の毛も、例外ではなかった。
仕方がないので、私は右手の親指と人差し指を、それぞれ右と左の眼窩に突っ込んだ。
姉ありすは、目を抉られ、口を塞がれているので、ビクンビクンと震えることでしか、反抗の意志を表せない。

私はそんな姉ありすを、ミキサーの中に入れた。

サクッ、とミキサーの刃に突き刺さる姉ありす。

水槽の前に、ミキサーを置く。

「さあ、おちびちゃんとのお別れだ」

しかし、ありすは水槽の中で俯き、うわ言をひたすら繰り返すのみ。

「聞いてるのか、ゲスがァ?!」

私は怒鳴り、水槽を殴りつけた。
ピキ、と音がして、ガラスに亀裂が走る。

やっと顔を上げるありす。
ミキサーを見て、

「あああぁぁぁ…」

と、力なく声を漏らす。
私はありすに問うた。

「大切な家族を殺されるのは、悲しいだろう?」

ありすは答えない。
私は続ける。

「大切な家族を殺した私が、憎いだろう?」

ありすは、私の顔を見つめていた。



―お前は本当に、私がゆっくりしていると思っていたのか?

―何故、理解できなかった?
―何故、見ようとしなかった?



―あの時、私は、今のお前と同じ顔をしていたんだぞ?



私は、ミキサーのスイッチを入れた。



  *  *  *   *  *  *   *  *  *



どのくらい経ったのだろうか。
ミキサーの中の子供たちを見つめて、ありすは言った。

「がえじでぇ……。あでぃずの…がわいいおぢびぢゃんを…がえじでよぉ…」

「ああ、いいぞ。お望みどおり返してやる」

私は水槽の中のありすに、ミキサーの中身をかけてやった。
ドロドロのカスタードを全身に浴びるありす。

「どうした? 『きたない』な、ありす」

私は包丁を振り下ろした。





  *  *  *   *  *  *   *  *  *





全てを終えて、男は立ち上がると、覚束ない足取りで居間へと向かった。
テーブルの上には写真が飾ってあった。
切り取られた時間の中で微笑む、男とまりさ。

―あいつらは、この写真にすら気付かなかったな…。

男は写真を手に取った。

―まりさ…。

まりさの笑顔を胸に抱き、男はいつまでも泣き続けた。



  *  *  *   *  *  *   *  *  *



まりさが伝えたかった最後の言葉。

「おねがいだよ、おにいさん。ありすのことをゆるしてあげて。
 おにいさんとおわかれするのはかなしいよ。
 でも、まりさはおにいさんに、ゆっくりしてほしいよ。
 だいすきなおにいさん。ずっとずっと、ゆっくりしていってね…!」

まりさの最後の願いが叶うことはなかった。





(了)





あとがき

最後までお付き合いいただきありがとうございます。
テンプレは奥が深いということを思い知らされました。


書いたもの


挿絵 by儚いあき


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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

すべてのコメントを見る
  • いいんだけどまりさが不憫でならない -- 2024-09-17 15:48:14
  • 自分の大事に大事に育てた大切なまりさを殺されて「汚いの」発言はキレて(苦しませよう)と考えるのはしょうがない…うちもそうする(by愛で兼虐待おねえさん) -- 2024-02-03 22:11:20
  • 善良であれば許す。しかしレイパー
    貴様らだけは許さん -- 2022-08-05 18:30:41
  • あのまりさの写真にすら気づかないなどゲスにも程があるわクソレイパーども -- 2018-06-30 09:43:41
  • 硬化テクタイト複合の強化ガラスにヒビ入れるおにいさんつえー -- 2014-05-29 23:49:14
  • 感動した少し泣いた、れいぱー死ねこのゲス -- 2013-05-20 20:44:49
  • みんな!ゆっくりしてよー!
    あと、おやすみん(-ω-)zzzもみもみしちゃい
    ジュルリ -- 2012-06-17 01:05:17
  • ↓x8作中お兄さんの趣味とお前の趣味に何の関係も無いよね。
    ゆっくりにも劣る発言は控えてくれたまえ。 -- 2012-06-04 18:23:09
  • 制裁の有無をきめるんじゃねえyo
    このアンチが!知的障害はお前だyo -- 2011-09-04 11:12:58
  • ↓×6家族同然ってことはゆっくりでも犬でも家族なんじゃないか?
    それを殺されて復習しないやつがいるか!家族殺されてもお前はかなしくないのか?あぁ?
    -- 2011-09-04 11:11:40
  • ↓×5 まったくだ。こいつにはまりさを亡くしたお兄さんの気持ちを全然理解してない。まさに氏ねだな。 -- 2011-01-13 01:09:22
  • ↓↓↓↓差別主義の嗜好押し付け野郎は〇ね -- 2011-01-13 00:52:44
  • ↓3番目がゲスだろyo。少なくとも自分の家族同然に思ってる動物死んだら普通に泣ける自信が有るZE
    (っつても犬とかだけどyo-。) -- 2010-11-22 03:16:43
  • ↓↓こいつには理解力ってものが無いな。お前みたいな馬鹿は○ね。 -- 2010-11-21 10:25:49
  • ↓お前がゲスだろ。 -- 2010-11-02 00:10:08
  • いちばんのゲスはこの人間だな
    虐待が好きでやってるならいいのだが
    まりさごときの復讐の為とかもう知的障害者かと
    ありすの復讐の為にれいむ・まりさへの制裁は有りだが
    れいむ・まりさの復讐の為にありすへの制裁は無し -- 2010-11-01 00:51:04
  • 悲しい話だ -- 2010-10-14 23:31:30
  • 結局、ありす達は自分だけがゆっくりしてた訳か…<写真気付かず
    お兄さんにはこれから幸せになってほしいのぜ -- 2010-10-10 13:16:37
  • ゲスは死ね!
    そういうことですね。 -- 2010-07-24 19:06:55
最終更新:2009年10月27日 16:43
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