ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5

希少種の価値 1,5 21KB


・極め俺設定注意
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・サイドストーリー
・少々鬱め









金が欲しい。

誰もがそう思う。多ければ多いほど良い。あって困る物では無いのだから。

働けばいい。

誰もが最初に伝える基本的な言葉。だが、既に給与を所得している場合は、自由に使える金を求めている。

いかに楽をして儲けようか?

そのような邪まな考えを、頭の中で巡らせる。



株。賭博。宝くじ。
これらは勝てば多額の金が得られるし、何よりも楽。紙幣を投資するだけで、何倍にもなって帰ってくる。
ただし、負けると目も当てられない。コツコツ貯めた給与が、泡の様に消え去っていく。
リスクが高い。

理想は元手も掛からず、一撃も期待できる楽な作業。放置が好ましい。

そんな条件で検索すると、最近、特に引っ掛かる一つの項目。
条件は楽だし、素材はあちこちにいる。始めて駄目なら捨てれば良い。

ノートPCの電源を落とし、調達に向かう男。
だが、それは甘い罠。貯蓄を全て失うかもしれない。
不安定極まるギャンブルに足を突っ込んでしまったという事を、男は何も解っていなかった。

今、このような初動で手を出した後、資産崩壊した自称被害者が後をたたない。
しかし、この作業は最終的に自己責任を問われる形になる。保険なんて無いし、泣いて立ち直るしか方法は無いのだ。

注意を促しても、手を出す人は大勢いた。情報は幾らでも溢れているのだから。
内容も美味しそうなら、覗いてみるだけ!と、軽い気持ちでページを観覧する。
そして、実行。被害者拡大。止まらない悪循環。

この男も、間違いなくその道を辿るだろう。
何らかの奇跡でも起これば、違う未来の扉が開く事があるかもしれない。

まだ見ぬ大金求めて、男は意気揚揚と家から出て行った。










カーペットの上でゆっくりが寝そべっている。
ふわふわの感触が心地良いらしい。鼻歌を口ずさみながら、とてもゆっくりしていた。

「~♪ ゆんゆ~♪ ゆー~っ♪」

そこには、綺麗な洋服を着たまりさ。黒い帽子には、キラリと輝く丸い物体が光る。

「このおうちは、とってもゆっくりしているわっ!まりさっ!」

まりさの直ぐ側にありすが寄り添う。
こちらも綺麗な洋服だ。ペアルック風のデザインで、とても満足しているご様子の、ゆっくりありす。

「まりさー。ありすー?ご飯よー。」
「ゆわーいっ!いただきまーす!」
「とってもとかいはなおしょくじねっ!ありがとう!おねえさん!」

絵皿に盛り付けられた食事。体のことを考えて、野菜とフードをバランス良く、ゆっくり達に与えていた。
それを、凄く幸せ一杯の顔で頬張るまりさ達。まりさは口に物を詰め込みすぎて、リスのように頬を膨らましている。

皿から毀れた食べカスが、ワックスで磨かれた床へと散らばる。
だけど、お姉さんは優しい瞳でそれを黙認していた。

「ごちそうさまでしたっ!」
「とってもおいしかったわっ!」

食後の挨拶をした後、『ふーきふーきするよっ!』と、毀れた食べカスをタオルで拭く。
作業効果は期待できない。カスが床に食い込み、塗られたワックスを削り取る。

それでも怒る事は無い。
一生懸命にお掃除する姿を見ると、とてもゆっくり出来た。
まりさ達の頭に手を乗せて、『いいこ。』と、撫でる。

その時、柔らかく微笑むお姉さんの笑顔が、まりさ達は大好きだった。

そう、大好きだったのだ。






最近のお姉さんはゆっくりしていない。

てれび。を、見ながら溜息ばかりついている。
食べてしあわせーっ。と感じるごはんさんも美味しいし、着ている洋服さんもとてもゆっくりしていた。

でも、お姉さんは、ずーっと元気がない。

『ほらほら!まりさはこんなにのびるんだよっ!すごいでしょ!』
『うん。凄いね。まりさ。』
『…………ゆん。』

『とかいはなこーでぃねーとで、ゆっくりしていってねっ!』
『うん。綺麗よ。ありす。』
『…………ゆっくり~。』

元気を出して貰おうと、得意技をこれでもか!と、披露した。
しかし、帰ってくるのは生返事。笑顔をしているのだが、あれはゆっくりしていない笑顔さん。
まりさ達はお見通しなんだよ?絶対ゆっくりさせてあげるからね!

しかし、毎日まりさ達はチャレンジし続けるが、お姉さんの元気は戻らない。

それから、2週間が過ぎたある日。



「ねぇ?まりさ達にお願いがあるの。聞いてくれる?」
「ゆっ?」
「ゆん?」

まりさが、ありすの上に昇っている最中に、お姉さんが声を掛けてきた。
ありすと一緒に新開発した、『ゆきだるまさんだよ!』を、構築している時の出来事。
突然声を掛けられた為、まりさはバランスを崩して、後ろに転がっていく。

「大丈夫!?急に声を掛けてごめんね?まりさ。」
「だいじょうぶだよっ!ゆっくりきにしないでねっ!」
「ゆっくりそうだんしてねっ!おねえさん!」

わくわくしながら、まりさ達は言葉を待つ。
お願いをされる。というか、胸に響く言葉を聞いた事が、凄く久しぶりだったのだ。
作り物では無い表情。飾り立てない心からの言葉。まりさ達の餡子の奥に、それらは真摯に響いた。

「私ね。まりさ達の赤ちゃん見たいな?」
『『 ゆっ? 』』

赤ちゃんが見たい。
その言葉で、天に昇るような気持ちになる。
今までは、『あかちゃんきんし』と、強く言われていたので、すっきり行為を絶対しないように心がけていた。

「ゆっくりりかいしたよっ!かわいいあかちゃんつくるよっ!」
「まりさっ!とかいはなあかちゃんつくろうねっ!」

頬をすりすり、体をペロペロ。互いに愛を与え合うまりさ達。
今夜にでも作ろう。可愛い赤ちゃんを。
にんっしんっ!方法はどれがいいの?幾つの赤ちゃんが欲しい?一杯産むよ!とってもゆっくり出来るよね?

興奮気味にお姉さんを質問攻めにする、新しく誕生した番
お姉さんは困った顔をしながら、対処に追われていた。足元で頬を赤くしながら、番は幸せな未来を語っている。

「…………。…っ!」

口元を僅かに動かして語りかけたお姉さん。
あまりにも微かな囁きだったので、まりさ達に伝わらずに、空気に溶けた。

その時の顔を、まりさはありすと話していたので、見てはいなかった。
それはまりさ達が信じていた、作り物では無い表情。

でも、辛く苦しく、とてもゆっくりしていない苦い顔で搾り出した、心からの言葉。





「ゆぎぎぎぎぎぎぎっ!?」
「まりさっ!がんばって!かわゆい、おかおさんがみえてるよっ!」

初めての出産。とても苦しい。痛い。涙が出てくる。
『でも、まりさが赤ちゃん産んで、お姉さんを喜ばせてあげるんだよっ!』
その気持ちを支えに、可愛い赤ちゃんをこの世に放つ。

「ゆっきゅちうみゃれりゅよっ!」
「ゆぎぎぎっ!あぁあぁぁぁぁぁっ゛!?」

可愛い声を上げながら、赤ゆが飛び出す。
ありすは柔らかい布へと、無事着地した赤ちゃんを優しい目で見て、言葉を掛けようとした。

「ゆっきゅちしてぃっちぇねっ!」
「ゆーっ!ゆっくり………?」

黒髪、もみあげ、赤いリボン。
何故かれいむが産まれて来た。まりさ達の時が止まる。

「……どういうことなのぉおぉぉぉぉっ゛!?」
「まりざぁあぁぁっ!うわぎじだのぉおぉっ゛!?どがいばじゃないわぁあぁぁっ゛!!!??」

「まじざはけっぺきっ!だよっ!?うわきなんてするわけないよっ!ありすがいちばんなんだよっ!?」
「なら、どぼじでれいぶがうまれでぐるのぉおぉぉっ!?ゆわぁあぁぁぁぁぁんっ!」
「ゆっ!?きぇんきゃわ、ゆっくちやめちぇね!」

ありすは大泣きだ。
いきなり脈絡の無いれいむが産まれて来たのだ。当然の展開だろう。
赤れいむは仲裁に入るが、どちらも耳を貸す事が無い。
場を支配するのは、泣き声と怒号のみ。

「それは、悪魔の子よっ!」

ピタリと静寂が訪れる。
混沌に満ちた世界に、真っ直ぐに通る発声をしたお姉さん。
全てのゆっくりの視線が、居間に立つ女に集まる。





お姉さんの小さな掌に、赤れいむが乗っている。

「りぇいむ、あくみゃにゃんきゃじゃにゃいよっ!?」

不満を口にしながらコロコロと転がり、今にも下へ落ちそうだ。

「これは私が祓っておくわね。」
「ゆん………。」

悪魔祓い。と、いう物らしい。

確実にまりさ達の赤ちゃんだが、意図せず望まれない邪悪な物が産まれて来た。それが、このれいむだと。
このままにしておくと、災いが降りかかる。だから、辛いけど、処分しなければならない。
まりさ達夫婦に、この役目をして貰うのは、あまりにも酷な事だ。ここは涙を飲んで私が役目を引き受けます。

と、説得された。
腑に落ちない物はある。でも、これは真の言葉だ。まりさはお姉さんを信じる。

「みゃみゃっ!たちゅけてぇえぇぇぇぇっ゛!?」
「…………ッ!」
「いじゃぃいぃぃぃぃぃぃっ!?ちゅねちゅね、ちにゃいじぇえぇぇぇっ゛!!!?? 」

助けを求めた赤れいむの頬を、お姉さんが爪先で抓る。
柔らかいほっぺが、赤くなっていき、切り傷からは餡子が滲み出す。

「やっ!やさしくはらってあげてねっ!まりさのおねがいだよっ!」
「解ったわ。まりさ。」

お姉さんは、まりさのお願いを快く聞いてくれた。でも、処分されるのだ。
その言葉の意味は解る。優しく祓っても、最終的には赤れいむのゆん生が終わるという事。

『それじゃぁ。お姉さん行くね?』の言葉に、まりさは顔を上げられなかった。ありすは先程から、一言も喋らない。
赤れいむの助けを呼ぶ悲鳴が遠ざかり、廊下に繋がる扉が開く。その扉が閉められた時、赤れいむと番の関係は、幕を閉じた。

「…………いっちゃったわ。」

ありすが扉に向かって声を掛ける。誰に伝えたいのかは解らない。でも、まりさはその声を受信した。
ぽんぽんが痛む。赤れいむが通ってきた道がシクシクと疼く。目元が……、熱い。

「……ゆぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっ゛!」

まりさは顔を伏せ、泣き出した。
隣のありすも、無言で涙の筋を作る。

確かにあれは、自分達の赤ちゃんだった。
しかし、認めたく無い気持ちがある。違う種が産まれるなんてありえない。
認めれば、何かが壊れてしまう。まりさとありすの、繋がりとかが。

部屋に、まりさとありすのすすり泣く声が、空しく響きわたる。
ありすは何時までも、去っていった扉を見続けていた。





れいむの出生率は高い。

(れいむとれいむ>れいむと希少種>希少種と希少種)の割合で、れいむ種が産まれやすくなっていた。

しかし、100%でれいむばかり産まれる訳ではない。
一番不利な条件で、約1000分の1。でも、最近の研究では、約2000分の1と言われている。

そこに罠があった。

飛び交う情報の多くが、『れいむとれいむで大儲け!』が主題となっている。
『金が欲しければゆっくりを飼え!』と、週刊誌に見出しが乗って販売された。

いかに儲かるか。は、強調しているが、詳細な確立は意図的にぼやかされている。
実行しても、当然れいむ種しか拝めない。一握りの幸運な猛者が、勝利を掴むという、厳しい現実。

運悪く出来なかった人は諦めるか、それとも、どこまでも突き進むか。
高い機材を購入して、何らかの成果を上げようと試みても、何も得られないまま終わる事が多い。
逆に、高価な用品を求めてくる人達を、ターゲットにした方が儲かるのだ。






大きな音を立てて転がる、産湯が入った洗面器。
食べ物が入れてあった食器も、同様に中身を撒き散らしながら、遠くへと転がっていく。

「どうして悪魔ばっかり産むの!?まりさは、ゆっくりまりさなんでしょっ!!!?? 」
「ゆぶぅうぅぅぅぅぅうっ゛!?」

「何で自分に似た赤ちゃんが産めないのっ!?ありすは都会派なんでしょっ!ねぇ!どうしてっ!?」
「えぐっ゛!どがいばぁあぁぁぁっ゛!?」

まりさとありすは、同時に妊娠した。
そして、出産。結果は赤れいむ。

これでもう最初から数えて、何回目になるのだろうか?
胎生に植生。今回の同時胎生。その全ての結果が、赤れいむ。……悪魔が誕生した。

「どうしてっ!どうしてっ!?ねぇ、どうしてなのっ!!!?? 」
『『 ゆっぐぢごべんなざいぃいぃぃぃぃぃっ!? 』』

お姉さんは、番を責める。
まりさ達が解る訳が無い。確実にパートナーとの赤ちゃんは宿してる。でも、産まれてきたのは悪魔なのだ。

「もういいっ!もぅ……。もういいっ!!! 」

全ての悪魔を籠に入れ、部屋から出て行くお姉さん。
番だけになった広い部屋で、謝り続ける。
『ごめんなさい!』『かわいいあかちゃんうんであげられなくて、ごめんなさい!』と。



倉庫の一角。
そこに乱暴に籠を放り投げる。

「いちゃいよっ!やちゃしくおいちぇねっ!」
「おちょらを……、ゆびゅっ!?おきゃおがいちゃいぃいぃぃっ゛!?」
「みゃみゃあぁぁぁっ゛!?じょこにいちゅのぉおぉぉぉっ゛!!! 」

籠から飛び出た赤れいむが、顔から地面に落ちる。前面は赤く腫れ上がってしまった。
不安げに辺りを見渡す姉妹達。黴臭い部屋の中、こちらを見つめてくる多数の視線に気付いた。

自分と同じ姿のゆっくりれいむが、一杯ケースに入れられている。
でも、一つもゆっくりした顔をしていない。

と言うか、顔が無いのだ。

目はある。口もある。正確には、顔面の皮が無い。
剥き出しの餡子が酷く痛む為なのか、小刻みに振動しているれいむ達。
常に、『ゆっ!ゆじっ!?』と、断続的に呻き声を上げている。

餡子の表面が白く汚れている固体もあった。純白ではなく薄暗い青い色も混ざっている。カビが繁殖したのだ。
カビはゆっくり達にとって、一番の天敵。これは、万病の元になる。体の奥に侵入していくカビが、れいむの心も蝕んでいく。

赤れいむ達は、その恐怖の情景に泣き出し、漏らし、そして、助けを求めた。
差し伸べられたのは、お姉さんの掌。指先が赤れいむのおでこに、優しく触れる。

「やめちぇにぇっ!?ゆっきゅりできにゃいよっ!」

摘まれる。皮が伸びていくのを感じる。引っ張られるような感触。

「やめちぇにぇっ!いちゃいよっ!?やめちぇっ!いやあぁあぁぁぁぁぁあっ!!!?? 」

無理矢理。顔面の皮を剥がされた赤れいむ。
片目も一緒に持っていかれてしまった。視界が狭まり、お顔全体に激痛が訪れる。
風が当たるだけで、身が裂けそうな痛みを感じる。いや、背中の一部は実際裂けていた。滲み出した餡子が床へと垂れる。

傷だらけの赤れいむは、ケースへと放り投げられた。
地面は柔らかく湿っていて弾力がある。それでも、大怪我を負っている赤ゆの体は衝撃に耐え切れず、辺りに餡子を飛び散らす。

それでも赤れいむは死ななかった。
下に敷き詰めている餡子が、崩れた赤れいむと同化して、強制的にゆっくりさせない仕組みになっている。
このまま、この赤ゆは暫くの間、ゆっくり出来ないゆん生が始まる。



『『 ぺりぺりさんは、いやぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!!!?? 』』

当然、他の姉妹も、同様のゆん生を辿る。



「まりさっ!ありすっ!どうして産んでくれないのっ!?」

作業が終わったお姉さんは、倉庫に伏せて、涙を流しながら不遇を訴える。

ここは、ゆっくりショップの倉庫内。
最近のれいむ増加に伴い、希少種扱いとなったまりさ達の入荷が、全然回ってこなくなった。
チェーン店なら多少希望もあったのだろうが、個人経営では手も足も出ない。
懇意にしていた取引先は、ある企業に買収された。大手の財力には、太刀打ち不可能。

色々切り詰めて経営してきたが、限界が来る。
在庫はれいむだらけ。もう、見るのも嫌だった。

そこで、飼いゆのまりさとありすに、協力を求めた。大事な所は伏せたままだが。

産まれたら、『譲って欲しい人の為に、里子に出しましょ?』と、説得するつもりだった。
その事を知らずに、私に可愛い赤ちゃんを見せたいと張り切る姿を見るのは、胸が痛い。

だから、『ごめんね。』と口から出てしまったのだ。

希少種を掛け合わせると、れいむが産まれにくいと言うのも、調べて解った。
今では、まりさとありすは高級品。万単位の価値が付く。それも、両方の親は称号持ちなのだから、更に高値がつく。
ほんの3体。いえ、この際1体でもいい。まりさかありす似の赤ちゃんが欲しい。

だけど、産まれたのは、憎い赤れいむ。赤いリボンを付けた悪魔。

これが昔なら喜ぶべき事だったのだろう。称号付きのれいむなのだから。
でも、今は誰もれいむを求めていない。価値が無い。魅力も無い。

そして、この計画が完全に潰える事件が起こる。



「ゆっくりでかけるよ。ありす。」
「わかったわ。まりさ………。」

出産を終えた番は互いに頷きあい、お姉さんが開けたままの扉へと向かう。

綺麗なお洋服はベットの側に置いた。金の称号は、お飾りを少し噛み切って、強引に取り外した。
汚くなったお部屋を、自分達に出来る範囲で、一生懸命綺麗にした。

もう、やり残した事は無い。

『この部屋から出ちゃいけません。』の約束を破る自分達は、やっぱり悪い子なのだ。
だから、悪魔さんが産まれてくるんだね。ゆっくり、りかいしたよ。


さようなら。おねえさん。


まりさ達は扉の向こう側へ消える。
今よりも、もっと残酷で悲惨な状況となった、外の世界へと飛び出していく。


その後、部屋を訪れたお姉さんは、異常に気付いて慌て出す。
家中を捜索したが見つからない。急いで外に探しに向かった。今ならまだ間に合うかもしれない。

「まりざぁあぁぁぁぁあっ゛!ありすぅうぅぅぅぅっ゛!お願いだから、お返事してぇえぇぇぇえぇっ゛!!! 」

お姉さんのお願いは、今度もまりさ達に届くのだろうか?
悲痛な声が街に響き渡った。








希少種同士だと、希少種誕生確率は上がる。だが、確実に生まれるわけではない。
少ない出産回数で、希少種が産まれてくる可能性が上がる。と言う話になる。

10数回出産したとしても、当たりを引かなければ、れいむが誕生。
運が悪ければ、希少種が日の目を見る事は無い。

それに、この方法は重大な欠陥がある。
自身のありかた。に、疑問を持つのだ。

関連性が全く無い、れいむ種が産まれてくるのだから、不安にもなるだろう。
そこに、れいむを産んだ事で激怒する飼い主。

様々な原因より、ストレス過多で産道を自ら破壊するゆっくりや、脱走して、ゆっくりしてしまう種が大勢いた。
元々、態度はでかいが、精神的に脆い生物なので、追い込むと簡単に自滅の道を辿るのだ。
目先の欲に囚われた素人が、デリケートで気難しいゆっくりを扱うのは、困難と思われる。

個人では、余程の強運を発揮しなければ、一攫千金の恩恵を受けられない。
厳しい現状が、勝負達を次々に飲み込んでいった。







街角の路地裏。

『怖い人間さんも居るからお外に出ちゃ駄目だよ?』の教えを思い出し、姿を隠すように狭い道を進む。
まずは、寝床と食べ物を確保しなくてはならない。番のありすと、砂利が混じる道路を進んでいく。

夢中で歩いていたから気付かなかった。あんよさんが、真っ赤になってヒリヒリと痛む。
食い込んだ小石が激痛を伴う。互いに怪我を確認しあった後で、ゆっくりと休憩を取る事にした。

俯きながら、黙り続けるまりさ達。どちらも言葉を発せずに、地面に伏せている。
まりさは、目の前に生えていた草を口に入れてみた。

「……ふしあわせー。」

苦い。

食べたくは無い。が、食べられ無い物ではない。

これからの生活では、好き嫌いをしている余裕は無い。租借して雑草を飲み込む。
それを見ていたありすも、草を口に入れ小さな声で、『ふしあわせー。』と、呟きながら飲み込んだ。

また、涙が溢れてくる。
土混じりの地面に、水滴が染み込んでいく。
貴重な水分だとは認識している。でも、涙は止まってくれない。嗚咽が路地裏に響く。

「ゆっふーん?なにか、ゆっくりできないゆっくりがいるよ?」

それは、良くない物を引き付ける、合図となった。

「ゆっ?なかなかきれいなまりさだよっ!れいむのおよめさんにしてあげるねっ!」
「それじゃぁ、れいむはありすでいいよっ!ゆっくりかんしゃしてねっ!」
「かわいいれいむのあかちゃん、いっぱいうんでねっ!」

うじゃうじゃと沸いてくるれいむ達。全てが上から目線で、アプローチしてくる。

まりさは、そのれいむ達を鬼の様な視線を向けて、目元に皺を寄せる。
悪魔が集団で現れたのだから、当然だろう。ありすも同様の視線で見つめている。

「なにさまなのっ?そのはんこうてきなめはっ!」
「ゆっくりと、たちばをりかいしてねっ!」
「れいむたちより、えらいとおもってるの!?ばかなの?さっさとしんでねっ!」
「うんうんさんならたべてもいいよっ!どろさんといっしょに、むーしゃむーしゃしてねっ!」

まりさ達を囲み、ゲラゲラと笑うれいむの集団。
目の前に、うんうんが落とされる。その上に1体のれいむが足で砂をかけ、食べろと強要してきた。

違うれいむは、まりさ達のまむまむを探索するように、後方をうろうろしている。
すべすべほっぺに、ざらざらほっぺをすり寄せてくるれいむ。

全てが同じ笑みで、まりさ達をあざ笑う。


まりさは、目の前のれいむに大きな口を開けて、かぶりつく。
その隣では、ありすも同様に行動を起こしていた。

れいむ達はあっけに取られる。急な反撃に、理解が追いついてこない。
大きな傷を負ったれいむが地面で暴れた段階で、やっと事態を把握したれいむ達。
しかし、その時には、もう1体の頬にまりさの歯が食い込んでいた。

ブチブチと音を立てて剥がれていく、れいむの汚れた外皮。
『あかちゃんうんでねっ!』と、発言したれいむは、ありすに大事な部分を丸々食い千切られていた。
痛みと、絶望がれいむを襲う。その悲鳴が、れいむ達の戦意を著しく低下させた。

後ずさりしていくれいむ達。まりさ達は黒く染まった歯で威嚇しながら、攻撃の手を休めない。

まりさ達は、悪魔払いの儀式を行った。










裏路地に舞い上がる砂煙。

「こっちに、、ゆっくりしないできてほしいよっっ!」
「あっちがてうすだよっ!うしろからたいあたりしてねっ!」
「あいてはよわってるよっ!これはちゃんすだねっ!」

先手を取り、優勢を得たまりさ達だったが、今は危機に追いやられていた。

数で負けていたが、気迫で圧倒していたまりさ達。尻込みしていたれいむを、次々食い千切ったまでは良かった。
だが、数が多すぎる。後から後から補充されていくのだ。キリが無い。

元気なれいむに体当たりされて、まりさ達が地面を転がるのを見られたのが、致命的となる。
その時、確かにれいむの集団はニヤリと笑った。劣勢に立たされると最弱だが、優勢を感じると調子に乗るのだ。
今回は手負いのまりさとありす。それに群がる大量のれいむ。状況は最悪だった。

「はなぜぇえぇっ!あぐまぁあぁぁっ゛!?」

まりさは悪魔の下敷きになっている。
背中の部分に、悪魔が乗る形になっていた。かなりの重量で、暴れまわって逃れようとしても、動く気配が無い。
お腹が潰れるように痛む。だが、目の前に居る、最愛の番を助けに行かなければならない。

「れいむたちが、いっぱいけがしちゃったよっ!ゆっくりあやまってねっ!」
「ぺーろぺーろ!れいむっゆっくりなおってねっ!」
「れいむ!しっかりしてねっ!きずはあさいよっ!」
「いゃあぁぁぁぁっ!れいむをたべちゃだめぇえぇぇぇえっ゛!?」
「あんござんだべないでぇえぇぇぇっ!?ゆっぐぢでぎなぐなっぢゃぅうぅぅっ゛!!!?? 」
「うめっ!これ、めっちゃうめっ!」
「いくらでもたべられるよっ!」

れいむ達は、同種を舐めて怪我が治らないと悟ると、口に甘い餡子を頬張り、租借する。
涙を流して懇願する犠牲者は、群がってきた悪魔に食べられて、飾り部分だけをこの世に残して消えた。
その行為を、当たり前のように行っている。先ほどから、その光景を端目で見ているまりさは、力の限り、ありすの救出に向かう。

だが、背中の大きなれいむは動かない。万策尽き果てた。

「ゆっくりあやまったら、たすけてあげるよっ!れいむは、じひぶかいんだよっ!」
「ゆっ………。す、ずいませんでじだっ!?」

もう謝るしか選択肢が無い。まりさは屈辱の言葉を口にする。
それを見たれいむは、満足そうに頷く。

「いいへんじだよっ!でも、せいさいはゆっくりするよっ!」

その声を合図に、ありすを囲んでいた別のれいむの集団が、ありすの顔に歯を立てる。

「だずげでぇえぇぇぇえっ゛!?まりざぁあぁぁぁぁあぁぁっ゛!!! 」

悲鳴が上がり、カスタードが周囲に散らばった。

「やめでぇえぇぇぇっ!まりざば、あやばっだでじょぉおぉぉっ!?どぼじでごんなごどずるのぉおぉぉっ!!!?? 」
「せいさいだよっ!ゆっくりくるしんでねっ!ばつをうけたまりさは、たすけてあげるねっ!」
「うわぁあぁぁぁあっ゛!?ありずぅうぅぅぅぅぅぅっ゛!!! 」

まりさに乗った大きいれいむが興奮して、上下に揺れる。
腹が圧迫されて、まりさの口から、餡子が大量に排出された。意識が遠のいていく。

「まりさには、れいむのあかちゃんうんでもらうよっ!いっぱいつくろうねっ!」

迫り来る悪魔。

まりさは、動かなくなった。



「すっきりー!をいっぱいするよっ!」
「ゆげっ!」

「れいむはじょうずだから、とってもゆっくりできるよっ!」
「ゆぶぼっ!」

「うるさいよっ!なんなのっ!?しずかにしてねっ!」
『『 げぼっふぅうぅぅっ゛!? 』』

遠くて、何か物音がする。

「ななななな?なんなの!なんなのぉおぉぉっ゛!?」
「お?でっかいれいむ発見!」
「じゃんぼぉおぉぉぉっ!!! ごぶぅうぅぅぅぅぅっ゛!?」

ゆ?体が軽くなった気がするよ?

「じゃんぼれいむがぁあぁぁっ゛!?」
「こっちはまりさか。酷い事になってるな。まだ無事なのか?」

誰かが話し掛けてくるよ?気のせいかな。

「たすけてねっ!れれれっ。れいむはおうたをうたえるよっ!すっきりーっ!も、とくいだよっ!
 かわいいし、ゆうしゅうなんだよっ!ぱーふぇくとでごめんねっ!?」
「いーらねっ。」
「ぶぢゅうぅうぅぅっ゛!?」

お姉さん。まりさは悪魔に勝てなかったよ。
ありすも守れなかったまりさは、やっぱり最低なゆっくりだったよ。ごめんね………。

「さーて、どうすっかなー?まあ、とりあえずの精神で。とっ!」

………ゅ?




意識が途切れる寸前に、体が浮くような感覚がした。









・お姉さんは○○?
・いきなり絡まれる治安の悪い世の中
・本編との時間軸は曖昧






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感想

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  • まりさとありすがかわいそう
    虐待お兄さんに拾われちゃったのかな -- 2023-05-20 12:24:41
  • アリス&魔理沙カワイソス。(いやマジで、アリスがやられかけた時は、思わず口抑えて、うわっ酷過ぎる。数の暴力ぱねえ。誰がこのクソ霊夢共ぶち殺してくれないかって期待してしまった。) -- 2017-08-05 23:41:56
  • ゆっくりれいむ死ね
    -- 2015-11-15 17:16:13
最終更新:2009年10月29日 19:54
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