ふたば系ゆっくりいじめ 465 おぼうしをおいかけて

おぼうしをおいかけて 10KB



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暇だ。
休日の昼下がり。仕事はないし、これといった用事も予定もない。
家にいるのも退屈で、コンビニで適当に立ち読みして適当に買い物したその帰り。公園で
だらだらと過ごす、のんびりとした時間。
まあ、人間生きていくうちにはこんな無駄でどうでもいい時間も必要――そんな妙な達観
をしていた、そんなときだった。

「お、おにいさん!」
「ん?」

足下からの声に目を向ければ、そこには一匹のゆっくりまりさがいた。
埃まみれの饅頭肌、くすんだ金髪。その上にのっかった薄汚れた帽子。ひと目で野良とわ
かる汚らしさだった。

「ま、ま、まりさを……かいゆっくりにしてほしいよ!」

どうでもよくて無駄な時間に、おそらく世界で一番どうでもいい存在であるゆっくりが、
どう考えても無駄な願いをかけてきた。
まともに返答するのもバカらしい。
だから俺は、

「ほ~ら、おいかけてごら~ん」
「ゆわああああっ!?」

まりさのおぼうしをつかむと、適当に放り投げた。



おぼうしをおいかけて



お飾りをなくしたゆっくりは、同族からゆっくりと認められず、時には殺されることもあ
るという。
つまりゆっくりにとって、お飾りはゆっくりがゆっくりであることの証明ということにな
る。
それをこんな思いつきで適当に放り投げられるなんてどんな気分なのだろうか。
俺は人間であり、自分が人間であることの証明を放り出すことなんてできないから正直想
像がつかない。
でも、きっと大変なのだろう。

「ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ……!」

それは今、必死にぼうしの落下地点を目指すまりさの様子を見ればなんとなく理解できる
ような気がした。
必死とは言っても、こうして追いかける俺の歩みは特別速くはない。でも、それがまりさ
の全力なのだろう。

「おぼうし、おぼうし、おぼうしぃぃぃ!」

わき目もふらず涎をまきちらし跳ねる饅頭の様子からは、必死という言葉しか浮かばない。
その努力が実った……と言うほどのことでもないような気もするが、ほどなくしてまりさ
はおぼうしにたどり着いた。

「ゆ! おぼうしさん! まりさのおつむのうえにかえってきてね!」

口だけで器用におぼうしをかぶりなおすまりさ。
その安堵した様子を見れば、ゆっくりにとってお飾りがどれほど大切なものであるか誰に
だって実感できるに違いない。

「まりさ、おぼうしがもどってよかったね!」

俺の祝福の言葉に、弾けるような明るい笑顔で応えるまりさ。
それがあんまりしあわせそうだから、

「そーれ、とんでけー!」

ちょっとしたイタズラ心がうずき、再びおぼうしを投げた。

「ゆわあああ! まりさのおぼうしがあああ!?」

ふたたび追いかけるまりさ。それを歩いて追いかける俺。
ちょっと楽しくなってきた。いい暇つぶしになりそうだ。

「ゆひぃ、ゆひぃ、おぼうしさん、ようやくついたよ……」
「まだまだいくよー」

まりさがおぼうしをかぶると同時に奪い去り、投げる。

「まってええええ! おぼうしいいいい!」

まりさが追いつく。おぼうしをかぶる。奪って投げる。
まりさが追いつく。おぼうしをかぶる。奪って投げる。
まりさが追いつく。おぼうしをかぶる。奪って投げる。
……そんなことを5、6回繰り返した頃だろうか。

「ゆひっ、ゆひっ……お、おにいざん、まりさのおぼうしなげないでね……!」

さすがの餡子脳もおぼうしをかぶれば投げられるということに気づいたのか。おぼうしを
拾わず背に隠し、俺に向かって文句を言ってきた。
いかん。これではひまつぶしが終わってしまう。

「お前、飼いゆっくりにしてほしいとか言ってたな?」
「ゆひっ、ゆひっ……そ、そうだよ! おにいさん、まりさのおはなしをきいて……」
「これは試練だ!」
「ゆっ!?」
「そのおぼうしはお前にとって大切なものなんだろ?」
「そ、そうだよ! おぼうしさんは、うまれたときからいっしょのだいじなだいじなおと
もだちなんだよ!」
「そう! その大事なおぼうしのためにどこまで頑張れるか、それを計るための試練だ!
 合格したら飼いゆっくりにしてやるかもしれないこともないこともないぞ!?」
「ゆゆっ!」
「わかったか? 今の説明でわからないようじゃ、飼いゆっくりなんて夢のまた夢だ!」
「ゆ、ゆ、ゆ……ゆっくりりかいしたよ!」
「よし、じゃあ試練開始だ! ほーれ、ポーイ!」
「ゆうううっ! おぼうしさんまってーっ!」

こうして、俺の暇つぶしは始まった。
始めてみて気がついたが、このおぼうし投げ、意外と楽しい。

「おぼうし、おぼうし、おぼうしぃぃ!」

まずまりさの必死っぷりが見ていて楽しい。
お飾りはゆっくりであることの証明であるだけでなく、野良での生活にも必要だ。まりさ
種のおぼうしと言えば、雨避けに餌の貯蔵と、日常生活でも大活躍。
そう考えると、おぼうしを投げると言うことは人間に例えれば……人間であることの証明
と、商売道具と家財一式を放り投げられるようなもの、ということになる。
って、そりゃ必死になるよな。そんな状況、想像つかないというより考えたくもない。
そんな悲惨な状況を手軽に味わえるゆっくり。素敵だ。
それに、このおぼうしという奴、フリスビー感覚で投げやすい。

「ほおら、カーブだ!」
「ゆわあああ、おぼうしさんがまがってとんでくううう!?」
「次はフォークだ!」
「お、おぼうしさんがきゅうにおちるう!?」
「ゴミ箱にシュート!」
「やべでえええええ!」
「犬のふんめがけて……惜しい、当たらなかったー」
「ゆ、ゆはあ……よがっだよおおおお……」
「今度は思いっきり遠くまで投げるぞ、ほら!」
「ゆううっ!? もうみえなくなっちゃったよ!? おぼうしさん、どこまでいっちゃっ
たのおおおお!?」
「……と見せかけて実は投げていませんでしたー!」
「ゆがーん!」

どうでもよくて無駄だった時間。それが、どうでもいいことにかわりはないけど、それな
りに楽しい時間に変わった。






「ゆふぅ、ゆふぅ、ゆふぅ……」

公園の中をぐるぐるまわり、小一時間も遊んだ頃。さすがにまりさも限界を迎えたようだ。
荒い息を吐き、ぐんにょりとつぶれた身体はしばらく動けそうにない。

「こいつよくがんばったなあ……」

俺の方はといえば、軽く汗をかいた程度だ。投げて、ちょっと歩く。その繰り返し。ちょ
っとした運動、という程度だ。
だがまりさは常に必死で、かつ全力だった。疲れるのも無理はない。
このまりさ、途中で文句をいいだすこともなかった。よく見かけるゲスな野良なら、こう
なる前に俺のことをじじぃ呼ばわりしてめでたくつぶされていたことだろう。
そう思うと、ちょっと興味がわいてきた。

「なあ、まりさ」
「ゆひぃ、ゆひぃ……なぁに、おにいさん……?」
「なんでお前、いきなり飼いゆっくりにしてくれ、なんて言ってきたんだ?」
「お、おにいさんがやさしそうにみえたから……」
「優しそう……?」

俺は暇だったからのんびりしていただけで……ああ、そうか。こいつらからすれば「ゆっ
くりしている」ように見えた、というわけか。

「優しそうだからって、野良がいきなり飼いゆっくりにしてもらえるわけないだろ?」
「ま、まりさは……ゆひぃ……もともとかいゆっくりだったんだよ……ゆふぅ……」

息も絶え絶えつっかえつっかえ、ゆっくりらしく要領悪く……まりさは身の上を説明しだ
した。
まりさ曰く、元はゆっくりショップできちんとしつけを受けた飼いゆっくりだったらしい。
ところが飼い主が引っ越しすることになり、引っ越し先ではゆっくり禁止で仕方なく捨て
られたとのことだ。
飼いゆっくりの捨てられる理由と言えば、性格がゲスになったり野良ゆっくりにすっきり
ーしたりされたりが一般的だ。でも、こいつの事情は普通の捨て犬みたいだ。性格も悪く
ないようだし、おそらく嘘ではないのだろう。

「だから……やさしそうなおにいさんにせつめいすれば、かってもらえるとおもったんだ
よ……」

このまりさ、汚れの程度からすれば野良生活もそこそこ過ごしてきたようだ。ペットショ
ップでちゃんと躾を受けた上に、野良でも生き抜く強かさも備えている。なかなかの良ゆ
っくりだろう。そう考えれば、飼いゆっくりとしては悪くない。

「そうだな。お前はよくがんばった。これだけがんばったんだから、試練も合格にしても
いいだろう」
「ゆ、それじゃあ……!」
「でも俺、一人暮らしでゆっくり飼う余裕なんかないんだ。ごめんな」
「ゆ、ゆううううう!? ぞんなああああああああああ!?」

目をまん丸に広げて、絶叫するまりさ。顔面全部で……すなわち全身で絶望を表現してい
る。
まああれだけ必死になってそれがすべて無駄、ってことになったらゆっくりでなくてもそ
うなるよな。

「まあ落ち着け。俺も鬼じゃない。試練に合格したお前にはちゃんとごほうびをやる」
「ゆ、ごほうび……?」
「まず、あまあまだ」

俺はコンビニで買っておいた饅頭を地面に置く。まりさの目の前、舌では届かずひと跳ね
ですぐ来られる位置だ。

「ゆ! おまんじゅうさん! おまんじゅうさんはとってもゆっくりできるよ!」

さっきの絶望はどこにいったのか、目を輝かせるまりさ。
つづいて俺はコンビニ袋からとっておきを取り出した。

「そして、これ! 『グレートエクストリームアルティメットプラズマバッジ』だ!」
「ゆ……ぐれーとえく……ゆゆう? ば、ばっじさん?」
「ああ、バッジだ! これをつけて人間に声をかければ、誰だって飼いゆっくりにせずに
はいられないスペシャルなバッジだ!」
「ゆゆゆ! すごくゆっくりしたばっじさんなんだね!」

俺はまりさのおぼうしを取ると、バッジにつけてやった。そして、先ほど置いた饅頭のと
なりに並べてやる。

「どうだ、きれいなバッジだろう?」
「ゆゆ! とってもきれいでゆっくりしたばっじさんだよ! まりさのおぼうしさんもよ
ろこんでるよ!」
「あまあまとバッジ、全部まりさのものだ!
 さあ、好きにするといい!」
「おにいさん、ありがとう!」

まりさは見ているこっちのほうが礼を言いたくなるぐらいまぶしい笑顔を浮かべた。いや、
なんだか自分がすごくいい人になったような気がして、照れくさい。

「じゃあな、まりさ。いい飼い主見つけろよ」
「ありがとう! おにいさん! ゆっくりしていってね!」

まりさを残し、俺は足早に去った。しばらく歩き、適当な太さの木の陰に隠れる。
そしてこっそりとまりさの様子をうかがう。

「やさしいおにいさんにあえてよかったよ! あまあま! ばっじさん! ……ゆ?」

喜びに満たされていたまりさの顔が不意に曇る。

「ゆーん、ゆーん……ゆゆ? あんよさん? ゆゆ? あんよさん! どぼじでうごいて
くれないのおおおおお!?」

よし、計算通り。
おぼうしを投げるとき、まりさが砂利の上や荒いアスファルトの上を通るように誘導して
いたのだ。
大事なおぼうし。それを追いかけるのにまりさは集中していた。それこそ、通常なら気づ
くであろうあんよの痛みに気がつかないぐらいに。まりさが動けなくなっていたのは疲労
ばかりではない。あいつの底面はとっくにボロボロなのだ。

「ゆううう! まりさうごけないいいい! あんよいたいいいい! どぼじでえええええ
え!?」

どうやらはいずることもできないらしい。
普段ならひと飛びすれば届く距離にある、あまあまとバッジ付きのおぼうし。かけがえの
ない宝物を前に、まりさはもがくが、まるで動けない。

「やっぱりゆっくりはゆっくりか……」

元はゆっくりショップでしつけられた飼いゆっくりとは言え、所詮ゆっくり。おぼうしが
大切なあまり自分の重大な障害に気づかないほど愚かでは話にならない。よく野良で生き
てこられたものだ。
ちなみにまりさに与えたあのバッジ、もちろん特別なものではない。コンビニでやってた
クジの景品だ。それなりに派手な装飾だから、ゆっくりには特別なものに見えたのだろう。
それを見抜けないまぬけさも、まあゆっくりらしいとえばゆっくりらしい。

「おぼうしぃ……あまあまぁ……おぼうしぃ……あまあまぁ……」

舌をのばし念仏のように目の前の宝物につぶやきかけるまりさ。
そんな惨めなまりさをしばらく眺めていたが、だんだん楽しさより哀れさの方が強くなっ
てきた。

「やっぱりあんなバカなナマモノ、ペットにするもんじゃあないなあ……」

まあでも、暇つぶしにはなった。そう前向きに考え、俺は家へと帰ることにした。
そのときだ。
首筋に、ぽつりと冷たい感触。

「! っと、雨か……?」

降られちゃたまらない。
俺はかけだした。

「おぼうしぃ……あまあまぁ……」

雨のことなど気づかないように、まりさの呟きはずっと続いていた。


by触発あき


挿絵 by絵本あき


上記以前の過去作品一覧は下記作品に収録
ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね!



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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

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  • かわいそうだよ・・・やめたげてよぉ・・・
    とかいうコメはここではお呼びじゃないんだろうな -- 2023-03-19 01:19:30
  • むきゅ!ゆっくりできない砂利さんやゴミさんがあるところはゆっくり迂回っしておぼうしをひろうわ! む、むきゅううう!?人間さん ぱちぇがおぼうしに追い付くまではゆっくり待っててよぉぉ! -- 2014-03-12 23:25:40
  • うーむ… ゆっくりは本当に,救いようがない… -- 2014-03-12 23:20:35
  • ゲスはどうなってもいいが
    善良なのは苛めても救いがほしいなぁと
    ここまで1~全部読んできた感想。 -- 2012-08-15 01:10:37
  • 「お帽子フリスビー」として5個100円で売れるんじゃねwwww -- 2011-02-22 19:49:10
  • 名探偵コナンの犯人みたいだwww -- 2011-01-12 02:58:26
  • 絵のお兄さんのタイツ姿すごいなwww -- 2010-12-30 17:51:50
  • すっ!すっきりぃ~!!
    これめっちゃおもしれえ!!
    私はゲス人間から善良ゆっくりへの理不尽虐待も大好きです!
    しかしこのお兄さんいいですね
    ヒャッハー的な感じはなく、良識のありそうな感じなのに
    さらっと酷い、空気を吸うがごとく自然体な感じで非道を行う
    まさにナチュラルボーン鬼威山ですねw
    そしてゆ虐の内容も結末と反比例して実にキュート!
    いやあ、スタイリッシュなゆ虐ってあるもんなんですね! -- 2010-11-09 21:54:23
  • げす制裁の方がゆっくりできるのには同意。
    まぁ嗜好は各々だな…

    投げていませんでしたの「ゆがーん」にちょっと萌えたw
    来世では幸せになってね(>< -- 2010-10-11 18:39:49
  • 約束 ってのは人と人がするものだぜ? -- 2010-09-24 08:04:46
  • 「ほおら、カーブだ!」 からのやりとりと最後の「ゆがーん!」

    ちょっと萌えない?w -- 2010-09-12 17:14:01
  • ゆっくりに希望を与えて、それから絶望させたりするのがいいんじゃないか。虐めってそういうもの。 -- 2010-08-01 09:24:28
  • このお兄さんは結構酷いな
    初めから飼えないなら変なごまかしせずにただ、無理やり帽子を投げるだけでよかったのに……


    下のほうで熱くなっているコメントがあるけど、作品に対してはコメントしないのかい?
    人に文句言うのもまあお互いの価値観の違いを埋めるのに必要だろうけど、感想を書くとこなんだから
    せめて作品の感想は書こうぜ
    それにゆっくりいじめに何を求めているかは人それぞれだからなあ
    ゲスゆ制裁以外受け付けない人もいるし幸せなゆっくりほど虐めたい人もいるし
    求めるものはその人によって違うから仕方ないじゃろう -- 2010-07-23 23:57:23
  • まあ、ゲス制裁のが見ててすっとするわな、
    でも可愛い子もいじめたい。 -- 2010-07-23 22:31:14
  • お兄さんは外道。ゆっくりは馬鹿なほうが可愛い。 -- 2010-07-19 06:35:14
  • とにかくゆっくりは虐待だあーっ! -- 2010-07-07 04:43:40
  • 気持ちは分かるが… -- 2010-06-20 01:07:32
  • ↓熱くなんなよwww
    他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! -- 2010-06-04 07:59:59
  • おまえはここにあるssに何を求めてんだよ
    ここは「ゆっくりいじめss」を纏めてんだよ
    よく考えて投稿しろって言葉が読めない屑なの?

    -- 2010-03-30 05:39:47
  • 所詮ゆっくり相手との約束すら守ることもできないゆっくり以下の屑人間かぁ・・・ -- 2010-03-06 02:25:16
最終更新:2010年03月08日 20:49
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