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「はあ」
 嘆息する少女は、夜の闇の中でも一際目を引く身なりをしていた。
 一言で言うなら、華美が過ぎて目に悪い。
 左右で縛って垂らした髪にはグラデーションが掛かっており、何より目を引くのは七色に輝く頭上の光輪だろう。
 更にその背中には、頭上のそれを一回り大きくしたものが煌めいている。
「誰だか知らないけど、面倒なことしてくれるなあ」
 頭をボリボリ掻いて、心底うんざりしたような口振りで言う少女の名前は、レイン・ポゥといった。
 もちろん、本名ではない。
 "レイン・ポゥ"は彼女――三香織という人間の、魔法少女としての名前だ。
 だが名簿には香織ではなく、レイン・ポゥの方で記載されている。
 これはつまり、主催者……ドフラミンゴは彼女の魔法少女としての一面のみに注目している、というなのか。
 尤も、レイン・ポゥとしてはどちらでも構わなかったし、主催側の事情などには興味もなかった。
“五十人ちょっとか……正攻法だとしんどいな”
 彼女は狡猾な女だ。
 息を吐くように嘘をつき、笑いながら誰かを陥れる。
 悪名高い妖精と手を組んで、まだ中学生の身でありながら暗殺者として数々の魔法少女を殺害してきた。
 その彼女にとって、今更人を殺めることに躊躇などある筈がない。
 むしろ問題なのは、殺さなければならない人数だった。
 レイン・ポゥを除いて五十一人。
 他の参加者同士で勝手に殺し合って減る分を除いても、正攻法で優勝を狙うとなると少々面倒である。
「ま、それならそれで巧くやるだけなんだけどね」
 誰かの影に隠れ、無力を演じ、頃合を見て一網打尽。
 覚えのあるやり口だ。今でもきっと、問題なくこなせる。
「てか、トコの奴はどうしてんだろ。
 もしかしてあいつだけあの街に取り残されたままとか? だったら流石にご愁傷様だけど」
 レイン・ポゥは此処に連れてこられる前、とある大きな"仕事"に従事していた。
 平然としているように見える彼女だが、内心では結構な焦りと不安を抱いている。
 自分が殺されるかもしれないからではない。
 そんなことは、そもそも考えていない。
 彼女が案じているのは、ドフラミンゴのせいで途中でほっぽり出す羽目になった一件についてだ。
“後々、絶対面倒なことになるよな……”
 面倒で済めばいいが、こうなるといよいよ真剣に身の安全が危ぶまれてくる。
 レイン・ポゥですらこれほど憂鬱なのだから、彼女の相棒であるトコなどはキレ散らかしているに違いない。
「考えても仕方ないか」
 最悪、ドフラミンゴを嵌めてスケープゴートとして使うのも視野。
 その為にもまずは、殺し合いを制するという前提条件を満たさなくてはならない。
 ただでさえ異常事態なのだから、目の前の問題を一つ一つ確実に片付けていく姿勢こそが肝要だ。
 ネガティブな思考を脳内から消し去って、いざ暗躍せんと一歩を踏み出した、まさにその時だった。
 ――静寂を切り裂いて、響き渡る破裂音。
 それが耳に入った瞬間、レイン・ポゥは素早く魔法を行使。
 彼女の武器であり、盾でもある"魔法の虹"をコンマ零秒、一瞬以下の時間で出現させて迫ってくる"モノ"を防御する。
「命知らずなことで」
 虹に呆気なく弾かれ、傷一つ付けられずに地面を転がったそれは、人間社会で製造された鉛弾だ。
 こんなもので、魔法少女(じぶん)を殺そうとするとは。
 馬鹿な奴も居たものだと、レイン・ポゥは嘲りの表情を浮かべた。
 今は幸い誰も見ていない。此処は一つ、手堅くスコアを稼がせて貰うとしよう。
 レイン・ポゥの傍らから音も温度もなく、"橋"ではなく"刃"としての虹が夜闇に潜む襲撃者へと伸びていった。

 人間と魔法少女が殺し合うと聞いたなら、大抵の魔法少女は鼻で笑うことだろう。
 前提からして、勝負になる筈がないからだ。
 簡単に時速三桁の速度を出し、素手でも人間の頭くらいは簡単に握り潰せる。
 そんないわばリミッターの外れた存在と、制限だらけの人間とでは、赤子と大人が相撲を取るようなものだ。
 他ならぬレイン・ポゥ自身、そう思っていた。
 早ければ、一瞬。相手が最大までうまく立ち回ってきたとしても、三十秒は掛からない。
 そう思いながら、闇に潜む襲撃者と戦っていた――の、だったが。
“こいつ――”
 既に、戦闘開始から二分以上が経過している。
 にも関わらず、レイン・ポゥの虹は未だに襲撃者を捉えられずにいた。
 位置は分かっている。姿も既に見ている。
 ……だというのに、当たらない。
 魔法の虹は殺しの道具として極めて優れており、その有用性は誰もが認めるところだ。
 音もなく、温度もなく、殺気もなく出現する刃を向けられて、初見で対処するのは魔法少女でも難しい。
「うっざいなあ!」
 それを、襲撃者――オールバックの少年は、山林特有の木や岩といった遮蔽物を活用して悉く回避していた。
 隠れた遮蔽物が虹に切り裂かれると、お返しとばかりにマズルフラッシュが瞬いて、鉛の弾丸が虹の少女に殺到する。
 劣勢だとは、思わない。綱渡りを強いられているのはあくまであちらの方で、自分は狩る側だ。
 その認識は崩れていないが――これほど時間が掛かっている以上、手こずらされているのは確かだった。
 そしてレイン・ポゥは、戦っていて気付いたことがある。
“おかしいな……やけに身体の動きが悪い”
 体調が悪いわけではない。
 そも、魔法少女は人間の病気やアルコールによる酔いなどとは無縁の生き物だ。
 だが今、レイン・ポゥの動きは確かに悪くなっていた。
 人間並みといえば言い過ぎだが、魔法少女としてのスペックから見れば最低クラスといってもいい。
 万全だったなら、こんな奴もう三度は殺してるのに――やり場のない怒りと疑問に、レイン・ポゥは苛立ちを隠せない。
 思考は必然、人に隙を作り出す。
 それを見逃さぬとばかりに、銃弾が彼女の頭目掛けて放たれた。
「ちっ!」
 その場から飛び退いて回避しつつ、虹の橋を走らせる。
 立派な木々をバターのように切り裂きながら、山林の景観を獰猛な破壊痕で彩っていく。
 無論、単純に正面から撃ち続けているわけではない。
 レイン・ポゥはプロだ。各方面で人間の何倍も優れている魔法少女を殺し続けてきた、歴戦の暗殺者だ。
 攻撃に緩急を付けて相手の感覚を狂わせに掛かったり、遮蔽物を逆に此方も利用して攻めてみたり。
 恐るべきは、それでも未だに殺されていない、オールバックの襲撃者である。
 年頃はレイン・ポゥの見立てでは、高校生――もしかしたら中学生かもしれない。
 どちらにせよ、見た目から想像される年齢では有り得ない程熟達しているのは間違いなかった。
“――そろそろだな……”
 とはいえ、レイン・ポゥも苦戦するばかりではない。
 彼女は放つ殺し手の悉くを躱されながらも、着実に"詰め"の状況へといけ好かない襲撃者を追い込んでいた。
 恐らく、当の彼は自分が追い詰められ始めていることにすら気付いていないだろう。
 レイン・ポゥは、心中で底意地悪くほくそ笑む。
 今に至るまで戦闘が長引いている理由は、当然自分の攻撃が当たっていないからだ。
 少なくとも手応えは、これまで一度も感じていない。恐らくは、掠ってすらいまい。
 では何故、こうまで悉く躱されているのか?
 その理由は――
“遮蔽物。盾の存在”
 ……相手は、山という地形の有用性を最大限に活かしている。
 木であったり岩であったり、時には足場の悪さを逆手に取ったり。
 逆に言えばそのアドバンテージが失われた瞬間、趨勢は一気に此方に傾く筈。
 常に攻勢を保っているレイン・ポゥは今、相手が攻撃を避けるのを利用して、彼を"ある場所"へと誘導していた。
 彼女ほどの暗殺者ともなれば、攻撃に宿る危険性を微塵も落とさず、それでいてその攻撃に別な意図を含ませることすら朝飯前であった。
 では、レイン・ポゥは憎きオールバックのガンマンを何処へ追い込みたいのか?
 決まっている。遮蔽物が、"既に"消え失せている場所だ。
“人間相手にこんなやり方させられること自体、気に食わないっちゃ気に食わないんだけどね――”
 ある程度戦闘が長引いた段階で、彼女は"保険"を用意していた。
 攻撃の範囲を敢えて無意味に広げ、木と岩を徹底的に破壊した、更地の空間を即席で作り出したのだ。
 作成が終わった以上、後はそこまで敵を追い込んでやればいい。
 隠れる場所がなくて絶望した時には、もう終わりだ。
 必殺の虹は今度こそ、その身体をズタズタに切り裂いて絶命させることだろう。
“ま、調子に乗ってられるのも今の内だ”
 虹で十何度目かの発砲を弾き、虹の向こうでレイン・ポゥは一人笑う。

 ……弾が切れたのか、そこからはめっきり銃撃もなくなった。
 相手は今や武器もなく、ただ逃げるだけ。
 ――そして"襲撃者"から"獲物"へとクラスチェンジした少年は、遂に"墓場"へと追い込まれた。
 飛び込んだ先には一本の木もない。
 瞬時に嵌められたことを察知して、慌てて速度を上げたところで、もう何もかも手遅れだ。
「ま、頑張った方だよ」
 小さく呟いて、レイン・ポゥは口元を歪める。
「じゃあね、お馬鹿なガンマン気取り」
 決め台詞めいたことを口にするのは慢心の証だ。
 もう勝ったものと思っていなければ、そんな台詞は出て来ない。
 この時レイン・ポゥは、完全に自らの勝利を確信していた。
 相手には武器もなく、地の利もない。
 自分には虹という素晴らしい武器があり、衰えているとはいえ魔法少女である以上、体力でも圧倒的に勝っている。
 何をどうすれば負けるのか分からない――真実彼女はそう思っていたが、しかしそれは詮無きことだろう。
 "魔法の国"に関連する以外の非現実事項を全く知らないレイン・ポゥでは、その可能性を思い描けなかったのだ。
「っ!?」
 即ち、相手もまた"異能者"であるという可能性を。
 その時レイン・ポゥが見たのは、くるりとダンサーめいた軽やかさで身体を翻した少年の姿だった。
 それに怪訝なものを感じた次の瞬間、レイン・ポゥは感じ慣れた殺気を彼から察知。
 突如前に突き出した右手の掌から、何やら赤いものが見えた所で、彼女は漸く相手が"ただの人間"ではないと理解した。
「な――」
 炎だ。
 人間一人程度ならば、軽く炭に出来てしまう程の苛烈な炎。
 それが突如として少年の手から激流のように噴き出し、後は最後の一手を詰めるだけだった筈のレイン・ポゥを襲った。
 しかしそこは、数多の魔法少女を屠ってきた恐るべき魔法の虹。
 炎が自身に接触するよりも先に虹を自分の前方へ貼り、すんでのところで炎をどうにか防ぐことに成功する。
“こいつ……何者!?”
 少なくとも魔法少女ではない。では"魔法使い"かとも思ったが、そういう風にも見えなかった。
 そして敵が"少し頭が良い、ただの人間"でないことが割れた以上、此処からは逆に"狩られる"危険が浮上してくる。
 恐らく彼は、途中でレイン・ポゥの狙いに気付いたのだろう。
 その上で、それを逆手に取ろうと考え、実行したのだ。
 勝利を確信した敵手を、不意の隠し玉で瞬殺する。
 レイン・ポゥ自身も何度か使ったことのある手だからこそ、余計に腹立たしいものがあった。
 苛立ちに歯噛みしながら、虹の橋を散弾銃もかくやの勢いで連射する。
 それを少年は、炎をブースター代わりにして真横に大きく飛ぶことで回避した。
 勿論レイン・ポゥも、そのくらいは織り込み済みで事前にそちらへ向けても虹を配置してある。
 だが今度の虹は、遮蔽物も異能も用いず、素の身のこなしだけで躱されてしまった。
 流石に目を見張るレイン・ポゥとは裏腹に、貼り付けたような仏頂面の少年。
 その口元が、動いた。何を言っているのかは聞き取れなかったが、少なくともレイン・ポゥにはこう見えた。
 "もう覚えた"と。

 さしものレイン・ポゥも思わず怖気を感じた次の瞬間、爆裂、と言ってもいいような勢いで炎が膨れ上がった。
 対処しなければ呑み込まれる――必然レイン・ポゥは、虹を防御用に展開することを強いられてしまう。
 少年の能力の最も恐るべき点は、炎を操るというシンプル故に強力な性質だった。
 威力が高いことは言わずもがな、攻撃範囲も決して狭くない。
 このように、点ではなく面で炎を放たれてしまえば、レイン・ポゥは高確率で虹の防壁を貼らねばならなくなる。
 ――時には、視界すらも犠牲にして。
“あ、やば――”
 レイン・ポゥが虹を消した時、少年の姿は元あった場所から消えていた。
 何が起きたのかを瞬時に悟る彼女の懐に、真横から表情のない殺人者が飛び込んでくる。
 思考が空白に染まりかけるのをどうにか防ぎつつ、最善手は防御だと判断するレイン・ポゥ。
 この間合いで炎を放たれたなら、回避は最早不可能だ。
 となると、ほとんどノーモーションから防御を展開できる彼女の魔法が活きてくる。
 それで上手く防いで、返しで近距離を良いことに数に任せた全力の殺し手を叩き込む。
 刹那の内にそう思考して行動したレイン・ポゥだったが――結論から言えば、これが彼女の敗北を決定付けた。
 予想した通りに、再び炸裂する炎。
 読み通りだ。
 熱波が止むのと同時に虹を消し、さあ此方の番だと思った――その瞬間。
「ご――!?」
 魔法少女の腹部に、鋭く重い掌底が打ち込まれた。
 銃から炎への切り替えに翻弄された彼女を嘲るように、少年は此処で"第三の武器"の封を解いたのだ。
 三番目の武器は、彼自身。
 かつて彼が、とある武術に秀でたクラスメイトから"見取った"拳。
 それは魔法少女ですら反応しきれない程の絶速で間合いを詰め、虹の暗殺者の腹を打ち抜いた。
“くそ、何でも有りかよ、こいつ……ッ”
 無念と胃液が逆流する感覚に顔を歪めながら、魔法少女はノーバウンドで跳ね飛ばされ、遠くの樹木へと叩き付けられ……とうとう、その意識を手放した。

「……」
 口から胃液と血を流して気をやった"虹使い"の姿は、いつの間にかごくごく普通の少女のそれに変わっていた。
 気絶したことにより、魔法少女の変身が解けたのだ。
 レイン・ポゥから、三香織へ。
 こうなってしまえば、天下無双の魔法少女もただのか弱い子供に等しい。
 それでも"炎使い"……桐山和雄は、不用意に彼女に近付こうとはしなかった。
 彼女の頭脳は、実際に戦ってみてよく分かった。
 純粋に頭が良いのも確かだが、それ以上に彼女は狡賢い。
 今の彼女は完全に気絶しているのだったが、魔法少女についての知識を持たない桐山にしてみれば、警戒は尤もだ。
 不用意に近付いて、笑いながら虹で貫かれる……なんて可能性も絶無ではないのだから。
 ではどうするか? 簡単である。触れずに、遠くから殺せばいいのだ。
「……」
 ――これから年下の少女を殺すとは思えない落ち着き払った表情で、桐山は右手を前へと突き出した。

 桐山和雄に支給された品物の中で、武器と呼べる物は自動拳銃が一丁のみだった。
 もう一つはどう見ても武器ではなく、戦いには応用できなそうな品。
 そして残された最後の一つは、しばしば天才と呼ばれる彼をしても理解の追い付かない代物であった。
 曰く――"悪魔の実"。食べた物にカナヅチになる呪いを与える代わりに、異能の力を授ける果実。
 桐山に支給されたのは、その中でも攻性に極めて優れた"メラメラの実"。
 彼は知らないことだが、悪魔の実が実際に存在する世界では、これを食べた男は大海賊として世界に名を馳せるまでに至った。
 説明を読み、その概要を理解した桐山は……特に躊躇うこともなく、それを口にした。
 味は最悪の一言に尽きたものの、対価として得られた力はご覧の通りだ。
 此処に来る前の"プログラム"で使っていたイングラム銃など、悪魔の実の能力に比べれば型遅れもいいところだ。
 まして、能力を手にした人間は怪物――神の子と称する者さえあったという、正真正銘の規格外である。
 レイン・ポゥとは別の意味で、桐山和雄には人を殺すことへの躊躇がない。
 一度殺し合いに乗ると決めた彼は、真実殺戮マシーンと呼ぶべき脅威に他ならなかった。
 少女を焼き払う為、その掌に炎が渦を巻く。
 最後まで無感動な顔のまま、いざ虹の魔法少女"だった"中学生を消し炭にせんとして……

「『スタープラチナ・ザ・ワールド』」

 声が響いた。
 男の声だ。
 桐山の声ではない。
 それに反応する間もなく桐山の身体は無数の打撃に弾かれて、先程レイン・ポゥがそうなったように、ノーバウンドで彼方の方へと吹き飛ばされた。
 普通なら、意識を飛ばされて然るべきダメージ。
 しかし生憎と、桐山は普通ではない。
 自身が先程まで居た、つまり今は自分を襲った何某かが居る筈の場所へと、波のような業火を放つ。
 そして――炎が晴れた時、そこには誰の姿もなかった。死体も、炭も、三香織の姿もない。

「……」
 逃げられたか。
 桐山は苦渋を顔に出すでもなく、立ち上がって淡々と埃を払い、鼻と口から垂れた血を服の袖で拭って歩き出した。
 悪魔の実の力を手にしても、彼は何も変わらない。
 殺すと決めたなら、最後まで殺し続けるだけだ。
 男も、女も、子供も、老人も。
 それが殺し合いの参加者であるならば、桐山は全てを等しく塵のように殺すだろう。


【一日目 深夜】
【G-7 裏山】

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]全身にダメージ(中)、疲労(小)
[装備]H&K HK4@現実
[支給品]基本支給品一式、ランダム支給品1(確認済、武器ではない)
[思考・行動]
基本:皆殺し。
 0.参加者を殺す。
 1."能力者"には注意。
[備考]
※杉村殺害後からの参戦です。
※メラメラの実を食べました。炎を操れる代わりに、今後一切泳ぐことが出来ません。
 また、自然系としての性質(攻撃透過など)は制限で消えています。

    ◇

「やれやれ……アヴドゥルの奴を思い出す能力だな」
 口から血を流して気絶している少女を背負いながら、夜の山を進む男の名を、空条承太郎といった。
 最早達成されるのが確定的だった桐山によるレイン・ポゥの殺害に、彼は自身のスタンド能力を用いて介入。
 桐山を殴り飛ばして一時的に無力化し、その傍らで素早く彼女を助けることに成功したのだった。
 承太郎のスタンド能力は、"時を止める"能力だ。
 無比のパワーとスピードを以って繰り出される事実上回避不能の拳は、これまで数多の敵を打ち砕いてきた。
 あの場で再起不能までぶちのめしても承太郎としては一向に構わなかったが、そうしなかったのには理由がある。
 承太郎はレイン・ポゥと桐山の戦闘は最後の方を少し見ただけだが、桐山の能力はそれでも恐るべきものと分かった。
 単純故に目立った弱点のない力。
 桐山自身の醸す異様な雰囲気も相俟って、承太郎は、彼を倒すには気絶した少女を抱えながらでは不可能だと判断した。
 となれば、後は逃げるだけだ。追ってきたなら、その時はその時でまた考えればいい。
「にしても、こいつの目が覚めたら聞かなくちゃあいけねえな……」
 承太郎が見た限りでは虹の少女もまた、炎使いの少年を完全に殺すつもりで攻撃していた。
 助けたはいいが、今自分が背負っている少女が殺し合いに乗っている可能性も十分にあるのだ。
 目覚め次第、その辺を根掘り葉掘り聞かせて貰う必要があるだろう。
 そしてそれが済んだなら、また速やかに動き始めなければならない。
 承太郎には、悠長なことをしていられない理由があった。
“DIO……”
 名簿に刻まれていたかつて滅ぼした宿敵の名を見付けた時、承太郎は愕然として名簿を取り落とした。
 有り得ない。DIOは確かに不死に限りなく近い存在だったが、確かに自分の手で討ち倒し、灰と帰してやった筈だ。
 誰よりもそのことをはっきり認識しているのに、承太郎は主催のハッタリだとか、そういう風には考えられなかった。
 首筋の星のアザが伝えてくる。奴は、確かにこの会場に居るのだと。
「もし本当にてめーなら……首を洗って待ってるんだな。
 今度こそこのおれが、てめーを二度と蘇らねえよう、徹底的にブチのめしてやるからよ」
 とはいえ、問題はDIOのみではない。
 吉良吉影――杜王町に潜む恐るべき殺人鬼の名も、名簿には記されていた。
 此方についても対処し、打ち倒しておく必要がある。
 山積みの問題に辟易しながらも、力強く、星の白金を宿す男は地面を踏み締めるのだった。


【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]時間停止使用による疲労(極小)
[装備]なし
[支給品]基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済、武器あり)
[思考・行動]
基本:殺し合いを止める。
 0.虹使い(レイン・ポゥ)を連れて安全な場所に逃れる。その後、彼女から話を聞く。
 1.DIOを倒す。
 2.仗助達とも出来れば合流しておきたい。
 3.DIO打倒が最優先だが、吉良吉影についても見つけ次第撃破する。
[備考]
※第四部、吉良吉影との一度目の戦闘直後からの参戦です。
※制限で、時間停止を行った場合の疲労が増加しています。

【レイン・ポゥ@魔法少女育成計画シリーズ】
[状態]疲労(小)、腹部にダメージ(中)、気絶、変身解除
[装備]なし
[支給品]基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本:優勝する。その為に素性を隠しつつ巧く立ち回る。
 0:………。
 1:トコは結局居るの? 居ないの?
 2:たっちゃん(ポスタリィ)と進んで合流する気はないが、もし合流出来たなら利用する。
[備考]
※少なくとも中学校組が魔法少女に変身して以降からの参戦です。
※制限で、魔法少女としての身体能力がある程度劣化しています。

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最終更新:2017年02月27日 21:26