第7話

(村にて)



「あんたたち、よそ者だな」

「ああ、なんだかピリピリしてる気がするんだが何かあったのか?」

「何がって、人が一人殺されているんだ。当たり前だろ」

 そういうと男はどこかに行った。



「王都から帰ってくる途中でやられたらしいな」

「仕方ないよ。真夜中で見えなかったんでしょ」

「やっぱり、村から出ない方が平和だな」

 二人の男女はそんなことを話していた。



「なあ、訊きたいことがあるんだが」

「珍しいな。他のところから来たのか」

「ああ。なんだかあったみたいだが、ここらで何があったんだ?」

「数日前に王都から帰ってきた奴がいてな。そいつが殺されたんだ」

「どんな人だったんだ?」

「世界論とか何とか言うのを勉強していたとか聞いたな」

「そうか。ありがとう」

 老人にお礼をいうと俺たちは離れていった。





 ある程度情報を集めると、人のいない家の裏に来た。

「ここに来るまでに人が殺されているようだな」

「だから俺たちは容疑者として捕まったのか」

「じゃあその犯人を捕まえれば疑いは晴れますよね」

「そうはいっても俺たちは牢から逃げてるから、疑いはより増してるだろうな」

「でも、俺たちのことを村の人たちは知らなかったらしいし、たぶん内密に犯人を捜しているんじゃないか?」

「ありえるな。となるとあまり目立つような行動はとれないな」

 ヘルメスがいったと同時に声が聞こえてきた。

「どこにいった?」

「あいつらがやったんじゃないか?だったら」

「探せ!見つけ次第ひっ捕らえろ!」

 表が騒ぎ出した。このままだと捕まるのも早いかもしれない。

「どうする、たぶん村の全員が捕まえにくるぞ」

「とはいっても隠れる所が…」

「……こっちに来てください」

 小声のする方をみると、

「早く、こっちへ」

 見たことのない男の子が手招きをしている。

「どうする?」

 ヘルメスが訊ねる。しかしその声も人の居る方から聞こえてくる音の集まりで聞こえづらい。選択肢はない。

「行こう」

 ここは彼に付いていくしかないだろう。



(村長宅・レーテの部屋)



 男の子についていくと俺たちは自分たちの捕まっていたある家に招かれた。

「もう大丈夫です」

「ここは君の家か?」

「いいえ。この家の主人は死んでいます」

「それはこの村で騒がれている人が殺されたって話か」

「はい。僕はあなたたちがその犯人でないことはわかっていますから安心してください。」「君はなんで俺たちを助けてくれたんだ?」

「僕はレーテ。この村の村長の子です。ヘスティの従兄にあたります。あなたたちは地下の牢で捕まっていた人ですよね」

「ああ。特になにもしていないのにな」

「レーテくんはなんで私たちのことを知っているんですか?面識はないはずですが」

「ヘスティから聞きました。彼女もあなたたちが人殺しじゃないと言っていました」

「へえ。あいつがそんな風に」

「僕はあなたたちにお願いがあってここに連れてきました」

「お願い?なんだ?」

「お願いしたいのです。ヘスティのことを」

「どういう意味だ?それ」

「ヘスティをあなたたちの旅に連れて行ってください。初対面でいうことではないことはわかっています。でも、これが彼女のためになると思うのです。お願いします、彼女を」

 レーテが頭を下げる。

「なんでヘスティが旅に出ることが彼女のためになるんだ?」

「理由は……」

最終更新:2014年07月03日 17:07