※エンゼルギア2ndのネタバレを含むため、キャンペーン未プレイ者はプレイしてから読むことを強くオススメします
色々と変化があったため、1度整理してみよう。
PC1 ボルシチ・パルマコン(14・女)ギアドラ/シンガー
セラピア・パルマコンの娘。
天使に支配された未来の世界で生まれ、母セラピアと共に幼い頃から監禁状態にあった。
母の死後突如現れた仮面の男、流月と謎のホムンクルス、クベルタにより過去に戻って母を救うことになるが、時間移動の際に記憶を失っていた。
記憶喪失の間の発言は黒歴史。
ナビゲーターがクベルタに変更されている。なおクベルタが聖霊+3だしオーギュメントも強いしついに大いなる楽の音が解禁されたしでやばい。
PC2 丹栄為真(にえいま)(14・男)ギアドラ/サムライ
天使化した姉、丹栄未来を継ぎ、天使を倒すために戦う少年。
パートナーの雛子しか知らないことだが、かつてのショックにより人間の顔が天使に、天使の顔が姉に見える呪いにかかっている。
もっとも、最近は折り合いをつけられているようだ。
姉の黒い天使核が使われたらしいエンゲルランツェを姉の形見のように扱い、日々の出来事を報告している。
パーティーの最大火力。勇気の歌n倍乗せ+奇襲のコンボは色々突っ込めば一撃500点すら射程圏。
PC3 月代祝(つきしろはふり)(14・男)ギアドラ/ミーディアム
神社で暮らす一般人だったが、トゥアレタと体が入れ替わり強制的に戦うことになった少年。
実は幼少期をとある施設で過ごし、トゥアレタとも面識があった。
トゥアレタの真実を知った後は、彼女に《サラ》という新たな名前を授け、サラの元のパートナーであるツバサと3人で戦うことになる。
しかし、どうやら祝には更なる事情があるようで……?
PC4 カナン=ハーリ(12・女)ツィヴィール/ホムンクルス
研究者の母親、ラムダと共に統一帝国から亡命してきた少女。
基地の食堂でお手伝いをしていたが、ひょんなことからナビゲーターとしての訓練を積むことになる。
しかし八丈島での戦いで瀕死の重傷を負い、母親の手でホムンクルスとして蘇る。
その際に黒い天使核を埋め込まれ、今度はギアドライバーとして戦いに参加する予定だったが……。
データ的には、3話終了後それまでの経験点を投げ捨てて新たなキャラクターとして作成されている。
まるでかみ合わない2クラスの能力値を補うため、3話の経験点は《実験体》などの基本能力値の上昇に使われている。
なお《一緒にお弁当》は消えた。
クリスにセラピアが連れ去られてから一週間。
天使の動きも無く、仮初めの平和を享受していた瑞穂基地。
しかし、眠っていたボルシチが目を覚ますとき、再び物語は動き出す。
エンゼルギア天使大戦TRPGキャンペーン
第4話「ディアマイフューチャー」
PC1 カナン 【ミライ からの 誘惑】
八丈島での戦いで負傷したカナンは、母ラムダの手で、ホムンクルスとしてよみがえる。
その際、黒い天使核を埋め込まれたが、ギアドライバーとしての才能は発現しない。
母の期待に応えられず、失意に沈むカナンだったが、そんな彼女に一人の少女が声をかける。
少女の名は、ミライ。
PC2 為真 【過去 からの 対峙】
八丈島で重傷を負いながらも、ホムンクルスとしてよみがえったカナン。
天使との戦いの中で、彼女は一機のメンシェン・イェーガーを起動する。
アペルギア、為真の姉である未来の命を奪った、忌まわしき機体。
2年前の出来事と、決着をつける時が来た。
PC3 祝 【ツバサ からの 気まずさ】
天野ツバサは、フリューゲル・ズィーガーに恋をしている。
ひょんなことからその事実に気付いてしまった君は、事態が一筋縄ではないと悟る。
ズィーガーと、その元恋人アクシアのただれた関係である。
君は思った――この話、円盤特典でよくない?
PC4 ボルシチ 【クベルタ からの 親愛】
君は未来人だ。
天使大戦が合衆国の勝利に終わった未来、法王の娘として軟禁されていたセラピアの娘として生を受けた君は、そんな未来を変えるため、クベルタと共に、1999年のヤシマに降り立ったのだった。
全てを思い出した君は、ちょっと様子のおかしいクベルタと共に、再スタートを切る。
カナン:なんか一人だけおかしくないですかね。
GM:いやみんなおかしい。
GM:次のシーンですが、尺の都合でミドル戦闘がカットされるシーンです。
祝:草。
GM:ちなみに再確認なんだけど、未来の事件があった後でカナンが亡命してきたんだよね。
カナン:そうですね。だからラムダは直接はその事件を知らないはずです。
●この数日何してる?
為真:真面目に訓練。ミドル戦闘で活躍できるように! なおカット。
ボルシチ:真面目に訓練、なおクベルタがどじる。
祝:円盤特典収録w
カナン:??? (ミライのことは伝えていない)
ボルシチ、そしてカナンの復帰から少し。
久々に、瑞穂基地にホイシュレッケの襲来を知らせるアラームが鳴った。
ブリーフィングルームに主要メンバーが集合する。……カナンを除いて。
祝:長らく来てなかったような気もするけど。半年…? 三か月…?
為真:それだけ訓練したw
流月:「天使の反応だ。例によって帝都方面から近づいている」
祝:『何匹出てこようが今さら天使!』w
サラ:「相手がホイシュレッケでも気を抜かないように」
祝:おっそうだな。いかなきゃな。
サラ:「ところであんたたち妙に疲れてる気がするけど何かあったの?」
祝:「なんもないよなんも」
ツバサ:「なんもないよなんも」
カナン:もう事件が終わっとるやんけ!
祝:円盤にご期待くださいw
ボルシチ:「クベルタ、初めての実戦だけど大丈夫?」とお姉さん面。
クベルタ:「お任せくださいご主人様! 卓が始まってから1年と少し、私の本当の力を見せるとき!」
ボルシチ:「そ、そう。……楽しみに、してるね」w
クベルタ:「ちなみに私の能力値修正は聖霊+3です! お役に立てること間違いなし!」
為真:くれw
「ちゃんと訓練していたんだ、行ける。雛子も行けるね?」
「はい……!」
為真は機体の武装、エンゲルランツェに手を当てる。
「僕がまずやることは、姉さんが守ろうとしたヤシマの人たちを守ることだ。また一緒に戦って下さい」
姉の天使核が使われているというエンゲルランツェ。
為真にとっての形見のそれは、心なしか冷たく感じられた。
それはそうと戦闘はカット。
● ● ●
一方そのころ基地では、桂・リュンマペアが待機していた。
「桂先輩、毎回お留守番ってつらいですね」
なお、これがリュンマのキャンペーン初台詞である。
「そんなことを言うもんじゃないわ。生きていられることが何より重要なことだし」
その時、プシナから2人に通信が入る。
「大変です! 別のホイシュレッケが向かってきます!」
「え……! 陽動!?」
「そのための私たちよ。皆が戻ってくるまでなんとしても食い止めるわよ!」
同時刻、格納庫。
「カナン」
「うん、わかってる」
「天使が来たわ」
「私が……みんなの助けになるんだ」
「今のあなたにはそのための力がある。この機体、アペルギアがあれば」
アペルギアはカナンの思いに応えるように、起動を始める。
「私たちの、いやあなたの初陣よ」
「これが私の……力!」
アペルギアはそれを拘束している鎖を引きちぎり、一気に上昇。天井に大穴を開けながら飛び立った。
リュンマ:「だめです桂さん、もう弾がありません!」
祝:やっぱりなw
桂:「やっぱり1機だけでは……!」
プシナ:「今皆さんが向かっています、なんとか耐えてください!」
流月:「私の采配ミスだ……! 範囲殲滅はボルシチ機だけあればよかったのに」
為真:事実だけどさw
リュンマ:「もうだめだー!」
カナン:じゃあその瞬間、横から銃弾が飛んできて、ホイシュレッケの頭を1発で吹き飛ばす。
GM:それはもう完璧な狙いで頭を吹っ飛ばせましたw
桂:「うそ、あの機体は……? 見たことない……!」
カナン:さらに狙いを定めて一撃。今度は3体ぐらいいっぺんにぶっとばす。
ミライ:「すごいわカナン、それがあなたの力よ。シュネルギアに引けを取らない、いやそれ以上の戦いができている!」
カナン:「まだだよ。まだ敵は残ってる。私が、全部倒す!」
「戦闘が……終わってる?」
プシナからの連絡を受けた他の機体が現場に到着する頃には、100を超えるホイシュレッケが全て倒されていた。
為真は警戒しながら、戦闘の中心地へと距離を詰める。
「もしかしたらまたクリスのシュネルギアかもしれない。全員気を付け…て……」
為真:「あれは……あの機体は!」
雛子:「為真さん? どうしたんですか」
サラ:「あの機体……」
祝:「知っているのかサラ!」w
サラ:「知っていなくてもわかるわ。あの機体の形、コックピットが明らかに1人用のもの。つまり……!」
為真:「あれは、姉さんのギアだ……!」
「みんな、見ててくれた?」
目の前のアペルギアから、声が聞こえる。
ブリーフィング時からいなかった少女、カナンの声だ。
「私戦えるよ!」
為真:「カナン? そのギア、どうして君が……どうして君が姉さんのギアに乗ってるんだ!」
カナン:それは……答えずに背を向けて去っていくかな。
為真:「待つんだ! 答えろよ!」
クベルタ:「あれ、確かアペルギアですよね。シュネルギアの前世代の。私の活躍の機会がなくなってしまいました」
ボルシチ:「ええと……もう少し到着が早ければ クベルタは十分活躍したよ。よくわかんないけど、おいかけようか」
クベルタ:「私の活躍を認めてくださるなんて! いやしかしおんぼろも侮ったものじゃないですね。もちろん私は最新鋭も最新鋭、未来のホムンクルスですけれど!」
祝:煽りか?w
流月:「あの機体はなんだ? まあいいか」
為真:おい!w
祝:知らないわけないだろ!w
GM:いや知ってるよそりゃ、そういう意味で言ったんじゃないw
流月:「実験のために引き上げたと聞いていた。あのオンボロ、動くはずもないのだが……いや現に動いているが」
為真:通信に乗ってんだよなあ! 「どういうことですか! 」
流月:「ラムダ女史が実験のために必要だからと八丈島に回収に行った機体だな。とにかくかえって確認するとしよう」
為真:「姉さんの機体を実験に……?」
流月:「そうか、配慮の無い発言だったな。すまない。君の姉は……あんなことになってしまったんだったな」
為真:「……いえ」
為真と流月が会話している間に、カナンは基地へと帰ってきていた。
大穴を開けた天井から旧格納庫へと降り立つ。アペルギアから降りると、目の前には満面の笑みを浮かべたラムダの姿があった。
「すごいじゃない、カナン!」
ラムダ:「さすがは私の娘! お母さんの自慢の娘だわ。シュネルギアの適性が出なかったときは一瞬あせっちゃったけど、まさかあなたがこの機体をこれほどまで動かせるなんて」
カナン:微笑みで返す。「見ててくれた?」
ラムダ:「もちろんよ! この出力、そこらのシュネルギアを優に上回る!」
カナン:「私が狙いをつけて銃を撃つと天使がいっぺんに吹き飛ぶの。狙いは外れないし、天使は私に反応もできてなかった! 私戦えるよ。そのための力をもらったんだ!」
ラムダはカナンを抱きしめる。
涙の出ないカナンだが、感極まったようにうなずいていた。
ラムダ:「これなら合衆国の天使にだってまけない。あなたが皆を守る希望になるの!」
カナン:「うん、うん」
GM:いやあ、感動のシーンですよ。
ボルシチ:うん……w
為真:その辺りで荒々しくエントリー。「カナン! ラムダさん! あの機体……姉さんの機体はどうして? あなたの実験のためって流月少将が言ってた」
ラムダ:「そうよ、あの機体は実験のために八丈島から持ってきた。でもそんなこと今はいいじゃない!」
為真:「そんなことだって……!?」
ラムダ:「カナンの初出撃だったのよ! もちろん皆も疲れてると思うし、今はゆっくり休みましょうよ!」
為真:「ふざけるな! あの機体は、姉さんの機体で……あの機体のせいで。そんなもの今さら持ち出して!」
為真は怒りを露わにする。
しかしそこをカナンが遮った。
カナン:「違うよ、為真さん!これは私が戦うための力なの!」
ラムダ:「もちろんあなたのお姉さんの身に起きたことは知っているし、断りもなく持ってきたことは謝るわ。でも少なくとも、2人は助かった。今はそれでよしとしてくれないかしら」
為真:うっ、正論には黙っちゃう。
ラムダ:「カナン、疲れたでしょ? おいしいお茶でも飲みましょう」
カナン:ちょっと驚いて、でも「うん!」と笑顔でラムダへついていく。
為真:「どうして……姉さん。僕はどうすればいいんだ……」
GM:いやあ、親子関係を修復出来て本当に良かった。
祝:そうですねw
クベルタ:「親子の関係はいいですねえ。さぞお幸せでしょう」w
GM:さて次、祝の家政婦は見たシーンです。
祝:どういうことなの。
祝がツバサと歩いていると、怒気をはらんだアクシアの声が聞こえてきた。
祝:修羅場かな?
ツバサ:「またあの女か……」
カナン:キャラおかしくない?w
祝:「関わんない方がいいでしょ、あのアクシアさんが怒るなんて」
ツバサ:「そう、あのアクシアよ。ことあるごとにあの人を引きずって」
祝:完全に戦闘モードだ。「そういうのよくないよなわかるわかる。わかるから抑えて」
2人は結局ドアの隙間から覗き見をする。
そこには机に向かうラムダにキレるアクシアがいた。
為真:そりゃキレるよ。
ラムダ:「何って? なんのことかしら」
アクシア:「あなたが知らないわけじゃないでしょ。あのアペルギアが何をした機体か。2年前のあの日、為真の姉の未来ちゃんはあの機体で天使化して……それを、それを私が……!」
祝:それを聞いて祝に電流走る!
2年前の事件→アクシア、為真とうまくいかない→ズィーガーに泣きつく→ツバサの顔が曇る
祝:全ての原因は2年前にあった!?
ラムダ:「それが何か? 確かに私の来る前の事件について報告書は目を通しているわ。でもそんな理由で貴重な資源を寝かせたままなんて」
アクシア:「そんな理由……!?」
ラムダ:「人類の未来をかけた戦争なのよ。勝つために仕えるものはなんでも使わなきゃいけない。個人の感情で戦ってる場合じゃないのよ」
為真:正論と助けた実績があるのでラムダ強いんだよ。
GM:でもここで負けるアクシアさんは見たくない。
「それはそうかもしれないけど……いえそもそもあなた、カナンちゃんに何をしたの!?」
アクシアは食い下がる。
「確かにあの機体は引き上げた。でもこの1週間あなたはカナンちゃんに付きっ切りで、機体を触る時間なんてなかったはず。
なのにさっきの戦闘はなに? 私の知る限りアペルギアにあんな戦闘力はない。出力の安定性もシュネルギアに大きく劣るのになぜあんな動きができたの!?」
祝:そろそろ乱入するか。うっかり音を立ててしまう。
アクシア:「誰!?」
祝:「……ツバサはここにいろ」と小声で言って、両手を上げて出ていく。「いや、悪気はなかったんです。珍しくアクシアさんが声を荒げてたからつい……」
アクシア:「今の話、聞いてたのね」
祝:「さっきのアペルギアって機体、いまのお姉さんが天使化したってやつですよね。じゃあそれに乗っているカナンは大丈夫なんですか?」
GM:アクシアは同意する目をラムダに向ける。
ラムダ:「当時私はこの基地にいなかったから詳しい話を聞かれても困るのだけど。天使化除去が住んで八丈島に置かれてたし、人体に直ちに影響はないわ」
祝:「俺はアペルギアは知らないけど、シュネルギアが2人乗りなのが安全性のためってのは知ってます」
ラムダ:「そうね。……でもね」
ラムダは笑いを抑えきれない顔で続ける。
「あのアペルギアは大丈夫。なぜなら、カナンの体にはあのアペルギアから抽出した似栄未来の黒い天使核を埋め込んであるのだから」
アクシア:「あなた、何てことをしたの!」
ラムダ:「戦争に勝つためよ。当たり前でしょう? 1度天使化したあの機体から精製された黒い天使核、当然シンクロ率は高い。天使化のリスクなど無いも同然」
アクシア:「この……!」
ズィーガー:「待てアクシア、抑えるんだ」
どこからともなく現れたズィーガーがアクシアを止める。
ズィーガーはラムダに悲しい目を向けるが何も言わず、そのままアクシアの手を引き部屋を出て行った。
ラムダ:「まだ私に用がある? 無ければ仕事に戻りたいのだけど」
祝:「……人の気持ちを考えたことあるんですか」
ラムダ:「当然よ、機体の安定のためには知っていなくちゃならないもの」
祝:……出ていく。
GM:部屋の外でツバサが死んでます。
祝:もうだめだw 「いいかツバサ、アクシアさんがズィーガーを頼るのも全部この事件のせいなんだ! 解決すればワンチャンある」
ツバサ:「つまり……解決すればあの女がズィーガーから離れ、あたしのものになる」
祝:もういいよそれでw 「これは……みんなが乗り越えなければいけない問題なんだ」と空を見つめる。
ボルシチは食堂でボルシチをよそいながらクベルタと会話していた。
クベルタ:「この前のアペルギアすごかったですねえ」
ボルシチ:「カナンちゃん大丈夫なのかな」
クベルタ:「うーん。あんなのおよそ人が使える技術じゃないと思うんですけど。まあホムンクルスですからねー。
だって見ました? 何をしたって成功数20出てたじゃないですか。まるで奇跡ですよ」
ボルシチ:メタいw
クベルタ:「あんな力があるなら、ヤシマがこの戦争に負けるなんてこと心配しなくても大丈夫そうですよね」
GM:具体的には、《奇跡》《神罰》《疾風怒濤》って感じで。
為真:範囲化は?
GM:エネミー特技かなw
クベルタ:「あの時見たラムダさん、優しい感じでしたね」
ボルシチ:「お母さん、か……」
クベルタ:「セラピアさんもきっと取り返せます!」
ボルシチ:「そう、だね。ありがとう」
ボルシチは改めて、自身の生い立ちを話した直後、カナンが目覚めた時のことを思い出す。
ボルシチ:「なんだろう、カナンちゃんとラムダさんが八丈島から何か変わったというか……」
クベルタ:「あ、そういえば。カナンちゃんってもしかしてホムンクルスじゃなかったんですか!?」
ボルシチ:「そうだよ。2人は親子だし。ただ八丈島の時に……」
クベルタ:「もしかして復活する前は人間だったんですか?」
ボルシチ:「うん、そうなんだよ。……クベルタは?」
クベルタ:「私はそんなことありません。というか、ホムンクルスの成り立ちからして本来そんなことないはずなんです」
GMから、ルールブックに書かれているホムンクルスについての説明が読み上げられる。
ホムンクルスとはすなわち完全機械化兵、戦闘のためだけの存在。
「要するに、ホムンクルスって普通人間じゃないんですよ。カナンさんの例はすごくまれですね。
八丈島での戦いでよほどよほどひどい状態だったんですね。脳みそぐらいしか残っていなかったんでしょうか」
クベルタ:「あ、でも私の体のほとんどは作りものですが、ある人から託された大切な黒い天使核が宿っています。だからこそボルシチがすすれるってものです」
ボルシチ:「私は、ちょっと食欲がなくなってしまった……。でも、いろいろ話してくれてありがとう」
クベルタ:「光栄ですよ、たはー」
ボルシチ:「ほとんど体が機械でも……クベルタは私の大事なパートナーだから。……お母さんを助け出そうね」
クベルタ:「ご主人様にほめていただけるなんて嬉しいです。ずずーっ」
クベルタの顔は妙に寂しそうに見えた。
● ● ●
今後についての説明のため、ギアドライバー達はブリーフィングルームに集められた。
「今後しばらく、ホイシュレッケ級の天使についてはカナンに一任する」
流月:「理由は主に3つ。あのギアが強力な範囲殲滅能力を持つこと、カナン本人は戦いに慣れているわけではないため、大型の天使とは戦わせにくいこと、そしてぶっちゃけデータ取りのためだ」
祝:一任ってどうかと思うけど流月少将が言うからなーw
カナン:「は、はい! 任せてください!」
流月:「もちろん完全に任せきりにするわけではない。サポート兼万一の事態の対応役として、シュネルギアに交代で出てもらう」
ラムダ:「カナン、あなたならできるわよね?」
カナン:頷いて帰す。
GM:じゃあですね、軽快なBGMをイメージしていただいて。
――そして、カナンの戦いの日々が始まった。
ホイシュレッケが出現すると、カナンの乗るアペルギアは毎回出撃し、瞬く間に敵を殲滅する。
カナンとアペルギアはとてつもなく高いシンクロ率を誇り、戦っていてもアガペーが上昇しない。
カナンの体力も、ホムンクルス化した現在ではほとんど無尽蔵となっていた。
祝:「大丈夫?」
カナン:「見ての通り、平気へっちゃらです!」
ツバサ:「いやー、カナンがあれだけ強くなるとすっかり俺様ちゃんたちもお払い箱だぜ」
祝:「アクシアさんのメンタルがやばそう」
サラ:「メンタル?」
祝:「いやこっちの話、大事なんだよアクシアさんのメンタル。……実際裏はありそうだけどよくわからんし不調は起きてないし。見守るしかないか」
カナン:「細かいものも、だんだんつかめるようになってきたんですよ」
機体の中では、ミライが待っている。
カナンは、ミライのことは誰にも話していない。
ミライ:「カナン、どんどんうまくなってるわ」
カナン:「ミライさんのアドバイスのおかげだよ」
ミライ:「あなたの力よ」
カナン:「えへ。いい師匠をもてて私は幸せです!」
基地に帰ればラムダが出迎える。
機体と自身の体についてデータを取る間、ラムダと和やかな会話が流れる。
カナン:「今日1番うまくいったショットはね、7体ぐらい天使が集まった瞬間を狙って撃ったら全部倒せたの!」
ラムダ:「すごいじゃない、さすが私の娘ね!」
カナン:「へへ」
「ねえお母さん、戦争が終わったら料理を作ってほしいな」
ラムダはそこではっとした表情を浮かべた。
「料理か、何年もしてないわね。何が食べたい?」
「やっぱり、シュニッツェル!」
「そうしたら、お母さん腕によりをかけて作っちゃうわ」
「うん、私も頑張るね!」
祝:シュニッツェルって?
カナン:ドイツの家庭料理。簡単に言うとカツレツとかとんかつみたいな感じ。
GM:どれどれ……うーん、肉、肉、芋!w
そうして時間が過ぎ、ある日のこと。
カナンは桂・リュンマ機と出撃し、いつものようにホイシュレッケを瞬く間に殲滅した。
その、帰り道。
ミライ:「カナン、あなたは本当によくやってくれたわ」
カナン:「どうしたのミライさん? 改まって」
ミライ:「あなたは私の言うことを聞いて、どんどん上達して、こんなにも天使と戦ってくれた。ありがとう」
カナン:「感謝なんてそんな。あ、もしかして天使に恨みがあったとか?」
ミライ:「私が天使に恨み?あなたおもしろいことを言うのね。恨みなんてあるわけないじゃない。――だって私は、天使なんだから」
「…………天使……?」
カナンがその言葉を理解するよりも早く、カナンの体から力が抜けていく。
「今までありがとう。これからはゆっくり休んでね」
「あれ……? ミラ、イ…さん……?」
カナンが手放した機体がひとりでに動き出し、銃を撃った。
桂:「えっ……」
祝:ほらすぐそうやって死のうとするw
GM:ミライは一撃で的確に桂機を撃墜します。で、何か異変を察知した流月が「どうした、カナン!」と問いかけるわけですが、カナンの口は動きません。
カナンは動かない。しかしその時、別の声が通信に表れる。
カナンのものではない、誰かにとっては確かに聞いたことのある声。
「カナンちゃんは通信に出られないみたいだから、私が代わりにお相手するわね」
ミライ:「私はミライ。カナンちゃんとこの機体は私がもらい受けるわ」
ボルシチ:「ミライ……?」
為真:声を聞いた段階で固まってる。「姉さん!?」
流月:「何を言っているんだ、お前は何者だ! そうだ、ラムダ女史!?」
ラムダ:「まさか、あの黒い天使核に意志が……?」
祝:おいw
ミライ:「私の主張はただひとつ。私のことを見逃してくれればそれでいいわ。まあカナンちゃんのことは連れて行かなくちゃいけないけど仕方ないわよね。いい思いしてもらったし」
ミライは自らの主張を一方的に述べると、そのまま機体を翻し別の方向へ飛び去っていく。
「では皆さんさようなら。戦争が終わるまで頑張ってちょうだい」
為真:「お姉ちゃん……! お姉ちゃんなの!?」
GM:通信から返事はありません。
為真:「……そうだ、ラムダさん! 黒い天使核ってどういうことですか!」
ラムダ:「そんな、私の設計は完璧だったはず……」
祝:これ俺が明かさないと話し進まないやつじゃん。「黒い天使核に意志って言ったよな。それは、カナンに移植したのが未来さんの黒い天使核だったから、だろ?」
為真:……これエンゲルランツェの方見ようと思ったんですけど。武器を気にするのは今じゃないなw
為真は呆然とラムダを見つめる。ラムダも、周囲を気に欠けず何かを呟いている。
「姉さんの……最期を……移植した?」
ラムダ:「あのアペルギアから取り出した天使核を使えばシンクロ率は100%、常に最大の力を発揮できる。実際天使化の兆候もなく運用できていた! 何を間違えたというの。そもそもあの少女は何者?」
為真:……話聞いてる場合じゃない。「姉さんに会いに行きます!」
雛子:「あっ、為真さん!」
流月:「……そうだな、あのミライという少女の考えはわからないが、あの機体を好きにさせるわけにはいかない。カナンの存在はもちろん、あの機体がどこで暴れるかはこの戦争の状況を左右しかねない。なんとしても確保だ!」
号令より早く飛び出した為真がシュネルギアを起動させていると、雛子が追い付いてきた。
「ごめん、先走っちゃって。ついてきてくれる?」
「もちろんです、為真さんを一人で行かせはしません」
そのままいち早く飛び出した機体は、全速力でミライを追いかけていく。
再会の時が、すぐそこに迫っていた。
GM:次回戦闘ですが、まあさすがに姉側にはつかんやろw
為真:そこはなんとかします。
カナン:えっ敵データ使っていいんですか!?w
最終更新:2019年06月29日 10:48