1.1.唯仁のドラマシーン

渋谷の雑踏。国家中枢に根を張る比良坂機関の手による戒厳令下においても、危機感を持たない民衆は数多く存在する。人影に潜む忍者にとっては、都合のよいことである。
この男も、そう。
隠されし唯仁。
日本神教による厳重な封印指定を受けていた、隠されし神権。
現人神たる彼こそが、忍神たるにふさわしいと、誰が疑うことがあろうか。
そして彼自身も、そうあるべきだと認識している。

現界した彼が最初に手掛けたのは、三種の神器をその手に納める事であった。
比良坂機関の"最後の砦"たる安倍信明の護る三種の神器は、今や彼の手に在る。
正統所持者。現人神が神器を所持することは、その因果ゆえ、何者にも妨げられることは無かった。

次に、彼は現代の忍者世界に関する知識を得た。
斜歯忍軍による大統一の野望。忍者世界の覇権に最も近い男の名を知った。
その男の名は、黒潮一人。
そして、絶対的神権が最初に狙う、『六合統一の儀』の参加者の名である。


   唯仁はまず、《特別教室》により《接近戦攻撃》を《破術(指定:壊器術)》に変更。
   続けて、黒潮一人の【秘密】に対して情報判定を行い、成功。
   【秘密】獲得に誘発して、《奥津城》からの《追出》を使用し、黒潮一人に戦闘を仕掛けた。
   この戦闘に、《絆》により黒潮一人に対して友情の感情を所持していたミッシェル・ペリーが乱入。『六合統一の儀』は、2対1の急襲戦に端を発した。

1.1.2.唯仁の戦闘シーン

渋谷、オフィス街の高層ビル。その一つに斜歯忍軍の施設が存在する。
厳重なセキュリティと忍術的隠蔽に守られたその場所に、黒潮一人は居た。
そして、そうした防護は、彼らにとって何の意味も為さない。

「黒潮一人、で合ってますか?」
「天上の巻、奉納して頂けません?」

「お邪魔するデース!」
端を発したのはミッシェル・ペリー。その声に反応して黒潮一人の側近が、"一人へと"短刀を突き立てた。
極みに至った魅惑と人心掌握。しかし、一人の左手は既にデバイスを操作している。
「絶対防御弐式・鳩首凝議」。
斜歯の粋を集めたその防御デバイスは、側近への精神干渉を無効化すると同時、ミッシェルの認知能力を阻害した。

「アレは!斜歯の絶対防御装置デース!・・・今知りました!」

   ミッシェルの《接近戦攻撃》に対し一人が回避失敗。
   対して「奥義:絶対防御/くらまし/防御低下」。そして、《接近戦攻撃》の命中判定成功に誘発した《慢心》が、ミッシェルに「野望」の変調を付与する。
   ミッシェルは奥義使用に誘発して《解説》を使用、判定の妨げとなる「野望」を兵糧丸を使用して解除し、《解説》の効果で遁甲符を獲得した。

既に一人は反撃を済ませている。常備している応急処置用の無菌窒素ガスの攻撃転用。万全の反撃には程遠くも、その手管は、ミッシェルと唯仁のいずれをも上回った。
上回った、はずであった。
「★八尺瓊勾玉」。
それに返すは唯仁の「奥義」。絶対的神権の行使に対し、酸素の不足は、何らの障害足り得ず。
ミッシェルと、ミッシェルの力となり得るあらゆる他者が戦闘から排除されるも、唯仁と一人がただ二人向かい合う。
旧くからの絶対的支配者と、未来の忍者世界統一者。
『六合統一の儀』、その戦端はゆっくりと決着に向かっていく。

   続けて、一人の《変形》。判定に失敗して逆凪となるが、《閻魔》により命中判定は自動成功し、《修羅》がミッシェルと唯仁を襲う。
   ミッシェルは神通丸込みで回避を失敗。唯仁が回避に成功するが、一人の遁甲符により失敗する。これを受けて、ミッシェルが再度神通丸を使用するも、失敗。
   発生するダメージのうち、唯仁に与えられるものは、唯仁の奥義「絶対防御/くらまし/防御低下」により阻まれる。
   《一見》を持つ一人は初見ながら奥義破り判定の権利を有するが、逆凪により判定に自動失敗する。しかし、一人の持つ《涓滴》のカウントが1つ進む。
   まずはミッシェルが戦闘から離脱。

「では、次はこちらを。」
唯仁が静かに剣をかざす。風が、光が、火が。オフィスのフロアを裂いた。
「★草薙神剣」である。
唯仁の意志は絶対である。暴虐が止んだ後、オフィスに一人の姿は無かった。

   唯仁の「奥義:クリティカルヒット」。一人は《一見》により奥義破りに挑戦し、自動失敗して《涓滴》のカウントを1つ増やした。
   「クリティカルヒット」自体は効果を発揮し、一人は戦場から脱落した。
   勝者は、隠されし唯仁。

「さすがは日本の神様!ヤオヨロズデース!」
「トモダチデース!」
「南蛮の方と友達になるのは初めてです。」

   唯仁の戦果として、ミッシェルが唯仁へ「友情」の感情を獲得した。
   最初のシーンにして、最初の戦闘は、"天下組"の勝利。
最終更新:2021年05月02日 16:42