3サイクル目。現時点で、"天上組"の評価点は2、"天下組"の評価点は1。

   メインフェイズの戦闘は、"天下組"に軍配が上がるだろうか。
   僅かな天秤の傾き程度のことではあろうが、少なくとも、"天上組"はそう感じている。
   まず、唯仁の忍具が《補給》により回復している。さらに、唯仁の「奥義:範囲攻撃」は、《殺陣》+《開祖+殺陣》により奥義破りに-6のペナが入っており、メインフェイズの戦闘に滅法強い。
   石蒜は、《忍道》起動により、《飛龍》一つで6点のダメージを与えられる状態にある。
   そしてミッシェルには《忍法乱舞》と《海原》がある。
   自身未満のプロットへ1点のダメージを試みたうえで、回避にペナルティをかけ、さらに《忍法乱舞》により敵陣営全員へ攻撃することが出来る。そしてその1発1発が、《飛龍》であり《帝釈天》である。

   一方で、敵陣営に脅威を感じているのは"天下組"も同様である。
   三巌の《朧》は、あらゆる判定を無理やり成功にすることが出来る。
   回避、奥義破り、そして《海原》や《破術》の判定さえも、確実に一度は通すそれは、唯仁の《空吹》に似て絶大な効果を示すだろう。
   一人の《一見》は、"天下組"が未だ秘する奥義さえ、一度目から無効化する可能性を残す。
   その上、一人には《涓滴》がある。奥義破りに2度失敗した奥義を以降自動で破るそれは、奥義に攻撃手段を頼る唯仁にとっては大きな脅威である。
   そして信明は、《外縛陣》の間合い5を活かし、長射程から全員を同時に仕留めにかかることができる。

   以上の拮抗と、"天下組"の有利はメインフェイズの戦闘に向けた部分が大きいことを踏まえて。
   "天下組"が出した結論は、そして、"天上組"が警戒すべきとした戦術は。
   「メインフェイズでの連続戦闘」。これとなる。

   クライマックスに入ることなく、3度戦闘に勝利して、内1度は『天上の巻』を奪い事で評価点を5点稼ぐ。
   3度全ては勝利できずとも、なるべく多く、石蒜の6点ダメージを与え、"天上組"の生命点を削る。

  これが、"天下組"が最大限有利を築く戦術であり、"天上組"からすれば、なるべく防がなければならない脅威である。

   そうした予想に違わず、3サイクル目の第1シーンは、"天下組"による"天上組"急襲から始まるのだった。

3.1.ミッシェルの戦闘シーン

   ミッシェルは三巌との戦闘シーンを選択。両陣営ともに全員が乱入し、3対3となる。
   このシーンはミッシェルのシーンであり、《水師》により戦場が「水中」に変更される。
   前回同様、石蒜が《影分身》を使用し、それに一人が《慢心》で「野望」を付与する。
   そして、プロットは以下の通りとなった。
   6:三巌、ミッシェル、唯仁
   5:なし
   4:石蒜
   3:一人
   2:なし
   1:信明

石蒜は、死神だ。
死という概念そのものに最も近い存在であり、死の代行者。

『六合統一の儀』の先には、"天上天下"がある。
万能の忍法は、当然、死さえも超越し得る逆理の法であり。
死という概念は、それを許さなかった。ゆえに。石蒜がここにいる。

ただ、最も近き友人のため。
その意志の代行者、石蒜は、その屍体を霞へと消した。
次の死を、代行するために。

その死霞は、戦いのさなかへと広がり、結集の時を待つ。
黒潮一人が仕掛ける、電子の網も、もはや織り込み済みである。
受ける認知阻害は、それに意識を合わせ、対抗する。
戦場全域へと広がった今の石蒜であれば、網に捕らわれることもない。

場所は東京、調布。閑静な住宅地であるこの場所は、戒厳令に従う住人が多数を占め、広がった死霞の影響は少ない。
駅前の広場に陣を張る信明を中心とした"天上組"の陣形を、放射状に展開した"天下組"が包囲する形。
まず、戦端を切るのは彼女。
戦場を覆う死霞は、死が戦場を定義するその状況は、彼女にとって絶好の環境である。
死霞の一部は、それを霞中より伸びる一門の機銃へと姿を変え、三巌へと死の弾丸を浴びせかける。

   ミッシェルが《親友》から《即興》《帝釈天》を三巌に使用するが、命中判定に失敗する。

しかし、三巌の周囲の死霞は、既に切り払われていた。機銃の掃射は三巌に届く能わず。
三巌はそのまま死霞を断って進む。霧に振り、雲を捉えんとすその剣は、ただ振り回すに見えて、適切に石蒜の命の核を狙う。
だが。死は、全生物全てに共通の終末は。縛られぬ。
三巌の剣は命の核を捉えてなお、断ち切ることが出来ない。

「縛られぬ死」。
死に近き石蒜の、奥義の一つ。

   次の行動は三巌。石蒜に《万華鏡》で攻撃する。
   石蒜は兵糧丸で「野望」を回復し、感情修正を2人から貰って判定するも失敗。

   石蒜は「奥義:絶対防御/張り/発動条件」を使用する。
   一人がこれに《一見》で応ずるも、感情修正による+1を含めた8チェックに5回連続で失敗する。
   "天上組"の神通丸と遁甲符が累計4枚消費され、石蒜はなお戦場に立つ。

石蒜の死霞に潜み、顕現するは唯仁の絶対的神権。
八咫鏡が一人と三巌を焼き、戦場には信明だけが残される。

たしかに、そうであった。

有り得た未来は光に歪む。
三巌の超高速の機動が、構えられるはずであった鏡を地に臥せていた。

   唯仁が「範囲攻撃/撃ち/人数限定」を使用。《殺陣》+《開祖+殺陣》により、奥義破り判定に-6ものペナルティが入り、"天上組"は全員奥義破りに失敗。
   しかし、三巌の使用した《朧》によって、三巌の逆凪と引き換えに、奥義は破られるのだった。

そして。
いまだなお戦場の大半を覆う死霞が結集する。
それは、三巌の突出により陣形を再構築すべく信明から距離を取った、黒潮一人のその背後。

大鎌の一振り。
"死"が。もたらされた。

   石蒜は《即興》及び《帝釈天》を一人に使用。「水中」と「プライズ:家宝(加速)」により、-3のペナルティがついた回避判定を一人は越えられず。
   回避判定に対して"天上組"は対抗するリソースが残っていない。
   「絶対防御」は複数構えられてたものの、これは《即興》の効果で使用できない。
   《帝釈天》の効果で接近1点、射撃1点に加えて集団1点。そして、《忍道》の効果で射撃3点が追加される。
   合計6点の大ダメージが、黒潮一人の生命点全てを、大鎌の一振りに刈り取ったのだった。
   まずは一名、一人脱落。
   集団戦ダメージは「呪い:変形」の変調を付与。《変形》を失ったことで、その効果で特例修得していた《万華鏡》も一時使用不能になった。
   さらに、生命点が0となった一人は、以降のシーンでは生命点1での活動を余儀なくされる。石蒜と違い、生命点1を前提としない一人にとっては、大きなビハインドとなるだろう。

忍者という理不尽な存在が跋扈するこの世界において、それでも絶対の存在であるところの"死"。
その代行者は、黒潮一人の命を。活動の源たる生命力と、戦略の源たるその忍道具を、同時に刈り取ったのだった。

しかし、決着の時は訪れる。
陣を構築し、十分な時間を確保した信明の呪法が、"天下組"を縛り上げ、戦闘を終わらせた。

   行動順で次となる一人は脱落済。ラウンド最後の行動は、信明。
   信明は"天下組"全員を目標に《外縛陣》を使用。
   《羅盤》こそ適用されないが、「忍法修行」と「プライズ:家宝(加速)」、さらに「水中」により回避に-4のペナが、《揺らし》により射撃1点が追加された間合い5の全体攻撃が"天下組"を襲う。
   これを、《戦場の極意:水中》を擁するミッシェル以外の2名は回避できない。ミッシェルの回避判定にも、三巌が「判定妨害/くらまし/回数制限」で応じる。
   「回数制限」を使い切った「判定妨害」であったが、これの奥義破りで、唯仁と石蒜の両名がともにスペシャルをロールする。
   唯仁は生命点を1点回復し、石蒜は「忘却」を回復した。

   結局、回避に失敗したのは唯仁と石蒜の2名。
   ダメージは射撃1点と集団1点である。石蒜へのダメージを唯仁が「絶対防御/くらまし/防御低下」で無効化する。
   "天上組"の奥義破りは失敗。唯仁は「マヒ:言霊術」と共に脱落する。
   石蒜は戦場に残るが、集団戦ダメージは無効化できず、「重傷」の変調を受ける。

   "天下組"で残るは石蒜、ミッシェルの2名。
   しかし、信明の《式神》使用により、遁甲符を消費して連続で放たれた《外縛陣》が。
   両名は射撃1点集団1点を受け、ともに脱落となった。
   変調は、ミッシェルが「行方不明」、石蒜が「呪い:疾風」。

   決着。勝利は"天上組"。戦果は石蒜が持つ「プライズ:家宝(加速)」。

「あーあ。仕方ない。」
「また、迎えに行くよ。」

"死"の代行者は、含み気に笑う。
交戦ごとに、彼は、あるいは彼女は、その相手を確実に刈り取っていくのだろう。
一人ずつ。確実に訪れる死。それが、石蒜。

3.2.三巌のドラマシーン

   "天上組"全員登場のシーン。シーン表は「冷気」。
   《衣装術》の判定に失敗すると射撃2点を受ける危険なシーン表であり、万が一、現在生命点が1の一人が失敗するようなことがあれば、シーン内で何か行動する前に生命点を失いシーンから脱落することになってしまう。
   結局、一人は判定に成功。一方で、三巌と信明の2名が判定に失敗した。
   このタイミングで合わせて4点の生命点を失うのはあまりに痛い。
   しかし、ここは一人の「絶対防御」2枚がそれぞれに適用され、ダメージは0となった。

   ただ、三巌は《衣装術》の判定をファンブルで失敗しており、「重傷」の変調を受けていた。三巌の《朧》は、判定失敗を成功へ変える大技だが、最初からファンブルした場合には使用できない。
   「重傷」の変調は、命中判定等を行うたびに接近1点を受ける変調で、これは許容できない。
   三巌は回復判定を行い、即座に「重傷」を回復する。
   また、《荒行》を使用し、「行方不明」の変調を自身に付与する。

   最後に、先ほどの戦闘で奪った「プライズ:家宝(加速)」を一人に受け渡してシーン終了となった。

3.3.唯仁のドラマシーン

   このシーンは"天下組"全員登場。
   ミッシェルは「行方不明」の変調を受けていたため、まず「奥義:不死身/定め/回数制限」を使用し、生命点と変調全てを回復してから登場した。

「賦利益(プリマス)」。
ミッシェルの黒船の一隻。プリマス号。
港区に停泊したそれは、"天下組"が全員集合した最終作戦会議の場である。

場は、冷気に包まれている。
この『六合統一の儀』が始まって以降、東京は季節外れに冷え込んでいる。
石蒜は再度肉体を構築している。臨戦臨死の今の石蒜に、もはや冷気の影響はない。次なる戦いも、また命を刈り取るために。

   シーン表がまたしても「冷気」。"天下組"はこの判定に全員成功する。
   唯仁は《補給》を使用するが、これにファンブル。ミッシェルから遁甲符を貰って判定に成功し、自身が消費していた遁甲符を回収。これをミッシェルに渡す。
   忍具の数はプラスマイナスゼロながら、ファンブル表による不利益を回避した。

   唯仁は回復判定を行い、「忘却」を回復。兵糧丸を石蒜へ渡し、シーンを終了した。

3.4.一人のドラマシーン

港区のビルの最上階。八咫重工の支社ビルの最上階。
斜歯のセーフオフィスにて、一人はその回復に努めている。

石蒜が死の大鎌で刈り取った一人の"命"は、深い傷を残している。
それは生命力のみではない。
"死"がもたらされた一人の忍道具は、その機能を完全に停止している。

「これも、使えんか。」
「随分数を減らしたが、直せるだけは直せるとしよう。」

黒潮一人は、自らが持つ121の道具、その確認と修復を優先する。
未だ使用可能なものを。あるいは、必要なものを使用可能に。
彼にとって、それらの忍器は、自らの生命力よりも重要な戦力である。
"死神"の傷跡は深く癒えずとも、修羅たるものの戦いは、未だ終わることがない。

   一人単独のシーン。シーン表は「ビル」。
   一人は回復判定を行う。回復するのは「呪い」の変調。



   おそらくもう一度、"天下組"からの襲撃がある。
   両陣営、最低限の準備を整え。メインフェイズ最後の戦闘が始まろうとしていた。
最終更新:2021年05月04日 14:04