神器戦争プレイレポ
外  道  黙  示  録
ヒ ラ サ ワ
著者:Astar

=0.初めに=
 ヒラサワと呼ばれる男がいる。
 金のためなら容易に人を裏切る、外道オブ外道だ。
 幾多の事件に関わってきた彼は、これまでにない大金を求め、新たな騒乱に手を伸ばす。
 騒乱の名は、神器戦争。願望を実現する力を持つ『神器』を求め、神器の欠片に選ばれた者たちが集う場だ。


=1.神器戦争って何?=
 これだけだと何言ってるか分からないと思うので、最初に解説を挟みます。
 ゲームサークル大都会では、TRPG『シノビガミ』を用いて、某聖杯戦争をリスペクトしたセッション『神器戦争』を遊ぶのが恒例になっています。初出は2013年で、現在まで毎年(多いときには年に何度も)開催されています。
 この神器戦争の重要な点は、『各PLが、他のPLには非公開のまま自分の【ハンドアウト】と【神器の欠片】(特殊な能力を持つアイテム)を作成する』点です。そのため、セッションが開始されるまで、他のPLがどんなPCを使用するのかの情報は基本的に得られません。さらに、各PCに設定された『秘密』は、セッション中に特定の手順を踏むまで確認することはできません。これにより、リスペクト元っぽい雰囲気のセッションを行うことが可能になっています。
なお、この部誌『求ム!冒険者』の2つ前の号(Vol.28)でも、神器戦争についての紹介記事を掲載してます(宣伝)。

=2.で、ヒラサワさんって?=
 冒頭で紹介したヒラサワさんについて、内輪ネタになりますが解説しておきます。
 ゲームサークル大都会では、日付を決めてキャンペーンを行うことが多いです。この際、『定期不定キャンペーン』と呼ばれる『日時は定期的だけど、遊ぶゲームは不定』というキャンペーンが立つことがあります。ヒラサワさんは、もともとこの定期不定で生まれたキャラクターですが、どんどん他の世界まで浸食していきました。


=2-1. ポリフォニカでのヒラサワさん=
 初出は、『神曲奏界ポリフォニカRPG』。小説を原作とするTRPGで、精霊が存在する世界で、精霊に力を与える神曲楽師と呼ばれる人たちが事件を解決する、というRPGです。
 このゲーム、初期作成で使える優秀な防具に『オーダーメイドスーツ』があり、ゲームサークル大都会の人間は強いデータが大好きなので、ヒラサワさんを含むPCたちは、みんなスーツを着ることになりました。
 これだけなら良かったのですが、ルールブック付属シナリオの導入が『PCたちの事務所に依頼人がやってくる』なのがよくありませんでした。
 スーツの男たち、事務所……あるものを思い浮かべたPLが、こう言いました。

「ヒラサワさん、お客さんっスよ!」

 これにより、あたりの雰囲気は一変。事務所は、暴力団事務所となり、ヒラサワさんはそこのトップに。依頼人の「古い屋敷を更地にして手放したいのだが、幽霊が出ると騒ぎになって取り壊し業者が作業をできない」との依頼に対し、「うちの事務所で更地にしておいてやりますよ」と事務所の力をアピール。依頼人からの「屋敷の中の美術品の回収」依頼も引き受け、事務所一同は、意気揚々と黒塗りの高級車で目的地に向かうのでした。
 目的地の屋敷でも、ヒラサワさんたちは大暴れ。正面玄関の扉を黒塗りの高級車に乗ったまま突破し、老朽化していた床が抜け落ちて車ごと床下に落下するトラブルがあったものの、「床にも穴はあるんだよなぁ」などとまったく懲りない。
 そのまま屋敷内の美術品回収を始めますが、その美術品の価値が総額10億エン(大体今の日本円と同じくらいの価値)を超えると分かると、目の色を変え、美術品を依頼人に返さずそのまま換金することを考え出す始末。一応、依頼達成するかの良心の呵責がないわけでもなかったかもしれませんが、ヒラサワさんの

「10億なんだよなぁ……」

の一言の前に、みんなの心は一つに。
 なお、屋敷の幽霊騒ぎの原因となっていた『かつての屋敷の主(依頼人の先祖)と交友があったため、現在も屋敷を守ろうとしている精霊』は、ヒラサワさんたちが問答無用で叩きのめし、消滅。
 無事(?)依頼を果たし、美術品を強奪したヒラサワさんは、依頼人へ報告します。

ヒラサワさん:「屋敷には、あなたのご先祖と交友があった精霊がいました。昔の写真も残されています」
依頼人:「そ、そうだったんですか……この方が」(写真を見て)
ヒラサワさん:「安心してください。(その精霊は)殺しておきました」

 この外道発言に、依頼人も他PLも絶句しましたが、何はともあれ、ヒラサワさんたちは10億を手に入れたのでした。めでたしめでたし?


=2.2 トーキョーN◎VAでのヒラサワさん=
 ヒラサワさんの外道っぷりと「10億なんだよなぁ」のパワーワードにより、その後も『10億円』をネタにしたシナリオが何度か行われました。
 そんなある日、『トーキョーN◎VA』の公式シナリオ『悪魔のいる天国-Devils in Heaven-』で「1000プラチナム(我々の世界では10億円程度の額)」を奪い合うことになりました。
 このシナリオ、『あるヤクザ(NPC)からすべてを奪われた』というPC枠が存在したため、その枠に颯爽と投げ込まれたのが『ポリフォニカ世界で消滅させられた屋敷の精霊』。それに合わせ、NPCの名前もヒラサワさんに変更されました。
 NPCとしてのヒラサワさんも、外道の限りを尽くし、精霊を拘束して海の底に沈めようとするなどの悪行三昧。しかし、10億に目がくらんだPCたちと、なにより復讐に燃える精霊の手によって、ヒラサワさんは跡形もなく消滅させられたのでした。めでたしめでたし?

=3.神器戦争でのヒラサワさん(ここから本編)=
 こうして消滅したはずのヒラサワさんが、新たな欲望を得て帰ってきました。
 決戦の地は、神器戦争。各自が作成してきたハンドアウトを公開していきます。

=3-1.自己紹介だけでも大波乱=
GM:では、自己紹介お願いします。
PL-A:はい、ではハンドアウトから公開します。


=PC:ヒラサワさん=
使命:
5000兆円
欲しい!
==

PL-B&C:「「5000兆円欲しい!!」」w
PL-D:っていうか、“あの”ヒラサワさんかよ!w
PL-A(以下、ヒラサワさん):というわけで帰ってきたヒラサワさんです。そして、5000兆円を目指すヒラサワさんの手に入れた神器の欠片は―(続けて神器の欠片を公開)


=神器の欠片:10億円 =
「10億なんだよなぁ・・・」
何の変哲もない10億円であり、このプライズは裏面を持たない。
忍法【極上】で得られる特殊忍具「お金」と同じ効果を持つ(基本ルール104ページ参照)。
ただし、同タイミングの同じ効果では1つしか使えないものとする。
==

PL-D:10億なんだよなぁ・・・(落胆)w
ヒラサワさん:ちなみにデータは、斜歯忍軍の下位流派の大槌群で、忍具消費して効果を発揮する忍法をそろえています。
PL-A:プライズの10億って、1個だけだよね?
ヒラサワさん:はい、『10億を使って効果発動!』になります。
PL-B:この10億、きっと増えるw
ヒラサワさん:あと、背景で『人質(セッション中1度、GMの指示を聞かなければならない)』を取ってます。金の力には逆らえない!w


=PC:ノエル=アインツフォート=
あなたは代々聖杯を守ってきた一族の末裔である。あなたの【使命】は、聖杯を狙うとある忍者によって滅亡した一族の仇を取ることである。
〇固有結界忍法「リミテッドフェイト」
神器戦争の舞台を丸ごと覆う超巨大な結界忍法。
① この効果は常に公開され、他の効果を受けない。
②2dの出目に干渉する。一つのシーン(戦闘ラウンド)において誰かが一度ふった「2」を除く2dの目は占有される。誰であれ再びその目を振った場合、振りなおしや出目を変更する効果を適用した後、占有されてない出目までその出目が下がる。
=神器の欠片:聖杯=
表台座が付いた正六角形型の盃
これは聖なる杯である。盃に力が満ちたとき、持ち主は願いをかなえることができるという。
==


ノエル:というわけで、結界忍法です(2から12までの自然数を書いたカードを用意しつつ)。上空に、2~12の数が浮かんでます。そして、神器の欠片は、アインツフォート家に伝わる聖杯!


=PC:アイ=
①アイはゲーム開始の段階では神器を持たない。
②アイの使命は「生きる理由を見つける」ことである。
==

PC-B:怪しい……w
アイ:普通のキャラです。
PL-D:『テキストが短い効果は強い』ので。他の場所に文字数割り振れる的な意味で。
ヒラサワさん:なら、俺が最強だな!(使命10文字)w


=PC:天音=
この町には魔物がいる。あなたの使命は「全ての魔物を討つ」ことだ。
①あなたは魔物の【奥義】の情報を持つ。これは受け渡すことができない。
=神器の欠片:錆びた剣=
錆びてボロボロになった直剣。鈍器にはなる。
①所持者が同じプロットの対象に与える接近戦ダメージに+1点する。
==

天音:「・・・私は魔物を討つ者だから」。牛丼が好きな女の子です。
ヒラサワさん:KAN〇Nだ!w
GM:で、魔物もハンドアウトを持っています。秘密もあります。神器の欠片はないです。


=NPC:魔物=
破壊だけを繰り返す謎の存在。魔物の使命は「全てを破壊する」ことだ。
①魔物は全ての戦闘シーンに必ず登場するが、【奥義】以外の情報を得られない。 ②各サイクル終了時、魔物はランダムに選ばれたPCに戦闘を仕掛ける。
③戦闘中、魔物のプロットは7に固定され、自身の手番でランダムに選ばれた他キャラクターに奥義を使用する。
※奥義:破壊衝動 指定特技:言霊術
対象1体に接近戦ダメージ2点を与える
==

PL-E:では最後のPC紹介。……ヒラサワさんの義妹です!
ヒラサワさん:……なん……だと・……!w


=PC:ヒラサワ 奈梨(なり)=
あなたは「ヒラサワさん」の義理の妹である。 最近、あなたが神器の欠片「断罪の組み鐘」を手に入れた際、義兄との想い出がすべて「断罪の組み鐘」に捧げられてしまっており、お互いにそれ以前のことを思い出すことができない。 あなたの使命は、「義兄と新たな想い出を作ること」および「義兄の使命を手伝うこと」である。
=神器の欠片:断罪の組み鐘=
読みは「イクス=カリヨン」
39個の金属片が組み合わさった神器。金属片ひとつひとつが異なる呪いを宿しており、それらを複雑に重なることで全く別の効果を発揮することになった兵器。見た目は、ひび割れた剣。
①このプライズの持ち主は、このプライズと「契約」を行うことができる。契約した場合、持ち主および、持ち主と最も親しい相手との想い出を消去する。消えるのはエピソードであり、互いに対する感情や、情報に関する記憶は消失しない。(ゲーム的なペナルティはないが、そのようにRPしなければならない)
==

ヒラサワさんの部下:「ヒラサワさんー、妹って奴が来てますけど、どうします?」w
ヒラサワさん:「裏ぁ、洗っておけ!」w


=3-2.導入フェイズ:増える○○=
聖杯を守ってきた一族の末裔、ノエル=アインツフォート。彼女の導きにより、今回の神器戦争参加者が教会に集まっていた。
 ヒラサワさんは、懐の10億を見つつ、ため息を一つ。
「10億なんだよなぁ……」
 そのまま、事務所の名刺を取り出して、他の参加者に配っていくヒラサワさん(データ的には『【居所】を配っていく』)。怪訝な目をしつつ受け取っていく他参加者。
 ヒラサワさんの義妹、奈梨は、義兄と互いに居所を交換しつつ、真面目に他参加者の話を聞いている。
 話が終わり、教会を後にする一同。

ヒラサワさん:最後に、再びヒラサワさんが懐を見ると、20億になっています。(ダイスで数の管理を始める)
ノエル:やっぱり増えるじゃないか!w
=3-3. 第1サイクル:高度な情報戦?=
GM:いつも通り3サイクルです。

さっそく、感情を結び、情報を抜いていくPCたち。

奈梨:では、お義兄様に感情をー
ヒラサワさん:おう、いいよ、来いよ!

2人で話をして、感情を結ぶヒラサワさん。
その懐では、20億が40億になっていた。

天音:お?倍々ゲームかな?
ヒラサワさん:ちなみに、2の23乗で8388608なので、このまま23回起動すると8388兆円で目標達成ですねw
ノエル:これさー、1京5000兆円貯めて、3人で5000兆円ずつ持ち帰ろうぜw
GM:私は3万でいいw

天音:んー、天音のシーン。感情を……ヒラサワさんに。

 天音が、学校の食堂で一人、黙々と牛丼を食べている。
 すると、俄かに食堂の入り口の方が騒がしくなる。気にせず食べ続ける天音。
「……相席、いいか?」
 天音に対し、そう話しかけたのは、スーツの男、ヒラサワさんだった。食堂中の視線が集まっているが、全く動じる気配はない。

ヒラサワさん:「……牛丼、好きなのか?」
天音:「……ん」頷きます。
ヒラサワさん:「そうか、俺もな。なんでも、牛丼とたい焼きのセットで都市化できるって話じゃねえか。資材がたくさん出るのは大好きだぜ」
GM:KAN〇Nの開拓者(同人ボドゲ)かw
天音:「……都市化は、大事」


ヒラサワさん:で、ここの手番。うーん、義妹も、アイも、気になるところだ……
GM:じゃあ、ヒラサワさん。『人質』の効果使います。義妹を調べてください
ヒラサワさん:くっ、金の力には逆らえないっ!w

 そして明らかになる義妹、奈梨の秘密(感情伝達で天音にも公開)。


=PC:ヒラサワ 奈梨・秘密=
すべてはうたかたの夢、影のごとき幻。生も死もなく、やがては消え去る儚き虚像……
願いはただひとつ。偽りの命でも、命ですらなくても、ここに無かったはずだとしても。それでも確かに「ここ」に「私」は有った。その証を誰かに刻みたい。どうか、忘れないで。ただ、それだけ。
奈梨という人物はこの世に存在しない。「(義兄にしたPC)の義妹である」という設定をねじ込んで、他のPC達に「そこにある」と思い込ませているだけの現象であり、意思を持った幻である。義兄との想い出は消失したのではなく、そもそも初めから無かったものであり、奈梨自身はそれを認識している。PC全員が、「奈梨は本当はそこにいない」と認識してしまった時、奈梨は消滅する。
奈梨はいつか自身が消えるということを受け入れていて、それでも消える前に何かを遺したいと思っている。あなたの本当の使命は、「自身がここに有った証を、誰かの心に刻み込むこと」である。具体的には、経験点計算時、「誰かの琴線に触れた」で1点以上獲得すること。
①他のすべてのPCがこの秘密の情報を獲得した場合、そのシーンの終了時にあなたは消滅する。その時、あなたが持っている忍具、プライズもすべて消滅する。
==

ヒラサワさん:「……奈梨、お前は……」
奈梨:「……知ってしまったのですか、お兄様」悲しそうにします。
ヒラサワさん:「……まあいい、まずは金だ。知り合いの情報屋に当たるぞ」

ヒラサワさんが情報を『背景:情報屋』に売って他人の居場所を得たり、奈梨の『神器の欠片:断罪の組み鐘』を一時的に手に取って効果を確認したり。そうこうしているうちに、今や10億は320億になっていた。

=神器の欠片:断罪の組み鐘・秘密=
①契約を行っていれば使用できる。すべての攻撃忍法の射程とダメージを+1する。
==


ノエル:私の手番、アイの秘密を調べます。流石に怪しい(ダイスを振り)……あ、出目が被ったので「リミテッドフェイト」 起動します。判定自体は成功です(言いつつチップでカウントを始める)
GM:はい、では……どうぞ。(ノエルとアイにプライズを1枚ずつ渡す)


=神器の欠片:赤い絲:一/終=
2人の間を精神的、概念的に繋ぐ絆。
①一は所有権が変更されず、終は戦果として奪うことによってのみ所有権が変更される。
②紅い絲の所有者同士が、同じ戦闘シーンに登場し、共闘の意思があると共に認めるとき、紅い絲の所有者は全ての判定に+1の修正を得る。
==

アイ:『赤い絲:一』が私に渡って、『赤い絲:終』がノエルさんに行きます。
ノエル:(『赤い絲:終』の裏を確認して)ちょっ!?
アイ:「ノエルさんの使命が達成できるように、私もお手伝いしますね!」これからは、ノエルさん家に住みますw
ノエル:いいけどさ、屋敷空いてるしw


そうこうしていると、天音が追っている『魔物』の手番に。
人知れず対峙する、天音と『魔物』。
だが、そこに乱入する、黒塗りの高級車。

ヒラサワさん:車から降りてきて「なるほど、こいつが『魔物』か。金になりそうだぜ」
奈梨:「そのようですね、お兄様」
天音:「……あなたたちは、下がっていて」錆びた剣を『魔物』に向けて
GM:問答無用で『魔物』は襲い掛かってきます。プロットどうぞ

 序列7から奥義を放ってくる『魔物』。それを打ち破る天音。
 天音の振るう剣も、奈梨の攻撃も、『魔物』は身をひるがえして回避。
 だが、その次。ヒラサワさんが構えた工事現場用のドリルが、『魔物』を貫いた。

ヒラサワさん:【土龍哮】が命中したので、【惨劇】を使用。判定は成功したので、【惨劇】の効果で、10億をコストにダメージ1点上昇。合計接近戦2点です。

 ドリルに貫かれた『魔物』を、10億の札束で強打するヒラサワさん。
 だが、『魔物』は、そのまま消えていった。

GM:1ダメージだけ受けて脱落します。
ヒラサワさん:ダメージ軽減持ちか何かか?まぁいいや。 「魔物は帰ったみたいだが……まだやるか、天音?」
天音:「魔物が去った以上、戦う理由は、ない」 戦闘終了でいいです。勝者、どうします?
ヒラサワさん:んー、そっちの『神器の欠片』もらっていい?
天音:……まぁいいかな。はい。錆びた剣をその場に残して、立ち去ります。


=神器の欠片:錆びた剣・秘密=
これは実は神器の欠片ではない。しかし神器に通ずる力は感じられる。
②このプライズは「神器の欠片」を参照する効果で参照されない。
==

戦闘中、色々あったヒラサワさんの手元には1280億ほどあったが、錆びた剣を手にしても、ヒラサワさんの懐の金は、厚くなることはなかった。


アイ:次、私の手番―。とりあえずノエルさん家に住んで感情取ります。


 こうして、1サイクル目終了時には、『指定暴力団ヒラサワ組(ヒラサワさん+奈梨)』『ノエル&アイ』『魔物を追う天音』の3勢力に分かれた状態に。

=3-3. 第2サイクル 築かれる10億の山=
GM:2サイクル目開始しまーす。
ヒラサワさん:で、NPCが増えたりPCが増えたりしますか?w
GM:しませんw


アイ:「で、ノエルさん。私は何をすればいいでしょうか?」
ノエル:「そうね、アイ。あの怪しいヒラサワさんとかいう男を調べておいて」
アイ:「はい、ノエルさん!」調べまーす。判定は成功。


=PC:ヒラサワさん・秘密=
あなたは幾多の世界の可能性を統合することで、指数関数的に10億を増やすことができる。
以下の条件を満たすたび、あなたの持つ10億円の数は2倍になる。
  • 新たな情報を得る(各キャラの各情報につき1回)
  • 新たな感情を得る(各キャラにつき1回、内容変更は含まない)
  • 他キャラにダメージを与える(各キャラにつき1回)
  • 自分が所持したことのない神器の欠片を持つ(各欠片につき1回)
  • 他キャラの生命力を0にする(各キャラにつき1回)
  • 奥儀破り判定に成功する(各奥義につき1回)
②このキャラクターは不死身である。生命力が0になった場合、即座に1で復活する
==


奈梨:「で、お兄様。これからどうしましょうか」
ヒラサワさん:「そうだな、まずはあの天音とか言う奴を調べておいてくれ」
奈梨:「はい、お兄様!」
ヒラサワさん:さっき見たぞこの流れ(


=PC:天音・秘密=
あなたは魔物と戦うたび、体に異変が起こることに気付いている。 それでもあなたは戦い続ける。理由はわからないが、ずっと昔からそうしてきた。
②魔物の生命力が失われるたび、あなたの特技の同じ列をセッション中使用不能にする。(生命力が減少したわけではない)
③あなたの本当の使命は、【黒く塗りつぶされている】。
==


ヒラサワさん:「じゃあ、俺は……あの魔物を調べるか、何かありそうだ」


=NPC:魔物・秘密=
魔物は全部で6体いる。
④魔物の初期生命力は6点であり、一度に最大1しか減少しない。
⑤魔物の生命力が1点以下になった時、魔物のハンドアウトを「希望」に変更し、割り込みで希望がシーンプレイヤーであるドラマシーンを行う。
⑥この【秘密】と天音への感情を持つPCは、「希望」のハンドアウトの表を見ることができる。
==


ヒラサワさん:……えっと、この条件(魔物の秘密⑥)今満たしてるよね。
GM:はい、どうぞ(追加のハンドアウトを渡す)
ノエル:また何か増えたぞw

=NPC:希望 =
あなたは天音の力だ。天音の力は願いを現実に変える力、すなわち『神器「聖杯」』である。ある時天音が願ったことであなたは魔物となり、全てを忘れた天音と戦い続けてきた。魔物の力が弱まった今ならば、誰かが手を差し伸べることで、天音は救われるかもしれない。
①天音の本当の使命は「《大切な人》を守る」ことだ。《大切な人》とは、以下の条件を満たしたPCのことである。
  • 天音と相互にプラスの感情を結び、天音の【秘密】の情報を持つ
  • 魔物の【秘密】の情報を持つ
  • 希望と相互にプラスの感情を結んでいる
②あなたの使命は「天音に受け入れてもらう」ことだ。そうすることで、天音に聖杯の力が宿り、天音の《大切な人》は聖杯を手に取ることができるだろう。
==

ヒラサワさん:「ふむ……なかなか面白い話じゃねえか、金になりそうだぜ」w
天音:これ見てるの、ヒラサワさんなんだよなぁ……w

状況を整理しよう、ということで『ヒラサワ組』と『ノエル&アイ』組が情報交換し、天音の秘密とアイの秘密が事実上の全体公開になる。


=PC:アイ・秘密=
③この秘密が初めてPCに獲得された時、アイとそのPCはそれぞれ神器「紅い絲:一/終」を獲得する。
④アイの真の使命は、「紅い絲:終を最初に獲得したPCに使命を達成させる」ことである。
==


 そんなこんなで魔物の襲撃フェイズ。
 今度は、魔物の奥義情報がばっちり抜けていたこともあり、魔物は奥義を破られ、序列6からの同時攻撃で2点生命力を削られて去っていく。

天音:思ったより早く魔物倒れそうw
ヒラサワさん:戦場が高所だったら、戦場効果ですぐ倒れるな、これw

 そんな魔物に対し、ヒラサワさんが戦果として感情を取って戦闘は終わった。そして、ヒラサワさんの現金は、1兆の大台に乗っていた。

ノエル:これ、どうやって運んでるんだろう?w
ヒラサワさん:10億を満載したトラックが、後ろにずらって並んでw

=3.4 第3サイクル 実質クライマックス=
 最後に残った、ノエルの秘密を確認するヒラサワ組。

=PC:ノエル=アインツフォート・秘密=
あなたの一族を滅ぼした忍者はこの神器戦争に参加しており、あなたの持つ聖杯の力を一部使い不死身の肉体を得ている。あなたが殺すべき忍者は秘密に「このキャラクターは不死身である。生命力が0になった場合、即座に1で復活する」を持つ。この能力は、プライズ【聖杯】の③の効果でのみ無効化でき、無効化に成功した場合、そのキャラクターの生命力がクライマックスフェイズ終了時に0であった場合、爆発四散して死亡する。
==


ヒラサワさん:……いったい誰がそんなことを(←犯人)w


 そんなこんなで、天音がアイと互いにプラス感情取るなどしていると、三度魔物の襲撃フェイズに。
 今回はもろもろの都合で全員参加の戦闘に。むしろ魔物がおまけまである。
 魔物の奥義はあっさり破られ、そのまま魔物はダメージ受けて退場。
 そして、魔物不在の戦場でノエルはーー

ノエル:「滅びろ、ヒラサワっ!」神器の欠片:聖杯の効果を使って奥義【範囲攻撃】を使用します。アイ以外全員対象で(カウントしていたチップを10減らす)
ヒラサワさん:「俺狙いかっ!」……んー、ここは奥義で止めるか。
ノエル:あるのかー、奥義。
ヒラサワさん:まぁ、多少はね?w

 ノエルが解放した聖杯の力の一端は、光となってあたりを焼き払う。
 だが、ヒラサワさんは涼しい顔でドリルを構え、一言。
「床にも穴はあるんだよなぁ……」
 高速で床を掘削して掘った穴に飛び込み、光を回避するヒラサワさん。

ヒラサワさん:奥義【絶対防御】『〇〇にも穴はあるんだよなぁ』使用しますw
アイ:なんだその名前は、たまげたなぁ……w
ヒラサワさん:GMには卓開始前にキャラシ確認してもらったよw
GM:奥義名、ちゃんと読まずにスルーしてたw

 ヒラサワさん、地面に潜ったままアイに攻撃し、脱落させる。
 戦場に残ったのは、ヒラサワさんとノエル。

ノエル:ここで私の聖杯奪られるとほぼ詰むので、戦闘続行かなぁ。
ヒラサワさん:んー、聖杯じゃなくて神器の欠片:赤い絲を持っていく、なら?
ノエル:あー、それならいいです。こちらの負けで。

 ノエルは、足早に戦場を去っていく。そこに、赤い絲が残されていた。
 それを拾い上げるヒラサワさん。背後には100兆円くらい


=神器の欠片:赤い絲:一/終・秘密=
紅い絲は、絆を繋いだ二者に対し、一方を贄としてもう一方を強大な妖魔へ変貌させる呪いである。
①紅い絲の所有者が共に生存した状態でクライマックスを終えた場合、終の所有者は死亡し、一の所有者は妖魔へ変貌する。
②一の所有者はクライマックスで戦闘不能になると死亡する。
③一の所有者は、クライマックスにおいて、使命を達成したと確信し、GMから制止されなかった場合、可能な限り即座に戦闘から脱落することを選ぶ。
==

ヒラサワさん:んー……GM、ちょっと秘密について確認よい?
アイ:お、『表に出ろ』案件だw

 しばらく話して戻ってくるGMとヒラサワさん。

ヒラサワさん:まぁ、現状できることはないので、シーン終わりかな。


ノエル:さて、私の使命的には……ヒラサワさん削っておくべきなんですが。もう居場所渡されたから奥義【追加忍法】の【電撃作戦】は使えないんだよね。
奈梨:そんなものまで積んでたんですか。
ノエル:まぁ、聖杯取られると困るので。アイが戦闘を挑んで、私は参加しない、がベストかな。

 アイがヒラサワさんに戦闘を挑むと、戦いの気配を察した魔物も乱入してくる。
 が、ついでで殴られて魔物は残り生命力2になり脱落。
 そして、アイもヒラサワさんのドリルの餌食になり脱落。

ヒラサワさん:じゃあ、戦果は……「奈梨、これはお前が持っておけ」と、【神器の欠片:赤い絲:終】を渡します
奈梨:「はい、お兄様」受け取ります(秘密を確認する)「……なるほど、さすがお兄様」
ヒラサワさん:「なに、お前のおかげでここまで来れたからな」背後の1000兆を見て。「4人集まって10億しか稼げなかった連中とは全然違うぜ、自慢の妹だ」
奈梨:「……はい、お兄様」

=3.5 決戦フェイズ あるいはイベントシーン=
 神器戦争最終日の夜。
 ヒラサワさんは笑みを浮かべていた。
 あと少しで、願いが……5000兆円が得られる。
 隣の少女も、それを応援している。
「もう少しですね、お兄様!」

 だが、そこに残りの参加者と、『魔物』が現れる。
 最後の戦いが、始まった。

 最初に動くのは、序列7の魔物。だが、例により奥義は破られ、返す刀で殴り返される。そして魔物の生命力が1になり――

天音:『魔物』のハンドアウトが『希望』に変化します。で、『①天音の本当の使命は「《大切な人》を守る」ことだ。《大切な人》とは、以下の条件を満たしたPCのことである(後略)』なんですが……
ヒラサワさん:おう、俺だよな?w
天音:さすがにアイだよなぁw

 突如、始まる割り込みシーン。
 戦場と離れた、どこか暖かな、誰もいない場所。そこに、アイはいた。
 その目の前に現れたのは、『希望』という少女。天音の力そのもの。

ヒラサワさん:なんかすごいKeyっぽい雰囲気に

 アイと、『希望』。少女たちは、言葉を交わし、互いに手を取りあう。
 そして――

天音:『希望』からアイへ感情判定。奥義【完全成功】で成功にします。そして、条件を満たしたので、『希望』が天音へと還っていきます。


=NPC:『希望』・秘密=
③あなたが天音に還ったとき、天音のすべての生命力、変調、使用不能の特技を回復し、天音はあなたの持つ奥義を追加で得る。
④その後、あなたはプライズ「第三の願い」となり、天音の大切な人が所持する。
==
=プライズ:第三の願い =
所持者はエンディングフェイズで願いをかなえられる
==


ヒラサワさん:あ、また盤面上の【情報】が増えたw

 続けて、奈梨の行動。

奈梨:判定時に秘密公開します。「すべてはうたかたの夢、影のごとき幻……それでも、私は――」

ここで初めて全体に公開される、奈梨の秘密。そして、その効果『他のすべてのPCがこの秘密の情報を獲得した場合、そのシーンの終了時にあなたは消滅する。その時、あなたが持っている忍具、プライズもすべて消滅する。』の発動が確定する。

奈梨:私の持ってる【神器の欠片:赤い絲:終】も消えます。
アイ:あ、私が妖魔化しなくてもよくなった。

 そして、この一連の攻防で増えた情報により、ついに……

ヒラサワさん:5000兆円突破!
奈梨:「おめでとうございます、お兄様!」
ヒラサワさん:「いや、まだだ…もっと上を目指す。だが、あとでお前にはご褒美をやらねえとな、奈梨」

 そして、ついにノエルが動く。憎き仇敵、ヒラサワさんを睨んで。
「あの日、私の一族はすべてを失った!」
 ヒラサワさんが、黒塗りの高級車で屋敷の扉をぶち破った時から、この戦いの運命は始まっていた。
 ノエルの鋭い眼光に対しても、ヒラサワさんは動じず、不敵な言葉で返す。
「なんだ、お前もあの屋敷の奴だったのか。屋敷の品、なかなかいい金になったぜ?」
「私の一族が守っていた聖杯!その力の一端すらも貴様は奪っていった!」
「おお、そんなものが残っていたとは初耳だ。惜しいことをしたぜ!聖杯とやらが回収できていれば、50億くらいにはなっただろうからな!」
 ゲスな笑いを浮かべ、まったく反省の色がないヒラサワさん。
 ノエルは、聖杯に溜まっていた力を解き放つ。

=神器の欠片:聖杯・秘密=
① これは本物の聖杯であり、中を満たすものは余剰の運命力である。キャラクターがスペシャル又はファンブルを発生させるか、このプライズの②以外で2dのダイス目を変更する効果が発生した場合、このプライズの上に運命力カウンターを一つ置く。
② 運命力カウンターを1つ取り除く。自分がふった2dまたは1dの値に+1する。1シーン(1戦闘ラウンド)に1回使用可能。
③ 運命力カウンターを10個取り除く。願いを一つかなえる。願いは具体的なものでなくてはならない。
==

 ヒラサワさんが得ていた不死が、聖杯の力で解除される。
 戸惑うヒラサワさんに向け、聖杯から断罪の一撃が放たれる。前回と同様に穴を掘って回避しようとするも、それも聖杯の力で妨げられる。

ノエル:聖杯、カウンター30個使って3回分の願いを起動します。1つ目で不死打消し、2つ目で【クリティカルヒット】、3つ目でヒラサワさんの奥義破りに【完全成功】です。
ヒラサワさん:あー、無理ですね、死にます。ダイス降ることなく死にます。

 聖杯の力に飲み込まれるヒラサワさん。その目に映るのは――
「お、俺の1京6000兆円が!?」
「……そのお金も、消し飛ばしましょう」
 さらに放たれた聖杯の力により、増殖していた1京6000兆円は、跡形もなく消し飛ばされ、そしてヒラサワさんも爆発四散!

 ……悪は滅びた。
 戦闘続行するつもりのPCがいなくなったので、1R目で戦闘終了。

=3.6 エンディング あるいは新たな旅立ち=
 戦いが終わり。奈梨の体が消えていく。
「皆さん……私のこと、覚えていてくださいね」
 呪われた【神器の欠片:赤い絲:終】と共に、消滅していく奈梨。
 残されたのは、使命を達成した少女3人。
 彼女らは、それぞれの道を歩き出し――


……一方そのころ。
地獄の底。マグマの煮えたぎるそこは、足湯地獄。
「へっ、地獄の沙汰も金次第とは、よく言ったもんだぜ。だが、俺の1京6000兆円を消し飛ばしたあの女、絶対に許さねぇ……」
 文字通り、地獄から這い上がる男、ヒラサワさん。
「まぁ、昔の使えない部下よりは、よっぽど使える妹がいることが分かったからな。まずはあいつを探しに行くか」
 そう、次なる彼の目標は、地獄の通貨を集めること。すなわち――

5000兆ヘル円
欲しい!
最終更新:2018年02月21日 20:43