【シナリオ作りに詰まった時の簡単小技集】
文責:からつき
「シナリオを作る一連の流れ」などは、きっと他の責任感ある素敵な人々がやってくださると思うので、
こちらではシナリオ作りの途中に割とよくある
「シナリオでやりたいことはぼんやり浮かぶけど、ストーリーに起こせない」
「とりあえずのシナリオは出来たけど、なんかスパイスが足りない」
「やりたいシーンはいくつかあるけど、それを繋ぐシーンやきっかけがない」
「このNPC、重要ポジなのにキャラが薄すぎなんだけどー?」
「そもそも何も思いつかない」
などなどの【シナリオ作りに詰まった時】に対して、ちょっとした対処法のご紹介です。
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アテンション!
- 1. え? シナリオなんかそもそも書かないしアドリブで回すから別に詰まったこと無いって?
それではこの総論はNOT FOR YOU。
回れ右して別の方の総論を読むことをオススメします。
どちらかというと「アドリブに弱くて事前に色々考えときたい」「そもそもシナリオを考えるのが好き」な人向けの総論です。
※一応「アドリブを回しやすくなる設定の作り方のコツ」とかもあるんですがー…今回は時間がないのでカットしてます。
- 2.その場のテンションで突っ走る系のギャグシナリオがお好きですか?
この総論を書いてる人は、どっちかというと「シリアスしんどい」あるいは「ほのぼの切ない」系シナリオ書きです。
ギャグシナリオなどはそこまで得意ではないため、ギャグシナリオの書き方を探してる方は、やっぱり回れ右して他の総論を読んだほうがいいかもしれません。
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それでは以下より、小技集です。
我流ですが、なにかしらシナリオに詰まった人に、ちょっとでも手助けになれば幸いです。
目次。
1.【卓ネタリストを作る】★
2.【テーマを決める】★
2-1.テーマ決めのススメ
2-2.テーマは複数あると良い
3.【そのテーマでしか出来ないことを探る】★◆
4.【NPCは核を作る】★◆
5.【味方側の重要NPCには、絶対的な短所を作っておく】★◆
6.【自分がこのシナリオを遊びたいか?を自問自答する】◆
見出しの横についてる模様の説明:
★:そもそもシナリオを1から作る時に使える小技
◆:シナリオのブラッシュアップに使える小技
1.【卓ネタリストを作る】★
これはどちらかというと、詰まった瞬間というより、普段からやっておくと楽なことです。
何か「卓を立てるけどネタがないぞー!!」とか「あー! シナリオに詰まったー!」となった瞬間、このネタリストを参照すると、
過去の自分が書いたアイデアが、ばっちり打開策になってた……みたいなことも、結構あります。
ただのネタリストなので、本人に分かれば問題ないです。
どんな言葉でもOKですし、ネタの元ネタがあれば、そのタイトル名やURLを書いておくだけでも良いです。
絵や図や曲の歌詞を貼り付けておくのでもOK。
参考までに、私のネタリストには、
とか。
ひたすら混沌と書いてあります。
どうせ自分しか見ないネタリストなので、自分がわかれば何でもいいのです。
ピンときた瞬間にどんどん書いていきましょう。
質より量。単体では質の悪いネタでも、何かと組み合わせることでキラリと輝くこと、割とあります。
2.【テーマを決める】★
2-1.テーマ決めのススメ
シナリオ作りの際、テーマを決めておくと圧倒的に楽です。
シナリオにもう一捻りスパイスが欲しい時、とにかくネタが欲しい時、突然のアドリブを求められて方針に迷った時……
「このテーマに沿って演出する」「このテーマを引き立たせる方向に舵を切る」「このテーマから思いつくものを上げてみる」
など、【いったんテーマに立ち戻る】とはっきり決めておくことで、
迷わず、一本筋の通ったシナリオやRPにすることが出来ます。
また、テーマがあるとシナリオ自体の雰囲気も統一することができますし、
PL側も「ああ、このシナリオはこれがやりたいんだな」と察して動きやすくなります。
なにがやりたいんだかはっきりしてないシナリオほど、PLとしてもやりにくいものはない(自戒)
2-2.テーマは複数あると良い
個人的なオススメは、「テーマを2~3個決めておき、メインテーマ1つ・サブテーマ1~2つ程度の布陣を固める」こと。
テーマと言うと普通1つじゃないのか?と思うかもしれないのですが、
個人的な経験上、2つ以上のテーマを組み合わせた方が
「話に深みが出やすい&アイデアに詰まった時に打開先を思いつきやすい」
傾向があるので、いくつか決めとくことをオススメします。
テーマというのはいわば「シナリオを書く際の戦略方針」なのですが、当然戦略方針は複数あったほうが安定します。
1つの戦略が使えない時、別の戦略持ち込めばいいわけなので。
(ただ、テーマの量が増えるほど入れなくては行けない要素が増える=シナリオが長くなるので、単発程度のシナリオなら2つで留めておく方が良いです。
逆に、キャンペーンなどの長めのシナリオなら3つくらいテーマを決めておくとアイデアに詰まりにくいです)
3.【そのテーマでしか出来ないことを探る】★◆
「2.【テーマを決める】」からちょっとつながったお話です。
テーマが決まった。素晴らしい。
ただ、そのテーマの表面的な部分をなぞるだけではちょっと勿体無い。
せっかくなので、そのテーマの良いところを引き出していきましょう。
連想ゲームと同じように、ひたすらテーマに沿ったアイデアを書き出していくのもよし。
好きなものをテーマにした場合は、「自分はそのテーマをどうして好きなのか?」をひたすら深掘りしていくのもよし。
(読まなくてもいい)例1↓
例えば、「主従関係」をテーマにしてした場合。
ただ主人と従者が出れば良いかといえば、そうじゃない。
■主従は端的に言って「権力関係が明確なペア(あるいはそれ以上)」。
ただのペアではなく、ペア内に明確な力関係が存在することがポイント。
→「対等な関係で無いが信頼関係にある」
「従者は、主人に対する好悪関係なしに、使役されるという義務がある」
「主人は、自覚有る無し・個人の優劣に関わらず、絶対的に従者よりも上の立場である」
このあたりの、歪な関係だからこそ生まれる葛藤や逡巡を、シナリオフックとして使いたい
■PC達側に主従が居る場合、「PC側と正反対のタイプの組み合わせ&関係性の主従」をNPCに持ってくれば、
PC側の「主従の在り方」を自然に引き立てることが出来るのでは?
■「忠義と恋情」の問題。
少女漫画などの主従ものには良く「主人に恋してしまった従者」が出てくる。
「いや、従者の本分忘れるなよ」とツッコミを入れたくなる気持ちはあるが、果たしてこれは、そうツッコむだけで終わっていいことなのか?
→もともと「一心に尽くし、ひたすらに主人のために在ろうとする忠義」と
「貴方を笑顔にしたい、貴方のためになりたいという、純真で健気な恋心」の境界は、かなり危ういものなのでは?
→上手くラブコメに終わればある意味ハッピーエンドだが、
本人もその「忠義と恋情の取り違え」に気が付かなかった場合、状況によってはかなりの悲劇になりうるのでは?
→「忠心」と「恋心」の取り違えが悲劇のトリガーになるシナリオを書いてみよう。
→『「貴方のため」の感情がほんの少し拗れたせいで、大切なものが狂っていく話。これは忠義かエゴか、それとも別の感情か。』
etc.
(読まなくてもいい)例2↓
例えば「SW2.5発売記念の、初期レベルシナリオ」をテーマにした場合。
テーマの表面をなぞるだけなら、SW2.5のシステムで初期レベルのシナリオ作れば目的達成です。
でも、せっかくなら「SW2.5発売記念の、初期レベルシナリオ」でしか出来ないことを考えてみると
■SW2.0時代にいなかった敵データを使おう。
→低レベルで空を飛ぶ蛮族敵が現れたので、シナリオギミックに使えないかな?
→低レベルでは「空飛ぶ魔物を追いかける術」が非常に少ないので、そこを工夫するシナリオにしてみよう
■SW2.5初登場の「奈落の魔域」を使ってみよう
→魔剣の迷宮と違ってウィルダネスダンジョンが可能だから、野外探索感を出してみよう
→「中に入った人間の願望が反映される」設定が美味しすぎるので、ここをシナリオフックにしよう
■SW2.5初登場の「フェロー」を使ってみよう
→ただNPCを連れてくだけだったらSW2.0時代で何回かやっていたので、フェロー特有の設定無いかな
→「フェローは魔法の対象にならない」し、PC側が動かすから、同行NPCの中でも信用されやすい。
→フェローが実はゴーストやアンデッドでも、
SW2.0の時みたいに「回復魔法がダメージになるせいでアンデッドだとバレる」事故が起きにくい
→幽霊だけど、死んでる自覚がないフェローを作ろう。ここもシナリオフックにしよう
■「初期レベル」ということは、初心者冒険者。初心者のはじめての冒険だから楽しめる物語は?
→初めてパーティを組むドキドキ感、仲間と出会って仲良くなる過程を楽しんで欲しい
→パーティ内で仲良くなる、というのをGM側から促すギミックを仕込もう。
→「冒険者ってなんだろう」と少し考える切っ掛けが欲しい。
→ただの「第1回目の冒険」ではなく、PC達が「これから冒険者として生きていく決意を固める冒険」にしたい
→「冒険者になれなかったNPC」と、
「冒険者になれたし、これからも冒険者として生きていくPC」の対比で物語が出来ないかな?
etc.
4.【NPCは核を作る】★◆
NPCをシナリオに出す場合。
なんでこのNPCをこのシナリオに出すのか、という核を作っておくと、シナリオ作成やRPの際に大きな指針になります。
シーンでも、台詞でも、設定でも何でも良い。
「桜吹雪の中、涙を流しながら笑って、PC達に別れを告げて消えていく」(シーン)とか。
「『貴方を、好きになって、ごめんなさい』」(台詞)とか。
「神の声が聞こえるが故に、自らの意志を捨て、神の使徒として生きることを決めた少女の、成れの果て」(設定)とか。
この核さえ守れば、このNPCが登場した意味があった、と言えるような核を決めておきます。
核を決めておけば、それを方針として
「この台詞を言わせるなら、普段は自分の心情を吐露しないタイプにした方が、ギャップが合って映えるな」とか、
「このシーンを作るためには、登場人物と相当仲良くなっておかないと駄目だ。RPでも気をつけておこう」とか、
シナリオを書く際に参考になる部分が、自然と湧いてきます。
また、セッション中にアドリブでRPをしなくちゃいけないときでも、「核だけは絶対にずらさないように」意識していれば、
状況に臨機応変に対応しつつも、一本筋の通ったそのNPCらしい行動をしやすくなります。
重要NPCに関しては、テーマと同じで「メインの核を1つ、サブの核を1~2個」決めておくと、行動方針が詰まらずスムーズになるかと。
※ちなみに、モブに関しても核があります。
「情報を渡した後速やかに死ぬ」ことが核のモブとか。「三下ロールをした後、PCに気持ちよく殴り倒してもらう」ことが核のモブとか。
まあ、モブはモブであることが重要なので、その核さえ果たしたらシナリオからフェードアウトしてもらうというのも大事です。
5.【味方側の重要NPCには、絶対的な短所を作っておく】★◆
これは半分好みかもしれませんが……
魅力的かつ「上手くPC側を引き立ててくれる」重要味方NPCを作りたい際は、NPC自身の設定の何処かに短所を入れておくと、やりやすいです。
例えば、
可愛くて頭脳明晰なホムンクルスだけど、致命的に常識が足りなくてフォークの使い方さえわからず、変なところでへまをする、とか。
優秀な軍人でデータ的にも超強いけど、年の離れた妹に弱く、妹が関わった瞬間にてんでダメ人間になる、とか。
人当たりがよくて大人びた優秀な女の子だけど、実はおねしょが治らなくて必死で隠してる、とか。
剣術で他に並ぶものはいないと言われる豪傑だけど、おつむが残念すぎて「うん!難しいことはわからん!!」と笑いながら超簡単な罠にもひっかかっちゃう、とか。
短所を作っておくと、PC達がそこを弄って遊んでくれたり、NPCに対して親しみが湧く他、
NPC無双による「もう俺たち(PC)いなくてよくね??」みたいなPC陣の萎えを回避することが出来ます。
むしろ味方側は、「俺たち(PC)がいなかったら、確実にどっかで駄目になるわ」とPCに言われてもおかしくない布陣にしておく…くらいが安全かもしれません。
※逆に敵陣営は、そこまで明確な弱点を作る必要はありません。
打ち倒す相手が強大であればあるほど・完璧であればあるほど倒した時の達成感が上がる気がします。
6.【自分がこのシナリオを遊びたいか?を自問自答する】◆
読んで字のごとく。
なにかしら詰まった場合は、「自分がPLだったらこのシナリオに参加して楽しいか??」と問答しましょう。
「ぜーったい楽しいぜ!!!」と言いきれるなら、そのまま突っ走りましょう。グッド!!!
「自分がPLだったらこのシナリオ遊ぶの嫌だわ」と思ってしまった場合は、ちょっと考え直しましょう。
基本的にPLが楽しめない卓は地獄です。GMのためにもなりません。
絶対これ嫌だわ、と思った部分だけでいいので、そっと修正しましょう。
いずれにせよ、いざ自分が遊ぶときのことを考えてみると、
案外「自分だったら、ここわかりにくいかもなぁ」とか、「自分はこういう展開のほうがテンション上がるなぁ」とか思いつく部分があるかもしれません。
脳内テストプレイのようなものです。
以上、ざっくりとした【シナリオ作りに詰まった時の簡単処方】でした。
あくまで我流の一例ですが、少しでも役に立てば幸いです。
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これを書いた人:
からつき。大都会OG。
TRPG歴7年ほど。SW2.0、SW2.5を中心に、システムは雑食。
キャンペーンGMをするのが好き。シナリオを書くとどうしてもしんどい系に偏る。
最終更新:2018年11月22日 23:55