文責:えのき
はじめに
筆者は三度の飯より悪堕ちが大好きです。
なので、
GM総論を書くにあたってTRPGのシナリオに悪堕ちを混ぜ込む時に考えてることを纏めて話をすることにしました。
普段は一人で悪堕ちを享受してるだけで十分満足なんですけど。
この度はせっかく脳内環境を放出する貴重な機会をいただいたことですし。
こんなにも楽しいんだからみんな悪堕ちすればいいと思ったので、布教する側に回ることにしました。
読んで少しでも「へー」って思ってくれる人がいたら嬉しいです。
何故TRPGで悪堕ちなのか
TRPGって悪堕ちとの親和性が凄く高いと思うんです。
というのも、悪が明確に定義されてるシステムが多いからです。
このことはほとんどのTRPGで戦闘が行われるので必然とも言えますが。
例えばソードワールドなら蛮族。
人族とは基本相容れないし、見つければ戦い討伐すべき存在。明確な「悪」だと言ってしまっていいでしょう。
現実の世界はファンタジーやメルヘンじゃあないので、なかなかこうはいきません。
しかし、TRPGの世界の中でなら、悪はしっかりと定義されているのです! 白黒はっきりつく!
悪がはっきりしている世界観であればあるほど、堕ちてしまったという事実は確固たるものとなります。
その差分から生まれるエネルギーは、シナリオを作るに十分たるものです。
少なくとも筆者にとっては。
例えば、元々味方であったはずのキャラクターと戦わなければならない葛藤。
あるいは、自分も力に呑まれ悪に屈してしまうかもしれないという恐怖。
そういう要素が堪らなく好きなのです。
悪堕ちをTRPGに混ぜ込む魅力は、背景にドラマのあるヒロインや敵役が作りやすい点にあります。
「なんでこの敵こんなことしてるの? 動機は?」というPLやシナリオ書いてる途中の疑問に対し、しっかりとした理由付けが出来る。
「この敵はね、元々は正義の味方だったんだけど、身体を改造されて今は敵の言いなりになっているんだよ」
「ちょっと現実に絶望してしまって悪の組織の非人道的手段で願いを叶えようとしているんだ」
といった具合で。
生まれつき悪となるべくして生まれた悪もあるでしょう。
だがしかし、得てして人は(人に限らずですが)正義と悪の狭間を揺れ動くものだと思うのです。
そんな変遷を丁寧に描写したい。そんな時、悪堕ちは有用です。
特に単発セッションだと深みのあるNPC作るの難しいなーなんて思うこともありますので。
悪堕ちの個人的な一番の推しは、悪堕ちした前後のギャップにあります。
これまで人を守るために戦ってきた人が、突然連続殺人鬼と化す。
その人が絶対しそうもないことなのに、間違いなくその人本人がやっている。
こういったにわかには信じがたい変化は、そうなってしまった理由を聞きたくなる現象の一つではないでしょうか?
そういう形で、もしPCやPLの興味が引けたなら。モチベーションをもたらすことが出来るなら。
それはそれで、いい導入の一つではないかなと思うのです。
また、悪は力です。
人々は、法と規範から普段は逃れることが出来ません。
社会を維持していくために不可欠な要素だからです。
しかし、そこから逃れ悪に堕ちたとき、その人はどうなるでしょう?
そのキャラクターが本当は何をしたいのか。本当は何を望んでいたのか。
縛られるものがないなら、願う物すべてを現実とすることも不可能ではないでしょう。
キャラクターごとに違う「願望」がよく見えるのは、大きな力を手にした時だと思います。
昔、偉い人はこう言いました。
「暗黒面のパワーはすばらしいぞ」
力を得たことで垣間見える、念入りに隠されていたキャラクターの一面。
そこに、悪堕ちをする理由があるのかもしれません。
その内容、気になりませんか?
あとは外見的な変化の描写がしやすい点もあります。
天使に突然黒い羽根が生えるとか。目からハイライトが消えるとか。
闇のオーラを纏うとか。鎧が禍々しい攻撃的なものに変わるとか。
「ああ、味方だった頃のあなたはもういないのね」と感じさせる描写だとか。
あとは時代の流れが多少絡んできます。
好きなものをシナリオに突っ込むこと自体は、あなたが自分でシナリオ書きたがりのGMであるならよくあることです。
でもそれがPLに通じないと悲しくなってきます。
例えば「レリーズ!」って叫んでなんか凄いことをしようとした時に他PLに「それなんですか?」って聞かれると心が死にませんか?
筆者は死にました。
何が言いたいかっていうとですね。
ネタがみんなにとって楽しいものになるには、ある程度それについての共通認識があった方が楽だってことです。
その点で言えば悪堕ちが市民権を獲得してきて伝わり易くなったことはやりやすくなった一因としてあると思います。
『Fate/stay night』のセイバーオルタとか『まどマギ』の美樹さやかとか『艦これ』の深海棲艦化とか。
「あーああいうやつね」って結構多くの人から反応が返ってきます。打てば響くいい時代ですね(前時代を知らない人並の感想)
そんなこんなで、悪堕ちを書くモチベが生まれてきます。
これもまた筆者の主張ですが、TRPGのシナリオ作成は比較的ハードルの低い創作活動の一つだと思っています。
自分が表現したいことをなんとなく形を整えて、好きな要素を混ぜ込んでシナリオにする。
GMをすれば割と簡単に人が自分の書いたシナリオで遊んでくれる。
自分の好きなことを求めてる人に直接ぶつけられる、なかなか悪くない趣味だと思いますよ。
(あまり思い込みが激しいと吟遊とか言われることもありますが、それはまた別の話で)
そんなこんなで色々こねこねしてるのが筆者です。
……最近自覚したから案外書けてないですけどね。
悪堕ちシナリオを書くにあたって
シナリオを書くときに特に意識している部分を挙げていきたいと思います。
悪堕ちには「洗脳/改造/同調/憑依/同化/寄生/闇堕/覚醒」の8種があるんだそうです。
この記事では具体例として、ヒロインNPCが各分類で世界を滅ぼそうとする時にどんな台詞になるか纏めるに留めようと思います。
解説すると長くなるので、詳細は「はじめに」のリンクから読めますので詳しく知りたい方はそちらをご参照ください。
洗脳「セカイ……ホロボサナキャ……」
改造「この新しい力があれば、世界を滅ぼすのだって簡単じゃない……!」
同調「声が聴こえるの……『この世を壊せ』って、囁く声が……」
憑依「ようやっと現世に戻ってこれたわい。さて、この身体を使って破滅をもたらすかのう」
同化「(兵器の生体コアとして使われ、街を破壊する)」
寄生「止めれるもんなら止めてみろよ。こいつの脳内に巣食ってる俺を排除出来るならな!」
闇堕「この世界に救いなんて、あるわけなかった、だから、私、は」
覚醒「私、『思い出しちゃった』んだ。大災厄をもたらす魔王になる運命だった、ってことをね」
前者6つは受動的な悪堕ち、後者2つは能動的な悪堕ちと言われています。
前者はその人が悪堕ちする羽目になった元凶が必要なのに対して。
後者はきっかけさえあれば悪堕ちするのに他の人の介入は必要ありません。
この能動・受動の分類で違ってくる点があります。
悪堕ちの対象に絡むNPC数が変わるのが一つ。
「敵として出したいNPCの頭数足りないんだけど!」って時は、悪堕ちの元凶を別キャラクターとして登場させると人数を嵩増しできます。
ヒロインに洗脳を施した組織の博士とか。
実はボスに寄生していた人外とか。
如何にも黒幕的なキャラクターとして演出するのも容易です。
何せ人の所属陣営を変えるだけの能力を持っているわけですから。
データ的な面でも戦闘バランス上どうしてももう一人欲しいとか。
もっとNPC出したいんだけどどうしてもキャラクター案が浮かばないとか。
そういったときには受動的な悪堕ちを思い出してみるのも悪くないでしょう。
逆にどうしてもNPCの数を絞りたいけど悪堕ちNPCを出したくてしょうがない!
そんなときは闇堕や覚醒にするのが無難です。
ドラクルージュなどキャラ間の濃密な感情を重視するシステムだと、NPCの間引きが必要なこともあるかもしれませんね。
もう一つは悪堕ちしたキャラクターの処遇に関する点です。
受動的な悪堕ちの場合、悪堕ちしたキャラ本人は被害者だと見られることが多く、PC達のヘイトは悪堕ちさせた側に対して向けられることが多いです。
ヒロインを悪堕ちさせてPC達に仕向けたいんだけどヒロインのことは嫌いにならないでほしい!
そんなワガママGMにお答え出来るのが受動的な悪堕ちです。
特に憑依・同化・寄生辺りはNPCの意識がない中で好き放題されているケースが多いです。
その子、上手く使ってあげてください。
能動的な悪堕ちは、最終的に悪の側につく事を決めたのがそのキャラクター自身である点で、ある程度責任を問われます。
一時の強い絶望に身を任せてしまったせいでこれからどうするか思い悩むヒロインが見たい!
正義と悪の板挟みになってもがき苦しむライバルを書きたい!
そういうあなたには、能動的な悪堕ちをオススメします。
敵対した時に理性的な受け答えが出来るのも魅力的でしょうね。
「悪堕ちは堕ちる前と堕ちる過程と堕ちた後を描写する」のがベストだと思います。
理由としては、悪堕ちが前述の通り敵役に深みをもたせる要素だというのが一点。
「俺は悪堕ちしたんだー」と口に出すだけで何があったのかを語らずに終わらせてしまう。
それでは、背景に何があったのかよく分からず片手落ちと言わざるを得ません。
悪に堕ちてまでやりたかったことがあるのか。
悪に堕とされる心の弱みがあったのか。
過程や原因を是非、みんなに教えてほしいのです。
とはいえ全部の描写をするのもなかなか骨だなーって思う時もありましょう。
そういう時もいくつか方法がありまして。
「回想シーン的なマスターシーンで堕ちる前の描写をする」
「NPCの最初の紹介の時は堕ちる前の情報を入れる」
などです。
悪霊に憑依される瞬間のヒロインが抵抗しようと金切り声をあげるシーンだとか。
今回のボスNPCの情報項目を調べてみたらかつての心優しい少年エピソードが出てくるとか。
そういうのがほしいんです。筆者もめっちゃ見たいです。ほんとに。
堕ちる前後でキャラクターの印象に差をつけると、悪堕ちがグッと映えます。
PCやPLに、堕ちたことによる変化を否応なしに実感させてあげるのです。
堕ちる前のあの人はもうどこにもいないこと。
でも目の前にいるのは確かに「あの人」であること。
その矛盾が、ギャップが真髄です。
この時よく使われるし筆者もよく使う手法の一つが「反転」です。
以前の印象を反転させるように、個性を逆転させるのです。
有り体に言ってしまえばイメチェンの一種と言えなくもないですが。
例えば、こんな感じ。
堕ちる前に着ていた白い服は、堕ちた後は同じデザインでも黒い服。
艶のある長い黒髪にブリーチ。
イケメンが醜悪な獣に変化。
人々を守ってきた騎士の剣は、一般人の血で塗られた魔剣に。
かけていた眼鏡は外す。
あとは「歪み」もよく使います。
ここでの「歪み」とは、元々の願いは変化していないにもかかわらず、そこに至る過程が変化してしまうことを指します。
お金がほしいから、働くのではなく盗みに走る。
あの人の恋人になりたいから、あの人の周りにいる異性を全員殺す。
そういうすぐに分かりそうな「歪み」を認知できないのも、日常からの逸脱を感じ箚せられていいですよ?
おすすめのシステム
「システム毎に得意とするシナリオがあって多少の無理は通るけど適材適所の方が簡単に美味しいセッションができる」
これも持論です。
極端な話、ゆうやけこやけでガチ戦闘しようってあまり思わないんですよ。
やってる人がいたらすみません。
こういう主張をする筆者が色んなシステムに手を出しがちなのも一因としてはあると思います。
あるいは自分で書きたいシナリオに合わせてシステムを作る人もこの広い世の中いらっしゃいますからね。
何にせよ向き不向きはあるんじゃない? そういうことさ。
そんなわけで悪堕ちをやるにあたってやりやすいシステムをいくつかピックアップしてその理由を一緒に纏めておくことにします。
基本的には、
①悪の定義がはっきりしているシステム
②悪堕ち後の存在が世界観的に定義されているシステム
の2つを念頭に置いて推薦していこうと思います。
解説読んで「違うわ」って思ったらそれはそれで。
あなたにとって悪堕ちしやすいシステムが見つかることを心から願ってます。
あとここで挙げたシステムじゃないと出来ないってわけじゃないですからね。
君だけの悪堕ちを見つけてほしいと筆者は切に願っております。ええ、もちろんですとも。
そしてPL参加させてほしい。もしくは筆者がGMした卓で軽率に悪堕ちしてほしい。
①蛮族やアンデッド②ナイトメアとダークナイト。
穢れを生まれつき持っているがために、また出産に際し角で母体を傷つけ死に至らしめることも多い。
そんな理由で主だった人族から嫌われがちなナイトメアという種族がいつでも堕ちれる素因持ちの種族で悪堕ち目線では美味しいです。
公式で人族を嫌いになるあまり蛮族の側についたナイトメア・ダークナイトがいるのも頷けるレベル。
良きゴブリン問題みたいなのも太古の昔にはありましたが、基本的に人族と蛮族が相容れないのも高評価です。
蛮族側についた時点で悪堕ち確定ですからね。
あるいは一定以上アンデッドいじってた場合。
プレイ人口も多いし門戸広いので受け入れて貰えそうなのも◎。
①一般的にはFH②ジャーム
非常に強力な力を秘めたオーヴァード。レネゲイドの衝動は、抑えられなければ破滅します。
PCたちがバックトラック終了時に侵蝕率が100%以上出会った場合、否応なしにジャームと化します。
レネゲイドウイルスの衝動に全て身を任せてしまう理性を失った存在になってしまう、という設定が生々しく悪堕ちを想起させます。
適当なエネミーを出しても、「お前も昔は俺たちみたいだったんだろ……」って気持ちになってしまう。
その過去を描写するとそれっぽく堕ちる前と堕ちる過程と堕ちた後を描写することが出来るので、お手軽でいいと思います。
現代異能ものなのもいいです。やっぱりこういう類のシステム一個は押さえときたいです。
ステージも様々でなかなか遊び倒せないのも吉。
サプリメント『レネゲイドウォー』の付属シナリオが綺麗に悪堕ちを描いたキャンペーンなので気になる方は是非。
①民を脅かすもの全て②堕落した騎士
─己を律すること能わず、渇きに渇ききった騎士は、堕落に導かれる。
不徳を為し、志を汚してしまうのだ─
不滅の存在である吸血鬼の騎士が、民や騎士といった他人からの感情を受けられない。
極端に言ってしまえばそれだけで、人狼や黒山羊といった醜悪な姿に身をやつしてしまう。
そしてそれは、PCたちにとっても例外ではないのです。
悪堕ち周りの構造はダブルクロスとよく似ているものの、ゴシックファンタジー寄りで好きです。
耽美な感じがいいよね。
①ロアテラとその眷属②エンブレイスとエクリプス
最近の一推し悪堕ちシステムです。世間的にはうちよそ尊い系TRPGですが。
一般人やステラナイツにロアテラが精神的干渉を行うことでエネミーと化します。
しかも悪堕ちした時点でステラナイツになる時に願ったはずの願いが叶わなくなるしんどいおまけ付き。
ルルブで悪堕ちRPの指針が書いてあるのも高得点ポイントでした。
自己紹介の時に堕ちる前の描写、第一・二幕で堕ちゆく描写、幕間・最終幕で堕ちた後の描写をするのが
筆者の中ではテンプレ構成になりつつあります。
カーテンコールで元に戻ったあとの処遇まで見られるので一粒でめっちゃ美味しいです。
こんなシステムがあったのか……
その上キャラクターの作成方法もセッション中の挙動もPCとエネミーで大きく変化がないのがいいです。
次にロアテラに囁かれるのは、そこのあなたたちかもしれませんね?
具体例
これを書いてる時点で話題沸騰中のTRPG『銀剣のステラナイツ』での具体例の話をします。
単発で「〇〇しないと出られない部屋」シナリオセッティングをすることが決まり。
エクリプスと舞台を考えていた時の話です。
脳内の思考回路を追っていきます。
自分でも案外参考になりますねこれ。
「〇〇しないと出られない部屋」をやりたい!エクリプスつくろー!
→ステラナイツたちを部屋に閉じ込めるのはエクリプス。なんでそんなことするのか?
→連鎖堕ちのため。他人も閉じ込め堕ちゆく自分も無意識に閉じ込める
→元々外に出てた子がエクリプス堕ちしたことで部屋に閉じこもる様になった
→なんで?????
→じゃあ悪堕ちする素養として元々部屋に閉じ込められてた子って暗い要素を盛る
→元々暗い子がステラナイツになって正義の味方になってたけどエクリプスになって元に戻ってしまった
→方向性がだいたい決まった。分類的には洗脳+闇堕
ここまで10分くらい。そんな思考回路を踏んで出来たキャラがこれです。
名前:水無月遥華
性別:女
年齢:15
所属組織:聖アージェティア学園中等部
あなたの物語:権力者の血筋
絶望:停滞した世界
願い:きらめく世界
性格:純粋にして狭い所が好き
花章:紫色のアマランサス
色白黒髪ロング蒼眼。身長は高くも低くもなく。
大企業グループ・水無月グループの一人娘。深窓の令嬢。
厳しい両親に躾けられ、部屋の外に出ることも叶わないほど過保護に育てられてきた。
本人はそれが嫌で嫌で仕方なく、外の世界に常に憧れを抱いてきた。
ステラナイツになってからはシースとの共同生活のため、聖アージェティア学園中等部に通い始めることになる。
願いの決闘場を始めとする外の世界を見ることでその新鮮さに触れ、憧れてきたが……
エクリプスに堕ちたので停滞した世界に戻り、目が曇りきらめきから目を背け始めた。
世界を破壊させるエクリプスの使命に伴い、無意識に自らの敵となるステラナイツを出口のない部屋に閉じ込める。
サンプル台詞
「ここが、私の世界。外には出られないけど、綺麗でしょう?」
「あなたが魅せてくれた輝く世界。手を伸ばして届くなら、私も、掴んでみたかった」
NPCを作る際に筆者は既存キャラを一捻りすることが多いです。
今回は『仮面ライダーアマゾンズ』の水澤悠をモチーフに。
劇中で悠は水槽の中の熱帯魚に例えられ、超過保護な「養殖物」として描かれているのですが。
一度外に出た後に、もしその状況に戻ってしまったら?
そういうIFを大本に肉付けをしました。
性別そのままよりは深窓の令嬢の方がそれっぽいかなと思ったので女の子にして。
苗字も水澤→水無月で「無」の持つマイナスイメージを上手く使う感じで。
既存のキャラは悪堕ちさせるだけで別キャラっぽくなるのでいいですね。
ステラナイツ世界観における拘りポイントもいくつかあります。
まずは所属組織の聖アージェティア学園。
元々はシトラ女学院と並ぶほどのお嬢様学校だったけど共学化してしまった。
そのフレーバーが凄く堕ちを感じさせるんですよね。同調みたいで。
陰を感じさせる学園ランキング1位を差し上げます。
なにいってんだこいつ。
スポーンオブアーセルトレイも劣等感の塊みたいで結構使いやすいと思います。
あとは絶望:停滞した世界と願い:きらめく世界の対比ですかね。
願いが叶わなくなるエクリプスで、きらめく世界が消え、
停滞した世界に押し込められる描写がデータでも表せるのはポイント高めです。
同じシチュエーションでも悪堕ちの仕方は千差万別です。何でもありですよ。
あなたの発想一つで無限に新たな悪は生まれるのです。
さあ、ようこそこちら側へ。
筆者はいつでも、あなたを歓迎しますよ?
あとがき:自分の起源・原風景について
さてここまで読んでいただきありがとうございました。
筆者が普段から考えていることの羅列になってしまってますけれども。
改めて読み返してみると筆者自身も例えば一般的なボスのキャラ設定を盛るのに使えそうな感覚があります。
NPCキャラ付けの一貫としての「悪堕ち」ってこういうものなんだ、と感じるいいきっかけとなってくれれば幸いです。
この記事を読んでくれたあなたの心に少しでも何かが残せたなら筆者としてはしてやったりといったところです。
その残った何かが育っていくのを信じています。
残らなかった人は「ふーんこんな奴もいるのねーそっかー変なのー」って一刀両断してください。
それはそれで大丈夫です。いつかはこちらに来てくれるでしょうきっと。
あとがきということで、筆者の自分語りをしようと思います。お付き合いいただけると嬉しいです。
小見出しの「起源」「原風景」というのは、要は自分の創作や発想の原点を概念として提示してみることです。
例えば『銀剣のステラナイツ』作者の瀧里フユ先生の原風景は「魔女の騎士」「世界を敵に回した姫君と、唯一その味方である騎士」なんだそうです。
システム名の銀剣も、原風景の騎士の影響をなんとなく感じさせます。
創作物に影響を与える自分の由来、みたいなイメージを持ってもらえると理解しやすいかと思います。
筆者の原風景は 「あなたの前に立ちはだかる、あなたも辿り得た可能性の一つである『もう一人のあなた』」です。
この原風景の登場人物は二人。
「あなた」と「もう一人のあなた」です。
「もう一人のあなた」は別に「あなた」のクローンだとかそういうわけではなくて。
それまでの境遇が近いとか、同じ力を持ってるとか、そういう類似性を示す表現です。
根っこが一緒とか、同源の存在といったイメージです。
幼馴染とか、部活の同期とか、ぐだ子とクリプターとか、ブラックサンとシャドームーンとか。
この二人は根っこが一緒なので、どこかで経験したイベントの結果が少し違っていれば、お互いの立ち位置が入れ替わる可能性があります。
さっきの部活同期の例であれば。
片方が試合直前に怪我したせいでもう片方が大会では優勝したけど、怪我する人がもし違っていれば大会の優勝者も変わっていただろう。
みたいな。そういう類似性を持った二人。
なんですけど、この原風景では互いに敵同士の立場にあります。
理由はここでは限定しません。嫉妬でも誤解でもなんでもいいです。
紆余曲折を経て敵として「あなた」の前に立つ「もう一人のあなた」のことは、「あなた」もよく理解できるし、「あなた」もなり得た姿かもしれない。
それでも、自分の正義を信じ、意志を貫き、目の前に立つ「もう一人のあなた」と対峙し、あくまで敵対する─
そんな感じの一度は離れたにも関わらず切っても切れないどこか危うさを孕んだ二人の関係性がとても好きです。
この関係性をPCとヒロイン、あるいはPCとライバル、あるいはPCとボスで体現したい。
これこそが筆者にとって悪堕ちをTRPGに取り入れる方針に繋がっているのだろうと思います。
悪堕ちはこの原風景にぴったりだと思うんですよね。対峙している同源の存在ってあたりが特に。
改めて、ここまでお読みいただきありがとうございました。
よき悪堕ちライフを!
筆者について
HN:えのき。まだ現役。
TRPG歴6年くらい。GM:PL=3:7くらい?
最近自作シナリオに向き合い始めた。
好きなシステム:シノビガミ、銀剣のステラナイツ
でもまあなんでも遊ぶ人。
最終更新:2018年11月23日 14:04