※エンゼルギア2ndのネタバレを含むため、キャンペーン未プレイ者はプレイしてから読むことを強くオススメします














































シリアス全開の第二部、始まります。



[第一部終了後]

PL4:まさか本当に攫われるとは。
GM:いやーフラグでしたね。
PL1:あはは。
PL2:RPGとかで戦闘に勝ったのに負ける展開ありますけど、今回のは一番納得した。
PL3:この戦闘マップ、すごいわ。全員横向いてるもん。
GM:今回のでまた状況が変わったと思うんで、やりたいことできた人は言ってください。今後の展開なにも考えてないので。
PL4:でしょうねw

このキャンペーンは、だいたいプレイヤーのやりたいことを聞いてからシナリオが組まれている。プレイヤーの要望がシナリオになるのだ。
ついでにその場で面白いと思ったら、ライブ感を重視してシナリオを投げ捨てることも珍しくない。
例えば。

GM:で、次回はカナンメイン回の予定なんですが何かありますか?
PL4:思いついたのは、こんなのだけど。
GM:なるほど?w
PL4:キャラ作の時に救いがなくなりましたからねw

そんなこんなでしばらく経ち、第4話のセッション日。
非常におつらい顔をしたGMがそこにいた。

GM:今回はね。重い。
祝:オープニングが2期の重いやつになってるんですねw
GM:で、ハンドアウトはありません。いやあるんだけどネタバレになるからシナリオ中盤にならないと出せないw
ボルシチ:あ、そうだGM。《大いなる楽の音》取っていいですか。記憶取り戻したからw
GM:そういえばそんな話だったなーw
祝:クリス対策に幻影喝破も取らないといけないんだよな。誰かとる?
為真:毎戦闘それで隠密チェックはしないよ? 「クリス! いるんだろ!」って毎回言う人になるw


[オープニング]

八丈島での激戦から1週間後。
瑞穂に戻ったギアドライバー達は、かりそめの平和を享受していた。

祝:平和か?
GM:まず、現在の皆さんの状況ですが。

  • ボルシチ
 セラピアが攫われたあと、シュネルギアに一人取り残されそのまま海に落ちました。昏睡状態で、今も目が覚めていません。

  • セラピア
 クリスに攫われたことが機体に残された通信記録からわかっています。それ以上の音沙汰はありません。

  • 為真&雛子
 シュネルギアは大破して海に落ちたものの、無事脱出できました。元気です、おめでとうございます!

  • 祝&サラ&ツバサ
 フーファイターカブトのオリハルコンナイフが直撃しましたが、機体が壊れただけで元気です。

  • カナン
 オリハルコンナイフが基地に直撃して死にました。

カナン:はい。
為真:かりそめの平和ってなに!?
GM:死んだっていうか、戦闘の後救急搬送されてICU的なアレです。未だに状況は知らされていません。
カナン:はい。

シュネルギアは、海に落ちた機体をどうにか回収して修理し、1週間である程度元通りになった。
本土に残ったおかげで無事だった桂&リュンマをメインに瑞穂周辺を警戒していたが、この1週間はホイシュレッケの出現すらなし。
本当に平和な1週間だったのだ。

GM:そんな状況で、始めていきます。
祝:2人死んでるんですがそれは。


  • 為真

状況は深刻だが、日々の訓練は欠かせない。
今日もいつものように、為真と雛子は訓練を終えた。

雛子:「お疲れ様です、為真さん」
為真:「お疲れ。……あれから1週間、なにも起こってないけど。そのままであるはずがない」プレイヤーもそう思ってるw 「今度何かあったとき何も動けないようになりたくない」
雛子:「雛子も同じです。……セラピアさん」

基地の中も外も、騒がしさの原因はない。ひっそりとしたものだ。

雛子:「セラピアさん……生きてますよね」
為真:「生きてると思うよ、たぶんね。殺すために連れ帰ることは、しないんじゃないかな。……いやでも処刑とかそういうことあるのかな」
雛子:「処刑……!?」
為真:口が滑った。

そこへプシナから通信が入る。
オペレーターの補佐をしていたカナンがいないため、プシナも大忙しだ。
しかも、常に明るく振る舞っている。

プシナ:「為真さん、お客さんですよ!」
為真:「お客? 誰だろう」
プシナ:「客室に通してあります」
為真:「雛子と一緒でもいい?」
雛子:「はい、雛子も気になります」

客室には見覚えのある人間がいた。
海の家のマスター、シングォとそこで預かられていた子供のユウキだ。

為真:「ああ、ユウキ君とクァトリさん。お久しぶりです」
シングォ:「おお久しぶりだな。かき氷の味がわかんねえ坊主」
為真:「為真です」
シングォ:「おおイマっていうのか、かき氷の味がわかんねえ坊主!」w
為真:くっw
シングォ:「わりいな忙しいところ! なんてったって人類を守るために戦ってくれてるんだからな!」
為真:「……今日はどうしてこちらに? というか、八丈島の人たちは今どこで暮らしてるんですか?」
シングォ:「ああ……そこから説明するか」
GM:というわけで、前回のエンディングから起こったことを説明するシーンになります。
カナン:2期1話にありがちなやつ!w

「1週間前。お前たちが天使艦隊を追い返してくれた。
 だがあの時、基地も島も全部めちゃくちゃになっちまった。
 お前たちを責めてるつもりは全くねえ。坊主たちが戦ってくれたおかげで俺たちは生きてるんだからな。
 それでも島は住める状況じゃなくなっちまった。
 ……幸い基地の親父さんが手を回してくれたみたいでな。島の人間みんなで本島に逃げてきたってわけだな」
「島の人たちは、……どれくらいの被害が?」

シングォは少し気まずそうな顔をした。

「まああれだけの被害だからな。全員無事ってわけにはいかなかった。
 だがそれでもこうして生き残った人間がいる。坊主たちが戦ってくれたおかげだ」

シングォは元軍人で、戦争が犠牲を伴うことは身に染みてわかっている。
しかし結界が破られて戦いが始まって以来、ギアドライバー達の周りで民間人が犠牲になるのはこれが初めてだ。

シングォ:「それでな。今日はユウキのやつがおめえらに礼を言いたいって言いだしてよ」
GM/ユウキ:ユウキ君はおずおずと前に出てきます。「この前は生意気なことを言ってすいませんでした」と。
為真:丸くなったなこいつw いやでも為真はそんなこと言わない。
雛子:「為真さん、この子、丸くなりましたね」w
為真:「無茶はしなくてもすみそう?」

ユウキはうなずいた。
「お父さんとお母さんが天使に殺されて、僕もこの手で天使を殺したいって思ってたんです。
 でも実際に天使を目の当たりにして。僕一人の力で倒せるような相手じゃないってわかりました。
 それでもやっぱり天使を許せません。天使を倒すためのサポートがしたいって思ったんです」

為真:「……」
ユウキ:「だから僕、ここで店を開く!」
祝:は?w
為真:「? 店?」
シングォ:「俺がやってた海の家はなくなっちまった。だからここらで新しく店を開くことにしたんだ。ここには海がねえから……『基地の家』だ。
  やれることは変わらねえ。簡単な飯やかき氷、あとここなら酒が簡単に手に入るからそれもだな」
祝:大衆食堂みたいな感じか。
ユウキ:「基地で天使と戦う皆さんの帰ってこれる場所になれたらいいと思います」
カナン:誰だこれ、キャラ違いすぎない?w
雛子:「またブルー八丈島が食べられるんですね」
シングォ:「――ブルー瑞穂、だ」w
為真:どうせ同じだろ!w
シングォ:「坊主あんまりかき氷わかんねえもんな!」
為真:「…………そうですね」w 「店がオープンしたらみんなでいきます」
シングォ:「実はもう準備はできててな、今日から開ける予定だ。忙しいとは思うがたまには息抜きに来てくれ。サービスするからよ」

面会は終わり、部屋への帰り道。
為真はふと呟いた。

為真:「ついみんなでって言っちゃったけど。みんなで行けるようになるかな。いや、行けるようにしないと」
雛子:「そう、ですね。ボルシチさんも、カナンさんも……セラピアさんも連れていかれちゃって。でもきっと、またみんなで一緒にご飯食べられますよね」
為真:「うん、絶対に。本当の平和を取り戻そう。あと、クリスもだ」
雛子:「はい。……ところで為真さん。先ほどのクァトリシングォさんや、ユウキさんも……」

雛子はそこで周りの様子を伺い、声を潜めた。
「天使に見えるんですか」

為真:「うん。見えてるよ」
雛子:「……そうですか」
為真:「でもね。最初より気が楽になった。天使に見えることを気にしなくてもいい瞬間が、何度かあった。……しばらくはこの気持ちのままでいいのかな」
雛子:「為真さんは、変わったと思います。雛子が来たときはちょっと怖くて、周りの人に心を許してないのかなって思ったんですけど」
為真:むしろプレイヤーがその予定だったんだけど。
雛子:「でも桂さんの恋愛大作戦とか、八丈島の一件とか、雛子が思ってたよりも色んな人といろんな話をして、一緒に過ごして。うまく言葉にできないですけど……」
為真:「あの時から変わったのかもしれない。クリスのおかげだ」
雛子:「そうですね」
カナン:いい話だけどきっかけの話はひどいんだよなw
祝:そうですねじゃあないんだよw

為真は、ようやく普通の人間になりつつあった。



GM:えー今回は、ずっとスルーされてたツバサ回です。
祝:この状況で!?w
GM:祝にとってはだから。アクシアとズィーガーも絡んでくる予定だし。
祝:まあいいや。へらへらしてよう。俺らがへらへらしないとみんなへらへらできないからな!
ツバサ:「俺様ちゃんがへらへらしないとな! 平常心が大事なんだよな!」
祝:「まーでも、心配だよな」
ツバサ:「な」

会話終了。

ツバサ:「セラピアもまさかあんなことにな……」
祝:「な」

会話終了。

祝:「ボルシチも……そういや、セラピアが法王ラルフ・マスケンヴァルの娘なんだっけ。やたらとボルシチを推すからロシア系なのかなーとは思ったけど」
ツバサ:「なんだしらなかったん? ボルシチの起源は、ウクライナなんだぜ?」w
カナン:別卓で仕入れた知識じゃんw

そんな話をしていると! アクシアとズィーガーが何やら真剣に話している場面に遭遇する!

祝:2話のあれじゃんw
GM:桂さんが死亡フラグを立てたせいでスルーされたイベントがついに。
カナン:勝手に立てたんだよなあw
GM:ツバサはその辺の茂みに隠れて様子を伺います。
祝:ここ屋内じゃなかったっけ?w 俺も隠れる。
GM:「またあの機体を……どうして」「あれは君のせいじゃない」とか適当なことを言ってて、ツバサは辛そうな表情になっている。
祝:これ祝くん気付くんじゃないかな。そして口に出すんじゃないかな。「おいツバサ?」
ツバサ:「ん? ああなんでもないなんでもない。変なとこ見ちまったよな。ははは」
祝:「ツバサ、もしかしてお前……」
ツバサ:「え、なんのこと?」

ごまかし方がへた。

祝:「いやだってお前の表情がさ、いつもと全然違うじゃん」
ツバサ:「ない、そんなことないから!」

錯乱したツバサは茂みの中へ沈んでいく。
それを追いかけて祝も沈んでいく。

シーン終わり。
……なんだったんだこのシーンw


  • ボルシチ

ボルシチ:綿密な打ち合わせをしました。
GM:記憶に関わるから、今出せる情報には限りがありますからね。名前とか呼べないからむっちゃやりづらいw

夢。
夢を見ている。
ホテルの一室のような、整った部屋にふたりはいた。
10歳ぐらいのボルシチと、その母親。ボルシチと同じ、ブロンドヘアーの女性だ。
母親は、ボルシチに歌を教えてくれている。

ボルシチ:「歌上手になった?」
母:「ええ、すごく上手になったわ」
ボルシチ:嬉しそうに笑う。「これぐらいしかやることがないからね」

母親は一瞬、悲しそうに目を伏せた。

母:「どんな時だって、歌を歌えば楽しい気持ちになるでしょう?」
ボルシチ:「それがおかあさんと一緒ならもっと楽しいよ。だから大丈夫」
母:「ええ。辛い時こそ歌を歌うの、そうすればきっと乗り越えられるから。この歌を大切にしなさい」
ボルシチ:と、教えてくれるのが《大いなる楽の音》ですw
GM:そっかーw

その時、部屋のドアがノックされる。
入ってきたのは、銀色の髪をしたむかつくほどの優男。

「覚悟はできたかい?」

母親は静かにうなずき、立ち上がった。

ボルシチ:「おかあさん!」
母:「大丈夫、あなたは強い子だから。その歌があれば乗り越えられる。希望は必ずあるわ」

銀髪の男に連れられ、母親は部屋を出ていく。
「おかあさん! 行かないで! おかあさん――!」


ボルシチが目を覚ますと、そこは瑞穂基地の病室だった。

「ここは……? そうだ、わたしは……」

ボルシチは、自分が見ていたのは過去の夢だとわかった。母親との別れの夢。
全てを思い出した。


GM:というわけで、キャンペーンの特別ダーザインを渡します。

☆特別ダーザイン
前回ボルシチは、ダーザイン【セラピア からの 母性愛】を残してシナリオを終えた。
このダーザインが、8つ目のダ―ザインとしてLv5で追加される。
通常のダーザインと同じように扱い、使用することや書き換えることも可能。さらにシナリオを持ち越して保持できる。
ただし昇華した場合、ダーザインは消滅し、2度と使用できない。
また、セラピアからのナビゲーターダーザインは以降存在しない。

GM:まあセラピアがナビゲーターじゃなくなるんですけど、さすがにそれでガブリエルが使えないってのはひどいので。1回だけ使えます。
祝:テアテラも自分には使えないからちゃんと1回だけだなw
カナン:とっとかないとダメなやつですねこれ。
ボルシチ:よーし。
GM:で、最後カナンです。


  • カナン

時は少し遡り、八丈島での激戦から数日後。
カナンが目を覚ますと、知らない天井が見えた。

「あれ……私どうしたんだっけ」

八丈島での記憶がよみがえってくる。
天使化したフーファイターが、黒い羽根を島中に展開。
飛来した大量の羽根が基地のガラスを突き破り、壁や柱に突き刺さっていく。
ついにはオペレータールームの天井が崩落。羽根から身を守ろうと伏せていたカナンの頭上に落ちてくる。
カナンが最後に感じたのは、自分自身が大きな力に潰される感覚だった。

カナン:「……はは。潰されても、案外生きてた」
GM:その時、「あらカナン、目を覚ましたのね」と声が響きます。ラムダの声です。
カナン:「お母さん! お母さん、大丈夫だったんだ!」
ラムダ:「私は大丈夫よ、カナン」
カナン:「ねえ、あの後どうなったの。天使がすごい攻撃してきて、それで……」
ラムダ:「カナン、喜びなさい。ようやくあなたが私の実験の役に立てる日が来たのよ」
為真:うぇっ。

カナンは体が動かせない中、なんとか目だけを動かして母を探す。
視界の端で捉えた母は、満面の笑みを浮かべて何か黒いものを取り出していた。

カナン:「お母さん?」
ラムダ:「これであなたも天使と戦えるわ」
カナン:「みんなは? ねえ、みんなはどうしたの?」
ラムダ:「皆? ええ、あなたも皆と戦えるようになる。そう、この黒い天使核があれば!」

ラムダは何か刃物を取り出し、カナンの体にあてがった。
そのまま引き裂く。

カナン:「ああああ!!」
ラムダ:「今からこの黒い天使核をあなたに埋め込む。でも慎重に融合状態を見る必要があるから、麻酔はできないの。我慢してね」
カナン:「痛い……お母さん、いたい……」
GM:まあ麻酔無しで腹開けられたことないですけど死ぬほど痛いと思います。
祝:麻酔抜きでな! じゃあないw

ラムダは手を止めない。
どことも知れない暗闇の中、カナンの悲鳴は上がり続けた。


最終更新:2019年03月29日 18:11