いかづち邸
肝試し
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夏休み。それは子供から大学生まで老若男女誰もが喜ぶであろう夏真っ盛りの行事、否、休みである。
勿論、生徒会長である僕も学校に赴き業務を行ったり、学業を疎かにしないために図書館や自室で勉強したり等を欠かしていないものの、それでも休みという響きはとても好ましく思う。
勿論、生徒会長である僕も学校に赴き業務を行ったり、学業を疎かにしないために図書館や自室で勉強したり等を欠かしていないものの、それでも休みという響きはとても好ましく思う。
「──だから、今日も勉強のつもりであったのに……急に呼び出して何のつもりだオカ研!」
僕は今日、郊外にある貸し出しも行っている廃校に呼び出された。
呼び出した主──否、主犯達はオカ研の三人。
右から赤いジャージの宮野、黄色いパーカーの墨木、青いシャツの雨之が目の前に並び、申し訳なさそうな顔一つせずに突っ立っていた。
むしろ、こう、何か企んでるような顔をしている。
最初に口を開くのは墨木であった。
呼び出した主──否、主犯達はオカ研の三人。
右から赤いジャージの宮野、黄色いパーカーの墨木、青いシャツの雨之が目の前に並び、申し訳なさそうな顔一つせずに突っ立っていた。
むしろ、こう、何か企んでるような顔をしている。
最初に口を開くのは墨木であった。
「まあ、落ち着いてって。ちゃんと理由あって呼んだんだぜ?」
「……理由は?」
「……理由は?」
少々訝しむ表情で理由を尋ねる。
次に口を開くのは宮野であった。
次に口を開くのは宮野であった。
「ほらほら、いつも報告書出せー! とか、書類出せー! って言ってるじゃないすか?」
「……? 確かに言ってるが……それは君達、オカ研が報告書をちゃんと出さないからで──」
「……? 確かに言ってるが……それは君達、オカ研が報告書をちゃんと出さないからで──」
僕がいつもの様に説明しようとすれば間に入る様に雨之が口を出す。
「だからぁ、オカ研の報告書を兼ねてメンバーで脅かしするんで、生徒会長にはオカ研の成果で驚いて貰おうと思ってまして」
「……えっと……つまり、オカ研の報告書として肝試しを体験しろと?」
「そういうことです」
「……えっと……つまり、オカ研の報告書として肝試しを体験しろと?」
「そういうことです」
理屈はわかるがそれを本当にやる奴があるか?
とは、思う物の、中々こうして報告を示すという事をして来なかったオカ研にしては第一歩と言うべきか。
素直に頷きたくは無いが、第一歩を無下にも出来ないかと考えて首を縦に振る。
とは、思う物の、中々こうして報告を示すという事をして来なかったオカ研にしては第一歩と言うべきか。
素直に頷きたくは無いが、第一歩を無下にも出来ないかと考えて首を縦に振る。
「わかった、一先ずはこれを夏の活動の報告書として受け取ろう。ただし、後日しっかりと書類でも提出する事! 遅延を認めるだけだからな!」
「はいっす!」
「了解」
「はーい」
「宜しい。じゃあ準備をしてこい!」
「はいっす!」
「了解」
「はーい」
「宜しい。じゃあ準備をしてこい!」
その言葉を最後に、僕は三十分の間、炎天下の中で放置されたのだった。
勿論、日陰には避難して、水分補給も欠かしていないが、だとしても遅い。
てっきり連絡でもあるかと思ったが、そんな物も無く。
思えば、三人しかいないから三人で肝試しの脅かし役をやったら誰も呼びに来れないのでは無いか?
そう思い始めた頃、ふと視線を廃校の玄関に向ける。
幼い子供、小学生低学年くらいの少女だろうか、少女が廃校の中に入っていくのが見えた。
勿論、日陰には避難して、水分補給も欠かしていないが、だとしても遅い。
てっきり連絡でもあるかと思ったが、そんな物も無く。
思えば、三人しかいないから三人で肝試しの脅かし役をやったら誰も呼びに来れないのでは無いか?
そう思い始めた頃、ふと視線を廃校の玄関に向ける。
幼い子供、小学生低学年くらいの少女だろうか、少女が廃校の中に入っていくのが見えた。
「君、そっちは今部活動で使われて……行ってしまった……」
これはうっかりオカ研の騒動に巻き込まれたら危ないな。
そう思えばすぐに立ち上がって同じように玄関へと向かう。
そう思えばすぐに立ち上がって同じように玄関へと向かう。
「おーい、誰かいるかー」
玄関から中に声を掛けるが、シンッと空しく響くだけで、何の声も返って来る事は無く。
先程の少女の姿も近くには無い様でもある。
仕方ないかと廃校の校舎へと足を踏み入れる。
先程の少女の姿も近くには無い様でもある。
仕方ないかと廃校の校舎へと足を踏み入れる。
「オカ研ー、どこだー」
辺りを見渡しながら足を進めて廊下を歩き続ければ、少女の後ろ姿を見つける。
どうやら階段を上がって行く所であった。
オカ研が少女に何かをしてしまう、なんて事になりかねないために階段の方へと早歩きで向かう。
すると、横の方で何かが動いた気がするため目を向ける。
どうやら階段を上がって行く所であった。
オカ研が少女に何かをしてしまう、なんて事になりかねないために階段の方へと早歩きで向かう。
すると、横の方で何かが動いた気がするため目を向ける。
「生徒会長じゃないっすか」
「何をやってるんだ君は……?」
「何をやってるんだ君は……?」
犬の着ぐるみを着た──身体の大きさ的に宮野朱美がそこにいた。
「うらめしがおーっす!」
「本当に何をやってるんだ君は……?」
「いや、脅かしのために来たんすけど……」
「顔も出さずに前見えるのか……? いやいや、それよりも、少女がこの校舎に迷い込んだんだ、他のメンバーが何かしてしまう前に探すぞ、宮野」
「なんと……そういう事なら了解す! 探すしか無いっすね!」
「私は二階から探すから一階を頼んだぞ」
「本当に何をやってるんだ君は……?」
「いや、脅かしのために来たんすけど……」
「顔も出さずに前見えるのか……? いやいや、それよりも、少女がこの校舎に迷い込んだんだ、他のメンバーが何かしてしまう前に探すぞ、宮野」
「なんと……そういう事なら了解す! 探すしか無いっすね!」
「私は二階から探すから一階を頼んだぞ」
そんな話をしながらもこんな物かと思いつつ、少女が迷い込んだ事を説明して手分けして探す事にする。
そして今度こそ階段を上って少女を追う形で探し出す。
二階に上がって、辺りを見渡せば廊下の奥を曲がる少女の姿が見えた。
それを追って廊下を進み、ふとよく見れば綺麗に掃除のされた廃校だと思い当たる。
貸し出しされている辺り、定期的に掃除が入っているのだろうか、それともオカ研が意外にも掃除したのか。
そう考えながら歩いていれば、教室に中に不自然な影を見つける。
中に視線を送り、しっかりと確認すればそこにいるのは棺桶の中に入って吸血鬼のコスプレをしている墨木隆平であった。
中から此方に気付いたのか声を掛けてくる。
そして今度こそ階段を上って少女を追う形で探し出す。
二階に上がって、辺りを見渡せば廊下の奥を曲がる少女の姿が見えた。
それを追って廊下を進み、ふとよく見れば綺麗に掃除のされた廃校だと思い当たる。
貸し出しされている辺り、定期的に掃除が入っているのだろうか、それともオカ研が意外にも掃除したのか。
そう考えながら歩いていれば、教室に中に不自然な影を見つける。
中に視線を送り、しっかりと確認すればそこにいるのは棺桶の中に入って吸血鬼のコスプレをしている墨木隆平であった。
中から此方に気付いたのか声を掛けてくる。
「おっ、生徒会長じゃねえか」
「おっ、では無い……何をやっているんだ……?」
「ヴァンパイア的な怖がらせ方をしようと思ってな?」
「血でも吸うのか……? ではなく、女の子が校舎に迷い込んだみたいなんだ。君も探してくれないか?」
「マジか、そりゃあ探さないとだな……」
「という事で僕は女の子を追うから君は二階を見ておいてくれ」
「おっ、では無い……何をやっているんだ……?」
「ヴァンパイア的な怖がらせ方をしようと思ってな?」
「血でも吸うのか……? ではなく、女の子が校舎に迷い込んだみたいなんだ。君も探してくれないか?」
「マジか、そりゃあ探さないとだな……」
「という事で僕は女の子を追うから君は二階を見ておいてくれ」
そう伝えれば手分けして探す事にして、廊下の奥へと向かって少女と同じ所を曲がれば階段に当たる。
一階に行ったなら宮野が見つけるだろうと、此方は三階に上がる事を選ぶ。
少女はどこへ行ったかと再度見渡せば今度は教室の中に入るのが見えた。
そちらへ向かおうと歩き出す。
誘われる様に歩いて行き、教室の扉の前に立ち、扉に手を掛けて、少し開けた瞬間だった。
一階に行ったなら宮野が見つけるだろうと、此方は三階に上がる事を選ぶ。
少女はどこへ行ったかと再度見渡せば今度は教室の中に入るのが見えた。
そちらへ向かおうと歩き出す。
誘われる様に歩いて行き、教室の扉の前に立ち、扉に手を掛けて、少し開けた瞬間だった。
「生徒会長、何してんですか」
「うおっ!? あ、雨之か……」
「うおっ!? あ、雨之か……」
肩に手を置かれ、ビクリと大きく驚きながら後ろを見る。
そこには和風の格好をした雨之晴矢がいた。
そこには和風の格好をした雨之晴矢がいた。
「なぁにやってるんですか、生徒会長?」
「あ、ああ……少女がこの教室に入って行ったのが見えて……」
「だとしたら見間違いじゃないかな……その教室、ボロボロで危ないからって施錠されてるし」
「何!?」
「あ、ああ……少女がこの教室に入って行ったのが見えて……」
「だとしたら見間違いじゃないかな……その教室、ボロボロで危ないからって施錠されてるし」
「何!?」
そう言われれば扉にまた手を掛ける。
しかし今度は開く素振りも無くガチャガチャと空しく施錠された扉を開けようとする音がするだけだった。
しかし今度は開く素振りも無くガチャガチャと空しく施錠された扉を開けようとする音がするだけだった。
「おかしいな……確かにここに……」
「きっと少女なんて見間違いなんじゃないですか? 例えば、そう……」
「きっと少女なんて見間違いなんじゃないですか? 例えば、そう……」
雨之が間を置いて話す中、僕が首を傾げながら待っていれば、此方を見ながら小さく答える。
「本物のおばけ、とか」
「まさかそんな……」
「まさかそんな……」
思えば、宮野も墨木も少女の姿を見ていない。
僕だけが見ていた少女。
まさに幽霊やおばけの類いだとしたら──。
僕だけが見ていた少女。
まさに幽霊やおばけの類いだとしたら──。
「……なーんてね、廃校とは言え、曰く付きな訳じゃないし、目の錯覚か何かじゃない?」
「……それも、そうだな……」
「……それも、そうだな……」
眼鏡の位置を正しながら気にしない、という事を選んだ。
事実、少女が入って行ったと思われる扉は開かないし、宮野と墨木が見てなかったというのも、目の錯覚だとすれば解決はする。
あの二人には余計な手間を取らせてしまったかもしれない。
事実、少女が入って行ったと思われる扉は開かないし、宮野と墨木が見てなかったというのも、目の錯覚だとすれば解決はする。
あの二人には余計な手間を取らせてしまったかもしれない。
「……とりあえず今日は帰ろうか……肝試しどころでは無くなってしまったからな……」
「それもそうですねぇ、二人に連絡してさっさと帰りますか」
「それもそうですねぇ、二人に連絡してさっさと帰りますか」
雨之が携帯を取り出し、二人に連絡を入れながら、僕も雨之と共に帰ろうと振り替えれば。
『あと少しだったのになぁ』
後ろからそう聞こえた気がした。
でも、きっとこれも、幻聴や空耳の類いなのだろう。
ところで、話は戻るが、もしも雨之に止められていなければ、あの扉は開いていたのだろうか?
なぜかって? だって、あの時、あの扉は──少し、開いたのだから。
でも、きっとこれも、幻聴や空耳の類いなのだろう。
ところで、話は戻るが、もしも雨之に止められていなければ、あの扉は開いていたのだろうか?
なぜかって? だって、あの時、あの扉は──少し、開いたのだから。